JP2003339396A - プロテオグリカンの人工合成方法 - Google Patents

プロテオグリカンの人工合成方法

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啓一 高垣
Keinosuke Ishido
圭之輔 石戸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プロテオグリカンの人工合成法を
提供する。 【解決手段】エンド−β−キシロシダーゼを用いること
によりプロテオグリカンを人工的に合成し得ることを見
出した。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はプロテオグリカンの
新規な人工合成方法に関する。 【0002】 【従来技術】現在のバイオテクノロジーは、遺伝子工学
とタンパク質工学の上になり立っており、人類に有用な
様々なタンパク質を人為的に生産する技術を確立した。
このため、様々な医薬品を製造することが可能となり、
疾病の治療等に用いられている。しかし、遺伝子工学的
に産生されるリコンビナントタンパク質は、しばしばそ
のタンパク質に本来結合しているはずの糖が完全に欠落
していたり、不完全な糖鎖が結合していたりすることが
あり、このためそのタンパク質本来の生物活性が十分に
発現されなかったり、本来の生物活性以外の活性が発現
されたり、タンパク質が不安定になる例が多数知られて
いる。代表的な例は、インターフェロンγやエリトロポ
エチンであり、この場合は臨床的授与により副作用の発
現が見られ、また、生体内でターンオーバーの問題が指
摘されている。このリコンビナントタンパク質の不完全
糖鎖発現の理由はDNAにはアミノ酸の配列が厳密にコ
ードされているが、それに結合している糖鎖の合成や結
合に関する情報はまったく含まれていないからである。
これが現在のバイオテクノロジーの遺伝子工学の重大な
問題点である。 【0003】遺伝子工学上の問題の解決、すなわち糖鎖
が欠落したリコンビナントタンパク質に対して必要な糖
鎖を人為的に導入することができれば問題の解決が図ら
れるということは容易に考えられる。しかし、糖鎖工学
的に糖鎖の合成、特に高分子糖鎖を合成し、それをタン
パク質に導入して目的とするプロテオグリカンを得ると
いう糖鎖工学的技術は現在のところ開発されていない。
酵素的にも、現在高分子糖鎖を合成する酵素は完全分離
されていないし、また、それをタンパク質に導入する酵
素も見出されていない。一方、有機合成化学ではまだ高
分子糖鎖を合成するまでには至っていない。しかも、仮
に何らかの糖鎖をタンパク質に結合させてプロテオグリ
カンを得ようとすると、その有機合成化学の反応条件は
タンパク質の分解を起こさせるほどに過酷である。以上
のとおり、遺伝子工学の欠点を補う、高分子糖鎖をタン
パク質に導入して人為的にプロテオグリカンを得るため
の従来技術は存在しなかった。 【0004】糖鎖を合成する合成酵素もなく、また有効
な化学合成法も確立されていないとすると、何等かの別
の方法が考慮されねばならない。そこで、本発明者らは
グリコシダーゼに注目した。糖鎖分解酵素であるグリコ
シダーゼは、その主反応としての加水分解反応の他に、
その逆反応、即ち糖鎖転移反応を触媒する。このときエ
キソ型グリコシダーゼは加水分解反応により単糖を遊離
するので、その逆反応である糖鎖転移反応は単糖を転移
することになる。一方、エンド型グリコシダーゼは加水
分解反応によりオリゴ糖を遊離するので、その糖鎖転移
反応はオリゴ糖を転移することになる。よって、本発明
者らは、糖鎖の合成は、天然の糖鎖を素材とし、これを
エンド型グリコシダーゼの糖鎖転移反応によって、活性
物質を有する組み換え体をつくり、この糖鎖を更にエン
ド型グリコシダーゼを用いて、アミノ酸の重合体である
ペプチドに導入し、目的とするプロテオグリカンを得る
方法を確立しようとしたものである。 【0005】ところで、ホタテ貝中腸腺由来のエンド−
β−キシロシダーゼはプロテオグリカンの糖鎖−コアタ
ンパク結合部位であるキシロシルセリン結合を加水分解
し、その結果グリコサミノグリカン(GAG)糖鎖をそ
のままの形で切り出すことのできるエンド型グリコシダ
ーゼの一種である(Takagaki,K., Nakamura,T., Endo,
M. (1988) Biochem.Biophys.Acta.966, 94-98 Takagak
i,K., Kon,A., Kawasaki,H., Nakamura,T., Tamura,S.,
and Endo,M. (1990) J.Biol.Chem. 265,854-860)。ま
た、本酵素はコンドロイチン硫酸糖鎖、デルマタン硫酸
糖鎖、及びヘパラン硫酸糖鎖を同様にプロテオグリカン
から切り出すことができる。これまで数種類のエンド型
グリコシダーゼにおいて、糖転移活性の存在が報告され
ている(Trimble,R.B., Atkinson, P.H.Tarentino, A.
L.,Maley,F., andTomer, K.B., (1986) J.Biol.Chem. 2
61, 12000-12005, Bardales, R.M., andBhavanandan,
V.P.(1989), J.Biol. Chem.264, 19893-19897, Li,Y.-
T.,Carter,B.Z., Rao, B.N.N., Schweingruber, H., an
d Li,S.-C.(1991) J.Biol.Chem.266, 10723-10726)。 【0006】糖転移反応とは、加水分解の際に基質から
切り出された糖残基を、その逆反応を利用してアクセプ
ターとなる物質に転移させるというものである。この反
応を用いることで糖残基をブロック単位で他の糖残基に
転移させることができる。したがってこの反応は糖鎖工
学において非常に重要な役割を担うものである。山本ら
はendo−M酵素の糖転移反応を利用してGlcNAcを付加し
た合成ペプチドにヒトトランスフェリン糖タンパクのオ
リゴ糖を転移させた新規糖タンパク質の合成に成功して
いる(Yamamoto,K., Kadowaki,S., Watanabe,J., and K
umagai,H.(1994) Biochem.Biophys. Res.Commun. 203,
244-252)。また、芦田らはO−結合型糖タンパク質糖
鎖をタンパク結合部位で加水分解する endo-α-N-ace
tylgalactosamiaidaseをBacillus sp.より単離し、この
酵素の糖転移反応を用いた糖タンパクの酵素的合成を報
告している(Ashida,H., Yamamoto,K.,Murata,T., Usu
i,T., and Kumagai,H. (2000) Arch.Biochem. Biophys.
373,394-400)。 【0007】プロテオグリカンにおいては、高垣らが牛
精巣性ヒアルロニダーゼの糖転移反応を用いて、GAG
糖鎖の二糖単位の組み替えによりオーダーメイドのGA
G糖鎖の合成に成功している(Takagaki,K., Nakamura,
T., Izumi,J., Saitoh,H., and Endo,M.(1994)Biochemi
stry 33, 6305-6507, Saitoh,H., Takagaki,K., Majim
a,M.,Nakamura,T., Matsuki,A., Kasai,M., Narita,H.,
and,Endo,M. (1995)J.Biol. Chem. 270, 3741-3747.
Takagaki,K., Munakata,H., Majima,M, andEndo,M. (19
99) Biochem.Biophys. Res. Commun. 258, 741-744)。
しかしながら、GAG糖鎖そのものをブロックで移す糖
鎖転移反応はいまだ報告されていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
GAG糖鎖そのものをブロックで移す糖鎖転移反応につ
いて検討した結果、エンド−β−キシロシダーゼが糖鎖
転移活性を有することを確認し、これを利用して高分子
GAG糖鎖をそのままの形で酵素的にペプチドに転移さ
せることができるとの知見を得、本発明を完成したもの
で、本発明の目的は、GAG糖鎖を糖鎖工学的にペプチ
ドに導入しプロテオグリカンを人工的に合成する場合の
至適条件と手順を確立することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、エンド
−β−キシロシダーゼを用いることを特徴とするプロテ
オグリカンの人工合成方法である。即ち、本発明はエン
ド型グリコシターゼの一種であるエンド−β−キシロシ
ダーゼを用いて、GAGの末端キシロース(Xyl)をペ
プチドのセリン(Ser)に導入して人工的にプロテオグ
リカンを合成するものである。 【0010】 【化1】 【0011】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態及び至適
条件を具体的に説明する。エンド−β−キシロシダーゼ
の糖鎖転移反応における至適条件を見い出すべく、反応
条件について種々検討した。 【0012】1.糖鎖移転反応の経時的変化 エンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応における経
時的変化を調べた(図6−A)。反応初期は反応時間の
増加とともに、糖鎖転移反応生成物は増加した。しかし
ながら、反応12時間後より反応生成物は徐々に減少し
た。よって、反応時間は概ね12時間が最適であることが
判明した。 【0013】2.pHの影響 糖鎖転移反応におけるpHの影響を調べるために、さまざ
まなpHのもとで反応を行った(図6−B)。その結果、
糖鎖転移反応における至適pHは3.0であることが判明し
た。これは本酵素の加水分解反応の至適pHである4.0と
異なっていた。 【0014】3.アクセプター濃度の影響 エンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応におけるア
クセプター濃度の影響を調べるために、さまざまな濃度
のアクセプターのもとでエンド−β−キシロシダーゼの
糖鎖転移反応を行った。その結果、アクセプター濃度の
上昇とともに、糖鎖転移反応生成物も増加することが確
認され、アクセプター濃度は高い方がよいことが判明し
た(図6−C)。 【0015】4.ドナー濃度の影響 エンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応に対するド
ナー濃度の影響を調べるために、さまざまなドナー濃度
のもとで糖鎖転移反応を行った。その結果、ドナー濃度
の上昇に依存して反応生成物の上昇が見られた(図6−
D)。しかしながら、ドナーの不溶化のため、500mmol以
上の濃度での検討は不可能であった。ドナー濃度は500m
molが最適であることが判明した。 【0016】エンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反
応に対する金属イオンの影響について調べた結果を表1
に示す。 【0017】 【表1】 【0018】表1よりCuSO4とAgNO3は糖鎖転移反応を顕
著に阻害した。これらの金属イオンはエンド−β−キシ
ロシダーゼの加水分解活性を抑制することを本発明者ら
は以前に発表したが、加水分解の抑制と共に糖鎖転移反
応も抑制されることが示唆された。10mMのNaClはエンド
−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応を促進させること
が判明した。 【0019】5.コンドロイチン硫酸糖鎖長の糖鎖転移
反応への影響 数種類の糖鎖長の違うペプチドコンドロイチン硫酸をド
ナーとして用いて、糖鎖転移反応に対する影響を調べ
た。インタクトなベプチドコンドロイチン硫酸をコンド
ロイチナーゼABCとAC−IIにて徹底的に消化し、△GlcA
−GalNAc−GlcA−Gal−Gal−Xyl−(peptide)と △Gl
cA−Gal-Gal−Xyl−(peptide)を調製した。これら125
nmolをそれぞれドナーとして糖鎖転移反応に用いた。そ
の結果、30kDaの大きさを持つペプチドコンドロイチン
硫酸をドナーとしたときに比べ、転移率はそれぞれ25
%と15%に減少した。またXyl−peptide及びキシロシ
ルセリン結合を持たないコンドロイチン硫酸糖鎖をドナ
ーとした場合には糖鎖転移はまったく起こらなかった。
これらの結果を表2に示した。 【0020】 【表2】 【0021】6.さまざまなGAG糖鎖のペプチドヘの
導入 さまざまなGAG糖鎖をエンド−β−キシロシダーゼの
糖鎖転移反応を用いてペプチドに導入することを試み
た。ドナーとしてブタ皮膚由来のペプチドデルマタン硫
酸、ウシ肺由来のペプチドヘパラン硫酸及びバクテリア
由来のヒアルロン酸をドナーとして糖鎖転移反応を行っ
た。その結果、デルマタン硫酸及びヘパラン硫酸はエン
ド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応によりアクセプ
ターペプチドに導入された。しかしながら、ヒアルロン
酸は全く転移されなかった。ヒアルロン酸はコアタンパ
クを持たないGAGであることが知られている。したが
ってヒアルロン酸はキシロシルセリン結合を有していな
いため、エンド−β−キシロシダーゼによる糖鎖転移反
応を受けなかったと考えられる。なお、この結果を表3
に示した。 【0022】 【表3】 【0023】7.コンドロイチン硫酸付加ペプチドの活
性化プロテインCに対する影響 コンドロイチン硫酸を付加したペプチドの活性化プロテ
インCに対する影響を調べた。コンドロイチン硫酸付加
ペプチド2nmolを50mMトリス塩酸緩衝液、pH8.5(0.1M
NaCl,1mMCaC12を含む)下で活性化プロテインC 1μ
gとともにインキュベートした。反応溶液は励起波長380
nm、蛍光波長460nmにて遊離されたAMCの蛍光強度が測定
された。その結果、図7に示すように、コンドロイチン
硫酸を付加していないペプチドに比べ、コンドロイチン
硫酸付加ペプチドは酵素基質としての活性が約30%に抑
えられていることが確認された。 【0024】 【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 エンド−β−キシロシダーゼを用いたペプチドコンドロ
イチン硫酸のペプチドへの導入 エンド−β−キシロシダーゼの糖転移活性の存在を調べ
るために、Boc-Leu-Ser-Thr-Arg-MCAをアクセプターと
し、ウシ気管軟骨由来のコンドロイチン硫酸ペプチドグ
リカンをドナーとした。1μmolのBoc-Leu-Ser-Thr-Arg
-MCAと125nmolのペプチドコンドロイチン硫酸を100mM
酢酸ナトリウム緩衝液、pH 3.0下(全反応溶液、100μ
l)で10mUのエンド−β−キシロシダーゼとともに37℃
でインキュベートさせた。インキュベート後、3分間の
加熱により反応を終了させ、反応生成物であるプロテオ
グリカンを合成した。反応生成物がプロテオグリカンで
あることを確認するため、反応液を遠心分離し、その上
清液を陰イオン交換カラムを用いたHPLCにて解析した。
その結果、インキュベート0時間の反応溶液においては
アクセプターのピークのみ検出された(図1−ピーク
1)。しかしながらインキュベート時間の進行とともに
溶出位置41分に新しいペプチドのピークが生成された
(図1−ピーク2)。また、この溶出位置はドナー由来
のコンドロイチン硫酸の溶出位置と一致していた。反応
生成物であるピーク2を回収し、セルロースアセテート
膜電気泳動にて解析した。膜はアルシアンブルーにて染
色した(図2−A)。その結果、反応生成物のバンドは
スタンダードのコンドロイチン硫酸と一致した。また、
膜を染色せずに3mmずつに切離し、おのおのの切片を1
mlの水にて抽出した。抽出画分を励起波長330nm、蛍光
波長400nmで測定した。その結果、反応生成物のバンド
に一致する膜にアクセプターペプチドの有する蛍光強度
が観察された(図2−B)。以上の結果より、反応生成
物はコンドロイチン硫酸糖鎖とアクセプターペプチドを
有しているプロテオグリカンであることが示唆された。 【0025】次に、反応生成物の構造を解析するため
に、反応生成物を回収しさまざまな酵素にて消化した。
消化後、反応溶液をゲル濾過カラムを使用したHPLCにて
解析した(図3)。反応生成物は溶出位置27分に出現し
た(図3−A)。分子量の明らかなGAGの溶出位置よ
り、この反応生成物は約30kDaの分子量を持つことが明
らかになった。これはドナーの糖鎖部分の分子量である
30kDaと一致していた。また反応生成物はStreptomyces
ヒアルロニダーゼとヘパリチナーゼ−II消化に対して
は感受性を示さなかったものの(図3-D,E)、コンドロ
イチナーゼABCとコンドロイチナーゼAC−II消化に対し
て感受性を示した(図3−B,C)。さらに反応生成物を
コンドロイチナーゼABC消化後のペプチドのピーク(図
3−B)を回収し、イオンスプレー式質量分析装置にて
解析した。m/z=733.4のピークが観察された(図
4)。このことより回収したペプチドのピークは1732k
Daの分子量を持つことが明らかになり、結合領域6糖が
付加したペプチドの理論上の分子量と一致した。以上の
結果より、反応生成物はエンド−β−キシロシダーゼの
糖鎖転移反応により、ドナー由来のコンドロイチン硫酸
がアクセプターペプチドに転移したプロテオグリカンで
あることが証明された。 【0026】更に、アクセプターペプチドにドナー由来
のコンドロイチン硫酸糖鎖が転移されたことを確認する
ため、まずアクセプターペプチドからトリフルオロ酢酸
処理によりBoc残基をはずした。その後、エンド−β−
キシロシダーゼの糖鎖転移反応を行い、同様に反応生成
物を得た。さらに反応生成物をN末端アミノ酸配列解析
を行った(図5)。その結果、ロイシン、スレオニン及
びアルギニン残基の変化は見られなかったが、セリン残
基の顕著な減少が観察された。したがって、エンド−β
−キシロシダーゼの糖鎖転移反応によってドナー由来の
コンドロイチン硫酸がアクセプターペプチドのセリン残
基に転移されたことが証明された。このことは至適条件
下に於いて人為的にプロテオグリカンを合成し得ること
を証明したものである。 【0027】 【発明の効果】以上述べたように、本発明はホタテ貝中
腸腺由来のエンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移活性
を用いて、コンドロイチン硫酸糖鎖をそのままの形でア
クセプターであるBoc-Leu-Ser-Thr-Arg-MCAに転移させ
ることができた。一般にグリコシダーゼは本来の反応で
ある加水分解活性に加え、糖転移活性を有することが知
られているが、糖転移反応は加水分解反応の逆反応を利
用した反応と考えられており、したがって、新規オリゴ
糖の合成、N−結合型糖タンパクの化学酵素的合成など
に非常に有用な反応である。そして、エンド−β−キシ
ロシダーゼの糖鎖転移反応を利用することで、分子量数
万におよぶGAG糖鎖を一段階でアクセプターに転移さ
せることができた。これにより、これまでプロテオグリ
カンはその糖鎖であるGAGの生合成のメカニズムが非
常に複雑で明らかにされていないため、人工的に合成す
ることは困難を極めると考えられてきたが、コアタンパ
クをエンド−β−キシロシダーゼの糖鎖転移反応のアク
セプターとすれば、天然の形のままのGAG糖鎖をコア
タンパクに導入でき、生理活性を有するプロテオグリカ
ンを人工的に合成することが可能となったものである。
生理活性を有するプロテオグリカンが自由に調製できる
ことは、医薬品の新規開発に多大の貢献をするものであ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】 エンド−β−キシロシダーゼとともにBoc-Le
u-Ser-Thr-Arg-MCAをアクセプターとし、コンドロイチ
ン硫酸ペプチドグリカンをドナーとして、インキュベー
トさせた場合のHPLCのクロマトグラム 【図2】 反応生成物であるピーク2を回収し、セルロ
ースアセテート膜電気泳動にて解析した図 【図3】 反応生成物の構造を解析するために、反応生
成物を回収しさまざまな酵素にて消化した後、反応溶液
をゲル濾過カラムを使用したHPLCにて解析した図 【図4】 図3−Bのピークを回収し、イオンスプレー
式質量分析装置にて解析した図 【図5】 アクセプターペプチドにドナー由来のコンド
ロイチン硫酸糖鎖が転移されたことを確認した図 【図6】 エンド−β−キシロシダーゼの糖転移反応に
おける至適条件を示した図(Aは反応時間の影響、Bは
pHの影響、Cはアクセプター量の影響、Dはドナー量の
影響を表す。) 【図7】 コンドロイチン硫酸付加ペプチドの活性化プ
ロテイン Cに対する影響を示した図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石戸 圭之輔 北海道函館市追分町1−29 フレッシュロ イトン702号 Fターム(参考) 4B064 AG01 CA21 CC04 CC07 CC08 DA01

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】エンド−β−キシロシダーゼを用いること
    を特徴とするプロテオグリカンの人工合成方法。
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JP2008150464A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Hirosaki Univ コア物質への糖鎖付加方法

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