JP4105872B2 - N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体及びその製造方法 - Google Patents

N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分離精製技術や解析技術の進歩によって、複雑な糖鎖の構造やその機能が解明されつつある。糖鎖は、様々な生命現象に関与しており、糖鎖を利用した新たな医薬品等の開発が期待されている。
【0003】
糖鎖の持つ情報量は、構成単位である糖の種類、数、結合位置、及び立体等に依存しており、とてつもなく膨大となるため、未だ知られていない配列や結合等を有する糖鎖が存在する可能性は否定できない。
【0004】
糖鎖を利用した新たな医薬品等を開発研究する上で、非天然型糖鎖を構築することは、新たな発見をもたらす可能性を秘めていると共に、糖鎖の機能を向上させたり、新たな機能を付与したりできる可能性もある。
【0005】
これまで、糖鎖を合成する方法としては、有機合成化学的な方法と、酵素法によるトランスフェラーゼを用いた方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、有機合成化学的な合成方法は、官能基の保護・脱保護等の繰り返しによる多段階の反応工程及び複数回の精製操作が必要であり、工業的規模での実施は極めて困難であった。
【0007】
一方、トランスフェラーゼを用いた糖鎖合成方法は、上記のような化学合成法に比べて非常に簡便であり、また、異性体の生成を伴わないので、構造の明確な糖鎖を効率良く得ることができるが、トランスフェラーゼを大量に入手することが困難であり、また、基質となる糖ヌクレオチドも不安定で高価であることから、工業的規模での実施はコスト的に難しかった。また、トランスフェラーゼは、糖の認識が極めて厳密で、ある決まった糖鎖しか合成できないという弱点があり、修飾された糖鎖や非天然型糖鎖の合成には適さないという問題があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、非天然型の新規なセロオリゴ糖誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、糖加水分解酵素を用いて糖鎖を構築する研究の過程で、アルカリ性条件下において、キチンを分解する酵素であるキチナーゼの受容体特異性が、比較的寛容であり、糖受容体として二位のアセトアミド基が存在しないセロビオースやセロトリオースを認識することを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一つは、下記一般式(1)で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体である。
【0011】
【化3】
Figure 0004105872
【0012】
また、本発明のもう一つは、糖受容体となる下記一般式(2)で表されるセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体と、糖供与体となるN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体に、アルカリ性条件下でファミリー18に属するキチナーゼを作用させることを特徴とするN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体の製造方法である。
【化4】
Figure 0004105872
【0013】
上記製造方法においては、前記糖受容体と前記糖供与体に、pH8〜10の条件下で前記キチナーゼを作用させることが好ましい。
また、前記キチナーゼが、Bacillus属由来のキチナーゼであることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、糖受容体としてセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体、糖供与体としてN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体を用い、これらにキチナーゼをアルカリ性条件下で作用させることにより、セロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体の非還元末端にN−アセチルラクトサミンがβ−1,4結合で転移した非天然型のセロオリゴ糖誘導体(N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体)を簡単かつ安価に調製することができる。このN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、新規生理活性物質として、医薬品、診断薬、化粧品、食品、農薬、肥料等としての利用が期待できる。また、上記セロオリゴ糖誘導体の還元末端には、固定化のための重合基や検出のための官能基等を付与することができるので、例えば、セルラーゼの活性測定用の基質やカラム充填剤としての利用も期待できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体の合成方法の基本は、糖供与体であるN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体に、アルカリ性条件下でキチナーゼを作用させることにより、糖受容体となるセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体の非還元末端側へβ−1,4結合で転移させるものである。
【0016】
本発明において、N−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体(以下、単にオキサゾリン誘導体という)とは、N−アセチルラクトサミンから誘導された下記式()に示される構造を有する化合物をいう。
【0017】
【化5】
Figure 0004105872
【0018】
上記オキサゾリン誘導体は、例えばN−アセチルラクトサミンに塩化アセチルを作用させてアノマー位の塩素化及び水酸基の保護を行い、塩化テトラエチルアンモニウムと炭酸水素ナトリウムによりオキサゾリン環を形成し、最後にナトリウムメトキシドによる脱アセチル化を行なうことにより得ることができる(K. Sasaki, S. Ahlfors, T. Frejd, J. Kihlberg, G. Magnusson, J. Org. Chem., 53, 5629 (1988)、S. Nishimura, H. Kuzuhara, Y. Takiguchi, K. Shimahara, Carbohydr. Res., 194, 223 (1989))。
【0019】
糖受容体となるセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体としては、二糖から六糖のセロオリゴ糖及びそれらの還元末端をメチル基、アクリルアミド基、パラニトロフェニル基等で修飾したもの等が好ましく用いられる。
【0020】
キチナーゼとしては、Henrissatらによる糖質加水分解酵素の分類(Henrissat, B., Biochem. J., 280, 309 (1991)、Henrissat, B., A. Bairoch., Biochem. J., 293, 781 (1993))において、ファミリー18に属するキチナーゼが用いられ、特に、Bacillus属由来のキチナーゼが好ましく用いられる。
【0021】
キチナーゼは、Bacillus属の菌体(例えばBacillus circulans(IFO13627)等)の培養液から、例えば硫安沈殿により粗酵素を調製し、必要に応じて更にキチンカラム等を用いて精製することにより調製できる(T. Watanabe, K. Suzuki, W. Oyanagi, K. Ohnishi, H. Tanaka, J. Biol. Chem., 265, 15659 (1990))。なお、キチナーゼは、精製されたものを用いてもよく、粗酵素を用いてもよい。また、市販のキチナーゼを用いてもよく、例えば商品名「キチナーゼ」(Bacillus sp.由来、和光純薬工業社製)等を用いることができる。
【0022】
本発明においては、安価に入手できることから、Bacillus sp.由来のキチナーゼが特に好ましく用いられる。
【0023】
上記緩衝液としては、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等を使用することができる。
【0024】
本発明において一般式(1)で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、例えば以下のようにして調製することができる。
【0025】
すなわち、上記オキサゾリン誘導体と、セロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体を、アルカリ性(好ましくはpH7〜11、より好ましくはpH8〜10)に調整した緩衝液に溶解し、これにキチナーゼを添加して20〜40℃で反応を行なう。反応中は、反応液を経時的にサンプリングして高速液体クロマトグラフィーでオキサゾリン誘導体のピークの消失を確認した後、酵素を失活させ、高速液体クロマトグラフィー等により目的物を単離する。
【0026】
キチナーゼを用いた酵素反応を、上記のようなアルカリ性条件下で行なうことにより、糖受容体となるセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体の非還元末端側へ糖供与体であるN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体をβ−1,4結合で効率よく転移させることができる。
【0027】
本発明においては、上記オキサゾリン誘導体と、セロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体をモル比で0.3〜3:1となるように用いることが好ましい。
【0028】
また、キチナーゼの添加量は、転移反応が充分に進行する量であれば特に制限はないが、例えば上記オキサゾリン誘導体を0.1mol/L含む反応系においては、キチナーゼの添加量は50〜500mU/mLが好ましく、70〜150mU/mLがより好ましい。なお、本発明において、キチナーゼ1U(ユニット)とは、pH6.8、37℃の条件下で酵素をN−アセチルキトサンに作用させた際に、1分間にN−アセチルキトサンから1μmolのN−アセチルグルコサミンに相当する還元糖を生成する酵素量を意味する。
【0029】
また、高速液体クロマトグラフィーの条件は、例えば「TSK-gel Amide-80」(商品名、トーソー社製)、「Asahipak NH2P-50 4E」(商品名、昭和電工社製)等のカラムを用い、溶媒としてアセトニトリル/水混合溶媒(アセトニトリル/水(v/v)=80/20〜60/40)等を用いて行なうことができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
製造例
N−アセチルラクトサミン4.0gに塩化アセチル20mLを加え、撹拌しながら室温で4日間反応を行なった。なお、反応中は、TLC(酢酸エチル/ヘキサン(v/v)=4/1)により反応を追跡した。
【0031】
この反応液をエバポレートによって濃縮し、過剰量の塩化メチレンで希釈後、pHが中性になるまで冷水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で分液し、得られた有機溶媒相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過して硫酸ナトリウムを除去した。
【0032】
得られた濾液をエバポレートにより濃縮し、更に減圧乾燥して溶媒を完全に除去して、塩化N−アセチル−3,6,2',3',4',6'−ヘキサ−O−アセチル−α−ラクトサミニル(以下、化合物(I)という)6.80gを得た。精製は行なわずにそのまま次の反応を行なった。
【0033】
上記化合物(I)3.01gをアセトニトリル25mLに溶解し、この溶液を、塩化カルシウムによって一時間半乾燥させた塩化テトラエチルアンモニウム1.0gと炭酸水素ナトリウム1.0gに加え、55℃で1時間40分還流させた。TLC(酢酸エチル/ヘキサン(v/v)=4/1)にて反応終了を確認し、ガラスフィルターG4(商品名、柴田科学社製)で固形物を除去し、得られた濾液を減圧下で濃縮した後、過剰量の塩化メチレンで希釈し、水相のpHが中性になるまで冷水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で分液し、得られた有機溶媒相を無水硫酸ナトリウムにより乾燥後、濾過して硫酸ナトリウムを除去した。
【0034】
得られた溶液をエバポレートによって濃縮した後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Gel:商品名「Silica Gel 60」、Merck社製、particle size:0.04−0.063mm、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン(v/v)=4/1)により精製して、固体状の2−メチル{3,6ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}[2,1−d]−2−オキサゾリン(以下、化合物(II)という)1.40gを得た。
【0035】
アルゴン雰囲気下、上記化合物(II)1.40gを無水メタノール270mLに溶解させ、0.01Mの濃度になるようにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、室温で2時間反応させた。TLC(酢酸エチル/ヘキサン(v/v)=4/1)により反応終了を確認した後、反応溶液が中性になるまでイオン交換樹脂Amberlite IR-120(H+)(商品名、オルガノ社製)を加えた後、濾過してイオン交換樹脂を除去した。
【0036】
得られた濾液をエバポレートによって濃縮し、更に減圧乾燥して、2−メチル{4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ}[2,1−d]−2−オキサゾリン(以下、オキサゾリン誘導体(I)という)0.80gを得た。なお、オキサゾリン誘導体(I)は、NMRにより構造を確認した。
【0037】
実施例1
上記オキサゾリン誘導体(I)36.5mgをエッペンドルフチューブに入れ、セロビオース103mgと市販キチナーゼ(Bacillus sp.由来キチナーゼ、商品名「キチナーゼ」、和光純薬工業社製、以下同じ。)146mUを溶解した50mMトリス緩衝液(pH9.0)1mLを添加し、40℃の恒温槽に入れて反応を行なった。
【0038】
反応中、高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、オキサゾリン誘導体(I)のピークが完全に消失したのを確認した後、90℃で20分間熱失活を行なった。なお、高速液体クロマトグラフィーは、以下の条件(1)で行なった。
【0039】
・条件(1)
カラム:「TSK-gel Amide-80 (4.6×25mm)」(商品名、トーソー社製)
溶媒:アセトニトリル/水(v/v)=60/40
温度:40℃
流速:1.0mL/min
検出:RI
次いで、得られた反応液を用いて、以下の条件(2)で高速液体クロマトグラフィーを行ない、目的物の画分を回収した。
【0040】
・条件(2)
カラム:「TSK-gel Amide-80 (21.5×30mm)」(商品名、トーソー社製)
溶媒:アセトニトリル/水(v/v)=65/35
温度:40℃
流速:6.0mL/min
検出:RI
そして、回収した画分をエバポレートで濃縮、凍結乾燥して、下記式で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体9.9mgを得た。
【0041】
【化6】
Figure 0004105872
【0042】
なお、上記のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、1H、13CNMR及びMALDI TOF MASSにより、その構造を確認した。
【0043】
実施例2〜5
上記オキサゾリン誘導体(I)1.46mgをエッペンドルフチューブに入れ、セロトリオース0.671mgと市販キチナーゼ13mUを溶解した50mMトリス緩衝液(pH9.0)40μLを添加し、40℃の恒温槽に入れて反応を行なった。
【0044】
反応中、高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、オキサゾリン誘導体(I)のピークが完全に消失したのを確認した後、90℃で20分間熱失活を行なった。なお、高速液体クロマトグラフィーは、実施例1と同じ条件(1)で行なった。
【0045】
得られた反応液を用いて、実施例1と同じ条件(2)で高速液体クロマトグラフィーを行ない、目的物の画分を回収し、エバポレートで濃縮、凍結乾燥して、上記一般式(1)において、n=2で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体を得た。
【0046】
また、セロトリオースの代わりに、セロテトラオース(0.887mg)、セロペンタオース(1.10mg)又はセロヘキサオース(0.659mg)を用いて上記と同様の条件で反応を行ない、上記一般式(1)において、X−RがOH、n=3〜5で表される各N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体を得た。
【0047】
なお、上記の各N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、1H、13CNMR及びMALDI TOF MASSにより、その構造を確認した。
【0048】
実施例6
上記オキサゾリン誘導体(I)36.5mgをエッペンドルフチューブに入れ、メチルβ−D−セロビオシド17.8mgと市販キチナーゼ325mUを溶解した50mMトリス緩衝液(pH9.0)1mLを添加し、40℃の恒温槽に入れて反応を行なった。
【0049】
反応中、高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、オキサゾリン誘導体(I)のピークが完全に消失したのを確認した後、90℃で20分間熱失活を行なった。なお、高速液体クロマトグラフィーは、以下の条件(3)で行なった。
【0050】
・条件(3)
カラム:「TSK-gel Amide-80 (4.6×25mm)」(商品名、トーソー社製)
溶媒:アセトニトリル/水(v/v)=75/25
温度:40℃
流速:1.0mL/min
検出:RI
次いで、得られた反応液を用いて、以下の条件(4)で高速液体クロマトグラフィーを行ない、目的物の画分を回収した。
【0051】
・条件(4)
カラム:「TSK-gel Amide-80 (21.5×30mm)」(商品名、トーソー社製)
溶媒:アセトニトリル/水(v/v)=60/40
温度:30℃
流速:6.0mL/min
検出:RI
そして、回収した画分をエバポレートで濃縮、凍結乾燥して、下記式で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体8.9mgを得た。
【0052】
【化7】
Figure 0004105872
【0053】
なお、上記のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、1H、13CNMR及びMALDI TOF MASSにより、その構造を確認した。
【0054】
実施例7
上記オキサゾリン誘導体(I)36.5mgをエッペンドルフチューブに入れ、(N−アクリルアミドメチル)−アミノカルボニルエチル−1−チオ−β−D−セロビオシド16.9mgと市販キチナーゼ325mUを溶解した50mMトリス緩衝液(pH9.0)1mLを添加し、40℃の恒温槽に入れて反応を行なった。
【0055】
反応中、高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、オキサゾリン誘導体のピークが完全に消失したのを確認した後、90℃で20分間熱失活を行なった。なお、高速液体クロマトグラフィーは、実施例6と同じ条件(3)で行なった。
【0056】
次いで、得られた反応液を用いて、以下の条件(5)で高速液体クロマトグラフィーを行ない、目的物の画分を回収した。
【0057】
・条件(5)
カラム:「Inertsil ODS-3 (10.0×25mm)」(商品名、GL Sciences社製)
溶媒:水/メタノール(v/v)=900/70
温度:室温
流速:3.0mL/min
検出:UV(210nm)
そして、回収した画分をエバポレートで濃縮、凍結乾燥して、下記式で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体4.7mgを得た。
【0058】
【化8】
Figure 0004105872
【0059】
なお、上記のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、1H、13CNMR及びMALDI TOF MASSにより、その構造を確認した。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、糖受容体としてセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体、糖供与体としてN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体を用い、これらにキチナーゼをアルカリ性条件下で作用させることにより、セロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体の非還元末端にN−アセチルラクトサミンがβ−1,4結合した非天然型のセロオリゴ糖誘導体(N−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体)を簡単かつ安価に得ることができる。
【0061】
このN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体は、新規生理活性物質として、医薬品、診断薬、化粧品、食品、農薬、肥料等としての利用が期待できる。また、上記セロオリゴ糖誘導体の還元末端には、固定化のための重合基や、検出のための官能基等を付与することができるので、例えば、セルラーゼの活性測定用の基質やカラム充填剤としての利用も期待できる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体。
    Figure 0004105872
  2. 糖受容体となる下記一般式(2)で表されるセロオリゴ糖又はセロオリゴ糖誘導体と、糖供与体となるN−アセチルラクトサミンのオキサゾリン誘導体に、アルカリ性条件下でファミリー18に属するキチナーゼを作用させることを特徴とするN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体の製造方法。
    Figure 0004105872
  3. 前記糖受容体と前記糖供与体に、pH8〜10の条件下で前記キチナーゼを作用させる、請求項2に記載のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体の製造方法。
  4. 前記キチナーゼが、Bacillus属由来のキチナーゼである、請求項2又は3に記載のN−アセチルラクトサミニル−セロオリゴ糖誘導体の製造方法。
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