JP2004253707A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パンチスルーを抑制しつつ、動作速度を向上できるようにした半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】p型のシリコン基板1と、このシリコン基板1上に設けられたノンドープシリコン層7と、このノンドープシリコン層7上に設けられたゲート絶縁膜11と、このゲート絶縁膜11上に設けられたメタルゲート電極13と、このメタルゲート電極13下から露出したシリコン基板1に設けられたn+S/D拡散層5a及び5bと、チャネル領域下のシリコン基板1に設けられたp+拡散層9とを備え、このp+拡散層9の不純物濃度はn+S/D拡散層5a及び5b下のシリコン基板1よりも高濃度である。
【選択図】 図1
【解決手段】p型のシリコン基板1と、このシリコン基板1上に設けられたノンドープシリコン層7と、このノンドープシリコン層7上に設けられたゲート絶縁膜11と、このゲート絶縁膜11上に設けられたメタルゲート電極13と、このメタルゲート電極13下から露出したシリコン基板1に設けられたn+S/D拡散層5a及び5bと、チャネル領域下のシリコン基板1に設けられたp+拡散層9とを備え、このp+拡散層9の不純物濃度はn+S/D拡散層5a及び5b下のシリコン基板1よりも高濃度である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に、チャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造のMISトランジスタに適用して好適な半導体装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、MISトランジスタのゲート長は0.1μmに近づきつつあり、トランジスタの閾値電圧はますます小さくなる傾向にある。これに伴って、トランジスタのチャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造のMISトランジスタが普及しつつある。
【0003】
図7は、従来例に係るn型MISトランジスタ90の構成例を示す断面図である。このMISトランジスタ90はチャネルエピ構造を有するものである。図において、91はシリコン基板(p−sub)、92は素子分離層、93は、94はn+ソース/ドレイン拡散層(以下で、n+S/D拡散層という)、95はメタルゲート電極、96はサイドウォール、97はノンドープのエピタキシャルシリコン層(以下で、ノンドープシリコン層という)、98はゲート絶縁膜である。
【0004】
図7に示すように、このMISトランジスタ90では、n+S/D拡散層94とチャネル領域95の両方が高濃度なp+ウェル拡散層93と接合しているので、n+S/D拡散層94とp+ウェル拡散層93間及び、チャネル領域95とp+ウェル拡散層93間の空乏層が小さく、パンチスルー等の短チャネル効果が抑制される。
【0005】
また、図7に示すメタルゲート電極95は、mid−gap材料からなるものである。ここで、mid−gap材料とは、当該材料の仕事関数がn+ポリシリコンの仕事関数とp+ポリシリコンの仕事関数の中間にあるような金属のことをいう。mid−gap材料の例としては、窒化チタン(TiN)やタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)等が挙げられる。
【0006】
このMISトランジスタ90の製造工程では、比較的高濃度なシリコン表面にノンドープシリコンを低温エピタキシャル成長させ、以降は低温プロセスでゲート絶縁膜98と、メタルゲート電極95と、サイドウォール96と、n+S/D拡散層94とを形成する。この低温プロセスによって、ノンドープシリコン層97への不純物(ドーパント)の拡散が防止されている。
【0007】
n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとからなるCMISのゲート電極部をmid −gap材料で形成すると共に、エピタキシャル層97をノンドープとすることによって、n型MISトランジスタの閾値電圧とp型MISトランジスタの閾値電圧の絶対値を揃えることができ、しかもその絶対値を低減することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−45905
【非特許文献1】
M.Aoki et al, IEDM Tech. Dig.,p. 939−941,1990.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例に係るn型MISトランジスタ90によれば、パンチスルー等の短チャネル効果を抑制するために、n+S/D拡散層94下の半導体基板91とノンドープシリコン層97下の半導体基板91に高濃度なp+ウェル拡散層93を設けていた。
【0010】
しかしながら、この構造では短チャンネル効果を抑制することはできても、n+S/D拡散層94とp+ウェル拡散層93との間の空乏層が小さくなってしまうので、接合容量(寄生容量)が大きいという問題があった。n+S/D拡散層94の接合容量とMISトランジスタ90の動作速度との間には相関があり、n+S/D拡散層94の接合容量が大きくなるほどMISトランジスタ90の動作速度は遅くなってしまう。
【0011】
そこで、この発明はこのような問題を解決したものであって、パンチスルーを抑制しつつ、動作速度を向上できるようにした半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明に係る第1の半導体装置は、半導体基板と、この半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極部と、このゲート電極部下から露出した半導体基板に設けられたソース/ドレイン拡散層と、チャネル領域下の半導体基板に設けられた不純物拡散層とを備え、この不純物拡散層はソース/ドレイン拡散層下の半導体基板と同一導電型であり、かつ、当該不純物拡散層の不純物濃度は該ソース/ドレイン拡散層下の半導体基板よりも高濃度であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る第2の半導体装置は、上述した第1の半導体装置において、半導体基板はシリコン基板と、当該シリコン基板上に設けられたシリコン層とからなり、このシリコン基板の所定領域に不純物拡散層が設けられ、該不純物拡散層上のシリコン層がチャネル領域となることを特徴とするものである。
本発明に係る第1、第2の半導体装置によれば、ソース・ドレイン間に電圧を印加した際に発生するドレインからの電気力線をチャネル領域下の不純物拡散層で終端することができるので、パンチスルーを防止することができる。また、従来型の半導体装置と比べて、ソース/ドレイン拡散層と半導体基板(シリコン基板)間の空乏層を基板側に伸ばすことができるので、ソース/ドレイン拡散層の接合容量を低減することができる。従って、パンチスルーを抑制しつつ、半導体装置の動作速度を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、シリコン基板の所定領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、この不純物拡散層が形成されたシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、このシリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、不純物拡散層上方のゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、このゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、不純物拡散層を形成する工程では、当該不純物拡散層の不純物濃度をソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によれば、シリコン基板と同一導電型であり、かつソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも不純物濃度が高い不純物拡散層をゲート電極部の下方に形成するので、パンチスルーが抑制され、かつ動作速度の大きい半導体装置を提供することができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、シリコン基板の所定領域のみを開口し他の領域を覆うような絶縁膜を該シリコン基板上に形成する工程と、このシリコン基板の絶縁膜下から露出した領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、絶縁膜下から露出した領域であって不純物拡散層が形成されたシリコン基板を所定の厚さだけエッチングして溝部を形成する工程と、この溝部を埋め込むようにシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、このシリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、このゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、このゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、不純物拡散層を形成する工程では、当該不純物拡散層の不純物濃度をソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によれば、上述の第1の半導体装置と同様の作用効果を得ることができる。さらに、開口部を有する絶縁膜によって、不純物拡散層と、ゲート電極部とを自己整合的に重ね合わせることができる。本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、上述した第2の半導体装置の製造方法において、ゲート絶縁膜を形成した後で、絶縁膜の開口部の側壁に絶縁性のサイドウォールを形成し、その後、当該サイドウォールを覆うようにゲート電極部を形成することを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法によれば、このサイドウォールによって、ゲート絶縁膜とゲート電極部との接合領域は絶縁膜の開口部中心に向けて狭められる。従って、ゲート電極部と不純物拡散層との重ね合わせのマージンを増大させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
(1) 第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係るn型MISトランジスタ100の構成例を示す断面図である。このMISトランジスタ100は、チャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造を有するものである。
【0019】
図1において、1はシリコン基板、3は素子分離層、5a及び5bはn+S/D拡散層、7はノンドープシリコン層、9はp+拡散層、11はゲート絶縁膜、13はメタルゲート電極、15はサイドウォールスペーサ、16a及び16bはNiシリサイド、17は層間絶縁膜、19a及び19bは配線層である。図1に示すシリコン基板1には、n型MISトランジスタ100の他にp型MISトランジスタ(図示せず)や、容量素子(図示せず)、抵抗素子(図示せず)等が一体に形成されており、これら複数のトランジスタや素子等によって、本発明の半導体装置が構成されている。
【0020】
図1において、シリコン基板1は、例えば少量のボロン(B)等のp型不純物を含むバルクのp型シリコンウエーハであり、その結晶構造は単結晶である。このp型のシリコン基板1のボロンの濃度は、例えば1E+15cm−3程度である。また、素子分離層3はシリコン基板1に埋め込まれたシリコン酸化膜である。この素子分離層3の厚みは、例えば10000Å程度である。
【0021】
さらに、n+S/D拡散層5a及び5bは、この素子分離層3によって素子分離された領域(以下で、素子形成領域ともいう)のシリコン基板1に設けられた高濃度のn型不純物拡散層である。図1に示すように、このn+S/D拡散層5a及び5bはLDD(lightly doped drain)構造を有しており、ホットエレクトロンの発生を抑制するようになっている。このn+S/D拡散層5に含まれるn型不純物は、例えばリン(P)やヒ素(As)等である。
【0022】
このn+S/D拡散層5a及び5bであって、MISトランジスタ100のチャネル領域に接合する低濃度領域(以下で、ext ensionという)の接合深さ(Xj)は、例えば200Å程度であり、その不純物濃度は5E+19cm−3程度である。
また、このn+S/D拡散層5a及び5bであってextensionに接合する高濃度領域(以下で、deepソース・ドレインという)のXjは、例えば600Å程度であり、その不純物濃度は1E+20cm−3程度である。
【0023】
図1に示すノンドープシリコン層7は、例えばエピタキシャル成長によってシリコン基板1の表面に形成された単結晶のシリコン層である。このノンドープシリコン層7には、リンやヒ素、ボロン等の不純物がほとんど含まれていない。
このノンドープシリコン層7はMISトランジスタ100のチャネル領域であり、その厚さは、同じゲート長のMISトランジスタをFDSOI(Fully Depleted−Silicon On Insulator)に形成した場合に、十分S−factorが小さくなるSOI層(トップシリコン層)の厚さと同程度である。ここで、S−factorとは、MISトランジスタのドレイン電流を1桁変化させるのに必要なゲート電圧変化量のことである。例えば、MISトランジスタ100のゲート長が約0.1μmのとき、ノンドープシリコン層7の厚さは100〜200Å程度である。
【0024】
p+拡散層9は、このノンドープシリコン層7直下の領域のシリコン基板1に設けられた高濃度のp型不純物拡散層である。このp+拡散層9は、Xjが例えば10000Å程度であり、不純物濃度が例えば1E+18cm−3程度である。このp+拡散層9に含まれるp型不純物は、例えばボロンである。
図1に示すように、ゲート絶縁膜11は、このp+拡散層9上方のノンドープシリコン層7上に設けられている。このゲート絶縁膜11は、例えばシリコン窒化膜であり、その膜厚は35Å程度である。さらに、メタルゲート電極13は、このゲート絶縁膜11上に設けられている。このメタルゲート電極13は、上述したMISトランジスタ90のメタルゲート電極95と同様にmid−gap材料で構成されている。例えば、このメタルゲート電極は、TaN/Ta/TaNの3層構造を有している。
【0025】
ところで、このMISトランジスタ100では、シリコン基板1の基板濃度と比べて比較的高濃度なp+拡散層9がノンドープシリコン層7の直下に設けられている。従って、ソース・ドレイン間に電圧を印加した場合にドレインからの電気力線をp+拡散層9で終端することができ、パンチスルーを防止することができる。
【0026】
また、n+S/D拡散層5a及び5bのdeepソース・ドレインの直下は半導体基板(p−sub)1となっており、p+拡散層9に比べて低濃度になっている。従って、従来型のMISトランジスタ90と比べて、deepソース・ドレインの下側に空乏層が伸びるので、n+S/D拡散層5a及び5bの接合容量を低減することができる。これにより、トランジスタの動作速度を向上させることができる。
【0027】
なお、この第1実施形態では、n型のMISトランジスタ100の場合について説明したが、本発明の一導電型の電界効果トランジスタはn型に限られることはなく、p型のMISトランジスタでも良い。この場合には、図1において、シリコン基板1と各不純物拡散層の導電型を、n型からp型に、またはp型からn型にそれぞれ変える。これにより、ソース・ドレインの接合容量が小さく、かつ、パンチスルー等の短チャネル効果が抑制されたp型MISトランジスタを実現することができる。
【0028】
この第1実施形態では、p型のシリコン基板1とノンドープシリコン層7とが本発明の半導体基板に対応し、ノンドープシリコン層7が本発明のシリコン層(チャネル領域)に対応している。また、メタルゲート電極13が本発明のゲート電極部に対応し、n+S/D拡散層5a及び5bが本発明のソース/ドレイン拡散層に対応している。さらに、p+拡散層9が本発明の不純物拡散層に対応している。
【0029】
次に、上述したn型MISトランジスタ100の製造方法について、図2(A)〜図3(C)を参照しながら説明する。図2(A)に示すように、まず始めに、シリコン基板1を用意する。このシリコン基板1は、バルクのシリコンウエーハである。次に、素子形成領域以外のシリコン基板1の表面にトレンチ(溝部)を形成し、このトレンチにシリコン酸化膜を埋め込んで、素子分離層3を形成する。
【0030】
次に、図2(B)に示すように、MISトランジスタ100のチャネルとなる領域を開口するようなレジストパターン41をシリコン基板1上に形成する。このレジストパターン41の形成は、例えば、ステッパー(stepper)を用いたリソグラフィ技術によって行う。そして、このレジストパターン41をマスクにして、シリコン基板1にB+、またはBF2 +をイオン注入する。
【0031】
このイオン注入におけるB+、またはBF2 +のドーズ量と、注入エネルギー等の処理条件は、短チャンネル効果抑制と、ソース・ドレイン耐圧の観点から決定する。また、このイオン注入によって形成されるp+拡散層9は、その寸法幅が細く、その寸法深さができるだけ深いことが望ましいが、イオン注入エネルギーを上げて深く形成しようとすると横にも広がるので、そのトレードオフで決定する。この例では、例えばドーズ量が1E+13cm−2、注入エネルギーが
50〜500KeV、打ち込み角度が0〜7゜である。
【0032】
次に、B+、またはBF2 +をイオン注入した後で、シリコン基板1をアッシング処理し、レジストパターン41を除去する。そして、このシリコン基板1を例えば850℃から950℃程度の高温でアニールして、p+拡散層9を形成する。
次に、図2(C)に示すように、素子形成領域のシリコン基板1上にノンドープシリコン膜7´を10〜20nm程度の厚みに形成する。このノンドープシリコン膜7´は、例えば選択エピタキシャル成長によって行う。ここで、ノンドープシリコン膜7´の選択エピタキシャル成長は、例えば600℃程度の低温で行う。これは、p+拡散層9からノンドープシリコン膜7´へのボロンの拡散を防ぐためである。また、このノンドープシリコン膜7´の形成以降のプロセスは全て、例えば550℃以下の低温で行う。これにより、ノンドープシリコン膜7´へのドーパントの拡散を防止する。
【0033】
次に、図3(A)に示すように、このノンドープシリコン膜7´上にシリコン窒化膜からなるゲート絶縁膜11を約35nm程度の厚みに形成する。このゲート絶縁膜11の形成は、例えばプラズマ窒化や、スパッタ等によって行う。このゲート絶縁膜11の成膜温度は、例えば室温〜400℃程度である。
ゲート絶縁膜11を形成した後、このゲート絶縁膜11上にmid−gap材料を成膜する。ここで使用するmid−gap材料は、例えばTaN/Ta/TaNからなる3層構造の膜である。また、このような3層構造の膜に限らず、TiNやTa、TaN等からなる一層構造の膜でもよい。この種のmid−gap材料は、例えばスパッタにより形成する。
【0034】
次に、リソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて、このmid−gap材料を電極形状にパターニングし、メタルゲート電極13を形成する。そして、このメタルゲート電極13をマスクにして、図3(B)に示すように、シリコン基板1にリン等のn型不純物をイオン注入する。
このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のextensionを形成するための工程である。このイオン注入工程の処理条件は、例えばドーズ量が4E+14cm−2、注入エネルギーが5KeV、打ち込み角度は、7゜である。
【0035】
次に、このメタルゲート電極13を含むシリコン基板1上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜をCVDによって堆積する。ここでも、成膜温度は例えば400℃程度の低温とし、ノンドープシリコン層7へのドーパントの拡散が起こらないようにする。そして、この堆積したシリコン酸化膜をエッチバックして、図3(C)に示すように、メタルゲート電極13の側壁にサイドウォールスペーサ15を形成する。
【0036】
次に、このサイドウォールスペーサ15を形成したメタルゲート電極13をマスクにして、シリコン基板1にヒ素等のn型不純物をイオン注入する。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のdeepソース・ドレインを形成するための工程である。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のdeepソース・ドレインを形成するための工程である。このイオン注入工程の処理条件は、例えばドーズ量が2E+15cm−2、注入エネルギーが25KeV、打ち込み角度は、7゜である。
【0037】
次に、このシリコン基板1を500℃程度の低温でアニールして、LDD構造のn+S/D拡散層5a及び5bを形成する。一般に、イオン注入後のアニールを500℃程度の低温で行った場合、半導体基板のドーパントと絡んだ点欠陥が残留し、ドーパント濃度が高くなるほどリーク電流が増大することが知られている。しかしながら、このMISトランジスタ100では、n+S/D拡散層5a及び5bの下側が半導体基板1であり、従来型のMISトランジスタ90(図7参照)と比べて、ドーパント濃度が低い。従って、n+S/D拡散層5でのリーク電流を低減することができる。
【0038】
次に、スパッタによって、このシリコン基板1上にNiを20nm程度成膜する。そして、300〜500℃程度で熱処理を行い、Niシリサイド16a及び16b(図1参照)をn+S/D拡散層5a及び5b上にそれぞれ形成する。続いて、塩酸過水溶液等で未反応Niを選択エッチング除去する。
次に、CVDによって、このシリコン基板1上に層間絶縁膜17(図1参照)を約8000Å程度堆積させる。そして、この層間絶縁膜17上をCMP等によって平坦化処理する。さらに、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、この層間絶縁膜17にコンタクトホールを形成する。その後、このコンタクトホールを形成した層間絶縁膜17上に、スパッタ法等によってアルミ合金膜等の金属膜を堆積する。そして、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、このアルミ合金膜をパターニングして、配線層19a及び19bを形成する。このようにして、図1に示したn型のMISトランジスタを完成させる。
【0039】
本発明によれば、SOI基板にMISトランジスタを形成する場合と違って、バルクのシリコン基板1にMISトランジスタを形成しているので、n+S/D拡散層5a及び5bのextensionの厚さをエピタキシャルシリコン層7の厚さ以上にしても、低温固層エピタキシャル成長で再結晶化させることができる(SOI基板を用いる場合には、絶縁層に到達する深さまで不純物をイオン注入してしまうと固層エピタキシャル成長に必要な単結晶シード層がなくなってしまうので、再結晶化が困難である。)。
【0040】
従って、n+S/D拡散層5a及び5bのextensionと、deepソース・ドレインをそれぞれ厚く形成することができ、ソース・ドレイン抵抗を減少させることができる。これにより、エレベートソース・ドレイン構造を採らなくても、シリサイドによる接合リークの問題を回避することができる。
また、上述したように、本発明によれば、従来方式のMISトランジスタ90と比べて、ノンドープシリコン層7の直下には、シリコン基板1の基板濃度と比べて比較的高濃度なp+拡散層9が設けられているので、パンチスルーを防止することができる。さらに、n+S/D拡散層5a及び5bの下側は比較的低濃度のため空乏層はシリコン基板1側に伸び、接合容量を低減することができる。
【0041】
このように、本発明によれば、ソース・ドレイン抵抗、接合リーク、接合容量が小さく、かつ、短チャネル効果が抑制されたメタルゲートバルクMISFETを実現することができる。
(2)第2実施形態
上述の第1実施形態では、リソグラフィ技術によってp+拡散層9とメタルゲート電極13との位置合わせを行う場合について説明した。しかしながら、周知のようにリソグラフィの重ね合わせの精度には限界があり、MISトランジスタの微細化が進むにつれて、p+拡散層9とメタルゲート電極13の重ね合わせのずれが問題となる可能性がある。
【0042】
図4(A)〜図6(C)は第2実施形態に係るMISトランジスタ100´の製造方法を示す工程図である。ここでは、上述したメタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に自己整合的に形成して、MISトランジスタ100´を形成する場合を想定する。従って、図4(A)〜図6(C)において、図1に示したMISトランジスタ100と同一の機能を有するものには同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0043】
図4(A)に示すように、まず始めに、ドーパント濃度の低いシリコン基板1を用意する。次に、このシリコン基板1に素子分離層3を形成し、さらにシリコン酸化膜(SiO2)53とシリコン窒化膜(SiN)55を成膜する。シリコン酸化膜53は、熱酸化で10nm程度の厚さに形成する。また、シリコン窒化膜55は、CVDによって10nm程度の厚みに形成する。図4(A)において、SiN/SiO2の2層構造にするのは、図5(B)でシリコン酸化膜からなるサイドウォールを形成する際に、シリコン窒化膜55上でエッチバックをストップさせるためである。このため、図4(A)では、シリコン窒化膜55の代わりにアモルファスシリコンを用いても良い。
【0044】
次に、図4(B)に示すように、リソグラフィによって、ノンドープシリコン層7を形成する領域のみを開口するようなレジストパターン57をシリコン窒化膜55上に形成する。そして、このレジストパターン57をマスクにして、SiN/SiO2をドライエッチングし、シリコン基板1が露出するような開口部を形成する。
【0045】
さらに、このSiN/SiO2の開口部から露出したシリコン基板1をドライエッチングして、深さ10nm程度の溝部59を形成する。図4(B)において、溝部59の寸法幅は、例えば0.1μm程度である。
次に、パンチスルーストッパのための濃度高めの領域、ここではp+拡散層9を形成するために、レジストパターン57をマスクにしてボロン等の不純物をイオン注入する。このイオン注入工程では、シリコン基板1としてPDSOI(Partially Depleted−SOI)用のSOI層厚めのウエーハを用いた場合には、不純物イオンを絶縁層(BOX層)まで到達させる。また、このp+拡散層9の濃度、即ち、このイオン注入工程のドーズ量と、注入エネルギー等は、第1実施形態と同様に、短チャンネル効果抑制と、ソース・ドレイン耐圧の観点から決定する。イオン注入後に、レジストパターン57をアッシングして除去する。そして、低温アニール、またはRTA(rapid thermal anneal)で、溝部59に注入したドーパントを活性化させて、図4(C)に示すように、p+拡散層9を形成する。
【0046】
次に、図5(A)に示すように、このシリコン基板1に形成した溝部59 を埋め込むように、シリコン基板1の表面にノンドープシリコン膜7´を選択的にエピタキシャル成長させる。このノンドープシリコン膜7´の膜厚は、反転層以上の厚さがあれば良い。
次に、このシリコン基板1上にシリコン酸化膜を堆積しエッチバックして、SiN/SiO2に設けられた開口部の側壁にサイドウォール61を形成する。このサイドウォール61によって、ゲート絶縁膜11とメタルゲート電極13との接合領域は、p+拡散層9に対して狭められる。このサイドウォール61の横方向の寸法幅を大きくすることによって、ゲート絶縁膜11とメタルゲート電極との接合領域を、SiN/SiO2に設けられた開口部の中心に向けて狭めることができ、メタルゲート電極とp+拡散層9との重ね合わせのマージンを増大させることができる。
【0047】
そして、プラズマ窒化等により、低温でゲート絶縁膜11を形成する。ゲート絶縁膜11の形成後、TaN/Ta/TaNなどのmid−gap材料を成膜し、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によってパターニングして、図5(C)に示すようにメタルゲート電極13を形成する。
このmid−gap材料のパターニング工程では、露光マスク(レチクル)として、SiN/SiO2をドライエッチングする際に用いた露光マスク、即ち、図4(B)で示したレジストパターン57形成用の露光マスクをそのまま使用することができる。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0048】
また、シリコン基板1上のSiN/SiO2と、このSiN/SiO2の開口部に設けられたサイドウォール61とによって、メタルゲート電極13とp+拡散層9とが自己整合的に位置合わせされるので、リソグラフィ工程において多少合わせずれが発生した場合でも、メタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に再現性よく形成することができる。
【0049】
メタルゲート電極13を形成した後に、シリコン窒化膜55を除去する。このシリコン窒化膜55の除去は、例えば熱リン酸を用いて行う。続いて、シリコン酸化膜53とサイドウォール61を除去する。これらの除去は、例えばDHF(希フッ酸水溶液)を用いて行う。これにより、図6(A)に示すように、シリコン基板1や素子分離層3の表面が露出する。
【0050】
次に、図6(B)に示すように、このメタルゲート電極13をマスクにして、TILT(傾斜)をかけてシリコン基板1にリン等のn型不純物をイオン注入する。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のextensionを形成するための工程である。この工程では、パンチスルーストッパとして機能するp+拡散層9をシリコン基板1に形成しているので、リン等のn型不純物を深く打ち込むことができる。これにより、p+拡散層9がない場合と比べて、ソース・ドレイン抵抗を低減することができる。
【0051】
この後の工程は、第1実施形態と同様である。即ち、メタルゲート電極13を含むシリコン基板1上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜をCVDによって堆積する。そして、この堆積したシリコン酸化膜をエッチバックして、図6(C)に示すように、メタルゲート電極13の側壁にサイドウォールスペーサ15を形成する。
【0052】
さらに、このサイドウォールスペーサ15とメタルゲート電極13をマスクにして、シリコン基板1にヒ素等のn型不純物をイオン注入する。そして、このシリコン基板1を500℃程度の低温でアニールして、LDD構造のn+S/D拡散層5a及び5bを形成する。この低温アニールによって、溝部に埋め込まれたノンドープシリコン膜7´の横方向の界面はn+S/D拡散層5a及び5bに取り込まれる。従って、ノンドープシリコン膜7´の界面の結晶性が悪くても、接合リークの問題は起こらない。
【0053】
次に、Niシリサイド(図示せず)をn+S/D拡散層5a及び5b上に形成する。そして、CVDによって、このシリコン基板1上に層間絶縁膜(図示せず)を堆積させ、平坦化処理する。さらに、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、この層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する。その後、このコンタクトホールを形成した層間絶縁膜上にアルミ合金膜等を堆積しパターニングして、配線層(図示せず)を形成する。これにより、MISトランジスタ100´を完成させる。
【0054】
本発明の第2実施形態に係るMISトランジスタ100´の製造方法によれば、第1実施形態で説明したMISトランジスタ100及びその製造方法と同様の作用効果を得ることができる。また、このMISトランジスタ100´の製造方法によれば、シリコン酸化膜53と、シリコン窒化膜55と、サイドウォール61とを用いてメタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に自己整合的に形成しているので、メタルゲート電極13とp+拡散層9との重ね合わせのマージンを増大させることができる。この第2実施形態では、シリコン酸化膜53とシリコン窒化膜55(SiN/SiO2)が本発明の絶縁膜に対応し、サイドウォール61が本発明のサイドウォールに対応している。
【0055】
なお、上述の第1、第2実施形態では、MISトランジスタ100及び100´のゲート絶縁膜をシリコン窒化膜で構成する場合について説明したが、ゲート絶縁膜の構成材料はこれに限られることはない。例えば、ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜でも良い。この場合には、ソース・ドレイン抵抗、接合容量、接合リークが小さく、かつ短チャンネル効果が抑制されたMOSトランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MISトランジスタ100の構成例を示す断面図。
【図2】MISトランジスタ100の製造方法(その1)を示す工程図。
【図3】MISトランジスタ100の製造方法(その2)を示す工程図。
【図4】MISトランジスタ100´の製造方法(その1)を示す工程図。
【図5】MISトランジスタ100´の製造方法(その2)を示す工程図。
【図6】MISトランジスタ100´の製造方法(その3)を示す工程図。
【図7】従来例に係るMISトランジスタ90の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1 シリコン基板、3 素子分離層、5a、5b n+S/D拡散層、7 ノンドープシリコン層、7´ ノンドープシリコン膜、9 p+拡散層、11 ゲート絶縁膜、13 メタルゲート電極、15 サイドウォールスペーサ、16a、16b Niシリサイド、17 層間絶縁膜、19a、19b 配線層、41、57 レジストパターン、53 シリコン酸化膜、55 シリコン窒化膜、59 溝部、61 サイドウォール、100、100´ MISトランジスタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に、チャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造のMISトランジスタに適用して好適な半導体装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、MISトランジスタのゲート長は0.1μmに近づきつつあり、トランジスタの閾値電圧はますます小さくなる傾向にある。これに伴って、トランジスタのチャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造のMISトランジスタが普及しつつある。
【0003】
図7は、従来例に係るn型MISトランジスタ90の構成例を示す断面図である。このMISトランジスタ90はチャネルエピ構造を有するものである。図において、91はシリコン基板(p−sub)、92は素子分離層、93は、94はn+ソース/ドレイン拡散層(以下で、n+S/D拡散層という)、95はメタルゲート電極、96はサイドウォール、97はノンドープのエピタキシャルシリコン層(以下で、ノンドープシリコン層という)、98はゲート絶縁膜である。
【0004】
図7に示すように、このMISトランジスタ90では、n+S/D拡散層94とチャネル領域95の両方が高濃度なp+ウェル拡散層93と接合しているので、n+S/D拡散層94とp+ウェル拡散層93間及び、チャネル領域95とp+ウェル拡散層93間の空乏層が小さく、パンチスルー等の短チャネル効果が抑制される。
【0005】
また、図7に示すメタルゲート電極95は、mid−gap材料からなるものである。ここで、mid−gap材料とは、当該材料の仕事関数がn+ポリシリコンの仕事関数とp+ポリシリコンの仕事関数の中間にあるような金属のことをいう。mid−gap材料の例としては、窒化チタン(TiN)やタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)等が挙げられる。
【0006】
このMISトランジスタ90の製造工程では、比較的高濃度なシリコン表面にノンドープシリコンを低温エピタキシャル成長させ、以降は低温プロセスでゲート絶縁膜98と、メタルゲート電極95と、サイドウォール96と、n+S/D拡散層94とを形成する。この低温プロセスによって、ノンドープシリコン層97への不純物(ドーパント)の拡散が防止されている。
【0007】
n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとからなるCMISのゲート電極部をmid −gap材料で形成すると共に、エピタキシャル層97をノンドープとすることによって、n型MISトランジスタの閾値電圧とp型MISトランジスタの閾値電圧の絶対値を揃えることができ、しかもその絶対値を低減することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−45905
【非特許文献1】
M.Aoki et al, IEDM Tech. Dig.,p. 939−941,1990.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例に係るn型MISトランジスタ90によれば、パンチスルー等の短チャネル効果を抑制するために、n+S/D拡散層94下の半導体基板91とノンドープシリコン層97下の半導体基板91に高濃度なp+ウェル拡散層93を設けていた。
【0010】
しかしながら、この構造では短チャンネル効果を抑制することはできても、n+S/D拡散層94とp+ウェル拡散層93との間の空乏層が小さくなってしまうので、接合容量(寄生容量)が大きいという問題があった。n+S/D拡散層94の接合容量とMISトランジスタ90の動作速度との間には相関があり、n+S/D拡散層94の接合容量が大きくなるほどMISトランジスタ90の動作速度は遅くなってしまう。
【0011】
そこで、この発明はこのような問題を解決したものであって、パンチスルーを抑制しつつ、動作速度を向上できるようにした半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明に係る第1の半導体装置は、半導体基板と、この半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極部と、このゲート電極部下から露出した半導体基板に設けられたソース/ドレイン拡散層と、チャネル領域下の半導体基板に設けられた不純物拡散層とを備え、この不純物拡散層はソース/ドレイン拡散層下の半導体基板と同一導電型であり、かつ、当該不純物拡散層の不純物濃度は該ソース/ドレイン拡散層下の半導体基板よりも高濃度であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る第2の半導体装置は、上述した第1の半導体装置において、半導体基板はシリコン基板と、当該シリコン基板上に設けられたシリコン層とからなり、このシリコン基板の所定領域に不純物拡散層が設けられ、該不純物拡散層上のシリコン層がチャネル領域となることを特徴とするものである。
本発明に係る第1、第2の半導体装置によれば、ソース・ドレイン間に電圧を印加した際に発生するドレインからの電気力線をチャネル領域下の不純物拡散層で終端することができるので、パンチスルーを防止することができる。また、従来型の半導体装置と比べて、ソース/ドレイン拡散層と半導体基板(シリコン基板)間の空乏層を基板側に伸ばすことができるので、ソース/ドレイン拡散層の接合容量を低減することができる。従って、パンチスルーを抑制しつつ、半導体装置の動作速度を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、シリコン基板の所定領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、この不純物拡散層が形成されたシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、このシリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、不純物拡散層上方のゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、このゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、不純物拡散層を形成する工程では、当該不純物拡散層の不純物濃度をソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によれば、シリコン基板と同一導電型であり、かつソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも不純物濃度が高い不純物拡散層をゲート電極部の下方に形成するので、パンチスルーが抑制され、かつ動作速度の大きい半導体装置を提供することができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、シリコン基板の所定領域のみを開口し他の領域を覆うような絶縁膜を該シリコン基板上に形成する工程と、このシリコン基板の絶縁膜下から露出した領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、絶縁膜下から露出した領域であって不純物拡散層が形成されたシリコン基板を所定の厚さだけエッチングして溝部を形成する工程と、この溝部を埋め込むようにシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、このシリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、このゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、このゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、不純物拡散層を形成する工程では、当該不純物拡散層の不純物濃度をソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によれば、上述の第1の半導体装置と同様の作用効果を得ることができる。さらに、開口部を有する絶縁膜によって、不純物拡散層と、ゲート電極部とを自己整合的に重ね合わせることができる。本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、上述した第2の半導体装置の製造方法において、ゲート絶縁膜を形成した後で、絶縁膜の開口部の側壁に絶縁性のサイドウォールを形成し、その後、当該サイドウォールを覆うようにゲート電極部を形成することを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法によれば、このサイドウォールによって、ゲート絶縁膜とゲート電極部との接合領域は絶縁膜の開口部中心に向けて狭められる。従って、ゲート電極部と不純物拡散層との重ね合わせのマージンを増大させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
(1) 第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係るn型MISトランジスタ100の構成例を示す断面図である。このMISトランジスタ100は、チャネル領域がエピタキシャルシリコン層で構成されるような、いわゆるチャネルエピ構造を有するものである。
【0019】
図1において、1はシリコン基板、3は素子分離層、5a及び5bはn+S/D拡散層、7はノンドープシリコン層、9はp+拡散層、11はゲート絶縁膜、13はメタルゲート電極、15はサイドウォールスペーサ、16a及び16bはNiシリサイド、17は層間絶縁膜、19a及び19bは配線層である。図1に示すシリコン基板1には、n型MISトランジスタ100の他にp型MISトランジスタ(図示せず)や、容量素子(図示せず)、抵抗素子(図示せず)等が一体に形成されており、これら複数のトランジスタや素子等によって、本発明の半導体装置が構成されている。
【0020】
図1において、シリコン基板1は、例えば少量のボロン(B)等のp型不純物を含むバルクのp型シリコンウエーハであり、その結晶構造は単結晶である。このp型のシリコン基板1のボロンの濃度は、例えば1E+15cm−3程度である。また、素子分離層3はシリコン基板1に埋め込まれたシリコン酸化膜である。この素子分離層3の厚みは、例えば10000Å程度である。
【0021】
さらに、n+S/D拡散層5a及び5bは、この素子分離層3によって素子分離された領域(以下で、素子形成領域ともいう)のシリコン基板1に設けられた高濃度のn型不純物拡散層である。図1に示すように、このn+S/D拡散層5a及び5bはLDD(lightly doped drain)構造を有しており、ホットエレクトロンの発生を抑制するようになっている。このn+S/D拡散層5に含まれるn型不純物は、例えばリン(P)やヒ素(As)等である。
【0022】
このn+S/D拡散層5a及び5bであって、MISトランジスタ100のチャネル領域に接合する低濃度領域(以下で、ext ensionという)の接合深さ(Xj)は、例えば200Å程度であり、その不純物濃度は5E+19cm−3程度である。
また、このn+S/D拡散層5a及び5bであってextensionに接合する高濃度領域(以下で、deepソース・ドレインという)のXjは、例えば600Å程度であり、その不純物濃度は1E+20cm−3程度である。
【0023】
図1に示すノンドープシリコン層7は、例えばエピタキシャル成長によってシリコン基板1の表面に形成された単結晶のシリコン層である。このノンドープシリコン層7には、リンやヒ素、ボロン等の不純物がほとんど含まれていない。
このノンドープシリコン層7はMISトランジスタ100のチャネル領域であり、その厚さは、同じゲート長のMISトランジスタをFDSOI(Fully Depleted−Silicon On Insulator)に形成した場合に、十分S−factorが小さくなるSOI層(トップシリコン層)の厚さと同程度である。ここで、S−factorとは、MISトランジスタのドレイン電流を1桁変化させるのに必要なゲート電圧変化量のことである。例えば、MISトランジスタ100のゲート長が約0.1μmのとき、ノンドープシリコン層7の厚さは100〜200Å程度である。
【0024】
p+拡散層9は、このノンドープシリコン層7直下の領域のシリコン基板1に設けられた高濃度のp型不純物拡散層である。このp+拡散層9は、Xjが例えば10000Å程度であり、不純物濃度が例えば1E+18cm−3程度である。このp+拡散層9に含まれるp型不純物は、例えばボロンである。
図1に示すように、ゲート絶縁膜11は、このp+拡散層9上方のノンドープシリコン層7上に設けられている。このゲート絶縁膜11は、例えばシリコン窒化膜であり、その膜厚は35Å程度である。さらに、メタルゲート電極13は、このゲート絶縁膜11上に設けられている。このメタルゲート電極13は、上述したMISトランジスタ90のメタルゲート電極95と同様にmid−gap材料で構成されている。例えば、このメタルゲート電極は、TaN/Ta/TaNの3層構造を有している。
【0025】
ところで、このMISトランジスタ100では、シリコン基板1の基板濃度と比べて比較的高濃度なp+拡散層9がノンドープシリコン層7の直下に設けられている。従って、ソース・ドレイン間に電圧を印加した場合にドレインからの電気力線をp+拡散層9で終端することができ、パンチスルーを防止することができる。
【0026】
また、n+S/D拡散層5a及び5bのdeepソース・ドレインの直下は半導体基板(p−sub)1となっており、p+拡散層9に比べて低濃度になっている。従って、従来型のMISトランジスタ90と比べて、deepソース・ドレインの下側に空乏層が伸びるので、n+S/D拡散層5a及び5bの接合容量を低減することができる。これにより、トランジスタの動作速度を向上させることができる。
【0027】
なお、この第1実施形態では、n型のMISトランジスタ100の場合について説明したが、本発明の一導電型の電界効果トランジスタはn型に限られることはなく、p型のMISトランジスタでも良い。この場合には、図1において、シリコン基板1と各不純物拡散層の導電型を、n型からp型に、またはp型からn型にそれぞれ変える。これにより、ソース・ドレインの接合容量が小さく、かつ、パンチスルー等の短チャネル効果が抑制されたp型MISトランジスタを実現することができる。
【0028】
この第1実施形態では、p型のシリコン基板1とノンドープシリコン層7とが本発明の半導体基板に対応し、ノンドープシリコン層7が本発明のシリコン層(チャネル領域)に対応している。また、メタルゲート電極13が本発明のゲート電極部に対応し、n+S/D拡散層5a及び5bが本発明のソース/ドレイン拡散層に対応している。さらに、p+拡散層9が本発明の不純物拡散層に対応している。
【0029】
次に、上述したn型MISトランジスタ100の製造方法について、図2(A)〜図3(C)を参照しながら説明する。図2(A)に示すように、まず始めに、シリコン基板1を用意する。このシリコン基板1は、バルクのシリコンウエーハである。次に、素子形成領域以外のシリコン基板1の表面にトレンチ(溝部)を形成し、このトレンチにシリコン酸化膜を埋め込んで、素子分離層3を形成する。
【0030】
次に、図2(B)に示すように、MISトランジスタ100のチャネルとなる領域を開口するようなレジストパターン41をシリコン基板1上に形成する。このレジストパターン41の形成は、例えば、ステッパー(stepper)を用いたリソグラフィ技術によって行う。そして、このレジストパターン41をマスクにして、シリコン基板1にB+、またはBF2 +をイオン注入する。
【0031】
このイオン注入におけるB+、またはBF2 +のドーズ量と、注入エネルギー等の処理条件は、短チャンネル効果抑制と、ソース・ドレイン耐圧の観点から決定する。また、このイオン注入によって形成されるp+拡散層9は、その寸法幅が細く、その寸法深さができるだけ深いことが望ましいが、イオン注入エネルギーを上げて深く形成しようとすると横にも広がるので、そのトレードオフで決定する。この例では、例えばドーズ量が1E+13cm−2、注入エネルギーが
50〜500KeV、打ち込み角度が0〜7゜である。
【0032】
次に、B+、またはBF2 +をイオン注入した後で、シリコン基板1をアッシング処理し、レジストパターン41を除去する。そして、このシリコン基板1を例えば850℃から950℃程度の高温でアニールして、p+拡散層9を形成する。
次に、図2(C)に示すように、素子形成領域のシリコン基板1上にノンドープシリコン膜7´を10〜20nm程度の厚みに形成する。このノンドープシリコン膜7´は、例えば選択エピタキシャル成長によって行う。ここで、ノンドープシリコン膜7´の選択エピタキシャル成長は、例えば600℃程度の低温で行う。これは、p+拡散層9からノンドープシリコン膜7´へのボロンの拡散を防ぐためである。また、このノンドープシリコン膜7´の形成以降のプロセスは全て、例えば550℃以下の低温で行う。これにより、ノンドープシリコン膜7´へのドーパントの拡散を防止する。
【0033】
次に、図3(A)に示すように、このノンドープシリコン膜7´上にシリコン窒化膜からなるゲート絶縁膜11を約35nm程度の厚みに形成する。このゲート絶縁膜11の形成は、例えばプラズマ窒化や、スパッタ等によって行う。このゲート絶縁膜11の成膜温度は、例えば室温〜400℃程度である。
ゲート絶縁膜11を形成した後、このゲート絶縁膜11上にmid−gap材料を成膜する。ここで使用するmid−gap材料は、例えばTaN/Ta/TaNからなる3層構造の膜である。また、このような3層構造の膜に限らず、TiNやTa、TaN等からなる一層構造の膜でもよい。この種のmid−gap材料は、例えばスパッタにより形成する。
【0034】
次に、リソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて、このmid−gap材料を電極形状にパターニングし、メタルゲート電極13を形成する。そして、このメタルゲート電極13をマスクにして、図3(B)に示すように、シリコン基板1にリン等のn型不純物をイオン注入する。
このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のextensionを形成するための工程である。このイオン注入工程の処理条件は、例えばドーズ量が4E+14cm−2、注入エネルギーが5KeV、打ち込み角度は、7゜である。
【0035】
次に、このメタルゲート電極13を含むシリコン基板1上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜をCVDによって堆積する。ここでも、成膜温度は例えば400℃程度の低温とし、ノンドープシリコン層7へのドーパントの拡散が起こらないようにする。そして、この堆積したシリコン酸化膜をエッチバックして、図3(C)に示すように、メタルゲート電極13の側壁にサイドウォールスペーサ15を形成する。
【0036】
次に、このサイドウォールスペーサ15を形成したメタルゲート電極13をマスクにして、シリコン基板1にヒ素等のn型不純物をイオン注入する。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のdeepソース・ドレインを形成するための工程である。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のdeepソース・ドレインを形成するための工程である。このイオン注入工程の処理条件は、例えばドーズ量が2E+15cm−2、注入エネルギーが25KeV、打ち込み角度は、7゜である。
【0037】
次に、このシリコン基板1を500℃程度の低温でアニールして、LDD構造のn+S/D拡散層5a及び5bを形成する。一般に、イオン注入後のアニールを500℃程度の低温で行った場合、半導体基板のドーパントと絡んだ点欠陥が残留し、ドーパント濃度が高くなるほどリーク電流が増大することが知られている。しかしながら、このMISトランジスタ100では、n+S/D拡散層5a及び5bの下側が半導体基板1であり、従来型のMISトランジスタ90(図7参照)と比べて、ドーパント濃度が低い。従って、n+S/D拡散層5でのリーク電流を低減することができる。
【0038】
次に、スパッタによって、このシリコン基板1上にNiを20nm程度成膜する。そして、300〜500℃程度で熱処理を行い、Niシリサイド16a及び16b(図1参照)をn+S/D拡散層5a及び5b上にそれぞれ形成する。続いて、塩酸過水溶液等で未反応Niを選択エッチング除去する。
次に、CVDによって、このシリコン基板1上に層間絶縁膜17(図1参照)を約8000Å程度堆積させる。そして、この層間絶縁膜17上をCMP等によって平坦化処理する。さらに、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、この層間絶縁膜17にコンタクトホールを形成する。その後、このコンタクトホールを形成した層間絶縁膜17上に、スパッタ法等によってアルミ合金膜等の金属膜を堆積する。そして、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、このアルミ合金膜をパターニングして、配線層19a及び19bを形成する。このようにして、図1に示したn型のMISトランジスタを完成させる。
【0039】
本発明によれば、SOI基板にMISトランジスタを形成する場合と違って、バルクのシリコン基板1にMISトランジスタを形成しているので、n+S/D拡散層5a及び5bのextensionの厚さをエピタキシャルシリコン層7の厚さ以上にしても、低温固層エピタキシャル成長で再結晶化させることができる(SOI基板を用いる場合には、絶縁層に到達する深さまで不純物をイオン注入してしまうと固層エピタキシャル成長に必要な単結晶シード層がなくなってしまうので、再結晶化が困難である。)。
【0040】
従って、n+S/D拡散層5a及び5bのextensionと、deepソース・ドレインをそれぞれ厚く形成することができ、ソース・ドレイン抵抗を減少させることができる。これにより、エレベートソース・ドレイン構造を採らなくても、シリサイドによる接合リークの問題を回避することができる。
また、上述したように、本発明によれば、従来方式のMISトランジスタ90と比べて、ノンドープシリコン層7の直下には、シリコン基板1の基板濃度と比べて比較的高濃度なp+拡散層9が設けられているので、パンチスルーを防止することができる。さらに、n+S/D拡散層5a及び5bの下側は比較的低濃度のため空乏層はシリコン基板1側に伸び、接合容量を低減することができる。
【0041】
このように、本発明によれば、ソース・ドレイン抵抗、接合リーク、接合容量が小さく、かつ、短チャネル効果が抑制されたメタルゲートバルクMISFETを実現することができる。
(2)第2実施形態
上述の第1実施形態では、リソグラフィ技術によってp+拡散層9とメタルゲート電極13との位置合わせを行う場合について説明した。しかしながら、周知のようにリソグラフィの重ね合わせの精度には限界があり、MISトランジスタの微細化が進むにつれて、p+拡散層9とメタルゲート電極13の重ね合わせのずれが問題となる可能性がある。
【0042】
図4(A)〜図6(C)は第2実施形態に係るMISトランジスタ100´の製造方法を示す工程図である。ここでは、上述したメタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に自己整合的に形成して、MISトランジスタ100´を形成する場合を想定する。従って、図4(A)〜図6(C)において、図1に示したMISトランジスタ100と同一の機能を有するものには同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0043】
図4(A)に示すように、まず始めに、ドーパント濃度の低いシリコン基板1を用意する。次に、このシリコン基板1に素子分離層3を形成し、さらにシリコン酸化膜(SiO2)53とシリコン窒化膜(SiN)55を成膜する。シリコン酸化膜53は、熱酸化で10nm程度の厚さに形成する。また、シリコン窒化膜55は、CVDによって10nm程度の厚みに形成する。図4(A)において、SiN/SiO2の2層構造にするのは、図5(B)でシリコン酸化膜からなるサイドウォールを形成する際に、シリコン窒化膜55上でエッチバックをストップさせるためである。このため、図4(A)では、シリコン窒化膜55の代わりにアモルファスシリコンを用いても良い。
【0044】
次に、図4(B)に示すように、リソグラフィによって、ノンドープシリコン層7を形成する領域のみを開口するようなレジストパターン57をシリコン窒化膜55上に形成する。そして、このレジストパターン57をマスクにして、SiN/SiO2をドライエッチングし、シリコン基板1が露出するような開口部を形成する。
【0045】
さらに、このSiN/SiO2の開口部から露出したシリコン基板1をドライエッチングして、深さ10nm程度の溝部59を形成する。図4(B)において、溝部59の寸法幅は、例えば0.1μm程度である。
次に、パンチスルーストッパのための濃度高めの領域、ここではp+拡散層9を形成するために、レジストパターン57をマスクにしてボロン等の不純物をイオン注入する。このイオン注入工程では、シリコン基板1としてPDSOI(Partially Depleted−SOI)用のSOI層厚めのウエーハを用いた場合には、不純物イオンを絶縁層(BOX層)まで到達させる。また、このp+拡散層9の濃度、即ち、このイオン注入工程のドーズ量と、注入エネルギー等は、第1実施形態と同様に、短チャンネル効果抑制と、ソース・ドレイン耐圧の観点から決定する。イオン注入後に、レジストパターン57をアッシングして除去する。そして、低温アニール、またはRTA(rapid thermal anneal)で、溝部59に注入したドーパントを活性化させて、図4(C)に示すように、p+拡散層9を形成する。
【0046】
次に、図5(A)に示すように、このシリコン基板1に形成した溝部59 を埋め込むように、シリコン基板1の表面にノンドープシリコン膜7´を選択的にエピタキシャル成長させる。このノンドープシリコン膜7´の膜厚は、反転層以上の厚さがあれば良い。
次に、このシリコン基板1上にシリコン酸化膜を堆積しエッチバックして、SiN/SiO2に設けられた開口部の側壁にサイドウォール61を形成する。このサイドウォール61によって、ゲート絶縁膜11とメタルゲート電極13との接合領域は、p+拡散層9に対して狭められる。このサイドウォール61の横方向の寸法幅を大きくすることによって、ゲート絶縁膜11とメタルゲート電極との接合領域を、SiN/SiO2に設けられた開口部の中心に向けて狭めることができ、メタルゲート電極とp+拡散層9との重ね合わせのマージンを増大させることができる。
【0047】
そして、プラズマ窒化等により、低温でゲート絶縁膜11を形成する。ゲート絶縁膜11の形成後、TaN/Ta/TaNなどのmid−gap材料を成膜し、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によってパターニングして、図5(C)に示すようにメタルゲート電極13を形成する。
このmid−gap材料のパターニング工程では、露光マスク(レチクル)として、SiN/SiO2をドライエッチングする際に用いた露光マスク、即ち、図4(B)で示したレジストパターン57形成用の露光マスクをそのまま使用することができる。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0048】
また、シリコン基板1上のSiN/SiO2と、このSiN/SiO2の開口部に設けられたサイドウォール61とによって、メタルゲート電極13とp+拡散層9とが自己整合的に位置合わせされるので、リソグラフィ工程において多少合わせずれが発生した場合でも、メタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に再現性よく形成することができる。
【0049】
メタルゲート電極13を形成した後に、シリコン窒化膜55を除去する。このシリコン窒化膜55の除去は、例えば熱リン酸を用いて行う。続いて、シリコン酸化膜53とサイドウォール61を除去する。これらの除去は、例えばDHF(希フッ酸水溶液)を用いて行う。これにより、図6(A)に示すように、シリコン基板1や素子分離層3の表面が露出する。
【0050】
次に、図6(B)に示すように、このメタルゲート電極13をマスクにして、TILT(傾斜)をかけてシリコン基板1にリン等のn型不純物をイオン注入する。このイオン注入工程は、n+S/D拡散層5のextensionを形成するための工程である。この工程では、パンチスルーストッパとして機能するp+拡散層9をシリコン基板1に形成しているので、リン等のn型不純物を深く打ち込むことができる。これにより、p+拡散層9がない場合と比べて、ソース・ドレイン抵抗を低減することができる。
【0051】
この後の工程は、第1実施形態と同様である。即ち、メタルゲート電極13を含むシリコン基板1上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜をCVDによって堆積する。そして、この堆積したシリコン酸化膜をエッチバックして、図6(C)に示すように、メタルゲート電極13の側壁にサイドウォールスペーサ15を形成する。
【0052】
さらに、このサイドウォールスペーサ15とメタルゲート電極13をマスクにして、シリコン基板1にヒ素等のn型不純物をイオン注入する。そして、このシリコン基板1を500℃程度の低温でアニールして、LDD構造のn+S/D拡散層5a及び5bを形成する。この低温アニールによって、溝部に埋め込まれたノンドープシリコン膜7´の横方向の界面はn+S/D拡散層5a及び5bに取り込まれる。従って、ノンドープシリコン膜7´の界面の結晶性が悪くても、接合リークの問題は起こらない。
【0053】
次に、Niシリサイド(図示せず)をn+S/D拡散層5a及び5b上に形成する。そして、CVDによって、このシリコン基板1上に層間絶縁膜(図示せず)を堆積させ、平坦化処理する。さらに、リソグラフィ技術とドライエッチング技術によって、この層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する。その後、このコンタクトホールを形成した層間絶縁膜上にアルミ合金膜等を堆積しパターニングして、配線層(図示せず)を形成する。これにより、MISトランジスタ100´を完成させる。
【0054】
本発明の第2実施形態に係るMISトランジスタ100´の製造方法によれば、第1実施形態で説明したMISトランジスタ100及びその製造方法と同様の作用効果を得ることができる。また、このMISトランジスタ100´の製造方法によれば、シリコン酸化膜53と、シリコン窒化膜55と、サイドウォール61とを用いてメタルゲート電極13をp+拡散層9の上方に自己整合的に形成しているので、メタルゲート電極13とp+拡散層9との重ね合わせのマージンを増大させることができる。この第2実施形態では、シリコン酸化膜53とシリコン窒化膜55(SiN/SiO2)が本発明の絶縁膜に対応し、サイドウォール61が本発明のサイドウォールに対応している。
【0055】
なお、上述の第1、第2実施形態では、MISトランジスタ100及び100´のゲート絶縁膜をシリコン窒化膜で構成する場合について説明したが、ゲート絶縁膜の構成材料はこれに限られることはない。例えば、ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜でも良い。この場合には、ソース・ドレイン抵抗、接合容量、接合リークが小さく、かつ短チャンネル効果が抑制されたMOSトランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MISトランジスタ100の構成例を示す断面図。
【図2】MISトランジスタ100の製造方法(その1)を示す工程図。
【図3】MISトランジスタ100の製造方法(その2)を示す工程図。
【図4】MISトランジスタ100´の製造方法(その1)を示す工程図。
【図5】MISトランジスタ100´の製造方法(その2)を示す工程図。
【図6】MISトランジスタ100´の製造方法(その3)を示す工程図。
【図7】従来例に係るMISトランジスタ90の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1 シリコン基板、3 素子分離層、5a、5b n+S/D拡散層、7 ノンドープシリコン層、7´ ノンドープシリコン膜、9 p+拡散層、11 ゲート絶縁膜、13 メタルゲート電極、15 サイドウォールスペーサ、16a、16b Niシリサイド、17 層間絶縁膜、19a、19b 配線層、41、57 レジストパターン、53 シリコン酸化膜、55 シリコン窒化膜、59 溝部、61 サイドウォール、100、100´ MISトランジスタ
Claims (5)
- 半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極部と、
前記ゲート電極部下から露出した半導体基板に設けられたソース/ドレイン拡散層と、
チャネル領域下の半導体基板に設けられた不純物拡散層とを備え、
前記不純物拡散層は前記ソース/ドレイン拡散層下の半導体基板と同一導電型であり、かつ、当該不純物拡散層の不純物濃度は該ソース/ドレイン拡散層下の半導体基板よりも高濃度であることを特徴とする半導体装置。 - 前記半導体基板はシリコン基板と、当該シリコン基板上に設けられたシリコン層とからなり、
前記シリコン基板の所定領域に前記不純物拡散層が設けられ、該不純物拡散層上のシリコン層が前記チャネル領域となることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - シリコン基板の所定領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、
前記不純物拡散層が形成されたシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、
前記シリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記不純物拡散層上方のゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、
前記ゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、
前記不純物拡散層を形成する工程では、
当該不純物拡散層の不純物濃度を前記ソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - シリコン基板の所定領域のみを開口し他の領域を覆うような絶縁膜を該シリコン基板上に形成する工程と、
前記シリコン基板の絶縁膜下から露出した領域に当該シリコン基板と同一導電型の不純物拡散層を形成する工程と、
前記絶縁膜下から露出した領域であって前記不純物拡散層が形成されたシリコン基板を所定の厚さだけエッチングして溝部を形成する工程と、
前記溝部を埋め込むようにシリコン基板上にシリコン層を形成する工程と、
前記シリコン層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極部を形成する工程と、
前記ゲート電極部下から露出したシリコン層及びシリコン基板にソース/ドレイン拡散層を形成する工程とを有し、
前記不純物拡散層を形成する工程では、
当該不純物拡散層の不純物濃度を前記ソース/ドレイン拡散層下のシリコン基板よりも高濃度にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記ゲート絶縁膜を形成した後で、前記絶縁膜の開口部の側壁に絶縁性のサイドウォールを形成し、その後、当該サイドウォールを覆うように前記ゲート電極部を形成することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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JP2003044361A JP2004253707A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 半導体装置及びその製造方法 |
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KR100655436B1 (ko) | 2005-08-08 | 2006-12-08 | 삼성전자주식회사 | 반도체 장치 및 그 제조방법 |
CN103208512A (zh) * | 2012-01-17 | 2013-07-17 | 上海华虹Nec电子有限公司 | 低源漏结电容的nmos开关器件及其制造方法 |
-
2003
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