JP2004253483A - 半導体ウエハの製造方法 - Google Patents
半導体ウエハの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004253483A JP2004253483A JP2003040260A JP2003040260A JP2004253483A JP 2004253483 A JP2004253483 A JP 2004253483A JP 2003040260 A JP2003040260 A JP 2003040260A JP 2003040260 A JP2003040260 A JP 2003040260A JP 2004253483 A JP2004253483 A JP 2004253483A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- semiconductor wafer
- adhesive layer
- photocatalyst
- sensitive adhesive
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】薄膜加工後の、粘着剤の残りや、半導体ウエハの破損の問題がなく、薄膜加工を行うことが可能な半導体の製造方法。
【解決手段】透明基板1と、透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、光触媒含有層2上に形成され光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層3と、特性変化粘着剤層3上に形成された高分子樹脂基材4と、高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5、とを有する支持用積層体6から構成され、半導体ウエハ7を粘着剤層5と密着させることにより貼付する貼付工程と、支持用積層体6が貼付された前記半導体ウエハの裏面を研削する研削工程と、透明基板1側からエネルギーを照射することにより、特性変化粘着剤層3の特性を変化させるエネルギー照射工程と、光触媒含有層2と特性変化粘着剤層3とを剥離する剥離工程と、粘着剤層5と前記半導体ウエハ7とを剥離させる剥離工程と、を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】透明基板1と、透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、光触媒含有層2上に形成され光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層3と、特性変化粘着剤層3上に形成された高分子樹脂基材4と、高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5、とを有する支持用積層体6から構成され、半導体ウエハ7を粘着剤層5と密着させることにより貼付する貼付工程と、支持用積層体6が貼付された前記半導体ウエハの裏面を研削する研削工程と、透明基板1側からエネルギーを照射することにより、特性変化粘着剤層3の特性を変化させるエネルギー照射工程と、光触媒含有層2と特性変化粘着剤層3とを剥離する剥離工程と、粘着剤層5と前記半導体ウエハ7とを剥離させる剥離工程と、を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハを薄膜化する工程を有する半導体ウエハの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体ウエハを薄膜化する方法として、パターンが形成された半導体ウエハ表面に保護テープを貼り付け、パターンの保護と半導体ウエハの固定を行った後、半導体ウエハの裏面を例えばバックグラインド等の機械的手法により研削し、半導体ウエハを薄膜化する方法が知られている。しかしながら、近年、ICカードの普及等により、半導体ウエハのさらなる薄型化が望まれており、この半導体ウエハの薄膜化に伴い、薄膜加工時に半導体ウエハの強度の低下による破損や剛性力低下等の問題が生じている。
【0003】
そこで、半導体ウエハの薄膜加工時に半導体ウエハのパターン形成面を、ガラス板、アクリル板、シリコンウエハ等の硬質平坦板に固定し、半導体ウエハの裏面を研削する方法が考案されている。しかしながら、この方法においては、薄膜加工された半導体ウエハを硬質平坦板から剥離することが難しく、半導体ウエハを破損してしまう等という問題があった。
【0004】
そこで、例えば半導体ウエハの研削の際に用いられる硬質平坦板等と、半導体ウエハのパターン形成面とを、両面に熱発泡型粘着剤層を持つ高分子樹脂基材により貼り付け、バックグラインド工程完了後、研削されたウエハ面をチャック台にバキュームチャックし、チャック台ごと過熱して、粘着剤を熱発泡させることにより硬質平坦板および粘着剤層を剥離させ、薄膜半導体ウエハを得る手法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ガラス等の硬質平坦板に、片面に紫外線硬化型粘着剤と、反対側に再剥離型粘着剤とを有する高分子樹脂基材の再剥離型粘着剤面を貼り付け、パターンが形成された半導体ウエハのパターン形成面を紫外線硬化型粘着剤面に貼り付け、バックグラインド工程完了後、研削されたウエハ面をチャック台等の剛性のある面に密着させ、ガラス面から紫外線照射を行う事により、粘着剤を硬化させる事により自己剥離させ、薄膜半導体ウエハを得る方法も提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のどちらの方法においても、バックグラインド工程後の剥離能力が安定せず、粘着剤がウエハ上に残ることや、薄膜半導体ウエハを破損する可能性がある等の問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−75937号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、半導体ウエハを薄膜加工後、半導体ウエハ上における粘着剤の残りや、半導体ウエハを破損する等の問題がなく、簡易な工程で半導体の薄膜加工を行うことが可能な半導体の製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成され、光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強され、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用によって上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく製造することができるのである。
【0011】
上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、上記支持用積層体は、上記透明基板と、上記透明基板上に形成された上記光触媒含有層とを有する支持基板、および上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体を、上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。上記支持用積層体が、予め形成された上記支持基板と、予め形成された上記接着用積層体とから形成されることから、製造が容易であり、また上記支持基板を繰り返し使用することが可能であることから、製造効率やコストの面から好ましいからである。
【0012】
また、本発明は請求項3に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強されることから、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用により上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく、半導体ウエハを製造することができるのである。
【0014】
上記請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記支持用積層体は透明基板、および上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成された少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体を、上記透明基板と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。これにより、上記透明基板に、予め形成された上記接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により圧着することによって、容易に上記支持用積層体を形成することが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0015】
また、本発明は請求項5に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記分解除去型粘着剤層とパターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記分解除去支持基板を有する上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記分解除去支持基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記分解除去支持基板と上記半導体ウエハとを貼付することにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハを上記分解除去支持基板により補強することができ、上記半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。また、上記分解除去支持基板が、上記光触媒含有層および上記分解除去型粘着剤層を有することにより、上記エネルギー照射工程において、エネルギーを照射することにより、分解除去型粘着剤層を分解除去することが可能であり、これにより上記分解除去支持基板および半導体ウエハを容易に剥離することが可能となるのである。
【0017】
上記請求項5に記載の発明においては、請求項6に記載するように、上記分解除去支持基板が、上記透明基板と上記光触媒含有層との間に、粘着剤層および高分子樹脂基材とを有し、かつ上記透明基板上に粘着剤層が形成され、上記粘着剤層上に高分子樹脂基材が形成され、上記高分子樹脂基材上に光触媒含有層が形成されていてもよい。これにより、例えば上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハ上のパターン形成面へかかる力を和らげることが可能となり、半導体ウエハの破損等を防ぐことが可能となるからである。
【0018】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項7に記載するように、上記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により粘着性が低下するエネルギー硬化型粘着剤層とすることができる。これにより、上記エネルギー照射工程における、エネルギーの照射による光触媒の影響により、上記エネルギー硬化粘着剤層の粘着性が低下することから、容易に上記光触媒含有層および上記エネルギー硬化型粘着剤層を剥離することが可能となるからである。
【0019】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、上記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により分解除去される分解除去型粘着剤層であってもよい。これにより、上記エネルギー照射工程における、エネルギーの照射による光触媒の影響により、上記分解除去型粘着剤層を分解除去することが可能となり、容易に上記光触媒含有層および高分子樹脂基材、または半導体ウエハを剥離することが可能となるのである。
【0020】
上記請求項5、請求項6、または請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記分解除去型粘着剤層が、アクリル系、ブタジエン系、エマルジョン系の粘着剤であることが好ましい。上記分解除去型粘着剤層が、上記物質を含有することにより、上記エネルギー照射による光触媒の作用により、分解除去することが可能となるからである。
【0021】
上記請求項5、請求項6、請求項8または請求項9に記載の発明においては、請求項10に記載するように、上記分解除去型粘着剤層の膜厚が、10μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。上記分解除去型粘着剤層の膜厚が、上記範囲内であることにより、上記分解除去型粘着剤層を、容易にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去することが可能な層とすることが可能となるからである。
【0022】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、上記高分子樹脂基材が、片面または両面にコロナ処理、プラズマ処理、またはサンドブラスト処理がされたものであることが好ましい。これにより、上記高分子樹脂基材上と、上記粘着剤層や上記特性変化粘着剤層等との密着性を向上させることが可能となるからである。
【0023】
上記請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項12に記載するように、上記高分子樹脂基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンのいずれかのフィルムであり、かつ上記エネルギーを透過させるものであることが好ましい。上記ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンのフィルムは、比較的強度があり、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記半導体ウエハを破損等することなく、容易に上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することが可能となるからである。また、上記エネルギー照射工程において、上記フィルムがエネルギーを透過させることにより、上記粘着剤層までエネルギーを照射することが可能となることから、上記粘着剤層に、例えばエネルギー硬化型粘着剤層等を用いた場合、エネルギー照射により粘着性を低下させることが可能であり、容易に上記半導体ウエハと、上記粘着剤層を剥離することができることからも好ましい。
【0024】
上記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項13に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒からなる層とすることができる。これにより、上記特性変化粘着剤層の特性の変化または上記分解除去型粘着剤層の分解除去を効率よく行うことが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0025】
また、上記請求項13に記載の発明においては、請求項14に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒を真空製膜法により製膜してなる層であることが好ましい。これにより、表面の凹凸が少なく均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であり、上記特性変化粘着剤層の特性の変化、または分解除去型粘着剤層の分解除去を均一に、かつ高効率で行うことができるからである。
【0026】
上記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項15に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であってもよい。上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることにより、光触媒含有層の形成が容易であり、結果的に低コストで半導体ウエハの製造を行うことができるからである。
【0027】
上記請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項16に記載するように、上記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項17に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。これは二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性も少なく、また入手も容易であるからである。
【0028】
上記請求項1から請求項17までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項18に記載するように、上記エネルギーの照射が、紫外光の照射であることが好ましい。これにより、通常上記光触媒を励起されることが可能であり、製造コストや効率の面からも好ましいからである。
【0029】
上記請求項1から請求項18までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項19に記載するように、上記半導体ウエハ研削後における半導体ウエハの厚さが、30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。これにより、製造された半導体ウエハを例えば積層して用いる等、様々な用途に用いることが可能な半導体ウエハとすることが可能となるからである。
【0030】
また、本発明は請求項20に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する半導体ウエハ製造用支持基板であって、上記光触媒含有層上に、エネルギーの照射に伴う光触媒の影響により特性が変化する特性変化粘着剤層を介して表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハのパターン形成面が貼付され、上記半導体ウエハの裏面を研削後、上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させて、粘着性を低下させ、上記半導体ウエハ製造用支持基板を容易に剥離できるようにしたことを特徴とする半導体ウエハ製造用支持基板を提供する。
【0031】
本発明によれば、上記半導体ウエハ製造用支持基板が、上記光触媒含有層を有することにより、上記半導体ウエハ研削後、エネルギーの照射により、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることができ、上記半導体ウエハ製造用支持基板および上記特性変化粘着剤層を、上記半導体ウエハに影響を与えることなく、容易に剥離することが可能となるのである。
【0032】
また、本発明は請求項21に記載するように、高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とする半導体ウエハ製造用接着用積層体を提供する。
【0033】
本発明の接着用積層体は、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することにより、半導体ウエハを研削する際に、透明基板と半導体ウエハの接着に用いることができ、この半導体ウエハの研削後、エネルギーを照射することにより、上記光触媒含有層の光触媒の影響により、上記特性変化粘着剤層の例えば粘着性を低下させる等の特性を変化させることが可能となり、容易に透明基板と、半導体ウエハとを剥離することが可能とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、半導体ウエハの製造方法、半導体ウエハ製造用支持基板、および半導体ウエハ製造用接着用積層体に関するものである。以下、それぞれについて説明する。
【0035】
A.半導体ウエハの製造方法
まず、本発明の半導体ウエハの製造方法について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法は、3つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様にわけて説明する。
【0036】
1.第一実施態様
まず、本発明の半導体ウエハの製造方法における第一実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第一実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成され、光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とするものである。
【0037】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図1を用いて説明する。まず、例えば図1(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された特性変化粘着剤層3と、この特性変化粘着剤層3上に形成された高分子樹脂基材4と、この高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5とを有する支持用積層体6における粘着剤層5と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。次に、上記半導体ウエハ貼付工程により支持用積層体6が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図1(b))。この工程において、半導体ウエハ7に支持用積層体6が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0038】
次に、支持用積層体6の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図1(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、特性変化粘着剤層3の特性を、例えば粘着性が低下する等、変化させることができる。
【0039】
次に、光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程を行う(図1(d))。この際、特性変化粘着剤層3は、上記エネルギー照射工程により特性が、例えば粘着性が低下する等特性が変化していることから、容易に光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを半導体ウエハを破損等することなく剥離することが可能となるのである。
【0040】
最後に、半導体ウエハ7と、粘着剤層5とを剥離することにより、半導体ウエハ剥離工程を行い、半導体ウエハ7のみを得るのである(図1(e))。
【0041】
以下、上記で説明した本実施態様の半導体ウエハの製造方法について、各工程について詳しく説明する。
【0042】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体と、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付する工程である。以下、半導体ウエハ貼付工程の各構成について説明する。
【0043】
(支持用積層体)
まず、本実施態様に用いられる支持用積層体について説明する。本実施態様に用いられる支持用積層体は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有するものである。以下、各構成について説明する。
【0044】
a.透明基板
まず、本実施態様の支持用積層体に用いられる透明基板について説明する。本実施態様における透明基板は、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーを透過させることが可能である透明な基板であり、かつ後述する半導体ウエハ研削工程において、半導体ウエハを補強することが可能な強度を有する平坦性の高い基板であれば、その材料等は特に限定されるものではなく、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよく、また可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
【0045】
上述したような透明基板の材料として、具体的には、ガラス、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、スチレン、環状ポリオレフィン、トリメチルペンテンコポリマー等を挙げることができる。
【0046】
b.光触媒含有層
次に、本実施態様に用いられる光触媒含有層について説明する。本実施態様に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、後述する特性変化粘着剤層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。
【0047】
このような光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層上に配置される特性変化粘着剤層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
【0048】
本実施態様で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0050】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0051】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0052】
本実施態様における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
【0053】
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化粘着剤層上の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
【0054】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化粘着剤層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化粘着剤層上の特性を変化させることが可能となる。
【0055】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0056】
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0057】
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0058】
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiX4で表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0059】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0061】
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0062】
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0063】
c.特性変化粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層とは、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において、上述した光触媒含有層に含有される光触媒の影響により特性が変化し、後述する特性変化粘着剤層剥離工程において、上記光触媒含有層との剥離を容易にすることが可能な層である。
【0064】
また、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層は、上記光触媒含有層上に全面に形成されたものであってもよく、またパターン状に形成されたものであってもよい。
上述したような特性を有する層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、中でもエネルギー照射による光触媒の影響により粘着性が低下するエネルギー硬化型粘着剤層、またはエネルギー照射に伴う光触媒の影響により分解除去される分解除去型粘着剤層であることが好ましい。以下、上記エネルギー硬化型粘着剤層および分解除去型粘着剤層について説明する。
【0065】
(i)エネルギー硬化型粘着剤層
まず、本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層は、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーにより硬化し、また上述した光触媒含有層に含有される光触媒の影響により粘着性が低下する層であれば、その材料等は特に限定されるものではなく、例えば公知の紫外線硬化型粘着剤層等を用いることも可能である。
【0066】
上記エネルギー硬化型粘着剤層の、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により粘着性が低下する作用機構としては、エネルギー照射により活性化された光触媒が、接触する上記エネルギー硬化型粘着剤層表面に作用し、その化学結合を切断する等により、粘着性を低下させるのである。
【0067】
一般的に、エネルギー硬化型粘着剤層に用いられる材料としては、高分子弾性体、エネルギー硬化成分、光重合開始剤等による組成物が挙げられ、また必要に応じて架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、劣化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
【0068】
上記高分子弾性体としては、アクリル系粘着剤や、飽和コポリエステル等の粘着剤が挙げられ、アクリル系粘着剤としては、通常、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合性コモノマーとの共重合体が用いられる。これらの重合体を構成するモノマー又はコモノマーとして、例えばメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル(メタ)アクリル酸等のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、例えばジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。主モノマーとしては、通常、ホモポリマーのガラス転移温度が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルが使用される。
【0069】
また、飽和コポリエステルとしては、多価アルコールと2種以上の多価カルボン酸との飽和コポリエステルが挙げられる。上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類等が挙げられる。また、多価カルボン酸には、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が含まれ、中でも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを併用する事が多い。
【0070】
次に、紫外線硬化性成分としては、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることが可能であり、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル、エステルアクリレートオリゴマー、2−プロペニル ジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチル ビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のシアヌレート又はイソシアヌレート化合物等が挙げられる。
【0071】
次に、光重合開始材としては、後述するエネルギー照射工程において、照射されるエネルギーにより、ラジカルを生成する物質であれば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類、ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン等が挙げられる。
【0072】
また、架橋剤として、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、酸無水物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマー等を挙げることができる。
【0073】
本実施態様においては、上記材料の組成物を、例えばコンマコーター、グラビアコータ−、グラビアリバースコーター、3本リバースコーター、スリットリバースコーター、ダイコーター等により塗工後、乾燥させることによりエネルギー硬化型粘着剤層を形成する。
【0074】
また、本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層の膜厚は、3μm〜100μm、中でも10μm〜40μmであることが好ましい。
【0075】
(ii)分解除去型粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる分解除去型粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる分解除去型粘着剤層は、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において、光触媒の作用により分解除去される層であれば、その材料等は特に限定されるものではない。
【0076】
一般的に、分解除去型粘着剤層に用いられる材料としてはアクリル系、ブタジエン系、エマルジョン系の粘着剤等を用いることができ、中でもアクリル系の粘着剤であることが好ましい。
【0077】
本実施態様における分解除去型粘着剤層の形成方法については、上記エネルギー硬化型粘着剤層における方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0078】
また、本実施態様における分解除去型粘着剤層の膜厚は、10μm〜200μm、中でも10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0079】
d.高分子樹脂基材
次に本実施態様に用いられる高分子樹脂基材について説明する。本実施態様に用いられる高分子樹脂基材は、後述する半導体ウエハ剥離工程において、後述する粘着剤層と半導体ウエハとを剥離する際に、粘着剤層が、半導体ウエハ上に残ることなく、剥離させるために設けられるものである。
【0080】
本実施態様に用いられる高分子樹脂基材は、後述するエネルギー照射工程において、照射されるエネルギーを透過させることが可能な平坦な高分子樹脂基材であれば、その形状等は特に限定されるものではないが、着色されていない透明、または半透明な高分子樹脂性のフィルムが好適に用いられる。これにより、例えば後述する粘着剤層に、エネルギー硬化型粘着剤層を用いた場合、後述するエネルギー照射工程において、照射されたエネルギーを透過させることが可能となり、このエネルギー硬化型粘着剤層を硬化させ、粘着性を弱めることが可能となることから、容易に半導体ウエハと粘着剤層とを剥離することが可能となるからである。
【0081】
また、本実施態様においては、上記高分子樹脂基材が、片面または両面にコロナ処理、プラズマ処理、またはサンドブラスト処理がされたものであることが好ましい。これにより、上記高分子樹脂基材上に、後述する粘着剤層や上記特性変化粘着剤層等の密着性を向上させることが可能となるからである。
【0082】
本実施態様に用いられる高分子樹脂として、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリビニルフロライド(PVF)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンであることが好ましい。
【0083】
また、本実施態様に用いられる高分子樹脂基材の膜厚は、10μm〜500μm、中でも25μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
【0084】
さらに、本実施態様においては、上述した高分子樹脂基材に、上記特性変化粘着剤層または後述する粘着剤層との接着性を高めるために、アンカー層等を設けても良い。
【0085】
e.粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる粘着剤層は、支持用積層体と、後述する半導体ウエハとを接着する層であって、後述する半導体ウエハ剥離工程において、半導体ウエハと剥離することが可能な層であれば、上述したエネルギー硬化型粘着剤層、または剥離が容易である再剥離型粘着剤層等、特に限定されるものではないが、中でも上記エネルギー硬化型粘着剤層であることが好ましい。本実施態様における粘着剤層が、上記エネルギー硬化型粘着剤層であることにより、後述するエネルギー照射工程において、エネルギー照射により粘着性を弱めることが可能となることから、容易に半導体ウエハと粘着剤層とを粘着剤層が残ることなく、剥離することが可能となるからである。
【0086】
また、本実施態様に用いられる粘着剤層の膜厚は、3μm〜100μm、中でも10μm〜40μmであることが好ましい。
【0087】
f.支持用積層体
次に、本実施態様における支持用積層体について説明する。本実施態様における支持用積層体は、上記透明基板と、この透明基板上に形成された上記光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された上記高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された上記粘着剤層とを有するものであれば、その製造方法等は特に限定されるものではない。
【0088】
本実施態様においては、支持用積層体の製造方法として、上記透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層とを有する支持用基板を形成し、また上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材の片面に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層と反対側の上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する接着用積層体を形成した後、この支持用基板および接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により、上記光触媒含有層と、上記特性変化変化粘着剤層とを密着させることにより貼付し、形成されたものであることが好ましい。これにより、製造効率がよく、また後述する特性変化粘着剤層剥離工程において、特性変化粘着剤層と剥離された上記支持基板を繰り返し使用することが可能となることから、製造コストの面からも好ましいからである。
【0089】
ここで、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層または粘着剤層については、必要に応じて離型フィルム等を用いていてもよい。
【0090】
(半導体ウエハ)
次に、本実施態様に用いられる半導体ウエハについて説明する。本実施態様に用いられる半導体ウエハは、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハであり、その形状や厚さ、形成されたパターン等は特に限定されるものではなく、シリコンインゴットから、スライスされた一般的に用いられる半導体ウエハであればよい。
【0091】
なお、本発明でいうパターンには、回路も含まれるものとする。
【0092】
また、本実施態様においては、後述する半導体ウエハ研削工程において、半導体ウエハを薄膜に加工することが可能であることから、例えば積層して用いられる半導体ウエハであってもよい。
【0093】
(支持用積層体および半導体ウエハの貼付)
次に、本実施態様の支持用積層体および半導体ウエハの貼付について説明する。本実施態様の支持用積層体および半導体ウエハの貼付とは、上述した支持用積層体と、上述した半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付するものであり、その方法等は特に限定されるものではないが、本実施態様においては、上述した支持用積層体および半導体ウエハは、貼付の際に気泡が混入しないように、例えば太陽電池モジュール製造用等に用いられるような真空ラミネーターにて貼り合わせを行うことが好ましい。
【0094】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ研削工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハの研削は、上述した半導体ウエハ貼付工程により、支持用積層体が貼付された半導体ウエハの裏面を、目的とする厚さまで研削する工程であり、その研削方法等は、通常半導体ウエハの研削に用いられる、例えばバックグラインド等の方法により行うことが可能である。
【0095】
ここで、上記半導体ウエハ研削工程後の半導体ウエハの膜厚が、20μm〜200μm、中でも20μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様で得られた半導体ウエハを、積層して高集積用デバイスとして用いる等、様々な用途に用いることが可能な半導体ウエハとすることが可能となるからである。
【0096】
ここで、上記半導体ウエハを、高集積用デバイスとして用いる場合には、上記半導体ウエハ研削後の半導体ウエハの裏面に、例えば半導体ウエハ積層用フィルムを貼付し、さらにダイシングテープを貼付する工程を有していてもよい。
【0097】
(3)エネルギー照射工程
次に、本実施態様におけるエネルギー照射工程について説明する。本実施態様におけるエネルギー照射工程は、上記半導体ウエハ研削後、上記支持用積層体の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させる工程である。
【0098】
本実施態様におけるエネルギーの照射とは、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0099】
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される紫外光であることが好ましい。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0100】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0101】
また、上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
【0102】
また、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化粘着剤層が光触媒含有層中の光触媒の作用により特性が変化するのに必要な照射量とする。
【0103】
この際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させことが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0104】
ここで、本実施態様におけるエネルギー照射工程は、例えばバキュームチャック等により、半導体ウエハを固定して行うことが好ましい。これにより、後述する粘着剤層剥離工程および半導体ウエハ剥離工程を容易に行うことが可能となるからである。
【0105】
(4)特性変化粘着剤層剥離工程
次に、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層剥離工程について説明する。本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程は、上記特性変化粘着剤層と、上記光触媒含有層とを剥離する工程である。これにより、上記透明基板および光触媒含有層が取り除かれる。上記特性変化粘着剤層が、例えばエネルギー硬化型粘着剤層である場合には、上記エネルギー照射工程におけるエネルギーの照射により、粘着性が低下していることから、容易に特性変化粘着剤層および光触媒含有層の剥離を行うことができるのである。
【0106】
また、上記特性変化粘着剤層が、例えば分解除去型粘着剤層である場合には、上記エネルギー照射工程におけるエネルギーの照射により、分解除去型粘着剤層は、分解除去されていることから、容易に光触媒含有層および透明基板を取り除くことが可能となるのである。
【0107】
この際、特性変化粘着剤層剥離工程を、半導体ウエハに影響を与えることなく行うために、上記エネルギー照射工程により、上記特性変化粘着剤層の特性の変化を完全に行った後に、剥離を行うことが重要である。
【0108】
上記エネルギー照射工程により特性変化粘着剤層の密着強度が低下しており、さらに光触媒による分解反応によってCO2ガス等が発生し、自己剥離が行われていることから、半導体ウエハ面側をバキュームチャックにて保持し、持ち上げることにより、特性変化粘着剤層が剥離される。
【0109】
(5)半導体ウエハ剥離工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ剥離工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ剥離工程は、上記粘着剤層と、上記半導体ウエハとを剥離する工程である。これにより、上記特性変化層、上記高分子樹脂基材、上記粘着剤層が取り除かれ、半導体ウエハのみを得ることができるのである。
【0110】
上記剥離の方法としては、上記半導体ウエハ端面からゆっくりと粘着剤がウエハ上に残らないように剥離させる。
【0111】
2.第二実施態様
次に、本発明の半導体ウエハの製造方法における第二実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第二実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とするものである。
【0112】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図2を用いて説明する。まず、例えば図2(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された特性変化粘着剤層3と、この特性変化粘着剤層3上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された高分子樹脂基材4と、この高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5とを有する支持用積層体6における粘着剤層5と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。次に、上記半導体ウエハ貼付工程により支持用積層体6が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図2(b))。この工程において、半導体ウエハ7に支持用積層体6が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0113】
次に、支持用積層体6の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図2(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、特性変化粘着剤層3の特性が例えば粘着性が低下する等、変化させることができる。
【0114】
次に、光触媒含有層2と、上記エネルギー照射工程により特性が変化した特性変化粘着剤層3とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程を行う(図2(d))。この際、特性変化粘着剤層3が、例えば粘着性が低下する等特性が変化していることから、容易に光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを半導体ウエハを破損等することなく剥離することが可能となるのである。
【0115】
最後に、半導体ウエハ7と、粘着剤層5とを剥離することにより、半導体ウエハ剥離工程を行い、半導体ウエハ7のみを得るのである(図2(e))。
【0116】
以下、上記で説明した本実施態様の半導体ウエハの製造方法について、各工程について詳しく説明する。
【0117】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハの製造方法における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体と、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付する工程である。以下、半導体ウエハ貼付工程の各構成について説明する。
【0118】
(支持用積層体)
本実施態様に用いられる支持用積層体は、透明基板と、この透明基板上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有するものである。
【0119】
ここで、本実施態様に用いられる透明基板、特性変化粘着剤層、光触媒含有層、高分子樹脂基材、および粘着剤層に関しては、上述した第一実施態様における支持用積層体の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0120】
本実施態様に用いられる支持用積層体の形成方法としては、上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成された少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体および透明基板を、上記透明基板と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。これにより、上記透明基板に、予め形成された上記接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により圧着することによって、容易に上記支持用積層体を形成することが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0121】
(半導体ウエハ)
本実施態様に用いられる半導体ウエハについては、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0122】
(支持用積層体および半導体ウエハの貼付)
本実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付は、上記支持用積層体および上記半導体ウエハのパターン形成面を密着させることにより、貼付するものである。本実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付については、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0123】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により、支持用積層体が貼付された半導体ウエハの研削をする半導体ウエハ研削工程を行う。本実施態様における半導体ウエハ研削工程は、上述した第一実施態様における半導体ウエハ研削工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0124】
(3)エネルギー照射工程
次に、上記半導体ウエハ研削後、上記支持用積層体の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させる工程である。
【0125】
本実施態様におけるエネルギー照射工程は、上述した第一実施態様におけるエネルギー照射工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0126】
(4)特性変化粘着剤層剥離工程
次に、本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程について説明する。本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程は、上記特性変化粘着剤層と、上記光触媒含有層とを剥離する工程である。これにより、上記透明基板および特性変化粘着剤層が取り除かれる。
【0127】
本実施態様における剥離の方法としては、上述した第一実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0128】
(5)半導体ウエハ剥離工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ剥離工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ剥離工程は、上記粘着剤層と、上記半導体ウエハとを剥離する工程である。これにより、上記特性変化層、上記高分子樹脂基材、上記粘着剤層が取り除かれ、半導体ウエハのみを得ることができるのである。
【0129】
本実施態様における剥離の方法としては、上述した第一実施態様における半導体ウエハ剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0130】
3.第三実施態様
次に、本発明の半導体ウエハの製造方法における第三実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第三実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記分解除去型粘着剤層とパターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記分解除去支持基板を有する上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記分解除去支持基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とするものである。
【0131】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図3を用いて説明する。まず、例えば図3(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された分解除去型粘着剤層9とを有する分解除去支持基板10と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを、上記分解除去型粘着剤層9と上記半導体ウエハ7のパターン形成面とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。
【0132】
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により分解除去支持基板10が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図3(b))。この工程において、半導体ウエハ7に分解除去支持基板10が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0133】
次に、分解除去支持基板10の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図3(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、分解除去型粘着剤層9を分解除去することにより、分解除去支持基板と、半導体ウエハとを剥離することができ、半導体ウエハを得ることが可能となるのである。以下、本実施態様の各工程についてそれぞれ説明する。
【0134】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板と、表面にパターンが形成された半導体ウエハのパターン形成面側とを貼付する工程である。以下、各構成について説明する。
【0135】
(分解除去支持基板)
まず、本実施態様に用いられる分解除去支持基板について説明する。本実施態様に用いられる分解除去支持基板は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された分解除去型粘着剤層とを有するものである。透明基板、光触媒含有層、および分解除去型粘着剤層等については、第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0136】
また、本実施態様における分解除去支持基板は、上記透明基板と光触媒含有層との間に、粘着剤層および高分子樹脂基材を有しており、上記透明基板上に粘着剤層が形成され、上記粘着剤層上に高分子樹脂基材が形成され、上記高分子樹脂基材上に光触媒含有層が形成され、この光触媒含有層上に分解除去型粘着剤層が形成されたものであってもよい。これにより、例えば後述する半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハ上のパターン形成面へかかる力を和らげることが可能となり、半導体ウエハの破損等を防ぐことが可能となるからである。上記粘着剤層および高分子樹脂基材は、上述した第一実施態様で説明したものと同様のものを用いることが可能となる。
【0137】
(半導体ウエハ)
本実施態様に用いられる半導体ウエハについては、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0138】
(分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付)
本実施態様における分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付については、上記分解除去支持基板における上記特性変化粘着剤層および上記半導体ウエハにおけるパターン形成面とを密着させることにより、貼付するものである。本実施態様における分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付については、上述した第一実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0139】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により、分解除去支持基板が貼付された半導体ウエハの研削をする半導体ウエハ研削工程を行う。本実施態様における半導体ウエハ研削工程は、上述した第一実施態様における半導体ウエハ研削工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0140】
(3)エネルギー照射工程
次に、上記半導体ウエハ研削後、上記分解除去支持基板の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離させる工程である。ここで、上記分解除去支持基板における分解除去型粘着剤層は、分解除去されることから、半導体ウエハ上から上記透明基板および光触媒含有層を取り外すことにより、半導体ウエハを得ることが可能となるのである。
【0141】
本実施態様におけるエネルギー照射工程におけるエネルギー照射は、上述した第一実施態様におけるエネルギー照射工程と同様であり、また剥離については、上述した第一実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0142】
4.その他
また、本発明における半導体ウエハの製造方法は、第一実施態様における支持用積層体および第二実施態様における支持用積層体の構造を組み合わせたものを用いてもよく、また第二実施態様の支持用積層体および第三実施態様の分解除去基板を組み合わせた構造を組み合わせたものを用いてもよい。
【0143】
例えば、図4に示すように、第二実施態様の接着用積層体および第三実施態様の分解除去基板を組み合わせて、透明基板上1に特性変化粘着剤層3が形成され、この特性変化層3上に光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に高分子樹脂基材4が形成され、さらに高分子樹脂基材4上に光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に分解除去型粘着剤層9が形成された支持用積層体6とすることができる。この支持用積層体6における上記分解除去型粘着剤層と半導体ウエハ7とを貼付し、上記半導体ウエハ研削工程後に、上述したエネルギー照射工程により、エネルギー照射をすることにより、上記透明基板上の特性変化層3の特性が変化し、上記特性変化層3と上記光触媒含有層2とを容易に剥離することが可能であることと同時に、上記分解除去型粘着剤層9が分解除去され、上記光触媒含有層2と、上記半導体ウエハ7を容易に剥離することが可能となるのである。
【0144】
B.半導体ウエハ製造用支持基板
次に、本発明における半導体ウエハ製造用支持基板について説明する。本発明における半導体ウエハ製造用支持基板は、透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する半導体ウエハ製造用支持基板であって、上記光触媒含有層上に、エネルギーの照射に伴う光触媒の影響により特性が変化する特性変化粘着剤層を介して表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハのパターン形成面が貼付され、上記半導体ウエハの裏面を研削後、上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させて、粘着性を低下させ、上記半導体ウエハ製造用支持基板を容易に剥離できるようにしたことを特徴とするものである。
【0145】
本発明によれば、上記半導体ウエハ製造用支持基板が、上記光触媒含有層を有することにより、上記半導体ウエハ研削後、エネルギーの照射により、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることができ、上記支持材および上記特性変化粘着剤層を、上記半導体ウエハに影響を与えることなく、容易に剥離することが可能となるのである。
【0146】
本発明の半導体ウエハ製造用支持基板に用いられる透明基板および光触媒含有層については、上述した半導体ウエハの製造方法における第一実施態様において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0147】
C.半導体ウエハ製造用接着用積層体
次に、本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体について説明する。本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体は、高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成され、少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とするものである。
【0148】
本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体は、例えば図5に示すように、高分子樹脂基材4上に、光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に、特性変化粘着剤層3が形成されている。また上記高分子樹脂基材4上の、上記特性変化粘着剤層が形成されているのと反対側の面に、粘着剤層5が形成されたものである。
【0149】
本発明の半導体ウエハ接着用積層体は、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することにより、半導体ウエハを研削する際に、透明基板と半導体ウエハとの接着に用いることができ、この半導体ウエハの裏面の研削後、エネルギーを照射することにより、上記光触媒含有層の光触媒の影響により、上記特性変化粘着剤層を、例えば粘着性を低下させる等の特性を変化させることが可能となり、容易に透明基板と、半導体ウエハとを剥離することが可能とするものである。
【0150】
また、上記半導体ウエハ製造用接着用積層体は、例えば上記高分子樹脂基材の両面に光触媒含有層が形成されており、かつ上記粘着剤層が分解除去型粘着剤層であるものであってもよい。
【0151】
これにより、エネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層と、前記光触媒とを剥離させるのと同時に、上記光触媒含有層の作用により、上記分解除去型粘着剤層を分解除去させ、容易に高分子樹脂基材と半導体ウエハとを剥離させることが可能となるからである。
【0152】
ここで、本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体に用いられる高分子樹脂基材、光触媒含有層、高分子樹脂基材、粘着剤層および製造方法については、上述した半導体ウエハの製造方法における第一実施態様において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0153】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本実施態様の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本実施態様の技術的範囲に包含される。
【0154】
例えば、上述した本発明の半導体ウエハの製造方法においては、特性変化粘着剤層と光触媒含有層が、個々に形成されたものについてのみ説明したが、本発明においては、上記特性変化粘着剤層および光触媒含有層が、1層で形成された光触媒含有特性変化粘着剤層であってもよい。
【0155】
この光触媒含有特性変化粘着剤層は、例えば上述したエネルギー硬化型粘着剤層中に、光触媒を含有させること等により、形成することが可能である。この光触媒含有特性変化粘着剤層は、上述したエネルギー照射工程において、エネルギー照射により、エネルギー硬化型粘着剤層が硬化するのと同時に、光触媒含有特性変化粘着剤層中の光触媒の影響により、エネルギー硬化型粘着剤層の粘着性を低下させることが可能となる。これにより、光触媒含有特性変化粘着剤層が接する両面の部材と、容易に剥離させることが可能となるのである。
【0156】
なお、上記光触媒含有特性変化粘着剤層は、例えば上述した第一実施態様および第二実施態様の特性変化層および光触媒含有層が形成されている位置、または上述した第三実施態様の光触媒含有層および分解除去型粘着剤層が形成されている位置に用いることが可能である。
【0157】
【実施例】
以下、本実施態様について、実施例を通じてさらに詳述する。
【0158】
[実施例1]
1.支持用基板形成工程
テトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製 TSL8114)5gと0.05規定塩酸2.5gとを混合し、24時間攪拌した。この溶液0.1gと光触媒無機コーティング剤(石原産業(株)製 ST−K03)50gとを混合し、1時間常温で撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより2倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
【0159】
次に、厚み1mmのガラス基板上に、前記光触媒含有層用組成物をスピンコーターにより塗布し、その後、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、厚さ0.15μmの光触媒含有層を厚み1.5mmのガラス基板上に形成し、支持用基板を得た。
【0160】
2.接着用積層体の形成
(第一工程)
紫外線硬化型のアクリル系2液の粘着剤である、綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン SW−11Aと硬化剤L−45とを重量比率100:2の配合比率にて混ぜ合わせ、トルエンおよび酢酸エチルを使用して、固形分20%になるように調製した。次に、調製された混合物を、第一給紙より繰り出した25μmの離型PET東洋紡E7007の離型フィルム面に、コンマコーターにて乾燥時25μmとなるようにコーティングし、ラインスピード毎分20mの速度にて温度設定100℃の10m以上の長さを有する乾燥フードにて乾燥し、第2給紙より、予め、両面にコロナ処理を施した50μmPET基材 東レルミラー T−50を貼り合わせて、巻き上げ1層目の紫外線硬化型粘着剤のコーティングを終えた。
【0161】
(第2工程)
次に、第一工程で調製された混合物と同様の混合物を、第一給紙より、東洋紡E7007を繰り出しコンマコーターにて乾燥時25μmとなるようにコーティングし、ラインスピード毎分20mの速度にて温度設定100℃の10m以上の長さを有する乾燥フードにて乾燥し、第2給紙より第1工程にて作製した、貼り合わせフィルムのPET面に貼り合わせ、両面に紫外線硬化型粘着剤を有するPETフィルムの作製を終えた。
【0162】
3.半導体ウエハ貼付工程
上記支持用基板の光触媒含有層に、上記接着用積層体の形成における第2工程にて作製したフィルムの片面の離型フィルムを剥し、ゴムローラーにて気泡が入らないように貼り合わせを行った。次に、もう片方の離型フィルムを剥し、研削を行う半導体ウエハのパターン形成面とを真空ラミネーターにて貼り合わせを行った。貼り合わせ時には、気泡の噛み込みを防止する為に真空ラミネーターにて貼り合わせを行った。
【0163】
4.半導体ウエハ研削工程
次に、上記支持用基板を押さえ板としながら半導体ウエハの研削を行い、バックグラインド装置にて半導体ウエハの研削を、30〜50μm程度の膜厚となるまで行った。さらに、研削が終了した研削面に、半導体ウエハ積層用のフィルム及びバックグラインド(BG)フィルムの貼り合わせを行った。
【0164】
5.エネルギー照射工程
次に、上記積層用フィルム及びバックグラインドフィルムを貼り合わせた半導体ウエハを、バキュームチャックにて積層用フィルム面から固定し、ガラス面側からUV光を80W/cmの出力にて15cmの距離から1分間照射を行った。これにより、光触媒による高分子分解作用と紫外線硬化型粘着剤の粘着力低下の相乗効果によって、上記光触媒含有層および上記紫外線硬化型粘着剤を剥離させた。
【0165】
次に、紫外線にて硬化された粘着剤を両面に有するPETフィルムをゆっくりと剥し、薄膜半導体ウエハを得た。
【0166】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0167】
半導体ウエハの厚みに関しては、全て50μmの厚みに研削されていた。
【0168】
[実施例2]
高分子樹脂基材をPEフィルム タマポリ(株)製GF−2(厚み50μm)とした以外は同様に行った。
【0169】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0170】
[実施例3]
上記ガラス基板を、帝人化成(株)製PC−7189(厚み1mm)とした以外は実施例1と同様に行った。
【0171】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0172】
[実施例4]
上記実施例1における第一工程および第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、貼付後再剥離が可能であるアクリル系2液の再剥離型粘着剤である、綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン AG−790と硬化剤L−45とを重量比率1000:4.5の配合にて混合した混合物とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0173】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0174】
[実施例5]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、
実施例4に用いた再剥離型粘着剤とした以外は実施例1と同様に行った。
【0175】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0176】
[実施例6]
バックグラインドフィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0177】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0178】
[実施例7]
積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0179】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0180】
[実施例8]
バックグラインドフィルムおよび積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0181】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0182】
[実施例9]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とし、バックグラインドフィルムの貼付を行わなかった以外は実施例1と同様に行った。
【0183】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0184】
[実施例10]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とし、積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は実施例1と同様に行った。
【0185】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0186】
[比較例1]
光触媒含有層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0187】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0188】
[比較例2]
光触媒含有層を形成せず、上記実施例1における接着用積層体の第一工程における紫外線硬化型粘着剤を、熱剥離型粘着剤である綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン SK−1795と硬化剤L−45とを重量比率100:3の配合にて混合した混合物とし、上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とした以外は実施例1と同様に行った。
【0189】
なお、熱発砲型粘着剤を処理時80℃1分の熱をかけた。粘着力に関しては、加熱前後の値を示す。
【0190】
【表1】
【0191】
ここで、照射前、加熱前の粘着力に関しては、処理前については、ガラス基板や、ポリカ基板を貼り合わせずに作製したサンプルの強度(粘着剤/半導体ウエハ間)の強度を測定した値である。
【0192】
粘着力の測定に関しては、温度23℃,湿度60%の環境下にて、万能式引っ張り試験機にて剥離角度:90°剥離,剥離速度:300mm/min,の条件にて強度の測定により測定された値である。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強され、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用によって上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程を有することにより、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく、半導体ウエハを製造することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体ウエハの製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の半導体ウエハの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図3】本発明の半導体ウエハの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図4】本発明の半導体ウエハの製造方法に用いられる支持用基板の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基板
2 … 光触媒含有層
3 … 特性変化型粘着剤層
4 … 高分子樹脂基材
5 … 粘着剤層
6 … 支持用積層体
7 … 半導体ウエハ
8 … エネルギー
9 … 分解除去型粘着剤層
10… 分解除去支持基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハを薄膜化する工程を有する半導体ウエハの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体ウエハを薄膜化する方法として、パターンが形成された半導体ウエハ表面に保護テープを貼り付け、パターンの保護と半導体ウエハの固定を行った後、半導体ウエハの裏面を例えばバックグラインド等の機械的手法により研削し、半導体ウエハを薄膜化する方法が知られている。しかしながら、近年、ICカードの普及等により、半導体ウエハのさらなる薄型化が望まれており、この半導体ウエハの薄膜化に伴い、薄膜加工時に半導体ウエハの強度の低下による破損や剛性力低下等の問題が生じている。
【0003】
そこで、半導体ウエハの薄膜加工時に半導体ウエハのパターン形成面を、ガラス板、アクリル板、シリコンウエハ等の硬質平坦板に固定し、半導体ウエハの裏面を研削する方法が考案されている。しかしながら、この方法においては、薄膜加工された半導体ウエハを硬質平坦板から剥離することが難しく、半導体ウエハを破損してしまう等という問題があった。
【0004】
そこで、例えば半導体ウエハの研削の際に用いられる硬質平坦板等と、半導体ウエハのパターン形成面とを、両面に熱発泡型粘着剤層を持つ高分子樹脂基材により貼り付け、バックグラインド工程完了後、研削されたウエハ面をチャック台にバキュームチャックし、チャック台ごと過熱して、粘着剤を熱発泡させることにより硬質平坦板および粘着剤層を剥離させ、薄膜半導体ウエハを得る手法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ガラス等の硬質平坦板に、片面に紫外線硬化型粘着剤と、反対側に再剥離型粘着剤とを有する高分子樹脂基材の再剥離型粘着剤面を貼り付け、パターンが形成された半導体ウエハのパターン形成面を紫外線硬化型粘着剤面に貼り付け、バックグラインド工程完了後、研削されたウエハ面をチャック台等の剛性のある面に密着させ、ガラス面から紫外線照射を行う事により、粘着剤を硬化させる事により自己剥離させ、薄膜半導体ウエハを得る方法も提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のどちらの方法においても、バックグラインド工程後の剥離能力が安定せず、粘着剤がウエハ上に残ることや、薄膜半導体ウエハを破損する可能性がある等の問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−75937号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、半導体ウエハを薄膜加工後、半導体ウエハ上における粘着剤の残りや、半導体ウエハを破損する等の問題がなく、簡易な工程で半導体の薄膜加工を行うことが可能な半導体の製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成され、光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強され、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用によって上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく製造することができるのである。
【0011】
上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、上記支持用積層体は、上記透明基板と、上記透明基板上に形成された上記光触媒含有層とを有する支持基板、および上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体を、上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。上記支持用積層体が、予め形成された上記支持基板と、予め形成された上記接着用積層体とから形成されることから、製造が容易であり、また上記支持基板を繰り返し使用することが可能であることから、製造効率やコストの面から好ましいからである。
【0012】
また、本発明は請求項3に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強されることから、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用により上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく、半導体ウエハを製造することができるのである。
【0014】
上記請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記支持用積層体は透明基板、および上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成された少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体を、上記透明基板と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。これにより、上記透明基板に、予め形成された上記接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により圧着することによって、容易に上記支持用積層体を形成することが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0015】
また、本発明は請求項5に記載するように、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記分解除去型粘着剤層とパターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記分解除去支持基板を有する上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記分解除去支持基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記分解除去支持基板と上記半導体ウエハとを貼付することにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハを上記分解除去支持基板により補強することができ、上記半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。また、上記分解除去支持基板が、上記光触媒含有層および上記分解除去型粘着剤層を有することにより、上記エネルギー照射工程において、エネルギーを照射することにより、分解除去型粘着剤層を分解除去することが可能であり、これにより上記分解除去支持基板および半導体ウエハを容易に剥離することが可能となるのである。
【0017】
上記請求項5に記載の発明においては、請求項6に記載するように、上記分解除去支持基板が、上記透明基板と上記光触媒含有層との間に、粘着剤層および高分子樹脂基材とを有し、かつ上記透明基板上に粘着剤層が形成され、上記粘着剤層上に高分子樹脂基材が形成され、上記高分子樹脂基材上に光触媒含有層が形成されていてもよい。これにより、例えば上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハ上のパターン形成面へかかる力を和らげることが可能となり、半導体ウエハの破損等を防ぐことが可能となるからである。
【0018】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項7に記載するように、上記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により粘着性が低下するエネルギー硬化型粘着剤層とすることができる。これにより、上記エネルギー照射工程における、エネルギーの照射による光触媒の影響により、上記エネルギー硬化粘着剤層の粘着性が低下することから、容易に上記光触媒含有層および上記エネルギー硬化型粘着剤層を剥離することが可能となるからである。
【0019】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、上記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により分解除去される分解除去型粘着剤層であってもよい。これにより、上記エネルギー照射工程における、エネルギーの照射による光触媒の影響により、上記分解除去型粘着剤層を分解除去することが可能となり、容易に上記光触媒含有層および高分子樹脂基材、または半導体ウエハを剥離することが可能となるのである。
【0020】
上記請求項5、請求項6、または請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記分解除去型粘着剤層が、アクリル系、ブタジエン系、エマルジョン系の粘着剤であることが好ましい。上記分解除去型粘着剤層が、上記物質を含有することにより、上記エネルギー照射による光触媒の作用により、分解除去することが可能となるからである。
【0021】
上記請求項5、請求項6、請求項8または請求項9に記載の発明においては、請求項10に記載するように、上記分解除去型粘着剤層の膜厚が、10μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。上記分解除去型粘着剤層の膜厚が、上記範囲内であることにより、上記分解除去型粘着剤層を、容易にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去することが可能な層とすることが可能となるからである。
【0022】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、上記高分子樹脂基材が、片面または両面にコロナ処理、プラズマ処理、またはサンドブラスト処理がされたものであることが好ましい。これにより、上記高分子樹脂基材上と、上記粘着剤層や上記特性変化粘着剤層等との密着性を向上させることが可能となるからである。
【0023】
上記請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項12に記載するように、上記高分子樹脂基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンのいずれかのフィルムであり、かつ上記エネルギーを透過させるものであることが好ましい。上記ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンのフィルムは、比較的強度があり、上記半導体ウエハ剥離工程により、上記半導体ウエハを破損等することなく、容易に上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することが可能となるからである。また、上記エネルギー照射工程において、上記フィルムがエネルギーを透過させることにより、上記粘着剤層までエネルギーを照射することが可能となることから、上記粘着剤層に、例えばエネルギー硬化型粘着剤層等を用いた場合、エネルギー照射により粘着性を低下させることが可能であり、容易に上記半導体ウエハと、上記粘着剤層を剥離することができることからも好ましい。
【0024】
上記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項13に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒からなる層とすることができる。これにより、上記特性変化粘着剤層の特性の変化または上記分解除去型粘着剤層の分解除去を効率よく行うことが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0025】
また、上記請求項13に記載の発明においては、請求項14に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒を真空製膜法により製膜してなる層であることが好ましい。これにより、表面の凹凸が少なく均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であり、上記特性変化粘着剤層の特性の変化、または分解除去型粘着剤層の分解除去を均一に、かつ高効率で行うことができるからである。
【0026】
上記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項15に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であってもよい。上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることにより、光触媒含有層の形成が容易であり、結果的に低コストで半導体ウエハの製造を行うことができるからである。
【0027】
上記請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項16に記載するように、上記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項17に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。これは二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性も少なく、また入手も容易であるからである。
【0028】
上記請求項1から請求項17までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項18に記載するように、上記エネルギーの照射が、紫外光の照射であることが好ましい。これにより、通常上記光触媒を励起されることが可能であり、製造コストや効率の面からも好ましいからである。
【0029】
上記請求項1から請求項18までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項19に記載するように、上記半導体ウエハ研削後における半導体ウエハの厚さが、30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。これにより、製造された半導体ウエハを例えば積層して用いる等、様々な用途に用いることが可能な半導体ウエハとすることが可能となるからである。
【0030】
また、本発明は請求項20に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する半導体ウエハ製造用支持基板であって、上記光触媒含有層上に、エネルギーの照射に伴う光触媒の影響により特性が変化する特性変化粘着剤層を介して表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハのパターン形成面が貼付され、上記半導体ウエハの裏面を研削後、上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させて、粘着性を低下させ、上記半導体ウエハ製造用支持基板を容易に剥離できるようにしたことを特徴とする半導体ウエハ製造用支持基板を提供する。
【0031】
本発明によれば、上記半導体ウエハ製造用支持基板が、上記光触媒含有層を有することにより、上記半導体ウエハ研削後、エネルギーの照射により、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることができ、上記半導体ウエハ製造用支持基板および上記特性変化粘着剤層を、上記半導体ウエハに影響を与えることなく、容易に剥離することが可能となるのである。
【0032】
また、本発明は請求項21に記載するように、高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とする半導体ウエハ製造用接着用積層体を提供する。
【0033】
本発明の接着用積層体は、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することにより、半導体ウエハを研削する際に、透明基板と半導体ウエハの接着に用いることができ、この半導体ウエハの研削後、エネルギーを照射することにより、上記光触媒含有層の光触媒の影響により、上記特性変化粘着剤層の例えば粘着性を低下させる等の特性を変化させることが可能となり、容易に透明基板と、半導体ウエハとを剥離することが可能とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、半導体ウエハの製造方法、半導体ウエハ製造用支持基板、および半導体ウエハ製造用接着用積層体に関するものである。以下、それぞれについて説明する。
【0035】
A.半導体ウエハの製造方法
まず、本発明の半導体ウエハの製造方法について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法は、3つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様にわけて説明する。
【0036】
1.第一実施態様
まず、本発明の半導体ウエハの製造方法における第一実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第一実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成され、光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とするものである。
【0037】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図1を用いて説明する。まず、例えば図1(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された特性変化粘着剤層3と、この特性変化粘着剤層3上に形成された高分子樹脂基材4と、この高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5とを有する支持用積層体6における粘着剤層5と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。次に、上記半導体ウエハ貼付工程により支持用積層体6が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図1(b))。この工程において、半導体ウエハ7に支持用積層体6が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0038】
次に、支持用積層体6の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図1(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、特性変化粘着剤層3の特性を、例えば粘着性が低下する等、変化させることができる。
【0039】
次に、光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程を行う(図1(d))。この際、特性変化粘着剤層3は、上記エネルギー照射工程により特性が、例えば粘着性が低下する等特性が変化していることから、容易に光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを半導体ウエハを破損等することなく剥離することが可能となるのである。
【0040】
最後に、半導体ウエハ7と、粘着剤層5とを剥離することにより、半導体ウエハ剥離工程を行い、半導体ウエハ7のみを得るのである(図1(e))。
【0041】
以下、上記で説明した本実施態様の半導体ウエハの製造方法について、各工程について詳しく説明する。
【0042】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体と、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付する工程である。以下、半導体ウエハ貼付工程の各構成について説明する。
【0043】
(支持用積層体)
まず、本実施態様に用いられる支持用積層体について説明する。本実施態様に用いられる支持用積層体は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有するものである。以下、各構成について説明する。
【0044】
a.透明基板
まず、本実施態様の支持用積層体に用いられる透明基板について説明する。本実施態様における透明基板は、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーを透過させることが可能である透明な基板であり、かつ後述する半導体ウエハ研削工程において、半導体ウエハを補強することが可能な強度を有する平坦性の高い基板であれば、その材料等は特に限定されるものではなく、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよく、また可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
【0045】
上述したような透明基板の材料として、具体的には、ガラス、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、スチレン、環状ポリオレフィン、トリメチルペンテンコポリマー等を挙げることができる。
【0046】
b.光触媒含有層
次に、本実施態様に用いられる光触媒含有層について説明する。本実施態様に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、後述する特性変化粘着剤層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。
【0047】
このような光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層上に配置される特性変化粘着剤層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
【0048】
本実施態様で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0050】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0051】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0052】
本実施態様における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
【0053】
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化粘着剤層上の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
【0054】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化粘着剤層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化粘着剤層上の特性を変化させることが可能となる。
【0055】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0056】
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0057】
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0058】
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiX4で表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0059】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0061】
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0062】
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0063】
c.特性変化粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層とは、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において、上述した光触媒含有層に含有される光触媒の影響により特性が変化し、後述する特性変化粘着剤層剥離工程において、上記光触媒含有層との剥離を容易にすることが可能な層である。
【0064】
また、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層は、上記光触媒含有層上に全面に形成されたものであってもよく、またパターン状に形成されたものであってもよい。
上述したような特性を有する層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、中でもエネルギー照射による光触媒の影響により粘着性が低下するエネルギー硬化型粘着剤層、またはエネルギー照射に伴う光触媒の影響により分解除去される分解除去型粘着剤層であることが好ましい。以下、上記エネルギー硬化型粘着剤層および分解除去型粘着剤層について説明する。
【0065】
(i)エネルギー硬化型粘着剤層
まず、本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層は、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーにより硬化し、また上述した光触媒含有層に含有される光触媒の影響により粘着性が低下する層であれば、その材料等は特に限定されるものではなく、例えば公知の紫外線硬化型粘着剤層等を用いることも可能である。
【0066】
上記エネルギー硬化型粘着剤層の、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により粘着性が低下する作用機構としては、エネルギー照射により活性化された光触媒が、接触する上記エネルギー硬化型粘着剤層表面に作用し、その化学結合を切断する等により、粘着性を低下させるのである。
【0067】
一般的に、エネルギー硬化型粘着剤層に用いられる材料としては、高分子弾性体、エネルギー硬化成分、光重合開始剤等による組成物が挙げられ、また必要に応じて架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、劣化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
【0068】
上記高分子弾性体としては、アクリル系粘着剤や、飽和コポリエステル等の粘着剤が挙げられ、アクリル系粘着剤としては、通常、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合性コモノマーとの共重合体が用いられる。これらの重合体を構成するモノマー又はコモノマーとして、例えばメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル(メタ)アクリル酸等のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、例えばジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。主モノマーとしては、通常、ホモポリマーのガラス転移温度が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルが使用される。
【0069】
また、飽和コポリエステルとしては、多価アルコールと2種以上の多価カルボン酸との飽和コポリエステルが挙げられる。上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類等が挙げられる。また、多価カルボン酸には、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が含まれ、中でも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを併用する事が多い。
【0070】
次に、紫外線硬化性成分としては、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることが可能であり、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル、エステルアクリレートオリゴマー、2−プロペニル ジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチル ビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のシアヌレート又はイソシアヌレート化合物等が挙げられる。
【0071】
次に、光重合開始材としては、後述するエネルギー照射工程において、照射されるエネルギーにより、ラジカルを生成する物質であれば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類、ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン等が挙げられる。
【0072】
また、架橋剤として、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、酸無水物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマー等を挙げることができる。
【0073】
本実施態様においては、上記材料の組成物を、例えばコンマコーター、グラビアコータ−、グラビアリバースコーター、3本リバースコーター、スリットリバースコーター、ダイコーター等により塗工後、乾燥させることによりエネルギー硬化型粘着剤層を形成する。
【0074】
また、本実施態様に用いられるエネルギー硬化型粘着剤層の膜厚は、3μm〜100μm、中でも10μm〜40μmであることが好ましい。
【0075】
(ii)分解除去型粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる分解除去型粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる分解除去型粘着剤層は、上述した光触媒含有層および、後述する高分子樹脂基材を接着する層であって、後述するエネルギー照射工程において、光触媒の作用により分解除去される層であれば、その材料等は特に限定されるものではない。
【0076】
一般的に、分解除去型粘着剤層に用いられる材料としてはアクリル系、ブタジエン系、エマルジョン系の粘着剤等を用いることができ、中でもアクリル系の粘着剤であることが好ましい。
【0077】
本実施態様における分解除去型粘着剤層の形成方法については、上記エネルギー硬化型粘着剤層における方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0078】
また、本実施態様における分解除去型粘着剤層の膜厚は、10μm〜200μm、中でも10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0079】
d.高分子樹脂基材
次に本実施態様に用いられる高分子樹脂基材について説明する。本実施態様に用いられる高分子樹脂基材は、後述する半導体ウエハ剥離工程において、後述する粘着剤層と半導体ウエハとを剥離する際に、粘着剤層が、半導体ウエハ上に残ることなく、剥離させるために設けられるものである。
【0080】
本実施態様に用いられる高分子樹脂基材は、後述するエネルギー照射工程において、照射されるエネルギーを透過させることが可能な平坦な高分子樹脂基材であれば、その形状等は特に限定されるものではないが、着色されていない透明、または半透明な高分子樹脂性のフィルムが好適に用いられる。これにより、例えば後述する粘着剤層に、エネルギー硬化型粘着剤層を用いた場合、後述するエネルギー照射工程において、照射されたエネルギーを透過させることが可能となり、このエネルギー硬化型粘着剤層を硬化させ、粘着性を弱めることが可能となることから、容易に半導体ウエハと粘着剤層とを剥離することが可能となるからである。
【0081】
また、本実施態様においては、上記高分子樹脂基材が、片面または両面にコロナ処理、プラズマ処理、またはサンドブラスト処理がされたものであることが好ましい。これにより、上記高分子樹脂基材上に、後述する粘着剤層や上記特性変化粘着剤層等の密着性を向上させることが可能となるからである。
【0082】
本実施態様に用いられる高分子樹脂として、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリビニルフロライド(PVF)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンであることが好ましい。
【0083】
また、本実施態様に用いられる高分子樹脂基材の膜厚は、10μm〜500μm、中でも25μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
【0084】
さらに、本実施態様においては、上述した高分子樹脂基材に、上記特性変化粘着剤層または後述する粘着剤層との接着性を高めるために、アンカー層等を設けても良い。
【0085】
e.粘着剤層
次に、本実施態様に用いられる粘着剤層について説明する。本実施態様に用いられる粘着剤層は、支持用積層体と、後述する半導体ウエハとを接着する層であって、後述する半導体ウエハ剥離工程において、半導体ウエハと剥離することが可能な層であれば、上述したエネルギー硬化型粘着剤層、または剥離が容易である再剥離型粘着剤層等、特に限定されるものではないが、中でも上記エネルギー硬化型粘着剤層であることが好ましい。本実施態様における粘着剤層が、上記エネルギー硬化型粘着剤層であることにより、後述するエネルギー照射工程において、エネルギー照射により粘着性を弱めることが可能となることから、容易に半導体ウエハと粘着剤層とを粘着剤層が残ることなく、剥離することが可能となるからである。
【0086】
また、本実施態様に用いられる粘着剤層の膜厚は、3μm〜100μm、中でも10μm〜40μmであることが好ましい。
【0087】
f.支持用積層体
次に、本実施態様における支持用積層体について説明する。本実施態様における支持用積層体は、上記透明基板と、この透明基板上に形成された上記光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された上記高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された上記粘着剤層とを有するものであれば、その製造方法等は特に限定されるものではない。
【0088】
本実施態様においては、支持用積層体の製造方法として、上記透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層とを有する支持用基板を形成し、また上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材の片面に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層と反対側の上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する接着用積層体を形成した後、この支持用基板および接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により、上記光触媒含有層と、上記特性変化変化粘着剤層とを密着させることにより貼付し、形成されたものであることが好ましい。これにより、製造効率がよく、また後述する特性変化粘着剤層剥離工程において、特性変化粘着剤層と剥離された上記支持基板を繰り返し使用することが可能となることから、製造コストの面からも好ましいからである。
【0089】
ここで、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層または粘着剤層については、必要に応じて離型フィルム等を用いていてもよい。
【0090】
(半導体ウエハ)
次に、本実施態様に用いられる半導体ウエハについて説明する。本実施態様に用いられる半導体ウエハは、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハであり、その形状や厚さ、形成されたパターン等は特に限定されるものではなく、シリコンインゴットから、スライスされた一般的に用いられる半導体ウエハであればよい。
【0091】
なお、本発明でいうパターンには、回路も含まれるものとする。
【0092】
また、本実施態様においては、後述する半導体ウエハ研削工程において、半導体ウエハを薄膜に加工することが可能であることから、例えば積層して用いられる半導体ウエハであってもよい。
【0093】
(支持用積層体および半導体ウエハの貼付)
次に、本実施態様の支持用積層体および半導体ウエハの貼付について説明する。本実施態様の支持用積層体および半導体ウエハの貼付とは、上述した支持用積層体と、上述した半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付するものであり、その方法等は特に限定されるものではないが、本実施態様においては、上述した支持用積層体および半導体ウエハは、貼付の際に気泡が混入しないように、例えば太陽電池モジュール製造用等に用いられるような真空ラミネーターにて貼り合わせを行うことが好ましい。
【0094】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ研削工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハの研削は、上述した半導体ウエハ貼付工程により、支持用積層体が貼付された半導体ウエハの裏面を、目的とする厚さまで研削する工程であり、その研削方法等は、通常半導体ウエハの研削に用いられる、例えばバックグラインド等の方法により行うことが可能である。
【0095】
ここで、上記半導体ウエハ研削工程後の半導体ウエハの膜厚が、20μm〜200μm、中でも20μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様で得られた半導体ウエハを、積層して高集積用デバイスとして用いる等、様々な用途に用いることが可能な半導体ウエハとすることが可能となるからである。
【0096】
ここで、上記半導体ウエハを、高集積用デバイスとして用いる場合には、上記半導体ウエハ研削後の半導体ウエハの裏面に、例えば半導体ウエハ積層用フィルムを貼付し、さらにダイシングテープを貼付する工程を有していてもよい。
【0097】
(3)エネルギー照射工程
次に、本実施態様におけるエネルギー照射工程について説明する。本実施態様におけるエネルギー照射工程は、上記半導体ウエハ研削後、上記支持用積層体の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させる工程である。
【0098】
本実施態様におけるエネルギーの照射とは、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0099】
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される紫外光であることが好ましい。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0100】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0101】
また、上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
【0102】
また、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化粘着剤層が光触媒含有層中の光触媒の作用により特性が変化するのに必要な照射量とする。
【0103】
この際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させことが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0104】
ここで、本実施態様におけるエネルギー照射工程は、例えばバキュームチャック等により、半導体ウエハを固定して行うことが好ましい。これにより、後述する粘着剤層剥離工程および半導体ウエハ剥離工程を容易に行うことが可能となるからである。
【0105】
(4)特性変化粘着剤層剥離工程
次に、本実施態様に用いられる特性変化粘着剤層剥離工程について説明する。本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程は、上記特性変化粘着剤層と、上記光触媒含有層とを剥離する工程である。これにより、上記透明基板および光触媒含有層が取り除かれる。上記特性変化粘着剤層が、例えばエネルギー硬化型粘着剤層である場合には、上記エネルギー照射工程におけるエネルギーの照射により、粘着性が低下していることから、容易に特性変化粘着剤層および光触媒含有層の剥離を行うことができるのである。
【0106】
また、上記特性変化粘着剤層が、例えば分解除去型粘着剤層である場合には、上記エネルギー照射工程におけるエネルギーの照射により、分解除去型粘着剤層は、分解除去されていることから、容易に光触媒含有層および透明基板を取り除くことが可能となるのである。
【0107】
この際、特性変化粘着剤層剥離工程を、半導体ウエハに影響を与えることなく行うために、上記エネルギー照射工程により、上記特性変化粘着剤層の特性の変化を完全に行った後に、剥離を行うことが重要である。
【0108】
上記エネルギー照射工程により特性変化粘着剤層の密着強度が低下しており、さらに光触媒による分解反応によってCO2ガス等が発生し、自己剥離が行われていることから、半導体ウエハ面側をバキュームチャックにて保持し、持ち上げることにより、特性変化粘着剤層が剥離される。
【0109】
(5)半導体ウエハ剥離工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ剥離工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ剥離工程は、上記粘着剤層と、上記半導体ウエハとを剥離する工程である。これにより、上記特性変化層、上記高分子樹脂基材、上記粘着剤層が取り除かれ、半導体ウエハのみを得ることができるのである。
【0110】
上記剥離の方法としては、上記半導体ウエハ端面からゆっくりと粘着剤がウエハ上に残らないように剥離させる。
【0111】
2.第二実施態様
次に、本発明の半導体ウエハの製造方法における第二実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第二実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、上記特性変化粘着剤層上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記粘着剤層と、上記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記支持用積層体が貼付された上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
上記粘着剤層と上記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とするものである。
【0112】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図2を用いて説明する。まず、例えば図2(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された特性変化粘着剤層3と、この特性変化粘着剤層3上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された高分子樹脂基材4と、この高分子樹脂基材4上に形成された粘着剤層5とを有する支持用積層体6における粘着剤層5と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。次に、上記半導体ウエハ貼付工程により支持用積層体6が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図2(b))。この工程において、半導体ウエハ7に支持用積層体6が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0113】
次に、支持用積層体6の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図2(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、特性変化粘着剤層3の特性が例えば粘着性が低下する等、変化させることができる。
【0114】
次に、光触媒含有層2と、上記エネルギー照射工程により特性が変化した特性変化粘着剤層3とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程を行う(図2(d))。この際、特性変化粘着剤層3が、例えば粘着性が低下する等特性が変化していることから、容易に光触媒含有層2と、特性変化粘着剤層3とを半導体ウエハを破損等することなく剥離することが可能となるのである。
【0115】
最後に、半導体ウエハ7と、粘着剤層5とを剥離することにより、半導体ウエハ剥離工程を行い、半導体ウエハ7のみを得るのである(図2(e))。
【0116】
以下、上記で説明した本実施態様の半導体ウエハの製造方法について、各工程について詳しく説明する。
【0117】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハの製造方法における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体と、表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハとを、上記粘着剤層および上記パターン形成面を密着させることにより、貼付する工程である。以下、半導体ウエハ貼付工程の各構成について説明する。
【0118】
(支持用積層体)
本実施態様に用いられる支持用積層体は、透明基板と、この透明基板上に形成された特性変化粘着剤層と、この特性変化粘着剤層上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、この高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有するものである。
【0119】
ここで、本実施態様に用いられる透明基板、特性変化粘着剤層、光触媒含有層、高分子樹脂基材、および粘着剤層に関しては、上述した第一実施態様における支持用積層体の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0120】
本実施態様に用いられる支持用積層体の形成方法としては、上記高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成された少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された上記特性変化粘着剤層と、上記高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された上記粘着剤層とを有する接着用積層体および透明基板を、上記透明基板と上記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることが好ましい。これにより、上記透明基板に、予め形成された上記接着用積層体を、例えばロールによる感圧ラミネート等により圧着することによって、容易に上記支持用積層体を形成することが可能となり、製造効率等の面から好ましいからである。
【0121】
(半導体ウエハ)
本実施態様に用いられる半導体ウエハについては、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0122】
(支持用積層体および半導体ウエハの貼付)
本実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付は、上記支持用積層体および上記半導体ウエハのパターン形成面を密着させることにより、貼付するものである。本実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付については、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0123】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により、支持用積層体が貼付された半導体ウエハの研削をする半導体ウエハ研削工程を行う。本実施態様における半導体ウエハ研削工程は、上述した第一実施態様における半導体ウエハ研削工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0124】
(3)エネルギー照射工程
次に、上記半導体ウエハ研削後、上記支持用積層体の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させる工程である。
【0125】
本実施態様におけるエネルギー照射工程は、上述した第一実施態様におけるエネルギー照射工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0126】
(4)特性変化粘着剤層剥離工程
次に、本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程について説明する。本実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程は、上記特性変化粘着剤層と、上記光触媒含有層とを剥離する工程である。これにより、上記透明基板および特性変化粘着剤層が取り除かれる。
【0127】
本実施態様における剥離の方法としては、上述した第一実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0128】
(5)半導体ウエハ剥離工程
次に、本実施態様における半導体ウエハ剥離工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ剥離工程は、上記粘着剤層と、上記半導体ウエハとを剥離する工程である。これにより、上記特性変化層、上記高分子樹脂基材、上記粘着剤層が取り除かれ、半導体ウエハのみを得ることができるのである。
【0129】
本実施態様における剥離の方法としては、上述した第一実施態様における半導体ウエハ剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0130】
3.第三実施態様
次に、本発明の半導体ウエハの製造方法における第三実施態様について説明する。本発明の半導体ウエハの製造方法における第三実施態様は、
透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、上記分解除去型粘着剤層とパターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
上記分解除去支持基板を有する上記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
上記分解除去支持基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とするものである。
【0131】
本実施態様の半導体ウエハの製造方法を、図3を用いて説明する。まず、例えば図3(a)に示すように、透明基板1と、この透明基板1上に形成された光触媒含有層2と、この光触媒含有層2上に形成された分解除去型粘着剤層9とを有する分解除去支持基板10と、表面にパターンが形成された半導体ウエハ7のパターン形成面側とを、上記分解除去型粘着剤層9と上記半導体ウエハ7のパターン形成面とを貼付する半導体ウエハ貼付工程を行う。
【0132】
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により分解除去支持基板10が貼付された半導体ウエハ7の裏面を所定の厚さまで研削する半導体ウエハ研削工程を行う(図3(b))。この工程において、半導体ウエハ7に分解除去支持基板10が貼付されていることによって、半導体ウエハが補強され、半導体ウエハを薄膜化することが可能となるのである。
【0133】
次に、分解除去支持基板10の透明基板1側からエネルギー8を照射するエネルギー照射工程を行う(図3(c))。このエネルギー8の照射により、光触媒含有層2中の光触媒が励起され、分解除去型粘着剤層9を分解除去することにより、分解除去支持基板と、半導体ウエハとを剥離することができ、半導体ウエハを得ることが可能となるのである。以下、本実施態様の各工程についてそれぞれ説明する。
【0134】
(1)半導体ウエハ貼付工程
まず、本実施態様における半導体ウエハ貼付工程について説明する。本実施態様における半導体ウエハ貼付工程は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板と、表面にパターンが形成された半導体ウエハのパターン形成面側とを貼付する工程である。以下、各構成について説明する。
【0135】
(分解除去支持基板)
まず、本実施態様に用いられる分解除去支持基板について説明する。本実施態様に用いられる分解除去支持基板は、透明基板と、この透明基板上に形成された光触媒含有層と、この光触媒含有層上に形成された分解除去型粘着剤層とを有するものである。透明基板、光触媒含有層、および分解除去型粘着剤層等については、第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0136】
また、本実施態様における分解除去支持基板は、上記透明基板と光触媒含有層との間に、粘着剤層および高分子樹脂基材を有しており、上記透明基板上に粘着剤層が形成され、上記粘着剤層上に高分子樹脂基材が形成され、上記高分子樹脂基材上に光触媒含有層が形成され、この光触媒含有層上に分解除去型粘着剤層が形成されたものであってもよい。これにより、例えば後述する半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハ上のパターン形成面へかかる力を和らげることが可能となり、半導体ウエハの破損等を防ぐことが可能となるからである。上記粘着剤層および高分子樹脂基材は、上述した第一実施態様で説明したものと同様のものを用いることが可能となる。
【0137】
(半導体ウエハ)
本実施態様に用いられる半導体ウエハについては、上述した第一実施態様における半導体ウエハの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0138】
(分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付)
本実施態様における分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付については、上記分解除去支持基板における上記特性変化粘着剤層および上記半導体ウエハにおけるパターン形成面とを密着させることにより、貼付するものである。本実施態様における分解除去支持基板および半導体ウエハの貼付については、上述した第一実施態様における支持用積層体および半導体ウエハの貼付の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0139】
(2)半導体ウエハ研削工程
次に、上記半導体ウエハ貼付工程により、分解除去支持基板が貼付された半導体ウエハの研削をする半導体ウエハ研削工程を行う。本実施態様における半導体ウエハ研削工程は、上述した第一実施態様における半導体ウエハ研削工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0140】
(3)エネルギー照射工程
次に、上記半導体ウエハ研削後、上記分解除去支持基板の透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記分解除去型粘着剤層を分解除去し、上記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離させる工程である。ここで、上記分解除去支持基板における分解除去型粘着剤層は、分解除去されることから、半導体ウエハ上から上記透明基板および光触媒含有層を取り外すことにより、半導体ウエハを得ることが可能となるのである。
【0141】
本実施態様におけるエネルギー照射工程におけるエネルギー照射は、上述した第一実施態様におけるエネルギー照射工程と同様であり、また剥離については、上述した第一実施態様における特性変化粘着剤層剥離工程において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0142】
4.その他
また、本発明における半導体ウエハの製造方法は、第一実施態様における支持用積層体および第二実施態様における支持用積層体の構造を組み合わせたものを用いてもよく、また第二実施態様の支持用積層体および第三実施態様の分解除去基板を組み合わせた構造を組み合わせたものを用いてもよい。
【0143】
例えば、図4に示すように、第二実施態様の接着用積層体および第三実施態様の分解除去基板を組み合わせて、透明基板上1に特性変化粘着剤層3が形成され、この特性変化層3上に光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に高分子樹脂基材4が形成され、さらに高分子樹脂基材4上に光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に分解除去型粘着剤層9が形成された支持用積層体6とすることができる。この支持用積層体6における上記分解除去型粘着剤層と半導体ウエハ7とを貼付し、上記半導体ウエハ研削工程後に、上述したエネルギー照射工程により、エネルギー照射をすることにより、上記透明基板上の特性変化層3の特性が変化し、上記特性変化層3と上記光触媒含有層2とを容易に剥離することが可能であることと同時に、上記分解除去型粘着剤層9が分解除去され、上記光触媒含有層2と、上記半導体ウエハ7を容易に剥離することが可能となるのである。
【0144】
B.半導体ウエハ製造用支持基板
次に、本発明における半導体ウエハ製造用支持基板について説明する。本発明における半導体ウエハ製造用支持基板は、透明基板と、上記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する半導体ウエハ製造用支持基板であって、上記光触媒含有層上に、エネルギーの照射に伴う光触媒の影響により特性が変化する特性変化粘着剤層を介して表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハのパターン形成面が貼付され、上記半導体ウエハの裏面を研削後、上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させて、粘着性を低下させ、上記半導体ウエハ製造用支持基板を容易に剥離できるようにしたことを特徴とするものである。
【0145】
本発明によれば、上記半導体ウエハ製造用支持基板が、上記光触媒含有層を有することにより、上記半導体ウエハ研削後、エネルギーの照射により、上記特性変化粘着剤層の特性を変化させることができ、上記支持材および上記特性変化粘着剤層を、上記半導体ウエハに影響を与えることなく、容易に剥離することが可能となるのである。
【0146】
本発明の半導体ウエハ製造用支持基板に用いられる透明基板および光触媒含有層については、上述した半導体ウエハの製造方法における第一実施態様において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0147】
C.半導体ウエハ製造用接着用積層体
次に、本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体について説明する。本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体は、高分子樹脂基材と、上記高分子樹脂基材上の片面に形成され、少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、高分子樹脂基材上に形成され、かつ上記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とするものである。
【0148】
本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体は、例えば図5に示すように、高分子樹脂基材4上に、光触媒含有層2が形成され、この光触媒含有層2上に、特性変化粘着剤層3が形成されている。また上記高分子樹脂基材4上の、上記特性変化粘着剤層が形成されているのと反対側の面に、粘着剤層5が形成されたものである。
【0149】
本発明の半導体ウエハ接着用積層体は、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することにより、半導体ウエハを研削する際に、透明基板と半導体ウエハとの接着に用いることができ、この半導体ウエハの裏面の研削後、エネルギーを照射することにより、上記光触媒含有層の光触媒の影響により、上記特性変化粘着剤層を、例えば粘着性を低下させる等の特性を変化させることが可能となり、容易に透明基板と、半導体ウエハとを剥離することが可能とするものである。
【0150】
また、上記半導体ウエハ製造用接着用積層体は、例えば上記高分子樹脂基材の両面に光触媒含有層が形成されており、かつ上記粘着剤層が分解除去型粘着剤層であるものであってもよい。
【0151】
これにより、エネルギーを照射することにより、上記特性変化粘着剤層と、前記光触媒とを剥離させるのと同時に、上記光触媒含有層の作用により、上記分解除去型粘着剤層を分解除去させ、容易に高分子樹脂基材と半導体ウエハとを剥離させることが可能となるからである。
【0152】
ここで、本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体に用いられる高分子樹脂基材、光触媒含有層、高分子樹脂基材、粘着剤層および製造方法については、上述した半導体ウエハの製造方法における第一実施態様において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0153】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本実施態様の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本実施態様の技術的範囲に包含される。
【0154】
例えば、上述した本発明の半導体ウエハの製造方法においては、特性変化粘着剤層と光触媒含有層が、個々に形成されたものについてのみ説明したが、本発明においては、上記特性変化粘着剤層および光触媒含有層が、1層で形成された光触媒含有特性変化粘着剤層であってもよい。
【0155】
この光触媒含有特性変化粘着剤層は、例えば上述したエネルギー硬化型粘着剤層中に、光触媒を含有させること等により、形成することが可能である。この光触媒含有特性変化粘着剤層は、上述したエネルギー照射工程において、エネルギー照射により、エネルギー硬化型粘着剤層が硬化するのと同時に、光触媒含有特性変化粘着剤層中の光触媒の影響により、エネルギー硬化型粘着剤層の粘着性を低下させることが可能となる。これにより、光触媒含有特性変化粘着剤層が接する両面の部材と、容易に剥離させることが可能となるのである。
【0156】
なお、上記光触媒含有特性変化粘着剤層は、例えば上述した第一実施態様および第二実施態様の特性変化層および光触媒含有層が形成されている位置、または上述した第三実施態様の光触媒含有層および分解除去型粘着剤層が形成されている位置に用いることが可能である。
【0157】
【実施例】
以下、本実施態様について、実施例を通じてさらに詳述する。
【0158】
[実施例1]
1.支持用基板形成工程
テトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製 TSL8114)5gと0.05規定塩酸2.5gとを混合し、24時間攪拌した。この溶液0.1gと光触媒無機コーティング剤(石原産業(株)製 ST−K03)50gとを混合し、1時間常温で撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより2倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
【0159】
次に、厚み1mmのガラス基板上に、前記光触媒含有層用組成物をスピンコーターにより塗布し、その後、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、厚さ0.15μmの光触媒含有層を厚み1.5mmのガラス基板上に形成し、支持用基板を得た。
【0160】
2.接着用積層体の形成
(第一工程)
紫外線硬化型のアクリル系2液の粘着剤である、綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン SW−11Aと硬化剤L−45とを重量比率100:2の配合比率にて混ぜ合わせ、トルエンおよび酢酸エチルを使用して、固形分20%になるように調製した。次に、調製された混合物を、第一給紙より繰り出した25μmの離型PET東洋紡E7007の離型フィルム面に、コンマコーターにて乾燥時25μmとなるようにコーティングし、ラインスピード毎分20mの速度にて温度設定100℃の10m以上の長さを有する乾燥フードにて乾燥し、第2給紙より、予め、両面にコロナ処理を施した50μmPET基材 東レルミラー T−50を貼り合わせて、巻き上げ1層目の紫外線硬化型粘着剤のコーティングを終えた。
【0161】
(第2工程)
次に、第一工程で調製された混合物と同様の混合物を、第一給紙より、東洋紡E7007を繰り出しコンマコーターにて乾燥時25μmとなるようにコーティングし、ラインスピード毎分20mの速度にて温度設定100℃の10m以上の長さを有する乾燥フードにて乾燥し、第2給紙より第1工程にて作製した、貼り合わせフィルムのPET面に貼り合わせ、両面に紫外線硬化型粘着剤を有するPETフィルムの作製を終えた。
【0162】
3.半導体ウエハ貼付工程
上記支持用基板の光触媒含有層に、上記接着用積層体の形成における第2工程にて作製したフィルムの片面の離型フィルムを剥し、ゴムローラーにて気泡が入らないように貼り合わせを行った。次に、もう片方の離型フィルムを剥し、研削を行う半導体ウエハのパターン形成面とを真空ラミネーターにて貼り合わせを行った。貼り合わせ時には、気泡の噛み込みを防止する為に真空ラミネーターにて貼り合わせを行った。
【0163】
4.半導体ウエハ研削工程
次に、上記支持用基板を押さえ板としながら半導体ウエハの研削を行い、バックグラインド装置にて半導体ウエハの研削を、30〜50μm程度の膜厚となるまで行った。さらに、研削が終了した研削面に、半導体ウエハ積層用のフィルム及びバックグラインド(BG)フィルムの貼り合わせを行った。
【0164】
5.エネルギー照射工程
次に、上記積層用フィルム及びバックグラインドフィルムを貼り合わせた半導体ウエハを、バキュームチャックにて積層用フィルム面から固定し、ガラス面側からUV光を80W/cmの出力にて15cmの距離から1分間照射を行った。これにより、光触媒による高分子分解作用と紫外線硬化型粘着剤の粘着力低下の相乗効果によって、上記光触媒含有層および上記紫外線硬化型粘着剤を剥離させた。
【0165】
次に、紫外線にて硬化された粘着剤を両面に有するPETフィルムをゆっくりと剥し、薄膜半導体ウエハを得た。
【0166】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0167】
半導体ウエハの厚みに関しては、全て50μmの厚みに研削されていた。
【0168】
[実施例2]
高分子樹脂基材をPEフィルム タマポリ(株)製GF−2(厚み50μm)とした以外は同様に行った。
【0169】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0170】
[実施例3]
上記ガラス基板を、帝人化成(株)製PC−7189(厚み1mm)とした以外は実施例1と同様に行った。
【0171】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0172】
[実施例4]
上記実施例1における第一工程および第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、貼付後再剥離が可能であるアクリル系2液の再剥離型粘着剤である、綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン AG−790と硬化剤L−45とを重量比率1000:4.5の配合にて混合した混合物とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0173】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0174】
[実施例5]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、
実施例4に用いた再剥離型粘着剤とした以外は実施例1と同様に行った。
【0175】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0176】
[実施例6]
バックグラインドフィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0177】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0178】
[実施例7]
積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0179】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0180】
[実施例8]
バックグラインドフィルムおよび積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0181】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0182】
[実施例9]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とし、バックグラインドフィルムの貼付を行わなかった以外は実施例1と同様に行った。
【0183】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0184】
[実施例10]
上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とし、積層用フィルムの貼付を行わなかった以外は実施例1と同様に行った。
【0185】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0186】
[比較例1]
光触媒含有層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0187】
エネルギー照射前における特性変化粘着剤層の粘着力と、照射後における特性変化粘着剤層の粘着力について結果を表1に示す。
【0188】
[比較例2]
光触媒含有層を形成せず、上記実施例1における接着用積層体の第一工程における紫外線硬化型粘着剤を、熱剥離型粘着剤である綜研化学製粘着剤 主剤:SKダイン SK−1795と硬化剤L−45とを重量比率100:3の配合にて混合した混合物とし、上記実施例1における接着用積層体の第二工程における紫外線硬化型粘着剤を、実施例4に用いた再剥離型粘着剤とした以外は実施例1と同様に行った。
【0189】
なお、熱発砲型粘着剤を処理時80℃1分の熱をかけた。粘着力に関しては、加熱前後の値を示す。
【0190】
【表1】
【0191】
ここで、照射前、加熱前の粘着力に関しては、処理前については、ガラス基板や、ポリカ基板を貼り合わせずに作製したサンプルの強度(粘着剤/半導体ウエハ間)の強度を測定した値である。
【0192】
粘着力の測定に関しては、温度23℃,湿度60%の環境下にて、万能式引っ張り試験機にて剥離角度:90°剥離,剥離速度:300mm/min,の条件にて強度の測定により測定された値である。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、上記半導体ウエハ貼付工程により、上記半導体ウエハと、上記支持用積層体が貼付されることにより、上記半導体ウエハ研削工程において、上記半導体ウエハが上記支持用積層体により補強され、上記半導体ウエハを薄膜に加工することが可能となるのである。また、上記支持用積層体が、上記光触媒含有層および上記特性変化粘着剤層を有することから、上記半導体ウエハ研削工程後、上記エネルギー照射工程を行うことにより、光触媒の作用によって上記特性変化粘着剤層の特性を、例えば粘着性を低下させる等変化させることができ、上記光触媒含有層と、上記特性変化粘着剤層とを容易に剥離することが可能となるのである。さらに、上記半導体ウエハ剥離工程を有することにより、上記粘着剤層および上記半導体ウエハを剥離することができ、薄膜化した上記半導体ウエハを破損することなく、半導体ウエハを製造することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体ウエハの製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の半導体ウエハの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図3】本発明の半導体ウエハの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図4】本発明の半導体ウエハの製造方法に用いられる支持用基板の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の半導体ウエハ製造用接着用積層体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基板
2 … 光触媒含有層
3 … 特性変化型粘着剤層
4 … 高分子樹脂基材
5 … 粘着剤層
6 … 支持用積層体
7 … 半導体ウエハ
8 … エネルギー
9 … 分解除去型粘着剤層
10… 分解除去支持基板
Claims (21)
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成され、光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、前記特性変化粘着剤層上に形成された高分子樹脂基材と、前記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、前記粘着剤層と、前記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
前記支持用積層体が貼付された前記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
前記透明基板側からエネルギーを照射することにより、前記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
前記光触媒含有層と前記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
前記粘着剤層と前記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法。 - 前記支持用積層体は、前記透明基板と、前記透明基板上に形成された前記光触媒含有層とを有する支持基板、および前記高分子樹脂基材と、前記高分子樹脂基材上に形成された前記特性変化粘着剤層と、前記高分子樹脂基材上に形成され、かつ前記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された前記粘着剤層とを有する接着用積層体を、前記光触媒含有層と前記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化粘着剤層と、前記特性変化粘着剤層上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された高分子樹脂基材と、前記高分子樹脂基材上に形成された粘着剤層とを有する支持用積層体、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、前記粘着剤層と、前記パターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
前記支持用積層体が貼付された前記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
前記透明基板側からエネルギーを照射することにより、前記特性変化粘着剤層の特性を変化させるエネルギー照射工程と、
前記光触媒含有層と、前記特性変化粘着剤層とを剥離する特性変化粘着剤層剥離工程と、
前記粘着剤層と前記半導体ウエハとを剥離させる半導体ウエハ剥離工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法。 - 前記支持用積層体は透明基板、および前記高分子樹脂基材と、前記高分子樹脂基材上の片面に形成された少なくとも光触媒含有層を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された前記特性変化粘着剤層と、前記高分子樹脂基材上に形成され、かつ前記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された前記粘着剤層とを有する接着用積層体を、前記透明基板と前記特性変化粘着剤層とを密着させて貼付することにより形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去型粘着剤層とを有する分解除去支持基板、および表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハを、前記分解除去型粘着剤層とパターン形成面とを密着させることにより貼付する半導体ウエハ貼付工程と、
前記分解除去支持基板を有する前記半導体ウエハの裏面を研削する半導体ウエハ研削工程と、
前記分解除去支持基板側からエネルギーを照射することにより、前記分解除去型粘着剤層を分解除去し、前記分解除去支持基板および半導体ウエハを剥離するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とする半導体ウエハの製造方法。 - 前記分解除去支持基板が、前記透明基板と前記光触媒含有層との間に、粘着剤層および高分子樹脂基材とを有し、かつ前記透明基板上に粘着剤層が形成され、上記粘着剤層上に高分子樹脂基材が形成され、上記高分子樹脂基材上に光触媒含有層が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により粘着性が低下するエネルギー硬化型粘着剤層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記特性変化粘着剤層が、エネルギーの照射による光触媒の影響により分解除去される分解除去型粘着剤層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記分解除去型粘着剤層が、アクリル系、ブタジエン系、エマルジョン系の粘着剤であることを特徴とする請求項5、請求項6または請求項8に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記分解除去型粘着剤層の膜厚が、10μm〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項5、請求項6、請求項8または請求項9に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記高分子樹脂基材が、片面または両面にコロナ処理、プラズマ処理、またはサンドブラスト処理がされたものであることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記高分子樹脂基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびポリエチレンのいずれかのフィルムであり、かつ前記エネルギーを透過させるものであることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒を真空製膜法により製膜してなる層であることを特徴とする請求項13に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることを特徴とする請求項16に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記エネルギーの照射が、紫外光の照射であることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 前記半導体ウエハ研削後における半導体ウエハの厚さが、20μm〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれかの請求項に記載の半導体ウエハの製造方法。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する半導体ウエハ製造用支持基板であって、前記光触媒含有層上に、エネルギーの照射に伴う光触媒の影響により特性が変化する特性変化粘着剤層を介して表面にパターンが形成されたパターン形成面を有する半導体ウエハのパターン形成面が貼付され、前記半導体ウエハの裏面を研削後、上記透明基板側からエネルギーを照射することにより、前記特性変化粘着剤層の特性を変化させて粘着性を低下させ、上記半導体ウエハ製造用支持基板を容易に剥離できるようにしたことを特徴とする半導体ウエハ製造用支持基板。
- 高分子樹脂基材と、前記高分子樹脂基材上の片面に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された特性変化粘着剤層と、高分子樹脂基材上に形成され、かつ前記特性変化粘着剤層と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とする半導体ウエハ製造用接着用積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003040260A JP2004253483A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 半導体ウエハの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003040260A JP2004253483A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 半導体ウエハの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004253483A true JP2004253483A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33024196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003040260A Pending JP2004253483A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 半導体ウエハの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004253483A (ja) |
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007266593A (ja) * | 2006-03-03 | 2007-10-11 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 半導体装置の作製方法 |
JP2007273500A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | サポートプレートの剥離方法 |
JP2009141009A (ja) * | 2007-12-04 | 2009-06-25 | Hitachi Chem Co Ltd | 半導体装置及びその製造方法 |
JP2010153812A (ja) * | 2008-12-23 | 2010-07-08 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 半導体構造を形成する方法およびその半導体構造(半導体基板を薄化する方法) |
JP2011124480A (ja) * | 2009-12-14 | 2011-06-23 | Nitto Denko Corp | 粘着テープ剥離方法およびその装置 |
JP2013084973A (ja) * | 2006-03-03 | 2013-05-09 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 装置の作製方法 |
WO2013118694A1 (ja) * | 2012-02-08 | 2013-08-15 | 東京応化工業株式会社 | 積層体の製造方法 |
KR20130098926A (ko) * | 2012-02-28 | 2013-09-05 | 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 | 웨이퍼 가공체, 웨이퍼 가공용 부재, 웨이퍼 가공용 가접착재 및 박형 웨이퍼의 제조 방법 |
WO2013142054A1 (en) * | 2012-03-20 | 2013-09-26 | 3M Innovative Properties Company | Laminate body, method, and materials for temporary substrate support and support separation |
US8637380B2 (en) | 2012-03-23 | 2014-01-28 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Method of processing silicon and glass substrates using a laser peeling technique |
KR101386914B1 (ko) * | 2012-02-29 | 2014-04-18 | 주식회사 케이씨씨 | 복합기재필름 제조방법 및 그에 의해 제조된 복합기재필름을 포함하는 반도체 웨이퍼용 백그라인딩 테이프 |
JP2014112618A (ja) * | 2012-12-05 | 2014-06-19 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 積層体の形成方法 |
JP2015159217A (ja) * | 2014-02-25 | 2015-09-03 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド用基板、インプリントモールド及びそれらの製造方法、並びにインプリントモールドの再生方法 |
JP2015198160A (ja) * | 2014-04-01 | 2015-11-09 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド用基板及びその製造方法、インプリント方法、インプリントモールド及びその再生方法 |
CN111696853A (zh) * | 2015-02-09 | 2020-09-22 | 应用材料公司 | 处理基板的方法 |
-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003040260A patent/JP2004253483A/ja active Pending
Cited By (28)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9793150B2 (en) | 2006-03-03 | 2017-10-17 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Method for manufacturing semiconductor device |
US10229940B2 (en) | 2006-03-03 | 2019-03-12 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Method for manufacturing semiconductor device |
US9082679B2 (en) | 2006-03-03 | 2015-07-14 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Method for manufacturing semiconductor device |
US9436036B2 (en) | 2006-03-03 | 2016-09-06 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Method for manufacturing semiconductor device |
KR101382150B1 (ko) * | 2006-03-03 | 2014-04-07 | 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 | 반도체 장치의 제작 방법 |
JP2007266593A (ja) * | 2006-03-03 | 2007-10-11 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 半導体装置の作製方法 |
US8823023B2 (en) | 2006-03-03 | 2014-09-02 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Method for manufacturing semiconductor device |
JP2013084973A (ja) * | 2006-03-03 | 2013-05-09 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 装置の作製方法 |
JP2017028301A (ja) * | 2006-03-03 | 2017-02-02 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 剥離方法 |
JP2007273500A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | サポートプレートの剥離方法 |
WO2007116608A1 (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. | サポートプレートの剥離方法 |
JP2009141009A (ja) * | 2007-12-04 | 2009-06-25 | Hitachi Chem Co Ltd | 半導体装置及びその製造方法 |
JP2010153812A (ja) * | 2008-12-23 | 2010-07-08 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 半導体構造を形成する方法およびその半導体構造(半導体基板を薄化する方法) |
JP2011124480A (ja) * | 2009-12-14 | 2011-06-23 | Nitto Denko Corp | 粘着テープ剥離方法およびその装置 |
WO2013118694A1 (ja) * | 2012-02-08 | 2013-08-15 | 東京応化工業株式会社 | 積層体の製造方法 |
KR101493665B1 (ko) | 2012-02-08 | 2015-02-13 | 도오꾜오까고오교 가부시끼가이샤 | 적층체의 제조 방법 |
US9023172B2 (en) | 2012-02-08 | 2015-05-05 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd | Method of manufacturing laminate |
TWI471226B (zh) * | 2012-02-08 | 2015-02-01 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 層積體之製造方法 |
KR20130098926A (ko) * | 2012-02-28 | 2013-09-05 | 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 | 웨이퍼 가공체, 웨이퍼 가공용 부재, 웨이퍼 가공용 가접착재 및 박형 웨이퍼의 제조 방법 |
KR101386914B1 (ko) * | 2012-02-29 | 2014-04-18 | 주식회사 케이씨씨 | 복합기재필름 제조방법 및 그에 의해 제조된 복합기재필름을 포함하는 반도체 웨이퍼용 백그라인딩 테이프 |
WO2013142054A1 (en) * | 2012-03-20 | 2013-09-26 | 3M Innovative Properties Company | Laminate body, method, and materials for temporary substrate support and support separation |
JP2015518270A (ja) * | 2012-03-20 | 2015-06-25 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 一時的基板支持体及び支持体分離のための積層体、方法、並びに材料 |
US8637380B2 (en) | 2012-03-23 | 2014-01-28 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Method of processing silicon and glass substrates using a laser peeling technique |
JP2014112618A (ja) * | 2012-12-05 | 2014-06-19 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 積層体の形成方法 |
JP2015159217A (ja) * | 2014-02-25 | 2015-09-03 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド用基板、インプリントモールド及びそれらの製造方法、並びにインプリントモールドの再生方法 |
JP2015198160A (ja) * | 2014-04-01 | 2015-11-09 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド用基板及びその製造方法、インプリント方法、インプリントモールド及びその再生方法 |
CN111696853A (zh) * | 2015-02-09 | 2020-09-22 | 应用材料公司 | 处理基板的方法 |
CN111696853B (zh) * | 2015-02-09 | 2023-04-14 | 应用材料公司 | 处理基板的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1921120B1 (en) | Self-rolling laminated sheet and self-rolling pressure-sensitive adhesive sheet | |
JP2004253483A (ja) | 半導体ウエハの製造方法 | |
TWI423320B (zh) | Method for removing peeling from surface protection tape for crystal cutting and surface protection tape for crystal cutting | |
KR101250149B1 (ko) | 피절단체로부터의 다이싱 표면 보호 테이프의 박리 제거 방법 | |
KR100718364B1 (ko) | 에너지빔-경화형 열-박리성 감압성 접착 시이트 및 이를 사용한 절단 조각의 제조방법 | |
WO2010079688A1 (ja) | ガラス積層体およびその製造方法 | |
TW201145378A (en) | Method for processing wafer | |
WO2010047272A1 (ja) | 自発巻回性粘着シート | |
JP2010241967A (ja) | 再剥離性粘着シート及びこれを用いた被着体の加工方法 | |
JP2008155619A (ja) | 自発巻回性積層シート及び自発巻回性粘着シート | |
WO2010110087A1 (ja) | 電子デバイスの製造方法 | |
JP7107623B2 (ja) | 接着フィルム及び接着基材 | |
WO2014174958A1 (ja) | エネルギー線硬化型自発巻回性粘着テープ | |
JP2004253482A (ja) | 機能性素子の製造方法 | |
JP2005012177A (ja) | 貫通構造を有する薄膜化回路基板の製造方法と保護用粘着テープ | |
WO2007116608A1 (ja) | サポートプレートの剥離方法 | |
JP2000312862A (ja) | クリーニングシ―ト | |
JP4365312B2 (ja) | 異物除去シート | |
JP2001198075A (ja) | クリーニングシ―ト | |
JP3981243B2 (ja) | クリーニング機能付き搬送部材、及びこれに用いるクリーニング用ラベルシ―ト | |
JP2010106106A (ja) | 自発巻回性粘着シート及び自発巻回性粘着シートを使用した被着体の加工方法 | |
KR101899804B1 (ko) | 올레드 패널의 슬리밍 방법 | |
JP2005026532A (ja) | クリーニング機能付搬送部材の製造方法 | |
JP2010192537A (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
JP2002028582A (ja) | 基板処理装置のクリーニング方法、及びこれに用いるクリーニングシ―ト |