本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し、トナーの温度120℃における200gの荷重を加えた際の変形量(R200)が45〜75%であり、トナーの温度120℃における500gの荷重を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であるトナーである。
変形量とは、トナーに圧力をかけて錠剤状のサンプルを形成し、加熱下で、該サンプルに対して圧縮する力を加え、その際、特定の荷重(本発明においては、200g、或いは、500g)におけるサンプルが押し縮められた割合を表したものである。詳細な測定方法については後述する。
この変形量は、トナーの定着性と相関があるものと考えられる。また、定着画像の表面性、OHPシートに定着した際の透過性と相関があるものと考えられる。
本発明において、上記変形量(R200)は45〜75%であり、好ましくは50〜70%であり、更に好ましくは55〜67%である。変形量(R200)が45%未満となる場合には、定着画像のグロスの均一性を高めることが困難となり、OHP画像の透明性が低下する傾向にあり、変形量(R200)が75%を超える場合には、トナーの溶融・変形が過剰となり、非オフセット温度領域が狭くなる傾向にある。
また、本発明において、上記変形量(R500)は65〜85%、好ましくは70〜83%であり、更に好ましくは75〜80%である。変形量(R500)が65%未満となる場合には、定着画像のグロスの均一性を高めることが困難となり、OHP画像の透明性が低下する傾向にあり、変形量(R500)が85%を超える場合には、トナーの溶融・変形が過剰となり非オフセット温度領域が狭くなる傾向にある。
本発明において、上記変形量(R200)と変形量(R500)の比(R500/R200)は、1.10〜1.50であることが好ましく、より好ましくは1.15〜1.45であり、更に好ましくは1.20〜1.40である。比(R500/R200)が1.10未満となる場合には、OHPの定着画像の透明性が低下する場合あり、比(R500/R200)が1.50を超える場合には、定着画像のグロスを制御することが困難となる場合がある。
また、本発明のトナーにおいて、上記した要件に加え、以下に記載する各要件も満足させると、より好ましいトナーとすることができる。
本発明において、トナーは、温度120℃において20〜100gの離型荷重を示すことが好ましく、より好ましくは30〜80gであり、さらに好ましくは40〜70gである。
離型荷重とは、トナーに圧力をかけて錠剤状のサンプルを形成し、加熱下で、該サンプルに対して圧縮する力を加えて、パラレルプレートに融着させた後、サンプルを伸張させ、サンプルがパラレルプレートから剥れるまでの、サンプルが剥がれるのに抗した力の履歴を測定することによって求まる値であり、前記測定において、サンプルが剥れるのに抗した力の最大値が離型荷重である。
但し、離型荷重は、パラレルプレート全体が何gのおもりで引っ張られるのに相当する力を受けたかということで表されるため、単位は「g」で表される。詳細な測定方法は後述する。
120℃における離型荷重の値は、定着工程において定着ローラーによってトナー画像が転写材に加熱加圧定着された後、定着ローラーから定着画像が剥離される際のオフセット現象の生じやすさと相関があり、離型荷重が大きいということは、定着ローラーから剥離しにくく、オフセットが生じやすいという傾向が見られる。
本発明において、前記ワックスは、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピーク或いはショルダーを有すると良い。より好ましくは、前記ワックスは、70〜110℃の範囲、さらに好ましくは、75〜100℃の範囲に吸熱ピーク或いはショルダーを有すると良い。
前記ワックスが、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有さない場合には、トナーの離型荷重によらずオフセットが生じやすくなり、またオイルの塗布によりオフセットの発生を抑制する場合には、多量のオイルが必要となることがある。
DSCにより測定される前記ワックスの熱的特性は、トナーをDSCで測定したときの熱的特性とほぼ同じである。したがって本発明では、トナーの熱的特性についても、ワックスの熱的特性と同様のことが言える。
本発明のトナーは、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピーク或いはショルダーを有しており、より好ましくは、70〜110℃の範囲、さらに好ましくは、75〜100℃の範囲に吸熱ピーク或いはショルダーを有する場合である。
さらに好ましくは、トナーが、30〜80gの離型荷重を示し、かつ、ワックスが、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度70〜110℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有し、更に好ましくは、トナーが、40〜70gの離型荷重を示し、かつ、ワックスが、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度75〜100℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有するとよい。
トナーが、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有さない場合には、トナーの離型荷重によらずオフセットが生じやすくなり、またオイルの塗布によりオフセットの発生を抑制する場合には、多量のオイルが必要となることがある。
また、離型荷重が20g未満の場合には、120℃においてもトナーが硬い場合が多く、本発明で規定した変形量を満たすことが困難となってしまう。一方、離型荷重が100gを超え、かつ、ワックスが、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有さない場合には、トナーと定着部材との接着強度が強くなりすぎ、巻きつきオフセットが発生しやすくなる場合があり、これらいずれの場合もオフセットを防止するために多量のオイルが必要となるからである。
次に、本発明のトナーに含有される結着樹脂について説明する。
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、トナーとしての変形量に関し規定した範囲を満たすことができるものであれば、特に限定することなく用いることができ、例えば、(i)ポリエステル樹脂、(ii)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(iii)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂との混合物、(iv)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物、(v)ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(vi)ポリエステル樹脂、ハイブリッド樹脂及びビニル系共重合体との混合物等の樹脂を用いることができる。中でもグラフト体の如き構造を有するハイブリッド樹脂を含有する樹脂を用いることが好ましい。これはグラフト体の枝分かれ構造が、変形の自由度を高める働きをするため、トナーの変形量を所望の範囲にコントロールしやすいためである。
結着樹脂におけるポリエステル樹脂あるいはハイブリッド樹脂のポリエステルユニットは、アルコールとカルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステル等を原料モノマーとして使用できる。
具体的には、2価のアルコール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAが挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;トリメリット酸及びピロメリット酸の如き多価カルボン酸が挙げられる。
特に、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
本発明のトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。例えば、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニット、あるいは、(メタ)アクリル酸の如きカルボン酸基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとを、エステル交換反応あるいは、縮重合反応させることよって形成することができる。その他の方法としては、ビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットを構成する成分中に、両樹脂の成分と相互に反応し得るモノマー成分を用いて、ハイブリッド樹脂を製造することも好ましい。
ハイブリッド樹脂の存在は、13C−NMR測定により確認することができる。13C−NMR測定に際しては、磁性トナーの場合、13C−NMRスペクトルの分解能を磁性体が阻害するため、トナーを濃塩酸水溶液中に添加して室温で70〜80時間撹拌することにより磁性体を溶解したものを測定試料として用いる。また、カーボンブラック、有機顔料を含有する非磁性トナーは、そのままで測定試料とすることができる。ビニル系重合体としてスチレン−アクリル酸エステル共重合体を用い、またポリエステル樹脂として脂肪族ジカルボン酸ユニットを有する樹脂を用いた場合の13C−NMR測定結果の一例を表1に示す。
本発明のトナーにおいて、ハイブリッド樹脂成分のビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチルの如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの如きアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明に係るハイブリッド樹脂におけるビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
ビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットを構成する成分中に、両樹脂の成分と相互に反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂ユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステルが挙げられる。
本発明ではビニル系重合体ユニットの分子量分布を調整するために、分子量調整剤を用いることもできる。分子量調整剤としては、一般的に下記一般式(2)で表されるメルカプタン類、たとえばt−ドデシルメルカプタンなど、あるいは、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、α−メチルスチレンオリゴマー類が挙げられる。
R−SH (R:アルキル基) (2)
ビニル系重合体ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
次に、本発明の結着樹脂に用いられるハイブリッド樹脂の製造方法を例示する。例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法等で本発明のハイブリッド樹脂が製造できる。
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法である。ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及び/又はポリエステルが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットとしては、複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
本発明のトナーにおいて、ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの比(ビニル系重合体ユニット/ポリエステルユニット)は、質量換算で1.5以下、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下であるとよい。比(ビニル系重合体ユニット/ポリエステルユニット)が1.5を超える場合には、トナーの変形量が小さくなり、OHP透過性が劣るようになる傾向があるからである。
本発明のトナーは、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を全樹脂成分基準で1〜30質量%、好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%含有するとよい。THF不溶分が1質量%未満となる場合には、トナーの離型強度が小さくなる場合があり、30質量%を超える場合には、トナーの変形量が小さくなりすぎ、トナーの変形量を制御することが困難となる傾向にある。
また、本発明のトナーにおいて、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるクロマトグラムにおいて、分子量3000〜20000の領域にピークを有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5〜300であるとよい。
より好ましくは、分子量5000〜15000の領域にピークを有し、比(Mw/Mn)が10〜100となる場合であり、更に好ましくは、分子量7000〜13000の領域にピークを有し、比(Mw/Mn)が15〜50となる場合であり、特には比(Mw/Mn)が15〜30となる場合である。
分子量3000〜15000の領域にピークを有さない場合、又は比(Mw/Mn)が5未満あるいは300を超えるいずれの場合においてもトナーの変形量を制御することが困難となるからである。
本発明のトナーに含有されるワックスは、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレン系ワックス及びこれらのワックスに水酸基を導入したワックスのいずれかから選択されるものであることが好ましいが、より好ましくはパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレン系ワックスである。
ワックスはGPCで測定されるメインピーク分子量(Mp)が300〜2000であり、比(Mw/Mn)が1.0〜10であることが好ましく、より好ましくは、Mpが500〜1500であり、比(Mw/Mn)が1.1〜5であり、更に好ましくは、Mpが600〜1000であり、比(Mw/Mn)が1.2〜4である。
Mpが300未満となる場合にはトナー粒子におけるワックスの分散粒径が小さくなりすぎ、逆に、Mpが2000を超える、或いは、比(Mw/Mn)が10を超える場合には分散粒径が大きくなりすぎ、いずれの場合でもワックスの分散粒径を制御することが困難であり、高温オフセットを防止するために多量のオイルが必要となる場合が生じる。
また、本発明のトナーは、30mgKOH/g以下の酸価を有するものであることが好ましい。より好ましくは、5〜25mgKOH/gの酸価を有する場合であり、更に好ましくは10〜20mgKOH/gの酸価を有する場合である。
酸価が30mgKOH/gを超える場合には、定着時にトナー粒子に含有されるワックスの分散状態を本発明のトナーに好適な状態に保持することが困難となり、高温オフセットを防止するために多量のオイルが必要となる場合が生じる。
また、本発明のトナーは、重量平均粒径が4.0〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは5.0〜8.0μmであり、さらに好ましくは5.7〜7.0μmである。
また、粒度分布に関しては、粒径10.2μm以上の粒子が50体積%未満であることが好ましく、より好ましくは30体積%未満であり、更に好ましくは10体積%未満となる場合である。
トナーの重量平均粒径が4.0μm未満となる場合には、帯電安定化が低下し、カブリやトナー飛散が生じる傾向があり、トナーの重量平均粒径が10.0μmを超える場合には、ハーフトーン部の再現性の低下が生じる場合がある。
また、本発明のトナーにおいて、3μm以上の粒子の平均円形度が0.950以上であり、円形度0.950以上の粒子を70個数%以上含有するのが好ましい。より好ましくは平均円形度が0.955以上であり、円形度0.950以上の粒子を75個数%以上含有する場合であり、更に好ましくは平均円形度が0.960以上であり、円形度0.950以上の粒子を80個数%以上含有する場合である。
平均円形度が0.950未満であり、円形度0.950以上の粒子の割合が70個数%未満である場合には、トナーの転写性が改善されないばかりでなく、転写材上に転写されたトナー粒子の積層状態が不均一になりやすく、この状態で定着するとトナー粒子の飛散、不均一なグロス、OHP透過性の低下等の問題が生じやすい。
本発明のトナーは、トナーの帯電特性をコントロールする目的で、有機金属化合物を添加することもでき、これらの有機金属化合物は、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸からなる一群の化合物から選択される芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましい。
その金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてMg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Zr2+,Cu2+が挙げられる。中でも2価の金属としては、Zn2+,Ca2+,Mg2+,Zr2+,Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+があげられる。中でも好ましいのはAl3+,Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
上記有機金属化合物の具体例として、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましいものとして挙げられる。
また、この芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物の製造方法としては、例えば、オキシカルボン酸及びアルコキシカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶解している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより該化合物を合成することができる。ただし、この合成方法だけに限定されるものではない。
本発明のトナーにおいて、上記有機金属化合物はトナーの結着樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜1質量部添加する場合であり、更に好ましくは0.15〜0.8質量部添加する場合である。上記添加量が5質量部を超えると、トナーの変形量が制御することが困難となる場合があるからである。
本発明のトナーに磁性材料を含有させてを磁性トナーとして用いることもできる。その場合、磁性材料は着色剤としての機能を兼ねてもよい。磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
磁性材料は個数平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは、0.1〜0.5μm)で、795.8kA/m(10kエルステッド)印加で磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
該磁性材料は、マグネットを内包する現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴って担持される磁性一成分系現像剤として用いられる場合、トナーの結着樹脂100質量部に対して5〜120質量部含有するのが好ましい。
また、マグネットを有していない現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴わずに担持される一成分現像剤として用いる場合には、磁性材料をトナーの結着樹脂100質量部に対して0.1〜4質量部含有されていることが好ましい。この範囲内で含有させることにより、耐久時におけるトナー飛散現象(機内汚れ)を抑えることができる。磁性体の含有量が、5質量部を超えると、規制ブレードもしくはトナーを担持する弾性ローラー表面を著しく破損(削る)こととなり、帯電不良の原因となる。
また、磁性キャリア粒子と混合させて二成分現像剤として用いる場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは4〜10質量%にすると通常良好な結果が得られる。本発明におけるトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低くくなりやすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が生じやすく、現像剤の耐用寿命が短くなる傾向にある。
次に、本発明のトナーに含有させる着色剤について説明する。
本発明に用いられる着色剤としては、顔料及び/又は染料を用いることができる。顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方が好ましく、特にフルカラー画像を形成する際には画質を改善することができより好ましい。
例えば、染料としてはC.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6が挙げられる。
顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。
また、フルカラー画像形成用トナーとして使用する場合には、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,238,C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料や、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45、又は、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83,93,97,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
ブラック用着色剤としては、カーボンブラック、或いは、上記の着色剤を用いて黒色に調色したものを用いることができる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜15質量部含有していることが好ましく、より好ましくは3〜12質量部、さらに好ましくは4〜10質量部である。
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなるからである。着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、着色力が低下し、高い画像濃度の高品位画像が得られにくいからである。
また、本発明のトナーには、画質向上のために流動性向上剤が含有されていることがより好ましい。
流動性向上剤としては、トナーに添加することにより流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理アルミナ微粉末が挙げられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤を0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部含有させるとよい。
流動性向上剤とトナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合すれば、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
尚、本発明のトナーが、結着樹脂、着色剤、ワックスの他に上記した他の成分、例えば有機金属化合物や流動性向上剤等を含むトナーである場合には、本発明で規定するトナーの変形量の測定は該その他の成分も含むトナーに対して行う。
<本発明のトナーの製造方法について>
以下に、本発明のトナーの好ましい製造方法を記載する。
図3に基づいて、本発明のトナーの具体的な製造方法を説明する。
先ず、結着樹脂、ワックス及び着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粗粉砕する。
得られた粗粉砕物からなる粉体原料を、第1定量供給機に導入し、該第1定量供給機から所定量の粉体原料を、少なくとも中心回転軸に取り付けられた回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを具備し、且つ回転子と固定子との間隔を保持することによって形成される環状空間が気密状態となるように構成されている機械式粉砕機(粉砕手段)内に、粉体導入口を介して導入し、該機械式粉砕機の上記回転子を高速回転させることによって導入した粉体原料を微粉砕する。
該微粉砕物を機械式粉砕機の粉体排出口から排出して第2定量供給機に導入し、第2定量供給機から所定量の微粉砕物を、交差気流とコアンダ効果を利用して粉体を気流分級する多分割気流式分級機(分級手段)に導入し、該多分割気流式分級機内で微粉砕物を少なくとも微粉体、中粉体及び粗粉体に分級する。
分級された粗粉体は、また粉体原料と共に、上記機械式粉砕機に導入して繰り返し粉砕工程に供する。
本発明のトナーは、この粉砕・分級システムを用いて得られた中粉体を使用する。
より具体的には、図4に示すように、トナー原料となる粗粉体原料は、先ず、粉砕手段である機械式粉砕機51に第1定量供給機52を介して所定量導入される。導入された粉体原料は、機械式粉砕機51で瞬間的に粉砕され、補集サイクロン53を介して第2定量供給機62に導入される。次いで振動フィーダー63を介し、さらに原料供給ノズル76を介して分級手段である多分割気流式分級機61内に供給される。
また、この装置システムにおいて、第1定量供給機52から粉砕手段である機械式粉砕機51に導入される所定量と、第2定量供給機62から分級手段である多分割気流式分級機61に導入される所定量との関係を、第1定量供給機52から機械式粉砕機51に導入される所定量を1とした場合、第2定量供給機62から多分割気流式分級機61に導入される所定量を0.7〜1.7、より好ましくは、0.7〜1.5、さらに好ましくは、1.0〜1.2とすると、トナー生産性及び生産効率という点から好ましい。
通常、気流式分級機は、相互の機器をパイプのごとき連通手段で連結し、装置システムに組み込まれて使用される。図4は、このように、多分割気流式分級装置61(図8に示される分級装置)、定量供給機62、振動フィーダー63、捕集サイクロン64a〜64cを連通手段で連結して一体型の装置となっている。
この装置システムにおいて、粉体は、適宜の手段により、第2定量供給機62に送り込まれ、次いで振動フィーダー63を介し、原料供給ノズル76により多分割気流式分級装置61内に導入される。
導入に際しては、10〜350m/秒の流速で多分割気流式分級装置61内に粉体を導入する。多分割気流式分級装置61の分級室を構成する大きさは通常(10〜50cm)×(10〜50cm)なので、粉体は0.1〜0.01秒以下の瞬時に3種類以上の粒子群に分級し得る。そして、多分割気流式分級装置61により、大きい粒子(粗粒子)、中間の粒子、小さい粒子に分級される。
その後、大きい粒子は排出導管65cを介して、補集サイクロン64cに送られ機械式粉砕機51に戻される。中間の粒子は排出導管65bを介して系外に排出され捕集サイクロン64bで補集されトナーとなるべく回収される。
小さい粒子は、排出導管65aを介して系外に排出され捕集サイクロン64aで捕集され、トナー材料からなる粉体原料を生成するための溶融混練工程に供給されて再利用されるか、或いは廃棄される。
捕集サイクロン64a〜64cは粉体原料を供給ノズル68より分級室に吸引導入するための吸引減圧手段としての働きをすることも可能である。
また、分級された大きい粒子は、供給機54に導入し、粉体原料中に混入させて、機械式粉砕機51にて再度粉砕することが好ましい。
また、多分割気流式分級装置61から機械式粉砕機51に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量は、第2定量供給機62から供給される微粉砕品の質量を基準として、0〜10.0質量%、好ましくは0〜5.0質量%とすることがトナー生産性上好ましい。
多分割気流式分級装置61から機械式粉砕機51に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量が10.0質量%を超えると、機械式粉砕機51内の粉塵濃度が増大し、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
この装置システムにおいて、粉体原料の粒度は、18メッシュパス(ASTM E−11−61)が95質量%以上であり、100メッシュオン(ASTM E−11−61)が90質量%以上であることが好ましい。
また、この装置システムにおいて、重量平均粒径が10μm以下(さらには8μm以下)のシャープな粒度分布を有するトナーを得るためには、機械式粉砕機51で微粉砕された微粉砕物の重量平均粒径が4〜10μmの範囲にあり、4.0μm以下が70個数%以下、さらには65個数%以下、10.1μm以上が25体積%以下、さらには20体積%以下が好ましい。
また、分級された中粉体の粒度は、重量平均粒径が5〜10μmの範囲にあり、4.0μm以下が40個数%以下、さらには35個数%以下、10.1μm以上が25体積%以下、さらには20体積%以下が好ましい。
上記装置システムにおいては、粉砕処理前の第1分級工程を必要とせず、粉砕工程及び分級工程を1パスで行うことができる。
本発明のトナーの製造に使用される粉砕手段として好ましく用いられる機械式粉砕機について説明する。機械式粉砕機としては、例えば、川崎重工業社製粉砕機KTM、ターボ工業社製ターボミルなどを挙げることができ、これらの装置をそのまま、或いは適宜改良して使用することが好ましい。
本発明においては、これらの中でも図5、図6及び図7に示したような機械式粉砕機を用いることが、粉体原料の粉砕処理を容易に行うことができるので効率向上が図られ、好ましい。
以下、図5、図6及び図7に示した機械式粉砕機について説明する。
図5は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図6は図5におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図7は図5に示す回転子94の斜視図を示している。該装置は、図5に示されている様に、ケーシング93、冷却水供給口97及び冷却水排出口98を有するジャケット96、ディストリビュータ83、ケーシング93内にあって中心回転軸92に取り付けられており、高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子94、回転子94の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子90、さらに、被処理原料を導入するための原料投入口91、処理後の粉体を排出するための原料排出口89とから構成されている。
以上のように構成してなる機械式粉砕機での粉砕操作は、例えば次のようにして行う。
即ち、図5に示した機械式粉砕機の原料投入口91から、所定量の粉体原料が冷風と共に投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子94と、表面に多数の溝が設けられている固定子90との間の発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口89を通り、排出される。
トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口89、パイプ82、補集サイクロン86、バグフィルター84、及び吸引フィルター85を通って装置システムの系外に排出される。
本粉砕機では、この様にして粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができる。尚、符号87は、粉体原料供給機であり、符号100は冷風発生装置である。
また、粉体原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室81の室温T1と後室99の室温T2の温度差ΔT(T2−T1)を30〜80℃とすることが好ましく、より好ましくは35〜75℃、さらに好ましくは37〜72℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTを30〜80℃、より好ましくは35〜75℃、さらに好ましくは37〜72℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
機械式粉砕機の温度T1(入口温度)と温度T2(出口温度)とのΔTが30℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、80℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
また、粉体原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の入口温度は、0℃以下であり、且つ、結着樹脂のガラス転移点(Tg)に対し60〜75℃低くすることがトナー生産性という点から好ましい。
機械式粉砕機の入口温度を0℃以下で、且つTgよりも60〜75℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
また、出口温度は、Tgよりも5〜30℃、好ましくは10〜20℃低いことが好ましい。機械式粉砕機の出口温度をTgよりも5〜30℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
また、回転する回転子94の先端周速としては80〜180m/secであることが好ましく、より好ましくは90〜170m/sec、さらに好ましくは100〜160m/secとすることがトナー生産性という点から好ましい。回転する回転子94の周速を上記の値とすることにより、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
回転子94の周速が80m/secより遅い場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また、回転子94の周速が180m/secより速い場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
また、回転子94と固定子90との間の最小間隔は0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mm、さらに好ましくは1.0〜3.0mmとすることが好ましい。回転子94と固定子90との間の間隔を上記の値とすることにより、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
回転子94と固定子90との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また回転子94と固定子90との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
上記した粉砕方法は、粉砕工程前の第1分級を必要としないため、トナーが微粒子化されることにより、粒子間の静電凝集が高まり、本来は第2分級手段に送られるトナーが再度第1分級手段に循環されることにより過粉砕となった微粉及び超微粉が発生しない。さらに、シンプルな構成に加え、粉体原料を粉砕するのに多量のエアーを必要としない構成のため、電力消費が低く、エネルギーコストを低く抑えることができる。
次に、本発明のトナーの製造における分級手段として好ましく用いられる気流式分級機について説明する。
分級手段として好ましい多分割気流式分級機の一例として、図8(断面図)に示す形式の装置を一具体例として例示する。
図8において、側壁111及びGブロック112は分級室の一部を形成し、分級エッジブロック113及び114は分級エッジ107及び108を具備している。Gブロック112は上下に設置位置をスライドさせることが可能である。また、分級エッジ107及び108は、軸107a及び108aを中心にして、回動可能であり、分級エッジを回動して分級エッジ先端位置を変えることができる。
各分級エッジブロック113及び114は左右に設置位置をスライドさせることが可能であり、それにともなってそれぞれのナイフエッジ型の分級エッジ107及び108も上下にスライドする。この分級エッジ107及び108により、分級室118の分級域117は3分画されている。
原料粉体を導入するための原料供給口119を原料供給ノズル68の最後端部に有し、該原料供給ノズル68の後端部に高圧エアー供給ノズル120と原料粉体導入ノズル121とを有し且つ分級室118に開口部を有する原料供給ノズル68を側壁111の右側に設け、該原料供給ノズル68の下部接線の延長方向に対して長楕円弧を描く様にコアンダブロック115が設置されている。
分級室118の左部ブロック116は、分級室118の右側方向に向いたナイフエッジ型の入気エッジ109を具備し、さらに分級室118の左側には分級室118に開口する入気管66及び67を設けてある。また、図4に示すように入気管66及び67には、ダンパーのごとき第1気体導入調節手段69及び第2気体導入調節手段70と静圧計71及び静圧計72を設けてある。
分級エッジ107、108、Gブロック112及び入気エッジ109の位置は、被分級処理原料であるトナーの種類及び所望の粒径により調整される。
また、分級室118の上面にはそれぞれの分画域に対応させて、分級室118内に開口する排出口101〜103を有し、該排出口101〜103にはパイプの如き連通手段が接続されており、それぞれにバルブ手段のごとき開閉手段を設けてよい。
原料供給ノズル68は直角筒部と角錘筒部とからなり、直角筒部の内径と角錘筒部の最も狭い箇所の内径の比を20:1から1:1、好ましくは10:1から2:1に設定すると、良好な導入速度が得られる。
以上のように構成してなる多分割分級域での分級操作は、例えば次のようにして行う。
即ち、排出口101〜103の少なくとも1つを介して分級室118内を減圧し、分級室118内に開口部を有する原料供給ノズル68中を該減圧によって流動する気流と高圧エアー供給ノズル120から噴射される圧縮エアーのエゼクター効果により、好ましくは流速10〜350m/secの速度で、粉体は原料供給ノズル68を介して分級室118に噴出し、分散する。
分級室118に導入された粉体中の粒子は、コアンダブロック115のコアンダ効果による作用と、その際流入する空気のごとき気体の作用とにより湾曲線を描いて移動し、それぞれの粒子の粒径及び慣性力の大小に応じて、大きい粒子(粗粒子)は気流の外側、即ち分級エッジ108の外側の第1分画、中間の粒子は分級エッジ108と107の間の第2分画、小さい粒子は分級エッジ107の内側の第3分画に分級され、分級された大きい粒子は排出される。さらに、分級点は、分級気流の吸引流量或いは原料供給ノズル68からの粉体の噴出速度等の影響を受ける。
<本発明のトナーを使用したフルカラー画像形成方法>
上記本発明のトナーは、特にフルカラー画像形成を行う際に好適に用いることができるものである。以下、本発明のフルカラー画像形成方法、及び該画像形成方法を実施するための画像形成装置について記載する。
本発明の画像形成方法は、
(i)像担持体に第1の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーからなるグループから選択される第1のトナーで静電荷像を現像して第1のトナー画像を像担持体上に形成し、第1のトナー画像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写し、
(ii)像担持体に第2の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーからなるグループから選択される第2のトナーで静電荷像を現像して第2のトナー画像を像担持体上に形成し、第2のトナー画像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写し、
(iii)像担持体に第3の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーからなるグループから選択される第3のトナーで静電荷像を現像して第3のトナー画像を像担持体上に形成し、第3のトナー画像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写し、
(vi)転写材上の第1乃至第3のトナー画像を加熱定着することにより、転写材にフルカラー画像を形成するフルカラー画像形成方法であって、
(v)該シアントナー、該マゼンタトナー及び該イエロートナーとして、上記本発明の規定を満たすトナーを使用することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、像担持体にブラック用静電荷像を形成し、ブラックトナーで該ブラック用静電荷像を現像してブラックトナー画像を像担持体上に形成し、ブラックトナー画像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写し、転写材上の第1乃至第3のトナー画像(シアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像)と共にブラックトナー画像を加熱定着することにより、転写材にフルカラー画像を形成する画像形成方法であり、該ブラックトナーとして、上記本発明の規定を満たすトナーを使用する画像形成方法であっても良い。
また、本発明の画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて現像してトナー像を形成させ、該トナー像を転写材に転写させることにより画像を形成する画像形成装置であって、該トナーとして、上記本発明のトナーを使用することを特徴とする。
以下、本発明のトナーを使用したフルカラー画像形成方法について、より具体的に図1を参照しながら説明する。
図1は、電子写真法によりフルカラーの画像を形成するための画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図1の画像形成装置は、フルカラー複写機又はフルカラープリンタとして使用される。フルカラー複写機の場合は、図1に示すように、上部にデジタルカラー画像リーダ部、下部にデジタルカラー画像プリンタ部を有する。
画像リーダ部において、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33によりフルカラーセンサー34に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、増幅回路(図示せず)を経てビデオ処理ユニット(図示せず)にて処理を施され、デジタル画像プリンタ部に送出される。
画像プリンタ部において、像担持体(本発明では、感光体ともいう)である感光ドラム1は、たとえば有機光導電体を有する感光層を有し、矢印方向に回転自在に担持されている。感光ドラム1の回りには、前露光ランプ11、コロナ帯電器2、レーザ露光光学系3(a〜c)、電位センサ12、色の異なる4個の現像器4Y、4C、4M、4B、ドラム上光量検知手段13、転写装置5およびクリーニング器6が配置されている。
レーザー露光光学系において、リーダ部からの画像信号は、レーザー出力部(図示せず)にてイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザー光がレーザーユニット3aから発振され、レンズ3bおよびミラー3cを介して、感光ドラム1の面上に投影される。
プリンタ部は、画像形成時、感光ドラム1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後に感光ドラム1を帯電器2により一様にマイナス帯電させて、分解色ごとに光像Eを照射し、感光ドラム1上に静電荷像を形成する。
次に、所定の現像器を動作させて感光ドラム1上の静電荷像を現像し、感光ドラム1上にトナーによるトナー画像を形成する。現像器4Y,4C,4M,4Bは、それぞれの偏心カム24Y,24C,24M,24Bの動作により、各分解色に応じて択一的に感光ドラム1に接近して、現像を行う。
転写装置5は、転写ドラム5a、転写帯電器5b、記録材としての転写材を静電吸着するための吸着帯電器5cおよびこれと対向する吸着ローラー5g、そして内側帯電器5d、外側帯電器5e、分離帯電器5hを有している。転写材担持体である転写シート5fが、回転駆動可能に転写ドラム5aによって軸支され、円筒上に一体的に調節されている。転写シート5fにはポリカーボネートフィルムの如き樹脂フィルムが使用される。
転写材はカセット7a、7bまたは7cから転写シート搬送系を通って転写ドラム5aに搬送され、転写ドラム5a上に担持される。転写ドラム5a上に担持された転写材は、転写ドラム5aの回転にともない感光ドラム1と対向した転写位置に繰り返し搬送され、転写位置を通過する過程で転写帯電器5bの作用により、転写材上に感光ドラム1上のトナー画像が転写される。
トナー画像は、図1に示したように感光体から直接転写材へ転写されても良く、また、感光体上のトナー画像を中間転写体へ転写し、中間転写体からトナー画像を転写材へ転写しても良い。
上記の画像形成工程を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)について繰り返し、転写ドラム5上の転写材上に4色のトナー画像を重ねたカラー画像が得られる。
このようにして4色のトナー画像が転写された転写材は、分離爪8a、分離押上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用により、転写ドラム5aから分離して加熱加圧定着器9に送られ、そこで加熱加圧定着することによりトナーの混色、発色および転写材への固定が行われて、フルカラーの定着画像とされたのちトレイ10に排紙され、フルカラー画像の形成が終了する。
尚、転写材にトナー像が転写された後は、上記感光体上に残留したトナーは上記クリーニング器6により除去される。
図1をもとに、1つの感光体に4色の現像器が設置されている画像形成方法を説明したが、4色の現像器がそれぞれ異なる感光体に設置され、感光体上に形成されたトナー画像が順次中間転写体を介して、又は、介さずに転写材上へ転写されるタンデム方式の画像形成方法であっても良い。
このとき、加熱加圧定着器9での定着動作速度は、本体のプロセススピード(例えば160mm/sec)より遅く(例えば90mm/sec)行われるとよい。これは、トナーが二層から四層積層された未定着画像を溶融混色させる場合、十分な加熱量をトナーに与えなければならないためで、現像速度より遅い速度で定着を行うことによりトナーに対する加熱量を多くすることができる。
図2において、定着手段である定着ローラー39は、例えば厚さ5mmのアルミ製の芯金41上に厚さ2mmのRTV(室温加硫型、JIS−A硬度20)シリコーンゴム層42、この外側に厚さ50μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層43を有している。
一方、加圧手段である加圧ローラー40は、例えば、厚さ5mmのアルミの芯金44上に厚さ2mmのRTVシリコーンゴム層45(ゴム硬度JIS−A硬度40)、この外側に厚さ150μm厚のPTFE層を有している。
図2において、定着ローラー、加圧ローラー共にその外径は、例えば直径60mmであるが、加圧ローラーの硬度が相対的に高いため、白紙による排紙テストでは、両ローラーの中心線を結ぶ線に対しての垂線より、排紙方向は、加圧ローラー側になる。この排紙方向を加圧ローラー側にすることが、画像面積の大きいコピー画像を定着する場合の転写材の定着ローラー巻きつき防止に極めて重要である。
排紙方向を加圧ローラー側にする手段としては、前記した硬度差をつける方法、或いは、加圧ローラーの径を定着ローラーよりも小さくする方法、加圧ローラー側の設定温度を定着ローラーよりも高くし、定着紙背面、つまり加圧ローラー側の紙面の水分をより多く蒸発させることにより、ごく少量の紙のちぢみを利用する方法などが挙げられる。
また、上記定着ローラー39には発熱手段であるハロゲンヒータ46が配設され、加圧ローラー40には同じくハロゲンヒータ47が芯金内に配設されて両面からの加熱を行っている。定着ローラー39及び加圧ローラー40に当接されたサーミスタ48a及び48bにより定着ローラー39及び加圧ローラー40の温度が検知され、この検知温度に基づき制御装置49a及び49bによりハロゲンヒータ46及び47がそれぞれ制御され、定着ローラー39の温度及び加圧ローラー40の温度が共に一定の温度(例えば、150±10℃)に保つように制御される。定着ローラー39と加圧ローラー40は加圧機構(図示せず)によって総圧390N(40kgf)で加圧されている。
図2において、Cはオイル含浸紙ウェブによる定着ローラークリーニング装置であり、C1は加圧ローラーに付着したオイル及び汚れを除去するためのクリーニングブレードである。紙ウェブ含浸用オイルは、50〜3000cStのシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイルの如きシリコーンオイル類)を用いると、オイル塗布量を少量で一定に供給することが容易となり、かつ、定着画像の品位(特に均一光沢性、オイル痕)の高いものとなる。
また、オイルを塗布しない場合は、Cのクリーニング装置を取り外すか、オイルを含浸していない紙、または布ウェブを用いるか、クリーニングブレード、もしくはクリーニングパッド、クリーニングローラーを用いるのが良い。
クリーニング装置Cは、不織布56を押圧ローラー55にて定着ローラー39に押し当ててクリーニングしている。該不織布56は巻き取り装置(図示せず)により適宜巻き取られ、定着ローラー39との当接部にトナー等が堆積しないようにされている。
上記画像形成方法に使用される本発明のトナーは、低温定着性及び耐高温オフセット性に優れているので前述したオイルの塗布量を少なくすることが可能であり、また、クリーニング装置の汚れ量も少ない。
本発明のトナーのトナー像は、定着ローラーの表面温度150〜200℃の温度条件で加熱加圧定着するのが良く、該記録材への該トナー画像の定着時に、該定着部材から該記録材のトナー画像の定着面に供給されるシリコーンオイルの記録材単位面積当たりの塗布量が0〜1×10−7g/cm2であるのが良い。塗布量が1×10−7g/cm2を超える場合は、該記録材のギラツキが大きく、特に文字画像の視認性が低下するからである。
本発明のトナーを用い上記画像形成方法により、記録材シートに優れたフルカラー画像を形成させることができる。
<プロセスカートリッジ>
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置から着脱可能に構成されており、i)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像が現像されて形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材にトナー像が転写された後に前記感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とからなる群より選ばれる像担持体或いは少なくとも1つの手段と、ii)前記像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段とが、一体に支持されているプロセスカートリッジであって、トナーとして、上記の本発明の規定を満たすトナーを用いるものである。
図18に、現像装置、像担持体、帯電手段及びクリーニング手段が一体に指示されたプロセスカートリッジの一具体例の概略的断面図を示す。図18に示すプロセスカートリッジにおいては、現像手段205には、トナーTが収容されており、現像剤担持体(現像ローラー)209が感光体210にニップ部が形成されるように押圧されて設置されており、塗布ブレード208および塗布ローラー202が現像剤担持体209に圧接するように設けられている。さらに、帯電ローラー201およびクリーニングブレード13が感光体210に圧接して設けられている。
本発明で規定する物性の測定方法を以下に示す。
(1)トナー及び結着樹脂の酸価測定
JIS K 0070に記載の測定方法に準拠して行う。
測定装置 :電位差自動滴定装置 AT−400(京都電子社製)
装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用する。
測定温度 :25℃
試料調製 :トナー1.0g又は結着樹脂0.5gをトルエン120mlに添加して室温(約25℃)で約10時間マグネチックスターラーを用いて撹拌して溶解する。更にエタノール30mlを添加して試料溶液とする。
測定操作:
1)200mlのビーカーにトナー試料を1.0g精秤して入れる。試料の可溶成分の重さW(g)とする。これにトルエン120mlを添加して撹拌・溶解する。約10時間撹拌してから、エタノール30mlを添加してトルエンとエタノールの混合溶液とする。同時にブランクテスト用として同量のトルエンとエタノールのみからなる混合溶液を調製しておく。
2)0.1mol/lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、ブランクテストを行う。この時の水酸化カリウム溶液の使用量をB(ml)とする。
3)次に、トナー試料溶液の滴定を行う。この時の水酸化カリウム溶液の使用量をS(ml)とする。
4)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
(2)THF可溶分の分子量測定
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ数時間放置した後、十分振とうさせTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への浸漬時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−2 東ソー社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
(3)テトラヒドロフラン(THF)不溶分の測定
THF不溶分を測定しようとするトナー試料を0.5〜1.0gを精秤し、円筒ろ紙(東洋濾紙社製、No.86R、寸法は外形28mm×高さ100mm)に入れてソックスレー抽出器にかけ、抽出溶媒であるTHFは200ml使用する。抽出はオイルバスの温度を120〜130℃に制御して使用し、1回の還流に要する時間は120〜150秒になるように調整する。抽出時間は10時間とする。抽出終了後は円筒濾紙を70℃で10時間減圧乾燥し、下記式からTHF不溶分を算出する。
(上記式中、W
1はトナー試料の質量、W
2は結着樹脂のTHF可溶成分の質量、W
3はトナーに含有される結着樹脂以外の成分(例えば、磁性体、ワックス、外添剤等)の質量を表す。)
(4)ワックスの吸熱ピーク温度測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)であるDSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5mgを精秤し、これをアルミパンに入れ、リファレンスとしての空のアルミパンを用い、30〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度60〜120℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの温度をもってワックスの吸熱ピーク温度とする。
(5)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)であるDSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5mgを精秤し、これをアルミパンに入れ、リファレンスとしての空のアルミパンを用い、30〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるDSC曲線にメインピークの吸熱ピークが得られる。吸熱ピーク前後でベースラインを設定し、その中間点の線とDSC曲線との交点をガラス転移温度(Tg)とする。
(6)トナーのDSC曲線の測定
上記ワックスの吸熱ピーク温度及び結着樹脂のガラス転移温度測定と同様にして、トナーの昇温過程におけるDSC曲線を測定する。このDSC曲線からもワックスの吸熱ピーク温度及びトナーの結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を知ることができる。
(7)ワックスの分子量測定
ワックスの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
GPC測定条件
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm 2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール(シェル イン ジャパン社)添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15質量%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
試料は、以下のように調製する。
試料をo−ジクロロベンゼン中に入れ、150℃に設定したホットプレート上でサンプルビンを加熱し、試料を溶解する。試料がとけたらあらかじめ加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPC試料とする。また試料濃度は、0.15質量%に調整する。
(8)トナーの粒度分布の測定
トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
(9)水酸基価の測定
JIS K 0070に記載の測定方法に準拠して行う。
試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁を良く洗う。ガラス電極を用いて1/2モルの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行うことにより水酸基価を求める。
(10)トナーの変形量の測定
トナーの成型は、5.0〜5.5gのトナーを錠剤成型器により400kgfの圧力で2分間加圧することで、直径25mm、高さ10〜11mmの円柱状試料に成型する。測定装置は、PTFEを20〜40μmの厚さでコートしたSUS製の直径25mmパラレルプレートを装着したARES(粘弾性測定装置、レオメトリック社製)を使用する。
トナーの成型試料をパラレルプレート上に設置し、治具温度を120℃に制御して、試料の温度が120℃に達したことを確認後、試料の高さ(gap)を10.000mmに調整する。Multiple Extension Mode TestのRate Mode Testを選択し、Rate=−0.5mm/sに設定してトナー成型試料を圧縮し、試料の高さ(gap)と等速で試料を圧縮するのに必要な荷重(Normal Forceと称す)との関係を測定する。
Normal Forceが200gでの試料の高さ(gap)をG200(mm)とすると、下記式からトナー変形量(R200)を算出できる。
同様にして、Normal Forceが500gでの試料の高さG500を用いることにより、トナー変形量(R500)を測定することができる。
(11)トナーの離型荷重の測定
測定装置としては、変形量の測定に用いたARES(粘弾性測定装置、レオメトリック社製)を使用し、試料としては、変形量の測定の場合と同様にして成型した円柱状試料を用いる。
離型荷重の測定方法は、PTFEを20〜40μmの厚さでコートした直径25mmのパラレルプレート上にトナーの成型試料を設置し、治具温度を120℃に制御して、試料の温度が120℃に達したことを確認後、試料の高さ(gap)を10.000mmに調整する。Multiple Extension Mode TestのRate Mode Testを選択し、Zone1でRate=−0.5mm/sで10秒間圧縮し、Zone2はRate=+0.5mm/sで20秒間伸張し、試料の高さ(gap)とNormal Force(この場合には、試料を等速で伸張させるために必要な荷重であり、マイナスの値で表される。)、の関係を測定し、Zone2におけるNormal Forceの極小値の絶対値をもってトナーの離型荷重とする。
(12)トナー粒子の円形度の測定
トナー粒子の円形度はFPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いて測定することができる。測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル等に記載されているが、具体的な測定方法としては、不純物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を0.1〜0.5ml加え、トナー試料を0.1〜0.5g程度加える。
試料を分散した懸濁液は超音波(50kHz,120W)を1〜3分間照射し、カット率が大きくなった場合でも装置の精度が保てるだけの粒子濃度を維持することができる様に懸濁液におけるトナーの粒子数を1.2〜2.0万個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定することによって求めることができる。
なお、FPIA−1000は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。
しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
(実施例)
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[樹脂製造例1]
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、カルボン酸モノマー(テレフタル酸:30モル%、イソフタル酸:15モル%、無水ドデセニルコハク酸:3モル%)、アルコールモノマー(下記一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:エチレン基、x+y=2.4):26モル%及び一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.4):26モル%)及びエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)からなるポリエステルモノマー混合物90質量部を投入して、窒素雰囲気下、140℃まで加熱した。
撹拌しながらスチレン8.5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート1.4質量部、アクリル酸0.1質量部及びジ−t−ブチルパーオキサイド0.1質量部からなるビニル系モノマー混合物を2時間かけて滴下した。次いで減圧下、210℃まで加熱して8時間脱水縮合反応を行うことによりハイブリッド樹脂(HB−1)を得た。
得られたハイブリッド樹脂(HB−1)は、分子量7200にメインピークを有し、Mw/Mnが13、ガラス転移温度が59℃、酸価は18mgKOH/gであり、6質量%のTHF不溶分を有していた。
[樹脂製造例2]
カルボン酸モノマーとして、テレフタル酸:30モル%、イソフタル酸:12モル%、フマル酸:3モル%,無水ドデセニルコハク酸:3モル%を用い、アルコールモノマーとして、上記一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:エチレン基、x+y=2.4):26モル%及び一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.4):26モル%を用い、さらにエステル化触媒として、ジブチルスズオキシドを用いて縮重合することによって、不飽和ポリエステル樹脂組成物(P−1)(酸価14mgKOH/g、水酸基価32mgKOH/g、ピーク分子量7000、ガラス転移温度58℃)を得た。
そして、還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、該不飽和ポリエステル樹脂組成物(P−1)90質量部及びワックス(W−1)5質量部を、キシレン200質量部とともに投入し、窒素を導入しながら135℃まで加熱した。
ビニル系重合体ユニットを形成するスチレン8質量部、アクリル酸ブチル1.5質量部、マレイン酸モノブチル0.5質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるモノマー混合物を、上記キシレン溶液に添加して8時間ラジカル重合反応を行い、ポリエステル、不飽和ポリエステルにビニル系重合体がグラフトしたハイブリッド樹脂及びビニル系重合体の溶液混合物を得た。
更に、減圧下、キシレンを留去することにより、ポリエステル樹脂ユニットの水酸基とビニル系重合体ユニットのカルボキシル基との反応が起こり、エステル結合が生じた。こうして得られた樹脂組成物は、分子量7500にメインピークを有し、Mw/Mnは22であり、ガラス転移温度62℃、酸価は21mgKOH/gであり、9質量%のTHF不溶分を有していた。これを本発明のハイブリッド樹脂組成物(HB−2)とする。
[樹脂製造例3]
樹脂製造例2において、不飽和ポリエステル樹脂組成物(P−1)70質量部及びワックス(W−1)5質量部を用い、更に、スチレン25質量部、アクリル酸ブチル4質量部、マレイン酸モノブチル1質量部からなるモノマー混合物を使用した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−3)を得た。
この樹脂組成物は分子量7000にメインピークを有し、Mw/Mnは34であり、ガラス転移温度61℃、酸価は19mgKOH/gであり、14質量%のTHF不溶分を有していた。
[樹脂製造例4]
樹脂製造例2において、不飽和ポリエステル樹脂組成物(P−1)50質量部及びワックス(W−1)5質量部を用い、更に、スチレン39質量部、アクリル酸ブチル8質量部、マレイン酸モノブチル3質量部からなるモノマー混合物を使用した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−4)を得た。
この樹脂組成物は分子量9300にメインピークを有し、Mw/Mnは9であり、ガラス転移温度63℃、酸価は15mgKOH/gであり、21質量%のTHF不溶分を有していた。
[樹脂製造例5]
樹脂製造例2において、ワックス(W−1)のかわりにワックス(W−2)を使用した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−5)を得た。
[樹脂製造例6]
樹脂製造例2において、ワックス(W−1)のかわりにワックス(W−3)を使用した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−6)を得た。
[樹脂製造例7]
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、カルボン酸モノマー(テレフタル酸:23モル%、トリメリット酸:6モル%、無水ドデセニルコハク酸:20モル%)、アルコールモノマー(上記一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:エチレン基、x+y=2.4):16モル%及び一般式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.4):35モル%)及びエステル化触媒からなるポリエステルモノマー混合物を投入して、窒素雰囲気下、減圧しながら210℃まで加熱して8時間脱水縮合反応を行うことによりポリエステル樹脂(P−2)を得た。
この樹脂組成物は分子量7800にメインピークを有し、Mw/Mnは7.4であり、ガラス転移温度58℃、酸価は13mgKOH/gであり、THF不溶分を2質量%含有していた。
上記の樹脂製造例或いは下記の実施例において使用したワックスの物性を表2に示す。
[実施例1]
以下の方法でトナー1を調製した。
・結着樹脂(HB−1) 100質量部
・ワックス(W−1) 5質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
130℃に加熱された2軸混練押出機によって、上記原料混合物の溶融混練を行った。混練物は放冷後、カッターミルで粗粉砕して18メッシュパスが97質量%、100メッシュオンが92質量%の粉体原料(1)を得た。
粉体原料(1)を図3に示すフローチャートに従い、図4に示す装置を用いて、粉砕及び分級を行った。機械式粉砕機51には、ターボ工業社製ターボミルT−250型を用い、図6に示す回転子94と固定子90の間隙を1.5mmとし、回転子94の周速を115m/sで運転した。
本実施例では、テーブル式の第1定量供給機52にて粗粉砕物からなる粉体原料を、40kg/hの割合で機械式粉砕機51に供給し、粉砕した。機械式粉砕機51で粉砕された粉体原料は、排気ファンからの吸引エアーに同伴されながらサイクロン53にて捕集され、第2定量供給機62へと導入される。尚、この時、機械式粉砕機51内の入口温度は−10℃、出口温度は46℃、入口温度と出口温度のΔTは56℃であった。
また、この時に機械式粉砕機51で粉砕されて得られた微粉砕物(1)は、重量平均粒径が5.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が59個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を2.3体積%含有するシャープな粒度分布を有していた。
次に、上記の機械式粉砕機51で粉砕されて得られた微粉砕物(1)を、第2定量供給機62に導入し、振動フィーダー63、原料供給ノズル68を介して44kg/hの割合で図8の構成を有する多分割気流式分級機61に導入した。
該多分割気流式分級機61では、コアンダ効果を利用して、粗粉体、中粉体及び微粉体の3種の粒度に分級される。多分割気流式分級機61への被粉砕物の導入に際しては、排出口101〜103の少なくとも1つを介して分級室内を減圧することによって生じる原料供給ノズル68中の気流と、高圧エアー供給ノズル120から噴射される圧縮エアーを利用した。導入された微粉砕物(1)は、0.1秒以下の瞬時に、粗粉体(G)、中粉体(M−1)及び微粉体の3種に分級された。
分級されたもののうち、粗粉体(G)は捕集サイクロン64cで捕集した後、先に説明した機械式粉砕機51に粗粉体の定量供給機54により2.0kg/hの割合で導入し、再度粉砕工程に導入した。
上記の分級工程で分級された中粉体(M−1)は、重量平均粒径(D4)が5.6μmであり、粒径10.1μm以上の粒子を0.5体積%含有するシャープな粒度分布を有しており、平均円形度は0.963であり、円形度0.950以上の粒子が個数基準の累積で82.4%であった。
この時、分級収率(投入された粉体原料の全量に対する最終的に得られた中粉体の量の比率)は86%であった。
中粉体(M−1):100質量部に、n−C4H9Si(OCH3)3で処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m2/g)1.0質量部を外添しシアントナー(1)を得た。さらにシアントナー(1)と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(体積平均粒径50μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系シアン現像剤(1)を得た。
シアントナー(1)の物性値を表3に示す。また、シアントナー(1)における荷重とトナー変形量との関係を表す図を図14に、シアントナー(1)の離型荷重を表す図を図16にそれぞれ示す。
この二成分系シアン現像剤(1)を用いて、カラー複写機CLC−800(キヤノン製)にて、単色モードで未定着画像を作成した。得られた未定着画像は、カラープリンターLBP−2040(キヤノン製)の定着装置、即ちオイル塗布装置を有していない熱ロール定着装置を用い、定着温度を変え、定着速度を200mm/secに変えて定着試験をおこなった。このときの画像面積比率は25%であり、単位面積当たりのトナー載り量は、0.7mg/cm2に設定した。評価結果を表4に示す。
尚、表4に記載の評価は、以下に記載の基準に従った。
(1)定着可能温度領域の評価
定着開始温度は、定着画像のグロス(投光角度,受光角度は60°)をグロスメーター(VG−10型光沢度計、日本電色製)で測定して20%以上のグロスを有する定着画像が得られた最低温度とし、ホットオフセット発生温度は、定着ローラーへの巻きが生じた最低温度とした。
(2)加圧ローラー汚れ(定着紙の裏汚れ)
加圧ローラー汚れの評価は、定着温度を220℃に設定し、常温常湿(23.5℃/50%)環境下で画像を連続100枚通紙し、このときの定着紙の裏汚れが何枚出るかによって、以下のようにランク付けした。
ランクA:0〜3枚
ランクB:4〜6枚
ランクC:7〜9枚
ランクD:10〜20枚
ランクE:21枚以上
(3)OHP透過性
OHP透明性の評価は、トナー載り量が0.6mg/cm2のベタ画像をOHP上に形成し、定着速度を50mm/secにして、定着温度を高温オフセット開始温度よりも10℃低い温度で定着した。島津自記分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%として、得られたOHP画像の透過率を測定し、以下の基準でランク付けした。尚、測定波長としては、シアントナーの最大吸収波長である500nmにおける透過率を測定した。
ランクA:85%以上
ランクB:75〜84%
ランクC:65〜74%
ランクD:50〜64%
ランクE:50%未満
(4)耐熱試験(耐ブロッキング性試験)
トナーの耐ブロッキング性に関しては、500mlのポリエチレンカップに100gのトナーを入れ50℃のオーブン内にて10日間放置することにより評価した。該評価としては目視によって凝集性のレベルを判定した。
ランクA:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い
ランクB:凝集体が全く見られない
ランクC:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる
ランクD:現像剤撹拌装置で凝集体がほぐれる(普通)
ランクE:現像剤撹拌装置では凝集体が十分にほぐれない(やや悪い)
[実施例2〜4]
実施例1において、ワックスとして(W−2)〜(W−4)を使用した以外は同様にして本発明のシアントナー(2)〜(4)を得た。シアントナー(2)〜(4)の物性値を表3に示す。
また、シアントナー(2)〜(4)を用いて、二成分系シアン現像剤(2)〜(4)を調製し、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例5]
・結着樹脂(HB−2) 105質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
上記、原料混合物を使用した以外は同様にして本発明のシアントナー(5)を得た。シアントナー(5)の物性値を表3に示す。
また、シアントナー(5)を用いて、二成分系シアン現像剤(5)を調製し、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例6〜9]
実施例5において、結着樹脂として(HB−3)〜(HB−6)を使用した以外は同様にして本発明のシアントナー(6)〜(9)を得た。シアントナー(6)〜(9)の物性値は表3に示す。
また、シアントナー(6)〜(9)を用いて、二成分系シアン現像剤(6)〜(9)を調製し、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例10]
・結着樹脂(HB−4) 84質量部
・ポリエステル樹脂(P−2) 20質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
上記、原料混合物を使用した以外は同様にして本発明のシアントナー(10)を得た。シアントナー(10)の物性値を表3に示す。
また、シアントナー(10)を用いて、二成分系シアン現像剤(10)を調製し、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表4に示す。
[比較例1]
・ハイブリッド樹脂(HB−1) 100質量部
・水酸基を有する極性ワックス(W−4) 3質量部
・パラフィンワックス(W−1) 3質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 6質量部
130℃に加熱された2軸混練押出機によって上記原料混合物の溶融混練を行った。混練物は放冷後、カッターミルで組粉砕して18メッシュパスが97質量%、100メッシュオンが92質量%の比較用粉体原料(R−1)を得た。
比較用粉体原料(R−1)を、図9に示すフローチャートに従い、図10に示す装置を用いて、粉砕及び分級を行った。但し、衝突式気流粉砕機138は図12に示した粉砕機を用い、第1分級手段(図10中、132)は図11の構成のものを用い、第2分級手段(図10中、137)は図13の構成のものを用いた。
尚、図10において、符号131は定量供給機、132は第一分級機、133は微粉砕品補集サイクロン、134は定量供給機、137は多分割気流式分級機、138は気流式粉砕機、139は粗粉体補集サイクロン、140は微粉体補集サイクロン、141は中粉体補集サイクロン、145は振動フィーダー、148と149は原料供給管、152と153は入気管、154と155は気体導入調節手段、156と157は静圧計、158,159及び160は排出口を示す。
図11においては、符号161は本体ケーシング、162は下部ケーシング、163は粗粉排出用ホッパー、164は分級室、165は案内室、166は上部カバー、167はルーバー、168は供給筒、169は分級ルーバー、170は分級板、171は粗粉排出口、172は微粉排出シュート、173は上部ケーシングを示す。
図12においては、符号181は高圧気体供給ノズル、182は加速管、183は出口、184は衝突部材、186は衝突面、185は粉体原料供給口、187は粉砕物排出口、188は粉砕室を示す。
図13においては、符号191は側壁、192はGブロック、193と194は分級エッジブロック、195はコアンダブロック、196と197は分級エッジ、198は原料供給管、199は左部ブロック、200は入気エッジをそれぞれ表す。
また、図13において、符号152及び153は入気管、154及び155は気体導入調節手段、156及び157は静圧計、158は粗粉体排出口、159は中粉体排出口、160は微粉体排出口を示す。
このときの微粉砕品は、重量平均粒径は7.1μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が78.6個数%存在し、かつ10.1μm以上の粒子を13.7体積%含有する粒度分布を有していた。
上記の分級工程で分級された比較用中粉体RM−1(分級品)は、重量平均粒径が7.6μmであり、粒径4.0μm以下を粒子の19個数%含有し、粒径10.1μm以上の粒子を1.7体積%含有しており、平均円形度は0.947であり、円形度0.950以上の粒子が63.4個数%であった。なお、分級収率は62%であった。
この比較用分級品RM−1を用いた以外は実施例1と同様にして比較用シアントナー(1)とした。
この比較用シアントナー(1)の物性値を表3に示す。また、比較用シアントナー(1)における荷重とトナー変形量との関係を表す図を図15に、比較用シアントナー(1)の離型荷重を表す図を図17にそれぞれ示す。
また、比較用シアントナー(1)を用いて比較用二成分系シアン現像剤(1)を調製し、実施例1と同様に評価した結果を表4に示す。
[比較例2]
・結着樹脂(P−2) 100質量部
・ポリエチレンワックス(W−3) 2質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸ジルコニウム化合物 4質量部
上記、原料混合物を使用した以外は比較例1と同様にして比較用分級品(R−2)を得た。この比較用分級品(R−2)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用シアントナー(2)を得た。
この比較用シアントナー(2)の物性値を表3に示す。また、比較用シアントナー(2)を用いて比較用二成分系シアン現像剤(2)を調製し、実施例1と同様に評価した結果を表4に示す。
[比較例3]
・結着樹脂(P−2) 100質量部
・低分子量ポリプロピレン(W−5) 5質量部
・顔料:銅フタロシアニン 4質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記、原料混合物を使用した以外は比較例1と同様にして比較用分級品(R−3)を得た。この比較用分級品(R−3)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用シアントナー(3)を得た。
この比較用シアントナー(3)の物性値を表3に示す。また、比較用シアントナー(3)を用いて比較用二成分系シアン現像剤(3)を調製し、実施例1と同様に評価した結果を表4に示す。
[実施例11]
実施例1において、顔料として銅フタロシアニンの代わりに、C.I.ピグメントイエロー180を8質量部用いた以外は同様にしてイエロートナー(1)を得、C.I.ピグメントレッド122を5質量部用いた以外は同様にしてマゼンタトナー(1)を得、更に、カーボンブラックを5質量部用いた以外は同様にしてブラックトナー(1)を得た。得られたトナーの物性を表5に示す。
さらに、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(体積平均粒径50μm)と、得られたイエロートナー(1)、マゼンタトナー(1)、或いはブラックトナー(1)とを、トナー濃度が7質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分系イエロー現像剤(1)、二成分系マゼンタ現像剤(1)、二成分系ブラック現像剤(1)を得た。
実施例1において、二成分系イエロー現像剤(1)と二成分系マゼンタ現像剤(1)、二成分系シアン現像剤(1)と二成分系イエロー現像剤(1)及び二成分系シアン現像剤(1)と二成分系マゼンタ現像剤(1)を用い、各トナーの単位面積当たりのトナー載り量を0.4mg/cm2から1mg/cm2まで0.1mg/cm2刻みに7段階に設定して、CLCカラーコピー用紙及びOHPトランスペアレンシーシート(3M社製、オーバーヘッドプロジェクターModel9550)に各々、赤色、緑色及び青色の未定着画像を作成した。
そして、定着速度50mm/sec、定着温度を高温オフセット開始温度よりも10℃低い温度に設定して、得られたOHPトランスペアレンシーシートの未定着画像を定着した。定着画像の透明性と混色性を目視で判定したところ、いずれの画像においても非常に良好な透明性を有しており、また混色性に関しても優れたものであった。
更に、二成分系シアン現像剤(1)、二成分系イエロー現像剤(1)、二成分系マゼンタ現像剤(1)及び二成分系ブラック現像剤(1)を用いて、フルカラー画像を形成したところ、画像全体における光沢の均一性に関して優れた画像が得られた。
[実施例12]
実施例1で製造したシアントナー(1)、実施例11で製造したイエロートナー(1)、マゼンタトナー(1)及びブラックトナー(1)において、疎水性酸化チタンをヘキサメチルジシラザン及びジメチルシリコーンで処理した疎水性乾式シリカ(BET比表面積:300m2/g)1.5質量部に変更した以外は同様にして、シアントナー(11)、イエロートナー(2)、マゼンタトナー(2)及びブラックトナー(2)を得た。得られたトナーの物性を表5に示す。
上記の各色トナーを用いて、図18に模式的に構造を示すプロセスカートリッジを装着したカラープリンターLBP−2510(キヤノン社製)によって、非磁性一成分現像を行った以外は実施例1と同様にして、シアン単色の未定着画像を作製して定着テストを行った。また、実施例11と同様にして2次色である赤色、緑色及び青色の未定着画像を作成した。
そして、定着速度50mm/sec、定着温度を高温オフセット開始温度よりも10℃低い温度に設定して、得られたOHPトランスペアレンシーシートの未定着画像を定着した。定着画像の透明性と混色性を目視で判定したところ、いずれの画像においても非常に良好な透明性を有しており、また混色性に関しても優れたものであった。
更に、シアントナー(11)、イエロートナー(2)、マゼンタトナー(2)及びブラックトナー(2)を用いて、フルカラー画像を形成したところ、画像全体における光沢の均一性に関して優れた画像が得られた。