JP2004251977A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジャム発生時に、シート記録材の搬送不良を招くことなく、また、装置内部をトナーで汚染することなく、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート記録材の搬送異常による停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、ジャム処理制御手段は、シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における定着装置12のエリアと転写担持体7が位置するエリアとにまたがる位置にて、シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量を、シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御する。
【選択図】 図4
【解決手段】シート記録材の搬送異常による停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、ジャム処理制御手段は、シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における定着装置12のエリアと転写担持体7が位置するエリアとにまたがる位置にて、シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量を、シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート記録材に各種画像の形成を行う複写機,プリンタ,FAX等の画像形成装置に係り、特に、シート記録材の搬送中におけるジャム処理技術に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、像担持体に形成されたトナー画像を、転写担持体によって、シート記録材に静電吸着させて転写した後、そのトナー画像を定着装置でシート記録材上に定着させるようにして画像形成を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置のうち、特に像担持体とその周囲に各プロセス手段を配置した画像形成ステーションを複数配列したタンデム型の画像形成装置では、全ての画像形成ステーションの像担持体にわたって単一の転写担持体が対向して形成されるためにその転写担持体が長く形成されることになる。
【0003】
そのため、逐次連続して搬送されるシート記録材の何れかが搬送中にジャムを起こし画像形成装置が緊急停止した場合には、像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止していることが多い。特に、定着部で搬送ジャムが発生した場合には緊急に動作を停止しなければならない。このような場合には、像担持体と転写担持体との間に後続のシート記録材が停止している可能性が高い。
【0004】
像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止している場合は、シート記録材は転写担持体に静電吸着していることと、像担持体と転写担持体が当接状態となっているために、停止して残っているシート記録材を指でつかんで引き出すことが困難である。そのため、例えば、ジャムが発生した場合には、転写担持体を複写時の移動方向とは逆の方向に逆転させてシート記録材を容易に取り出せる位置に戻してジャム処理を行なうようにした用紙搬送装置や剥離不良紙処理装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、シート記録材のジャムが発生した場合に、定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしようとした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−264144号公報
【特許文献2】
特開平7−281534号公報
【特許文献3】
特開平5−53405号公報(段落「0013」「0016」)
【特許文献4】
特開平11−119490号公報(段落「0055」「0066」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、転写担持体と像担持体との間に存在するシート記録材を目視で見つけ出すことは困難であり、また、通常、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する手段を具備していない画像形成装置がほとんどであり、搬送ジャム時にシート記録材が転写担持体に吸着したままの状態にあるかどうかを画像形成装置自体や使用者が判断することは難しい。
【0009】
そのため、特許文献1,2に記載のように、シート記録材が転写担持体上に存在していないかも知れないのにジャム発生時に常に転写担持体を逆回転させると、無駄な時間を消費しなければならない場合が発生し、不経済になるという問題がある。また、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する検出器を設ける場合には、画像形成部のサイズが大きくなったり、製造コストや組み立てコストなどが増加したりするという問題がある。
【0010】
また、特許文献3には、シート記録材のジャムが発生した場合に,定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にしている。さらに、特許文献4には、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしている内容が開示されている。
【0011】
しかしながら、転写担持体とシート記録材との吸着力は環境条件特に湿度の変化により吸着力が変化し、転写バイアスを断ってしまうと転写担持体に対するシート記録材の吸着力が低下し定着部までシート記録材を搬送できなくなるという別の問題が発生する。また、定着部でのシート記録材の搬送動作を停止した状態で、定着部に向かってシート記録材を搬送しすぎると、画像形成装置の内部をシート記録材に転写された未定着のトナーで汚染してしまい、ジャム処理時に手や袖口を汚してしまうという問題が発生する。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、ジャム発生時に、シート記録材の搬送不良を招くことなく、また、装置内部をトナーで汚染することなく、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0014】
(1)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常時における搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする。
【0015】
例えば、定着部での搬送ジャムなどにより異常停止(緊急停止)をした後に画像形成装置内に残っているシート記録材を取り出す等の復帰作業を行った場合に、見過ごしやすい像担持体と転写担持体との間に残されたシート記録材が取り出されずに残っている場合や、シート記録材が取り出しにくくわざと残した場合等に、画像形成装置を再度動作させようとしたときに、シート記録材がまだ画像形成装置内に残っていることが検出されたり、予想されたりすることがある。
【0016】
この構成においては、このようなときに、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送することでシートを掴み易くし容易にジャム処理を行うことができる。さらに、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を、印字比率に応じて制御させることで、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるので、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0017】
(2)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする。
【0018】
この構成においては、シート記録材の搬送異常が検出された時に、継続して先に搬送されたシート記録材と、後に搬送されたシート記録材とが、共に、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送されるため、これらのシート記録材を共に取り除いて、一度の搬送ジャム復帰作業を行うことで画像形成装置を復帰することができる。
【0019】
また、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を印字比率に応じて制御させることにより、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるため、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0020】
(3)前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記印字比率が高い場合に比べ低い場合の方が多くなるように制御することを特徴とする。
【0021】
印字比率が高い場合例えば写真画像等のベタ画像を多く含む画像は印字比率が数10%ととなり、記録シート上に密度の高い未定着トナーが多く付着しているのに対し、印字比率の低い場合例えば文字画像のように線画像にて構成される画像は印字比率が数%〜10数%と記録シート上に密度の低い未定着トナーが付着しているにすぎない。
【0022】
従って、この構成のように、シート記録材を搬送するときに、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れることを防ぐことができる。
【0023】
(4)前記シート記録材を停止させる位置は、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがった位置であり、かつ、シート記録部材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置であることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、シート記録材の先端がローラ部材に噛み込む手前の位置で停止しているため、定着装置を画像形成装置から引き出した時に、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0025】
(5)前記像担持体が、前記転写担持体が回転移動する方向に複数配置されると共に、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接させる離接手段を備え、
前記離接手段は、前記シート記録材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始し、前記複数の像担持体の中、特定の像担持体を除く他の像担持体から前記転写担持体を離間させることを特徴とする。
【0026】
この構成においては、シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着装置のエリアに向かって搬送するときに、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の増大を阻止することができるため、転写担持体からシート記録材を剥がしやすくなり、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができジャム処理作業を容易に行うことができる。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0027】
また、転写担持体の搬送方向下流側を像担持体から離間させることで、シート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材を大きく撓ませたりジャムを発生させることなく転写担持体上で滑らせることができ、未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れるような不具合の発生を防止することもできる。
【0028】
(6)前記離接手段は、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始すると共に、前記転写担持体から離間した前記像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止動作に合わせて、前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする。
【0029】
この構成においては、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除してシートを定着装置のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を停止させ像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0030】
(7)全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、前記多色モード時にシート記録材の異常搬送が検出された場合に、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態が単色モード時の状態に設定されることを特徴とする。
【0031】
この構成においては、シート記録材に異常搬送が検出された場合は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0032】
(8)前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの属性情報または画像データに対する処理情報が文字等の線画像か写真等のイメージ画像かに応じて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記写真画像の場合に比べ前記文字画像の場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする。
【0033】
この構成においては、入力される画像データによりシート記録材に形成される画像の印字比率を容易に判断できるので、その情報に基づいて搬送量を制御することにより、前記(1)ないし(7)項に記載した作用効果を得ることができる。画像形成装置が複合機である場合には、原稿の画像を読取る読取装置等を有しており、操作部により例えば文字モードや写真モード等の読取りモードあるいは画像形成モード等の選択されたモード情報から印字比率を容易かつ的確に予測することができるため、その印字比率に基づいて搬送量を制御してもよい。
【0034】
(9)前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの画素情報に応じて印字比率を判断し、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記印字比率が所定の比率より低い場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする。
【0035】
この構成においては、入力される画像データの画素情報より形成する画像の印字比率が高いか低いかを容易に判断でき、その印字比率に基づいて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を制御することで、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。画像データの連続する画素を所定量測定しトナーを付ける画素の比率を求め、例えば20%以下を印字比率が低いと判断して搬送量を制御すればよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
《画像形成装置》
図1は、画像形成装置の構成を示し、この画像形成装置は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート記録部材(記録用紙,以下、シートという)に対して多色または単色の画像を形成するものであり、露光ユニット1,現像器2,感光体ドラム(像担持体)3,帯電器5,クリーナユニット4,転写搬送ベルトユニット8,定着ユニット12と、用紙搬送路S,給紙トレイ10および排紙トレイ15等を具備している。
【0038】
この画像形成装置において取り扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d),現像器2(2a,2b,2c,2d),感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d),帯電器5(5a,5b,5c,5d),クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれaがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに設定され4つの画像ステーションが構成されている。
【0039】
感光体ドラム3は、画像形成装置のほぼ中心部に配設されており、帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか図に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
【0040】
露光ユニット1は、発光素子をアレイ状に並べた例えばLED書込みヘッドや、図面に記載したレーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いている。そして、帯電器5によって帯電された感光体ドラム3が、露光ユニット1によって、入力される画像データに応じて露光されることにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0041】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化し、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0042】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ユニット8は、転写ベルト7,転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルトテンションローラ73,複数の転写ベルト従動ローラ72,73,転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備え、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73は、転写ベルト7を張架し、その転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させる。
【0043】
その転写ローラ6は、転写搬送ユニット8の内側のハウジング(図示せず)に回転可能に軸支されており、転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73とともに、転写ベルト7を張架している。この転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写する。
【0044】
転写ベルト7は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、それぞれの感光体ドラム3に対して離接可能に設けられており、感光体ドラム3全てに接触させて画像形成を行う多色モード時には、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0045】
また、転写ベルト7を感光体ドラム3aのみと接触させ、他の感光体ドラム3b,3c,3dと離間させて画像形成を行う単色モード時にはブラック(黒)のトナー像(単色トナー像)をシートに転写することによって白黒の画像を形成する機能を有している。
【0046】
この両モード間の転写ベルト7の切換動作は、切換手段38によっておこなわれる。すなわち、転写搬送ユニット8のハウジングに備えられている転写ローラ6aの軸の軸心を延長した位置に設けられた支点軸を回転中心にして、図13に示すように、切換手段38に備えられるカム43を図示しないステッピングモータ等の駆動源により回転させ、転写搬送ユニット8の支持片50に作用させることで行われる。
【0047】
感光体ドラム3からシート(記録用紙)へのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6(6a,6b,6c)によって行われる。各転写ローラ6には、トナー像を転写するために転写部の高圧電源(電源a,b,c,d)によって高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)または、シートの搬送ジャム発生時に転写ベルト7を除電するためのACの高圧電圧が印加される。
【0048】
転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。
【0049】
また、感光体ドラム3から転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因になるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるようになっている。
【0050】
給紙トレイ10は、印刷に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置の画像形成部の下側に設けられている。また、画像形成装置の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイであり、画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、印刷済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
【0051】
また、画像形成装置には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着部12、搬送方向切換えゲート34、搬送ローラ25等が配設されている。
【0052】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0053】
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す位置状態から破線で示す位置状態に切り換えることにより搬送路Sの途中からシートを分離し画像形成装置の側部に設けてある排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。
【0054】
一方、実線で示す位置状態の場合には、シートは定着部12と側面カバー35,搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S’ (用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
【0055】
また、転写ベルト7の最上流側に配設されるレジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
【0056】
すなわち、レジストローラ14は、シート検出器Aの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける印刷範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。また、シート検出器Aはシートの搬送タイミングを監視しており、シート検出器Aの信号を基準にシートのジャム検出なども行っている。
【0057】
定着部12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器の出力値に基づいて制御部によって図示しないヒータランプのON,OFFを制御し所定の定着温度となるようにされており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された単色トナー像または多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0058】
定着部12でトナー像を定着された後のシートは、搬送ローラ25…によって排紙トレイ33または15に選択的に排紙される。このとき、用紙搬送路Sの反転排紙経路(排紙部)に搬送された場合は、反転された状態で(トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出される。また、このとき、シート検出器B,シート検出器Cおよび図示しないシート検出器等により定着後のシートの搬送状態が監視されている。
【0059】
ここでは、カラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。また、本実施の形態では、画像形成装置本体を、3段の給紙トレイを備えた給紙デスク装置上に載置しているが、これに限定されることなく、使用者により各種形式の給紙装置が選択されてよい。
【0060】
《ジャム処理のための構成》
以上のように構成される画像形成装置にあって、本実施の形態では、シートの搬送中に紙詰まり(搬送ジャム)が発生した場合のジャム処理を、装置や作業者の衣類を汚すことなく、能率よく容易かつ確実に行うために、シートに形成された画像の印字比率に応じてジャム発生後のシートの搬送量を制御するジャム処理制御手段を有する制御部を具備し、以下のような構成を採用している。
【0061】
まず、図2に示すように、画像形成装置本体の前後両側に横設したスライド部材36により、排紙トレイ33を具備した側面カバー35とユニット化された定着部12が、転写搬送ベルトユニット8の搬送方向下流側に向けて(シートの搬送方向)に引き出し可能となっている(図9参照)。ジャム処理時には、側面カバー35と共にその定着部12を画像形成装置本体より引き出す動作と連動して、全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着部12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0062】
すなわち、本実施の形態では、転写ベルトユニット(転写担持体装置)8に支持された転写ベルト7を全ての感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構(離接手段R)を有し、その離接機構は、定着部12と一体のスライド部材36のスライド動作(図9参照)に連係させて、スライド部材36に備えた図示しないカム機構を転写搬送ユニット8と切換手段38に係合させることで全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着部12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0063】
上述のスライド部材36は、例えば、精度の高いアキュライド等のスライドベアリングを用い、比較的重量のある定着部12を高精度に支持しスムーズな移動を行えるようにするのが好ましいが、その定着部12を画像形成装置本体の所定の位置に戻した時に、高精度な位置決めが可能であれば、その他のスライド手段を用いてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、転写ベルト7を含む転写搬送ユニット8は、前述したように、上流側の転写ローラ6aの軸を延長した所に位置する転写搬送ユニット8のハウジング部に設けられた不図示の支点軸を回転中心として、その下流側が画像形成装置本体に対して回転可能に支持されており、図6、図7に示すように、切換手段38を用いて転写搬送ベルトユニット8が略水平に全感光体ドラム3に対して接触する多色モードの状態(図6参照)と、下流部が下降し感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触する単色モードの状態(図6参照)とに切換えられるようになっている。なお、搬送中のシートの位置を検出するための検出手段は、上述のシート検出器A、シート検出器B、シート検出器Cの他に、同様なシート検出器が搬送路Sに複数備えられている。
【0065】
この定着部12の上流側に配設されるシート検出器Aの検出タイミングを基準としたジャム処理制御手段による制御については、図11及び図12のフローチャートで説明しているが、定着部12の下流側に配設したシート検出器Bやシート検出器C(図1参照)は排紙トレイ33や排紙トレイ15へのシートの排出状態を検出しており、シート検出器Aに加えてシート検出器B、シート検出器Cを用いて同様の制御を行うこともできる。
【0066】
ジャム処理制御手段は、画像形成装置の制御系統ブロック図を表す図10に示すように、CPU,ROM,RAMからなる制御部内にジャム処理制御部100aとして設けられ、その入力側にはシート検出器A,B,Cが接続されている。また、出力側には、転写ベルト7を駆動させるための駆動源や、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段としてのレジストローラ14のクラッチ等を具備した搬送機構部や、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構部(離接手段Rと切換手段38を含む)が接続され、また、転写ローラ6への電源を供給するための高圧電源60a〜60d(転写部)も接続されている。なお、本発明は、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段を、レジストローラ14に限定するものではなく、後述するように、その他に、転写ベルト7の上流側の搬送路Sに設けられているシート搬送用の搬送ローラが上記シート搬送手段に含められてもよい。
【0067】
ところで、ジャム処理作業を行う時には、前述したように、定着部12を画像形成装置本体から引き出すことによって、定着部12を外部に開放し、その前後両側からジャム処理を行えるが、図9に示すように、その開放部がジャムの発生した画像形成部に対して側方からのアクセスになるため上流側の感光体ドラム3と転写ベルト7との間にシートが残っている場合には、これを見つけ出すのが困難なことが多い。
【0068】
特に、サイズの小さなシートは見過ごすことが多い。そこで、ジャム処理時には、このような見つけにくい上流側の位置に停滞しているシートをも確実に見つけ出して容易に取り除くことができるように、また、その際に、装置内を汚さないようにするために、ジャム処理制御手段により、以下のように、印字比率に応じて、ジャム発生時のシートの搬送量を制御している。なお、このジャム処理は、全ての感光体ドラム3を使用する多色モード時のジャム処理の制御について説明している。
【0069】
すなわち、例えば、図11のフローチャートに示すように、画像形成動作の開始後、搬送ジャムが発生すると、画像形成に関わるすべての動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録部材の搬送動作、定着部の定着動作等)を緊急停止させる(s1〜s3)と共に、切換手段38を動作させて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s4)。これは、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断ち、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0070】
なお、反転現像方式を用いる場合に、上述のステップs3にて緊急停止させるすべての動作のうち、感光体ドラム3が回転するときに画像形成に関わらずに必要となる動作として、帯電器5の帯電動作がある。これは、感光体ドラム3が回転した場合に感光体ドラム3が帯電されないと現像材が付着してしまうからである。従って、以下のs9におけるシート記録材の搬送動作に伴って感光体ドラム3も回転する場合は、回転する感光体ドラムへ3aに対する帯電器5aの帯電動作を行うようにしている。
【0071】
また、ステップs4にて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた場合について説明したが、離間させなくとも、転写ローラ6b,6c,6dの転写バイアスをOFFするか、適切な値に設定することで、同様な効果を得ることができる。
【0072】
上述のステップs4で、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた後、操作部にジャム発生の表示がなされ操作者がジャム処理(復帰作業)を行う(s5)。その復帰作業は、定着部12を画像形成装置本体から引き出して、その動作により転写搬送ベルトユニット8が再び移動させられ感光体ドラム3aと転写ベルト7とを、(離接機構により)完全に離間させて行われる。この復帰作業により、例えば、図3に示すように、ヒートローラ31に巻き付いたシートを取り除くことができる。なお、完全な離間状態は、図5に示されている。
【0073】
このジャム処理は、例えば定着装置の下流に位置している検出器(例えばシート検出器B)にシートが到達しない場合で定着部12でのジャムと判断された場合に行う制御として実施される。このジャム処理が終了した後は、定着部12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ベルトユニット8を定着部12を引き出す前の状態に復帰させる。なお、ステップs3にて、安全のため、定着部12のヒータへの通電はOFFされる。
【0074】
次に、ステップs6で先のジャム発生時にシート検出器Aの状態を監視していたときの情報を基に、他にシート検出器Aを通過したシートが転写ベルト上に存在するか否かが判断される。また、ステップs7では、シート検出器Aにてレジストローラ14に挟持されているシートが存在するか否かが判断される。ステップs6またはs7でシートが存在すると判断された場合には、印字比率に応じてシート記録材の搬送量を設定する。すなわち、印字比率が高いときには、搬送量を少なくし、印字比率が低いときには、搬送量が多くなるような設定をする(s8)。
【0075】
なお、印字比率とは、転写材上のトナー像が占める割合(転写材の面積に対してトナー像が占める面積の割合)をいう。また、文字画像の印字比率は通常5〜15%程度であるが、写真画像では白い部分(トナーが転写されない部分)の面積により大きく異なるが概ね45〜95%であるので、例えば、20〜30%程度を境として搬送量を切換えればよい。ただし、この設定は画像形成装置の構造によって定められる値でありこの範囲に限ることはない。
【0076】
ところで、本実施の形態では、例えば、図4に示すように、最下流の転写ベルト駆動ローラ71とヒートローラ31の間の距離Lを100mmに設定し、転写ベルト駆動ローラ71からシートの先端までの距離L´を、印字比率が高い場合には100〜150mm(撓みが0〜50mm)に、印字比率が低い場合には150〜200mm(撓みが50〜100mm)になるように設定している。シートの撓みが150mmに達すると画像形成装置の内部に汚れが発生しやすくなるからである。なお、この設定値については画像形成装置の大きさや機種に応じて適宜に変更設定されてよい。
【0077】
次いで、ステップs9で定着部12を停止させたままシートの搬送動作を開始し、上述のように設定した搬送量だけシートを搬送して停止させた(s10)後、操作者が定着部12を開放し再度ジャム処理(復帰作業)を行う。なお、搬送量が多いとき(印字率が低い場合)は、例えば、図4の実線で示すように、定着部12の手前でシートは若干たわむ。また、搬送量が少ないとき(印字率が高い場合)は、例えば、図4の破線で示すように、シートを撓ませることなく定着部12の手前で停止させる。
【0078】
このように、印字比率に応じて搬送量を設定することで、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れたり袖口が汚れるのを防ぐことができる。
【0079】
上述の復帰作業時に、定着部12の引出動作に連動する離接機構により、転写ベルトユニット8が全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動しているため、図5に示すように、残っていたシートの先端が掴みやすくなり、容易にジャム処理を行える。また、ジャム発生後すぐに転写ローラ6への転写バイアスの印加を停止し、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させているので、転写ベルト7に吸着しているシートの吸着力が低下しているためにシートを転写ベルト7から剥ぎ取りやすい状態になっていることも、ジャム処理の容易化に大きく寄与している。
【0080】
ジャム処理をした後に定着部12をもとに戻すとステップs7に戻り再びシート検出器Aでシートの滞留が再度検出され、シートの滞留が無ければステップs12に進み切換手段38を動作させ転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。その後、ステップs13にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs14にて前回転動作が修了すればステップs15にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な状態で待機状態となる。
【0081】
一方、ステップs6で転写ベルト上に滞留するシートが無いと判断され、ステップs7にて、シート検出器Aでシートが検出されない場合は、ジャム処理が完全に終了していると判断し、ステップs12に進み、転写ベルト7を感光体ドラム3の全てに接触させる。その後、ステップs13,14に進み前記した前回転動作の終了を待って、画像形成準備の完了したことを示すレディーランプを点灯させる(s6〜s15)。本実施の形態では、レディーランプを点灯させて動作の再開を促しているが、自動的に画像形成動作を再開させてもよい。
【0082】
このように、定着部12を画像形成装置本体から引き出して、一旦、ジャム処理を行った後、画像形成装置の上流側に残っている後続のシートがあれば、これを下流側の取り出し易い位置に搬送して、再度、ジャム処理を行うことで、シートを取り残すことなく、確実に復帰作業を完了することができる。その取り出し易い位置は、例えば、シートの少なくとも一部が定着部12のエリアと転写ベルト7のエリアにまたがる位置であればよく、その時の搬送量を印字比率に応じて調整するため、装置内や作業者を汚すことなく復帰作業を行える。
【0083】
なお、搬送ジャムと判断された場合には上流側のシート搬送手段の内レジストローラ14を含む上流のシート搬送手段の駆動は停止される。ただし、レジストローラ14に噛み込んで転写ベルト7の領域に入り込んだシートがある場合には、転写ベルト7よりその先端が定着部12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで、または、噛み込まれる手前まで搬送される。
【0084】
この時、レジストローラ14の駆動側のローラには図示しない駆動系との間に設けた図示しない一方向クラッチにより、レジストローラ14が従動回転するようになっている。また、レジストローラ14を含む上流側のシートを挟持しているローラを駆動してもよい。
【0085】
次の例は、ジャムの発生が検出された場合に定着部12の上流側のシート搬送手段の回転動作を即停止させない場合である。この場合、例えば、図12に示すように、画像形成動作の開始後にジャムが発生した場合(s21〜s22)、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作、現像器2による現像動作等)と定着部の動作(ヒータによる加熱動作、ローラ類31,32の回転動作)を停止させる(s23)。
【0086】
次いで、シートの印字比率に応じて搬送量を設定する(s24)。なお、ステップs23(及びs43)での画像形成動作とは、露光ユニット1による露光動作、現像器2による現像動作を指し、現像器2の現像動作の停止は、現像バイアスの印加制御あるいは現像器2の感光体ドラム3との距離(離接)制御にて行う。
【0087】
さらに、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s25)。これは、前述した通り、シートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0088】
そして、同時に、転写ローラ6への転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためと、感光体ドラム3aにすでに形成されてしまっている画像がシートに転写されないようにするためである。また、このとき、前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0089】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で搬送し続け、定着部12のエリアにシートの先端が充分に進入するまでの時間、転写ベルト7によるシートの搬送を継続した後にシートの搬送を停止させる(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0090】
そして、同時に、転写ローラ6への転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためと、感光体ドラム3aにすでに形成されてしまっている画像がシートに転写されないようにするためである。また、このとき、前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0091】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で所定量だけ搬送した後にシートの搬送を停止させる(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためである。
【0092】
このとき、後続のシートが下流に位置する搬送手段であるレジストローラ14等に挟持されている場合は、そのローラ部材を駆動させることによりシートがスムーズに搬送されるようにする。
【0093】
つまり、ジャム発生後すぐに画像形成動作および定着部12の回転動作を停止させてから、所定時間経過後に、図8(a)に示すような状態になったときにシートの搬送動作を完全に停止させる。そして、ステップs30にて、復帰作業が実施される。すなわち、操作者によって、まず、図8(b)に示すように定着部12を画像形成装置本体から引き出す操作により、連動する離接機構によって、転写搬送ユニット8がさらに移動させられ転写ベルト7が全ての感光体ドラム3から離間される。そして、操作者が前述したように2枚のシートを取り出す復帰作業(ジャム処理)を実施する。ジャム処理が終了した後は、定着部12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ユニット8を元の状態(感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触している状態)に復帰させる。
【0094】
次いで、ステップs31にて、シート検出器Aによりレジストローラ14にシートが滞留していないかを確認し、シートの滞留が認められたら、s36〜s37で前述したと同様に滞留しているシートの先端が定着部12のエリアに侵入あるいは充分に浸入するまでシートの搬送を行い、ステップs38にて再度、操作者が復帰作業を行う。
【0095】
復帰作業後は、再度ステップs31に戻り、シートの滞留状態が確認される。ステップs31でシートの滞留が認められなかった場合は、復帰作業(ジャム処理)が完了したと判断し、ステップs32に進み転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。
【0096】
その後、ステップs33にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs34にて前回転動作が修了すれば、ステップs35にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な待機状態となる。
【0097】
また、ステップs31からステップs36〜s38,s31に戻るフローは念のために行われる動作であり、先に説明したステップs8〜s10,s7に戻る動作と同一の動作であるので説明を省略する。
【0098】
以上説明したように、本発明では、ジャム処理の際に、シートを取り出し易い位置まで搬出方向に移動させて取り出し易い位置まで移動させると共に、環境条件に応じた転写バイアスの制御または転写バイアスの印加範囲の制御を行うことで、ジャム処理を容易かつ確実に行うことができる。
【0099】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて、適宜、設計変更や改良等は自由である。また、画像形成装置は、図1,図2に示す構成に限定されることなく、像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材上に前記トナー像を定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、搬送異常時にはその搬送動作(または画像形成動作)を停止させるようにした画像形成装置であれば、構成や形式の如何を問わない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0101】
(1)搬送異常が発生した時に、搬送途中のシート記録材を取り出しやすい位置に搬送するので、シートを掴み易くし容易にジャム処理を行うことができる。さらに、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を、シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御するので、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0102】
(2)搬送異常が検出された時に、継続して先に搬送されたシート記録材と、後に搬送されたシート記録材とが、共に、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送されるため、これらのシート記録材を共に取り除いて、一度の搬送ジャム復帰作業を行うことで画像形成装置を復帰することができる。
【0103】
また、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を印字比率に応じて制御させることにより、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるため、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0104】
(3)ジャム処理時のシート記録材の搬送量を、前記印字比率が高い場合に比べ低い場合の方が多くなるように制御するので、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れることを防ぐことができる。
【0105】
(4)シート記録材の先端がローラ部材に噛み込む手前の位置でシート記録材を停止させるため、定着装置を画像形成装置から引き出した時に、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0106】
(5)シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着装置のエリアに向かって搬送するときに、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の増大を阻止することができるため、転写担持体からシート記録材を剥がしやすくなり、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができジャム処理作業を容易に行うことができる。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0107】
また、転写担持体の搬送方向下流側を像担持体から離間させることで、シート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材を大きく撓ませたりジャムを発生させることなく転写担持体上で滑らせることができ、未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れるような不具合の発生を防止することもできる。
【0108】
(6)前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除してシートを定着装置のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を停止させ像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0109】
(7)シート記録材に異常搬送が検出された場合は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0110】
(8)入力される画像データによりシート記録材に形成される画像の印字比率を容易に判断できるので、その情報に基づいて搬送量を制御することにより、前記(1)ないし(7)項に記載した効果を得ることができる。
【0111】
(9)入力される画像データの画素情報より形成する画像の印字比率が高いか低いかを容易に判断でき、その印字比率に基づいて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を制御するので、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。画像データの連続する画素を所定量測定しトナーを付ける画素の比率を求め、例えば20%以下を印字比率が低いと判断して搬送量を制御すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部構成図である。
【図2】同定着部を引き出した状態の要部構成図である。
【図3】同転写担持体が緊急停止した状態の説明図である。
【図4】同シート記録材が転写担持体上に残っている状態の説明図である。
【図5】同定着部を引き出してジャム処理を行う時の説明図である。
【図6】同多色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図7】同単色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図8】同転写担持体上にシート記録材が2枚残った場合のジャム処理を行う時の説明図である。
【図9】同定着部を引き出している状態の説明図である。
【図10】同ジャム処理制御手段の制御系統ブロック図である。
【図11】同ジャム処理制御の一例を示すフローチャートである。
【図12】同他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3−像担持体
7−転写担持体
12−定着装置
100a−ジャム処理制御手段
R−離接手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート記録材に各種画像の形成を行う複写機,プリンタ,FAX等の画像形成装置に係り、特に、シート記録材の搬送中におけるジャム処理技術に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、像担持体に形成されたトナー画像を、転写担持体によって、シート記録材に静電吸着させて転写した後、そのトナー画像を定着装置でシート記録材上に定着させるようにして画像形成を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置のうち、特に像担持体とその周囲に各プロセス手段を配置した画像形成ステーションを複数配列したタンデム型の画像形成装置では、全ての画像形成ステーションの像担持体にわたって単一の転写担持体が対向して形成されるためにその転写担持体が長く形成されることになる。
【0003】
そのため、逐次連続して搬送されるシート記録材の何れかが搬送中にジャムを起こし画像形成装置が緊急停止した場合には、像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止していることが多い。特に、定着部で搬送ジャムが発生した場合には緊急に動作を停止しなければならない。このような場合には、像担持体と転写担持体との間に後続のシート記録材が停止している可能性が高い。
【0004】
像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止している場合は、シート記録材は転写担持体に静電吸着していることと、像担持体と転写担持体が当接状態となっているために、停止して残っているシート記録材を指でつかんで引き出すことが困難である。そのため、例えば、ジャムが発生した場合には、転写担持体を複写時の移動方向とは逆の方向に逆転させてシート記録材を容易に取り出せる位置に戻してジャム処理を行なうようにした用紙搬送装置や剥離不良紙処理装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、シート記録材のジャムが発生した場合に、定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしようとした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−264144号公報
【特許文献2】
特開平7−281534号公報
【特許文献3】
特開平5−53405号公報(段落「0013」「0016」)
【特許文献4】
特開平11−119490号公報(段落「0055」「0066」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、転写担持体と像担持体との間に存在するシート記録材を目視で見つけ出すことは困難であり、また、通常、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する手段を具備していない画像形成装置がほとんどであり、搬送ジャム時にシート記録材が転写担持体に吸着したままの状態にあるかどうかを画像形成装置自体や使用者が判断することは難しい。
【0009】
そのため、特許文献1,2に記載のように、シート記録材が転写担持体上に存在していないかも知れないのにジャム発生時に常に転写担持体を逆回転させると、無駄な時間を消費しなければならない場合が発生し、不経済になるという問題がある。また、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する検出器を設ける場合には、画像形成部のサイズが大きくなったり、製造コストや組み立てコストなどが増加したりするという問題がある。
【0010】
また、特許文献3には、シート記録材のジャムが発生した場合に,定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にしている。さらに、特許文献4には、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしている内容が開示されている。
【0011】
しかしながら、転写担持体とシート記録材との吸着力は環境条件特に湿度の変化により吸着力が変化し、転写バイアスを断ってしまうと転写担持体に対するシート記録材の吸着力が低下し定着部までシート記録材を搬送できなくなるという別の問題が発生する。また、定着部でのシート記録材の搬送動作を停止した状態で、定着部に向かってシート記録材を搬送しすぎると、画像形成装置の内部をシート記録材に転写された未定着のトナーで汚染してしまい、ジャム処理時に手や袖口を汚してしまうという問題が発生する。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、ジャム発生時に、シート記録材の搬送不良を招くことなく、また、装置内部をトナーで汚染することなく、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0014】
(1)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常時における搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする。
【0015】
例えば、定着部での搬送ジャムなどにより異常停止(緊急停止)をした後に画像形成装置内に残っているシート記録材を取り出す等の復帰作業を行った場合に、見過ごしやすい像担持体と転写担持体との間に残されたシート記録材が取り出されずに残っている場合や、シート記録材が取り出しにくくわざと残した場合等に、画像形成装置を再度動作させようとしたときに、シート記録材がまだ画像形成装置内に残っていることが検出されたり、予想されたりすることがある。
【0016】
この構成においては、このようなときに、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送することでシートを掴み易くし容易にジャム処理を行うことができる。さらに、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を、印字比率に応じて制御させることで、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるので、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0017】
(2)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする。
【0018】
この構成においては、シート記録材の搬送異常が検出された時に、継続して先に搬送されたシート記録材と、後に搬送されたシート記録材とが、共に、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送されるため、これらのシート記録材を共に取り除いて、一度の搬送ジャム復帰作業を行うことで画像形成装置を復帰することができる。
【0019】
また、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を印字比率に応じて制御させることにより、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるため、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0020】
(3)前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記印字比率が高い場合に比べ低い場合の方が多くなるように制御することを特徴とする。
【0021】
印字比率が高い場合例えば写真画像等のベタ画像を多く含む画像は印字比率が数10%ととなり、記録シート上に密度の高い未定着トナーが多く付着しているのに対し、印字比率の低い場合例えば文字画像のように線画像にて構成される画像は印字比率が数%〜10数%と記録シート上に密度の低い未定着トナーが付着しているにすぎない。
【0022】
従って、この構成のように、シート記録材を搬送するときに、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れることを防ぐことができる。
【0023】
(4)前記シート記録材を停止させる位置は、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがった位置であり、かつ、シート記録部材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置であることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、シート記録材の先端がローラ部材に噛み込む手前の位置で停止しているため、定着装置を画像形成装置から引き出した時に、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0025】
(5)前記像担持体が、前記転写担持体が回転移動する方向に複数配置されると共に、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接させる離接手段を備え、
前記離接手段は、前記シート記録材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始し、前記複数の像担持体の中、特定の像担持体を除く他の像担持体から前記転写担持体を離間させることを特徴とする。
【0026】
この構成においては、シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着装置のエリアに向かって搬送するときに、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の増大を阻止することができるため、転写担持体からシート記録材を剥がしやすくなり、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができジャム処理作業を容易に行うことができる。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0027】
また、転写担持体の搬送方向下流側を像担持体から離間させることで、シート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材を大きく撓ませたりジャムを発生させることなく転写担持体上で滑らせることができ、未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れるような不具合の発生を防止することもできる。
【0028】
(6)前記離接手段は、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始すると共に、前記転写担持体から離間した前記像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止動作に合わせて、前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする。
【0029】
この構成においては、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除してシートを定着装置のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を停止させ像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0030】
(7)全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、前記多色モード時にシート記録材の異常搬送が検出された場合に、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態が単色モード時の状態に設定されることを特徴とする。
【0031】
この構成においては、シート記録材に異常搬送が検出された場合は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0032】
(8)前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの属性情報または画像データに対する処理情報が文字等の線画像か写真等のイメージ画像かに応じて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記写真画像の場合に比べ前記文字画像の場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする。
【0033】
この構成においては、入力される画像データによりシート記録材に形成される画像の印字比率を容易に判断できるので、その情報に基づいて搬送量を制御することにより、前記(1)ないし(7)項に記載した作用効果を得ることができる。画像形成装置が複合機である場合には、原稿の画像を読取る読取装置等を有しており、操作部により例えば文字モードや写真モード等の読取りモードあるいは画像形成モード等の選択されたモード情報から印字比率を容易かつ的確に予測することができるため、その印字比率に基づいて搬送量を制御してもよい。
【0034】
(9)前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの画素情報に応じて印字比率を判断し、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記印字比率が所定の比率より低い場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする。
【0035】
この構成においては、入力される画像データの画素情報より形成する画像の印字比率が高いか低いかを容易に判断でき、その印字比率に基づいて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を制御することで、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。画像データの連続する画素を所定量測定しトナーを付ける画素の比率を求め、例えば20%以下を印字比率が低いと判断して搬送量を制御すればよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
《画像形成装置》
図1は、画像形成装置の構成を示し、この画像形成装置は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート記録部材(記録用紙,以下、シートという)に対して多色または単色の画像を形成するものであり、露光ユニット1,現像器2,感光体ドラム(像担持体)3,帯電器5,クリーナユニット4,転写搬送ベルトユニット8,定着ユニット12と、用紙搬送路S,給紙トレイ10および排紙トレイ15等を具備している。
【0038】
この画像形成装置において取り扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d),現像器2(2a,2b,2c,2d),感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d),帯電器5(5a,5b,5c,5d),クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれaがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに設定され4つの画像ステーションが構成されている。
【0039】
感光体ドラム3は、画像形成装置のほぼ中心部に配設されており、帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか図に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
【0040】
露光ユニット1は、発光素子をアレイ状に並べた例えばLED書込みヘッドや、図面に記載したレーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いている。そして、帯電器5によって帯電された感光体ドラム3が、露光ユニット1によって、入力される画像データに応じて露光されることにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0041】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化し、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0042】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ユニット8は、転写ベルト7,転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルトテンションローラ73,複数の転写ベルト従動ローラ72,73,転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備え、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73は、転写ベルト7を張架し、その転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させる。
【0043】
その転写ローラ6は、転写搬送ユニット8の内側のハウジング(図示せず)に回転可能に軸支されており、転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73とともに、転写ベルト7を張架している。この転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写する。
【0044】
転写ベルト7は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、それぞれの感光体ドラム3に対して離接可能に設けられており、感光体ドラム3全てに接触させて画像形成を行う多色モード時には、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0045】
また、転写ベルト7を感光体ドラム3aのみと接触させ、他の感光体ドラム3b,3c,3dと離間させて画像形成を行う単色モード時にはブラック(黒)のトナー像(単色トナー像)をシートに転写することによって白黒の画像を形成する機能を有している。
【0046】
この両モード間の転写ベルト7の切換動作は、切換手段38によっておこなわれる。すなわち、転写搬送ユニット8のハウジングに備えられている転写ローラ6aの軸の軸心を延長した位置に設けられた支点軸を回転中心にして、図13に示すように、切換手段38に備えられるカム43を図示しないステッピングモータ等の駆動源により回転させ、転写搬送ユニット8の支持片50に作用させることで行われる。
【0047】
感光体ドラム3からシート(記録用紙)へのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6(6a,6b,6c)によって行われる。各転写ローラ6には、トナー像を転写するために転写部の高圧電源(電源a,b,c,d)によって高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)または、シートの搬送ジャム発生時に転写ベルト7を除電するためのACの高圧電圧が印加される。
【0048】
転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。
【0049】
また、感光体ドラム3から転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因になるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるようになっている。
【0050】
給紙トレイ10は、印刷に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置の画像形成部の下側に設けられている。また、画像形成装置の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイであり、画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、印刷済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
【0051】
また、画像形成装置には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着部12、搬送方向切換えゲート34、搬送ローラ25等が配設されている。
【0052】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0053】
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す位置状態から破線で示す位置状態に切り換えることにより搬送路Sの途中からシートを分離し画像形成装置の側部に設けてある排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。
【0054】
一方、実線で示す位置状態の場合には、シートは定着部12と側面カバー35,搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S’ (用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
【0055】
また、転写ベルト7の最上流側に配設されるレジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
【0056】
すなわち、レジストローラ14は、シート検出器Aの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける印刷範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。また、シート検出器Aはシートの搬送タイミングを監視しており、シート検出器Aの信号を基準にシートのジャム検出なども行っている。
【0057】
定着部12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器の出力値に基づいて制御部によって図示しないヒータランプのON,OFFを制御し所定の定着温度となるようにされており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された単色トナー像または多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0058】
定着部12でトナー像を定着された後のシートは、搬送ローラ25…によって排紙トレイ33または15に選択的に排紙される。このとき、用紙搬送路Sの反転排紙経路(排紙部)に搬送された場合は、反転された状態で(トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出される。また、このとき、シート検出器B,シート検出器Cおよび図示しないシート検出器等により定着後のシートの搬送状態が監視されている。
【0059】
ここでは、カラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。また、本実施の形態では、画像形成装置本体を、3段の給紙トレイを備えた給紙デスク装置上に載置しているが、これに限定されることなく、使用者により各種形式の給紙装置が選択されてよい。
【0060】
《ジャム処理のための構成》
以上のように構成される画像形成装置にあって、本実施の形態では、シートの搬送中に紙詰まり(搬送ジャム)が発生した場合のジャム処理を、装置や作業者の衣類を汚すことなく、能率よく容易かつ確実に行うために、シートに形成された画像の印字比率に応じてジャム発生後のシートの搬送量を制御するジャム処理制御手段を有する制御部を具備し、以下のような構成を採用している。
【0061】
まず、図2に示すように、画像形成装置本体の前後両側に横設したスライド部材36により、排紙トレイ33を具備した側面カバー35とユニット化された定着部12が、転写搬送ベルトユニット8の搬送方向下流側に向けて(シートの搬送方向)に引き出し可能となっている(図9参照)。ジャム処理時には、側面カバー35と共にその定着部12を画像形成装置本体より引き出す動作と連動して、全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着部12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0062】
すなわち、本実施の形態では、転写ベルトユニット(転写担持体装置)8に支持された転写ベルト7を全ての感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構(離接手段R)を有し、その離接機構は、定着部12と一体のスライド部材36のスライド動作(図9参照)に連係させて、スライド部材36に備えた図示しないカム機構を転写搬送ユニット8と切換手段38に係合させることで全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着部12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0063】
上述のスライド部材36は、例えば、精度の高いアキュライド等のスライドベアリングを用い、比較的重量のある定着部12を高精度に支持しスムーズな移動を行えるようにするのが好ましいが、その定着部12を画像形成装置本体の所定の位置に戻した時に、高精度な位置決めが可能であれば、その他のスライド手段を用いてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、転写ベルト7を含む転写搬送ユニット8は、前述したように、上流側の転写ローラ6aの軸を延長した所に位置する転写搬送ユニット8のハウジング部に設けられた不図示の支点軸を回転中心として、その下流側が画像形成装置本体に対して回転可能に支持されており、図6、図7に示すように、切換手段38を用いて転写搬送ベルトユニット8が略水平に全感光体ドラム3に対して接触する多色モードの状態(図6参照)と、下流部が下降し感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触する単色モードの状態(図6参照)とに切換えられるようになっている。なお、搬送中のシートの位置を検出するための検出手段は、上述のシート検出器A、シート検出器B、シート検出器Cの他に、同様なシート検出器が搬送路Sに複数備えられている。
【0065】
この定着部12の上流側に配設されるシート検出器Aの検出タイミングを基準としたジャム処理制御手段による制御については、図11及び図12のフローチャートで説明しているが、定着部12の下流側に配設したシート検出器Bやシート検出器C(図1参照)は排紙トレイ33や排紙トレイ15へのシートの排出状態を検出しており、シート検出器Aに加えてシート検出器B、シート検出器Cを用いて同様の制御を行うこともできる。
【0066】
ジャム処理制御手段は、画像形成装置の制御系統ブロック図を表す図10に示すように、CPU,ROM,RAMからなる制御部内にジャム処理制御部100aとして設けられ、その入力側にはシート検出器A,B,Cが接続されている。また、出力側には、転写ベルト7を駆動させるための駆動源や、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段としてのレジストローラ14のクラッチ等を具備した搬送機構部や、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構部(離接手段Rと切換手段38を含む)が接続され、また、転写ローラ6への電源を供給するための高圧電源60a〜60d(転写部)も接続されている。なお、本発明は、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段を、レジストローラ14に限定するものではなく、後述するように、その他に、転写ベルト7の上流側の搬送路Sに設けられているシート搬送用の搬送ローラが上記シート搬送手段に含められてもよい。
【0067】
ところで、ジャム処理作業を行う時には、前述したように、定着部12を画像形成装置本体から引き出すことによって、定着部12を外部に開放し、その前後両側からジャム処理を行えるが、図9に示すように、その開放部がジャムの発生した画像形成部に対して側方からのアクセスになるため上流側の感光体ドラム3と転写ベルト7との間にシートが残っている場合には、これを見つけ出すのが困難なことが多い。
【0068】
特に、サイズの小さなシートは見過ごすことが多い。そこで、ジャム処理時には、このような見つけにくい上流側の位置に停滞しているシートをも確実に見つけ出して容易に取り除くことができるように、また、その際に、装置内を汚さないようにするために、ジャム処理制御手段により、以下のように、印字比率に応じて、ジャム発生時のシートの搬送量を制御している。なお、このジャム処理は、全ての感光体ドラム3を使用する多色モード時のジャム処理の制御について説明している。
【0069】
すなわち、例えば、図11のフローチャートに示すように、画像形成動作の開始後、搬送ジャムが発生すると、画像形成に関わるすべての動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録部材の搬送動作、定着部の定着動作等)を緊急停止させる(s1〜s3)と共に、切換手段38を動作させて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s4)。これは、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断ち、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0070】
なお、反転現像方式を用いる場合に、上述のステップs3にて緊急停止させるすべての動作のうち、感光体ドラム3が回転するときに画像形成に関わらずに必要となる動作として、帯電器5の帯電動作がある。これは、感光体ドラム3が回転した場合に感光体ドラム3が帯電されないと現像材が付着してしまうからである。従って、以下のs9におけるシート記録材の搬送動作に伴って感光体ドラム3も回転する場合は、回転する感光体ドラムへ3aに対する帯電器5aの帯電動作を行うようにしている。
【0071】
また、ステップs4にて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた場合について説明したが、離間させなくとも、転写ローラ6b,6c,6dの転写バイアスをOFFするか、適切な値に設定することで、同様な効果を得ることができる。
【0072】
上述のステップs4で、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた後、操作部にジャム発生の表示がなされ操作者がジャム処理(復帰作業)を行う(s5)。その復帰作業は、定着部12を画像形成装置本体から引き出して、その動作により転写搬送ベルトユニット8が再び移動させられ感光体ドラム3aと転写ベルト7とを、(離接機構により)完全に離間させて行われる。この復帰作業により、例えば、図3に示すように、ヒートローラ31に巻き付いたシートを取り除くことができる。なお、完全な離間状態は、図5に示されている。
【0073】
このジャム処理は、例えば定着装置の下流に位置している検出器(例えばシート検出器B)にシートが到達しない場合で定着部12でのジャムと判断された場合に行う制御として実施される。このジャム処理が終了した後は、定着部12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ベルトユニット8を定着部12を引き出す前の状態に復帰させる。なお、ステップs3にて、安全のため、定着部12のヒータへの通電はOFFされる。
【0074】
次に、ステップs6で先のジャム発生時にシート検出器Aの状態を監視していたときの情報を基に、他にシート検出器Aを通過したシートが転写ベルト上に存在するか否かが判断される。また、ステップs7では、シート検出器Aにてレジストローラ14に挟持されているシートが存在するか否かが判断される。ステップs6またはs7でシートが存在すると判断された場合には、印字比率に応じてシート記録材の搬送量を設定する。すなわち、印字比率が高いときには、搬送量を少なくし、印字比率が低いときには、搬送量が多くなるような設定をする(s8)。
【0075】
なお、印字比率とは、転写材上のトナー像が占める割合(転写材の面積に対してトナー像が占める面積の割合)をいう。また、文字画像の印字比率は通常5〜15%程度であるが、写真画像では白い部分(トナーが転写されない部分)の面積により大きく異なるが概ね45〜95%であるので、例えば、20〜30%程度を境として搬送量を切換えればよい。ただし、この設定は画像形成装置の構造によって定められる値でありこの範囲に限ることはない。
【0076】
ところで、本実施の形態では、例えば、図4に示すように、最下流の転写ベルト駆動ローラ71とヒートローラ31の間の距離Lを100mmに設定し、転写ベルト駆動ローラ71からシートの先端までの距離L´を、印字比率が高い場合には100〜150mm(撓みが0〜50mm)に、印字比率が低い場合には150〜200mm(撓みが50〜100mm)になるように設定している。シートの撓みが150mmに達すると画像形成装置の内部に汚れが発生しやすくなるからである。なお、この設定値については画像形成装置の大きさや機種に応じて適宜に変更設定されてよい。
【0077】
次いで、ステップs9で定着部12を停止させたままシートの搬送動作を開始し、上述のように設定した搬送量だけシートを搬送して停止させた(s10)後、操作者が定着部12を開放し再度ジャム処理(復帰作業)を行う。なお、搬送量が多いとき(印字率が低い場合)は、例えば、図4の実線で示すように、定着部12の手前でシートは若干たわむ。また、搬送量が少ないとき(印字率が高い場合)は、例えば、図4の破線で示すように、シートを撓ませることなく定着部12の手前で停止させる。
【0078】
このように、印字比率に応じて搬送量を設定することで、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れたり袖口が汚れるのを防ぐことができる。
【0079】
上述の復帰作業時に、定着部12の引出動作に連動する離接機構により、転写ベルトユニット8が全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動しているため、図5に示すように、残っていたシートの先端が掴みやすくなり、容易にジャム処理を行える。また、ジャム発生後すぐに転写ローラ6への転写バイアスの印加を停止し、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させているので、転写ベルト7に吸着しているシートの吸着力が低下しているためにシートを転写ベルト7から剥ぎ取りやすい状態になっていることも、ジャム処理の容易化に大きく寄与している。
【0080】
ジャム処理をした後に定着部12をもとに戻すとステップs7に戻り再びシート検出器Aでシートの滞留が再度検出され、シートの滞留が無ければステップs12に進み切換手段38を動作させ転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。その後、ステップs13にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs14にて前回転動作が修了すればステップs15にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な状態で待機状態となる。
【0081】
一方、ステップs6で転写ベルト上に滞留するシートが無いと判断され、ステップs7にて、シート検出器Aでシートが検出されない場合は、ジャム処理が完全に終了していると判断し、ステップs12に進み、転写ベルト7を感光体ドラム3の全てに接触させる。その後、ステップs13,14に進み前記した前回転動作の終了を待って、画像形成準備の完了したことを示すレディーランプを点灯させる(s6〜s15)。本実施の形態では、レディーランプを点灯させて動作の再開を促しているが、自動的に画像形成動作を再開させてもよい。
【0082】
このように、定着部12を画像形成装置本体から引き出して、一旦、ジャム処理を行った後、画像形成装置の上流側に残っている後続のシートがあれば、これを下流側の取り出し易い位置に搬送して、再度、ジャム処理を行うことで、シートを取り残すことなく、確実に復帰作業を完了することができる。その取り出し易い位置は、例えば、シートの少なくとも一部が定着部12のエリアと転写ベルト7のエリアにまたがる位置であればよく、その時の搬送量を印字比率に応じて調整するため、装置内や作業者を汚すことなく復帰作業を行える。
【0083】
なお、搬送ジャムと判断された場合には上流側のシート搬送手段の内レジストローラ14を含む上流のシート搬送手段の駆動は停止される。ただし、レジストローラ14に噛み込んで転写ベルト7の領域に入り込んだシートがある場合には、転写ベルト7よりその先端が定着部12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで、または、噛み込まれる手前まで搬送される。
【0084】
この時、レジストローラ14の駆動側のローラには図示しない駆動系との間に設けた図示しない一方向クラッチにより、レジストローラ14が従動回転するようになっている。また、レジストローラ14を含む上流側のシートを挟持しているローラを駆動してもよい。
【0085】
次の例は、ジャムの発生が検出された場合に定着部12の上流側のシート搬送手段の回転動作を即停止させない場合である。この場合、例えば、図12に示すように、画像形成動作の開始後にジャムが発生した場合(s21〜s22)、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作、現像器2による現像動作等)と定着部の動作(ヒータによる加熱動作、ローラ類31,32の回転動作)を停止させる(s23)。
【0086】
次いで、シートの印字比率に応じて搬送量を設定する(s24)。なお、ステップs23(及びs43)での画像形成動作とは、露光ユニット1による露光動作、現像器2による現像動作を指し、現像器2の現像動作の停止は、現像バイアスの印加制御あるいは現像器2の感光体ドラム3との距離(離接)制御にて行う。
【0087】
さらに、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s25)。これは、前述した通り、シートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0088】
そして、同時に、転写ローラ6への転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためと、感光体ドラム3aにすでに形成されてしまっている画像がシートに転写されないようにするためである。また、このとき、前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0089】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で搬送し続け、定着部12のエリアにシートの先端が充分に進入するまでの時間、転写ベルト7によるシートの搬送を継続した後にシートの搬送を停止させる(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0090】
そして、同時に、転写ローラ6への転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためと、感光体ドラム3aにすでに形成されてしまっている画像がシートに転写されないようにするためである。また、このとき、前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0091】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で所定量だけ搬送した後にシートの搬送を停止させる(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためである。
【0092】
このとき、後続のシートが下流に位置する搬送手段であるレジストローラ14等に挟持されている場合は、そのローラ部材を駆動させることによりシートがスムーズに搬送されるようにする。
【0093】
つまり、ジャム発生後すぐに画像形成動作および定着部12の回転動作を停止させてから、所定時間経過後に、図8(a)に示すような状態になったときにシートの搬送動作を完全に停止させる。そして、ステップs30にて、復帰作業が実施される。すなわち、操作者によって、まず、図8(b)に示すように定着部12を画像形成装置本体から引き出す操作により、連動する離接機構によって、転写搬送ユニット8がさらに移動させられ転写ベルト7が全ての感光体ドラム3から離間される。そして、操作者が前述したように2枚のシートを取り出す復帰作業(ジャム処理)を実施する。ジャム処理が終了した後は、定着部12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ユニット8を元の状態(感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触している状態)に復帰させる。
【0094】
次いで、ステップs31にて、シート検出器Aによりレジストローラ14にシートが滞留していないかを確認し、シートの滞留が認められたら、s36〜s37で前述したと同様に滞留しているシートの先端が定着部12のエリアに侵入あるいは充分に浸入するまでシートの搬送を行い、ステップs38にて再度、操作者が復帰作業を行う。
【0095】
復帰作業後は、再度ステップs31に戻り、シートの滞留状態が確認される。ステップs31でシートの滞留が認められなかった場合は、復帰作業(ジャム処理)が完了したと判断し、ステップs32に進み転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。
【0096】
その後、ステップs33にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs34にて前回転動作が修了すれば、ステップs35にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な待機状態となる。
【0097】
また、ステップs31からステップs36〜s38,s31に戻るフローは念のために行われる動作であり、先に説明したステップs8〜s10,s7に戻る動作と同一の動作であるので説明を省略する。
【0098】
以上説明したように、本発明では、ジャム処理の際に、シートを取り出し易い位置まで搬出方向に移動させて取り出し易い位置まで移動させると共に、環境条件に応じた転写バイアスの制御または転写バイアスの印加範囲の制御を行うことで、ジャム処理を容易かつ確実に行うことができる。
【0099】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて、適宜、設計変更や改良等は自由である。また、画像形成装置は、図1,図2に示す構成に限定されることなく、像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材上に前記トナー像を定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、搬送異常時にはその搬送動作(または画像形成動作)を停止させるようにした画像形成装置であれば、構成や形式の如何を問わない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0101】
(1)搬送異常が発生した時に、搬送途中のシート記録材を取り出しやすい位置に搬送するので、シートを掴み易くし容易にジャム処理を行うことができる。さらに、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を、シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御するので、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0102】
(2)搬送異常が検出された時に、継続して先に搬送されたシート記録材と、後に搬送されたシート記録材とが、共に、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送されるため、これらのシート記録材を共に取り除いて、一度の搬送ジャム復帰作業を行うことで画像形成装置を復帰することができる。
【0103】
また、シート記録材が印字比率によって転写担持体に対する吸着力が異なるので、取り出しやすい位置に搬送するときの搬送量を印字比率に応じて制御させることにより、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができるため、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。
【0104】
(3)ジャム処理時のシート記録材の搬送量を、前記印字比率が高い場合に比べ低い場合の方が多くなるように制御するので、印字比率が低い場合には搬送量を多くして大きなタワミを形成しても、画像形成装置内部の著しいトナー汚れが発生せずに、転写担持体に対する吸着面積を小さくして引き剥がし力を小さくできる。一方、印字比率が高い場合には搬送量を少なくして大きなタワミができないようにすることで、画像形成装置の内部が著しく汚れることを防ぐことができる。
【0105】
(4)シート記録材の先端がローラ部材に噛み込む手前の位置でシート記録材を停止させるため、定着装置を画像形成装置から引き出した時に、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0106】
(5)シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着装置のエリアに向かって搬送するときに、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の増大を阻止することができるため、転写担持体からシート記録材を剥がしやすくなり、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができジャム処理作業を容易に行うことができる。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0107】
また、転写担持体の搬送方向下流側を像担持体から離間させることで、シート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材を大きく撓ませたりジャムを発生させることなく転写担持体上で滑らせることができ、未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れるような不具合の発生を防止することもできる。
【0108】
(6)前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除してシートを定着装置のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を停止させ像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0109】
(7)シート記録材に異常搬送が検出された場合は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0110】
(8)入力される画像データによりシート記録材に形成される画像の印字比率を容易に判断できるので、その情報に基づいて搬送量を制御することにより、前記(1)ないし(7)項に記載した効果を得ることができる。
【0111】
(9)入力される画像データの画素情報より形成する画像の印字比率が高いか低いかを容易に判断でき、その印字比率に基づいて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を制御するので、シート記録材に転写されている未定着トナーによって画像形成装置の内部が汚れることを防ぐことができ、ジャム処理で手を画像装置内に差し入れた時に袖口などを汚さないようにすることができる。画像データの連続する画素を所定量測定しトナーを付ける画素の比率を求め、例えば20%以下を印字比率が低いと判断して搬送量を制御すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部構成図である。
【図2】同定着部を引き出した状態の要部構成図である。
【図3】同転写担持体が緊急停止した状態の説明図である。
【図4】同シート記録材が転写担持体上に残っている状態の説明図である。
【図5】同定着部を引き出してジャム処理を行う時の説明図である。
【図6】同多色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図7】同単色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図8】同転写担持体上にシート記録材が2枚残った場合のジャム処理を行う時の説明図である。
【図9】同定着部を引き出している状態の説明図である。
【図10】同ジャム処理制御手段の制御系統ブロック図である。
【図11】同ジャム処理制御の一例を示すフローチャートである。
【図12】同他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3−像担持体
7−転写担持体
12−定着装置
100a−ジャム処理制御手段
R−離接手段
Claims (9)
- 像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常時における搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、
前記ジャム処理制御手段は、
前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を前記シート記録材に形成された画像の印字比率に応じて制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記印字比率が高い場合に比べ低い場合の方が多くなるように制御することを特徴とする請求項1または2項に記載の何れかの画像形成装置。
- 前記シート記録材を停止させる位置は、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがった位置であり、かつ、シート記録部材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体が、前記転写担持体が回転移動する方向に複数配置されると共に、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接させる離接手段を備え、
前記離接手段は、
前記シート記録材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始し、前記複数の像担持体の中、特定の像担持体を除く他の像担持体から前記転写担持体を離間させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記離接手段は、
前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、前記転写担持体によるシート記録材の搬送が停止する以前に前記転写担持体の前記像担持体に対する離間動作を開始すると共に、前記転写担持体から離間した前記像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止動作に合わせて、前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。 - 全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、前記多色モード時にシート記録材の異常搬送が検出された場合に、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態が単色モード時の状態に設定されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの属性情報または画像データに対する処理情報が文字等の線画像か写真等のイメージ画像かに応じて、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記写真画像に比べ前記文字画像の場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ジャム処理制御手段は、入力される画像データの画素情報に応じて印字比率を判断し、シート記録材をシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に搬送する搬送量を切換え、前記印字比率が所定の比率より低い場合に前記搬送量を多くすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
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