JP2004251426A - モータ軸継手機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ軸34の外周に設置固定されたフランジ42とウォーム軸28の外周に設置固定されたボス40との間に、弾性を有するゴム部材44を介在する。また、ボス40の径方向へ延びる放射部40cに、回転方向へ向けて突起する回転ストッパ50を、フランジ42の突起42cに対して回転方向に僅かに隙間が空く程度に形成する。これにより、回転ストッパ50を用いてボス40とフランジ42との相対回転を制限する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ軸継手機構に係り、特に、モータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致し、モータトルクが伝達される従動軸との間に介在する弾性部材を備えるモータ軸継手機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、モータで発生するトルクリップによる振動を抑制し、騒音の低減を図るモータ軸継手機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータ軸継手機構は、モータ軸と、モータ軸からのモータトルクが伝達されるべき従動軸と、を備えている。モータ軸と従動軸との間には、円筒状のゴムカップリングが設けられている。ゴムカップリングは、防振ゴムにより構成されており、モータで発生するトルクリップを有効に吸収する弾性部材として機能する。このため、上記従来の機構によれば、モータのトルクリップによる振動の発生が抑制され、かかる振動が従動軸に伝達され難い状況が形成されるので、騒音の低減が図られる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−136043公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1記載の継手機構では、モータ軸と従動軸との相対回転を規制するストッパとしての部材が、弾性部材以外に存在しない。このため、かかる機構では、モータ軸からのトルク荷重や軸方向荷重が大きくなるほど、弾性部材に加わる応力が増大し、その歪みが大きくなるので、弾性部材が損傷し或いは破損し易いものとなっていた。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、モータ回転方向又は軸方向に対する弾性部材の耐久性を確保することが可能なモータ軸継手機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、モータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致する従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材とは別体の、前記モータ軸と前記従動軸との相対回転を所定角度内に制限する回転方向ストッパを備えるモータ軸継手機構により達成される。
【0007】
本発明において、モータ軸とそのモータ軸と軸中心が一致する従動軸との相対回転は、両者の間に介在する弾性部材とは別体の回転方向ストッパにより所定角度内に制限される。この場合には、弾性部材の回転方向への応力が制限され、それによる歪みが抑制される。従って、本発明によれば、モータ軸と従動軸との相対回転に起因する弾性部材の損傷・破損を軽減でき、その耐久性を確保することができる。
【0008】
また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、モータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致する従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材とは別体の、前記モータ軸と前記従動軸との、前記弾性部材を圧縮する側への軸方向相対変位を所定変位内に制限する軸方向ストッパを備えるモータ軸継手機構により達成される。
【0009】
本発明において、モータ軸とそのモータ軸と軸中心が一致する従動軸との圧縮側への軸方向相対変位は、両者の間に介在する弾性部材とは別体の軸方向ストッパにより所定変位内に制限される。この場合には、弾性部材の軸方向への圧縮応力が制限され、それによる歪みが抑制される。従って、本発明によれば、モータ軸と従動軸との軸方向相対変位に起因する弾性部材の損傷・破損を軽減でき、その耐久性を確保することができる。
【0010】
尚、請求項3に記載する如く、請求項1又は2記載のモータ軸継手機構において、前記弾性部材は、少なくとも前記モータ軸に設置固定されるフランジおよび前記従動軸に設置固定されるボスの何れかに固定されていることとすればよい。
【0011】
この場合、請求項4に記載する如く、請求項3記載のモータ軸継手機構において、前記弾性部材は、前記フランジ及び前記ボスの双方に固定され、前記従動軸の前記モータ軸側への軸方向相対変位を減衰させるバネ特性を有することとすれば、モータ軸と従動軸との軸方向相対変位に応じて弾性部材が伸縮するため、その相対変位時にモータ軸と従動軸との間に作用する力が減衰され、両者の干渉を防止することができる。
【0012】
また、請求項5に記載する如く、請求項1乃至4の何れか一項記載のモータ軸継手機構において、前記モータ軸、前記従動軸、及び前記弾性部材は、別部材により一体化されていることとすれば、モータ軸と従動軸とが軸方向および径方向において相対的に大きく変位することはないので、両者の干渉を抑制することができる。
【0013】
また、請求項6に記載する如く、請求項1乃至5の何れか一項記載のモータ軸継手機構において、前記弾性部材は、その外径が前記モータ軸に取り付けられたフランジおよび前記従動軸に取り付けられたボスの少なくとも何れか一方の外径とほぼ一致する外形を有することとすれば、弾性部材とモータ軸側のフランジ又は従動軸側のボスとの接触面積が比較的大きいため、弾性部材に作用する面圧を低く抑えることができ、これにより、弾性部材の耐久性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項7に記載する如く、請求項1乃至6の何れか一項記載のモータ軸継手機構において、前記モータ軸は、前記従動軸を介して、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達すると共に、前記弾性部材は、回転方向の周波数伝達特性がほぼ1kHz以上において減衰効果を有するように構成されていることとすれば、ステアリング操作時におけるモータのアシストトルクを確実にステアリングシャフト側へ伝達しつつ、モータのトルクリップによる振動が従動軸側へ伝達されるのを確実に抑制することができる。
【0015】
ところで、請求項8に記載する如く、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達するモータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致し、前記ステアリングシャフトが連結される従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材は、回転方向のバネ定数が前記モータ軸と前記従動軸との相対回転量に応じて変化するように形成されているモータ軸継手機構は、運転者の操舵フィーリングを良好に維持しつつ、モータのトルク振動や騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制するうえで有効である。
【0016】
モータ軸を有するモータが、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを付与する構成において、モータ軸側とステアリングシャフト側とが常にリジットな状態にあると、操舵初期にその操舵によってモータに比較的大きな慣性力が生じ、運転者の操舵フィーリングが損われる。
【0017】
本発明において、弾性部材における回転方向のバネ定数は、モータ軸と従動軸との相対回転量に応じて変化する。このため、操舵中におけるモータのトルクリップを確実に吸収できる範囲において、操舵初期にモータに生ずる慣性力の低減を図ることができる。従って、本発明によれば、運転者の操舵フィーリングを良好に維持しつつ、モータのトルク振動や騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制することができる。
【0018】
また、請求項9に記載する如く、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達するモータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致し、前記ステアリングシャフトが連結される従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材は、軸方向のバネ定数が前記モータ軸と前記従動軸との軸方向相対変位量に応じて変化するように形成されているモータ軸継手機構は、運転者の操舵フィーリングを良好に維持しつつ、モータのトルク振動や騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制するうえで有効である。
【0019】
本発明において、弾性部材における軸方向のバネ定数は、モータ軸と従動軸との軸方向相対変位量に応じて変化する。このため、操舵中におけるモータのトルクリップを確実に吸収できる範囲において、操舵初期にモータに生ずる慣性力の低減を図ることができる。従って、本発明によれば、操舵初期における運転者の操舵フィーリングを良好に維持しつつ、操舵中におけるモータのトルク振動や騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施例のモータ軸継手機構20を備えるシステムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両運転者によるステアリング操作を電動モータの発生するトルクによりアシストする電動パワーステアリング装置である。図1に示す如く、本実施例のシステムは、電力が供給されることにより回転トルクを発生するモータ22と、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフト(図示せず)と、を備えている。
【0021】
ステアリングシャフトには、該ステアリングシャフトと連動して回転するウォームホイール24が連結されている。ウォームホイール24は、ハウジング26に回転自在に軸支されている。ウォームホイール24には、ウォーム軸28が係合されている。ウォーム軸28は、ベアリング30を介してハウジング26に回転自在に軸支されている。ウォーム軸28は、ウォームホイール24が回転し始めた際に軸方向への変位が僅かに許容されかつその回転が禁止されるように構成されている。ウォーム軸28は、上記したモータ軸継手機構20を介してモータ22の有するモータ軸34に連結されている。ウォーム軸28及びモータ軸34は、それぞれ互いに軸中心の一致する同軸のシャフトであり、互いに連動して回転する。
【0022】
ウォーム軸28とベアリング30との間には、皿バネ32が配設されている。皿バネ32は、軸方向へ向けて変位するウォーム軸28に対してバネ力を付与する機能を有する。かかる皿バネ32によれば、運転者によるステアリング操作の操舵初期にモータ22に操舵トルクが伝達され難く、そのモータ22に生ずる慣性力が低減されるので、良好な操舵フィーリングが確保される。
【0023】
かかる電動パワーステアリング装置において、車両運転者によりステアリングホイールが回転操作されると、その操舵トルクに応じたアシストトルクが発生するようにモータ22が制御される。モータ22の発生したアシストトルクは、モータ軸34、ウォーム軸28、及びウォームホイール24を介してステアリングシャフトに伝達される。ステアリングシャフトに車両運転者による操舵トルクおよびモータ22によるアシストトルクが加わると、タイロッドが車幅方向へ直進運動し、車輪が転舵される。従って、本実施例の電動パワーステアリング装置によれば、車輪を転舵するために必要なトルクをモータ22を用いてアシストすることができ、これにより、車両運転者によるステアリングホイールの操作負担を軽減することができる。
【0024】
本実施例のモータ軸継手機構20は、ウォーム軸28とモータ軸34とを同軸で回転させるための機構である。ウォーム軸28の外周には、円筒状のボス40が圧入固定又はボルト固定,ピン固定等により取り付け固定されている。また、モータ軸34の外周には、環状のフランジ42が圧入固定又はボルト固定,ピン固定等により取り付けられている。ボス40とフランジ42との間には、弾性を有するゴム部材44が介在されている。すなわち、ボス40とフランジ42とは、ゴム部材44を介して互いに連結されている。ゴム部材44は、ボス40とフランジ42との回転方向及び軸方向への相対的な振動を吸収する役割を有している。
【0025】
また、フランジ42のウォーム軸28側の端部には、軸ストッパ46が固定されている。軸ストッパ46は、例えば環状や板状に形成されており、フランジ42の全周又はその一部にネジ止め等により固定されている。軸ストッパ46は、少なくともフランジ42の外径とボス40の後述するフランジ部40bの外径との差分だけの径方向長さを有している。軸ストッパ46は、常態においてボス40のフランジ部40bに対して軸方向に僅かに隙間が空く程度の位置に配置されている。軸ストッパ46は、ボス40、フランジ42、及びゴム部材44が所望の位置に配置された状態(図1に示す状態)でボス40とフランジ42との相対的な離間方向への変位を上記した隙間内に制限する機能を有している。かかる隙間(L1)は、ボス40のウォーム軸28側の端部とベアリング30との隙間(L2)よりも小さくなるように構成されている。
【0026】
図2は、本実施例のモータ軸継手機構20においてウォーム軸28に設置固定されるボス40の外観構成図を示す。図3は、本実施例のモータ軸継手移行20においてモータ軸34に設置固定されるフランジ42の外観構成図を示す。また、図4は、本実施例のモータ軸継手機構20においてボス40とフランジ42との間に介在されるゴム部材44の外観構成図を示す。尚、各図(A)には部材を軸方向から見た際の平面図が、また、各図(B)には同図(A)に示す直線C−O−Dで切断した際の断面図が、それぞれ示されている。
【0027】
図2に示す如く、ボス40は、中空の円筒部40aと、円筒部40aのモータ軸34側の端部において径方向へ向けて延在するフランジ部40bと、フランジ部40bの外周の8箇所から更に径方向へ延びる放射部40cと、フランジ部40bにおいてモータ軸34側の軸方向へ向けて円状に開口する凹部40dと、フランジ部40bと凹部40dとにより形成される厚肉部40eと、薄肉部40fと、を有している。
【0028】
図3に示す如く、フランジ42は、ドーナツ状の円板部42aと、円板部42aの中心において軸方向へ向けて延びる円筒状の中空部42bと、円板部42aの8箇所の径方向端部からウォーム軸28側の軸方向へ向けて突起する突部42cと、を有している。フランジ42の円板部42aは、その外径がボス40の放射部40cの外径とほぼ一致する外形を有している。また、中空部42bは、その外径がボス40の凹部40dの内径よりも小さくなるように形成されている。
【0029】
図4に示す如く、ゴム部材44は、中空部44aと、フランジ42の突部42cに対応して外周に凹凸を有するフランジ部44bと、フランジ部44bの凹部の内周側周辺においてその凹部を取り囲むようにウォーム軸28側の軸方向へ向けて延在する突部44cと、を有している。中空部44aは、その内径がフランジ42の中空部42bの外径とほぼ一致すると共に、その外径がボス40の凹部40dの内径にほぼ一致するように形成されている。フランジ部44bの凸部は、その外径がフランジ42の円板部42aの外径およびボス40の放射部40cの外径とほぼ一致する外形を有している。また、その凹部は、その外径がフランジ42の突部42cの内径とほぼ一致する外形を有している。突部44cは、フランジ42の突部42cに対して回転方向及び軸中心方向に隣接している。フランジ部44bの凹部における突部44cは、その内径がボス40のフランジ部40bの外径とほぼ一致するように形成されている。
【0030】
かかるモータ軸継手機構20において、ゴム部材44の突部44cは、径方向においてボス40の薄肉部40fとフランジ42の突部42cとにより狭持され、かつ、回転方向においてボス40の放射部40cとフランジ42の突部42cとにより狭持される。また、ゴム部材44のフランジ部44bは、軸方向においてボス40のフランジ部40bとフランジ42の円板部42aとにより狭持される。更に、ゴム部材44の中空部44aは、径方向においてボス40の凹部40dの内壁(すなわち、厚肉部40e及び薄肉部40f)とフランジ42の中空部42bとにより狭持される。
【0031】
モータ軸継手機構20は、ウォーム軸28に設置固定されたボス40と、モータ軸34に設置固定されたフランジ42とをゴム部材44を介して互いに連結する。かかる構成において、モータ22の作動によりモータ軸34が回転すると、そのトルクがまずフランジ42の突部42cからゴム部材44の突部44cへ伝達され、その後、そのゴム部材44の突部44cの歪み変形を伴ってボス40の放射部40cへ伝達される。この場合には、ウォーム軸28が連動して回転し、そのトルクがステアリングシャフトに付与され、運転者によるステアリング操作がアシストされる。また、かかる構成においては、モータ22に生ずるトルクリップによる振動等がモータ軸34側とウォーム軸28側との間に介在されたゴム部材44により吸収されるので、モータ軸34側とウォーム軸28側との干渉等による騒音の発生が生じ難くなっている。
【0032】
ところで、本実施例のモータ軸継手機構20において、モータ22で発生するトルク或いはウォーム軸28側(ステアリングシャフト)で発生するトルクは、モータ軸34側とウォーム軸28側との間に介在されたゴム部材44の歪み変形を伴って伝達されるが、この際、モータ軸34とウォーム軸28とが接触する程度にまでゴム部材44の歪み変形が許容されるものとすると、例えば車両が停止した状態でステアリング操作が行われるいわゆる据え切り時等において、ゴム部材44に加わる応力が著しく増大し、その歪みが大きくなることに起因して、ゴム部材44が損傷し、場合によっては破損する事態が生じてしまう。
【0033】
そこで、本実施例のモータ軸継手機構20は、トルク伝達時におけるゴム部材44の歪み変形を所定の範囲に制限することによりその耐久性を確保する点に特徴を有している。以下、本実施例の特徴部について説明する。
【0034】
図5は、本実施例のモータ軸継手機構20における要部拡大図を示す。尚、図5(A)にはモータ軸継手機構20を軸方向から見た際の平面図が、また、図5(B)には図5(A)に示す直線III−IIIで切断した際の断面図が、それぞれ示されている。図6は、図5(A)に示す直線IV−IVで切断した際の断面図を示す。また、図7は、図5(A)に示す直線V−Vで切断した際の断面図を示す。尚、図5乃至図7には、モータ軸継手機構20を軸に対して半分のみ示している。
【0035】
上記の如く、ボス40は、8個の放射部40cを有しているが、それらの放射部40cの少なくとも一(好ましくは、複数)には、図5に示す如く、回転方向へ向けて突起する回転ストッパ50が形成されている。回転ストッパ50が形成されている放射部40cには、ゴム部材44の突部44cが隣接していない。すなわち、ゴム部材44は、ボス40の放射部40cの回転ストッパ50に対応する部位に突部44cを有しない。回転ストッパ50は、常態においてフランジ42の突部42cに対して回転方向に僅かに隙間が空く程度に突起している。回転ストッパ50は、ボス40とフランジ42との相対回転を上記した隙間に相当する角度内に制限する機能を有している。
【0036】
図6に示す如く、ボス40のフランジ部40bには、モータ軸34側の軸方向へ向けて突起する軸ストッパ52が形成されている。尚、図6においては、軸ストッパ52が、フランジ部40bの薄肉部40fに形成されているが、厚肉部40eに形成されていてもよい。軸ストッパ52は、少なくとも互いに軸中心を挟んで対向して複数設けられている。また、ゴム部材44のフランジ部44bには、軸ストッパ52の大きさに対応して軸方向に貫通する貫通穴54が形成されている。軸ストッパ52は、常態においてフランジ42の円板部42aに対して軸方向に僅かに隙間が空く程度に突起している。軸ストッパ52は、ボス40とフランジ42との、ゴム部材44のフランジ部44bを圧縮する側の軸方向相対変位を上記した隙間内に制限する機能を有している。
【0037】
図7に示す如く、ボス40の放射部40cには、軸方向に回転方向への長穴となるように貫通する貫通穴56が形成されている。ゴム部材44のフランジ部44bの凸部には、軸方向にほぼ円状に貫通する貫通穴58が形成されている。フランジ42の円板部42aには、軸方向にほぼ円状に貫通する貫通穴60が形成されている。これらの貫通穴56,58,60はそれぞれ、少なくとも一つ設けられている。貫通穴56,58,60は、互いに部材の軸中心からほぼ同一の距離に設けられており、径がその順で僅かに小さくなるように構成されている。
【0038】
貫通穴56,58,60には、軸方向へ向けて延びるボルト62が挿通されている。ボルト62は、その外周が中空のゴム部材64によりフローティングされた構成を有している。ゴム部材64は、弾性を有し、モータ軸34側とウォーム軸28側との間で伝達される振動を吸収する機能を有している。ボルト62は、ボス40とフランジ42とゴム部材44とを一体化する機能を有している。ボルト62は、回転方向へ向けて長穴となっているボス40の有する貫通穴56の存在によりボス40とフランジ42との相対回転を僅かに許容している。
【0039】
本実施例のモータ軸継手機構20において、ウォーム軸28のボス40とモータ軸34のフランジ42とは、その回転角度がゴム部材44の突部44cの常態における回転方向厚さに相当する角度よりも小さい角度に達した際に、ボス40の回転ストッパ50がフランジ42の突部42cに当接することにより回転規制される。すなわち、ボス40とフランジ42との相対回転は、回転ストッパ50の存在により、ゴム部材44の突部44cの常態における回転方向厚さに相当する角度よりも小さい角度内に制限される。
【0040】
このため、本実施例によれば、ゴム部材44に回転方向に過大な応力が作用することは回避され、ボス40とフランジ42との相対回転に起因する歪み変形はある程度小さな範囲に制限・抑制される。従って、本実施例のモータ軸継手機構20によれば、ウォーム軸28とモータ軸34との相対回転に起因するゴム部材44の損傷・破損を軽減することができ、これにより、ゴム部材44の耐久性を高く維持することが可能となっている。
【0041】
また、本実施例において、ウォーム軸28は、ウォームホイール24が回転し始めた際に軸方向へ変位することが許容されており、モータ軸34に対して軸方向に相対的に変位し得る。ウォーム軸28がウォームホイール24の回転時にモータ軸34側の軸方向へ変位すると、ウォーム軸28に取り付けられたボス40とモータ軸34に取り付けられたフランジ42との間に介在するゴム部材44が、そのフランジ部44bにおいて軸方向へ圧縮される。
【0042】
本実施例のモータ軸継手機構20において、ウォーム軸28のボス40とモータ軸34のフランジ42とは、その軸方向変位がゴム部材44のフランジ部44bの常態における軸方向厚さよりも小さい変位量に達した際に、ボス40の軸ストッパ52がフランジ42の円板部42aに当接することにより変位規制される。すなわち、ボス40とフランジ42との軸方向相対変位は、軸ストッパ52の存在により、ゴム部材44のフランジ部44bの常態における軸方向厚さよりも小さい変位量に制限される。
【0043】
このため、本実施例によれば、ウォーム軸28がモータ軸34に対して軸方向に相対的に近づいても、ゴム部材44に軸方向に過大な応力が作用することは回避され、ボス40とフランジ42との軸方向相対変位に起因する歪み変形はある程度小さな範囲に制限・抑制される。従って、本実施例のモータ軸継手機構20によれば、ウォーム軸28とモータ軸34との軸方向相対変位に起因するゴム部材44の損傷・破損を軽減することができ、これにより、ゴム部材44の耐久性を高く維持することが可能となっている。
【0044】
また、本実施例のモータ軸継手機構20において、ボス40、フランジ42、及びゴム部材44は、ボルト62により一体化されている。この場合、ボス40とフランジ42とが軸方向および径方向において相対的に大きく変位することはない。このため、ボルト62による一体構成によりボス40とフランジ42との干渉が抑制され、また、ボス40とフランジ42との相対的な軸方向への抜けが防止される。また、ボルト62は、ゴム部材64によりフローティングされている。すなわち、ボス40とフランジ42とは、ボルト62の周辺において図7に示す如くゴム部材64を介して接続される。このため、モータ22側のトルクリップによる振動やウォームホイール24側の振動はゴム部材64により吸収される。
【0045】
従って、本実施例のモータ軸継手機構20によれば、ボルト62によりボス40、フランジ42、及びゴム部材44を一体構成にすることで、モータトルクリップによる振動等がモータ軸34とウォーム軸28との間で伝達されるのを確実に抑制しつつ、モータ軸34とウォーム軸28との相対変位に起因する干渉を抑制し、また、軸方向への抜けを防止することが可能となっている。
【0046】
また、本実施例のモータ軸継手機構20には、上記の如く、軸ストッパ46が設けられている。軸ストッパ46は、ボス40、フランジ42、及びゴム部材44が所望の位置に配置された状態でボス40とフランジ42との相対的な離間方向への変位を所定の変位量に制限する。このため、本実施例のモータ軸継手機構20によれば、ボス40、フランジ42、及びゴム部材44が所望の位置に配置された後に、ボス40とフランジ42との相対的な軸方向への抜けを防止することができる。
【0047】
更に、本実施例のモータ軸継手機構20において、ゴム部材44は、上記の如く、そのフランジ部44bの外径がフランジ42の円板部42aの外径およびボス40の放射部40cの外径とほぼ一致する外形を有している。かかる構成においては、ゴム部材のフランジ部44bの外径がフランジ42の円板部42aの外径およびボス40の放射部40cの外径よりも小さく一致しない構成と比較して、ゴム部材44とボス40との回転方向及び軸方向における接触面積、及び、ゴム部材44とフランジ42との回転方向及び軸方向における接触面積が共に大きい。このため、双方向のトルク伝達時にゴム部材44に作用する面圧を可能な限り低く抑えることができ、これにより、ゴム部材44の耐久性の向上が図られている。
【0048】
尚、本実施例において、ゴム部材44とボス40との接触、及び、ゴム部材44とフランジ42との接触は、次式(1)に示す条件が満たされるように設定される。
【0049】
0.3>T/(E・A・R・n) ・・・(1)
但し、Tはモータ22が発生する最大トルク(N・m)であり、Eはゴム部材44の弾性係数(N/m2)であり、Aはゴム部材44とボス40又はフランジ42との回転方向へ向かう面の接触面積(m2)であり、Rはゴム部材44とボス40又はフランジ42との回転方向へ向かう面の重心位置回転半径(m)であり、また、nは回転方向におけるゴム部材44とボス40又はフランジ42との接触部位の数である。
【0050】
かかる構成によれば、モータ22が最大トルクTを発生した場合にも、回転方向に対するゴム部材44の歪み変形を扁平度30%未満に抑えることができ、ゴム部材44の耐久性の向上が図られる。また、この点、ゴム部材44の歪み変形を小さく抑えるうえでは、その弾性係数を大きくし、上述の如く接触面積を大きくし、接触部位の数を増やすこととすればよい。
【0051】
尚、かかる(1)式を満たす構成は、本実施例の如くモータ軸34とウォーム軸28との相対回転を所定範囲内に制限する回転ストッパ50を備えるモータ軸継手機構20に限らず、かかる回転ストッパ50が設けられていないモータ軸継手機構に適用することも可能である。かかる構成においては、回転ストッパ50が設けられていなくても、ゴム部材の歪み変形が小さく抑えられ、その耐久性が向上することとなる。
【0052】
また、本実施例において、ゴム部材44は、例えば表面に細かな凹凸が形成されることにより、回転方向の周波数伝達特性がほぼ1kHz以上の高周波において減衰効果を有するように構成される。通常、運転者がステアリング操作を行う際には、10〜100Hz程度でモータ22からステアリングシャフトへトルクが伝達される。従って、かかる領域では、ゴム部材44の存在に起因してトルク伝達の応答遅れが生じないことが適切である。一方、モータ22のトルクリップによる振動は、1kHz以上の高周波でモータ22側からステアリングシャフト側へ伝達される。従って、かかる高周波の領域では、ゴム部材44を用いてトルクリップによる振動を有効に減衰させることが必要である。
【0053】
これに対して、本実施例においては、上記の如く、回転方向の周波数伝達特性がほぼ1kHz以上の高周波において減衰効果を有する。この場合には、モータ22のアシストトルクはステアリングシャフト側へ確実に伝達される一方、そのモータ22のトルクリップによる振動は減衰される。このため、本実施例のモータ軸継手機構20によれば、ステアリング操作時にモータ22のアシストトルクを確実にステアリングシャフト側へ伝達しつつ、モータ22のトルクリップによる振動等がウォーム軸28側へ伝達されるのを確実に抑制することが可能となっている。
【0054】
ところで、上記の第1実施例においては、ウォーム軸28が特許請求の範囲に記載した「従動軸」に、ゴム部材44が特許請求の範囲に記載した「弾性部材」に、回転ストッパ50が特許請求の範囲に記載した「回転方向ストッパ」に、軸ストッパ46,52が特許請求の範囲に記載した「軸方向ストッパ」に、ボルト62が特許請求の範囲に記載した「ボルト」に、それぞれ相当している。
【0055】
また、上記の第1実施例においては、(1)式に従うことにより、回転方向に対するゴム部材44の歪み変形を扁平度30%未満に抑え、その耐久性の向上を図ることとしているが、軸方向に対するゴム部材44の歪み変形を小さく抑えるべく、次式(2)に示す条件を満たすこととしてもよい。この場合には、軸方向に対するゴム部材44の歪み変形が扁平度30%未満に抑えられ、その耐久性の向上が図られる。
【0056】
0.3>F/(E・B) ・・・(2)
但し、Fはウォーム軸28がモータ軸34側へ変位する際の最大軸力(N)であり、Eはゴム部材44の弾性係数(N/m2)であり、また、Bはゴム部材44とボス40又はフランジ42との軸方向へ向かう面の接触面積(m2)である。
【0057】
次に、図8乃至図11を参照して、本発明の第2実施例について説明する。
【0058】
上記した第1実施例では、運転者によるステアリング操作の操舵初期における良好な操舵フィーリングを、ウォーム軸28とベアリング30との間に配設された皿バネ32により実現している。これに対して、本実施例においては、皿バネ32に代えて或いは皿バネ32と共に、ウォーム軸28に設置固定されたボス40とモータ軸34に設置固定されたフランジ42との間に介在するゴム部材により、操舵初期における良好な操舵フィーリングを実現する点に特徴を有している。
【0059】
図8は、本実施例のモータ軸継手機構100における要部の拡大構成図を示す。尚、図8(A)にはモータ軸継手機構100を軸方向から見た際の平面図が、また、図8(B)には図8(A)に示す直線VI−VIで切断した際の断面図が、それぞれ示されている。また、図8において、図1乃至図5に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施例のモータ軸継手機構100は、ウォーム軸28の外周に設置固定されたボス40とモータ軸34の外周に設置固定されたフランジ42との間に介在する弾性を有するゴム部材102を備えている。本実施例において、ボス40とフランジ42とは、ゴム部材102を介して連結されている。ゴム部材102は、ボス40とフランジ42との回転方向及び軸方向への相対的な振動を吸収する役割を有している。
【0061】
ゴム部材102は、中空部102aと、フランジ42の突部42cに対応して外周に凹凸を有するフランジ部102bと、そのフランジ部102bの凹部の内周側周辺においてその凹部を取り囲むようにウォーム軸28側の軸方向へ向けて延在する突部102cと、を有している。中空部102aは、その内径がフランジ42の中空部42bの外径とほぼ一致すると共に、その外径がボス40の凹部40dの内径にほぼ一致するように形成されている。フランジ部102bの凸部は、その外径がフランジ42の円板部42aの外径およびボス40の放射部40cの外径とほぼ一致する外形を有している。また、その凹部は、その外径がフランジ42の突部42cの内径とほぼ一致する外形を有している。突部102cは、フランジ42の突部42cに対して回転方向及び軸中心方向に隣接している。フランジ部102bの凹部における突部102cは、その内径がボス40のフランジ部40bの外径とほぼ一致するように形成されている。
【0062】
かかるモータ軸継手機構100において、ゴム部材102の突部102cは、径方向においてボス40の薄肉部40fとフランジ42の突部42cとにより狭持され、かつ、回転方向においてボス40の放射部40cとフランジ42の突部42cとにより狭持される。また、ゴム部材102のフランジ部102bは、軸方向においてボス40のフランジ部40bとフランジ42の円板部42aとにより狭持される。更に、ゴム部材102の中空部102aは、径方向においてボス40の凹部40dの内壁(すなわち、厚肉部40e及び薄肉部40f)とフランジ42の中空部42bとにより狭持される。
【0063】
かかる構成において、モータ22の作動によりモータ軸34が回転すると、そのトルクがまずフランジ42の突部42cからゴム部材102の突部102cへ伝達され、その後、そのゴム部材102の突部102cの歪み変形を伴ってボス40の放射部40cへ伝達される。この場合には、ウォーム軸28が連動して回転し、そのトルクがステアリングシャフトに付与され、運転者によるステアリング操作がアシストされる。また、かかる構成においては、モータ22に生ずるトルクリップによる振動等がモータ軸34側とウォーム軸28側との間に介在されたゴム部材102により吸収されるので、モータ軸34側とウォーム軸28側との干渉等による騒音の発生が生じ難くなっている。
【0064】
また、図8(A)に示す如く、ゴム部材102の突部102cには、ボス40の放射部40cと対向する側の表面においてその放射部40cへ向けて突起する複数の突起104が形成されている。突起104は、ゴム部材102の回転方向におけるバネ特性を変更するために設けられている。また、図8(B)に示す如く、ゴム部材102のフランジ部102bには、ボス40のフランジ部40bと対向する側の表面においてそのフランジ部40b側の軸方向へ向けて突起する複数の突起106が形成されている。突起106は、ゴム部材102の軸方向におけるバネ特性を変更するために設けられている。
【0065】
図9は、本実施例のモータ軸継手機構100における、ボス40とフランジ42との相対的なねじれ回転によって生ずる回転方向のバネ特性を表した図を示す。また、図10は、本実施例のモータ軸継手機構100における、ボス40とフランジ42との相対的な軸方向変位によって生ずる軸方向のバネ特性を表した図を示す。すなわち、ゴム部材102は、回転方向におけるバネ特性および軸方向におけるバネ特性が2段特性となるように構成されている。具体的には、図9に示す如く、ねじれ回転量が比較的小さい領域では、突起104においてのみ歪み変形が生ずるので、回転方向のバネ反力が小さく、一方、その回転量が比較的大きい領域では、突起104と共に本体側にも歪みが生ずるので、その回転方向のバネ反力が大きくなる。また、図10に示す如く、軸方向変位量が比較的小さい領域では、突起106においてのみ歪みが生ずるので、軸方向のバネ反力が小さく、一方、その変位量が比較的大きい領域では、突起106と共に本体側にも歪みが生ずるので、その軸方向のバネ反力が大きくなる。
【0066】
かかるモータ軸継手機構100において、運転者によるステアリング操作が行われると、最初、ウォーム軸28の回転に伴ってボス40がフランジ42に対して相対的に回転することによりゴム部材102の突起104が歪み変形する。或いは、ウォーム軸28の軸方向変位に伴ってボス40がフランジ42に対して近接する側の軸方向へ向けて相対的に変位することによりゴム部材102の突起106が歪み変形する。突起104、106の歪み変形が終了すると、次に、ゴム部材10の本体側が歪み変形し始める。
【0067】
かかる構成においては、運転者によるステアリング操作の操舵初期に、発生するバネ反力が小さいため、操舵トルクがモータ軸34側に伝達され難く、モータ22の慣性力は低減される。また、操舵がある程度進むと、発生するバネ反力が大きくなるため、モータ22側からのアシストトルクがウォーム軸28側に伝達され易くなると共に、モータ22のトルクリップによる振動等がゴム部材102により確実に吸収される。従って、本実施例のモータ軸継手機構100によれば、運転者の操舵初期において操舵フィーリングを良好に維持しつつ、モータ22のトルク振動および振動に起因する騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制することが可能となっている。
【0068】
尚、このように、ゴム部材102の構造により運転者の操舵初期における操舵フィーリングが良好に維持されれば、ウォーム軸28とベアリング30との間に皿バネ32を配設することは不要である。このため、本実施例のモータ軸継手機構100によれば、複雑な構成によることなく、操舵初期において操舵フィーリングを良好に維持することが可能となっている。
【0069】
ところで、上記の第2実施例においては、ゴム部材102が特許請求の範囲に記載した「弾性部材」に相当している。
【0070】
また、上記の第2実施例においては、ゴム部材102のバネ特性の変更を、回転方向へ向かう突起104および軸方向へ向かう突起106をそれぞれゴム部材102においてボス40側に形成することにより実現することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ42側に形成することにより実現することとしてもよく、また、両側に形成することとしてもよい。
【0071】
また、上記の第2実施例においては、ゴム部材102が回転方向への突起104及び軸方向への突起106の双方を有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、突起104のみ或いは突起106のみを有することとすればよい。
【0072】
更に、上記の第2実施例においては、ゴム部材102のバネ特性に関しその表面に突起を設けることにより2段特性を実現することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図11に示す如くゴム部材102のフランジ部102b内部に所定の容積を有する閉塞空間110を設け、或いは、その中空部102a内部に所定の容積を有する閉塞空間を設けることによりバネ特性の2段特性を実現することとしてもよい。
【0073】
尚、上記の第1及び第2実施例においては、ゴム部材44,102をボス40やフランジ42に接着等により固定することとはしていないが、そのボス40やフランジ42に接着等により固定すること、好ましくは、ボス40及びフランジ42の双方に固定することとしてもよい。ウォーム軸28とモータ軸34とは軸方向に相対的に変位し得るが、かかる構成によれば、この変位時にゴム部材44,102が軸方向においてモータ軸34のフランジ42から或いはウォーム軸28のボス40の凹部40dから抜けることは確実に防止されると共に、その変位に応じたゴム部材44,102の伸縮によりかかる相対変位時にモータ軸34とウォーム軸28との間に作用する力が減衰されるため、両者の干渉が確実に防止されることとなる。
【0074】
また、上記の第1及び第2実施例においては、回転ストッパ50及び軸ストッパ52をウォーム軸28側のボス40に設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、モータ軸34側のフランジ42に設けることとしてもよく、また、ボス40,フランジ42とは別体に設けることとしてもよい。
【0075】
また、上記の第1及び第2実施例においては、ボス40とフランジ42とゴム部材44との一体化をボルト62により実現することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カシメ部材によるカシメやピン圧入により実現することとしてもよい。
【0076】
更に、上記の第1及び第2実施例においては、軸方向への変位が許容されるウォーム軸28が設けられているが、軸方向への変位が禁止されるウォーム軸を設けることとしてもよい。この場合には、ボス40及びフランジ42をウォーム軸28及びモータ軸34に圧入固定等により軸方向および回転方向に対して固定する必要はなく、セレーション嵌合により取り付けることとすればよい。
【0077】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1及び3記載の発明によれば、モータ軸と従動軸との相対回転に起因する弾性部材の損傷・破損を軽減でき、弾性部材の耐久性を確保することができる。
【0078】
請求項2記載の発明によれば、モータ軸と従動軸との軸方向変位に起因する弾性部材の損傷・破損を軽減でき、弾性部材の耐久性を確保することができる。
【0079】
請求項4記載の発明によれば、モータ軸と従動軸との軸方向相対変位時にその間に作用する力が減衰されるので、モータ軸と従動軸との干渉を防止することができる。
【0080】
請求項5記載の発明によれば、モータ軸と従動軸との相対変位に起因する干渉を抑制することができる。
【0081】
請求項6記載の発明によれば、弾性部材に作用する面圧を可能な限り低く抑えることができ、弾性部材の耐久性を向上させることができる。
【0082】
請求項7記載の発明によれば、ステアリング操作時におけるモータのアシストトルクを確実にステアリングシャフト側へ伝達しつつ、モータのトルクリップによる振動が従動軸側へ伝達されるのを確実に抑制することができる。
【0083】
また、請求項8及び9記載の発明によれば、運転者の操舵フィーリングを良好に維持しつつ、操舵中におけるモータのトルク振動や騒音のステアリングシャフト側への伝達を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のモータ軸継手機構を備えるシステムの構成図である。
【図2】本実施例のモータ軸継手機構において従動軸に設置固定されるボスの外観構成図である。
【図3】本実施例のモータ軸継手機構においてモータ軸に設置固定されるフランジの外観構成図である。
【図4】本実施例のモータ軸継手機構においてボスとフランジとの間に介在される弾性部材の外観構成図である。
【図5】本実施例のモータ軸継手機構における要部拡大図である。
【図6】図5に示す直線IV−IVで切断した際の断面図である。
【図7】図5に示す直線V−Vで切断した際の断面図である。
【図8】本発明の第2実施例のモータ軸継手機構における要部の拡大構成図である。
【図9】本実施例のモータ軸継手機構における、ボスとフランジとの相対的なねじれ回転によって生ずる回転方向のバネ特性を表した図である。
【図10】本実施例のモータ軸継手機構における、ボスとフランジとの相対的な軸方向変位によって生ずる軸方向のバネ特性を表した図である。
【図11】本発明の変形例のモータ軸継手機構における要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
20,100 モータ軸継手機構
28 ウォーム軸
34 モータ軸
40 ボス
42 フランジ
44,102 ゴム部材
50 回転ストッパ
52 軸ストッパ
104,106 突起
Claims (9)
- モータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致する従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材とは別体の、前記モータ軸と前記従動軸との相対回転を所定角度内に制限する回転方向ストッパを備えることを特徴とするモータ軸継手機構。 - モータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致する従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材とは別体の、前記モータ軸と前記従動軸との、前記弾性部材を圧縮する側への軸方向相対変位を所定変位内に制限する軸方向ストッパを備えることを特徴とするモータ軸継手機構。 - 前記弾性部材は、少なくとも、前記モータ軸に設置固定されるフランジおよび前記従動軸に設置固定されるボスの何れかに固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ軸継手機構。
- 前記弾性部材は、前記フランジ及び前記ボスの双方に固定され、前記従動軸の前記モータ軸側への軸方向相対変位を減衰させるバネ特性を有することを特徴とする請求項3記載のモータ軸継手機構。
- 前記モータ軸、前記従動軸、及び前記弾性部材は、別部材により一体化されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のモータ軸継手機構。
- 前記弾性部材は、その外径が前記モータ軸に取り付けられたフランジおよび前記従動軸に取り付けられたボスの少なくとも何れか一方の外径とほぼ一致する外形を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載のモータ軸継手機構。
- 前記モータ軸は、前記従動軸を介して、車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達すると共に、
前記弾性部材は、回転方向の周波数伝達特性がほぼ1kHz以上において減衰効果を有するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載のモータ軸継手機構。 - 車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達するモータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致し、前記ステアリングシャフトが連結される従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材は、回転方向のバネ定数が前記モータ軸と前記従動軸との相対回転量に応じて変化するように形成されていることを特徴とするモータ軸継手機構。 - 車両運転者により操作されるステアリングホイールに連結するステアリングシャフトへ操舵のためのアシストトルクを伝達するモータ軸と、該モータ軸と軸中心が一致し、前記ステアリングシャフトが連結される従動軸と、前記モータ軸と前記従動軸との間に介在する弾性部材と、を備えるモータ軸継手機構であって、
前記弾性部材は、軸方向のバネ定数が前記モータ軸と前記従動軸との軸方向相対変位量に応じて変化するように形成されていることを特徴とするモータ軸継手機構。
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