JP2004250834A - 高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることのない、親展性に優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を得る製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方が着色剤を含むことを特徴とする。圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層がピグメント塗工層であったり、圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことが好ましい。また、好ましくは圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が60%以上、さらに好ましく75%以上であることが好ましい。
【選択図】 無し
【解決手段】圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方が着色剤を含むことを特徴とする。圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層がピグメント塗工層であったり、圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことが好ましい。また、好ましくは圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が60%以上、さらに好ましく75%以上であることが好ましい。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることのない、親展性に優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、親展情報を伝達する手段として、封書の変わりに「圧着葉書」と呼ばれるものが多方面で利用されている。この構成の一例として次のようなものがある。すなわち、加圧することで接着可能な再剥離型の感圧接着剤を基紙に塗布した用紙を用い、親展情報を印字した後に二つ折り、あるいは三つ折り等に折りたたんで加圧ロール間に通して親展情報同士を接着して葉書を製造するタイプのものである。受取人はこの圧着葉書用紙を受け取った後、接着された親展面を剥離して親展情報を読みとる。この際、剥離した面は通常の方法では再接着できないように工夫してあるので、いたずら防止性に優れ、親展性を確保している。
【0003】
このように親展情報を伝達する手段としては簡便で効果的であるが、強力な光で該圧着葉書を透かした場合、隠蔽性に乏しいために親展情報が第三者に解読されてしまうという問題が指摘されていた。
【0004】
このような問題を解決するために、特開平5−278175号公報(特許文献1参照)や実開平3−116974号公報(特許文献2参照)には表出面に地紋印刷を施す方法が提案されている。本発明者等は宛名面でない表出面に地紋印刷を施したり、また、三つ折りタイプにあってはさらに中間紙片にも地紋印刷を施したりしてこれに対応することを検討したが、親展性を確保するだけの隠蔽性には不十分であった。
【0005】
一方、圧着葉書用紙の坪量を上げることで隠蔽性を挙げるという方法も考えられるが、葉書の重量には郵便法(非特許文献1参照)で規定された上限があるため、この方法で親展性を確保するだけの隠蔽性を得るには不十分であった。
【0006】
また、本発明者等は圧着葉書用原紙に隠蔽性を有する填料等のフィラー分を高内添する方法も検討したが、葉書としての強度が低下したりコストアップにつながるという問題があった。
【0007】
本発明者は、実願2002−005374号公報(特許文献3参照)において、高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を提案した。本願発明はこの製造方法について提案するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−278175号公報
【特許文献2】
実開平3−116974号公報
【特許文献3】
実願2002−005374号公報
【非特許文献】
郵便情報源2002年版73頁(郵便局発行)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等が鋭意検討した結果、圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方に着色剤を含むことで、また、該圧着葉書用原紙を特定の方法で製造することで上記の問題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることのない、親展性に極めて優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を得る製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方に着色剤を含むことを特徴とする、高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、前記の圧着葉書用原紙は、1層以上の層構造とすることで製造できる。また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層が、ピグメント塗工層であることを特徴として製造できる。また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことを特徴として製造できる。
【0012】
また、前記圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が60%、好ましくは75%であることを特徴として製造できる。
【0013】
また、前記圧着葉書用紙の宛名面の全面あるいは一部を白色のベタ印刷したことを特徴として製造できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の「圧着葉書用紙」とは、「圧着葉書用原紙」の少なくとも片面に「圧着葉書用接着剤層」を設けることで得られる。本発明で得られる「圧着葉書用紙」は、フォーム用の紫外線硬化型印刷機等で固定情報が印刷され、次いで静電記録方式(電子写真方式)プリンタやインクジェット方式プリンタ等で可変情報(親展情報)が印字され、次いで二つ折りあるいは三つ折りに成型されてから圧着され、葉書の形態になって郵送される。
【0015】
本発明に使用する高隠蔽性を有する圧着葉書用接着剤は、通常の状態で接着することがなく、高い圧力を加えることで接着する性質を有するものであって、ラテックスと充填剤とを主成分とするものである。これに着色剤を添加することで高隠蔽性を付加することができる。
【0016】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤に、高隠蔽性を付加するために配合できる着色剤には染料と顔料が挙げられる。染料としては、塩基性染料、カチオン染料、酸性染料、直接染料、分散染料、反応性染料等が挙げられる。顔料としては、金属の酸化物あるいは硫化物を主成分とする無機顔料や、レーキと言われる溶解した染料に沈殿剤を加えて不溶性にした有機顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料としてカーボンブラック、ウルトラマリンブルー、群青、紺青、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、酸化鉄、金属粉、有機顔料としてフタロシアニン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、ペリノン系、ピロコリン系、染付け系、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、ポリアゾ系等が挙げられる。
【0017】
着色剤を混合系で使用する場合、色相の発現は減法混色の原理に支配される。この原理を利用して所望の色相を発現することができる。例えば、黄色と青色の染料を併用して緑色の色相を得ることができる。
【0018】
着色剤の色相に制限はないが、赤、緑、青、茶、紫、黒の各系統色が好ましく使用できる。また、カーボンブラックに代表されるカーボン粒子を使用すると、広い波長範囲の光を吸収できるので隠蔽性が高い。着色剤の使用量は、接着剤の塗料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか、0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0019】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤に配合できるラテックスとしては、(変性)天然ゴム、SBR等の合成ゴム、アクリル系樹脂等が使用できる。
【0020】
本発明で使用する充填剤としては、シリカゲル、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメント、酸化チタン、穀物澱粉粒子等が使用できる。
【0021】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤には上記したようなラテックス及び充填剤を主成分とし、これに必要に応じて老化防止剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、消臭剤、インクジェットインク定着剤等の助剤を適宜選択して添加することができる。
【0022】
該接着剤を圧着葉書用原紙に塗工するには、一般的な紙塗工用として使用されている塗工方式が採用できる。例えばエアーナイフコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター等の公知の塗工機が使用できる。
【0023】
圧着葉書用接着剤の塗工量は、片面当たり2〜15g/m2が好ましく、3〜10g/m2がより好ましい。塗工量が2g/m2を下まわると安定した接着特性が得られない。また15g/m2を上まわると過剰品質となりコストアップにつながり好ましくない。
【0024】
本発明でいうところの圧着葉書用原紙とは圧着葉書用接着剤を塗工するシート状物のことであって1層以上の層構造として製造できる。この場合、該圧着葉書用原紙を、紙層のみから成る構成として製造しても良いし、また、少なくとも片面の最外層をピグメント塗工層として製造しても良い。
【0025】
該圧着葉書用原紙に着色剤を含む場合は、少なくとも1層以上の着色層を含めば良く、また、圧着葉書用接着剤に着色剤を含む場合は、該圧着葉書用原紙には着色剤を含んでも含まなくても良い。
【0026】
該圧着葉書用原紙が紙層のみから成る場合、単層構造でも多層構造でも可能である。また、多層構造の場合、着色層を1層以上として製造することもでき、いずれの順番で積層してもかまわない。特に着色層を中間層として非着色層で挟んだ3層構成にすると、隠蔽性を維持したまま宛名面と非宛名面の白色度が高くなる。また、非宛名面を着色層とし、宛名面を非着色層とすると、宛名面のみの白色度が高くなる。ただし、これらの場合、該圧着葉書用原紙の上層に設ける圧着葉書用接着剤が後述する着色剤を含むか否かで白色度が変わってくるので、所望に応じた層構成にすればよい。
【0027】
一方、該圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層をピグメント塗工層として製造する場合、そのピグメント塗工層は1層以上として製造することができ、着色剤を含んで製造してもかまわない。該最外層のピグメント塗工層が着色剤を含まない場合には白色度が高くなる。一例として、宛名面のみをこのようにすれば、宛名面の白色度が高い隠蔽性に優れた圧着葉書用紙を製造することができる。ただし、この場合、該圧着葉書用原紙の上層に設ける圧着葉書用接着剤が前記した着色剤を含むか否かで白色度が変わってくるので、所望に応じた層構成にすればよい。
【0028】
前記の圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことを特徴として製造すると、酸化チタンやプラスチックピグメントは散乱計数が大きいので不透明度が高くなって、隠蔽性に優れる。
【0029】
また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層がピグメント塗工層であることを特徴として製造すると、ピグメントの歩留まりが高くなり、その結果不透明度が高くなって隠蔽性に優れる。特に、前記ピグメント塗工層が酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むと、これらのピグメントは散乱計数が大きいのでさらに不透明度が高くなり、一層隠蔽性に優れる。
【0030】
本発明で使用するプラスチックピグメントは、高分子化合物からなる有機微粒子であって、ポリスチレン系プラスチックピグメント、スチレン−ブタジエン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチックピグメント等が挙げられ、その形状や性質は、球状、扁平状、中空状、微粒子集合体、バインダーピグメント等各種の形状や性質のものが使用できるが、特に球状、中空状のものが好ましく使用できる。粒子径は0.5〜5μmのものが好ましく使用できる。これらを単独であるいは2種類以上混合して使用できる。この種のプラスチックピグメントは一般に市販品として入手できるものである。
【0031】
前記の圧着葉書用原紙は、前記したように1層以上の着色層を含む層構造を有しても製造できる。
【0032】
前記した圧着葉書用原紙に使用する着色剤の色相に制限はないが、赤、緑、青、茶、紫、黒の各系統色が好ましく使用できる。また、カーボンブラックに代表されるカーボン粒子を使用すると、広い波長範囲の光を吸収できるので隠蔽性が高い。着色剤の使用量は、紙層の場合、抄紙前の紙料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか、0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0033】
ピグメント塗工層の着色剤の使用量は、接着剤の塗料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0034】
ここで使用される高隠蔽性を付加するための着色剤としては、圧着葉書用接着剤で使用できるものとして挙げたものがいずれも使用できる。
【0035】
前記の圧着葉書用原紙を構成する紙層の製紙用原料としては、一般的に製紙用として使用される製紙用パルプ、例えば針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプを主体とし、コットンや麻、ケナフ等の非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維等を必要に応じて適宜使用することができる。これらを300〜600C.S.F.に叩解し、これにフィラー(クレー、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン等)、乾燥紙力増強剤(澱粉、PVA、ポリアクリルアミド等)、湿潤紙力増強剤(メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等)、サイズ剤(ロジン系、アルキルケテンダイマー系等)、蛍光増白剤、定着剤等を必要に応じて適宜添加し、パルプスラリーを得ることができる。これを円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機あるいはこれらのコンビネーション等の、公知の抄紙機を使用して抄紙し、圧着葉書用原紙が製造できる。また、途中工程において、サイズプレス装置等でサイズ剤、紙力増強剤、着色剤等を適宜塗工することもできる。特に散乱計数の大きいパルプや散乱計数の大きいフィラーを使用すると高い不透明度が得られ、高隠蔽性を得ることができる。前記したパルプにあっては、叩解を進めず、広葉樹を多く配合し、機械パルプを多く配合すると不透明度が上がるので、高隠蔽性を確保するには効果的である。フィラーにあっては、二酸化チタンを使用すると高隠蔽性が得られるので好ましい。
【0036】
前記圧着葉書用原紙のピグメント塗工層はバインダーと水溶性高分子、ピグメントとを主成分とする塗工液を塗工するが、この際に前記したような高隠蔽性を発現するための着色剤及び/または二酸化チタンやプラスチックピグメントのような散乱計数の大きい顔料を使用すると、高い不透明度が得られるので好ましい。
【0037】
該塗工液に使用するバインダーとしては、SBR等の合成ゴム、アクリル系エマルション、ウレタン系ディスパージョン、ポリエステル系エマルション等が使用できる。
【0038】
該塗工液に使用する水溶性高分子としては、澱粉及びその誘導体、PVA、変性PVA、カルボキシ・メチル・セルロース、カルボキシ・エチル・セルロース、デキストリン、カゼイン、ポリ・ビニル・ピロリドン等が使用できる。
【0039】
該塗工液に使用するピグメントとしては、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカゲル、プラスチックピグメント等が使用できる。さらに、これらに消泡剤、増粘剤、保水剤、レベリング剤等の助剤を適宜添加して塗料とする。また、塗工層として、前記したようなピグメントを含まず、クリヤー塗工とすることも可能である。
【0040】
該塗工層の塗工量は、片面当たり3〜15g/m2が好ましく、5〜10g/m2がより好ましい。3g/m2を下まわると高い不透明度を得るという効果に劣る。また15g/m2を上まわるとコストアップにつながって好ましくない。
【0041】
該接着剤を圧着葉書用原紙に塗工するには、一般的な紙塗工用として使用されている塗工方式が採用できる。例えばエアーナイフコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ゲートロールコーター等の公知の塗工機が使用でき、オンマシンコーターであってもオフマシンコーターであってもかまわない。
【0042】
以上、圧着葉書用接着剤と圧着葉書用原紙について説明してきたが、該圧着葉書用接着剤の塗工量、該圧着葉書用原紙の坪量は、郵便法による葉書の重さの規定を満たすように適宜選択すれば良い。
【0043】
このようにして高隠蔽性を有する圧着葉書用紙は、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方を前記したように染料及び/又は顔料で着色し、圧着葉書用原紙の少なくとも片面に圧着葉書用接着剤を設けることで製造できる。
【0044】
このようにして得られた圧着葉書用紙は、宛名面でない表出面に地紋印刷を施したり、または、三つ折りタイプにあってはさらに中間紙片にも地紋印刷を施すこともできる。このようにして得られた圧着葉書は、隠蔽性がさらに強力となり、より強い光で透かしても秘密情報が解読できなくなり、親展性がさらに優れることになる。
【0045】
本発明者等が検討した結果、圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度、圧着葉書用紙のISO 2470による白色度が以下に示す値を満たすことが親展性を保持するために好ましいことがわかった。すなわち、圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり、圧着葉書用紙のISO 2470による白色度が60%以上、好ましくは75%以上であって、上記したような地紋印刷や宛名面の全面あるいは一部を白色のベタ印刷と組み合わせるとさらに好ましい。
【0046】
圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%を下まわると隠蔽性が劣り、親展性が好ましくない。また、総務省郵政事業庁によるガイドライン「定型郵便物・はがきの基本条件」で、バーコード割引郵便の表面の色は淡色で反射率50%以上が推奨されており、厳密には可視光全域の反射スペクトルを考察すべきではあるが、ISO 2470による白色度(457nm)が50%以上であればこの推奨値を満たすと考えられるので、ISO 2470による白色度が50%以下であることは好ましくない。また、該白色度が60%以上であると、葉書受領者が淡色として認識でき違和感がない。また、該白色度が75%以上であると、葉書受領者に紙本来の白さとして認識されより好ましい。
【0047】
また、圧着葉書用紙の宛名面の全面あるいは宛名を記載する部分のみを白色のベタ印刷すると、圧着葉書用紙及び/または圧着葉書用接着剤に使用される着色剤によって宛名面が着色して宛名面が見にくい状態になっても、その判読が容易になって好ましい。
【0048】
白色のベタ印刷はオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の一般的な印刷機を使用して行うことができ、白色インキは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛等の隠蔽性を有する白色顔料を含む物が好適に使用できる。
【0049】
以下に本発明を実施例と比較例を示し、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の質量部とは乾燥質量部を言う。
【実施例】
圧着葉書用原紙1
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部(乾燥質量部、以下同じ)の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.F.S.の紙料を得た。これにサイズ剤(商品名「サイズパイン」荒川化学工業(株)製造、以下同じ)を2.5質量部、乾燥紙力増強剤(商品名「ポリストロン」荒川化学工業(株)製造、以下同じ)を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た。
【0050】
圧着葉書用原紙2(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これに黒系統の直接染料(「C.I.Direct Black 19」)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た
【0051】
圧着葉書用原紙3
針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ76質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.とし、これに酸化チタン(商品名「タイペークR−930」石原産業(株)製造、以下同じ)を5質量部配合して紙料を得た。これにサイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た。
【0052】
圧着葉書用原紙4(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ76質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.とし、これに酸化チタンを5質量部配合して紙料を得た。これに黒系統の顔料(「C.I.Pigment Black 1」)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た
【0053】
圧着葉書用原紙5(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにカーボンブラック(商品名「ダイアブラックA」三菱化学(株)製造、以下同じ)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・酸化チタン(商品名「タイペークR220」石原産業(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
【0054】
圧着葉書用原紙6(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにサイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・炭酸カルシウム(商品名「タマパール121」奥多摩工業(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質量部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
・赤系統の直接染料(「C.I.Direct Red 23」) 0.01質量部
青系統の直接染料(「C.I.Direct Blue 236」) 0.03質量部
【0055】
圧着葉書用原紙7(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにカーボンブラックを対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・プラスチックピグメント(商品名「ローペイクHP−1055」日本ゼオン(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質量部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
部
【0056】
圧着葉書用接着剤1
以下の配合から成る28質量%濃度の圧着葉書用接着剤を調製した。
・MMAグラフト天然ゴムラテックス(商品名「MG25」ムサシノケミカル(株)製造、以下同じ) 40質量部
・シリカゲル(商品名「ファインシールX37B」トクヤマ(株)製造、以下同じ) 35質量部
・小麦澱粉(商品名「AS−225」千葉製粉(株)製造、以下同じ) 25質量部
【0057】
圧着葉書用接着剤2(高隠蔽性)
以下の配合から成る28質量%濃度の圧着葉書用接着剤を調製した。
・MMAグラフト天然ゴムラテックス 40質量部
・シリカゲル 35質量部
・小麦澱粉 25質量部
・黒系統の直接染料(「C.I.Direct Black 19」) 0.05質量部
【0058】
実施例1
圧着葉書用原紙1を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0059】
実施例2
圧着葉書用原紙2を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0060】
実施例3
圧着葉書用原紙2を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0061】
実施例4
圧着葉書用原紙3を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0062】
実施例5
圧着葉書用原紙4を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0063】
実施例6
圧着葉書用原紙4を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0064】
実施例7
圧着葉書用原紙5を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0065】
実施例8
圧着葉書用原紙5を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0066】
実施例9
圧着葉書用原紙6を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0067】
実施例10
圧着葉書用原紙6を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0068】
実施例11
圧着葉書用原紙7を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0069】
比較例1
圧着葉書用原紙1を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0070】
比較例2
圧着葉書用原紙3を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0071】
実施例1〜実施例11、及び比較例1〜比較例2を以下の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0072】
ISO白色度の測定
ISO 2470に従い、圧着葉書用原紙とこれに圧着葉書用接着剤を塗工した後の圧着葉書用紙の白色度をそれぞれ測定した。
【0073】
JIS不透明度の測定
JIS P 8138に従い、圧着葉書用原紙とこれに圧着葉書用接着剤を塗工した後の圧着葉書用紙の不透明度をそれぞれ測定した。
【0074】
透かし認識の可否
実施例1〜実施例11、及び比較例1〜比較例2で得られた圧着葉書用紙を三つ折りタイプとし、非宛名面の表出面に試験パターンの地紋印刷を施し、さらに親展情報を電子写真方式のプリンタで施してこれをシールし、圧着葉書の形態とした。
投光器と一体化された白色光ランプ(商品名「LAMP HOUSE MODEL 15HLE」、セナー(株)製造)を変圧器(商品名「POWER SUPPLY MODEL 1515D」、セナー(株)製造)に繋いで電圧を調整してランプの照度を調整できるようにし、ランプから150mmの距離を隔ててサンプル載
置台を配置し、葉書サンプルをこの載置台にセットした。サンプルが置かれていないサンプル載置台の中央の照度が10万ルクスになるように変圧器で電圧を調整し、この状態で圧着葉書のサンプルをサンプル載置台に置き、目視にて隠蔽情報の判読を行った。尚、照度の測定は照度計(商品名「デジタル照度計 TIH」、ミノルタ(株)製造)を用いて行った。
【0075】
表1 評価結果
【0076】
表1の結果から、高隠蔽性の圧着葉書用接着剤及び/又は高隠蔽性の圧着葉書用原紙を使用した実施例1〜実施例11は、いずれも10万ルクスの光に透かしても隠蔽情報が認識できず、親展性に優れることが判る。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることが無い、親展性に優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることのない、親展性に優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、親展情報を伝達する手段として、封書の変わりに「圧着葉書」と呼ばれるものが多方面で利用されている。この構成の一例として次のようなものがある。すなわち、加圧することで接着可能な再剥離型の感圧接着剤を基紙に塗布した用紙を用い、親展情報を印字した後に二つ折り、あるいは三つ折り等に折りたたんで加圧ロール間に通して親展情報同士を接着して葉書を製造するタイプのものである。受取人はこの圧着葉書用紙を受け取った後、接着された親展面を剥離して親展情報を読みとる。この際、剥離した面は通常の方法では再接着できないように工夫してあるので、いたずら防止性に優れ、親展性を確保している。
【0003】
このように親展情報を伝達する手段としては簡便で効果的であるが、強力な光で該圧着葉書を透かした場合、隠蔽性に乏しいために親展情報が第三者に解読されてしまうという問題が指摘されていた。
【0004】
このような問題を解決するために、特開平5−278175号公報(特許文献1参照)や実開平3−116974号公報(特許文献2参照)には表出面に地紋印刷を施す方法が提案されている。本発明者等は宛名面でない表出面に地紋印刷を施したり、また、三つ折りタイプにあってはさらに中間紙片にも地紋印刷を施したりしてこれに対応することを検討したが、親展性を確保するだけの隠蔽性には不十分であった。
【0005】
一方、圧着葉書用紙の坪量を上げることで隠蔽性を挙げるという方法も考えられるが、葉書の重量には郵便法(非特許文献1参照)で規定された上限があるため、この方法で親展性を確保するだけの隠蔽性を得るには不十分であった。
【0006】
また、本発明者等は圧着葉書用原紙に隠蔽性を有する填料等のフィラー分を高内添する方法も検討したが、葉書としての強度が低下したりコストアップにつながるという問題があった。
【0007】
本発明者は、実願2002−005374号公報(特許文献3参照)において、高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を提案した。本願発明はこの製造方法について提案するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−278175号公報
【特許文献2】
実開平3−116974号公報
【特許文献3】
実願2002−005374号公報
【非特許文献】
郵便情報源2002年版73頁(郵便局発行)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等が鋭意検討した結果、圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方に着色剤を含むことで、また、該圧着葉書用原紙を特定の方法で製造することで上記の問題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることのない、親展性に極めて優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を得る製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方に着色剤を含むことを特徴とする、高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、前記の圧着葉書用原紙は、1層以上の層構造とすることで製造できる。また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層が、ピグメント塗工層であることを特徴として製造できる。また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことを特徴として製造できる。
【0012】
また、前記圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が60%、好ましくは75%であることを特徴として製造できる。
【0013】
また、前記圧着葉書用紙の宛名面の全面あるいは一部を白色のベタ印刷したことを特徴として製造できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の「圧着葉書用紙」とは、「圧着葉書用原紙」の少なくとも片面に「圧着葉書用接着剤層」を設けることで得られる。本発明で得られる「圧着葉書用紙」は、フォーム用の紫外線硬化型印刷機等で固定情報が印刷され、次いで静電記録方式(電子写真方式)プリンタやインクジェット方式プリンタ等で可変情報(親展情報)が印字され、次いで二つ折りあるいは三つ折りに成型されてから圧着され、葉書の形態になって郵送される。
【0015】
本発明に使用する高隠蔽性を有する圧着葉書用接着剤は、通常の状態で接着することがなく、高い圧力を加えることで接着する性質を有するものであって、ラテックスと充填剤とを主成分とするものである。これに着色剤を添加することで高隠蔽性を付加することができる。
【0016】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤に、高隠蔽性を付加するために配合できる着色剤には染料と顔料が挙げられる。染料としては、塩基性染料、カチオン染料、酸性染料、直接染料、分散染料、反応性染料等が挙げられる。顔料としては、金属の酸化物あるいは硫化物を主成分とする無機顔料や、レーキと言われる溶解した染料に沈殿剤を加えて不溶性にした有機顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料としてカーボンブラック、ウルトラマリンブルー、群青、紺青、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、酸化鉄、金属粉、有機顔料としてフタロシアニン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、ペリノン系、ピロコリン系、染付け系、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、ポリアゾ系等が挙げられる。
【0017】
着色剤を混合系で使用する場合、色相の発現は減法混色の原理に支配される。この原理を利用して所望の色相を発現することができる。例えば、黄色と青色の染料を併用して緑色の色相を得ることができる。
【0018】
着色剤の色相に制限はないが、赤、緑、青、茶、紫、黒の各系統色が好ましく使用できる。また、カーボンブラックに代表されるカーボン粒子を使用すると、広い波長範囲の光を吸収できるので隠蔽性が高い。着色剤の使用量は、接着剤の塗料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか、0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0019】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤に配合できるラテックスとしては、(変性)天然ゴム、SBR等の合成ゴム、アクリル系樹脂等が使用できる。
【0020】
本発明で使用する充填剤としては、シリカゲル、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメント、酸化チタン、穀物澱粉粒子等が使用できる。
【0021】
本発明で使用する圧着葉書用接着剤には上記したようなラテックス及び充填剤を主成分とし、これに必要に応じて老化防止剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、消臭剤、インクジェットインク定着剤等の助剤を適宜選択して添加することができる。
【0022】
該接着剤を圧着葉書用原紙に塗工するには、一般的な紙塗工用として使用されている塗工方式が採用できる。例えばエアーナイフコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター等の公知の塗工機が使用できる。
【0023】
圧着葉書用接着剤の塗工量は、片面当たり2〜15g/m2が好ましく、3〜10g/m2がより好ましい。塗工量が2g/m2を下まわると安定した接着特性が得られない。また15g/m2を上まわると過剰品質となりコストアップにつながり好ましくない。
【0024】
本発明でいうところの圧着葉書用原紙とは圧着葉書用接着剤を塗工するシート状物のことであって1層以上の層構造として製造できる。この場合、該圧着葉書用原紙を、紙層のみから成る構成として製造しても良いし、また、少なくとも片面の最外層をピグメント塗工層として製造しても良い。
【0025】
該圧着葉書用原紙に着色剤を含む場合は、少なくとも1層以上の着色層を含めば良く、また、圧着葉書用接着剤に着色剤を含む場合は、該圧着葉書用原紙には着色剤を含んでも含まなくても良い。
【0026】
該圧着葉書用原紙が紙層のみから成る場合、単層構造でも多層構造でも可能である。また、多層構造の場合、着色層を1層以上として製造することもでき、いずれの順番で積層してもかまわない。特に着色層を中間層として非着色層で挟んだ3層構成にすると、隠蔽性を維持したまま宛名面と非宛名面の白色度が高くなる。また、非宛名面を着色層とし、宛名面を非着色層とすると、宛名面のみの白色度が高くなる。ただし、これらの場合、該圧着葉書用原紙の上層に設ける圧着葉書用接着剤が後述する着色剤を含むか否かで白色度が変わってくるので、所望に応じた層構成にすればよい。
【0027】
一方、該圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層をピグメント塗工層として製造する場合、そのピグメント塗工層は1層以上として製造することができ、着色剤を含んで製造してもかまわない。該最外層のピグメント塗工層が着色剤を含まない場合には白色度が高くなる。一例として、宛名面のみをこのようにすれば、宛名面の白色度が高い隠蔽性に優れた圧着葉書用紙を製造することができる。ただし、この場合、該圧着葉書用原紙の上層に設ける圧着葉書用接着剤が前記した着色剤を含むか否かで白色度が変わってくるので、所望に応じた層構成にすればよい。
【0028】
前記の圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことを特徴として製造すると、酸化チタンやプラスチックピグメントは散乱計数が大きいので不透明度が高くなって、隠蔽性に優れる。
【0029】
また、前記圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層がピグメント塗工層であることを特徴として製造すると、ピグメントの歩留まりが高くなり、その結果不透明度が高くなって隠蔽性に優れる。特に、前記ピグメント塗工層が酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むと、これらのピグメントは散乱計数が大きいのでさらに不透明度が高くなり、一層隠蔽性に優れる。
【0030】
本発明で使用するプラスチックピグメントは、高分子化合物からなる有機微粒子であって、ポリスチレン系プラスチックピグメント、スチレン−ブタジエン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチックピグメント等が挙げられ、その形状や性質は、球状、扁平状、中空状、微粒子集合体、バインダーピグメント等各種の形状や性質のものが使用できるが、特に球状、中空状のものが好ましく使用できる。粒子径は0.5〜5μmのものが好ましく使用できる。これらを単独であるいは2種類以上混合して使用できる。この種のプラスチックピグメントは一般に市販品として入手できるものである。
【0031】
前記の圧着葉書用原紙は、前記したように1層以上の着色層を含む層構造を有しても製造できる。
【0032】
前記した圧着葉書用原紙に使用する着色剤の色相に制限はないが、赤、緑、青、茶、紫、黒の各系統色が好ましく使用できる。また、カーボンブラックに代表されるカーボン粒子を使用すると、広い波長範囲の光を吸収できるので隠蔽性が高い。着色剤の使用量は、紙層の場合、抄紙前の紙料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか、0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0033】
ピグメント塗工層の着色剤の使用量は、接着剤の塗料換算(固形分)で100〜1000ppm添加するか0.01〜0.1g/m2歩留まることが好ましい。この範囲であれば白色度を損なうことなく高い不透明度を得ることができる。
【0034】
ここで使用される高隠蔽性を付加するための着色剤としては、圧着葉書用接着剤で使用できるものとして挙げたものがいずれも使用できる。
【0035】
前記の圧着葉書用原紙を構成する紙層の製紙用原料としては、一般的に製紙用として使用される製紙用パルプ、例えば針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプを主体とし、コットンや麻、ケナフ等の非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維等を必要に応じて適宜使用することができる。これらを300〜600C.S.F.に叩解し、これにフィラー(クレー、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン等)、乾燥紙力増強剤(澱粉、PVA、ポリアクリルアミド等)、湿潤紙力増強剤(メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等)、サイズ剤(ロジン系、アルキルケテンダイマー系等)、蛍光増白剤、定着剤等を必要に応じて適宜添加し、パルプスラリーを得ることができる。これを円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機あるいはこれらのコンビネーション等の、公知の抄紙機を使用して抄紙し、圧着葉書用原紙が製造できる。また、途中工程において、サイズプレス装置等でサイズ剤、紙力増強剤、着色剤等を適宜塗工することもできる。特に散乱計数の大きいパルプや散乱計数の大きいフィラーを使用すると高い不透明度が得られ、高隠蔽性を得ることができる。前記したパルプにあっては、叩解を進めず、広葉樹を多く配合し、機械パルプを多く配合すると不透明度が上がるので、高隠蔽性を確保するには効果的である。フィラーにあっては、二酸化チタンを使用すると高隠蔽性が得られるので好ましい。
【0036】
前記圧着葉書用原紙のピグメント塗工層はバインダーと水溶性高分子、ピグメントとを主成分とする塗工液を塗工するが、この際に前記したような高隠蔽性を発現するための着色剤及び/または二酸化チタンやプラスチックピグメントのような散乱計数の大きい顔料を使用すると、高い不透明度が得られるので好ましい。
【0037】
該塗工液に使用するバインダーとしては、SBR等の合成ゴム、アクリル系エマルション、ウレタン系ディスパージョン、ポリエステル系エマルション等が使用できる。
【0038】
該塗工液に使用する水溶性高分子としては、澱粉及びその誘導体、PVA、変性PVA、カルボキシ・メチル・セルロース、カルボキシ・エチル・セルロース、デキストリン、カゼイン、ポリ・ビニル・ピロリドン等が使用できる。
【0039】
該塗工液に使用するピグメントとしては、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカゲル、プラスチックピグメント等が使用できる。さらに、これらに消泡剤、増粘剤、保水剤、レベリング剤等の助剤を適宜添加して塗料とする。また、塗工層として、前記したようなピグメントを含まず、クリヤー塗工とすることも可能である。
【0040】
該塗工層の塗工量は、片面当たり3〜15g/m2が好ましく、5〜10g/m2がより好ましい。3g/m2を下まわると高い不透明度を得るという効果に劣る。また15g/m2を上まわるとコストアップにつながって好ましくない。
【0041】
該接着剤を圧着葉書用原紙に塗工するには、一般的な紙塗工用として使用されている塗工方式が採用できる。例えばエアーナイフコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ゲートロールコーター等の公知の塗工機が使用でき、オンマシンコーターであってもオフマシンコーターであってもかまわない。
【0042】
以上、圧着葉書用接着剤と圧着葉書用原紙について説明してきたが、該圧着葉書用接着剤の塗工量、該圧着葉書用原紙の坪量は、郵便法による葉書の重さの規定を満たすように適宜選択すれば良い。
【0043】
このようにして高隠蔽性を有する圧着葉書用紙は、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方を前記したように染料及び/又は顔料で着色し、圧着葉書用原紙の少なくとも片面に圧着葉書用接着剤を設けることで製造できる。
【0044】
このようにして得られた圧着葉書用紙は、宛名面でない表出面に地紋印刷を施したり、または、三つ折りタイプにあってはさらに中間紙片にも地紋印刷を施すこともできる。このようにして得られた圧着葉書は、隠蔽性がさらに強力となり、より強い光で透かしても秘密情報が解読できなくなり、親展性がさらに優れることになる。
【0045】
本発明者等が検討した結果、圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度、圧着葉書用紙のISO 2470による白色度が以下に示す値を満たすことが親展性を保持するために好ましいことがわかった。すなわち、圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり、圧着葉書用紙のISO 2470による白色度が60%以上、好ましくは75%以上であって、上記したような地紋印刷や宛名面の全面あるいは一部を白色のベタ印刷と組み合わせるとさらに好ましい。
【0046】
圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%を下まわると隠蔽性が劣り、親展性が好ましくない。また、総務省郵政事業庁によるガイドライン「定型郵便物・はがきの基本条件」で、バーコード割引郵便の表面の色は淡色で反射率50%以上が推奨されており、厳密には可視光全域の反射スペクトルを考察すべきではあるが、ISO 2470による白色度(457nm)が50%以上であればこの推奨値を満たすと考えられるので、ISO 2470による白色度が50%以下であることは好ましくない。また、該白色度が60%以上であると、葉書受領者が淡色として認識でき違和感がない。また、該白色度が75%以上であると、葉書受領者に紙本来の白さとして認識されより好ましい。
【0047】
また、圧着葉書用紙の宛名面の全面あるいは宛名を記載する部分のみを白色のベタ印刷すると、圧着葉書用紙及び/または圧着葉書用接着剤に使用される着色剤によって宛名面が着色して宛名面が見にくい状態になっても、その判読が容易になって好ましい。
【0048】
白色のベタ印刷はオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の一般的な印刷機を使用して行うことができ、白色インキは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛等の隠蔽性を有する白色顔料を含む物が好適に使用できる。
【0049】
以下に本発明を実施例と比較例を示し、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の質量部とは乾燥質量部を言う。
【実施例】
圧着葉書用原紙1
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部(乾燥質量部、以下同じ)の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.F.S.の紙料を得た。これにサイズ剤(商品名「サイズパイン」荒川化学工業(株)製造、以下同じ)を2.5質量部、乾燥紙力増強剤(商品名「ポリストロン」荒川化学工業(株)製造、以下同じ)を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た。
【0050】
圧着葉書用原紙2(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これに黒系統の直接染料(「C.I.Direct Black 19」)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た
【0051】
圧着葉書用原紙3
針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ76質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.とし、これに酸化チタン(商品名「タイペークR−930」石原産業(株)製造、以下同じ)を5質量部配合して紙料を得た。これにサイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の圧着葉書用原紙を得た。
【0052】
圧着葉書用原紙4(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ76質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.とし、これに酸化チタンを5質量部配合して紙料を得た。これに黒系統の顔料(「C.I.Pigment Black 1」)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量100g/m2の高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た
【0053】
圧着葉書用原紙5(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにカーボンブラック(商品名「ダイアブラックA」三菱化学(株)製造、以下同じ)を対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・酸化チタン(商品名「タイペークR220」石原産業(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
【0054】
圧着葉書用原紙6(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにサイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・炭酸カルシウム(商品名「タマパール121」奥多摩工業(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質量部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
・赤系統の直接染料(「C.I.Direct Red 23」) 0.01質量部
青系統の直接染料(「C.I.Direct Blue 236」) 0.03質量部
【0055】
圧着葉書用原紙7(高隠蔽性)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、450mlC.S.F.の紙料を得た。これにカーボンブラックを対紙料で0.025質量部、サイズ剤を2.5質量部、乾燥紙力増強剤を4.0質量部、液体硫酸アルミニウムを5.0質量部添加し、紙料スラリーを調製した。このスラリーを、長網抄紙機を使用して抄紙し、坪量80g/m2の基紙を得た。この基紙に以下の配合の、55質量%濃度の塗料を、ブレードコーターを使用して片面当たり10g/m2、両面塗工して高隠蔽性の圧着葉書用原紙を得た。
・プラスチックピグメント(商品名「ローペイクHP−1055」日本ゼオン(株)製造) 82質量部
・SBR(商品名「スマーテックスPA1013」(株)日本エイアンドエル製造) 13質量部
・溶解澱粉(商品名「MS4600」日本食品加工(株)製造) 5質量部
部
【0056】
圧着葉書用接着剤1
以下の配合から成る28質量%濃度の圧着葉書用接着剤を調製した。
・MMAグラフト天然ゴムラテックス(商品名「MG25」ムサシノケミカル(株)製造、以下同じ) 40質量部
・シリカゲル(商品名「ファインシールX37B」トクヤマ(株)製造、以下同じ) 35質量部
・小麦澱粉(商品名「AS−225」千葉製粉(株)製造、以下同じ) 25質量部
【0057】
圧着葉書用接着剤2(高隠蔽性)
以下の配合から成る28質量%濃度の圧着葉書用接着剤を調製した。
・MMAグラフト天然ゴムラテックス 40質量部
・シリカゲル 35質量部
・小麦澱粉 25質量部
・黒系統の直接染料(「C.I.Direct Black 19」) 0.05質量部
【0058】
実施例1
圧着葉書用原紙1を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0059】
実施例2
圧着葉書用原紙2を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0060】
実施例3
圧着葉書用原紙2を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0061】
実施例4
圧着葉書用原紙3を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0062】
実施例5
圧着葉書用原紙4を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0063】
実施例6
圧着葉書用原紙4を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0064】
実施例7
圧着葉書用原紙5を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0065】
実施例8
圧着葉書用原紙5を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0066】
実施例9
圧着葉書用原紙6を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0067】
実施例10
圧着葉書用原紙6を使用し、これに圧着葉書用接着剤2を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0068】
実施例11
圧着葉書用原紙7を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0069】
比較例1
圧着葉書用原紙1を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0070】
比較例2
圧着葉書用原紙3を使用し、これに圧着葉書用接着剤1を片面当たり8g/m2となるように、エアーナイフコーターで両面塗工し圧着葉書用紙を得た。
【0071】
実施例1〜実施例11、及び比較例1〜比較例2を以下の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0072】
ISO白色度の測定
ISO 2470に従い、圧着葉書用原紙とこれに圧着葉書用接着剤を塗工した後の圧着葉書用紙の白色度をそれぞれ測定した。
【0073】
JIS不透明度の測定
JIS P 8138に従い、圧着葉書用原紙とこれに圧着葉書用接着剤を塗工した後の圧着葉書用紙の不透明度をそれぞれ測定した。
【0074】
透かし認識の可否
実施例1〜実施例11、及び比較例1〜比較例2で得られた圧着葉書用紙を三つ折りタイプとし、非宛名面の表出面に試験パターンの地紋印刷を施し、さらに親展情報を電子写真方式のプリンタで施してこれをシールし、圧着葉書の形態とした。
投光器と一体化された白色光ランプ(商品名「LAMP HOUSE MODEL 15HLE」、セナー(株)製造)を変圧器(商品名「POWER SUPPLY MODEL 1515D」、セナー(株)製造)に繋いで電圧を調整してランプの照度を調整できるようにし、ランプから150mmの距離を隔ててサンプル載
置台を配置し、葉書サンプルをこの載置台にセットした。サンプルが置かれていないサンプル載置台の中央の照度が10万ルクスになるように変圧器で電圧を調整し、この状態で圧着葉書のサンプルをサンプル載置台に置き、目視にて隠蔽情報の判読を行った。尚、照度の測定は照度計(商品名「デジタル照度計 TIH」、ミノルタ(株)製造)を用いて行った。
【0075】
表1 評価結果
【0076】
表1の結果から、高隠蔽性の圧着葉書用接着剤及び/又は高隠蔽性の圧着葉書用原紙を使用した実施例1〜実施例11は、いずれも10万ルクスの光に透かしても隠蔽情報が認識できず、親展性に優れることが判る。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、開封前に光に透かしても秘密情報が第三者に解読されることが無い、親展性に優れた高隠蔽性を有する圧着葉書用紙を得ることができる。
Claims (7)
- 圧着葉書用原紙を抄造し、次いでその少なくとも片面に圧着葉書用接着剤層を設ける圧着葉書用紙の製造方法において、圧着葉書用原紙及び圧着葉書用接着剤の少なくとも一方に着色剤を含むことを特徴とする高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用原紙が、1層以上の層構造であることを特徴とする、請求項1に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用原紙の少なくとも片面の最外層が、ピグメント塗工層であることを特徴とする、請求項1あるいは請求項2のいずれか1項に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用原紙の少なくとも1層が、酸化チタン及びプラスチックピグメントから選択される1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が60%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用紙のJIS P 8138による不透明度が95%以上であり且つISO 2470による白色度が75%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
- 前記圧着葉書用紙の宛名面の全面あるいは一部を白色のベタ印刷したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の高隠蔽性を有する圧着葉書用紙の製造方法。
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JP2004352775A (ja) * | 2003-05-27 | 2004-12-16 | Toppan Forms Co Ltd | 隠蔽性能に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いたシート |
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-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003043601A patent/JP2004250834A/ja active Pending
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