JP2004250636A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品の表面光沢が非常に高く、かつガス発生量が少ないため、成形品にアンダーコート等の下塗りをせずに直接光反射金属層を形成することが可能であり、高鏡面性・高輝度感を有し耐熱性にも優れた光反射体が得られる成形品が得られるポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】成形品に光反射金属層が形成された光反射成形品を得るための成形品用ポリエステル樹脂組成物であって、該組成物が、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(B)ポリエステル共重合体1〜100重量部からなるポリエステル樹脂[(A)+(B)]100重量部、および(C)無機充填材0〜1重量部、(D)離型剤0〜5重量部からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル樹脂製光反射体を得るための樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、成形品の表面光沢が極めて高く、かつ成形品からのガス発生量が少ないため、成形品にアンダーコート等の下塗りをせずに直接、塗装やドライメッキにより光反射金属層を形成することができ、また得られた光反射体は高鏡面性・高輝度感を有し、その表面外観が高温使用時においても維持され(耐熱性)、さらには金属層との密着性にも優れた光反射体用成形品を得るためのポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
本発明の樹脂組成物より作製された光反射体は、自動車、建築機器及び諸工業の分野でのランプ廻り部品に好適に用いられる。特に高い表面輝度感、平滑性、高光反射率を必要とする自動車のランプ周辺部品であるリフレクター、エクステンション等に好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】
光反射体、特に自動車のランプ廻りのエクステンション等の反射体は、ランプ光源の方向性、反射性のために、高い輝度感、平滑性、均一な反射率さらには高耐熱性等が必要である。そのため、従来、光反射体には、機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、かつ加工性が良好である結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、特にポリブチレンテレフタレート樹脂単独またはポリエチレンテレフタレート樹脂と他の樹脂との混合物に様々な強化材を添加配合した樹脂組成物が使用されており、その成形品にアンダーコート等の前処理(下塗り)を行った後に真空蒸着などの手法で光反射金属層を形成することにより、目的とする光反射体を得ている(特開平6−203613号公報)。しかしながら、アンダーコート等の下塗りは、大幅なコストアップとなることから、アンダーコートしなくとも高い輝度感を有する光反射体を得ることが望まれている。アンダーコートしなくとも成形品の一面に光反射層を付与された反射体が高い輝度感・均一な反射率を有するには、樹脂成形品自体が良好な表面平滑性を有し、且つ高い光沢性・輝度感を有することを必要とする。また、その用途仕様から樹脂の耐熱性も重要な問題である。
【0004】
一般にポリブチレンテレフタレート樹脂は、その速い結晶化速度のため、金型内での固化が速く、良好な鏡面転写性を得るのが難しい。さらに耐熱性付与のためタルクやマイカ等の無機充填材を添加した場合は、これらフィラーの浮き出しが顕著となる。
【0005】
そこで、高光沢感・良表面性を有する成形品を得る上での材料面での手法として、ポリブチレンテレフタレート樹脂に非晶性ポリマーを添加し、材料の結晶化速度を下げて金型転写性を向上させるとともに、フィラーの浮き出しを抑制する方法が用いられている(特開平11−293099号公報)。また、成形面での手法として、樹脂温度を上げ流動性を向上させる方法(特開2002−88235号公報)、金型温度を上げて固化速度を遅らせて金型転写性を向上させる方法(特開2002−88235号公報)等が一般的に用いられている。これらの方法により成形品の外観は向上するものの、樹脂温度、金型温度の上昇は成形時に揮発分の生成が問題となる。揮発分の生成により成形品表面に曇り(ヘイズ)状の外観不良を発生させることから、連続的に良好な成形品を得ることができず、金型の磨き、拭き取り等の新たな対策が必要となる。
【0006】
また、上記の非晶性ポリマーの添加も、非晶性ポリマー自身の耐熱性が低いと、高温使用下において非晶性ポリマーに起因する表面性・輝度感の低下を招き、光反射体としての耐熱性レベルを低下させることになる。また、高いガラス転移温度を有する非晶性ポリマーでは、一般にポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性が悪く、良好な表面性は得られない。故に、アンダーコートせずに樹脂成形品に直接光反射金属層を蒸着しても良好な輝度感、高反射率ならびに良好な金属密着性を有し、且つ高温使用下でもこれらの特性を維持できる耐熱性を有した光反射体に使用できる成形品を得るためのポリエステル樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−203613号公報
【特許文献2】
特開平11−293099号公報
【特許文献3】
特開2002−88235号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形品の表面光沢が非常に高く、かつ揮発分(ガス)発生量が少なく、成形品にアンダーコート等の下塗りをせずに直接光反射金属層を形成することが可能であり、耐熱性さらには金属層との密着性にも優れた光反射成形品が得られるポリエステル樹脂組成物を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意、研究、検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、(1)成形品に光反射金属層が形成された光反射成形品を得るための成形品用ポリエステル樹脂組成物であって、該組成物が、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(B)ポリエステル共重合体1〜100重量部からなるポリエステル樹脂[(A)+(B)]100重量部、および(C)無機充填材0〜1重量部、(D)離型剤0〜5重量部からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
好ましい態様は、
(2)(B)ポリエステル共重合体が2種類以上のグリコール成分を含むポリエステル共重合体である(1)のポリエステル樹脂組成物である。
(3)(D)離型剤が脂肪酸またはエステル系化合物である(1)、(2)のポリエステル樹脂組成物である。
(4)(B)ポリエステル共重合体のジオール成分のうち、1,4,ブタンジオールが全ジオール成分に対して20〜95モル%である(1)〜(3)のポリエステル樹脂組成物である。
(5)(C)無機充填材が平均一次粒子径10μm以下の無機充填材である(1)〜(4)のポリエステル樹脂組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる樹脂組成物の構成成分について詳しく説明する。
本発明における(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、例えばテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体と炭素数4のアルキレングリコールまたはそのエステル形成誘導体を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレートである。またポリブチレンテレフタレート樹脂は、共重合成分を5モル%未満含有する共重合体であってもよい。共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体等が、また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分として、通常のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0011】
本発明では、上記の如き化合物をモノマー成分として重縮合により生成するポリブチレンテレフタレートは何れも本発明の(A)成分として使用することができ、単独で、または2種類以上混合して使用されるが、好ましくはポリブチレンテレフタレートホモポリマーが使用される。
【0012】
また、コポリマーに属する分岐ポリマーも用いることができる。ここでいうポリブチレンテレフタレート分岐ポリマーとは、いわゆるポリブチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレート単量体を主体とし、多官能性化合物を添加することにより分岐形成されたポリエステルである。ここで使用できる多官能性化合物としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらのアルコールエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがある。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂組成物には(B)ポリエステル共重合体が添加配合される。この(B)ポリエステル共重合体は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に添加配合することにより、得られる成形品の表面およびその成形品の表面に形成した光反射金属層の表面の平滑性および輝度感等を向上させる上での必須成分である。
本発明の(B)ポリエステル共重合体は、(A)ポリブチレンテレフタレートに比べ結晶化速度が遅いことが好ましく、これを添加配合することにより樹脂組成物としての金型転写性を向上させる効果を奏する。また光反射体が光・熱などの高温下に置かれたときに発生する表面平滑性の低下や輝度感の低下、変形等を抑制する効果を奏する。以上二点の見地から、良好な光反射外観を有する成形品を得る上で(B)ポリエステル共重合体は本発明での必須成分である。
【0014】
また、(B)ポリエステル共重合体の添加量は、(A)成分100重量部に対し1〜100重量部、好ましく5〜20重量部である。過小の場合は、良好な金型転写性が得られないため、本発明の目的とする良好な輝度、表面平滑性を有する光反射成形品を得る事ができない。また過大の場合は耐熱性などの物性低下、また成形サイクルの増加、離型性の悪化等、成形上の問題が生じるほか、発生ガスに由来する外観不良が発生し、輝度、表面平滑性の低下を引き起こすため好ましくない。
【0015】
本発明で使用される(B)ポリエステル共重合体を得るため共重合される酸成分モノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸、ナフタレンジカルボン酸等の脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸またはそれらのエステル形成性誘導体等が例示される。好ましくは、酸成分としてテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸が挙げられ、特に好ましくはテレフタル酸のみを使用することが好ましい。
【0016】
本発明で使用される(B)ポリエステル共重合体を得るため共重合されるジオール成分としては、通常のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。好ましいジオール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。特に好ましくは1,4−ブタンジオールが全ジオール成分に対して20〜95モル%共重合されていることが好ましい。更に好ましくは1,4−ブタンジオールが全ジオール成分に対して70〜90モル%共重合されていることが好ましい。
【0017】
本発明における(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエステル共重合体成分からなるポリエステル樹脂[(A)+(B)]の末端カルボキシル基量は70meq/kg以下であることが好ましい。さらに好ましくは40meq/kg以下、特に好ましくは30meq/kg以下である。末端カルボキシル基量が70meq/kg以下であれば、成形時や成形後にポリエステル樹脂組成物あるいはその成形品が高温に晒されても分解による揮発分の発生が少なく、表面輝度の高い光反射体を得ることができる。末端カルボキシル基量の測定方法は、上記モノマーより重縮合されたポリブチレンテレフタレートまたはポリエステル共重合体の粉砕試料をベンジルアルコール中215℃で10分間溶解後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液にて滴定するという方法が適用できる。
【0018】
また本発明に必要に応じて用いられる無機充填材としては、チタン酸系のウィスカー、タルク、ワラストナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。特に好ましい無機充填材は、タルク、クレイ、カオリン、ワラストナイトである。無機充填材の配合により成形品の剛性や熱変形温度が上がり、長時間高温に曝された後もリフレクターなどの光反射体表面の外観の劣化が防止でき安定した光束が得られる。無機充填材は平均粒子径が10μm以下であることが好ましい。特に3μm以下であることが好ましい。無機充填材は平均粒子径が10μmより大きい場合成形品の表面に無機充填材の浮き上がりが発生する場合がある。無機充填材の平均粒子径が10μm以下であれば無機充填材の浮き上がりがない良好な外観の成形品が得られ、直接蒸着を施しても非常に良好な外観の光反射体が得られる。
【0019】
本発明に使用する(C)無機充填材の配合量は、(A)と(B)を足したポリエステル樹脂100重量部に対し、0〜1.0重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部配合される。1.0重量部を超えると成形品の外観が悪くなるため好ましくない。また、上記のごとく成形品の剛性や熱変形温度を向上させるために0.1重量部以上配合することが好ましい。
【0020】
本発明では、成形時における製品の離型性を高め、成形品外観を向上させるために(D)離型剤をを添加することができる。(D)離型剤としては、グリセリン脂肪酸エステル類やソルビタン脂肪酸エステル類に代表される脂肪酸エステル類、およびその部分鹸化物などの脂肪酸エステル系化合物、脂肪酸金属塩類などから選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加することが可能である。特に炭素数22以上の脂肪酸のエステルまたは炭素数22以上の脂肪酸の部分ケン化エステルが好ましい。
【0021】
(D)離型剤の配合量は(A)と(B)を足したポリエステル樹脂100重量部に対し0〜5.0重量部である。配合量がこれを越えると、使用温度によっては曇り(ヘイズ)状の外観不良や染み出しが顕在化する場合があり好ましくない。
また本発明では、光反射体を構成する樹脂組成物の成形時の熱安定性を高め、特に連続的に成形された場合でも樹脂組成物から得られた成形品に発生するガス、低分子成分、染み出し物等の影響による外観・輝度感の低下を抑制する意味で、更に酸化防止剤を添加することができる。
【0022】
本発明に使用することができる酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類及び有機ホスファイト類から選ばれる1種又は2種以上の組合せからなることが好ましく、これらの添加は、押出し時や成形機内での溶融熱安定性向上に効果があり、揮発の付着による表面曇りの発生が少なく良好な外観・表面平滑性を有する成形品を連続的に長時間生産する上で有用であるとともに、光反射体が高温条件下におかれた際に、樹脂から発生する揮発や分解物の生成を抑制し良好な外観・表面平滑性を維持する上でも特に有用である。
【0023】
ここで使用する酸化防止剤の具体例を示すと、ヒンダードフェノール類としてはテトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}などがあり、チオエーテル類としてはテトラキス{メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート}メタン、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジドデシルチオジプロピオネートなどがあり、有機ホスファイト類としてはビス(2,6−ジ−t−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどがある。特にヒンダードフェノール類とチオエーテル類、ヒンダードフェノール類と有機ホスファイト類、ならびにこれら3種の酸化防止剤の併用は効果的である。
【0024】
また有機ホスファイト類酸化防止剤の代わりとして、リン酸金属塩も好適であり、具体例を示すと、第一リン酸カルシウム、第一リン酸ナトリウムの1水和物が挙げられる。
【0025】
酸化防止剤の配合量は(A)と(B)を足したポリエステル樹脂100重量部に対し0〜3.0重量部である。配合量がこれを越えると、曇り(ヘイズ)状の外観不良や染み出しが顕在化する場合があり好ましくない。
【0026】
さらに本発明のポリエステル樹脂組成物には、その目的に応じ所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂等に添加される公知の物質を配合することができる。例えば帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤等いずれも配合することが可能である。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる設備と方法により容易に調製される。例えば、(1)本発明の組成物を構成する成分を所定量一括混合して、一軸または二軸の押出し機で溶融混練し、目的組成のペレットを得る。(2)原材料投入口を2個以上有する一軸または二軸の押出し機で、第一番目の投入口から樹脂、安定剤、顔料成分などを投入し溶融混練した後、第二番目の原料投入口より無機充填材を投入し、溶融混練して目的組成のペレットを得る、などである。
【0028】
樹脂を金型に充填するための成形法としては、射出成形法、射出圧縮成形法などがあるが、射出成形法が一般的である。金型はクロムメッキ処理などによって鏡面加工することが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で使用した材料および評価項目の測定法は以下の通りである。
なお実施例中の部、及び%は特に記載がない場合は重量基準である。
【0030】
以下用いた材料について説明する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下PBTと称す)
ηsp/C(還元粘度)1.23dl/g、末端カルボキシル基量30meq/kgのポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した。
【0031】
(B)ポリエステル共重合体▲1▼(以下共重合体▲1▼とも称す)
ηsp/C(還元粘度)0.90dl/g、末端カルボキシル基量30meq/kg、共重合組成がテレフタル酸//エチレングリコール/ブタンジオール=100//7/93モル比のポリエステル共重合体を使用した。
(B)ポリエステル共重合体▲2▼(以下共重合体▲2▼とも称す)
ηsp/C(還元粘度)0.90dl/g、末端カルボキシル基量30meq/kg、共重合組成がテレフタル酸//エチレングリコール/ブタンジオール=100//20/80モル比のポリエステル共重合体を使用した。
(B)ポリエステル共重合体▲3▼(以下共重合体▲3▼とも称す)
ηsp/C(還元粘度)0.90dl/g、末端カルボキシル基量30meq/kg、共重合組成がテレフタル酸//エチレングリコール/ブタンジオール=100//25/75モル比のポリエステル共重合体を使用した。
【0032】
(B)の比較例:ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETと称す)
ポリエステル共重合体ではないηsp/C(還元粘度)0.62dl/g、末端カルボキシル基量30meq/kgのポリエチレンテレフタレート単独重合体樹脂を使用した。
【0033】
(C)無機充填材
平均粒子径1μmの乾式粉砕によって得たタルク微粒子を使用した。
【0034】
(D)離型剤▲1▼
脂肪酸エステル化合物であるクラリアントジャパン(株)製 モンタン酸部分ケン化エステルワックス Licowax OP (以下Wax−1とも称す)を使用した。
(D)離型剤▲2▼
脂肪酸エステル化合物であるクラリアントジャパン(株)製 モンタン酸エステルワックス Licolub WE 40 (以下Wax−2とも称す)を使用した。
【0035】
以下、測定評価方法について説明する。
(1)評価用の平板テストピースの作製
外観の評価に関しては、100mm×100mm×2mm(厚さ)の平板テストピースを用いた。平板テストピースは、下記の成形条件にて射出成形によって得た。
射出成形機:東芝IS−80
シリンダー1〜4ゾーン温度(℃):230−240−240−240℃
射出速度:2.0m/分
保圧力:400Kg/cm
金型温度:80℃
【0036】
(2)光反射表面の外観評価
射出成形によって得た平板テストピースを蒸着装置を使用して、蒸着装置内を1.0×10−2Paまで減圧し、1.0nm/secの蒸着速度でアルミニウムを100nmの膜厚まで蒸着した。蒸着した平板テストピースの光反射表面の外観を目視にて観察し、下記点数をつけた。
1;高い輝度感を有し、蛍光灯が歪みなく明瞭に映る。
2;高い輝度感を有し、蛍光灯は歪みなく映るが、若干の曇りある。
3;蛍光灯は歪みなく映るものの多少ぼやけており、曇りが多少見られる。
4;表面が均一でなく、蛍光灯が多少歪んで映り、曇りが見られる。
5;表面が荒れており、蛍光灯が波打って映り、白く見える。
更に、上記の蒸着した平板テストピース光反射体を、160℃で24時間加熱オーブン内に放置した後に取り出し、同様に光反射表面の外観を目視にて観察し、同様に点数をつけた。
【0037】
(3)表面平滑性
上記の条件で射出成形した平板(100mm×100mm×2mm厚さ)を用いて、表面粗度計((株)東京精密製、サーフコム554A)を使用し、十点平均粗さ(μm)を測定した。
【0038】
(4)荷重たわみ温度(HDT)
ASTM D−648に準じて測定した(ファイバーストレス0.46MPaとなる測定用ウエイトを使用)。
【0039】
(5)碁盤目剥離評価
蒸着によって平板テストピース上に形成されたアルミニウム膜と平板テストピースとの密着性を碁盤目剥離で評価した。上記の条件で成形した平板(100mm×100mm×2mm厚さ)を用いて、上記に示す方法にて蒸着された常温平板成形品を24時間23℃,相対湿度40%の恒温恒湿室中に放置した後、ニチバン(株)製粘着テープ:セロテープ(R)を用いて、1mm間隔の碁盤目数100の碁盤目剥離試験を行った。評価は、各実施例および比較例に対し5回の碁盤目剥離テストを行い、テストプレート表面に残存する碁盤目数の残存数を百分率にて表し、評価した。
【0040】
(実施例1〜7)
(A)PBT、(B)ポリエステル共重合体▲1▼〜▲3▼、(C)無機充填材(タルク微粒子)、(D)離型剤を表1に示すような配合量になるように、シリンダー温度をノズル側からそれぞれ230−240−240−240℃に設定された二軸押出機で、溶融混練してポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。次に得られたペレットをそれぞれ、140℃で4時間乾燥した後、前記成形条件で射出成形機を用いて、金型表面温度が80℃であるクロムメッキされた鏡面金型を用いて射出成形し、評価用テストプレートを得た。評価結果を表1に示した。本発明のポリエステル樹脂組成物から得られた光反射体は、ポリエステル共重合体を配合することで樹脂組成物としての金型転写性が良好なため、表面の平滑性が高い。また光反射体を高温下に放置した後でも表面平滑性の低下や輝度感の低下、変形等が発生しなかった。ポリエステル共重合体を配合することによる荷重たわみ温度の低下の問題もなく、特に無機充填材を少量配合した実施例5は荷重たわみ温度が高く、耐熱性に優れていた。
【0041】
(比較例1)
(B)ポリエステル共重合体を配合しない以外は実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物のペレットを得た後、評価用テストプレートを得た。評価結果を表2に示した。
(比較例2〜5)
(B)ポリエステル共重合体の代わりにポリエチレンテレフタレート単独重合体を表2に示すような配合量になるように実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物のペレットを得た後、評価用テストプレートを得た。評価結果を表2に示した。
【0042】
【表1】
Figure 2004250636
【0043】
【表2】
Figure 2004250636
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のポリエステル樹脂組成物を使用すれば、成形品の少なくとも一部に、直接光反射金属層を形成することにより、非常に高い輝度感を有する光反射体用の成形品が得られる。また、連続的に長時間成形を行っても高い輝度感を有する光反射成形品が得られる。更に成形品または光反射成形品を高温下に曝しても曇りによる輝度感低下が少ない。また金属との密着性、耐熱性に優れた光反射体が経済的に得られる。かかる光反射体は、特に高い反射性を必要とする自動車ランプのリフレクターおよびエクステンション等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 成形品に光反射金属層が形成された光反射成形品を得るための成形品用ポリエステル樹脂組成物であって、該組成物が、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(B)ポリエステル共重合体1〜100重量部からなるポリエステル樹脂[(A)+(B)]100重量部、および(C)無機充填材0〜1重量部、(D)離型剤0〜5重量部からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. (B)ポリエステル共重合体が2種類以上のグリコール成分を含むポリエステル共重合体である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. (D)離型剤が脂肪酸エステル系化合物である請求項1、2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (B)ポリエステル共重合体のジオール成分のうち、1,4−ブタンジオールが全ジオール成分に対して20〜95モル%である請求項1〜3に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. (C)無機充填材の平均粒子径が10μm以下である請求項1〜4記載のポリエステル樹脂組成物。
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