JP2004250548A - 不飽和ポリエステル系樹脂を含むライニング用樹脂組成物 - Google Patents

不飽和ポリエステル系樹脂を含むライニング用樹脂組成物 Download PDF

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JP2004250548A JP2003041641A JP2003041641A JP2004250548A JP 2004250548 A JP2004250548 A JP 2004250548A JP 2003041641 A JP2003041641 A JP 2003041641A JP 2003041641 A JP2003041641 A JP 2003041641A JP 2004250548 A JP2004250548 A JP 2004250548A
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Masahiro Yamada
昌宏 山田
Hiroaki Murase
裕明 村瀬
Takafumi Kawaguchi
隆文 川口
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
Yasuhiro Suda
康裕 須田
Shiro Sakai
史郎 酒井
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Abstract

【課題】ホルモン活性が低減され、耐熱性及び機械的強度に優れると共に、柔軟性にも優れる硬化樹脂塗膜を得るのに有用なライニング用樹脂組成物を得る。
【解決手段】不飽和ジカルボン酸由来のユニットを含むジカルボン酸ユニットと、フルオレン骨格を有するユニットを含むジオールユニットとで構成された不飽和ポリエステル系樹脂であって、前記ユニットのいずれかにアルキレン骨格を有する不飽和ポリエステル系樹脂、及び必要により重合開始剤、及び共重合性モノマーでライニング用樹脂組成物を調製する。共重合性モノマーは、橋架環式脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート系単量体であってもよい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境ホルモン性が低減され、かつ耐熱性及び機械的強度のバランスに優れるとともに柔軟性に優れ、ガス供給管、給排水管などの広範な配管ライニング樹脂用途に適したライニング用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル系樹脂は、不飽和ジカルボン酸(無水マレイン酸やフマル酸など)とジヒドロキシ化合物(グリコール類やビスフェノール化合物など)との反応などにより合成される。このような不飽和ポリエステル系樹脂は、タンク、ダクト、スクラバー、パイプ、船や自動車の構成部材としての繊維強化プラスチックや樹脂ライニングなどの種々の用途で使用されている。
【0003】
従来、安定性、耐熱性などの特性に優れる不飽和ポリエステル系樹脂を得るため、原料として、ビスフェノール類が用いられてきた。最近、ビスフェノール類を原料とした樹脂の塗膜や成形体などから、残存した低分子量のビスフェノール類や分解により、ホルモン活性の高いビスフェノール類が溶出する可能性があることが問題となっている。そのため、用途によっては、ビスフェノール類の使用が倦厭され、ビスフェノール類に代わる耐熱性、安定性、機械的特性(機械的強度など)などの諸特性に優れる材料の開発が望まれている。
【0004】
特開平2−73816号公報には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとマレイン酸とテレフタル酸とから得られた耐熱性又は溶剤不溶性不飽和ポリエステルが開示されている。しかし、この不飽和ポリエステルは、柔軟性や成形加工性が低いため、ライニングなどの用途には不適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、環境ホルモン性が低減されたライニング用樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、耐熱性及び機械的強度のバランスに優れるとともに、柔軟性に優れる硬化樹脂塗膜を得るのに有用なライニング用樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、基材への塗布に伴う垂れが低減され、塗工性に優れるとともに、均一な塗膜を形成可能なライニング用樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、従来のビスフェノール類を出発原料とした不飽和ポリエステルに代えて、フルオレン骨格とアルキレン骨格とを有する不飽和ポリエステルを用いると、耐熱性及び機械的強度のバランスに優れるとともに柔軟性にも優れる樹脂組成物が得られること、この樹脂組成物がライニング用途に適していることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明のライニング用樹脂組成物は、少なくとも不飽和ポリエステル系樹脂を含むライニング用樹脂組成物であって、下記式(1A)及び(1B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(1A)を含むジカルボン酸ユニットと、下記式(2A)及び(2B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(2A)を含むジオールユニットとで構成され、かつユニット(1A)とユニット(1B)との割合m/nが、m/n=100/0〜20/80であり、ユニット(2A)とユニット(2B)との割合p/qが、p/q=100/0〜10/90である。
【0010】
【化4】
Figure 2004250548
【0011】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは二価の有機基を示し、Rはアルキレン基を示し、R及びRは同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、rは同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、m及びpは1以上の整数を示し、n及びqは0以上の整数を示し、sは0〜3の整数を示し、tは1以上の整数を示す。但し、rが0であるとき、Rが脂肪族炭化水素基であるユニット(1B)及びRがアルキレン基であるユニット(2B)の少なくとも一方のユニットを含む)。
【0012】
前記不飽和ポリエステル系樹脂は、フルオレン骨格とアルキレン骨格とを有しており、例えば、ユニット(1B)において、Rはアルキレン基であり、かつユニット(1A)とユニット(1B)との割合m/nが、m/n=95/5〜30/70程度であってもよい。また、前記ユニット(2B)において、Rはアルキレン基であり、かつユニット(2A)とユニット(2B)との割合p/qが、p/q=95/5〜20/80程度であってもよい。さらに、ユニット(2A)において、RがC2−4アルキレン基であり、rが1〜5の整数であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに、重合開始剤、又は重合開始剤及び共重合性モノマーを含んでいてもよい。前記共重合性モノマーは、(メタ)アクリル系単量体、特に、下記式(3)で表される(メタ)アクリル系単量体で構成されていてもよい。
【0013】
【化5】
Figure 2004250548
【0014】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキレン基を示し、uは0又は1以上の整数を示し、Zは脂環式炭化水素基を示す)。
【0015】
前記樹脂組成物は、例えば、管体の内面などにコーティングするために用いてもよい。
【0016】
なお、本明細書中、用語「ライニング」とは、管体、容器、及び機械などの内面に、化学的腐食及び/又は物理的摩耗を防ぐ目的で塗膜を形成することに加え、広く、前記と同様の目的で基材上(基材の表面及び/又は裏面)に塗膜を形成するコーティングも含む意味で用いる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[ライニング用樹脂組成物]
本発明のライニング用樹脂組成物は、少なくとも前記式(1A)及び(1B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(1A)を含むジカルボン酸ユニットと、前記式(2A)及び(2B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(2A)を含むジオールユニットとで構成された不飽和ポリエステル系樹脂を含んでいる。このような不飽和ポリエステル系樹脂は、下記式(4)で表される共重合体であって、各ユニット間の重合形態はランダム重合であっても、ブロック重合であってもよいが、通常、ランダム共重合体である。
【0018】
【化6】
Figure 2004250548
【0019】
(式中、R〜R、m、n、p、q、r、s及びtは前記に同じ)。
【0020】
ジカルボン酸ユニットは、前記ユニット(1A)及び(1B)で構成されており、不飽和ポリエステル系樹脂は、これらのユニット(1A)及び(1B)のうち少なくともユニット(1A)を含む。
【0021】
ジカルボン酸ユニットにおいて、ユニット(1A)は、不飽和ジカルボン酸由来の単位で構成されている。前記式(1A)において、Rは水素原子又はメチル基であり、通常、水素原子である。ユニット(1A)に対応する不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、又はこれらの反応性(エステル形成可能な)誘導体[例えば、酸無水物(無水マレイン酸、無水シトラコン酸など);酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが例示できる。これらの不飽和ジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
ユニット(1B)は、ジカルボン酸由来の単位で構成されている。前記式(1B)において、Rで表される二価の有機基は、ジカルボン酸残基であり、対応するジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又はこれらの酸無水物、ポリエステル型ジカルボン酸などが例示できる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0023】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸などの飽和C3−20脂肪族ジカルボン酸(好ましくは飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸など);これらのエステル形成可能な誘導体[例えば、酸無水物(無コハク酸、無水グルタル酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸の無水物など);酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
【0024】
脂環族ジカルボン酸としては、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの飽和脂環族ジカルボン酸(C5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など);1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、1,3−シクロヘキセンジカルボン酸などの不飽和脂環族ジカルボン酸(C5−8シクロアルケン−ジカルボン酸など);及びこれらのエステル形成可能な誘導体[例えば、酸無水物(無水ヘキサヒドロフタル酸など);酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
【0025】
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などの芳香族C8−16ジカルボン酸;及びこれらのエステル形成可能な誘導体[例えば、酸無水物(無水フタル酸など);酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
【0026】
前記ポリエステル型ジカルボン酸は、ジカルボン酸成分とジオール成分との縮合反応から得られる。ジカルボン酸成分としては、前記例示の脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。ジカルボン酸成分としては、通常、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選ばれた少なくとも一種、特に、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを含む場合、両者の割合は、前者/後者(モル比)=5/1〜1/3、好ましくは4/1〜1/2、さらに好ましくは3/1〜1/1程度である。
【0027】
これらのジカルボン酸のうち、飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成可能な誘導体、特にアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などの飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0028】
前記ジカルボン酸ユニットにおいて、ユニット(1A)とユニット(1B)との割合m/n(モル比)は、m/n=100/0〜20/80、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜40/60(特に90/10〜50/50)程度である。
【0029】
ジオールユニットは、前記ユニット(2A)及び(2B)で構成されており、不飽和ポリエステル系樹脂は、これらのユニット(2A)及び(2B)のうち少なくともユニット(2A)を含む。
【0030】
ジオールユニットにおいて、ユニット(2A)はビスフェノールフルオレン類又はそのアルキレンオキシド付加物由来の単位で構成されている。
【0031】
前記式(2A)において、R及びRはで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルなどのC1−6アルキル基が例示できる。好ましいアルキル基は、C1−4アルキル基、C1−2アルキル基である。
【0032】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基(好ましくはC1−4アルコキシ基、特にC1−2アルコキシ基)が例示できる。
【0033】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC4−8シクロアルキル基(好ましくはC5−6シクロアルキル基)が例示できる。アリール基としては、フェニル、C1−4アルキルフェニル基(2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基など)、ナフチル基などのC6−12アリール基(特にフェニル基)、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基(C6−12アリール−C1−4アルキル基、特にベンジル基)などが例示できる。
【0034】
好ましい置換基R及びRは、同一又は異なって、アルキル基(例えば、C1−2アルキル基、特にメチル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)又はアリール基(例えば、フェニル基、ベンジル基)である。置換基の個数sは0〜3個であり、好ましくは0〜2個、さらに好ましくは0又は1個である。
【0035】
はアルキレン基であり、好ましくはエチレン、トリメチレン、プロピレンなどのC2−6アルキレン基(好ましくはC2−4アルキレン基)である。Rで表されるアルキレン基は二種以上組み合わせてもよく、例えば、ROで表されるアルキレンオキシド鎖がエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせであってもよい。アルキレンオキシド付加モル数rは0モル以上であり、好ましくは0〜30モル、さらに好ましくは0〜20モル、特に0〜10モル(例えば、1〜5モル)程度である。
【0036】
前記式(2A)において、ベンゼン環に対する基−O−(RO)−と置換基R,Rの置換位置は、特に制限されず、例えば、基−O−(RO)−は、2−位、3−位、4−位のいずれであってもよいが、特に4−位が好ましい。置換基R,Rの置換位置は、pによっても変動するが、例えば、2−位、3−位、4−位、2,3−位、2,4−位、3,4−位などが例示できる。置換基R,Rの好ましい置換位置は、3−位である。
【0037】
ユニット(2A)に対応するビスフェノールフルオレン類としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン,BPF);9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン,BCFG)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
【0038】
また、ユニット(2A)に対応するビスフェノールフルオレン類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン,BPEF)などの9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−6アルコキシ)フェニル]フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールエタノールフルオレン,BCEF)、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2−6アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシC2−6アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシC2−6アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシC2−6アルコキシフェニル)フルオレン、又はこれらのビスフェノールフルオレン類に対応するポリアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0039】
これらのビスフェノールフルオレン類又はそのアルキレンオキシド付加物のうち、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF)、9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、BCFなど)、9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−6アルコキシ)フェニル]フルオレン(例えば、BPEF)、9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2−6アルコキシフェニル)フルオレン(例えば、BCEFなど)などが好ましい。これらのビスフェノールフルオレン類及びそのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0040】
ユニット(2B)は他のジオール成分由来の単位で構成されている。前記式(2B)において、Rで表される有機基は、ジオール成分残基であり、対応するジオール成分としては、例えば、tが1のジオール成分として、脂肪族アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコール、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンなど)などが挙げられる。tが2以上のジオール成分として、ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用してもよい。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
【0041】
ジオール成分としては、アルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコール、特にC2−6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状C2−6アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコールなど]が好ましい。
【0042】
前記ジオールユニットにおいて、ユニット(2A)とユニット(2B)との割合p/q(モル比)は、p/q=100/0〜10/90、好ましくは95/5〜20/80、さらに好ましくは90/10〜30/70(特に90/10〜40/60)程度である。
【0043】
前記不飽和ポリエステル系樹脂は、硬質のフルオレン骨格と軟質のアルキレン骨格とを有しているため、耐熱性や機械的強度のバランスに優れるとともに、柔軟性にも優れる。アルキレン骨格は、ユニット(1B)、ユニット(2A)、ユニット(2B)のいずれのユニットに含まれていてもよい。アルキレン骨格の炭素数は、2個以上、好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜6個(特に2〜4個)程度である。フルオレン骨格を有するユニット(2A)とアルキレン骨格を有するユニットとの割合(モル比)は、前者/後者=10/1〜1/10、好ましくは5/1〜1/5、さらに好ましくは3/1〜1/3程度である。
【0044】
ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとの割合は、前者/後者(モル比)=1/5〜5/1、好ましくは1/3〜3/1、さらに好ましくは2/1〜1/2(特に1.2/1〜1/1.2)程度である。
【0045】
不飽和ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)は、特に制限されず、例えば、500〜10000、好ましくは1000〜5000、さらに好ましくは1000〜3000(特に1000〜2000)程度である。
【0046】
不飽和ポリエステル系樹脂において、二重結合当りの分子量は、300〜1000、好ましくは350〜800、さらに好ましくは400〜700程度である。
【0047】
不飽和ポリエステル系樹脂の末端基は、ヒドロキシル基でも、カルボキシル基でもよく、また、保護基によって末端保護されていてもよい。
【0048】
[不飽和ポリエステル系樹脂の製造方法]
前記不飽和ポリエステル系樹脂は、下記式(1a)及び(1b)で表されるジカルボン酸のうち少なくともジカルボン酸(1a)又はその反応性誘導体を含むジカルボン酸成分と、下記式(2a)及び(2b)で表されるジオールのうち少なくともジオール(2a)を含むジオール成分とを反応させることにより得られる。
【0049】
【化7】
Figure 2004250548
【0050】
(式中、R〜R、r、s及びtは前記に同じ)。
【0051】
縮合反応の温度は、特に制限されず、80〜200℃、好ましくは100〜200℃程度である。なお、一旦、前記縮合反応より10〜50℃、好ましくは20〜30℃程度低い温度で反応させた後、温度を上昇させて反応させてもよい。反応は、減圧下又は常圧下のいずれでも行うことができる。また、反応は、必要により不活性な溶媒中、空気中で行ってもよいが、通常、不活性ガス(ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気又は流通下で行なわれる。反応は、後述する重合禁止剤(熱重合禁止剤)の存在下で行ってもよい。反応時間は、特に制限されず、10分〜24時間、好ましくは1〜12時間程度である。
【0052】
縮合反応は、触媒の存在下又は非存在下のいずれにおいても行うことができる。触媒としては、エステル化反応に用いられる慣用の触媒、例えば、塩酸や硫酸などの酸触媒や、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒などが使用できる。触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。触媒の割合は、反応混合物の総量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0053】
縮合反応の終点は、酸価を測定することにより確認することができ、例えば、酸価1〜100mgKOH/g、好ましくは5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは10〜40mgKOH/g(特に15〜30mgKOH/g)程度となったとき、反応を終了できる。
【0054】
前記酸価になった時点で加熱をやめ、70〜120℃程度に温度が下がったところで、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、慣用のラジカル重合反応用の重合禁止剤、例えば、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン類;ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール類;p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノンなどのキノン類;ナフテン酸銅、塩化銅(II)などの銅塩;ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィドなどが挙げられる。前記重合禁止剤は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。重合禁止剤の割合は、反応混合物の総量に対して、10〜1000ppm、好ましくは100〜500ppm、さらに好ましくは150〜300ppm程度である。
【0055】
不飽和ポリエステル系樹脂は、必要により、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、可溶化溶媒と貧溶媒とを利用する沈殿法などの方法や、これらを組み合わせた方法を利用して分離精製してもよく、また、分離精製することなく用いてもよい。
【0056】
[樹脂組成物を構成する他の成分]
本発明のライニング用樹脂組成物は、前記不飽和ポリエステル系樹脂に加え、重合開始剤を含んでいてもよく、通常、重合開始剤と共重合性モノマー(反応性又は重合性稀釈剤)とを含んでいる。
【0057】
前記重合開始剤としては、過酸化物が使用できる。前記過酸化物としては、慣用の硬化剤(又は触媒)、例えば、脂肪族過酸化物(メチルエチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルパーオキシドなど)、脂環族過酸化物[シクロヘキサノンパーオキシド、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート)など]、芳香族過酸化物(ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキシドなど)などの有機過酸化物などが挙げられる。これらの過酸化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0058】
過酸化物の割合は、不飽和ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0059】
前記重合開始剤は、有機金属化合物などの重合促進剤と併用してもよい。重合開始剤と重合促進剤とを組み合わせて用いることにより、硬化条件を制御でき、例えば、室温で硬化することもできる。
【0060】
前記有機金属化合物としては、例えば、バナジウム系、マンガン系、又はコバルト系の金属石鹸類、例えば、オクテン酸金属塩(例えば、オクテン酸コバルトなど)、ナフテン酸金属塩[C2n−2で表される単環式ナフテン酸、C2n−4で表される二環式ナフテン酸、C2n−6で表される三環式ナフテン酸(式中、nは3以上の整数を示す)などのナフテン酸と多価金属(コバルトなど)との塩など]などが挙げられる。これらの有機金属化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記有機金属化合物のうち、オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルトなどのコバルト塩が好ましく、混合物として用いる場合、主成分としてこれらのコバルト塩を含むのが好ましい。
【0061】
有機金属化合物の割合は、樹脂の組成、重合時間、重合温度などの諸条件に応じて広い範囲から選択でき、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部程度である。
【0062】
前記共重合性モノマーとしては、例えば、芳香族ビニル単量体(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン又はその置換体、ジビニルベンゼンなど)、ビニル系単量体(例えば、酢酸ビニルなど)、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその酸無水物等)、イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−アルキルマレイミド(例えば、N−C1−4アルキルマレイミド等)など]、アリルエステル類(ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルフマレートなど)、(メタ)アクリル系単量体などが例示できる。
【0063】
前記共重合性モノマーのうち、低ホルモン活性の観点から、非スチレン系のビニルモノマー、特に、(メタ)アクリル系単量体又はオリゴマーが好ましい。
【0064】
前記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル;脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリルエステルなどの単官能の(メタ)アクリル系単量体の他、多官能の(メタ)アクリル系単量体又はオリゴマー、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート(C2−8アルカンジオールジ(メタ)アクリレートなど);ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[ポリ(オキシC2−6アルキレン)グリコールジ(メタ)アクリレートなど]、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノジエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。樹脂組成物における密着性の点から、特に、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0065】
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルが使用できる。
【0066】
前記式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。Rはアルキレン基であり、好ましくはエチレン、プロピレンなどのC2−4アルキレン基である。オキシアルキレン基の付加モル数mは0又は1モル以上であり、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは1〜5モル(特に1〜3モル)程度である。Zで表される脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−20シクロアルキル基や、ノルボルニル、ボルニル、イソボルニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンチル、トリシクロデカニル、アダマンチルなどの橋架環式脂肪族炭化水素基など挙げられる。これらの脂環式炭化水素基のうち、ジシクロペンテニルなどの橋架環式脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
【0067】
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、下記式(3a)で表される化合物が好ましい。
【0068】
【化8】
Figure 2004250548
【0069】
(式中、Rは前記に同じで、vは1〜3の整数を示す)。
【0070】
このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルポリオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0071】
前記共重合性モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、前記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル系単量体(例えば、前記式(3a)で表される(メタ)アクリル基単量体など)と、前記多官能(メタ)アクリル系単量体又はオリゴマー(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど)とを、前者/後者(重量比)=100/0〜10/90、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜50/50程度の割合で組み合わせてもよい。
【0072】
共重合性モノマーの割合は、不飽和ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0〜300重量部(例えば、10〜300重量部)、好ましくは50〜200重量部、さらに好ましくは50〜100重量部程度である。
さらに、充填剤を含んでもよい。充填剤としては、有機又は無機充填剤、例えば、繊維状充填剤[ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂、アラミド樹脂など)など]、板状充填剤[ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔など]、粉粒状充填剤[カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイトなどのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩などの金属粉末;炭化ケイ素など]などが挙げられる。好ましい充填剤は、繊維状充填剤である。
【0073】
ライニング用樹脂組成物は、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料などの着色剤、分散剤、可塑剤、充填剤や補強剤など含有してもよい。また、他の樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などと組合せてもよい。
【0074】
このようにして得られる樹脂組成物(樹脂組成物を含むコーティング剤又はライニング剤など)は、通常、基材に塗布又は流延し、硬化させることにより塗膜を形成できる。
【0075】
前記基材の材質及び形状は、特に制限されない。フルオレン骨格を有するため、ビスフェノール系樹脂と比較してライニング剤(コーティング剤)の垂れが抑制され、均一な膜形成が難しい形状の基材(例えば、配管などの内面など)にコーティングしても、均一な塗膜を形成できる。また、フルオレン骨格とアルキレン骨格とが導入されているため、ホルモン活性が低減されつつも、耐熱性及び機械的強度のバランスに優れとともに、柔軟性にも優れる硬化樹脂塗膜を得るのに適している。
【0076】
基材としては、種々の用途、例えば、管体(ガス又は液体などが通過する管体、例えば、ガス供給管、給排水管などの配管など)、外気に晒される用途(例えば、壁材、フィルム、ハウジングやケーシングなど)、水と接触する用途(例えば、給排水管、貯水槽、船底コーティング剤、浴槽、船体、ボートなど)、食品又は飲用剤と接触する可能性のある基材(例えば、給水管、貯水層、食品包装用フィルム、飲用缶、飲用管及び飲料の貯蔵又は輸送タンク剤など)、ヒトを含め動物と接触する可能性のある基材(例えば、ハウジング、床、壁、ケーシング、キーボードなど)などが挙げられる。
【0077】
コーティング剤(ライニング剤)の塗布量は、特に制限されず、1〜500g/m、好ましくは5〜300g/m、さらに好ましくは10〜100g/m程度である。なお、塗布は、慣用の方法、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、はけ塗りなどの方法が採用できる。
【0078】
コーティング剤(ライニング剤)の硬化は、5〜100℃(例えば、10〜60℃)程度の広い範囲で行うことができ、好ましくは10〜40℃程度、通常、室温(20〜30℃程度)で行われる。
【0079】
コーティング剤の硬化により形成された塗膜は、耐水性及び耐薬品性が高く、ホルモン活性が低減され、耐熱性と機械的強度とのバランスに優れるとともに、柔軟性も優れている。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、環境ホルモン性が大幅に低減されている。そのため、前記用途のうち、環境ホルモンの影響が懸念される用途、特に、ヒトを含め動物に対して影響が懸念される用途などに好適に適用できる。前記樹脂組成物は、耐水性及び耐薬品性が高いため、特に、接液又は接水部材[例えば、給排水管、貯水槽、食用及び飲用缶(内面)、浴槽など(特に上水道などの給水管、貯水槽、食用及び飲用缶などの接触した液体や水をヒトが経口摂取する虞のある部材など)]、ヒトが接触する部材(床及び壁などの建材など)などに好適に適用でき、特に管体が好ましい。
【0081】
【発明の効果】
本発明のライニング用樹脂組成物は、ビスフェノール骨格を有していないため、環境ホルモン性を低減できる。また、前記ライニング用樹脂組成物は、耐熱性及び機械的強度のバランスに優れるとともに、柔軟性に優れた硬化樹脂塗膜を得るのに有用である。さらに、前記樹脂組成物を含むコーティング剤を基材に塗布しても、垂れを低減でき、塗工性に優れるとともに、均一な塗膜を形成可能なライニング用樹脂組成物を提供できる。
【0082】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例で得られた不飽和ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の各種特性の評価法は以下の通りである。
【0083】
(チクソトロピー)
温度25℃でNo.2のローターを用い、不飽和ポリエステル樹脂の6rpmでの粘度Vis1と60rpmでの粘度Vis2とを測定して、両者の比Vis1/Vis2で表した。
【0084】
(クロスカット)
樹脂組成物を硬化させた塗膜に対して、1mm間隔で縦横方向に切り込みを入れて100個のます目を形成し、セロハンテープを貼着して塗膜から急激に剥がし、残存するます目の数xを計数し、以下の基準で評価した。
【0085】
合格:xが80個以上
不合格:xが80個未満
(粘度)
温度25℃で、B型粘度計を用いて、不飽和ポリエステル樹脂の粘度を測定した。
【0086】
(ライニング密着性)
予めサンドブラスト及び水洗された直線状の鉄管(15A)の内面に、樹脂組成物及び硬化剤(化薬アクゾ(株)製、328E)の混合物を塗布した後、24時間放置し、鉄管内面上で硬化させた。この鉄管に連続的に10℃の冷水及び80℃の温水を、それぞれ、少なくとも1分以上通水することを1サイクルとし、冷温水の通水を計3000サイクル繰り返した。3000サイクル通水後の鉄管を中央部で鉄管の長さ方向と垂直に切断し、鉄管の内径に対し樹脂硬化物が何%密着しているかを測定した。なお、密着の程度は、管の内面すべてに密着している場合を100%、密着部分の合計が鉄管内面の面積の半分なら50%を目安とし、目視で評価した。
【0087】
実施例1
マレイン酸812g(7モル)、コハク酸354g(3モル)、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン3070g(7モル)、エチレングリコール186g(3モル)及びナトリウムメトキシド4gを反応器に仕込み、窒素雰囲気下、反応温度150℃で約3時間反応させることにより、不飽和ポリエステル樹脂約4.4kgを得た。反応終了後、酸価を測定したところ、20mgKOH/gであった。
【0088】
次に、得られた不飽和ポリエステル樹脂に、炭酸カルシウム3500gを添加して混練した後、重合開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド40g、重合促進剤としてオクテン酸コバルト4g、前記式(3a)で表される共重合性モノマー(式中、Rはメチル基で、v=1)2750gを加え、窒素雰囲気下、30℃で1時間反応させることにより、不飽和ポリエステル樹脂組成物約10kgを得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0089】
実施例2
9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン3070g(7モル)に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン3260g(7モル)を用いる以外は実施例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂4.6kgを得た。反応終了後、酸価を測定したところ、25mgKOH/gであった。さらに、実施例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂組成物約10kgを得た。得られた樹脂組成物を硬化させ、熱変形温度、引張強度及び伸び率を測定した。結果を表1に示す。
【0090】
比較例1
9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン3070g(7モル)に代えて、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物2380g(7モル)を用いる以外は実施例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
Figure 2004250548
【0092】
表1の結果から明らかなように、実施例1及び2では、比較例1に比べて、不飽和ポリエステル樹脂のチクソトロピー及び粘度が高く、ライニング密着性も優れている。

Claims (10)

  1. 少なくとも不飽和ポリエステル系樹脂を含むライニング用樹脂組成物であって、不飽和ポリエステル系樹脂が、下記式(1A)及び(1B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(1A)を含むジカルボン酸ユニットと、下記式(2A)及び(2B)で表されるユニットのうち少なくともユニット(2A)を含むジオールユニットとで構成され、かつユニット(1A)とユニット(1B)との割合m/nが、m/n=100/0〜20/80であり、ユニット(2A)とユニット(2B)との割合p/qが、p/q=100/0〜10/90であるライニング用樹脂組成物。
    Figure 2004250548
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは二価の有機基を示し、Rはアルキレン基を示し、R及びRは同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、rは同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、m及びpは1以上の整数を示し、n及びqは0以上の整数を示し、sは0〜3の整数を示し、tは1以上の整数を示す。但し、rが0であるとき、Rが脂肪族炭化水素基であるユニット(1B)及びRがアルキレン基であるユニット(2B)の少なくとも一方のユニットを含む)
  2. ユニット(1B)において、Rがアルキレン基であり、かつユニット(1A)とユニット(1B)との割合m/nが、m/n=95/5〜30/70である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ユニット(2B)において、Rがアルキレン基であり、かつユニット(2A)とユニット(2B)との割合p/qが、p/q=95/5〜20/80である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. ユニット(2A)において、RがC2−4アルキレン基であり、rが1〜5の整数である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. さらに、重合開始剤、又は重合開始剤及び共重合性モノマーを含む請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 共重合性モノマーが(メタ)アクリル系単量体で構成されている請求項5記載の樹脂組成物。
  7. 共重合性モノマーが、式(3)
    Figure 2004250548
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキレン基を示し、uは0又は1以上の整数を示し、Zは脂環式炭化水素基を示す)
    で表される(メタ)アクリル系単量体で構成されている請求項5記載の樹脂組成物。
  8. 式(3)において、RがC2−4アルキレン基であり、uが1〜3の整数であり、Zが橋架環式脂肪族炭化水素基である請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 共重合性モノマーが、式(3a)
    Figure 2004250548
    (式中、Rは前記に同じで、vは1〜3の整数を示す)
    で表される(メタ)アクリル系単量体で構成されている請求項7記載の樹脂組成物。
  10. 管体の内面にコーティングするための請求項1記載の樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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