JP2004249884A - タイヤ用ホイール及びそれを用いた空気入りタイヤとの組立体 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤやホイール自体の構造に実質的な変更を加えることなく、タイヤ耐久性の向上を可能にするタイヤ用ホイールと、そのホイールを用いた空気入りタイヤとの組立体を提供する。
【解決手段】少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリム2の表面に、該リム2の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料13を塗布するか、又はリム2の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシート14、若しくは炭素繊維からなる布又は短繊維を積層配置したタイヤ用ホイール1、及び該タイヤ用ホイール1に空気入りタイヤを組み込んだタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリム2の表面に、該リム2の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料13を塗布するか、又はリム2の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシート14、若しくは炭素繊維からなる布又は短繊維を積層配置したタイヤ用ホイール1、及び該タイヤ用ホイール1に空気入りタイヤを組み込んだタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ用ホイール及びそれを用いた空気入りタイヤとの組立体に関し、さらに詳しくは、タイヤの耐久性を向上させるタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体に関する。
【0002】
【従来技術】
空気入りタイヤの耐久性は走行時の発熱量の大きさに左右される。そのため、従来から発熱を如何に抑制するかをテーマとして、タイヤの材料面や構造面から多くの研究がなされてきた。特に、パンクをしても一定の距離の走行を確保するためにサイドウォール内壁面に略三日月形の断面からなる補強ゴムを挿入したランフラットタイヤにあっては、パンク時にサイドウォール部の発熱が大きいと破壊し易くなることから、補強ゴムを低発熱性のゴムで構成する等の材料面からの研究が進んでいる。
【0003】
しかし、サイドウォール部を構成するゴムの特性はタイヤ性能にも大きく影響を及ぼすため、その選択幅は狭く、コスト高を招くという問題を孕んでいた。
【0004】
また、従来のタイヤ用ホイールには、通例ホイール表面にホイールの材料に比較して熱伝導率が低い材料からなる塗料が塗布されていたため、これがタイヤの発熱をホイールを通して外部に放熱する妨げになっていた。
【0005】
一方、タイヤ用ホイールの放熱効果を向上させることに関し、タイヤの発熱やブレーキ系統からの発熱をホイール系外に放熱するという提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし、従来の提案はスポーク部に吸気口を設けるなど、ホイールに構造変更を伴うものであるため、強度や重量などホイール性能に及ぼす影響が大きく、必ずしも満足しうる対策とはいえなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−244401号公報(第1−3頁、第1−5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤやホイール自体の構造に実質的な変更を加えることなく、タイヤ耐久性の向上を可能にするタイヤ用ホイールと、そのホイールを用いた空気入りタイヤとの組立体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、該リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料を塗布するか、又は前記リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシートを積層したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の他のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、炭素繊維からなる布又は短繊維を配置したことを特徴とするものである。
【0011】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面にリムの構成材料より熱伝導率が大きい粉体を配合した塗料を塗布するか、又はリムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシートを積層したことにより、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱をリムに効率良く伝達し、リムを介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0012】
また、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体は、上述したタイヤ用ホイールに空気入りタイヤを組み込んだものであり、これによりタイヤの放熱を促進してタイヤの耐久性を高めることを可能にする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を引用してこの発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は本発明のタイヤ用ホイールの一例を示す断面図である。タイヤ用ホイール1はタイヤを装着して保持するためのリム2と、車軸に取り付けられるハブ12と、該ハブ12とリム2とを連結するディスク3とからなる。タイヤはリム2の両側のフランジ2a側にビード部が勘合される。
【0015】
上記リム2には、その内側の表面のうちの少なくともタイヤのビード部が接触するフランジ2a側の矢印で示す範囲Rの部分に、熱伝導率がリム2を構成する金属よりも大きい材料からなる粉体を含有した塗料13を塗布するか、又は熱伝導率がリム2を構成する金属よりも大きい材料からなるシート14が貼り付けられている。
【0016】
塗料13における高熱伝導率材料の粉体の配合量は、放熱効果を奏する範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは基材樹脂100重量部に対して5重量部以上であると良い。また、上限としては50重量部までとするのが良い。多くなりすぎると塗料の塗布性が低下する。
【0017】
前記粉体又はシートの材料としては、熱伝導率の高い非金属の材料が選定され、黒鉛、アセチレンブラック、シリコンカーバイト、又はダイヤモンドスラリーが好ましく使用される。また、基材樹脂としては、エポキシ樹脂、(変性)アクリル樹脂、(変性)ポリエステル樹脂、(変性)ビニル系樹脂、エポキシ・ポリエステル樹脂、等を挙げることができる。
【0018】
前記粉体又はシートの熱伝導率は、リム2を構成する材料、例えばアルミ(熱伝導率約2.4W/cmK)又は鉄(熱伝導率約0.8W/cmK)より高い熱伝導率を有する材料であれば充分な放熱効果を奏する。そのような材料として、例えば黒鉛(熱伝導率約8.0W/cmK)、アセチレンブラック(熱伝導率約5.4W/cmK)、シリコンカーバイト(熱伝導率約4.9W/cmK)、又はダイヤモンド(熱伝導率約20W/cmK)スラリー、等が挙げられる。これらの中でも特にダイヤモンドが最も熱伝導率が高くて好ましいが、コストの面を考慮すると現実的ではないため、実際には黒鉛が最も好ましく使用され、次いでアセチレンブラックが好ましく使用される。
【0019】
なお、塗料13は、基材樹脂、前記粉体、及び硬化剤、さらに必要に応じて顔料や添加剤を有機溶媒に溶解・分散させたタイプでもよいし、水溶性樹脂を用いた水分散タイプでもよい。また、基材樹脂、前記粉体、及び硬化剤などを予め所定の温度で溶融混合し、次いでこれを機械的に微粉砕、分級して粉体塗料組成物として静電塗装等の方法で塗装した後、焼き付け硬化させてもよい。
【0020】
上記組成からなる塗料13又はシート14は、上述したように少なくともタイヤビード部が接触する部分に積層すれば良いが、より好ましくは、リム2の外周の全表面を含めたタイヤ用ホイール1の全表面に積層するようにすると良い。また、熱伝導率の大きい粉体材料として、上述したような非金属材料を使用することにより、リム2を構成する金属材料との間にイオンの移動を生じさせることがないことから、電蝕によるリム2の腐蝕を防止して耐腐食性を良好にすることができる。
【0021】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面部に熱伝導率の高い粉体を含有した塗料又はシートを塗布又は貼り付けることにより、リムやタイヤ自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱を直接リムに伝達することによりリムを介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0022】
なお、本発明のタイヤ用ホイール1は、上記塗料13又はシート14を積層した後、熱伝導率はやや劣ることになるが、その表面を保護したり美観を付与するために、さらに表面に透明トップコート塗料を塗布してもよい。
【0023】
本発明のタイヤ用ホイール1は、上記塗料13又はシート14に代えて炭素繊維からなる布又は短繊維を配置しても良い。炭素繊維からなる布は編布又は織布であっても不織布であっても良い。また、炭素繊維からなる布又は短繊維は、熱硬化性樹脂等を含浸させて貼り付けてから硬化させることが好ましい。
【0024】
上記のように、樹脂を含浸させた布や短繊維を貼り付けることにより、これら布や短繊維が有する凹凸に起因するエアー漏れをなくすことができる。
【0025】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面に樹脂を含浸させた熱伝導率の高い炭素繊維からなる布又は短繊維を配置したので、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱を直接熱伝導率の高いシート等に伝達することにより該シート等を介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0026】
図2は本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体の実施形態として上述したタイヤ用ホイールにランフラットタイヤを組み込んだ場合の半断面図を示している。ランフラットタイヤ4は一対のビード部5間でトロイド状に延びるカーカス層6を骨格として、クラウン部7におけるカーカス層6の外周には2層のベルト層8が配置され、サイドウォール部9の内壁面は断面が略三日月形の補強ゴム10で補強される。
【0027】
リム2にはランフラットタイヤ4のビード部5が勘合されて本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11が形成される。 そして、ランフラットタイヤ4が走行時にパンク等により内圧が低下してサイドウォール部9の剛性により車両の重量を支える状態になった際に、サイドウォール部9の内壁面に配置された略三日月形の補強ゴム10が上下動に伴う変形を繰り返しながらサイドウォール部9が発熱する。
【0028】
しかし、タイヤ用ホイール1が上述したように構成されていることにより、サイドウォール部9に発生した熱は、ビード部5を経由してリム2側に伝達し、リム2の表面に塗布された塗料13等を介してリム2に伝達し、最終的に外部に放熱される。
【0029】
なお、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11において、リム2に組み込まれるタイヤはランフラットタイヤ4に限られることなく、全ての空気入りタイヤが対象になる。
【0030】
このようにして、パンクした状態で走行するランフラットタイヤ4に代表される空気入りタイヤの走行に伴う発熱を系外に効率良く放熱させて空気入りタイヤの耐久性を高めることを可能にする。
【0031】
【実施例】
タイヤ用ホイールの表面に積層する塗料又はシートがランフラット耐久性に及ぼす影響を調べるため、同一の仕様により製造した図2の構造を有するランフラットタイヤを使用して、リムの表面に本発明に基づく塗料又はシートを積層していない従来組立体(従来例)と、塗布する塗料又は貼り合わせるシートを表1の示す通りとした発明組立体(実施例1〜3)について、以下の試験方法によりランフラット耐久性を評価した。
【0032】
その結果を従来例を100とする指数に換算して表1に併せて記載した。数値が大きいほどランフラット耐久性が優れていることを示している。なお、使用した塗料の組成は表2に示す通りとし、黒鉛含有シートには松下電器産業(株)製のグラファイトシート(熱伝導率:8.0W/cmK)を使用し、これを市販のエポキシ系接着剤にてリムの表面に接着させた。
【0033】
[ランフラット耐久性評価試験方法]
205/55R16サイズのランフラットタイヤをリムサイズ16×6.5JJのリムに組付けた後、後輪駆動の排気量2.5リットルの試験車の前輪右側に装着し、空気圧200kPaにて楕円形の周回コースを90km/hの速度で反時計回りに2周予備走行を行い、その後バルブのコアを抜き空気圧ゼロの状態で90km/hの速度で反時計回りに走行し、テストドライバーがタイヤ故障による異常振動を感じ、走行を中止するまでの距離を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
表1の結果より、発明組立体(実施例1〜3)は従来組立体(従来例)に比してランフラット耐久性が著しく向上することを確認した。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、該リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料を塗布するか、又はリムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシート、若しくは炭素繊維からなる布又は短繊維を積層配置したので、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱をリムに効率良く伝達し、リムを介して熱を系外に効率良く放熱させる効果がある。
【0037】
また、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体は、上述したタイヤ用ホイールに空気入りタイヤを組み込んだので、これによりタイヤの放熱を促進してタイヤの耐久性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ用ホイールの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体の一例を示す半断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ用ホイール
2 リム
2a フランジ
3 ディスク
4 ランフラットタイヤ
5 ビード部
6 カーカス層
7 クラウン部
8 ベルト層
9 サイドウォール部
10 補強ゴム
11 タイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体
12 ハブ
13 塗料
14 シート
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ用ホイール及びそれを用いた空気入りタイヤとの組立体に関し、さらに詳しくは、タイヤの耐久性を向上させるタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体に関する。
【0002】
【従来技術】
空気入りタイヤの耐久性は走行時の発熱量の大きさに左右される。そのため、従来から発熱を如何に抑制するかをテーマとして、タイヤの材料面や構造面から多くの研究がなされてきた。特に、パンクをしても一定の距離の走行を確保するためにサイドウォール内壁面に略三日月形の断面からなる補強ゴムを挿入したランフラットタイヤにあっては、パンク時にサイドウォール部の発熱が大きいと破壊し易くなることから、補強ゴムを低発熱性のゴムで構成する等の材料面からの研究が進んでいる。
【0003】
しかし、サイドウォール部を構成するゴムの特性はタイヤ性能にも大きく影響を及ぼすため、その選択幅は狭く、コスト高を招くという問題を孕んでいた。
【0004】
また、従来のタイヤ用ホイールには、通例ホイール表面にホイールの材料に比較して熱伝導率が低い材料からなる塗料が塗布されていたため、これがタイヤの発熱をホイールを通して外部に放熱する妨げになっていた。
【0005】
一方、タイヤ用ホイールの放熱効果を向上させることに関し、タイヤの発熱やブレーキ系統からの発熱をホイール系外に放熱するという提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし、従来の提案はスポーク部に吸気口を設けるなど、ホイールに構造変更を伴うものであるため、強度や重量などホイール性能に及ぼす影響が大きく、必ずしも満足しうる対策とはいえなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−244401号公報(第1−3頁、第1−5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤやホイール自体の構造に実質的な変更を加えることなく、タイヤ耐久性の向上を可能にするタイヤ用ホイールと、そのホイールを用いた空気入りタイヤとの組立体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、該リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料を塗布するか、又は前記リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシートを積層したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の他のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、炭素繊維からなる布又は短繊維を配置したことを特徴とするものである。
【0011】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面にリムの構成材料より熱伝導率が大きい粉体を配合した塗料を塗布するか、又はリムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシートを積層したことにより、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱をリムに効率良く伝達し、リムを介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0012】
また、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体は、上述したタイヤ用ホイールに空気入りタイヤを組み込んだものであり、これによりタイヤの放熱を促進してタイヤの耐久性を高めることを可能にする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を引用してこの発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は本発明のタイヤ用ホイールの一例を示す断面図である。タイヤ用ホイール1はタイヤを装着して保持するためのリム2と、車軸に取り付けられるハブ12と、該ハブ12とリム2とを連結するディスク3とからなる。タイヤはリム2の両側のフランジ2a側にビード部が勘合される。
【0015】
上記リム2には、その内側の表面のうちの少なくともタイヤのビード部が接触するフランジ2a側の矢印で示す範囲Rの部分に、熱伝導率がリム2を構成する金属よりも大きい材料からなる粉体を含有した塗料13を塗布するか、又は熱伝導率がリム2を構成する金属よりも大きい材料からなるシート14が貼り付けられている。
【0016】
塗料13における高熱伝導率材料の粉体の配合量は、放熱効果を奏する範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは基材樹脂100重量部に対して5重量部以上であると良い。また、上限としては50重量部までとするのが良い。多くなりすぎると塗料の塗布性が低下する。
【0017】
前記粉体又はシートの材料としては、熱伝導率の高い非金属の材料が選定され、黒鉛、アセチレンブラック、シリコンカーバイト、又はダイヤモンドスラリーが好ましく使用される。また、基材樹脂としては、エポキシ樹脂、(変性)アクリル樹脂、(変性)ポリエステル樹脂、(変性)ビニル系樹脂、エポキシ・ポリエステル樹脂、等を挙げることができる。
【0018】
前記粉体又はシートの熱伝導率は、リム2を構成する材料、例えばアルミ(熱伝導率約2.4W/cmK)又は鉄(熱伝導率約0.8W/cmK)より高い熱伝導率を有する材料であれば充分な放熱効果を奏する。そのような材料として、例えば黒鉛(熱伝導率約8.0W/cmK)、アセチレンブラック(熱伝導率約5.4W/cmK)、シリコンカーバイト(熱伝導率約4.9W/cmK)、又はダイヤモンド(熱伝導率約20W/cmK)スラリー、等が挙げられる。これらの中でも特にダイヤモンドが最も熱伝導率が高くて好ましいが、コストの面を考慮すると現実的ではないため、実際には黒鉛が最も好ましく使用され、次いでアセチレンブラックが好ましく使用される。
【0019】
なお、塗料13は、基材樹脂、前記粉体、及び硬化剤、さらに必要に応じて顔料や添加剤を有機溶媒に溶解・分散させたタイプでもよいし、水溶性樹脂を用いた水分散タイプでもよい。また、基材樹脂、前記粉体、及び硬化剤などを予め所定の温度で溶融混合し、次いでこれを機械的に微粉砕、分級して粉体塗料組成物として静電塗装等の方法で塗装した後、焼き付け硬化させてもよい。
【0020】
上記組成からなる塗料13又はシート14は、上述したように少なくともタイヤビード部が接触する部分に積層すれば良いが、より好ましくは、リム2の外周の全表面を含めたタイヤ用ホイール1の全表面に積層するようにすると良い。また、熱伝導率の大きい粉体材料として、上述したような非金属材料を使用することにより、リム2を構成する金属材料との間にイオンの移動を生じさせることがないことから、電蝕によるリム2の腐蝕を防止して耐腐食性を良好にすることができる。
【0021】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面部に熱伝導率の高い粉体を含有した塗料又はシートを塗布又は貼り付けることにより、リムやタイヤ自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱を直接リムに伝達することによりリムを介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0022】
なお、本発明のタイヤ用ホイール1は、上記塗料13又はシート14を積層した後、熱伝導率はやや劣ることになるが、その表面を保護したり美観を付与するために、さらに表面に透明トップコート塗料を塗布してもよい。
【0023】
本発明のタイヤ用ホイール1は、上記塗料13又はシート14に代えて炭素繊維からなる布又は短繊維を配置しても良い。炭素繊維からなる布は編布又は織布であっても不織布であっても良い。また、炭素繊維からなる布又は短繊維は、熱硬化性樹脂等を含浸させて貼り付けてから硬化させることが好ましい。
【0024】
上記のように、樹脂を含浸させた布や短繊維を貼り付けることにより、これら布や短繊維が有する凹凸に起因するエアー漏れをなくすことができる。
【0025】
このように、少なくともタイヤのビード部が接触するリムの表面に樹脂を含浸させた熱伝導率の高い炭素繊維からなる布又は短繊維を配置したので、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱を直接熱伝導率の高いシート等に伝達することにより該シート等を介して熱を系外に効率良く放熱させることを可能にする。
【0026】
図2は本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体の実施形態として上述したタイヤ用ホイールにランフラットタイヤを組み込んだ場合の半断面図を示している。ランフラットタイヤ4は一対のビード部5間でトロイド状に延びるカーカス層6を骨格として、クラウン部7におけるカーカス層6の外周には2層のベルト層8が配置され、サイドウォール部9の内壁面は断面が略三日月形の補強ゴム10で補強される。
【0027】
リム2にはランフラットタイヤ4のビード部5が勘合されて本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11が形成される。 そして、ランフラットタイヤ4が走行時にパンク等により内圧が低下してサイドウォール部9の剛性により車両の重量を支える状態になった際に、サイドウォール部9の内壁面に配置された略三日月形の補強ゴム10が上下動に伴う変形を繰り返しながらサイドウォール部9が発熱する。
【0028】
しかし、タイヤ用ホイール1が上述したように構成されていることにより、サイドウォール部9に発生した熱は、ビード部5を経由してリム2側に伝達し、リム2の表面に塗布された塗料13等を介してリム2に伝達し、最終的に外部に放熱される。
【0029】
なお、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体11において、リム2に組み込まれるタイヤはランフラットタイヤ4に限られることなく、全ての空気入りタイヤが対象になる。
【0030】
このようにして、パンクした状態で走行するランフラットタイヤ4に代表される空気入りタイヤの走行に伴う発熱を系外に効率良く放熱させて空気入りタイヤの耐久性を高めることを可能にする。
【0031】
【実施例】
タイヤ用ホイールの表面に積層する塗料又はシートがランフラット耐久性に及ぼす影響を調べるため、同一の仕様により製造した図2の構造を有するランフラットタイヤを使用して、リムの表面に本発明に基づく塗料又はシートを積層していない従来組立体(従来例)と、塗布する塗料又は貼り合わせるシートを表1の示す通りとした発明組立体(実施例1〜3)について、以下の試験方法によりランフラット耐久性を評価した。
【0032】
その結果を従来例を100とする指数に換算して表1に併せて記載した。数値が大きいほどランフラット耐久性が優れていることを示している。なお、使用した塗料の組成は表2に示す通りとし、黒鉛含有シートには松下電器産業(株)製のグラファイトシート(熱伝導率:8.0W/cmK)を使用し、これを市販のエポキシ系接着剤にてリムの表面に接着させた。
【0033】
[ランフラット耐久性評価試験方法]
205/55R16サイズのランフラットタイヤをリムサイズ16×6.5JJのリムに組付けた後、後輪駆動の排気量2.5リットルの試験車の前輪右側に装着し、空気圧200kPaにて楕円形の周回コースを90km/hの速度で反時計回りに2周予備走行を行い、その後バルブのコアを抜き空気圧ゼロの状態で90km/hの速度で反時計回りに走行し、テストドライバーがタイヤ故障による異常振動を感じ、走行を中止するまでの距離を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
表1の結果より、発明組立体(実施例1〜3)は従来組立体(従来例)に比してランフラット耐久性が著しく向上することを確認した。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のタイヤ用ホイールは、少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、該リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料を塗布するか、又はリムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシート、若しくは炭素繊維からなる布又は短繊維を積層配置したので、タイヤやホイール自体に特別の変更を加えることなしに、タイヤに発生した熱をリムに効率良く伝達し、リムを介して熱を系外に効率良く放熱させる効果がある。
【0037】
また、本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体は、上述したタイヤ用ホイールに空気入りタイヤを組み込んだので、これによりタイヤの放熱を促進してタイヤの耐久性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ用ホイールの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体の一例を示す半断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ用ホイール
2 リム
2a フランジ
3 ディスク
4 ランフラットタイヤ
5 ビード部
6 カーカス層
7 クラウン部
8 ベルト層
9 サイドウォール部
10 補強ゴム
11 タイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体
12 ハブ
13 塗料
14 シート
Claims (6)
- 少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、該リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなる粉体を含有した塗料を塗布するか、又は前記リムの構成材料よりも熱伝導率の大きい材料からなるシートを積層したタイヤ用ホイール。
- 前記熱伝導率の大きい材料が、黒鉛、アセチレンブラック、シリコンカーバイト、又はダイヤモンドスラリーの何れかである請求項1に記載のタイヤ用ホイール。
- 前記塗料における前記粉体の含有量が基材樹脂100重量部に対して5重量部以上である請求項1又は2に記載のタイヤ用ホイール。
- 少なくともタイヤのビード部が接触する部分におけるリムの表面に、炭素繊維からなる布又は短繊維を配置したタイヤ用ホイール。
- 請求項1〜4項の何れか1項に記載されたタイヤ用ホイールに空気入りタイヤを組み込んでなるタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体。
- 前記空気入りタイヤが、サイドウォール部の内壁面に略三日月形の断面からなる補強ゴムを配置して補強されたランフラットタイヤである請求項5に記載のタイヤ用ホイールと空気入りタイヤとの組立体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043862A JP2004249884A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | タイヤ用ホイール及びそれを用いた空気入りタイヤとの組立体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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