JP2004248383A - 並列型ac−dc変換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイオード整流器21とAF機能を有するPWMコンバータ4とを並列に接続したAC−DC変換器において、電源1と整流器21間に直流インダクタンスLdを接続すると共に整流器21の出力側にこのLdと昇圧チョッパを形成するスイッチング素子22を接続し、直流側に平滑コンデンサCと還流阻止ダイオードD1,D2を接続する。スイッチング素子22を制御してLdに方形波電流を流し、整流器21による高調波を減少させてAF4の容量を減少させると共に、方形波電流の大きさを制御して直流電圧Vdcを高め、電源1とAF3間にトランスを設けることなくAF3から補償電流が流れるようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、系統等交流電源から直流電源を得るための並列型AC−DC変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
AC−DC変換を行う最も一般的な方法としてダイオードを用いた整流器が使用されている。ダイオード整流器は、直流側に直流電圧の変動を抑制するために大容量の平滑コンデンサを伴うことが多い。このような構成でAC−DC変換を行う場合、交流側の電流はパルス状になり、大きな高調波電流が交流電源に流れることになる。この高調波電流を抑制するための最も簡易な対策は、インダクタンスを整流回路に挿入することであるが、大幅な高調波の低減は期待できない。
【0003】
このため、AC−DC変換器にスイッチング素子を用い、高周波で強制的に交流電源電流を正弦波にする、例えば、PWMコンバータのような方法が提案されている。しかしながら、スイッチング素子はダイオードに比較し高価であり、また、スイッチングによる電流リップルを除去するためにフィルタが必要になる、などの問題がある。
【0004】
これに対し、図7に示すように、ダイオード整流器DBと並列にPWMコンバータCONVを接続し、有効電力はダイオード整流器DBを通し、PWMコンバータCONVをダイオード整流器DBに流れる高調波を補償するアクティブフィルタ(AF)として動作させて高調波のみPWMコンバータCONVを通すことで、変換器全体の大きさ、価格を低減することを目的とした並列型AC−DC変換方式が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。なお、図中、1は交流電源(系統電源)、Cは平滑用コンデンサ、Lは高調波低減用インダクタンス、FはPWMコンバータのスイッチングによる電流リップル除去用フィルタ、TRは降圧用トランスを示す。
【0005】
【非特許文献1】
平成14年電気学会全国大会講演論文集4−159「大容量電気二重層キャパシタを用いる高調波抑制型インバータ装置」2002/3/26〜29東京
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来図7の並列型AC−DC変換方式では、ダイオード整流器にパルス状の電流が流れることに変わりはなく、その高調波を補償するためにPWMコンバータも同等の補償電流を流すことが必要となる。また、ダイオード整流器を流れる電流が基本波よりも大きい領域では、PWMコンバータがその電流を補償しようとするが、その電流がダイオード整流器の電流を増加させることになり、更にその増加分を補償しようとするという正帰還の状態となり、ダイオード整流器、PWMコンバータとも電流が増加する。
【0007】
更に、並列に接続したPWMコンバータで補償電流を流すためには、交流電源とアクティブフィルタの間にトランスを入れ、PWMコンバータから交流電源に補償電流が流れるようにする必要がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、PWMコンバータ容量を小さくできると共にPWMコンバータと交流電源の間にトランスが不要になり、且つ電源電流の力率が1となる並列型交流−直流変換器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明に係るAC−DC変換器は、ダイオード整流器の入力側に電流制御のためのインダクタンスが接続され出力側に該インダクタンスに流す方形波電流を制御するスイッチング素子が接続されている整流回路と、前記ダイオード整流回路と並列に接続された高調波抑制機能及び無効電力補償機能を有するPWMコンバータと、前記ダイオード整流回路の出力側及びPWMコンバータの直流側に接続された平滑コンデンサと、前記ダイオード整流回路出力側とPWMコンバータ出力側との間に接続された還流阻止ダイオードとから構成され、前記スイッチング素子により前記インダクタンスに方形波電流を流し、かつ直流電圧が前記PWMコンバータから交流電源に補償電流を流がすことが可能な電圧となるように前記方形波電流の大きさを制御することを特徴とする。
また、本願の第2の発明に係るAC−DC変換器は、ダイオード整流器の出力側に電流制御のための直流リアクトルとこの直流リアクトルに流す直流電流を制御するスィッチング素子とが接続されたている整流回路と、前記整流回路と並列に接続された高調波抑制機能及び無効電力補償機能を有するPWMコンバータと、前記ダイオード整流回路の出力側及びPWMコンバータの直流側に接続された平滑コンデンサと、前記電流制御スイッチング素子とPWMコンバータとの間に接続された還流阻止ダイオードとから構成され、前記スイツチング素子により前記直流リアクトルに直流電流を流し、かつ直流電圧が前記PWMコンバータから交流電源側に補償電流を流がすことができる電圧となるように前記方形波電流の大きさを制御することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1に係る並列型AC−DC変換器の主回路図を図1に示す。この並列型AC−DC変換器は、整流一石型回路2Aとこれに並列に接続されたアクティブフィルタ機能を有するPWMコンバータ4(以下、アクティブフィルタ4)及び整流一石型回路2Aとアクティブフィルタ4の直流側に接続された平滑コンデンサCとにより構成されている。
【0011】
整流一石型回路2Aは、三相ダイオード整流器21と、ダイオード整流器21と交流電源1の間に接続された電流制御のためのインダクタンスLdと、ダイオード整流器21の出力端子間に接続され、インダクタンスLdと共に昇圧チョッパを形成し、インダクタンスLdに方形波電流を流すスイッチング素子22と、ダイオード整流器21の正極と平滑コンデンサCの正極間及びダイオード整流器21の負極とPWMコンバータ3の負正極間に接続された還流阻止ダイオードD11及びD12で構成されている。
【0012】
スィッチング素子22を制御するチョッパ制御回路例を図2に示す。このチョッパ制御回路3Aは、加算器31で直流電圧設定値Vdc_refと直流電圧検出値Vdcとの偏差をとり、この偏差をPI(比例積分)制御器32でPI演算し、加算器31でダイオード整流器21の出力電流IrectとPI制御器32からの電流指令との偏差をとり、PI制御器34でPI演算し、コンパレータ36でPI制御器34の出力と鋸歯状波発生器35からの鋸歯状波とを比較しスイッチング素子22を制御するゲート信号を出力するように構成されている。
【0013】
この制御回路3Aによれば、PI制御器32により直流電圧Vdcが直流電圧設定値Vdc_refになるようにPI制御され、インダクタンスLdに流れる電流Idの大きさが調整される。また、PI制御器34によりダイオード整流器の直流側の電流IrectがPI制御器32から出力される電流指令との偏差がなくなるようにインダクタンスLdに流れる電流Idが方形状に制御され、ダイオード整流器の入力電流Idのピーク値が抑制される。上記直流電圧設定値Vdc_refは、ダイオード整流器のみで整流した場合の直流電圧より高く設定する。これによりインダクタンスLdとスイッチング素子23は昇圧チョッパとして機能し、直流電圧Vdcは高くなる。
【0014】
アクティブフィルタ4は、ダイオードが逆並列に接続されているスイッチング素子S1〜S6をブリッジ接続し、その直流側は平滑コンデンサCに接続され、交流側は高周波抑制用のインダクタンスLaを介して交流電源1に接続される構成となっている。
【0015】
図3にアクティブフィルタ(AF)4を制御するAF制御回路例を示す。このAF制御回路5の構成を動作と共に説明する。3相/2相変換回路51は電圧検出器PTで検出した3相電源電圧を2相の電圧Eα,Eβに変換し、3相/2相変換回路52は電流検出器CT1で検出したダイオード整流器21に流入する3相電流Idを2相の電流Iα,Iβに変換し、瞬時電力演算部53はこの2相の電圧、電流から瞬時実電力P及び瞬時虚電力Qを演算する。
【0016】
ローパスフィルタ54は瞬時実電力Pの基本波成分を検出する。ローパスフィルタ54と加算器55によりハイパス処理を行い瞬時実電力Pの高調波成分Phを検出すると共に、加算器56で上記瞬時虚電力Qに基本波成分の無効電力指令Qdcを補償対象として加算し高調波瞬時虚電力Qhを検出する。
【0017】
電流指令演算部57は上記2相の電圧Eα,Eβと高調波瞬時実虚電力成分Ph,Qhから2相の電流指令Iα*,Iβ*を演算し、2相/3相変換回路58はこの電流指令Iα*,Iβ*を補償電流指令Ia*に変換し、加算器59はこの補償電流指令Ia*と電流検出器CT2で検出した補償電流Iaとの偏差を検出する。この電流偏差はPWM回路50で演算増幅及びPWM変調され、ドライブ回路61を介してアクティブフィルタ4をPWM制御する。
【0018】
アクティブフィルタ4は上記のように制御され、系統電流Isが力率1となるように電流Idに含まれる高調波成分及び無効電流成分を抑制する補償電流Iaを流し、系統電流Isを力率1の正弦波にする。
【0019】
整流一石型回路2Aの還流阻止ダイオードD11、D12は、電流がPWMコンバータ3からダイオード整流器21側に還流するのを阻止する。また、PWMコンバータ3は回生機能を有し回生動作も可能となっている。
【0020】
上記スイッチング素子22を入れない場合、ダイオード整流器21の入力電流Idはパルス状の高調波電流となり、高いピーク値を有する。その高調波を補償するためにアクティブフィルタ4にも同等の電流を流すことになり、装置全体の容量はそれほど小さくならない。
【0021】
これに対し、上記のようにスイッチング素子22を入れてダイオード整流器21の入力電流Idのピーク値を抑えることは、補償電流Iaのピーク値を小さくすることにもつながり、装置全体の大きさ・価格を低減することが可能になる。また、インダクタンスLdとスイッチング素子22で形成される昇圧チョッパにより直流電圧Vdcを昇圧しているので、系統とアクティブフィルタ4との間にトランスを介することなく、補償電流Iaを流すことができる。
【0022】
上記並列型AC−DC変換器の動作をシミュレーションにより確認した。図4にシミュレーション結果を示す。系統電流Isは力率1の正弦波に制御されていることが分かる。また、整流1石型回路のチョッパを制御することで入力電流1dは方形波状になり、ダイオード整流器のみの場合と比較して入力電流ピーク値が押さえられることにより、高調波を補償するアクティブフィルタ電流Iaのピーク値も抑制できることが確認できた。
【0023】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2に係る並列型AC−DC変換器の主回路図を図5に示す。この並列型AC−DC変換器は、整流一石型回路2Bとこれに並列に接続されたアクティブフィルタ機能を有するPWMコンバータ4(以下、アクティブフィルタ4)及び整流一石型回路2Bとアクティブフィルタ4の直流側に接続された平滑コンデンサCとにより構成されている。
【0024】
整流一石型回路2Bは、三相ダイオード整流器21と、このダイオード整流器の出力側に直列に接続された電流制御のための直流リアクトルLdcと、この直流リアクトルLdcの出力側とダイオード整流器21の負極側間に接続され直流リアクトルLdcに流す電流を制御するスィッチング素子22と、直流リアクトルLdcの出力側とPWMコンバータ3の正極側間及びダイオード整流器21の負極側とPWMコンバータ3の負極側間に接続された還流阻止ダイオードD11及びD12で構成されている。
【0025】
図6にスィッチング素子22を制御するチョッパ制御回路例を示す。このチョッパ制御回路3Bは、加算器31で直流電圧設定値Vdc_refと直流電圧検出値Vdcとの偏差をとり、この偏差をPI制御器32でPI演算し、加算器33で直流リアクトルLdcに流れる電流IdcとPI制御器32からの電流指令との偏差をとり、この偏差をPI制御器34でPI演算し、コンパレータ36でPI制御器34の出力と鋸歯状波発生器35からの鋸歯状波とを比較してスイッチング素子22を制御するゲート信号を出力するように構成されている。
【0026】
このチョッパ制御回路3Bによれば、PI制御器32により直流電圧Vdcが直流電圧設定値Vdc_refになるようにダイオード整流器21に流れる電流Idの大きさが調整される。また、PI制御器34により直流リアクトルLdcの電流IdcがPI制御器32から出力される電流指令との偏差がなくなるように一定に制御される。直流リアクトルLdcの電流Idcが一定に制御されるので、ダイオード整流器21の入力電流Idは方形波状になり、入力電流Idのピーク値が抑制される。上記直流電圧設定値Vdc_refは、ダイオード整流器のみで整流した場合(図7)の直流電圧より高く設定する。これにより直流リアクトルLdcとスイッチング素子23は昇圧チョッパとして機能し、直流電圧Vdcは高くなる。
【0027】
アクティブフィルタ4及びその制御回路は、上記図1、図2のものと同様に構成されているのでその重復する説明は省略する。アクティブフィルタ4は、上記実施の形態1と同様に、系統電流Isが力率1となるように電流Idに含まれる高調波成分及び無効電流成分を抑制する補償電流Iaを流し、系統電流Isを力率1の正弦波にする。
【0028】
なお、整流一石型回路2Bの還流阻止ダイオードD11、D12は、電流がPWMコンバータ3からダイオード整流器21側に還流することを阻止する。また、PWMコンバータは回生機能を有し、変換器の負荷側が回生モードとなった場合、回生動作も可能となっている。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、上記の通りに構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0030】
(1)従来変換器に比べ、ダイオード整流器を流れる電流は方形波となり、高調波が低く抑えられるので、アクティブフィルタ容量を小さくできる。
(2)昇圧チョッパにより直流電圧を高く設定できるので、従来変換器で必要であつたアクティブフィルタと交流電源間のトランスが不要になる。
(3)交流電源電流が力率1の正弦波になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る並列型AC−DC変換器の主回路図。
【図2】昇圧チョッパのスイッチング素子制御回路図。
【図3】アクティブフィルタ制御回路例を示すブロック図。
【図4】シミュレーション結果を示す波形図。
【図5】実施の形態2に係る並列型AC−DC変換器の主回路図。
【図6】昇圧チョッパのスイッチング素子制御回路図。
【図7】従来例に係る並列型AC−DC変換器の主回路図。
【符号の説明】
1…系統電源、交流電源
2A、2B…整流一石型回路、
21…ダイオード整流器
22…チョップ用スイッチング素子
3A、3B…スイッチング素子制御回路
32,34…PI制御器
36…鋸歯状波発生器
37…比較器
4…アクティブフィルタ、
Claims (3)
- ダイオード整流器の入力側に電流制御のためのインダクタンスが接続され出力側に該インダクタンスに流す方形波電流を制御するスイッチング素子が接続されている整流回路と、
前記ダイオード整流回路と並列に接続された高調波抑制機能及び無効電力補償機能を有するPWMコンバータと、
前記ダイオード整流回路の出力側及びPWMコンバータの直流側に接続された平滑コンデンサと、
前記ダイオード整流回路出力側とPWMコンバータ出力側との間に接続された還流阻止ダイオードとから構成され、
前記スイッチング素子により前記インダクタンスに方形波電流を流し、かつ直流電圧が前記PWMコンバータから交流電源に補償電流を流がすことが可能な電圧となるように前記方形波電流の大きさを制御することを特徴とするAC−DC変換器。 - ダイオード整流器の出力側に電流制御のための直流リアクトルとこの直流リアクトルに流す直流電流を制御するスィッチング素子とが接続されたている整流回路と、
前記整流回路と並列に接続された高調波抑制機能及び無効電力補償機能を有するPWMコンバータと、
前記ダイオード整流回路の出力側及びPWMコンバータの直流側に接続された平滑コンデンサと、
前記電流制御スイッチング素子とPWMコンバータとの間に接続された還流阻止ダイオードとから構成され、
前記スイツチング素子により前記直流リアクトルに直流電流を流し、かつ直流電圧が前記PWMコンバータから交流電源側に補償電流を流がすことができる電圧となるように前記方形波電流の大きさを制御することを特徴とするAC−DC変換器。 - 前記PWMコンバータは、回生機能を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2記載のAC−DC変換器。
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