JP2004245396A - 吊りチェーン用フック - Google Patents

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Abstract

【課題】片手のみでも、容易かつ確実にリンクをフック部に装着することが可能な吊りチェーン用フックの提供する。
【解決手段】外れ防止金具3はフック部2c内縁に当接状態で、その外側にリンク4が仮保持できるようにフック本体2に装着されているため、リンク4を装着する前の状態であっても、掛止するリンク4がフック部2cに仮保持される。これにより、仮保持の状態からフック1に装着する場合、切欠部2f内方側への力が生じることにより、保持しているフック部2cの内縁や外れ防止金具3を介して、フック本体2にも同じ方向の力が伝達される。よって、片手のみの操作でフック本体2が回動することはなく、リンク4を装着することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建設現場で吊り足場等を構築する時に使用される外れ防止金具付きの吊りチェーン用フックに関する。より詳しくは、吊りチェーンのリンクを着脱する時に、安全性が高く、作業性の向上した吊りチェーン用フックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設現場の仮設材として吊り足場等を構築する場合には、両端にフックが設けられた吊りチェーンを使用している。その使用方法は、例えば、図13に示すように、H形鋼からなる鉄骨梁52に吊りチェーン50を回し、その一端側を足場を形成するために使用される丸パイプ53などに回した後、チェーン50の適宜位置にあるリンク54に、その他端側に設けられたフック51を掛止させて吊り足場を構築している。
【0003】
しかしながら、この構築作業は高所で行われるため、不安定で危険が伴う。そして、巻き回した吊りチェーン50の長さがリンク54に対して不足する場合は、リンク54の一個分を長くした位置にあるリンク54に掛止されるため、丸パイプ53の振動などにより、リンク54がフック51から外れてしまうおそれがあった。
【0004】
そこで、丸パイプ53の振動などに対して、リンク54がフック51から抜け出ないようにするため、図14ないし図16に示すように、ばね材等の弾発力を利用した外れ防止金具63を備えた吊りチェーン用フック61が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第3024747号公報(第2頁33行−42行,第1図)
【特許文献2】
特開2000−104399号公報(第5頁28行−第6頁10行,第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に開示されたフック61は、図14等に示すように、外れ防止金具63のフック部62a内縁に対する当接位置が先端近傍に定められている。このため、吊りチェーンのリンク64は、外れ防止金具63の外側とフック部62a先端の僅かな部分に一時的に掛止されることになる。したがって、作業者がフック部62aにリンク64を掛止する際に、多くの場合は、片方の手でリンク64を外れ防止金具63が開放する方向に押圧しなければならない。しかしながら、高所作業においては片手しか使用できないこともあり、上述のような状態でリンク64がフック部62a先端に掛止されていると、フック61は一点で吊りチェーン60に吊着されていることから、図16に示すように、外れ防止金具63が開放する方向にリンク64を押圧することにより、吊着されているリンク60aを回動軸としてフック本体62が回動してしまう。このため、外れ防止金具63を開放することが出来ず、結果的にフック部62aにリンク64を装着できないことになる。よって、確実に装着するためには、一方の手でフック本体62を掴持しながら、余った指で外れ防止金具63を開放状態にしたうえ、他方の手でフック部62aにリンク64を装着させている。このように、高所作業等において、両手を用いて吊りチェーンのフックにリンクを装着することは、体勢的に不安定であり、非常に危険で手間のかかる作業となっていた。本発明は、これら従来技術の問題点に鑑みなされたもので、片手のみでも、容易かつ確実にフック部に装着することが可能な吊りチェーン用フックの提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、吊りチェーンのリンクを掛止するフック部の内縁に、一端側が弾発的に当接してリンクの外れ止めを行う外れ防止金具を備えた吊りチェーン用フックにおいて、前記外れ防止金具を前記フック部内縁に当接状態で、その外側においてリンクを仮保持可能に設けたことを特徴としている。これにより、リンクを装着する前の状態であっても、掛止するリンクとフックとが確実に掛合するため、片手のみの操作で装着する場合においても、フック本体が回動することはなく、容易かつ確実にリンクをフック部に装着することが可能となり、作業性が大幅に改善される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による吊りチェーン用フックは、その形状に特段の限定はなく、後述する実施例のように、例えば、吊りチェーンが吊着される基部からフック部先端側に延出された延出部を備える略C字状からなる形態のものや、前記基部からフック部にかけて略鉤状に形成された形態、また、フック本体の剛性等を高めるため、表面にリブが設けられている形態など、様々なフック形状のものに適用可能である。また、吊りチェーンにおけるフックの位置についても、少なくともどちらか一端に設けられていれば、本発明の目的を果たすことが可能であり、その位置や数などにおいて、特に限定されるものではない。
【0009】
また、本発明における外れ防止金具は、一端がフック部内縁に弾発的に当接して、リンクの外れ止めの効果を成せば良い。例えば、略U字状に加工した線材の両端の位置を互いにずらしてフック本体に取付け、弾性変形させることによって、その線材が有する弾発力(復元力)を利用したものや、コイルバネや板バネ等のバネ材を直接取付けたり、また、適宜の金具等に前記バネ材などを付して使用するなど、その材質や形状は任意に選択することができる。
【0010】
さらに、本発明に係るフックが設けられた吊りチェーンは、吊り足場の構築時においてのみ利用されるだけでなく、例えば、建設現場で足場以外の物を吊る場合や、資材や型枠等を固定する場合など、一般に利用されている様々な用途にわたって使用可能であることは言うまでもない。
【0011】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。図1は本発明に係る吊りチェーン用フックの一実施例を示す正面図である。図示のフック1は、略C字状のフック本体2と、外れ防止金具3から構成されている。
【0012】
上記構成において、略C字状のフック本体2は、一端側の基部2aの中央には吊りチェーンのリンクを挿着可能な挿通孔2bが穿設されるとともに、当該挿通孔2bからフック部2cの先端方向(図面上で右方向)にかけて基部2aが延出し、延出部2dとなっている。そして、フック部2cと延出部2dのそれぞれ先端の間に開口する開口部2eから内方に向けて吊りチェーンのリンクを装着する切欠部2fが設けられている。また、外れ防止金具3は、一端がフック部2cの内縁に当接し、切欠部2fを閉塞するように、フック本体2に装着されている。この外れ防止金具3は、その両端に形成された枢軸部3d,3eにおいて、フック本体2に穿設された一対の挿通孔2g,2hに、互いの位置をずらした状態で軸着されることにより、フック部2cの内縁に弾発的に当接するように付勢されている。そして、切欠部2fを開放する方向に押圧させた際には、枢軸部3d,3eを支点として弾性変形が可能である。
【0013】
図2および図3は、上記実施例における外れ防止金具3の左側面図と正面図である。図示の外れ防止金具3は、1本の線材を折曲した平面視略台形状に形成され、前記フック本体2のフック部2cの内縁に当接する当接部3aの両端に、それぞれ長さが相違する一対の腕部3b,3cと、その腕部3b,3cの両端をそれぞれ内方に折曲した枢軸部3d,3eから構成されている。外れ防止金具3は、図3から明らかなように、それぞれの腕部3b,3cが同一平面上に形成されないように、枢軸部3d,3eの間隔Wを有した形態となっている。そして、フック本体2に装着する時には、図1に示すように、枢軸部3d,3eの間隔Wを変化させて軸着される。なお、外れ防止金具3の枢軸部3d,3eの間隔は予め形成しておく必要はなく、間隔が無い状態、つまり、それぞれの腕部3b,3cが同一平面上に形成されている状態においても、枢軸部3d,3eの間隔を広げて、フック本体2に装着することにより、外れ防止金具3としての機能が備えられる。ちなみに、本発明に係る各実施例においては、前者の方法で外れ防止金具を装着している。
【0014】
そして、図1から明らかなように、前記外れ防止金具3は、その当接部3aがフック部2cの内縁に当接された状態において、その外側にリンク4を仮保持できるように、従来よりも内方側で当接するように装着されている。つまり、フック部2cにリンク4を掛止する時、リンク4がフック部2cの先端より内方側の位置で掛止されることによって、フック部2cの内縁と外れ防止金具3がリンク4を一時的に保持できる状態となる。これにより、高所作業を行うような場所においても、確実にリンク4がフック部2cに仮保持されるため、片手のみでも容易かつ確実にリンク4を装着することができる。
【0015】
図4ないし図6は、それぞれ前記実施例の吊りチェーン用フック1の切欠部2fに、リンク4が掛止される状態を段階的に示す説明図である。図4は、リンク4がフック部2cの内縁と外れ防止金具3によって、フック1に仮保持されている状態を示している。そして、仮保持の状態からリンク4を装着するため、切欠部2f内方側への力を生じさせると、リンク4がフック部2cの内縁に沿って摺動するに伴い、外れ防止金具3は開放する方向に弾性変形する(図5)。さらに、力を加えることにより、フック部2cの内縁を摺動するリンク4が、外れ防止金具3の当接部3aを通過すると同時に、弾性変形された状態にある外れ防止金具3は、その復元力によって、再び、フック部2cの内縁に弾発的に当接する(図6)。このように、仮保持の状態からフック1に装着する時、切欠部2f内方側への力を生じさせることによって、保持しているフック部2cの内縁や外れ防止金具3を介して、フック本体2にも同じ方向の力が伝達されるため、フック1が回動することなく、リンク4を装着することができる。
【0016】
次に、図7および図8は、本発明に係る吊りチェーン用フックの他の実施例を示す正面図と、その吊りチェーン用フックにリンクが掛止される状態を示す正面図である。図示のフック11において、フック本体12は前記実施例と同様であるが、外れ防止金具13の腕部13a,13bがフック部12a側に屈曲することにより、それぞれ第一腕部14a,14bと第二腕部15a,15bに構成されている点で異なっている。この外れ防止金具13は、フック部12aと外れ防止金具13の第一腕部14a,14bとの間隔Lが最小な位置において、リンク16の軸径以上となるように設定されている。すなわち、従来のような外れ防止金具において、延出部12bの先端側の位置に軸着されると、腕部がフック部12aの内縁と略平行な位置関係となり、リンク16の掛合位置がフック部12a先端となることから、リンク16を仮保持することができない。しかし、外れ防止金具13として、本実施例のように屈曲部を設けることにより、この周辺部分が掛止部となり、延出部12bの先端側の位置に外れ防止金具13を軸着する場合でも、リンク16を仮保持可能にすることができ、確実にリンク16をフック11に装着することが可能となる。
【0017】
さらに、図9に示すように、前記外れ防止金具13を使用した場合には、外れ防止金具13が完全に開放された状態において、外れ防止金具13の腕部13a,13bとフック本体12がほぼ重なり合う位置関係となる。よって、開口部12cや切欠部12dにおいて、外れ防止金具13の腕部13a,13bが留まるような位置に存在しないことから、リンク16を速やかに抜脱することが、より容易にできる。また、フック本体12においても、外れ防止金具13の腕部13a,13bの形状に応じて、開口部12cや切欠部12dを広く形成することが可能となり、フック本体12の軽量化にもつながる。
【0018】
図10および図11は、本発明に係る吊りチェーン用フックのそれぞれ別の実施例を示す正面図である。図10において、外れ防止金具23が当接するフック部22bの内縁、若しくは、フック部22bに対向する基部22aの内縁において、少なくともどちらか一方の位置に、外れ防止金具23の当接部23aと係合する凹部22c,22dを設けたものである。また、図11に示す吊りチェーン用フック31では、フック本体32のフック部32bの内縁と基部32a側の内縁に凹部32c,32dが形成される点は前記実施例と同様であるが、外れ防止金具33は、前記図2,3に示すものが使用されている。さらに、図12は別の実施例の正面図である。ここでは、図10,11に示す実施例の凹部22c,32cに代えて、外れ防止金具43に掛合部43aを設けた点が異なる。これにより、外れ防止金具43は、フック本体42の厚さ方向の力に対して確実に掛合し、閉塞状態を良好に保持することができる。このように、フック部22b,32bの内縁に凹部22c,32c、若しくは、外れ防止金具43に掛合部43aを設けることにより、フック部22b,32b,42aに対して、外れ防止金具23,33,43が確実に掛合されるため、閉塞状態の保持力が強まり、リンク(図示せず)の外れ防止に効果がある。また、基部22a,32a側の内縁に凹部22d,32dを設けることで、外れ防止金具23,33の当接部23a,33aが、それら凹部22d,32d内に位置するため、リンク(図示せず)が外れ防止金具23,33の影響を受けることなく、速やかに抜脱することが可能となる。
【0019】
なお、上記各実施例では、外れ防止金具の軸着部側がフック本体の延出部に位置する形態について説明したが、もちろんこれに限定されるものではなく、外れ防止金具の取付位置やその形状などについて、この発明の技術思想内での種々の変更はもちろん可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明よる吊りチェーン用フックは、外れ防止金具がフック部内縁に当接状態において、その外側にリンクを仮保持可能となる掛止部が形成されるように設けることにより、片手のみでフック部に容易かつ確実にリンクを装着することが可能となる。さらに、外れ防止金具の腕部をフック部側に屈曲した形態にした場合は、延出部を有するフック本体において、その先端側にも外れ防止金具を有効に設けることできる。このため、リンクをフック部に着脱する作業性が大幅に改善され、安全性も向上するなど、本発明による効果はきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吊りチェーン用フックの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1に示す吊りチェーン用フックの外れ防止金具を示す左側面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】図1に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す説明図である。
【図5】図1に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す説明図である。
【図6】図1に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す説明図である。
【図7】本発明による吊りチェーン用フックの他の実施例を示す正面図である。
【図8】図7に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す正面図である。
【図9】図7に示す吊りチェーン用フックの外れ防止金具が開放された状態を示す正面図である。
【図10】本発明による吊りチェーン用フックの他の実施例を示す正面図である。
【図11】本発明による吊りチェーン用フックの他の実施例を示す正面図である。
【図12】本発明による吊りチェーン用フックの他の実施例を示す正面図である。
【図13】従来の吊りチェーン用フックの使用状態を示す正面図である。
【図14】異なる従来例の吊りチェーン用フックを示す正面図である。
【図15】図14に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す正面図である。
【図16】図14に示す吊りチェーン用フックにリンクが装着される状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41…フック、2,12,22,32,42…フック本体、2a,22a,32a…基部、2c,12a,22b,32b,42a…フック部、2d,12b…延設部、3,13,23,33,43…外れ防止金具、、3b,3c,13a,13b…腕部、14a,14b…第一腕部、15a,15b…第二腕部、4,16…リンク

Claims (1)

  1. 吊りチェーンのリンクを掛止するフック部の内縁に一端側が弾発的に当接してリンクの外れ止めを行う外れ防止金具を備えた吊りチェーン用フックにおいて、前記外れ防止金具は前記フック部内縁に当接状態で、その外側にリンクを仮保持可能に設けられていることを特徴とする吊りチェーン用フック
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