JP2004245077A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】吸気デポジットの付着が検出された気筒に対して、燃料噴射量を最小噴射量Qminに設定するとともに(S220)、バルブオーバーラップを拡大させることで(S230)、その気筒を実質的に休止させた状態で、吸気ポートに燃焼ガスを吹き戻させて付着した吸気デポジットを焼失させて除去させる。このとき、その気筒が実質休止されたことに併せ、内燃機関の回転バランスの確保に必要な他の気筒についても併せ休止させる(S240)。
【選択図】 図3
【解決手段】吸気デポジットの付着が検出された気筒に対して、燃料噴射量を最小噴射量Qminに設定するとともに(S220)、バルブオーバーラップを拡大させることで(S230)、その気筒を実質的に休止させた状態で、吸気ポートに燃焼ガスを吹き戻させて付着した吸気デポジットを焼失させて除去させる。このとき、その気筒が実質休止されたことに併せ、内燃機関の回転バランスの確保に必要な他の気筒についても併せ休止させる(S240)。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置、特に吸気デポジットを除去するための除去制御を実施する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に適用される装置として、排気再循環(EGR)装置やブローバイガス除去装置などのように内燃機関の排出ガスを吸気中に再循環させる装置が知られている。例えば排気再循環装置では、排気通路内の排気ガスの一部を吸気中に再循環させている。またブローバイガス除去装置では、燃焼室からクランクケース内に漏出した燃焼ガスや、オイル及びHCの蒸発成分などのブローバイガスを吸気中に導入して再燃焼させることで除去させている。
【0003】
こうした装置を備える内燃機関では、排出ガス中に含まれるデポジットが吸気ポートや吸気バルブなどに次第に付着してシリンダ内に導入される吸気の流れが妨げられて、燃焼状態の悪化等の不具合を招くおそれがある。そこで従来、機関運転中に燃料の噴射形態等を変更して吸気系に付着したデポジット、すなわち吸気デポジットの除去を行う装置が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関において、吸気バルブの閉時期を圧縮行程初期まで遅らせるとともに、吸気下死点近傍に燃料を噴射させることで、吸気デポジットの除去を行う装置が記載されている。すなわち、この除去装置では、そうした吸気バルブの閉時期、及び燃料の噴射時期の設定により、シリンダ内に噴射させた燃料の一部を吸気ポート内に逆流させ、その逆流された燃料により吸気デポジットを洗浄して除去させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−289097号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、吸気デポジット除去のために、通常とは異なる燃料噴射形態等で運転すれば、自ずと燃焼状態も変化してしまい、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の有する複数の気筒から選択された特定の気筒に対して、吸気デポジットを除去するための吸気デポジット除去制御を行う内燃機関の制御装置において、前記特定の気筒を休止させた状態で前記除去制御を行うことをその要旨とする。
【0009】
上記構成では、除去制御の対象となる特定の気筒を休止した状態で、吸気デポジットの除去制御が行われる。なお、ここでの特定の気筒の休止には、その気筒での燃焼を完全に停止させることに加え、その気筒が実質的にトルクを発生しない程度の微量の燃焼を燃焼させることも含んでいる。
【0010】
こうした上記構成では、除去制御が実施されるときには、その対象となる特定の気筒では、燃焼が行われない、或いは実質的にトルクを発生しない程度の極限られた燃焼しか行われないようになる。そのため、除去制御の実施が排気エミッションに与える影響は、極限られたものとなる。したがって上記構成によれば、除去制御の実施による排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記除去制御は、前記特定の気筒が実質的なトルクを発生しない程度に同特定の気筒の燃料噴射量を設定し、且つ同特定の気筒のバルブオーバーラップを、該除去制御を実施しないときに比して大きくすることで行われることをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、除去制御の対象となる特定の気筒では、実質的なトルクが発生されない程度の微量の燃料が燃焼されるとともに、バルブオーバーラップが拡大される。これにより、吸気系に燃焼ガスが吹き戻されるようになり、吸気系に付着したデポジットが焼失されるようになる。しかも、このときの燃焼される燃料が微量であるため、その気筒は実質的に休止された状態となる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、前記除去制御の実施時には、内燃機関の回転をバランスさせるために必要な気筒を併せ休止することをその要旨とする。
【0014】
除去制御の実施により、特定の気筒の発生トルクが実質ゼロとされたり、特定の気筒が休止されたりすると、内燃機関のトルクの発生間隔が不均等となり、トルク変動が著しく増大するおそれがある。その点、上記構成では、特定の気筒での除去制御の実施時に、内燃機関の回転をバランスさせるために必要な気筒も併せ休止されるため、過大なトルク変動を生じさせることなく、除去制御を実施することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1に、本実施形態に係る内燃機関の制御装置の全体構造を示す。
なお、本実施形態の適用される内燃機関10は、直列6気筒の内燃機関として構成されている。またこの内燃機関10には、各気筒にそれぞれ取り付けられたインジェクタ11によって各気筒内に燃料が直接噴射される、いわゆる筒内噴射式の内燃機関とされている。更にこの内燃機関10には、各気筒にそれぞれ配設された点火プラグ12によって燃料を着火する、いわゆる火花着火式の内燃機関となっている。
【0017】
さて、本実施形態の内燃機関の制御装置は、同図1に示す電子制御装置20を中心に構成されている。電子制御装置20は、マイクロコンピュータやメモリ等を備える機関制御用の電子回路として構成されている。
【0018】
電子制御装置20には、機関運転状況を検出する各種センサが接続されており、それらセンサの検出信号が入力されている。例えば同図に示すクランク角センサ21は、クランクシャフトの回転角を検出し、電子制御装置20に出力する。なお電子制御装置20は、クランク角センサ21の検出結果から機関回転速度を求めている。またカム角センサ22は、内燃機関10の吸気側カムシャフトの回転角を検出し、電子制御装置20に出力する。これ以外にも、例えばアクセル操作量を検出するアクセルセンサ、吸入空気量を検出するエアフローメータ等、機関制御に必要な情報を検出する様々なセンサの検出信号が電子制御装置20に入力されている。
【0019】
電子制御装置20は、入力されたセンサの検出信号に基づき把握される機関運転状況に応じて、インジェクタ11、点火プラグ12などを制御する。これにより、各気筒の燃料の噴射量や噴射時期の制御、点火時期の制御などの機関制御が行われている。
【0020】
なお、この内燃機関10には、吸気弁のバルブタイミングを可変とする可変動弁機構13が設けられている。ここでは可変動弁機構13として、クランクシャフトに対する吸気側カムシャフトの相対回転角を変更することで、吸気弁のバルブタイミングを可変とする機構が採用されている。
【0021】
吸気弁のバルブタイミング制御は、次のように行われる。まず電子制御装置20は、機関運転状況に応じて吸気弁の目標バルブタイミングを算出する。そして、クランク角センサ21及びカム角センサ22の検出結果に基づき把握される吸気弁の実際のバルブタイミングがその目標バルブタイミングとなるように、可変動弁機構13を制御する。これにより、吸気弁のバルブタイミングが、機関運転状況に応じて適切なタイミングに制御されている。なお、吸気弁のバルブタイミングを早める(進角させる)ことで、図2に示すように吸排気弁のバルブオーバーラップは拡大されるようになる。
【0022】
本実施形態では、電子制御装置20は機関運転中に、吸気デポジットの付着した気筒を検出するとともに、その付着の検出された気筒を対象として吸気デポジットを除去させる「吸気デポジットの検出・除去制御」を行っている。
【0023】
この検出・除去制御では、付着した吸気デポジットの除去を、次の(a)、(b)を実施することで行っている。
(a)吸気デポジットの付着が検出された気筒の燃料噴射量を、最小噴射量Qminに設定する。最小噴射量Qminは、他の気筒に比して該当気筒の発生トルクが実質的にゼロであると見なせるだけの十分に小さい燃料噴射量とされている。よって、その気筒では、ほとんどトルクが発生されず、実質的に気筒休止された状態となる。
(b)吸気弁の目標バルブタイミングを最進角位置に設定することで、バルブオーバラップを拡大する。
【0024】
バルブオーバーラップ中は、吸気通路と排気通路との差圧により、排気側から吸気側へのガス流が発生する。そのため、上記(b)の実施により、各気筒の燃焼ガスが吸気ポートに吹き戻されるようになる。このとき、除去制御の対象となる気筒においても、少量の燃料が噴射されているため、吸気系に燃焼ガスが吹き戻され、吸気弁や吸気ポートに付着した吸気デポジットに吹き付けられる。そして吹き付けられた高温の燃焼ガスにより、吸気デポジットが焼失されて除去される。
【0025】
更に上記(a)の実施により、除去制御の対象となった気筒では、実質的にトルクが発生しない程度の微量の燃料しか噴射されず、燃焼ガスも吸気デポジットの除去に必要な最小限しか発生されないようになる。そのため、本実施形態では、除去制御の実施に伴う排気エミッションの悪化は、極限られたものとなる。
【0026】
ちなみに、このときの除去制御の対象となった気筒で発生する燃焼ガス中にもデポジット成分は含まれてはいるが、噴射される燃料は極微量であって十分な酸素が存在した状態で燃焼が行われるため、ほとんどが完全燃焼されてしまい、その量はごくわずかである。そのため、たとえその燃焼ガス中のデポジット成分が吸気デポジットとして新たに付着することがあったとしても、焼失により除去される吸気デポジットに比して極少量であり、それに起因する除去効果の低下は問題となることはない。
【0027】
一方、上記(a)の実施により、除去制御の対象となる気筒が実質的に休止された状態となると、内燃機関10のトルク発生間隔が不均等となり、トルク変動の増大を招くおそれがある。そこで本実施形態では、除去制御中、更に次の(c)を実施して過大なトルク変動の発生を回避するようにしている。
(c)除去制御の対象気筒の実質的な気筒休止に対して、内燃機関10の回転をバランスさせるために必要な気筒を休止させる。
【0028】
本実施形態の適用される直列6気筒の内燃機関10では、通常の着火順序において、除去制御の対象となる気筒から1つおきに気筒を休止させている。例えば、着火順序が1番目の気筒を対象に除去制御を行うときには、着火順序において3番目の気筒と5番目の気筒とが休止される。なお、これら除去制御の対象となる気筒以外の気筒の休止は、燃料噴射を完全に停止することで行われる。これにより、内燃機関10のトルク発生間隔が均等化され、除去制御の実施に伴うトルク変動の増大が抑えられる。
【0029】
なお、吸気デポジットの付着の検出された気筒に対して上記の除去処理を実施する本実施形態では、吸気デポジットの付着の検出された気筒が上記「特定の気筒」に相当する。
【0030】
図3のフローチャートに、本実施形態において、機関運転中に実施される「吸気デポジットの検出・除去制御」に係る電子制御装置20の処理の流れを示す。以下、同図3に基づいて「吸気デポジットの検出・除去制御」の詳細を説明する。
【0031】
機関始動後、本制御の処理が開始されると、まずステップ200において、吸気デポジットの付着した気筒の検出が行われる。本実施形態では、以下に述べるように、クランク角センサ21の検出結果から把握される機関回転速度の変動から、その検出を行っている。
【0032】
吸気デポジットが吸気弁や吸気ポートに付着した気筒では、その付着により吸気の流通経路が狭くなり、気筒内に導入される吸気量が減少する。その結果、発生トルクが小さくなることから、吸気デポジットの付着した気筒では、その爆発後の機関回転速度の上昇度合いが、他の気筒に比して小さくなる。そこで本実施形態では、機関回転速度の推移に基づいて、爆発後の機関回転速度の上昇度合いが他の気筒に比して小さい気筒が有るか否かを監視することで、吸気デポジットの付着の有無、及びその付着の生じた気筒の特定を行うようにしている。ここで吸気デポジットの付着した気筒が検出されない限り(S210:NO)、その検出が継続して行われる。
【0033】
一方、吸気デポジットの付着した気筒が検出されると(S210:YES)、その検出された気筒を対象として上述したような吸気デポジットの除去制御が実施される(S220〜S250)。すなわち、吸気デポジットの付着の検出された気筒における燃料の噴射量が、最小噴射量Qminに設定されるとともに(S220)、吸気弁の目標バルブタイミングが最進角位置に設定されて、バルブオーバーラップが拡大される(S230)。更に除去制御の対象気筒の実質的な気筒休止に対して、内燃機関10の回転をバランスさせるために必要な気筒が休止される(S240)。
【0034】
ここでは、除去制御は、予め設定された回数Nの機関サイクルが経過するまで継続される。この回数Nは、通常の付着量であれば、十分に吸気デポジットを除去できる期間、上記除去制御が実施されるように設定されている。
【0035】
そして除去制御開始からN回の機関サイクルが経過すると(S250:YES)、上記設定された燃料噴射量、目標バルブタイミングを通常の値とするとともに、休止した気筒の燃焼を再開して、通常の制御に復帰させる(S260)。その後、吸気デポジットの付着された気筒の検出が開始され、付着した吸気デポジットが除去され切れていないのであれば、再び除去制御が実施される。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)吸気デポジットの除去制御を、その対象となる気筒を実質的に休止させた状態で行っており、その気筒での燃焼を必要最小限としているため、除去制御の実施による排気エミッションの悪化を抑えることができる。
【0037】
(2)吸気デポジットの除去制御を、その対象となる気筒での燃料噴射量を、発生トルクが実質ゼロとなる程度の最小噴射量Qminとするとともに、吸気弁の目標バルブタイミングを最進角位置としてバルブオーバーラップを拡大することで行っている。そしてこれにより、上記対象気筒の吸気ポートに燃焼ガスを吹き返させて、付着した吸気デポジットを焼失させて除去させている。よって、対象となる気筒を実質的に休止させた状態で、好適に吸気デポジットを除去することができる。
【0038】
(3)吸気デポジットの除去制御の実施時に、その対象となる気筒を実質的に休止させるとともに、内燃機関10の回転のバランスを確保するために必要な気筒を併せ休止させている。そのため、トルク変動の増大を抑えつつ、除去制御を実施することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は次のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、機関回転速度の変動に基づき、吸気デポジットの付着した気筒を検出しているが、その検出を他の方法で行うようにしても良い。
【0040】
・図3のステップ250では、除去制御の実施期間を機関サイクル数によって定めるようにしているが、その実施期間を時間などの他のパラメータによって設定しても良い。また除去制御の実施中に吸気デポジットが除去されたか否かを、或いは除去の程度を検出できるのであれば、その検出結果によって除去制御終了の可否を判断するようにしても良い。
【0041】
・上記実施形態では、発生トルクが実質ゼロとなる程度の少量の燃料噴射、及びバルブオーバーラップの拡大により、対象気筒を実質的に休止させた状態で、吸気デポジットを除去させている。実質的或いは完全に気筒休止させた状態で除去が可能であれば、他の方法で吸気デポジットを除去するようにしても良い。例えば除去制御の対象となる気筒に対して次の(d)〜(f)を実施することで、気筒を休止した状態で吸気デポジットを除去することができる。
(d)吸気弁の閉時期を遅らせて、圧縮行程前期に吸気弁を開いた状態とする。(e)吸気下死点近傍で燃料を噴射する。
(f)燃料の点火を停止する。
【0042】
このようにすれば、圧縮行程でのピストンの押し上げにより、気筒内に噴射した燃料が吸気ポート内に吹き戻されるようになる。そしてその吹き戻された燃料により、付着した吸気デポジットが洗浄されて除去される。しかも、点火は停止されているため、その気筒は休止した状態となる。このようにした場合にも、排気エミッションを悪化させずに除去制御を行うことができる。またこれと併せて上記(c)を実施すれば、除去制御に伴うトルク変動の増大も抑えることができる。
【0043】
・上記(c)のバランス確保のため休止させる気筒の設定態様は、適用される内燃機関の気筒数、気筒配列などに応じて適宜変更することができる。例えば気筒が第1及び第2の2つのバンクに分割されて配列されたV型気筒配列の内燃機関では一般に、第1バンクの気筒と第2バンクの気筒とで交互に燃焼が行われるように通常の着火順序が設定されている。そうしたV型気筒配列の内燃機関で上記(c)を実施する場合には、除去制御の対象となる気筒の属するバンクの他の気筒をすべて休止させるようにすることで、内燃機関のトルク発生間隔を均等化でき、トルク変動の増大を好適に回避することができる。
【0044】
・吸気デポジットの除去に伴うトルク変動の増大が無視できる場合、或いはその増大を許容する場合には、上記(c)を実施せずに除去制御を行うようにしても良い。その場合にも、除去制御に伴う排気エミッションの悪化を抑制することはできる。
【0045】
・本発明は、気筒数、気筒配列、噴射方式、着火方式等の構成が上記実施形態とは異なる内燃機関にも、同様或いはそれに準じた態様で適用することができる。
【0046】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想をその作用効果と共に以下に列記する。
(イ)内燃機関の有する複数の気筒から選択された特定の気筒に対して、吸気デポジットを除去するための除去制御を行う内燃機関の制御装置において、前記特定の気筒が実質的にトルクを発生しない状態で前記除去制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。同構成では、除去制御の対象となる特定の気筒での発生トルクを実質的にゼロとした状態で、吸気デポジットの除去制御が行われる。すなわち、除去制御の実施時には、その対象となる特定の気筒では、燃焼が全く行われない、若しくは実質的にトルクを発生しない程度の極めて限られた燃焼しか行われないようになる。そのため、除去制御の実施が排気エミッションに与える影響を抑えることができる。したがって、排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することができる。
【0047】
(ロ)当該内燃機関は、気筒内に燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関である請求項1〜3、上記(イ)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。ポート噴射式の内燃機関では、吸気ポートを燃料と空気との混合気が通過するため、通常の制御下でもその通過する燃料によって付着した吸気デポジットが洗浄されて除去されるが、そうした洗浄を期待できない直噴式内燃機関では、格別な除去制御を実施しなければならないことが多い。そのため、排気エミッションの悪化等の除去制御の実施に伴う不具合を抑制し得る上記各構成の適用により、より大きい効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態についてその全体構造を示す模式図。
【図2】同実施形態でのバルブタイミングの制御例を示すグラフ。
【図3】同実施形態の吸気デポジットの検出・除去制御のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…インジェクタ、12…点火プラグ、13…可変動弁機構、20…電子制御装置、21…クランク角センサ、22…カム角センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置、特に吸気デポジットを除去するための除去制御を実施する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に適用される装置として、排気再循環(EGR)装置やブローバイガス除去装置などのように内燃機関の排出ガスを吸気中に再循環させる装置が知られている。例えば排気再循環装置では、排気通路内の排気ガスの一部を吸気中に再循環させている。またブローバイガス除去装置では、燃焼室からクランクケース内に漏出した燃焼ガスや、オイル及びHCの蒸発成分などのブローバイガスを吸気中に導入して再燃焼させることで除去させている。
【0003】
こうした装置を備える内燃機関では、排出ガス中に含まれるデポジットが吸気ポートや吸気バルブなどに次第に付着してシリンダ内に導入される吸気の流れが妨げられて、燃焼状態の悪化等の不具合を招くおそれがある。そこで従来、機関運転中に燃料の噴射形態等を変更して吸気系に付着したデポジット、すなわち吸気デポジットの除去を行う装置が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関において、吸気バルブの閉時期を圧縮行程初期まで遅らせるとともに、吸気下死点近傍に燃料を噴射させることで、吸気デポジットの除去を行う装置が記載されている。すなわち、この除去装置では、そうした吸気バルブの閉時期、及び燃料の噴射時期の設定により、シリンダ内に噴射させた燃料の一部を吸気ポート内に逆流させ、その逆流された燃料により吸気デポジットを洗浄して除去させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−289097号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、吸気デポジット除去のために、通常とは異なる燃料噴射形態等で運転すれば、自ずと燃焼状態も変化してしまい、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の有する複数の気筒から選択された特定の気筒に対して、吸気デポジットを除去するための吸気デポジット除去制御を行う内燃機関の制御装置において、前記特定の気筒を休止させた状態で前記除去制御を行うことをその要旨とする。
【0009】
上記構成では、除去制御の対象となる特定の気筒を休止した状態で、吸気デポジットの除去制御が行われる。なお、ここでの特定の気筒の休止には、その気筒での燃焼を完全に停止させることに加え、その気筒が実質的にトルクを発生しない程度の微量の燃焼を燃焼させることも含んでいる。
【0010】
こうした上記構成では、除去制御が実施されるときには、その対象となる特定の気筒では、燃焼が行われない、或いは実質的にトルクを発生しない程度の極限られた燃焼しか行われないようになる。そのため、除去制御の実施が排気エミッションに与える影響は、極限られたものとなる。したがって上記構成によれば、除去制御の実施による排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記除去制御は、前記特定の気筒が実質的なトルクを発生しない程度に同特定の気筒の燃料噴射量を設定し、且つ同特定の気筒のバルブオーバーラップを、該除去制御を実施しないときに比して大きくすることで行われることをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、除去制御の対象となる特定の気筒では、実質的なトルクが発生されない程度の微量の燃料が燃焼されるとともに、バルブオーバーラップが拡大される。これにより、吸気系に燃焼ガスが吹き戻されるようになり、吸気系に付着したデポジットが焼失されるようになる。しかも、このときの燃焼される燃料が微量であるため、その気筒は実質的に休止された状態となる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、前記除去制御の実施時には、内燃機関の回転をバランスさせるために必要な気筒を併せ休止することをその要旨とする。
【0014】
除去制御の実施により、特定の気筒の発生トルクが実質ゼロとされたり、特定の気筒が休止されたりすると、内燃機関のトルクの発生間隔が不均等となり、トルク変動が著しく増大するおそれがある。その点、上記構成では、特定の気筒での除去制御の実施時に、内燃機関の回転をバランスさせるために必要な気筒も併せ休止されるため、過大なトルク変動を生じさせることなく、除去制御を実施することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1に、本実施形態に係る内燃機関の制御装置の全体構造を示す。
なお、本実施形態の適用される内燃機関10は、直列6気筒の内燃機関として構成されている。またこの内燃機関10には、各気筒にそれぞれ取り付けられたインジェクタ11によって各気筒内に燃料が直接噴射される、いわゆる筒内噴射式の内燃機関とされている。更にこの内燃機関10には、各気筒にそれぞれ配設された点火プラグ12によって燃料を着火する、いわゆる火花着火式の内燃機関となっている。
【0017】
さて、本実施形態の内燃機関の制御装置は、同図1に示す電子制御装置20を中心に構成されている。電子制御装置20は、マイクロコンピュータやメモリ等を備える機関制御用の電子回路として構成されている。
【0018】
電子制御装置20には、機関運転状況を検出する各種センサが接続されており、それらセンサの検出信号が入力されている。例えば同図に示すクランク角センサ21は、クランクシャフトの回転角を検出し、電子制御装置20に出力する。なお電子制御装置20は、クランク角センサ21の検出結果から機関回転速度を求めている。またカム角センサ22は、内燃機関10の吸気側カムシャフトの回転角を検出し、電子制御装置20に出力する。これ以外にも、例えばアクセル操作量を検出するアクセルセンサ、吸入空気量を検出するエアフローメータ等、機関制御に必要な情報を検出する様々なセンサの検出信号が電子制御装置20に入力されている。
【0019】
電子制御装置20は、入力されたセンサの検出信号に基づき把握される機関運転状況に応じて、インジェクタ11、点火プラグ12などを制御する。これにより、各気筒の燃料の噴射量や噴射時期の制御、点火時期の制御などの機関制御が行われている。
【0020】
なお、この内燃機関10には、吸気弁のバルブタイミングを可変とする可変動弁機構13が設けられている。ここでは可変動弁機構13として、クランクシャフトに対する吸気側カムシャフトの相対回転角を変更することで、吸気弁のバルブタイミングを可変とする機構が採用されている。
【0021】
吸気弁のバルブタイミング制御は、次のように行われる。まず電子制御装置20は、機関運転状況に応じて吸気弁の目標バルブタイミングを算出する。そして、クランク角センサ21及びカム角センサ22の検出結果に基づき把握される吸気弁の実際のバルブタイミングがその目標バルブタイミングとなるように、可変動弁機構13を制御する。これにより、吸気弁のバルブタイミングが、機関運転状況に応じて適切なタイミングに制御されている。なお、吸気弁のバルブタイミングを早める(進角させる)ことで、図2に示すように吸排気弁のバルブオーバーラップは拡大されるようになる。
【0022】
本実施形態では、電子制御装置20は機関運転中に、吸気デポジットの付着した気筒を検出するとともに、その付着の検出された気筒を対象として吸気デポジットを除去させる「吸気デポジットの検出・除去制御」を行っている。
【0023】
この検出・除去制御では、付着した吸気デポジットの除去を、次の(a)、(b)を実施することで行っている。
(a)吸気デポジットの付着が検出された気筒の燃料噴射量を、最小噴射量Qminに設定する。最小噴射量Qminは、他の気筒に比して該当気筒の発生トルクが実質的にゼロであると見なせるだけの十分に小さい燃料噴射量とされている。よって、その気筒では、ほとんどトルクが発生されず、実質的に気筒休止された状態となる。
(b)吸気弁の目標バルブタイミングを最進角位置に設定することで、バルブオーバラップを拡大する。
【0024】
バルブオーバーラップ中は、吸気通路と排気通路との差圧により、排気側から吸気側へのガス流が発生する。そのため、上記(b)の実施により、各気筒の燃焼ガスが吸気ポートに吹き戻されるようになる。このとき、除去制御の対象となる気筒においても、少量の燃料が噴射されているため、吸気系に燃焼ガスが吹き戻され、吸気弁や吸気ポートに付着した吸気デポジットに吹き付けられる。そして吹き付けられた高温の燃焼ガスにより、吸気デポジットが焼失されて除去される。
【0025】
更に上記(a)の実施により、除去制御の対象となった気筒では、実質的にトルクが発生しない程度の微量の燃料しか噴射されず、燃焼ガスも吸気デポジットの除去に必要な最小限しか発生されないようになる。そのため、本実施形態では、除去制御の実施に伴う排気エミッションの悪化は、極限られたものとなる。
【0026】
ちなみに、このときの除去制御の対象となった気筒で発生する燃焼ガス中にもデポジット成分は含まれてはいるが、噴射される燃料は極微量であって十分な酸素が存在した状態で燃焼が行われるため、ほとんどが完全燃焼されてしまい、その量はごくわずかである。そのため、たとえその燃焼ガス中のデポジット成分が吸気デポジットとして新たに付着することがあったとしても、焼失により除去される吸気デポジットに比して極少量であり、それに起因する除去効果の低下は問題となることはない。
【0027】
一方、上記(a)の実施により、除去制御の対象となる気筒が実質的に休止された状態となると、内燃機関10のトルク発生間隔が不均等となり、トルク変動の増大を招くおそれがある。そこで本実施形態では、除去制御中、更に次の(c)を実施して過大なトルク変動の発生を回避するようにしている。
(c)除去制御の対象気筒の実質的な気筒休止に対して、内燃機関10の回転をバランスさせるために必要な気筒を休止させる。
【0028】
本実施形態の適用される直列6気筒の内燃機関10では、通常の着火順序において、除去制御の対象となる気筒から1つおきに気筒を休止させている。例えば、着火順序が1番目の気筒を対象に除去制御を行うときには、着火順序において3番目の気筒と5番目の気筒とが休止される。なお、これら除去制御の対象となる気筒以外の気筒の休止は、燃料噴射を完全に停止することで行われる。これにより、内燃機関10のトルク発生間隔が均等化され、除去制御の実施に伴うトルク変動の増大が抑えられる。
【0029】
なお、吸気デポジットの付着の検出された気筒に対して上記の除去処理を実施する本実施形態では、吸気デポジットの付着の検出された気筒が上記「特定の気筒」に相当する。
【0030】
図3のフローチャートに、本実施形態において、機関運転中に実施される「吸気デポジットの検出・除去制御」に係る電子制御装置20の処理の流れを示す。以下、同図3に基づいて「吸気デポジットの検出・除去制御」の詳細を説明する。
【0031】
機関始動後、本制御の処理が開始されると、まずステップ200において、吸気デポジットの付着した気筒の検出が行われる。本実施形態では、以下に述べるように、クランク角センサ21の検出結果から把握される機関回転速度の変動から、その検出を行っている。
【0032】
吸気デポジットが吸気弁や吸気ポートに付着した気筒では、その付着により吸気の流通経路が狭くなり、気筒内に導入される吸気量が減少する。その結果、発生トルクが小さくなることから、吸気デポジットの付着した気筒では、その爆発後の機関回転速度の上昇度合いが、他の気筒に比して小さくなる。そこで本実施形態では、機関回転速度の推移に基づいて、爆発後の機関回転速度の上昇度合いが他の気筒に比して小さい気筒が有るか否かを監視することで、吸気デポジットの付着の有無、及びその付着の生じた気筒の特定を行うようにしている。ここで吸気デポジットの付着した気筒が検出されない限り(S210:NO)、その検出が継続して行われる。
【0033】
一方、吸気デポジットの付着した気筒が検出されると(S210:YES)、その検出された気筒を対象として上述したような吸気デポジットの除去制御が実施される(S220〜S250)。すなわち、吸気デポジットの付着の検出された気筒における燃料の噴射量が、最小噴射量Qminに設定されるとともに(S220)、吸気弁の目標バルブタイミングが最進角位置に設定されて、バルブオーバーラップが拡大される(S230)。更に除去制御の対象気筒の実質的な気筒休止に対して、内燃機関10の回転をバランスさせるために必要な気筒が休止される(S240)。
【0034】
ここでは、除去制御は、予め設定された回数Nの機関サイクルが経過するまで継続される。この回数Nは、通常の付着量であれば、十分に吸気デポジットを除去できる期間、上記除去制御が実施されるように設定されている。
【0035】
そして除去制御開始からN回の機関サイクルが経過すると(S250:YES)、上記設定された燃料噴射量、目標バルブタイミングを通常の値とするとともに、休止した気筒の燃焼を再開して、通常の制御に復帰させる(S260)。その後、吸気デポジットの付着された気筒の検出が開始され、付着した吸気デポジットが除去され切れていないのであれば、再び除去制御が実施される。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)吸気デポジットの除去制御を、その対象となる気筒を実質的に休止させた状態で行っており、その気筒での燃焼を必要最小限としているため、除去制御の実施による排気エミッションの悪化を抑えることができる。
【0037】
(2)吸気デポジットの除去制御を、その対象となる気筒での燃料噴射量を、発生トルクが実質ゼロとなる程度の最小噴射量Qminとするとともに、吸気弁の目標バルブタイミングを最進角位置としてバルブオーバーラップを拡大することで行っている。そしてこれにより、上記対象気筒の吸気ポートに燃焼ガスを吹き返させて、付着した吸気デポジットを焼失させて除去させている。よって、対象となる気筒を実質的に休止させた状態で、好適に吸気デポジットを除去することができる。
【0038】
(3)吸気デポジットの除去制御の実施時に、その対象となる気筒を実質的に休止させるとともに、内燃機関10の回転のバランスを確保するために必要な気筒を併せ休止させている。そのため、トルク変動の増大を抑えつつ、除去制御を実施することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は次のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、機関回転速度の変動に基づき、吸気デポジットの付着した気筒を検出しているが、その検出を他の方法で行うようにしても良い。
【0040】
・図3のステップ250では、除去制御の実施期間を機関サイクル数によって定めるようにしているが、その実施期間を時間などの他のパラメータによって設定しても良い。また除去制御の実施中に吸気デポジットが除去されたか否かを、或いは除去の程度を検出できるのであれば、その検出結果によって除去制御終了の可否を判断するようにしても良い。
【0041】
・上記実施形態では、発生トルクが実質ゼロとなる程度の少量の燃料噴射、及びバルブオーバーラップの拡大により、対象気筒を実質的に休止させた状態で、吸気デポジットを除去させている。実質的或いは完全に気筒休止させた状態で除去が可能であれば、他の方法で吸気デポジットを除去するようにしても良い。例えば除去制御の対象となる気筒に対して次の(d)〜(f)を実施することで、気筒を休止した状態で吸気デポジットを除去することができる。
(d)吸気弁の閉時期を遅らせて、圧縮行程前期に吸気弁を開いた状態とする。(e)吸気下死点近傍で燃料を噴射する。
(f)燃料の点火を停止する。
【0042】
このようにすれば、圧縮行程でのピストンの押し上げにより、気筒内に噴射した燃料が吸気ポート内に吹き戻されるようになる。そしてその吹き戻された燃料により、付着した吸気デポジットが洗浄されて除去される。しかも、点火は停止されているため、その気筒は休止した状態となる。このようにした場合にも、排気エミッションを悪化させずに除去制御を行うことができる。またこれと併せて上記(c)を実施すれば、除去制御に伴うトルク変動の増大も抑えることができる。
【0043】
・上記(c)のバランス確保のため休止させる気筒の設定態様は、適用される内燃機関の気筒数、気筒配列などに応じて適宜変更することができる。例えば気筒が第1及び第2の2つのバンクに分割されて配列されたV型気筒配列の内燃機関では一般に、第1バンクの気筒と第2バンクの気筒とで交互に燃焼が行われるように通常の着火順序が設定されている。そうしたV型気筒配列の内燃機関で上記(c)を実施する場合には、除去制御の対象となる気筒の属するバンクの他の気筒をすべて休止させるようにすることで、内燃機関のトルク発生間隔を均等化でき、トルク変動の増大を好適に回避することができる。
【0044】
・吸気デポジットの除去に伴うトルク変動の増大が無視できる場合、或いはその増大を許容する場合には、上記(c)を実施せずに除去制御を行うようにしても良い。その場合にも、除去制御に伴う排気エミッションの悪化を抑制することはできる。
【0045】
・本発明は、気筒数、気筒配列、噴射方式、着火方式等の構成が上記実施形態とは異なる内燃機関にも、同様或いはそれに準じた態様で適用することができる。
【0046】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想をその作用効果と共に以下に列記する。
(イ)内燃機関の有する複数の気筒から選択された特定の気筒に対して、吸気デポジットを除去するための除去制御を行う内燃機関の制御装置において、前記特定の気筒が実質的にトルクを発生しない状態で前記除去制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。同構成では、除去制御の対象となる特定の気筒での発生トルクを実質的にゼロとした状態で、吸気デポジットの除去制御が行われる。すなわち、除去制御の実施時には、その対象となる特定の気筒では、燃焼が全く行われない、若しくは実質的にトルクを発生しない程度の極めて限られた燃焼しか行われないようになる。そのため、除去制御の実施が排気エミッションに与える影響を抑えることができる。したがって、排気エミッションの悪化を抑えながら、吸気デポジットを除去することができる。
【0047】
(ロ)当該内燃機関は、気筒内に燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関である請求項1〜3、上記(イ)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。ポート噴射式の内燃機関では、吸気ポートを燃料と空気との混合気が通過するため、通常の制御下でもその通過する燃料によって付着した吸気デポジットが洗浄されて除去されるが、そうした洗浄を期待できない直噴式内燃機関では、格別な除去制御を実施しなければならないことが多い。そのため、排気エミッションの悪化等の除去制御の実施に伴う不具合を抑制し得る上記各構成の適用により、より大きい効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態についてその全体構造を示す模式図。
【図2】同実施形態でのバルブタイミングの制御例を示すグラフ。
【図3】同実施形態の吸気デポジットの検出・除去制御のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…インジェクタ、12…点火プラグ、13…可変動弁機構、20…電子制御装置、21…クランク角センサ、22…カム角センサ。
Claims (3)
- 内燃機関の有する複数の気筒から選択された特定の気筒に対して、吸気デポジットを除去するための吸気デポジット除去制御を行う内燃機関の制御装置において、
前記特定の気筒を休止させた状態で前記除去制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記除去制御は、前記特定の気筒が実質的なトルクを発生しない程度に同特定の気筒の燃料噴射量を設定し、且つ同特定の気筒のバルブオーバーラップを、該除去制御を実施しないときに比して大きくすることで行われる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記除去制御の実施時には、内燃機関の回転をバランスさせるために必要な気筒を併せ休止する請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
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2003
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