JP4396178B2 - 内燃機関のノッキング抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼室に燃料を噴射供給する対筒内噴射弁と、燃焼室に空気を供給する吸気系に燃料を噴射供給する対吸気系噴射弁とを備える内燃機関に生じるノッキングを抑制するノッキング抑制装置に関する。
例えば下記特許文献1に見られるように、燃焼室に燃料を噴射供給する対筒内噴射弁と、吸気ポートに燃料を噴射供給する対吸気系噴射弁とを備える内燃機関の制御装置が知られている。この制御装置では、対筒内噴射弁を用いる際には、圧縮行程の後半に燃料を噴射することで燃焼室の点火プラグ周りにのみ可燃混合気を偏在させて成層燃焼を行い、また、対吸気系噴射弁を用いる際には、吸気ポートに燃料を噴射することで燃焼室内に略均質に燃料を分散させて均質燃焼を行う。
更に、この制御装置では、上記成層燃焼が所定時間継続する毎に、成層燃焼から均質燃焼に切り替えて所定時間均質燃焼を行っている。そしてこれにより、対筒内噴射弁や点火プラグへのカーボンの付着を抑制するようにしている。すなわち、成層燃焼が所定時間継続するときには、対筒内噴射弁や点火プラグにカーボンが付着する傾向にあるため、成層燃焼が所定時間継続する毎に均質燃焼を行うことで上記カーボンを焼失除去する。
特開昭63−138120号公報
ところで、上述のように燃焼室に燃料を供給する燃料噴射弁を、対筒内噴射弁から対吸気系噴射弁に切り替えると、内燃機関にノッキングが生じやすくなることが発明者らによって確認されている。これは、対筒内噴射弁を用いる際には、燃焼室に噴射された燃料が気化する際に燃焼室内の空気の熱が奪われるのに対し、対吸気系噴射弁を用いる際には、吸気ポートに噴射された燃料が上記空気の熱をほとんど奪わないことによると考えられる。すなわち、対筒内噴射弁を用いた場合よりも対吸気系噴射弁を用いた場合の方が燃焼室内の混合気の温度が高くなるため、ノッキングが生じやすくなると考えられる。
なお、上記態様の制御に限らず、対吸気系噴射弁により燃焼室に供給される燃料量に対する対筒内噴射弁により燃焼室に供給される燃料量の比率を低下させる制御をする際には、ノッキングが生じやすくなるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼室に燃料を噴射供給する対筒内噴射弁と、燃焼室に空気を供給する吸気系に燃料を噴射供給する対吸気系噴射弁とを備える内燃機関に生じるノッキングを好適に抑制するノッキング抑制装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は燃焼室に燃料を噴射供給する対筒内噴射弁と、前記燃焼室に空気を供給する吸気系に燃料を噴射供給する対吸気系噴射弁とを備えた多気筒内燃機関に生じるノッキングを抑制するノッキング抑制装置であって、前記対吸気系噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量に対する前記対筒内噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量の比率を低下させる制御時に、ノッキングを抑制する制御を行う抑制手段を備え、前記対筒内噴射弁のみを用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域及び前記対吸気系噴射弁のみを用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域のそれぞれについて実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを補償する空燃比学習値を求めた後に、前記比率を低下させる制御として、当該機関の運転状態が少なくとも前記対筒内噴射弁を用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域に対応する運転状態にあるときに、所望の気筒の燃焼室に前記対筒内噴射弁により供給する燃料の少なくとも一部を前記対吸気系噴射弁によって供給するように切り替える制御を行い、前記切り替える制御の実行により、前記所望の気筒の燃焼室に前記対筒内噴射弁により供給される燃料の少なくとも一部が前記対吸気系噴射弁によって供給されているとき、実際の空燃比を目標とする空燃比にフィードバック制御するとともに、このときの前記実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを検出し、該検出結果と前記求めた空燃比学習値とに基づいて前記所望の気筒の前記対筒内噴射弁の燃料噴射特性としての空燃比学習値を前記求めた空燃比学習値とは別に算出し、この燃料噴射特性としての空燃比学習値を同所望の気筒の対筒内噴射弁の燃料噴射制御に用いることをその要旨とする。
上述したように、前記対吸気系噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量に対する前記対筒内噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量の比率を低下させる制御をする際には、ノッキングが生じやすくなる。この点、上記構成では、こうした制御時にノッキングを抑制する制御を行うために、上記比率を低下させる制御に伴うノッキングの発生を好適に抑制することができるようになる。
燃焼室に供給される燃料量は、通常、燃焼室から排出される排気ガスが排気系に備えられる触媒によって十分に浄化されるものとなるように制御されている。このため、少なくとも対筒内噴射弁を用いて燃焼室に供給していた燃料を全てカットしてしまった場合には、上記排気ガスの特性が悪化し触媒によって十分に浄化されないものとなるおそれがある。
この点、上記比率を低下させる制御が、対筒内噴射弁を用いて燃焼室に供給される燃料量の少なくとも一部を対吸気系噴射弁を用いて燃焼室に供給するように切り替える制御であるなら、比率を低下させる制御の前後で排気ガスの特性を略同一とすることができるようになる。
上記対筒内噴射弁は、その噴孔部にカーボン等の燃焼生成物が付着されやすい環境下におかれるため、噴霧形状の変化や燃料噴射量の減少等を招く等、燃料噴射性能が低下しやすいものとなっている。したがって、この対筒内噴射弁を用いて燃焼室に燃料を供給する噴射領域において、特定の気筒の対筒内噴射弁の燃料噴射性能が低下すると、他の気筒の対筒内噴射弁の燃料噴射性能が正常であっても、同噴射領域の空燃比学習値は上記特定の気筒の対筒内噴射弁に大きく左右される。
ここで、上記構成では、所望の気筒の燃焼室に前記対筒内噴射弁により供給する燃料量の少なくとも一部を前記対吸気系噴射弁によって供給するように切り替える制御をしつつ実際の空燃比を目標とする空燃比にフィードバック制御を行う際に、上記定常的なずれを検出する。ここで、この検出されるずれは、上記所望の気筒の対筒内噴射弁の影響の度合いを反映したものとなっている。このため、こうした定常的なずれの検出結果と上記求めた空燃比学習値とに基づき、上記定常的なずれに対する所望の気筒の対筒内噴射弁の影響の度合いを求めることができる。そして、この所望の気筒の対筒内噴射弁の影響の度合いに基づき、同対筒内噴射弁の燃料噴射特性を求めることができる。
ちなみに、この影響の度合いを求める際に、上記求めた空燃比学習値を用いるのは、上記検出結果から、全ての気筒で対吸気系噴射弁を用いた場合の影響の度合いや全ての気筒で対筒内噴射弁を用いた場合の影響の度合いを除去するためである。こうした除去処理は、上記フィードバック制御を、上記求めた空燃比学習値を用いて行う処理としてもよい。
なお、上記「所望の気筒の前記対筒内噴射弁の燃料噴射特性」を、この対筒内噴射弁の空燃比学習値として求めてもよい。また、「所望の気筒の前記対筒内噴射弁の燃料噴射特性」に基づき、同対筒内噴射弁からの燃料の噴射制御を中止するか否かを決定するようにしてもよい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記抑制手段は、前記ノッキングを抑制する制御として、圧縮行程の前半に前記対筒内噴射弁を用いて前記燃焼室に燃料を供給することをその要旨とする。
上述したように、対吸気系噴射弁により燃焼室に燃料を供給する燃料量に対する対筒内噴射弁により燃焼室に燃料を供給する燃料量の比率を低下させる制御をする際には、ノッキングが生じやすくなるのは、対筒内噴射弁を用いた場合よりも対吸気系噴射弁を用いた場合の方が燃焼室内の混合気の温度が高くなるためであると考えられる。
一方、対筒内噴射弁を用いて燃焼室に供給される燃料による燃焼に供される空気の冷却効果は、同対筒内噴射弁を用いて燃料を供給するタイミングが圧縮行程前半に近いほど大きなものとなる。これは、吸気行程において対筒内噴射弁を用いて燃焼室に燃料が供給される場合には、燃焼室に吸入される空気が冷却されることにより燃焼室に吸入される空気量が増大するため、燃焼に供される空気の冷却効果は圧縮行程前半に対筒内噴射弁を用いて燃焼室に燃料を供給する場合よりも低くなるためである。ちなみに、圧縮行程後半に対筒内噴射弁を用いて燃焼室に燃料を供給する場合には、燃料がピストンにあたって気化する率が上昇するため、燃料の気化潜熱による燃焼室内の空気の冷却効果は圧縮行程前半に対筒内噴射弁を用いて燃焼室に燃料を供給する場合よりも低下する。
この点、上記構成では、上記比率を低下させる制御時に、対筒内噴射弁から燃焼室に燃料を供給するタイミングを上記比率を低下させる以前よりも圧縮行程の前半に近づける制御を行うことで、上記比率を低下させる制御に伴う燃焼室内の空気の温度上昇を好適に抑制することができるようになる。したがって、上記構成によれば、ノッキングを的確に抑制することができるようになる。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる内燃機関のノッキング抑制装置をV型6気筒エンジンのノッキング抑制装置に適用した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1において、V型6気筒エンジンとしての内燃機関10は、第1〜第6の各気筒#1〜#6を備えている。そして、これら各気筒#1〜#6の各燃焼室11には、吸気通路20及び吸気ポート12を介して空気が供給される。また、各気筒#1〜#6の各吸気ポート12には、これら吸気ポート12に燃料を噴射する対吸気系噴射弁13がそれぞれ備えられている。また、各気筒#1〜#6には、これらの燃焼室11に燃料を直接噴射する対筒内噴射弁14が備えられている。このように、上記内燃機関10は、各気筒#1〜#6の各燃焼室11に燃料を供給するための燃料噴射弁として、対吸気系噴射弁13及び対筒内噴射弁14の2つの噴射弁をそれぞれ備えている。
そして、上記対吸気系噴射弁13及び対筒内噴射弁14の少なくとも一方を用いて燃焼室11に供給される燃料と同燃焼室11に供給される空気との混合気は、点火プラグ15による点火により燃焼する。そして、この燃焼後の混合気(排気ガス)は、排気通路30へと排出される。この排気通路30には、三元触媒を備える触媒コンバータ31が設けられており、これにより排気ガスが浄化される。また、排気通路30のうち触媒コンバータ31の上流側には、空燃比センサ32が備えられており、これにより混合気の空燃比が検出される。ちなみに、この空燃比センサ32は、内燃機関の空燃比に比例した略線形な値の信号を出力するリニア空燃比センサである。
こうした構成を有する内燃機関10は、電子制御装置40によって制御される。この電子制御装置40には、上記空燃比センサ32をはじめ、機関出力軸の回転速度を検出するクランク角センサ、吸気通路20内の吸入空気の流量を検出するエアフローメータ、内燃機関10の冷却水の温度を検出する水温センサ等、内燃機関10の運転状態を検出する各種センサの検出信号が入力される。そして、電子制御装置40では、こうした各種センサの検出信号に基づき、上記対吸気系噴射弁13や上記対筒内噴射弁14、点火プラグ15等、内燃機関10の各箇所を制御する。
ここで、この電子制御装置40による内燃機関10の燃料噴射制御について説明する。
図2に、本実施形態にかかる燃料噴射制御態様を示す。同図2に示すように、本実施形態では、内燃機関10の回転速度及び負荷によって対吸気系噴射弁13を用いるか、対筒内噴射弁14を用いるか、あるいはこれら双方を用いるかが設定される。なお、ここで内燃機関10の負荷とは、例えば同内燃機関10の1回転あたりの吸入空気量等によって定義される量である。
同図2に示すように、本実施形態では、内燃機関10の各回転速度において、スロットルバルブを全開〜略全開としたときの負荷である最大の負荷(最大の吸入空気量)の領域で、上記対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を供給する。また、スロットルバルブの開度が全閉から中間の開度となるときの負荷である低負荷から中負荷の内燃機関10の運転領域においては、上記対吸気系噴射弁13を用いて燃焼室11に燃料を供給する。そして、これらの間の領域においては、上記対筒内噴射弁14及び上記対吸気系噴射弁13の双方を用いて燃焼室11に燃料を供給する。
上記各運転領域における空燃比制御は、次のようになっている。すなわち、対吸気系噴射弁13を用いて燃焼室11に燃料を供給する「ポート噴射領域」や、同対吸気系噴射弁13及び対筒内噴射弁14の双方を用いて燃焼室11に燃料を供給する「ポート+筒内噴射領域」にあっては、理論空燃比にて燃焼を行う。一方、対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を供給する「筒内噴射領域」にあっては、内燃機関10のトルクが最大となるときの空燃比である出力空燃比にて燃焼を行う。
そして、本実施形態では、均質性の確保と高負荷領域での内燃機関10の出力性能との両立を図っている。すなわち、対吸気系噴射弁13を用いると対筒内噴射弁14を用いる場合と比較して混合気の均質性を促進しやすい。このため、低負荷から中負荷の運転領域においては、対吸気系噴射弁13を用いることで、混合気の均質性を確保するようにする。一方、対筒内噴射弁14を用いて燃料噴射を行う場合には対吸気系噴射弁13を用いて燃料噴射を行う場合と比較して、気化潜熱により混合気の温度を低下させすい。このため、高負荷運転領域においては、対筒内噴射弁14を用いることで充填効率を増大させ、更に出力空燃比とすることで出力性能の向上を図る。なお、対筒内噴射弁14を用いた場合より対吸気系噴射弁13を用いた場合の方が排気ガスの特性を良好に制御しやすいことから、上記態様の燃料噴射制御によれば、高負荷運転時以外において排気ガスの特性をより良好に制御することもできる。
次に、本実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順について、図3を参照して説明する。ちなみに、図3に示す処理は、所定周期で繰り返し実行される処理である。
図3に示す一連の処理においては、まずステップ100において上記エアフローメータやクランク角センサ等の検出結果に基づき基本噴射量Qbを算出する。ちなみに、ここでは先の図2に示した運転状態に応じて「ポート噴射領域」や「ポート+筒内噴射領域」では理論空燃比とするための基本となる燃料量を算出する。また、「筒内噴射領域」においては、出力空燃比とするための基本となる燃料量を算出する。
続くステップ110においては、上記基本噴射量Qbに基づき、上記対吸気系噴射弁13による最終噴射量Qpと、上記対筒内噴射弁14による最終噴射量Qdとをそれぞれ算出する。詳しくは、最終噴射量Qpは「a×Qb{1+(FAF(1)−1.0)+(KG(1,k)−1.0)}K1」とし、最終噴射量Qdは「b×Qb{1+(FAF(2)−1.0)+(KG(2,k)−1.0)}K1」とする。ここで、基本噴射量Qbにかかる係数a、bは、対吸気系噴射弁13と対筒内噴射弁14とのそれぞれにより上記燃焼室11に供給される燃料の比率を定めるものである。すなわち、先の図2に示した「ポート噴射領域」では「a=1、b=0」となり、「筒内噴射領域」では「a=0、b=1」となり、「ポート+筒内噴射領域」では「0<a<1、0<b<1、a+b=1」となる。また、補正係数K1は、内燃機関10の冷却水の温度等に基づいて設定される。
上記フィードバック補正値FAF(k)「k=1、2」は、内燃機関10の実際の空燃比を目標とする空燃比に追従させるようにフィードバック制御する際に、燃料噴射量を増減させるためのパラメータである。更に、空燃比学習値KG(j,k)「j=1、2、k=1、2」は、空燃比制御に際して目標とする空燃比と実際の空燃比との定常的なずれを補償するためのパラメータである。ここで、空燃比学習値KG(1,k)は「ポート噴射領域」における学習値を、空燃比学習値KG(2,k)は「筒内噴射領域」における学習値を、それぞれ示している。また、フィードバック補正値FAF(1)と空燃比学習値KG(i,1)とは、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5についてのものであり、フィードバック補正値FAF(2)と空燃比学習値KG(i,2)とは、2番気筒#2、4番気筒#4、6番気筒#6についてのものである。このように本実施形態では、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5と、2番気筒#2、4番気筒#4、6番気筒#6とについてそれぞれ別に空燃比制御を行うようにしている。
こうしてステップ110の処理が終了するとこの一連の処理を一旦終了する。
次に、空燃比フィードバック制御について説明する。上述した燃料噴射制御においては、空燃比フィードバック制御が行われている。すなわち、フィードバック補正値FAFを適宜設定することで、実際の空燃比を目標とする空燃比とするようにフィードバック制御がなされる。ただし、本実施形態では、目標とする空燃比が理論空燃比である場合には、実際の空燃比を理論空燃比自体に一致させる制御を行う代わりに、理論空燃比近傍でリーン側及びリッチ側に交互に振動する空燃比の目標値に実際の空燃比を一致させるような制御を行う。次にこれについて図4に基づいて説明する。
図4(a)、図4(b)、図4(c)は、上記空燃比の目標値、実際の空燃比、フィードバック補正値FAF(k)のそれぞれの推移例を示す。図4(a)に示すように、本実施形態では、空燃比の目標値を図中破線にて示す理論空燃比を中心として所定の周期Tでリーン側及びリッチ側に交互に設定する。このように実際の空燃比を目標とする空燃比にフィードバック制御するときに、空燃比の目標値を理論空燃比に対してリーン側及びリッチ側に交互に設定するのは、触媒コンバータ31での触媒による排気ガスの浄化能力を向上させるためである。こうした空燃比の目標値に図4(b)に示す実際の空燃比を追従させるべく、図4(c)に示すフィードバック補正値FAF(k)が逐次設定される。
上述した態様にて内燃機関10の各運転領域において実際の空燃比を目標とする空燃比とする制御が行われる。ここで、実際の空燃比と目標とする空燃比とが定常的にずれる傾向を有していない場合には、フィードバック補正値FAF(k)はその基準値である「1.0」を中心としてその近傍を変動する。一方、例えば対吸気系噴射弁13や対筒内噴射弁14の噴射特性の固体差等に起因して実際の空燃比が目標とする空燃比からリッチ側又はリーン側に定常的にずれる傾向がある場合、フィードバック補正値FAF(k)は、その基準値である「1.0」とは異なる値を中心としてその近傍を変動するようになる。このため、基準値「1.0」に対するフィードバック補正値FAF(k)の定常的なずれは、実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを示す指標となる。そこで、基準値「1.0」に対するフィードバック補正値FAF(k)の定常的なずれを補償するように上記空燃比学習値KG(j,k)を設定することで、実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを補償する。
ここで、本実施形態にかかる空燃比学習制御について更に説明する。
<ポート噴射領域の場合>
ここでは、まず先の図2に示した「ポート噴射領域」における空燃比学習値KG(1,k)「k=1、2」の学習処理の手順について図5に基づいて説明する。ちなみに、図5に示す処理は、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5と、2番気筒#2、4番気筒#4、6番気筒#6とについてそれぞれ独立に所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理においては、まずステップ200において空燃比学習処理の実行条件が成立しているか否かを判断する。この実行条件としては、内燃機関10が上記「ポート噴射領域」にあるという条件に加えて、例えば完全暖機状態にあること等があげられる。そして、ステップ200において実行条件が成立していると判断されると、ステップ210に移行する。このステップ210では、上記空燃比の目標値について、今回リッチからリーン(又はリーンからリッチ)へ移行する際のフィードバック補正値FAF(k)と前回リーンからリッチ(又はリッチからリーン)へ移行した際のフィードバック補正値FAF(k)である前回の値FAFbとの平均値FAFAV(k)が算出される。すなわち、例えば先の図4において、時刻t2における平均値FAFAV(k)は、時刻t2でのフィードバック補正値FAF(k)と時刻t1での前回の値FAFb(k)との平均値となる。
こうして平均値FAFAV(k)が算出されると、ステップ220において、次回の空燃比学習処理のために今回のフィードバック補正値FAF(k)を前回の値FAFb(k)として記憶保持する。
続くステップ230、240では、算出された上記平均値FAFAV(k)と、所定値α、β(α<1.0<β)との大小関係の比較を行う。そして、平均値FAFAV(k)が所定値α未満である場合(ステップ230;YES)には、実際の空燃比が目標とする空燃比(理論空燃比)に対してリッチ側にずれる傾向があると判断して、この傾向を補償すべく空燃比学習値KG(j,k)がより小さい値になるように学習する。すなわち、ステップ250において現在の空燃比学習値KG(j,k)から所定値γが減算され、その減算値「KG(j,k)−γ」を新たな空燃比学習値KG(j,k)として設定する。
一方、上記平均値FAFAVが所定値βより大きい場合(ステップ240;YES)には、実際の空燃比が目標とする空燃比(理論空燃比)に対してリーン側にずれる傾向があると判断して、この傾向を補償すべく空燃比学習値KG(j,k)がより大きな値になるように学習する。すなわち、ステップ260において現在の空燃比学習値KG(j,k)に所定値γが加算され、その加算値「KG(j,k)+γ」を新たな空燃比学習値KG(j,k)として設定する。
これに対して、上記平均値FAFAV(k)が所定値α以上且つ所定値β以下である場合には、平均値FAFAV(k)がその基準値「1.0」の近傍で変動しており、実際の空燃比が目標とする空燃比(理論空燃比)からずれる傾向はないと判断される。そして、この場合や、先のステップ200において実行条件が成立しないと判断された場合には、上記空燃比学習値KG(j,k)が更新されることなく、この一連の処理を一旦終了する。
<筒内噴射領域の場合>
次に、先の図2に示した「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,k)「k=1、2」の学習処理の手順について図6に基づいて説明する。ちなみに、図6に示す処理は、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5と、2番気筒#2、4番気筒#4、6番気筒#6とについてそれぞれ独立に所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理においては、まずステップ300において空燃比学習処理の実行条件が成立しているか否かを判断する。この実行条件としては、内燃機関10が上記「筒内噴射領域」にあるという条件に加えて、例えば完全暖機状態にあること等があげられる。そして、ステップ300において実行条件が成立していると判断されると、ステップ310に移行する。
このステップ310では、実際の空燃比が目標とする空燃比となったか否かを判断する。すなわち、目標とする空燃比が理論空燃比ではない場合には実際の空燃比を目標とする空燃比そのものに一致させる制御を行うため、一致したときのフィードバック補正値FAF(k)を直接用いて空燃比学習値KG(2,k)の学習を行う。
すなわち、ステップ320、330において、上記フィードバック補正値FAF(k)と、所定値α、β(α<1.0<β)との大小関係の比較を行う。そして、フィードバック補正値FAF(k)が所定値α未満である場合(ステップ320;YES)には、実際の空燃比が目標とする空燃比(理論空燃比)に対してリッチ側にずれる傾向があると判断して、この傾向を補償すべく空燃比学習値KG(2,k)がより小さい値になるように学習する。すなわち、ステップ340において現在の空燃比学習値KG(2,k)から所定値γが減算され、その減算値「KG(2,k)−γ」を新たな空燃比学習値KG(2,k)として設定する。
一方、上記フィードバック補正値FAF(k)が所定値βより大きい場合(ステップ330;YES)には、実際の空燃比が目標とする空燃比(理論空燃比)に対してリーン側にずれる傾向があると判断して、この傾向を補償すべく空燃比学習値KG(2,k)がより大きな値になるように学習する。すなわち、ステップ350において現在の空燃比学習値KG(2,k)に所定値γが加算され、その加算値「KG(2,k)+γ」を新たな空燃比学習値KG(2,k)として設定する。
これに対して、上記フィードバック補正値FAF(k)が所定値α以上且つ所定値β以下である場合には、フィードバック補正値FAF(k)がその基準値「1.0」の近傍で変動しており、実際の空燃比が目標とする空燃比からずれる傾向はないと判断される。そして、この場合や、先のステップ300において実行条件が成立しないと判断された場合、ステップ310において実際の空燃比が目標とする空燃比と一致しないと判断された場合には、上記空燃比学習値KG(2,k)が更新されることなく、この一連の処理を一旦終了する。
こうした態様にて、先の図2に示した「ポート噴射領域」における空燃比学習値KG(1,k)と「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,k)とを学習する。そして、この2つの噴射領域における空燃比学習値KG(i,k)を学習することで、「ポート+筒内噴射領域」についても先の図3に示した態様にて燃料噴射制御を行う。
更に、本実施形態では、こうして「ポート噴射領域」における空燃比学習値KG(1,k)と「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,k)とを学習した後、各気筒の対筒内噴射弁14の空燃比学習値を個別に算出する。これは、対筒内噴射弁14は燃焼室11に露出して配置されることなどから、その噴孔部にカーボン等の燃焼生成物が付着しやすいためである。このように噴孔部に燃焼生成物が付着すると、対筒内噴射弁14から噴射される噴霧形状の変化や燃料噴射量の減少等、燃料噴射性能の低下を招くこととなる。そして、特定の気筒の対筒内噴射弁14の燃料噴射性能が低下すると、他の気筒の対筒内噴射弁14の燃料噴射性能が正常であっても、「筒内噴射領域」の空燃比学習値KG(2,k)は上記特定の気筒の対筒内噴射弁14に大きく左右される。
ここで、図7を用いて各気筒の対筒内噴射弁14の空燃比学習値の算出にかかる処理手順を示す。この図7に示す処理は、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の各空燃比学習値を所定周期で算出する処理手順を示している。なお、2番気筒#2、4番気筒#4、6番気筒#6の各空燃比学習値の算出にかかる処理についても基本的に同様であるため、その説明を割愛する。
図7に示す一連の処理においては、まずステップ400において、先の図2に示した「「ポート+筒内噴射領域」又は「筒内噴射領域」であるか否かを判断する。そして、これらいずれかの噴射領域であると判断されると、ステップ410において、「ポート噴射領域」における空燃比学習値KG(1,1)と「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,1)とを既に学習しているか否かを判断する。
そして、これら各空燃比学習値KG(1,1)、KG(2,1)を学習していると判断されると、ステップ420〜460の処理において、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の各空燃比学習値を個別に算出する。ここでは、まずステップ420において気筒をカウントするための変数「i」を「1」にセットし、ステップ430において「2i−1」番気筒のみ全ての燃料を対吸気系噴射弁13から噴射するようにする。これは、「2i−1」番気筒についてのみ、先の図3に示した係数a、bを「a=0、b=1」と設定することで行うことができる。
続くステップ440においては、ステップ430の燃料噴射制御状態において、実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを検出することで、「2i−1」番気筒の空燃比学習値を算出する。すなわち、「ポート+筒内噴射領域」と「筒内噴射領域」とのいずれの噴射領域であるかに応じて、それぞれ以下の処理を行う。
<筒内噴射領域の場合>
この場合、実際の空燃比が目標とする空燃比となったときのフィードバック補正値FAFの基準値「1.0」からのずれは、「2i−1」番気筒についての対筒内噴射弁14の燃料噴射性能を反映したものとなっている。そして、算出された平均値FAFAV(1)の基準値「1.0」からのずれ量を「3」倍したものを先の図6にて求めた空燃比学習値KG(2,k)から減算した値を、「2i−1」番気筒の空燃比学習値とする。
ここで、「3」は、上記ずれ量を、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の燃焼室11に供給する全ての燃料を「2i−1」番気筒の対筒内噴射弁14を用いて供給した場合に想定されるずれ量に換算するための値である。以下、これについて具体的な例に基づいて説明する。
1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の燃焼室11に供給する全ての燃料を、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5のうちの1つの対筒内噴射弁14を用いて供給した場合に想定されるフィードバック補正値を、それぞれ仮想補正値FAF1〜FAF3とする。このとき、「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,1)は既に求められているため、フィードバック補正値FAF(1)は、基準値「1.0」と略等しくなると考えられる。したがって、
(FAF1+FAF2+FAF3)/3=FAF(1)≒1.0 …(c1)
ここで、例えば1気筒#1の燃焼室11に燃料を供給する燃料噴射弁を対吸気系噴射弁13に切り替えた場合を考える。ここでは、対吸気系噴射弁13は、対筒内噴射弁14と比較して燃料噴射特性が低下しやすい環境下におかれていないと考えられるため、1番気筒#1の対吸気系噴射弁13についての空燃比学習値と、1番気筒#1及び3番気筒#3及び5番気筒#5の対吸気系噴射弁13についての空燃比学習値KG(1,1)とは等しいとする。そして、既にこの空燃比学習値KG(1,1)は学習されているのであるから、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の燃焼室11に供給する全ての燃料を、1番気筒の対吸気系噴射弁13を用いて供給した場合に想定されるフィードバック補正値は、「1.0」としてよい。したがって、上記切り替えによりフィードバック補正値FAF(1)が「1.0」から「1.0+Δ」にずれたとすると、下式(c2)が成立する。
(1.0+FAF2+FAF3)/3=FAF(1)=1.0+Δ …(c2)
上式(c1)及び(c2)から、仮想補正値FAF1は、「1.0−3Δ」と算出される。したがって、対筒内噴射弁14についての1番気筒#1の空燃比学習値は、上記空燃比学習値KG(2,1)からずれ量Δを3倍したものを減算した値となる。
<ポート+筒内噴射領域の場合>
この場合、先の図5のステップ210と同様の処理によって、フィードバック補正値FAF(1)の平均値FAFAV(1)を算出する。この算出された平均値FAFAV(1)の基準値「1.0」からのずれは、「2i−1」番気筒についての対筒内噴射弁14の燃料噴射性能を反映したものとなっている。そして、算出された平均値FAFAV(1)の基準値「1.0」からのずれ量を「3(b+a)/b」倍したものを先の図6にて求めた空燃比学習値KG(2,k)から減算した値を、「2i−1」番気筒の空燃比学習値とする。
ここで、「3(b+a)/b」のうちの「(b+a)/b」は、「ポート+筒内噴射領域」における上記ずれ量を、全ての燃料を対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給した場合に想定されるずれ量に換算するための値である。また、「3(b+a)/b」のうちの「3」は、上記ずれ量を、全ての燃料を「2i−1」番気筒の対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給した場合に想定されるずれ量に換算するための値である。
図7のステップ440に示す処理は、ステップ450、460の処理に基づき、1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5の全てにおいて行われる。そして、これら全ての気筒においてステップ440の処理が終了するとこの一連の処理を一旦終了する。
このようにして、燃料噴射性能の低下しやすい対筒内噴射弁14についての空燃比学習値を各気筒毎に個別に算出することができる。
ただし、図7のステップ430の処理において、対吸気系噴射弁13により燃焼室11に燃料を供給する燃料量に対する対筒内噴射弁14により燃焼室11に燃料を供給する燃料量の比率を低下させる際には、ノッキングが生じやすくなる。
そこで、本実施形態では、このステップ430において上記比率を低下させる制御に際し、ノッキングを抑制する制御をするようにする。詳しくは、「2i−1」番気筒のみ全ての燃料を対吸気系噴射弁13から噴射するようにする際、「2i−1」番気筒の点火時期を遅角側に制御するようにする。これにより、対筒内噴射弁14についての空燃比学習値を各気筒毎に個別に算出する制御時においても、ノッキングを好適に抑制することができるようになる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)所望の気筒のみ全ての燃料を対吸気系噴射弁13から噴射するようにする際、同所望の気筒の点火時期を遅角側に制御することで、ノッキングを好適に抑制することができるようになる。
(2)「ポート噴射領域」における空燃比学習値KG(1,k)と「筒内噴射領域」における空燃比学習値KG(2,k)とを学習した後、各気筒の対筒内噴射弁14の空燃比学習値を個別に算出した。これにより、特定の気筒の対筒内噴射弁14の燃料噴射特性が悪化している場合であれ、これに適切に対処することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる内燃機関のノッキング抑制装置をV型6気筒エンジンのノッキング抑制装置に適用した第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、対筒内噴射弁14についての空燃比学習値を各気筒毎に個別に算出する制御時、所望の気筒のみ対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量の一部を対吸気系噴射弁13を用いて供給するように切り替える。換言すれば、先の図7のステップ430において、「2i−1」番気筒のみ対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量の一部を対吸気系噴射弁13を用いて供給するように切り替える。こうした場合であれ、対吸気系噴射弁13により燃焼室11に燃料を供給する燃料量に対する対筒内噴射弁14により燃焼室11に燃料を供給する燃料量の比率が低下するため、ノッキングが生じやすくなる。
そこで本実施形態では、所望の気筒のみ対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量の一部を対吸気系噴射弁13を用いて供給するように切り替える際、同気筒において対筒内噴射弁14から燃焼室11に燃料を供給するタイミングを、上記制御以前よりも圧縮行程の前半に近づけることでノッキングの抑制を図る。
すなわち、例えば対筒内噴射弁14についての空燃比学習値を各気筒毎に個別に算出する際の噴射領域が「筒内噴射領域」である場合には、図8(a)に示すように吸気行程において燃焼室11に燃料が噴射されている。これは、上述したように「筒内噴射領域」は、内燃機関10の出力を確保するための領域であるためである。すなわち、吸気行程に燃焼室11に燃料を噴射することで、燃焼室11に吸入される空気を冷却に伴う燃焼室11に吸入される空気量の増大効果を高めるようにしている。
これに対し、対筒内噴射弁14についての空燃比学習値を各気筒毎に個別に算出する際には、図8(b)に示すように対象となる気筒において吸気行程等に対吸気系噴射弁13を用いて燃料を噴射するとともに、圧縮行程前半にて対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を噴射するようにする。これにより、対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量の一部を対吸気系噴射弁13を用いて噴射するようにすることによる燃焼室11の空気の温度上昇を抑制することができる。これは、対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給される燃料によって燃焼室11内で燃焼に供される空気が冷却される効果は、対筒内噴射弁14を用いて燃料を供給するタイミングが圧縮行程前半に近いほど大きなものとなることによる。
ちなみに、吸気行程において対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料が供給される場合には、燃焼室11に吸入される空気が冷却されることにより燃焼室11に吸入される空気量が増大するため、燃焼に供される空気の冷却効果は圧縮行程前半に対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を供給する場合よりも低くなる。また、圧縮行程後半に対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を供給する場合には、燃料がピストンにあたって気化する率が上昇するため、燃料の気化潜熱による燃焼室11内の空気の冷却効果は圧縮行程前半に対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に燃料を供給する場合よりも低下する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(2)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(3)所望の気筒のみ全ての燃料を対吸気系噴射弁13から噴射するようにする際、対筒内噴射弁14から燃焼室11に燃料を供給するタイミングを、上記制御以前よりも圧縮行程の前半に近づけることで、ノッキングを好適に抑制することができるようになる。
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる内燃機関のノッキング抑制装置をV型6気筒エンジンのノッキング抑制装置に適用した第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、図9に示すように、吸気弁IVのバルブ特性を可変とするバルブタイミング可変機構50を備える。そして、先の図7のステップ430におけるノッキング抑制制御として、図10に示すように、吸気弁IVの閉弁タイミングを遅角させる制御をする。
このように、吸気弁IVの閉弁タイミングを遅角させる制御を行うと、図10に示されるように、吸気弁IVと排気弁EVとが同時に開弁しているオーバーラップ期間を縮小することができる。そして、これにより、燃料後の混合気のうち排気ガスとして排気通路30に排出されずに燃焼室11に残留した高温の残留ガス量を低減させることができる。これにより、次回の圧縮行程、燃焼工程において燃焼に供される空気の温度を低減することができるため、対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量を対吸気系噴射弁13を用いて噴射するようにすることによる燃焼に供される空気の温度上昇を抑制することができる。したがって、吸気弁IVと排気弁EVとが同時に開弁しているオーバーラップ期間を縮小することにより、ノッキングを抑制することができる。
更に、吸気弁IVの閉弁タイミングを遅角させる制御を行うことで、吸気弁IVは、圧縮行程の初期にも開弁したものとなる。そして、これにより吸気弁IVが閉じたときの燃焼室11の体積に対するピストンP(図9)がその上死点に達したときの燃焼室11の体積の比である実圧縮比を低減させることができる。そして、このように実圧縮比を低減することによりノッキングを抑制することができる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(2)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(4)対筒内噴射弁14を用いて燃焼室11に供給する燃料量を対吸気系噴射弁13を用いて噴射するようにする際に、吸気弁IVの閉弁タイミングを遅角させる制御をすることで、ノッキングを抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・吸気弁の閉弁時期を遅角させる可変動弁機構としては、上記第3の実施形態で例示したバルブタイミング可変機構に限らない。例えばバルブリフト量可変機構や吸気弁を電磁駆動する機構であってもよい。
・吸気弁と排気弁との双方が開弁するオーバーラップ期間を変更する可変動弁機構としては、上記第3の実施形態で例示したバルブタイミング可変機構に限らない。例えば吸気弁及び排気弁の少なくとも一方に設けられるバルブリフト量可変機構や吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を電磁駆動する機構であってもよい。
・上記各実施形態では、「ポート+筒内噴射領域」や「筒内噴射領域」において、所望の気筒の対筒内噴射弁から供給される燃料の少なくとも一部を対吸気系噴射弁を用いて供給するように切り替えつつ、同所望の気筒の対筒内噴射弁の空燃比学習値を算出するようにしたが、これに限らない。例えば対筒内噴射弁を用いて供給される燃料量と対吸気系噴射弁を用いて供給される燃料量との割合を1番気筒#1、3番気筒#3、5番気筒#5間で3通りの仕方で異ならせて上記定常的なずれを検出し、この検出結果に基づいてこれら各気筒の対筒内噴射弁の空燃比学習値を算出するようにしてもよい。こうした場合であれ、対吸気系噴射弁13により燃焼室11に燃料を供給する燃料量に対する対筒内噴射弁14により燃焼室11に燃料を供給する燃料量の比率が低下する制御をする際には、ノッキングを抑制する制御を行うことは有効である。
・対筒内噴射弁及び対吸気系噴射弁のそれぞれを用いて噴射される燃料噴射量の算出処理は、先の図3に例示したものに限らない。
・目標とする空燃比が理論空燃比であるときの空燃比フィードバック制御態様としては、先の図4に例示したものに限らない。
・目標とする空燃比が理論空燃比であるときの空燃比学習値の学習態様としては、先の図5に例示したものに限らない。例えば実際の空燃比を理論空燃比に一致させた際のフィードバック補正値FAF(k)の基準値「1.0」からのずれに基づいて空燃比学習値を学習するようにしてもよい。
・目標とする空燃比が理論空燃比でないときの空燃比学習値の学習態様としては、先の図6に例示したものに限らない。例えば実際の空燃比が目標とする空燃比に一致する毎にフィードバック補正値FAFを取得し、取得されたフィードバック補正値FAFの平均値に基づいて空燃比学習値を学習するようにしてもよい。
・燃料の噴射に際しての対吸気系噴射弁と対筒内噴射弁との利用態様は、先の図2に例示したものに限らない。例えば対筒内噴射弁を低負荷時において成層燃焼を行うために用いてもよい。
・内燃機関の空燃比を検出する手段としては、上記各実施形態で例示したリニア空燃比センサに限らず、例えば所定の空燃比に対して内燃機関の空燃比がリッチ側にあるかリーン側にあるかの2値的な検出をする酸素センサ等でもよい。
・対吸気系噴射弁により燃焼室に供給される燃料量に対する対筒内噴射弁により燃焼室に供給される燃料量の比率を低下させる制御としては、上記各実施形態で例示した各気筒の対筒内噴射弁14の空燃比学習値の算出のための制御に限らない。
・その他、内燃機関としては、V型6気筒のものに限らない。
なお、上記各実施形態から把握することのできる技術思想としては、以下のものがある。
(1)請求項1に記載の内燃機関のノッキング抑制装置において、前記抑制手段は、前記ノッキングを抑制する制御として、点火時期を遅角させる制御を行うことを特徴とする内燃機関のノッキング抑制装置。
(2)請求項1に記載の内燃機関のノッキング抑制装置において、前記内燃機関は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方のバルブ特性を変更する可変動弁機構を備えており、前記抑制手段は、前記ノッキングを抑制する制御として、吸気弁及び排気弁の双方が開弁するオーバーラップ期間を縮小するように前記可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関のノッキング抑制装置。
(3)請求項1に記載の内燃機関のノッキング抑制装置において、前記内燃機関は、吸気弁のバルブ特性を変更する可変動弁機構を備えており、前記抑制手段は、前記ノッキングを抑制する制御として、吸気弁の閉弁期間を遅角させるように前記可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関のノッキング抑制装置。
本発明にかかるノッキング抑制装置の第1の実施形態の全体構成を示す図。 同実施形態における内燃機関の運転状態とそのときの燃料の噴射に用いる噴射弁との関係を示す図。 同実施形態にかかる燃料噴射量の算出処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態における空燃比フィードバック制御態様を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる空燃比学習処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる空燃比学習処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる空燃比学習値の算出処理の手順を示すフローチャート。 本発明にかかるノッキング抑制装置の第2の実施形態にかかるノッキング抑制制御態様を示す図。 本発明にかかるノッキング抑制装置の第3の実施形態の構成を示す図。 同実施形態にかかるノッキング抑制制御態様を示す図。
符号の説明
10…内燃機関、11…燃焼室、12…吸気ポート、13…対吸気系噴射弁、14…対筒内噴射弁、20…吸気通路、30…排気通路、31…触媒コンバータ、32…空燃比センサ、40…電子制御装置、50…バルブタイミング可変機構。

Claims (2)

  1. 燃焼室に燃料を噴射供給する対筒内噴射弁と、前記燃焼室に空気を供給する吸気系に燃料を噴射供給する対吸気系噴射弁とを備えた多気筒内燃機関に生じるノッキングを抑制するノッキング抑制装置であって、
    前記対吸気系噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量に対する前記対筒内噴射弁により前記燃焼室に供給される燃料量の比率を低下させる制御時に、ノッキングを抑制する制御を行う抑制手段を備え、
    前記対筒内噴射弁のみを用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域及び前記対吸気系噴射弁のみを用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域のそれぞれについて実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを補償する空燃比学習値を求めた後に、
    前記比率を低下させる制御として、当該機関の運転状態が少なくとも前記対筒内噴射弁を用いて前記燃焼室に燃料を供給する噴射領域に対応する運転状態にあるときに、所望の気筒の燃焼室に前記対筒内噴射弁により供給する燃料の少なくとも一部を前記対吸気系噴射弁によって供給するように切り替える制御を行い、
    前記切り替える制御の実行により、前記所望の気筒の燃焼室に前記対筒内噴射弁により供給される燃料の少なくとも一部が前記対吸気系噴射弁によって供給されているとき、実際の空燃比を目標とする空燃比にフィードバック制御するとともに、このときの前記実際の空燃比と目標とする空燃比との定常的なずれを検出し、該検出結果と前記求めた空燃比学習値とに基づいて前記所望の気筒の前記対筒内噴射弁の燃料噴射特性としての空燃比学習値を前記求めた空燃比学習値とは別に算出し、この燃料噴射特性としての空燃比学習値を同所望の気筒の対筒内噴射弁の燃料噴射制御に用いる
    ことを特徴とする内燃機関のノッキング抑制装置。
  2. 前記抑制手段は、前記ノッキングを抑制する制御として、圧縮行程の前半に前記対筒内噴射弁を用いて前記燃焼室に燃料を供給する
    請求項1記載の内燃機関のノッキング抑制装置。
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