JP2004244917A - 屋根の換気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】換気装置を屋根、特に棟部に取り付けた際に、その高さを低く抑える。
【解決手段】棟包み50を備えた屋根の棟部に形成された屋根開口部7の上方に設けられ、屋根開口部7からの排気を外部に導出する排気通路35が形成された屋根の換気装置10において、当該換気装置10の高さを減少させるべく排気通路35の一部を棟包み50の下方に設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】棟包み50を備えた屋根の棟部に形成された屋根開口部7の上方に設けられ、屋根開口部7からの排気を外部に導出する排気通路35が形成された屋根の換気装置10において、当該換気装置10の高さを減少させるべく排気通路35の一部を棟包み50の下方に設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根の換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、下部材、上部材、ならびに覆い部材の3つの部材を有し、下部材と上部材とで挟まれた空間が排気通路であり、上部材と覆い部材とに挟まれた空間が通風路となっている換気装置が開示されており、この換気装置は屋根、特に棟部に設置可能なものとなっている。
開示された換気装置は、前記下部材が棟包みと略同一断面形状であり、棟包みに上方から覆い被さり重合するように配置されるものであって、その上に、上部材及び覆い部材が順に配置されている。前記排気通路は外部からの風雨の浸入を防ぐため、上下に延びる壁が形成されラビリンス構造(迷路構造)となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−254492号公報 (第4〜5頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記換気装置は、下、上、覆いの3つの部材を上下方向に一定の空間を形成するように重ね合わせる構成であるために、前記空間(換気面積)を十分に確保すると装置自体の高さが自ずと高くなっていた。特に、排気通路をラビリンス構造にする必要があるため、特に下部材と中部材とを近接して配置することができず、換気装置の高さを抑えることが困難であった。さらに、それらを棟包みの上に配置するものとなっていたため、設置後の換気装置は屋根面から非常に高い所に位置するようになっていた。
【0005】
棟部に設置された換気装置の高さを低くすることは、屋根上に設置した際の見栄え(意匠性)をよくするばかりでなく、強風による破損等を防ぐことを可能とするものである。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、屋根、特に棟部に取り付けた際に、高さを低く抑えることのできる屋根の換気装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明方法においては次の手段を講じた。
すなわち、本発明の特徴とするところは、棟包みを備えた屋根の棟部に形成された屋根開口部の上方に設けられ、屋根開口部からの排気を外部に導出する排気通路が形成された屋根の換気装置において、当該換気装置の高さを減少させるべく排気通路の一部を棟包みの下方に設ける点にある。
これにより、排気通路の一部が棟包みの下方に位置するようになるため、換気装置を屋根、特に棟部に取り付けた際に、その高さを低く抑えることのできるようになる。
【0007】
また、本発明の特徴とするところは、棟包みが一部取り去られた棟部に設けられた下部材と、この下部材の上方に配置される上部材とを備え、前記下部材は、屋根流れ方向に沿った一対の下部材傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出する下部材垂下部とを有し、前記上部材は、屋根流れ方向に沿った一対の上部材傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出し且つ下部材垂下部より軒側に位置する上部材垂下部を有しており、下部材傾斜部と上部材傾斜部とで挟まれた空間、及び、下部材垂下部と上部材垂下部とで挟まれた空間が排気通路であって、前記棟包みは、屋根流れ方向に沿った一対の棟包み傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出する棟包み垂下部とを有しており、前記排気通路の一部が棟包み傾斜部の下方で且つ棟包み垂下部より棟側に配置されるように、下部材垂下部を棟包み垂下部より棟側に設ける点にある。
【0008】
これにより、下部材垂下部が断面側面視で棟包みの内側に配置されるようになり、上部材垂下部と下部材垂下部とで挟まれた空間からなる排気通路の一部が棟包み内に位置するようになる。したがって、屋根に設置された換気装置の高さを低くすることが可能となる。
また、本発明の特徴とするところは、前記上部材の上方に配置される覆い部材を備え、この覆い部材と上部材とで挟まれた空間は外気が通風する通風路となっており、この通風路に前記排気通路が連通する点にある。
【0009】
これにより、屋根内の排気が排気通路を経由して通風路に導出されるようになる。通風路に流れ込んだ排気は外気と共に外部に排出されるようになる。
また、本発明の特徴とするところは、前記排気通路に、下部材垂下部により少なくとも1カ所の上下屈曲部を形成する点にある。
これにより、雨を含んだ外気が排気通路に入り込もうとしても、少なくとも1カ所以上の上下屈曲部がその浸入を防ぐことになる。したがって、風雨が排気通路を経由して屋根開口部から屋根内に入り込むことを防止することができるようになる。
【0010】
また、本発明の特徴とするところは、前記棟包みを伝って雨水が浸入することを防ぐべく、下部材の棟方向両側に棟包みを上方から配置して、下部材傾斜部に棟包み傾斜部の棟側を重合させており、上部材の棟方向両側に設けられた側板で、棟包み傾斜部の軒側であって下部材傾斜部に重合していない部分と棟包み垂下部との間の空間を塞いでいる点にある。
これにより、下部材傾斜部に棟包み傾斜部の棟側が重合され、さらに、上部材の棟方向両側に設けられた側板で、下部材傾斜部に重合していない棟包み傾斜部と棟包み垂下部との間の空間が塞がれるようになる。ゆえに、棟包みを伝って雨水が換気装置内に浸入することを防止できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図にもとづいて説明する。
図1において、1は棟木、2は垂木、3は野地板で、棟木1と垂木2とで組み上げた屋根の骨組上に野地板3が張り付けられている。この野地板3の上面には、アスファルトルーフィング等の防水シート5が敷かれ、その上にスレート瓦等の屋根材6が葺かれている。
屋根の棟部分には、野地板3及び屋根材6等を切り欠いてなる屋根開口部7が設けられ、この屋根開口部7の上方に、棟を挟む一対の屋根面4間に跨るように換気装置10が設けられている。なお、前記屋根開口部7の梁間方向両縁には、屋根面4を伝って雨水が浸入することを防ぐために、屋根面4から垂直に立設する水切り部材11が設けられている。
【0012】
以下、説明において、屋根流れ方向での棟側を単に棟側、屋根流れ方向での軒側を単に軒側と呼び、棟長手方向すなわち桁行方向を棟方向又は幅方向と呼び、換気装置10の桁行き方向から見た面を側面、桁行方向から見た断面を単に断面と呼ぶ。
前記換気装置10は、図1,2に示すように、防腐加工が施された板金等で形成された下部材12と上部材13と覆い部材14とからなり、棟を挟む一対の屋根面4間に跨るように下部材12が取り付けられ、この下部材12に上方から覆い被さるように上部材13が配置され、さらに、上部材13に上方から覆い部材14が覆い被さるようになっている。
【0013】
詳しくは、前記下部材12は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の下部材傾斜部16を有し、この下部材傾斜部16の軒側端から屋根面4に突き当たるように下部材垂下部17が延設され、この下部材垂下部17の先端から軒側へ屋根面4に沿って下部材設置部18が延設されている。下部材設置部18の軒側先端部は下方に曲げられた上で棟側に折り返されており、折り返し部19となっている。
前記一対の下部材傾斜部16の棟側で互いが突き当たる部位には、下部材排気口20が形成されている。この下部材排気口20は、図3に示すように、下部材12の棟方向(長手方向)に長い略矩形の形状を有している。
【0014】
前記一対の上部材13は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の上部材傾斜部22を有し、その軒側端から屋根面4に突き当たるように上部材垂下部23が延設され、この上部材垂下部23は、前記下部材垂下部17より軒側に位置し、その先端には、棟側に向けて略90度屈曲した上部材折曲縁部24が形成されている。
前記一対の上部材傾斜部22の軒側には、それぞれ上部材排気口25が設けられおり、図3に示す如く、上部材13の棟方向(長手方向)に長い略矩形の形状を有している。
【0015】
前記覆い部材14は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の覆い部材傾斜部27を有し、その軒側端から屋根面4に垂下する覆い部材垂下部28が設けられている。この覆い部材垂下部28の先端には、棟側に向けて略90度屈曲した覆い部材折曲縁部29を有している。前記覆い部材垂下部28は、上部材垂下部23より軒側に位置するように設けられている。
前記下部材12は、下部材設置部18を屋根面4上に配置し、その上から釘等の締結具31を野地板3に達するまで打ち込むことで、屋根面4上に固定されるようになっている。このとき、前記下部材排気口20は、屋根開口部7の略上方に位置するように配置され、下部材設置部18と屋根面4との間には、雨水が浸入することを防ぐべく防水材57が挟み込まれている。また、前記折り返し部19は、屋根面4に圧着するようになっており、雨水の浸入を防ぐようになっている。
【0016】
さらに、上部材垂下部23が下部材設置部18の屋根流れ方向略中途部に、防水材57を介して突き当たるように、前記上部材13は下部材12に対して上方から覆い被さっている。この際、下部材12と上部材13とは上下方向に一定の空間を保って設けられ、この空間が排気通路35となっている。
詳しくは、下部材傾斜部16と上部材傾斜部22とに挟まれた空間、及び、それに続く下部材垂下部17と上部材垂下部23とに挟まれた空間で排気通路35を構成している。この排気通路35は、後述の垂下壁部材38と下部材垂下部17とで形成された上下屈曲部36を有し、ラビリンス(迷路)構造となっている。
【0017】
垂下壁部材38は、下部材12や上部材13とは別の部材であり、上部材排気口25と棟方向で略同じ幅を有している。さらに、図2で示すように、上部材傾斜部22と重合する重合部39と、重合部39の軒側端から屋根側に垂下する垂下壁部40とを有している。本実施形態の場合は、重合部39と垂下壁部40とは互いが略垂直に突き当たる構造ではなく、両者から斜めに突出した連結部41を介して連結している。
前記重合部39が上部材傾斜部22内側から重合すると共に、垂下壁部40が上部材排気口25の棟側縁に位置するように、垂下壁部材38は上部材13に取り付けられている。
【0018】
一方、覆い部材14は上部材13とは上下方向に一定の空間を保持するように、上部材13の上方に配置されており、かかる空間が通風路37となっている。すなわち、上部材傾斜部22と覆い部材傾斜部27との間、及び、上部材垂下部23と覆い部材垂下部28との間の空間が通風路37であり、前記覆い部材折曲縁部29は屋根面4とは接しておらず、その開口部分を介して通風路37は外界と連通するようになっている。また、前記上部材排気口25を介して、排気通路35と通風通路とは連通している。
【0019】
前述のように、一定の空間を保持しながら、各部材を上下方向に配置するために、図1,2に示す如く、当該換気装置10には、下部材12と上部材13とを連結する第1連結部材44と、上部材13と覆い部材14とを連結する第2連結部材45とが設けられている。第1連結部材44及び第2連結部材45は、剛性のある片状の金具により構成されている。
第1連結部材44は、上壁部46と、上壁部46の屋根流れ方向両縁から下方に突出した一対の垂下部47と、各垂下部47の先端から棟側に突出して下部材傾斜部16に接する下壁部48とを有している。
【0020】
第2連結部材45は、第1連結部材44と略同一の形状であって、上壁部46と、上壁部46の屋根流れ方向両縁から下方に突出した一対の垂下部47と、各垂下部47の先端から棟側に突出して上部材傾斜部22に接する下壁部48とを有している。
屋根面4上に配置された下部材12において、下部材傾斜部16の外側で且つ軒側に第1連結部材44の下壁部48が当接するように配置され、リベット等で互いが締結されている。このとき、垂下部47から下壁部48が棟側に突出するように第1連結部材44は配置されている。
【0021】
この第1連結部材44の上方から上部材13が覆い被さるように配置されている。すなわち、上部材傾斜部22の内側で且つ軒側に、前記第1締結部材の上壁部46が接するようになっている。加えて、第1連結部材44と上部材傾斜部22との間には、前記垂下壁部材38の重合部39が挟み込まれており、上部材傾斜部22の外側からビス等の締結具33により、第1連結部材44と上部材13と垂下壁部材38とが互いに連結状態で一体となっている。
この第1連結部材44の垂下部47により、上部材13と下部材12との間に上下方向に一定の空間が形成され、排気通路35が形成されている。
【0022】
前記上部材傾斜部22の外側で且つ軒側には、第2連結部材45の下壁部48が棟側を向いて当接するように配置され、リベット等で互いが締結されている。なお、第2連結部材45の棟側の下壁部48と上部材傾斜部22と前記垂下壁部材38の重合部39とは、リベット等の締結具32で固定されており、強固な連結状態が実現されている。
第2連結部材45の上壁部46には、覆い部材傾斜部27の内側で且つ軒側が当接するようになっている。その上で、覆い部材傾斜部27の外側からビス等の締結具33で両者を締結するようになっている。第2連結部材45の垂下部47により、覆い部材14と上部材13との間に上下方向に一定の空間が形成され、その部分が通風路37となっている。
【0023】
前記第1及び第2連結部材45の幅は、覆い部材14及び上部材13及び下部材12を連結し支えるに足る強度を有するものであればよい。また、第1及び第2連結部材45は、上下で略一致する位置に設けられ、幅方向には略同一間隔をもって設けられている。しかしながら、幅方向への配置は千鳥配置で設けられても何ら問題はない。
一方、前記換気装置10の幅方向両側にあっては、図3に示す如く、下部材12の両側に、上方から棟上の棟包み50が覆い被さるように配置されて、下部材傾斜部16に棟包み傾斜部51の棟側(中央部)が面接するようになっている。
【0024】
上部材13の幅方向両側には、それぞれ上部材側板(側板)54が設けられてあって、この上部材側板54は、棟包み50の端部に略垂直に当接するようになっており、下部材傾斜部16に重なり合っていない棟包み傾斜部51(すなわち棟包み傾斜部51の軒側)と棟包み垂下部52との間の空間を塞ぐようになっている。
なお、当該上部材側板54は、上部材傾斜部22の軒側と上部材垂下部23とに固定された略四角形の板からなるものであり、上部材13を屈曲成形する際に同時に屈曲成形するものであってもよく、別途製作した板を溶着することで形成してもよい。
【0025】
さらに、この覆い部材14の棟方向両側には、覆い部材側板55が覆い部材垂下部28と略同高さで形成されている。この覆い部材側板55の下端部は、棟包み傾斜部51にほぼ垂直に突き当たるように配置されており、上部材側板54と同様に換気装置10内に棟包み50を伝って雨水が入り込むことを防ぐようになっている。
雨水等の浸入をより効果的に防ぐために、覆い部材側板55が棟包み傾斜部51に当接している部分にはシーリング材を塗布しておくことが好ましい。
【0026】
上述の如く、棟包み50の切り取られた部分に設けられた換気装置10は、下部材傾斜部16に棟包み傾斜部51が上方から重合し、棟包み垂下部52より棟側に下部材垂下部17が配置されるようになっている。したがって、下部材垂下部17と上部材垂下部23とで挟まれた空間、すなわち、排気通路35の一部が棟包み50内部に設けられると共に、換気装置10の下部が棟包み50の下方に位置する構成となっている。
これにより、棟包みの上に下部材が配置され、その上方に排気通路が形成される従来の換気装置に比べ、同じ排気通路面積(換気面積)を確保したとしても、屋根の棟部に設置された当該換気装置10はその高さを十分に低くすることが可能となっている。
【0027】
本換気装置10における換気は以下のように行われる。
すなわち、外部からの空気は、図1に点線の矢印bで示す如く、一方の覆い部材折曲縁部29下方から通風路37を通って、他方の覆い部材折曲縁部29下方から外部に排出される。一方、屋根開口部7から排出された排気は、図1に実線の矢印aで示す如く、下部材排気口20を通って排気通路35に入り、上部材排気口25まで到達する。このとき、通風路37には外気が一方向に流れており、それに引っ張られる形で、屋根内部からの排気は通風路37に入り込み、覆い部材折曲縁部29下方から外部に排気される。
【0028】
上部材排気口25の近傍に形成された上下屈曲部36は、雨を含んだ外気が排気通路35内に入り込む際の抵抗となると共に、入り込んだ外気を上下させることで雨水を振り落とす働きを有するため、排気通路35内への雨水浸入を有効に防ぐことができるようになっている。
本実施形態にかかる屋根の換気装置10の設置方法は以下の通りである。
換気装置10を取り付ける場合、まず、屋根開口部7が形成されている部分の棟包み50を切り開いて取り去る。
【0029】
次に、下部材12を一対の屋根面4,4間に跨らせ且つ開口された棟包み部分に嵌め込むように配置し、下部材設置部18を防水材57を介して屋根面4上に載置して、釘等の締結具31を上から打ち付けることで固定する。なお、一対の下部材傾斜部16,16には、それぞれ複数の第1連結部材44がリベット等の締結具32により固定されている。
その後、下部材12の幅方向両側部に、取り去られていない棟包み50の端を覆い被せるように配置する。さらに、複数の第2連結部材45及び垂下壁部材38がリベット等の締結具32により固定されている上部材13を、下部材12の上方から載せ、ビス等の締結具33により第1連結部材44の上壁部46に固定する。この際、上部材折曲縁部24と下部材設置部18とが当接する部分には、防水材57を挟み込むことで雨水の浸入を防ぐようにすると共に、上部材側板54が前記棟包み50の端に略垂直に突き当たるようにする。
【0030】
最後に、覆い部材14を上部材13の上から覆い被せ、覆い部材傾斜部27を第2連結部材45の上壁部46上に載置する。そして、この上壁部46と覆い部材傾斜部27とをビス等の締結具33で締め付け固定すればよい。この場合も、覆い部材側板55の下端部が棟包み傾斜部51の外側に突き当たるようにする。
図4,5は、本発明にかかる屋根の換気装置10の第2実施形態を示したものである。
本実施形態は、下部材12の上に上部材13を配置し、それを覆うように覆い部材14を被せ、下部材12と上部材13との間で排気通路35を形成し、上部材13と覆い部材14との間で通風路37を形成している点では、第1実施形態と略同一ではある。しかしながら、それらを連結する第1連結部材44及び第2連結部材45の形状が異なっている点で第1実施形態と相違している。
【0031】
本実施形態の第1連結部材44は、上壁部46と、上壁部46の軒側から下方に突出した垂下部47と、垂下部47の先端から軒側に突出した下壁部48とを有している。
また、第2連結部材45は、下壁部48と、下壁部48の軒側から上方に突出した起立部60と、起立部60の上端から軒側に延設した上壁部46と、上壁部46の軒側縁から下方に突出した垂下部47とを有している。
第1連結部材44の垂下部47は、下部材垂下部17に外側から接当されると共に、第1連結部材44の下壁部48には、下部材設置部18が下側から重ね合わされている。加えて、前記下壁部48と下部材設置部18とがビス等の締結具33により屋根面4に固定されるようになっている。これにより、下部材12と第1連結部材44とが一体となる。
【0032】
第1連結部材44の上壁部46は、上部材傾斜部22の内側と当接しビス等の締結具33により固定されている。
第2連結部材45は、軒側の垂下部47が上部材垂下部23に外側から接当し固定されると共に、その下壁部48が上部材傾斜部22に上側から重合されリベット等の締結具32により締結されている。これにより、上部材13と第2連結部材45とが連結固定状態となっている。
第2連結部材45の上壁部46の上面には、覆い部材傾斜部27が載置されビス等の締結具33により締結され、覆い部材14と第2連結部材45とが一体となっている。
【0033】
なお、本発明にかかる屋根の換気装置10は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、下部材12開口部や上部材13開口部は、図3に示すような棟方向に長い矩形である必要はなく、円孔が棟方向に複数設けられるものであってもよい。
また、図1,4において、外気は通風路37を左から右へ流れているが、右から左へ流れてもよく、その方向が適宜変化するものであっても、排気装置10の排気性能には何ら影響を及ぼすものではない。
【0034】
また、覆い部材14は必ずしも必要ではなく、下部材12と上部材13とだけで換気装置10を構成してもよい。この際、上部材排気口25を上部材垂下部23に形成し、そこから雨水が浸入することを防ぐようにするとよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、屋根、特に棟部に取り付けた際に、高さを低く抑えることのできる屋根の換気装置10を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す換気棟の断面図である。
【図2】第1実施形態の軒側の断面図である。
【図3】第1実施形態の分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す換気棟の断面図である。
【図5】第2実施形態の軒側の断面図である。
【符号の説明】
4 屋根面
7 屋根開口部
10 換気装置
12 下部材
13 上部材
16 下部材傾斜部
17 下部材垂下部
22 上部材傾斜部
23 上部材垂下部
35 排気通路
36 上下屈曲部
37 通風路
50 棟包み
51 棟包み傾斜部
52 棟包み垂下部
54 上部材側板
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根の換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、下部材、上部材、ならびに覆い部材の3つの部材を有し、下部材と上部材とで挟まれた空間が排気通路であり、上部材と覆い部材とに挟まれた空間が通風路となっている換気装置が開示されており、この換気装置は屋根、特に棟部に設置可能なものとなっている。
開示された換気装置は、前記下部材が棟包みと略同一断面形状であり、棟包みに上方から覆い被さり重合するように配置されるものであって、その上に、上部材及び覆い部材が順に配置されている。前記排気通路は外部からの風雨の浸入を防ぐため、上下に延びる壁が形成されラビリンス構造(迷路構造)となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−254492号公報 (第4〜5頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記換気装置は、下、上、覆いの3つの部材を上下方向に一定の空間を形成するように重ね合わせる構成であるために、前記空間(換気面積)を十分に確保すると装置自体の高さが自ずと高くなっていた。特に、排気通路をラビリンス構造にする必要があるため、特に下部材と中部材とを近接して配置することができず、換気装置の高さを抑えることが困難であった。さらに、それらを棟包みの上に配置するものとなっていたため、設置後の換気装置は屋根面から非常に高い所に位置するようになっていた。
【0005】
棟部に設置された換気装置の高さを低くすることは、屋根上に設置した際の見栄え(意匠性)をよくするばかりでなく、強風による破損等を防ぐことを可能とするものである。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、屋根、特に棟部に取り付けた際に、高さを低く抑えることのできる屋根の換気装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明方法においては次の手段を講じた。
すなわち、本発明の特徴とするところは、棟包みを備えた屋根の棟部に形成された屋根開口部の上方に設けられ、屋根開口部からの排気を外部に導出する排気通路が形成された屋根の換気装置において、当該換気装置の高さを減少させるべく排気通路の一部を棟包みの下方に設ける点にある。
これにより、排気通路の一部が棟包みの下方に位置するようになるため、換気装置を屋根、特に棟部に取り付けた際に、その高さを低く抑えることのできるようになる。
【0007】
また、本発明の特徴とするところは、棟包みが一部取り去られた棟部に設けられた下部材と、この下部材の上方に配置される上部材とを備え、前記下部材は、屋根流れ方向に沿った一対の下部材傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出する下部材垂下部とを有し、前記上部材は、屋根流れ方向に沿った一対の上部材傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出し且つ下部材垂下部より軒側に位置する上部材垂下部を有しており、下部材傾斜部と上部材傾斜部とで挟まれた空間、及び、下部材垂下部と上部材垂下部とで挟まれた空間が排気通路であって、前記棟包みは、屋根流れ方向に沿った一対の棟包み傾斜部と、その軒側下端側から屋根面側に下方突出する棟包み垂下部とを有しており、前記排気通路の一部が棟包み傾斜部の下方で且つ棟包み垂下部より棟側に配置されるように、下部材垂下部を棟包み垂下部より棟側に設ける点にある。
【0008】
これにより、下部材垂下部が断面側面視で棟包みの内側に配置されるようになり、上部材垂下部と下部材垂下部とで挟まれた空間からなる排気通路の一部が棟包み内に位置するようになる。したがって、屋根に設置された換気装置の高さを低くすることが可能となる。
また、本発明の特徴とするところは、前記上部材の上方に配置される覆い部材を備え、この覆い部材と上部材とで挟まれた空間は外気が通風する通風路となっており、この通風路に前記排気通路が連通する点にある。
【0009】
これにより、屋根内の排気が排気通路を経由して通風路に導出されるようになる。通風路に流れ込んだ排気は外気と共に外部に排出されるようになる。
また、本発明の特徴とするところは、前記排気通路に、下部材垂下部により少なくとも1カ所の上下屈曲部を形成する点にある。
これにより、雨を含んだ外気が排気通路に入り込もうとしても、少なくとも1カ所以上の上下屈曲部がその浸入を防ぐことになる。したがって、風雨が排気通路を経由して屋根開口部から屋根内に入り込むことを防止することができるようになる。
【0010】
また、本発明の特徴とするところは、前記棟包みを伝って雨水が浸入することを防ぐべく、下部材の棟方向両側に棟包みを上方から配置して、下部材傾斜部に棟包み傾斜部の棟側を重合させており、上部材の棟方向両側に設けられた側板で、棟包み傾斜部の軒側であって下部材傾斜部に重合していない部分と棟包み垂下部との間の空間を塞いでいる点にある。
これにより、下部材傾斜部に棟包み傾斜部の棟側が重合され、さらに、上部材の棟方向両側に設けられた側板で、下部材傾斜部に重合していない棟包み傾斜部と棟包み垂下部との間の空間が塞がれるようになる。ゆえに、棟包みを伝って雨水が換気装置内に浸入することを防止できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図にもとづいて説明する。
図1において、1は棟木、2は垂木、3は野地板で、棟木1と垂木2とで組み上げた屋根の骨組上に野地板3が張り付けられている。この野地板3の上面には、アスファルトルーフィング等の防水シート5が敷かれ、その上にスレート瓦等の屋根材6が葺かれている。
屋根の棟部分には、野地板3及び屋根材6等を切り欠いてなる屋根開口部7が設けられ、この屋根開口部7の上方に、棟を挟む一対の屋根面4間に跨るように換気装置10が設けられている。なお、前記屋根開口部7の梁間方向両縁には、屋根面4を伝って雨水が浸入することを防ぐために、屋根面4から垂直に立設する水切り部材11が設けられている。
【0012】
以下、説明において、屋根流れ方向での棟側を単に棟側、屋根流れ方向での軒側を単に軒側と呼び、棟長手方向すなわち桁行方向を棟方向又は幅方向と呼び、換気装置10の桁行き方向から見た面を側面、桁行方向から見た断面を単に断面と呼ぶ。
前記換気装置10は、図1,2に示すように、防腐加工が施された板金等で形成された下部材12と上部材13と覆い部材14とからなり、棟を挟む一対の屋根面4間に跨るように下部材12が取り付けられ、この下部材12に上方から覆い被さるように上部材13が配置され、さらに、上部材13に上方から覆い部材14が覆い被さるようになっている。
【0013】
詳しくは、前記下部材12は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の下部材傾斜部16を有し、この下部材傾斜部16の軒側端から屋根面4に突き当たるように下部材垂下部17が延設され、この下部材垂下部17の先端から軒側へ屋根面4に沿って下部材設置部18が延設されている。下部材設置部18の軒側先端部は下方に曲げられた上で棟側に折り返されており、折り返し部19となっている。
前記一対の下部材傾斜部16の棟側で互いが突き当たる部位には、下部材排気口20が形成されている。この下部材排気口20は、図3に示すように、下部材12の棟方向(長手方向)に長い略矩形の形状を有している。
【0014】
前記一対の上部材13は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の上部材傾斜部22を有し、その軒側端から屋根面4に突き当たるように上部材垂下部23が延設され、この上部材垂下部23は、前記下部材垂下部17より軒側に位置し、その先端には、棟側に向けて略90度屈曲した上部材折曲縁部24が形成されている。
前記一対の上部材傾斜部22の軒側には、それぞれ上部材排気口25が設けられおり、図3に示す如く、上部材13の棟方向(長手方向)に長い略矩形の形状を有している。
【0015】
前記覆い部材14は、棟部から軒側へ延び、且つ、屋根面4の傾斜に対応するへの字形状に屈曲されてなる一対の覆い部材傾斜部27を有し、その軒側端から屋根面4に垂下する覆い部材垂下部28が設けられている。この覆い部材垂下部28の先端には、棟側に向けて略90度屈曲した覆い部材折曲縁部29を有している。前記覆い部材垂下部28は、上部材垂下部23より軒側に位置するように設けられている。
前記下部材12は、下部材設置部18を屋根面4上に配置し、その上から釘等の締結具31を野地板3に達するまで打ち込むことで、屋根面4上に固定されるようになっている。このとき、前記下部材排気口20は、屋根開口部7の略上方に位置するように配置され、下部材設置部18と屋根面4との間には、雨水が浸入することを防ぐべく防水材57が挟み込まれている。また、前記折り返し部19は、屋根面4に圧着するようになっており、雨水の浸入を防ぐようになっている。
【0016】
さらに、上部材垂下部23が下部材設置部18の屋根流れ方向略中途部に、防水材57を介して突き当たるように、前記上部材13は下部材12に対して上方から覆い被さっている。この際、下部材12と上部材13とは上下方向に一定の空間を保って設けられ、この空間が排気通路35となっている。
詳しくは、下部材傾斜部16と上部材傾斜部22とに挟まれた空間、及び、それに続く下部材垂下部17と上部材垂下部23とに挟まれた空間で排気通路35を構成している。この排気通路35は、後述の垂下壁部材38と下部材垂下部17とで形成された上下屈曲部36を有し、ラビリンス(迷路)構造となっている。
【0017】
垂下壁部材38は、下部材12や上部材13とは別の部材であり、上部材排気口25と棟方向で略同じ幅を有している。さらに、図2で示すように、上部材傾斜部22と重合する重合部39と、重合部39の軒側端から屋根側に垂下する垂下壁部40とを有している。本実施形態の場合は、重合部39と垂下壁部40とは互いが略垂直に突き当たる構造ではなく、両者から斜めに突出した連結部41を介して連結している。
前記重合部39が上部材傾斜部22内側から重合すると共に、垂下壁部40が上部材排気口25の棟側縁に位置するように、垂下壁部材38は上部材13に取り付けられている。
【0018】
一方、覆い部材14は上部材13とは上下方向に一定の空間を保持するように、上部材13の上方に配置されており、かかる空間が通風路37となっている。すなわち、上部材傾斜部22と覆い部材傾斜部27との間、及び、上部材垂下部23と覆い部材垂下部28との間の空間が通風路37であり、前記覆い部材折曲縁部29は屋根面4とは接しておらず、その開口部分を介して通風路37は外界と連通するようになっている。また、前記上部材排気口25を介して、排気通路35と通風通路とは連通している。
【0019】
前述のように、一定の空間を保持しながら、各部材を上下方向に配置するために、図1,2に示す如く、当該換気装置10には、下部材12と上部材13とを連結する第1連結部材44と、上部材13と覆い部材14とを連結する第2連結部材45とが設けられている。第1連結部材44及び第2連結部材45は、剛性のある片状の金具により構成されている。
第1連結部材44は、上壁部46と、上壁部46の屋根流れ方向両縁から下方に突出した一対の垂下部47と、各垂下部47の先端から棟側に突出して下部材傾斜部16に接する下壁部48とを有している。
【0020】
第2連結部材45は、第1連結部材44と略同一の形状であって、上壁部46と、上壁部46の屋根流れ方向両縁から下方に突出した一対の垂下部47と、各垂下部47の先端から棟側に突出して上部材傾斜部22に接する下壁部48とを有している。
屋根面4上に配置された下部材12において、下部材傾斜部16の外側で且つ軒側に第1連結部材44の下壁部48が当接するように配置され、リベット等で互いが締結されている。このとき、垂下部47から下壁部48が棟側に突出するように第1連結部材44は配置されている。
【0021】
この第1連結部材44の上方から上部材13が覆い被さるように配置されている。すなわち、上部材傾斜部22の内側で且つ軒側に、前記第1締結部材の上壁部46が接するようになっている。加えて、第1連結部材44と上部材傾斜部22との間には、前記垂下壁部材38の重合部39が挟み込まれており、上部材傾斜部22の外側からビス等の締結具33により、第1連結部材44と上部材13と垂下壁部材38とが互いに連結状態で一体となっている。
この第1連結部材44の垂下部47により、上部材13と下部材12との間に上下方向に一定の空間が形成され、排気通路35が形成されている。
【0022】
前記上部材傾斜部22の外側で且つ軒側には、第2連結部材45の下壁部48が棟側を向いて当接するように配置され、リベット等で互いが締結されている。なお、第2連結部材45の棟側の下壁部48と上部材傾斜部22と前記垂下壁部材38の重合部39とは、リベット等の締結具32で固定されており、強固な連結状態が実現されている。
第2連結部材45の上壁部46には、覆い部材傾斜部27の内側で且つ軒側が当接するようになっている。その上で、覆い部材傾斜部27の外側からビス等の締結具33で両者を締結するようになっている。第2連結部材45の垂下部47により、覆い部材14と上部材13との間に上下方向に一定の空間が形成され、その部分が通風路37となっている。
【0023】
前記第1及び第2連結部材45の幅は、覆い部材14及び上部材13及び下部材12を連結し支えるに足る強度を有するものであればよい。また、第1及び第2連結部材45は、上下で略一致する位置に設けられ、幅方向には略同一間隔をもって設けられている。しかしながら、幅方向への配置は千鳥配置で設けられても何ら問題はない。
一方、前記換気装置10の幅方向両側にあっては、図3に示す如く、下部材12の両側に、上方から棟上の棟包み50が覆い被さるように配置されて、下部材傾斜部16に棟包み傾斜部51の棟側(中央部)が面接するようになっている。
【0024】
上部材13の幅方向両側には、それぞれ上部材側板(側板)54が設けられてあって、この上部材側板54は、棟包み50の端部に略垂直に当接するようになっており、下部材傾斜部16に重なり合っていない棟包み傾斜部51(すなわち棟包み傾斜部51の軒側)と棟包み垂下部52との間の空間を塞ぐようになっている。
なお、当該上部材側板54は、上部材傾斜部22の軒側と上部材垂下部23とに固定された略四角形の板からなるものであり、上部材13を屈曲成形する際に同時に屈曲成形するものであってもよく、別途製作した板を溶着することで形成してもよい。
【0025】
さらに、この覆い部材14の棟方向両側には、覆い部材側板55が覆い部材垂下部28と略同高さで形成されている。この覆い部材側板55の下端部は、棟包み傾斜部51にほぼ垂直に突き当たるように配置されており、上部材側板54と同様に換気装置10内に棟包み50を伝って雨水が入り込むことを防ぐようになっている。
雨水等の浸入をより効果的に防ぐために、覆い部材側板55が棟包み傾斜部51に当接している部分にはシーリング材を塗布しておくことが好ましい。
【0026】
上述の如く、棟包み50の切り取られた部分に設けられた換気装置10は、下部材傾斜部16に棟包み傾斜部51が上方から重合し、棟包み垂下部52より棟側に下部材垂下部17が配置されるようになっている。したがって、下部材垂下部17と上部材垂下部23とで挟まれた空間、すなわち、排気通路35の一部が棟包み50内部に設けられると共に、換気装置10の下部が棟包み50の下方に位置する構成となっている。
これにより、棟包みの上に下部材が配置され、その上方に排気通路が形成される従来の換気装置に比べ、同じ排気通路面積(換気面積)を確保したとしても、屋根の棟部に設置された当該換気装置10はその高さを十分に低くすることが可能となっている。
【0027】
本換気装置10における換気は以下のように行われる。
すなわち、外部からの空気は、図1に点線の矢印bで示す如く、一方の覆い部材折曲縁部29下方から通風路37を通って、他方の覆い部材折曲縁部29下方から外部に排出される。一方、屋根開口部7から排出された排気は、図1に実線の矢印aで示す如く、下部材排気口20を通って排気通路35に入り、上部材排気口25まで到達する。このとき、通風路37には外気が一方向に流れており、それに引っ張られる形で、屋根内部からの排気は通風路37に入り込み、覆い部材折曲縁部29下方から外部に排気される。
【0028】
上部材排気口25の近傍に形成された上下屈曲部36は、雨を含んだ外気が排気通路35内に入り込む際の抵抗となると共に、入り込んだ外気を上下させることで雨水を振り落とす働きを有するため、排気通路35内への雨水浸入を有効に防ぐことができるようになっている。
本実施形態にかかる屋根の換気装置10の設置方法は以下の通りである。
換気装置10を取り付ける場合、まず、屋根開口部7が形成されている部分の棟包み50を切り開いて取り去る。
【0029】
次に、下部材12を一対の屋根面4,4間に跨らせ且つ開口された棟包み部分に嵌め込むように配置し、下部材設置部18を防水材57を介して屋根面4上に載置して、釘等の締結具31を上から打ち付けることで固定する。なお、一対の下部材傾斜部16,16には、それぞれ複数の第1連結部材44がリベット等の締結具32により固定されている。
その後、下部材12の幅方向両側部に、取り去られていない棟包み50の端を覆い被せるように配置する。さらに、複数の第2連結部材45及び垂下壁部材38がリベット等の締結具32により固定されている上部材13を、下部材12の上方から載せ、ビス等の締結具33により第1連結部材44の上壁部46に固定する。この際、上部材折曲縁部24と下部材設置部18とが当接する部分には、防水材57を挟み込むことで雨水の浸入を防ぐようにすると共に、上部材側板54が前記棟包み50の端に略垂直に突き当たるようにする。
【0030】
最後に、覆い部材14を上部材13の上から覆い被せ、覆い部材傾斜部27を第2連結部材45の上壁部46上に載置する。そして、この上壁部46と覆い部材傾斜部27とをビス等の締結具33で締め付け固定すればよい。この場合も、覆い部材側板55の下端部が棟包み傾斜部51の外側に突き当たるようにする。
図4,5は、本発明にかかる屋根の換気装置10の第2実施形態を示したものである。
本実施形態は、下部材12の上に上部材13を配置し、それを覆うように覆い部材14を被せ、下部材12と上部材13との間で排気通路35を形成し、上部材13と覆い部材14との間で通風路37を形成している点では、第1実施形態と略同一ではある。しかしながら、それらを連結する第1連結部材44及び第2連結部材45の形状が異なっている点で第1実施形態と相違している。
【0031】
本実施形態の第1連結部材44は、上壁部46と、上壁部46の軒側から下方に突出した垂下部47と、垂下部47の先端から軒側に突出した下壁部48とを有している。
また、第2連結部材45は、下壁部48と、下壁部48の軒側から上方に突出した起立部60と、起立部60の上端から軒側に延設した上壁部46と、上壁部46の軒側縁から下方に突出した垂下部47とを有している。
第1連結部材44の垂下部47は、下部材垂下部17に外側から接当されると共に、第1連結部材44の下壁部48には、下部材設置部18が下側から重ね合わされている。加えて、前記下壁部48と下部材設置部18とがビス等の締結具33により屋根面4に固定されるようになっている。これにより、下部材12と第1連結部材44とが一体となる。
【0032】
第1連結部材44の上壁部46は、上部材傾斜部22の内側と当接しビス等の締結具33により固定されている。
第2連結部材45は、軒側の垂下部47が上部材垂下部23に外側から接当し固定されると共に、その下壁部48が上部材傾斜部22に上側から重合されリベット等の締結具32により締結されている。これにより、上部材13と第2連結部材45とが連結固定状態となっている。
第2連結部材45の上壁部46の上面には、覆い部材傾斜部27が載置されビス等の締結具33により締結され、覆い部材14と第2連結部材45とが一体となっている。
【0033】
なお、本発明にかかる屋根の換気装置10は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、下部材12開口部や上部材13開口部は、図3に示すような棟方向に長い矩形である必要はなく、円孔が棟方向に複数設けられるものであってもよい。
また、図1,4において、外気は通風路37を左から右へ流れているが、右から左へ流れてもよく、その方向が適宜変化するものであっても、排気装置10の排気性能には何ら影響を及ぼすものではない。
【0034】
また、覆い部材14は必ずしも必要ではなく、下部材12と上部材13とだけで換気装置10を構成してもよい。この際、上部材排気口25を上部材垂下部23に形成し、そこから雨水が浸入することを防ぐようにするとよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、屋根、特に棟部に取り付けた際に、高さを低く抑えることのできる屋根の換気装置10を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す換気棟の断面図である。
【図2】第1実施形態の軒側の断面図である。
【図3】第1実施形態の分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す換気棟の断面図である。
【図5】第2実施形態の軒側の断面図である。
【符号の説明】
4 屋根面
7 屋根開口部
10 換気装置
12 下部材
13 上部材
16 下部材傾斜部
17 下部材垂下部
22 上部材傾斜部
23 上部材垂下部
35 排気通路
36 上下屈曲部
37 通風路
50 棟包み
51 棟包み傾斜部
52 棟包み垂下部
54 上部材側板
Claims (5)
- 棟包み(50)を備えた屋根の棟部に形成された屋根開口部(7)の上方に設けられ、屋根開口部(7)からの排気を外部に導出する排気通路(35)が形成された屋根の換気装置において、
当該換気装置(10)の高さを減少させるべく排気通路(35)の一部を棟包み(50)の下方に設けることを特徴とする屋根の換気装置。 - 棟包み(50)が一部取り去られた棟部に設けられた下部材(12)と、この下部材(12)の上方に配置される上部材(13)とを備え、
前記下部材(12)は、屋根流れ方向に沿った一対の下部材傾斜部(16)と、その軒側下端側から屋根面(4)側に下方突出する下部材垂下部(17)とを有し、
前記上部材(13)は、屋根流れ方向に沿った一対の上部材傾斜部(22)と、その軒側下端側から屋根面(4)側に下方突出し且つ下部材垂下部(17)より軒側に位置する上部材垂下部(23)を有しており、
下部材傾斜部(16)と上部材傾斜部(22)とで挟まれた空間、及び、下部材垂下部(17)と上部材垂下部(23)とで挟まれた空間が排気通路(35)であって、
前記棟包み(50)は、屋根流れ方向に沿った一対の棟包み傾斜部(51)と、その軒側下端側から屋根面(4)側に下方突出する棟包み垂下部(52)とを有しており、
前記排気通路(35)の一部が棟包み傾斜部(51)の下方で且つ棟包み垂下部(52)より棟側に配置されるように、下部材垂下部(17)を棟包み垂下部(52)より棟側に設けることを特徴とする請求項1に記載の屋根の換気装置。 - 前記上部材(13)の上方に配置される覆い部材(14)を備え、この覆い部材(14)と上部材(13)とで挟まれた空間は外気が通風する通風路(37)となっており、この通風路(37)に前記排気通路(35)が連通することを特徴とする請求項2に記載の屋根の換気装置。
- 前記排気通路(35)に、下部材垂下部(17)により少なくとも1カ所の上下屈曲部(36)を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の屋根の換気装置。
- 前記棟包み(50)を伝って雨水が浸入することを防ぐべく、下部材(12)の棟方向両側に棟包み(50)を上方から配置して、下部材傾斜部(16)に棟包み傾斜部(51)の棟側を重合させており、上部材(13)の棟方向両側に設けられた側板(54)で、棟包み傾斜部(51)の軒側であって下部材傾斜部(16)に重合していない部分と棟包み垂下部(52)との間の空間を塞いでいることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の屋根の換気装置。
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JP2008057241A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd | 換気役物及び換気棟 |
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2003
- 2003-02-13 JP JP2003035612A patent/JP2004244917A/ja active Pending
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