JP2004244737A - 紡糸口金パックの保存方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー溶液を紡糸する、使用後の紡糸口金パックを、ポリマー溶液を構成する溶媒中に浸漬して保存する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー溶液(紡糸原液)を紡糸して糸条とするための紡糸口金パックの保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、アクリル系合成繊維糸条は、よく知られているように、アクリル系ポリマーを溶媒に溶かしたポリマー溶液(紡糸原液)を湿式紡糸したり乾湿式紡糸した後、紡出糸条を水洗して溶媒を除去し、さらに延伸、油剤付与、乾燥、再延伸等の諸工程を経て製造されている。紡糸口金パックは、そのような紡糸に使われるが、品種の切り替え等に際しては、紡糸機から紡糸口金パックを取り外し、一時的に保存しておくことが必要になる。
【0003】
さて、紡糸に使用した紡糸口金パックには、ポリマー溶液が残存しているので、使用後そのまま放置するとポリマーが後重合を起こして急速に固化し、固化したポリマーが紡糸孔に付着する。著しい場合には紡糸孔が詰まってしまう。紡糸孔が詰まってしまったような紡糸口金パックは、当然のことながら再使用できないが、詰まらないまでも紡糸孔に固化したポリマーが付着しているようなものを再使用すると、紡糸原液の吐出圧力が上昇したり、一般に細糸と呼ばれる、規定の太さよりも細い単繊維が混在した欠陥糸条ができてしまう。
【0004】
このような問題を解決するために、紡糸口金パックは、通常、使用後は紡糸機から取り外し、解体して酸やアルカリによる薬液洗浄をしている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、解体、洗浄、再組立といった作業はやっかいであるばかりか、労働環境衛生上も好ましいことではない。特に、小さな紡糸孔を有する紡糸口金の洗浄は顕微鏡を覗きながらの作業になるので、極めてやっかいであり、作業員の疲労も大きい。また、洗浄時に固化、付着しているポリマーを見落としたり、再組立の際にほこり等が混入することによる紡糸工程の不調もある。
【0005】
【特許文献1】
特公昭60−25522号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術の上述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、解体、洗浄、再組立が不要であり、そのまま再使用することができる紡糸口金パックの保存方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ポリマー溶液を紡糸する、使用後の紡糸口金パックを、ポリマー溶液を構成する溶媒に浸漬して保存することを特徴とする紡糸口金パックの保存方法を提供する。保存中、溶媒を流動させるのも好ましいし、溶媒を使用時の温度かそれに近い温度に加熱するのも好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明をアクリル系合成繊維糸条を製造するための紡糸口金パックを例として説明するに、アクリル系合成繊維糸条の製造には、アクリル系ポリマーを溶媒に溶解してなるポリマー溶液を用いる。アクリル系ポリマーは、たとえば、アクリロニトリルを少なくとも90重量%含むようなものである。アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸もしくはそれらのメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩や、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸もしくはそれらのアルカリ金属塩等が共重合している場合もある。また、溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が用いられる。そのようなポリマー溶液は、紡糸口金パックを用いて湿式紡糸や乾湿式紡糸によって紡糸され、紡出糸条を水洗して溶媒を除去し、さらに延伸、油剤付与、乾燥、再延伸等の諸工程を経てアクリル系合成繊維糸条とされる。
【0009】
さて、本発明においては、品種変更等に伴う紡糸口金パックの交換に際して、紡糸口金パックを解体して洗浄したりすることなく、そのまま、ポリマー溶液を構成する溶媒中に浸漬して保存する。すなわち、この例は、アクリル系合成繊維糸条を製造するための紡糸口金パックであるから、上述したジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等に浸漬して保存する。このとき、紡糸口金パック内に残留したポリマー溶液中のポリマーを効率よく溶媒に溶解させるために、溶媒をエア等でバブリングして流動させるのも好ましい。また、保存中、溶媒を使用時の温度かそれに近い温度に加熱するのも好ましい。この温度は、アクリル系ポリマー溶液を紡糸するための紡糸口金パックでは、40〜80℃程度である。なお、紡糸口金パック内に残留しているポリマー溶液は、もちろん、少ないほうがよい。
【0010】
浸漬時の紡糸口金パックの姿勢は、安定して保存でき、残留ポリマー溶液が偏在しにくく、しかも、ポリマーを溶解しやすい、紡糸口金が下向きになる姿勢が好ましい。
【0011】
このように保存される紡糸口金パックは、溶媒から取り出し、紡糸機に装着することでそのまま再使用することができる。再使用するとき、紡糸口金パック内に残留しているポリマー溶液は、もちろん、少ないほうがよい。ポリマー溶液の量が、使用時の量(紡糸口金パックのポリマー溶液の流路の容積)の5重量%程度以下になるようにしてから紡糸機に装着するとよい。
【0012】
以上においては、アクリル系合成繊維糸条を製造するための紡糸口金パックを例として説明したが、本発明は、溶媒を使用する、他の合成繊維糸条を製造するための紡糸口金パックにおいても全く同様に適用することができることはいうまでもない。
【0013】
【実施例および比較例】
実施例1:
アクリロニトリル99重量%、イタコン酸1重量%からなるアクリル系共重合ポリマーの60重量%ジメチルスルホキシド溶液を紡糸原液とする紡糸口金パック(紡糸口金の紡糸孔径:0.055mm、紡糸孔数:6,000)を紡糸機から取り外し、そのまま、温度40℃のジメチルスルホキシド中に、紡糸口金が下側になる姿勢で浸漬し、550時間保存した。
【0014】
550時間の経過後、ジメチルスルホキシドから取り出し、紡糸機に装着した。残留ポリマーの量は約5重量%であった。上記ポリマー溶液を湿式紡糸し、通常の延伸、洗浄、油剤付与、乾燥、再延伸の各工程を経てアクリル系繊維糸条を得た。
【0015】
このアクリル系繊維糸条について、横断面を顕微鏡で観察し、細糸の割合を求めた。細糸とは、紡糸孔に付着したポリマー等によって直径が本来あるべき直径の50%以下になっている単繊維であり、紡糸口金パックの汚れの指標となるものである。また、各工程を実施している間の1日あたり、1糸条あたりの単繊維切れ回数を観察した。さらに、最終の再延伸工程を経た後の糸条(速度:300m/分)の1分間あたりの毛羽の数を、N数を10とし、その単純平均値として求めた。結果を以下に示す。
【0016】
細糸の割合 :1.3%
単繊維切れ回数:0.007回/日・糸条
毛羽数 :1.1個/分
実施例2:
実施例1において、紡糸口金パックの保存中、エアバブリングによりジメチルスルホキシドを流動させた。再使用時の残留ポリマー溶液の量は 重量%であった。実施例1と同様に評価した結果を以下に示す。
【0017】
細糸の割合 :0.9%
単繊維切れ回数:0.007回/日・糸条
毛羽数 :0.6個/分
実施例3:
実施例1において、紡糸口金パックを、温度60℃のジメチルスルホキシド中で34時間保存した。再使用時の残留ポリマー溶液の量は4.1重量%であった。実施例1と同様に評価した結果を以下に示す。
【0018】
細糸の割合 :0.8%
単繊維切れ回数:0.005回/日・糸条
毛羽数 :0.5個/分
比較例:
実施例1において、紡糸機から取り外した紡糸口金パックを解体し、10重量%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄、水洗、乾燥し、組み立てて再使用した。実施例1と同様に評価した結果を以下に示す。
【0019】
細糸の割合 :18.5%
単繊維切れ回数:0.055回/日・糸条
毛羽数 :2.8個/分
【0020】
【発明の効果】
本発明は、使用後の紡糸口金パックを、ポリマー溶液を構成する溶媒中に浸漬して保存するので、解体、洗浄、再組立が不要であり、実施例と比較例との対比からも明らかなように、そのまま再使用することで、欠陥の少ない糸条を得ることができるようになる。
Claims (4)
- ポリマー溶液を紡糸する、使用後の紡糸口金パックを、ポリマー溶液を構成する溶媒中に浸漬して保存することを特徴とする紡糸口金パックの保存方法。
- 溶媒を流動させる、請求項1に記載の紡糸口金パックの保存方法。
- 溶媒を加熱する、請求項1または2に記載の紡糸口金パックの保存方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で保存した紡糸口金パックを用いてポリマー溶液を紡糸することを特徴とする糸条の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2003033453A JP4003654B2 (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 紡糸口金パックの保存方法 |
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JP2007092214A (ja) * | 2005-09-28 | 2007-04-12 | Teijin Ltd | 静電紡糸法による繊維構造体の製造方法 |
CN109537069A (zh) * | 2018-11-28 | 2019-03-29 | 江苏丝丝缘纤维有限公司 | 一种化纤喷丝板在线清洗方法 |
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2003
- 2003-02-12 JP JP2003033453A patent/JP4003654B2/ja not_active Expired - Fee Related
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