JPH0797717A - ポリベンザゾール異形断面糸及びその製造方法 - Google Patents

ポリベンザゾール異形断面糸及びその製造方法

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JPH0797717A
JPH0797717A JP24140293A JP24140293A JPH0797717A JP H0797717 A JPH0797717 A JP H0797717A JP 24140293 A JP24140293 A JP 24140293A JP 24140293 A JP24140293 A JP 24140293A JP H0797717 A JPH0797717 A JP H0797717A
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fiber
cross
polybenzazole
yarn
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JP24140293A
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Katsuya Tani
勝也 谷
Katsuhiko Kato
克彦 加藤
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リン残量が低く且つ編織物とした場合に良好
な風合いを有するポリベンザゾール繊維及びその製造法
を提供する。 【構成】 円形断面糸を基準にして外周総長/断面積比
(繊度合わせ)で定義した異形度が1.10以上の単繊
維群で構成され、且つ4.0GPa以上強度と140G
Pa以上の初期弾性率を有するポリベンザゾール異形断
面糸及びその繊維をポリベンザゾール重合体のポリリン
酸溶液を断面が非円形の吐出細孔で構成された紡糸口金
を用いて気体雰囲気中に吐出し、引き続いて非溶剤性と
接触させてポリリン酸を除去した後、速度200m/分
以上で引取ることで製造する方法から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度・高弾性率のポリ
ベンザゾール繊維に関する。更に詳しくは断面形状が非
円形で嵩高性の改善されたポリベンザゾール繊維及びそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機合成重合体を含む溶液を紡糸口金か
ら気体雰囲気中に吐出し、次いで非溶剤性と接触させて
該紡出糸を部分的に凝固せしめ、さらに該糸条中を非溶
剤性で洗浄することで該紡出糸中に残留する溶媒量を低
減させる乾湿式紡糸方法は公知でありポリアクリロニト
リル繊維(例えば特開昭51−35716号公報)、芳
香族ポリアミド繊維(例えばUSP3767756号公
報、特開平47−39458号公報)等で開示されてい
る。乾湿式法でポリベンザゾール繊維を製造する技術も
公知であり例えば公表公報特許昭63−500529号
公報はポリリン酸中で重合したポリベンザゾール重合体
の溶液を紡糸原液に用い、該紡糸原液を紡糸口金より大
気雰囲気中に吐出し、引き続いて該紡出糸を紡糸口金下
方の大気雰囲気中を走行させた後、該紡出糸を非溶媒性
の抽出媒体で構成される抽出浴に導いて脱溶媒を行い、
さらに非溶媒性の抽出媒体と接触させて繊維の溶媒を除
去する製造方法を開示している。熱可塑性重合体を紡糸
細孔から溶融吐出すると表面張力のため繊維の断面は円
形になろうとする。そのため衣料用分野では合成繊維に
天然繊維と類似した断面形状を付与して繊維製品の風合
い及び機能の改良が行われていた。その手段には化学改
質と物理改質がある。後者については繊維断面の異形化
つまり円形以外の断面形状を持つ繊維の開発が中心であ
り、その基本な手段は(1)非円形吐出孔を利用する、
(2)複数の吐出孔からの流出ポリマーの融着させる、
(3)ポリマー流出部で積極的又は消極的に気体吹き込
むもの、(4)前記(1)と(2)の組み合わせる等で
ある。近年では天然繊維を超えた諸機能と風合いを有す
る合成繊維が開発されている。産業資材用にも異形断面
化された合成繊維が開発されており例えばカバン地用で
は三角断面糸が畳表材用にC型断面糸が使用されてい
る。しかし異形断面化の対象とされるのは主としてポリ
エステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性重
合体からなる合成繊維である。最近、スーパー繊維と称
される高強度・高弾性率繊維を単独で又は異種繊維と複
合して衣料用途への展開が図られている。しかし繊維製
品の風合いや機能の改善を目的として積極的に断面を異
形化したスーパー繊維は関しては例えば特開昭60−5
2613号公報が超高分子量ポリエチレン異形断面糸を
提案しているのみである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶媒にポリリン酸を用
いたポリベンザゾール重合体の紡糸原液から得られる繊
維ではリン残量の低い繊維を効率よく製造するかが繊維
物性面及び生産性面で重要な課題である。従来よりポリ
アクリルニトリル繊維やアセテート繊維およびアラミド
繊維等の乾湿式紡糸において繊維糸条中の溶媒除去に関
して凝固液の温度や接触時間および糸条と凝固液の接触
方法等のいわゆる凝固条件、さらに洗浄液の温度や接触
時間および繊維と洗浄液との接触方法等のいわゆる洗浄
条件等が詳細に検討されきた。ポリリン酸の除去は繊維
表面の更新性と繊維内部の水及びポリリン酸の拡散が律
速であり表面更新性の高い接触法を採用し、長時間・高
温の洗浄れば基本的に目的の達成は可能である。しかし
実用上繊維物性に影響を及ぼさない程度のポリリン残量
のポリベンザゾール繊維を工業的に有意義な生産速度で
製造しようとすると洗浄設備が巨大化し、これに伴って
糸掛け操作性が低下すること、さらには多量の洗浄媒体
の使用及びその回収費用の増大等につながる。繊維に残
留するポリリン酸濃度を効率的に低減する一つの手段
は、単繊維の横断面積に対する該単繊維の外形周長をで
きるだけ大きくすること、即ち単糸繊度を極力下げるこ
とである。しかし、この手段には、(1)用途に応じて
適正な単糸繊度があること、(2)単糸繊度を極度に下
げることは紡糸不安定性の増大因となりやすいこと等の
問題があり汎用性に欠ける。
【0004】ポリベンザゾール系繊維は高強度・高弾性
率を有しており産業資材分野の用途に極めて有用な素材
として期待されている。一方、最近になって高強度・高
弾性率繊維の衣料用途への展開が図られている。かかる
観点から高強度・高弾性率繊維といえども風合や染色性
等の衣料用繊維が具備すべき特性が要求されるようにな
った。しかし、これらの需要に対して風合いに多様性を
持たせたポリベンザゾール繊維は工業的に生産されてい
ないのが現状である。本発明の目的は(1)リン残量が
実用上問題にならない程度であり(2)多様な風合いを
有するポリベンザゾール繊維及びその製造方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ポリベンザゾール重合体
の紡糸原液の乾湿式紡糸法において上記目的を達成する
方法につき鋭意検討した結果、繊維の断面積と外周長の
比率が特定の範囲にある様に断面を異形化すればポリリ
ン酸の抽出効率が極めて向上すると同時に多様な風合い
を有するポリベンザゾール繊維が得られることを知見
し、本発明に至った。
【0006】即ち、本発明はポリベンザゾール重合体か
らなる繊維において、繊維群を構成する各単糸の横断面
の外周総長/断面積比(X)が同一繊度に相当する円形
断面糸の外周総長/断面積比(X0)の1.10倍以上
であり、且つ4.0GPa以上強度と140GPa以上
の初期弾性率を有するポリベンザゾール異形断面糸及び
ポリベンザゾール重合体のポリリン酸溶液を断面が非円
形の吐出細孔を有する紡糸口金を用いて気体雰囲気中に
吐出し、引き続いて非溶剤性と接触させてポリリン酸を
除去した後、速度200m/分以上で引取ることを特徴
とするポリベンザゾール異形断面糸の製造方法を主旨と
するものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ポリベンザゾール繊維(PBZ繊維)はポリベンズオキ
サゾール(PBO)若しくはポリベンズチアゾール(P
BT)又はそれらのランダム若しくはブロック共重合体
からなるドープを紡糸して得られる繊維をいう。この重
合体ドープに酸化防止剤、艶消剤、着色剤、制電性向上
剤等を含有させたものであっても勿論よい。また重合体
の極限粘度に特に限定はないが紡糸部での単糸切れ発生
を抑制して紡糸安定性を高めること、高い力学的特性の
繊維糸条を得ること及び断面形状の異形のシャープさ、
等の観点からは好ましくはできるだけ高くすることが適
切であり、例えばメタンスルホン酸中、30℃で測定し
た固有粘度[IV]18〜40dl/gの重合体が好ま
しく使用できる。これらのポリベンザゾール重合体はポ
リリン酸に溶解した紡糸原液状で重合装置から取り出し
た後で紡糸部に供給してもよいが、特に好ましくは紡糸
原液を重合装置から一旦取り出すことなく直接紡糸装置
に供給する所謂直紡方式を採用することである。
【0008】本発明において、繊維群を構成する単糸繊
度(Den)に特に限定はないが、0.5デニール未満
の場合にはポリリン酸の抽出効率は高くなるが紡糸ドラ
フト(=引取速度/吐出線速度)及び剪断速度が上昇す
る。これは紡糸不安定性を助長する方向であり紡糸糸切
れ等の問題を生じやすくなる。この現象を解消するには
紡糸状態が安定な剪断速度及び紡糸ドラフトが得られる
ように紡糸吐出孔径と細孔形状の適正化が考えられるが
工作精度や取り扱いの点で限界がある。一方、単糸繊度
が5デニールを超えると単糸横断面の周長/面積比率
(X/X0)が本発明の条件を満足してもポリリン酸及
び水分の拡散速度の向上効果は相対的に低くなる。また
単糸繊度が増大するに伴って力学特性例えば引張強度及
び耐光性(強力保持率)は低下の傾向を示す。従って単
糸繊度は0.5〜5デニールの範囲にすることが好まし
い。
【0009】本発明においては単糸の横断面において外
周総長/断面積の比率(X)は同一繊度に相当する円形
断面糸の外周総長/断面積比(X0)の1.10倍以上
の条件を満足せねばならない。この異形度(X/X0)
はポリリン酸及び水の繊維内拡散と表面更新のバランス
及び該繊維からなる布帛の風合いに関係する重要な因子
である。異形度(X/X0)が本発明で規定する範囲を
外れて小さい場合にはポリリン酸の抽出速度と該繊維か
らなる布帛の風合いは実質的に円形断面糸と同一であり
異形断面効果は期待でない。単糸の断面形状に特に限定
はなく要はX/X0比率を満足する形状であればよく得
られる繊維の力学特性と風合いを勘案して適宜選択すれ
ばよく例えば楕円形、くびれを有する楕円形、十字偏平
形、三角形等の繊維断面が好ましい。係る異形断面を有
するポリベンザゾール繊維は紡糸吐出細孔の形状及びポ
リベンザゾール重合体紡糸原液の粘度及び紡糸条件例え
ば紡糸原液の吐出温度、紡糸口金下方の気流帯域の温度
・流速及び非溶剤性媒体に導入される紡出糸が温度や非
溶剤性媒体の濃度・温度等の適正な組み合わせにより達
成できる。
【0010】係るポリベンザゾール繊維を衣料用及び/
又は産業資材用の素材に用いためには単糸繊度と異形度
(X/X0)を満足し、繊維に残留するポリリン酸濃度
が耐光性面で実用上支障のない程度であり、且つ4.0
GPa以上の強度と140GPa以上の初期弾性率を有
することが好ましい。
【0011】以下、本発明の異形断面糸を得る方法につ
いて述べる。ポリリン酸を溶媒に用いたポリベンザゾー
ル重合体の紡糸原液は軟化点以上で分解点未満の温度に
加熱して紡糸部に供給され、複数個の非円形細孔が円周
状もしくは格子状に配列された紡糸口金1を通して横吹
き気流帯域2に紡出される。紡糸細孔の形状の決定に際
して剪断応力と剪断速度及び紡糸ドラフトを考慮せねば
ならないのは当然のことである。しかしポリベンザゾー
ル重合体は液晶性であることから汎用の熱可塑性重合体
の溶融紡糸と比して紡糸挙動、特に紡糸安定性は前記剪
断速度及び紡糸ドラフトに強く影響される傾向にある。
紡糸温度は紡糸口金の細孔部で剪断変形を受けた状態で
の溶融粘度が数千から数万ポアズとなるように設定す
る。例えばメタンスルホン酸中、30℃で測定した極限
粘度が28dl/gでポリベンザゾール系固形分の濃度
が14重量%の場合の紡糸温度は140℃から180℃
が好ましい。気流帯域中において紡出糸は10〜120
℃に加熱された流速0.1〜1.2m/秒の気流が直交
して吹き当てられ該紡糸原液の凝固温度以下に冷却され
る。ここで紡出糸条の冷却に要する紡糸口金面からの距
離は主として紡糸口金の単孔当たりの紡糸原液紡出量と
紡糸温度および吹き当てる気流の温度と流速、所望の繊
維断面形状等によって適宜選択すればよいが、通常、気
流帯域長は10cmから100cmが好ましい。また紡
出糸に吹き当てる気体の種類に特に限定はないが空気ま
たは不活性気体を一般的に用いることができる。
【0012】該気流帯域を通過した糸条は引き続いて非
溶剤性の液体からなる抽出媒体3と接触させる。具体的
には紡糸口金下方に配設した抽出液体浴に紡出糸を導入
して液中を走行させる方法、例えば、紡出糸中のポリリ
ン酸を抽出するには特開昭63−12710号公報に記
載された漏斗形状を有する装置が利用でる。しかし、該
紡糸原液を紡出して冷却および固化させた後の糸条にか
かる張力および糸条自身の有する糸強度は他の重合体
(例えばアラミド、ポリアクリロニトリル)の紡糸の場
合に比して極めて高く、前記以外の形状からなる凝固装
置を使用しても差し支えない。例えば凝固浴としては最
も一般的である浴中に引き取りローラーを設けた槽であ
ってもよく、特開昭51−35716号公報ならびに特
公昭44−22204号公報に記載された漏斗型の凝固
装置、特公昭00−0000号公報に記載の滝状の凝固
装置、さらには特開昭61−19805号公報に記載さ
れたアスピレーターを備えた高速凝固装置等の適用が可
能である。
【0013】このようにして抽出媒体と接触させた糸条
は次に方向転換ローラー4を介して洗浄装置が配設され
た複数個のローラー5(以下、洗浄ローラー群と称す
る)に導入され、該洗浄ローラー群内において抽出媒体
で洗浄される。本発明で用いる抽出媒体の種類は特に制
限はないが、ポリベンザゾール重合体に対して実質的に
相溶性を有しないことか必要であり、また取扱性や作業
環境汚染および回収のしやすさ等を勘案すると水、メチ
ルアルコール、アセトン等が好都合である。また抽出媒
体を多段に分割して繊維の進行方向に向かってポリリン
酸の濃度を順次薄くして最終洗浄ローラーではポリリン
酸を含まない水で洗浄してもよい。ここで肝要なことは
最終の洗浄ローラーを通過した繊維に残存するポリリン
酸濃度が少なくとも0.5重量%(ポリリン酸原子濃度
に換算値)以下となるように洗浄の条件を選択すること
である。
【0014】洗浄ローラー群5を通過した繊維は必要に
応じて繊維表面に付着する水分を除去させた後、直ちに
巻取ってもよいが、好ましくは乾燥処理を行うことであ
る。乾燥処理のための加熱手段は特に制限はなく加熱ロ
ーラーや熱風や遠赤外線および高周波加熱等を単独また
はそれらを組み合わせて利用することができる。図1は
加熱ローラー6を用いた一例である。静電気発生による
繊維の開繊や糸道との接触時の摩擦抵抗の低減、つまり
工程通過性の安定化と繊維の受ける機械的な損傷を抑え
るために乾燥処理前または乾燥処理後にインラインで該
糸条に油剤を付与することが好ましい。油剤の付与手段
は特に特に制限されず従来公知の方法、例えばローラー
による付与、溝型形状を持つ所謂ガイドによる付与、ミ
スト状で噴霧する方法、等が採用できる。図1はローラ
ー7を用いた一例である。
【0015】さらに必要に応じて糸条は300℃以上、
好ましくは450℃以上の温度で熱処理を施してもよ
い。熱処理温度の上限は熱劣化による物性低下の面から
650℃未満が好都合である。かかる熱処理を施した
後、糸条は仕上げ油剤を付与してで引き取られ、巻取装
置8でパッケージに形成される。この熱処理を施すこと
により通常、紡糸後に乾燥のみでとどめた糸条の弾性率
1200g/dから2000g/d以上に増大する。も
よい。
【0016】本発明の評価に用いた各尺度は下記の手順
で求めた。 <繊維中の残存ポリリン酸濃度>繊維を湿式分解した
後、これを吸光度法で定量した。ポリリン酸濃度はリン
原子濃度(重量%)に換算して表示した。
【0017】<単糸繊度>標準状態(温度20±2℃、
相対湿度65±2%の状態)の試験室でサーチ(株)製
のオートバイブロ式繊度測定器DENIERCOMPU
TERDC−11B型を使用して単糸の繊度(デニー
ル、Den)を測定した。但し、繊維の測定長は50m
mとした。
【0018】<繊維の引張強度・伸度及び初期引張弾性
率>JIS L−1013(1981)の7.5.1に
準じ、標準状態の試験室でオリエンテック(株)製テン
シロンを使用して、把み間隔20cm、引張速度100
%/min、n=10で糸条の強伸度を測定した。
【0019】<外周長/面積>単糸の横断面をダイヤモ
ンドナイフでカツトし、切断面を写真撮影した。次にパ
ソコンを用いて写真の画像解析を行い、外周長及び断面
積を算出した。測定は単糸数30で行い、算術平均値を
求めた。
【0020】<風合い>ポリベンズビスオキサゾール繊
維を経糸及び緯糸として織密度200本/インチの平織
物を作成して風合いと嵩高性を定性的に評価した。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて説明するが勿
論本発明はこれらに限定されるものではない。 <実施例1〜4、比較例1>ポリリン酸酸を溶媒に用い
たポリベンズオキサゾールのドープ(メタンスルン酸に
溶解して25℃測定した極限粘度[η]が28dl/
g、固形分の濃度14.0重量%)を2軸の混練装置で
混練と脱泡を行った後、該ドープを紡糸原液に用いて1
60℃の温度に保って図2a〜図2dに示す形状と表1
に示す様な細孔寸法で孔数が100個で構成された紡糸
口金を用いて細孔当り0.24g/分で紡出した。該紡
出に紡糸口金面下方で22cmにわたり温度70℃、流
速0.5m/分の整流された空気を糸条に交差するよう
に吹き当て、引き続いて紡糸口金下方38cmに配設し
た温度22±2℃に保たれたイオン交換水が抽出媒体で
ある漏斗形状の抽出装置に導入した。次いで該抽出装置
の下方に配置したローラーに巻き掛けて糸条の走行方向
を転換させた後、さらにネルソン型のローラー群に巻き
掛けて紡糸張力を解放すると同時に該ローラーに近接し
た位置に設けたスプレー装置から走行糸条にイオン交換
水を散布して糸条中のポリリン酸の抽出(洗浄)を行っ
た。なお各ローラーの巻掛け総糸長と該ローラー周速度
から計算した見かけの抽出(洗浄)時間は60秒であっ
た。該糸条に高速空気を噴射して繊維糸条の表面の付着
水分を吹き飛ばした後、キスローラーを用いて油剤を付
与し、引き続いて185℃の温度に加熱されたネロソン
型のローラー(群)に導入して乾燥処理を施した。次に
糸条に油剤を付与した後、捲取装置でパッケージに成形
した。なお比較のため細孔形状が円形で孔径0.18m
m、孔長0.40mm、孔数100の紡糸口金を用い、
実施例1に準じた紡糸条件で製糸を行ってポリベンズオ
キサゾール繊維を得た。得られた繊維の断面形状や繊維
のリン残量量、力学特性及び製織後の布帛風合いの判定
結果等を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】表1より本発明に属する実施例1〜4は円
形断面糸(比較例1)に比してリン残量(ポリリン酸を
リン原子に換算した値で表示)が低く、布帛の風合いも
円形断面糸はペーパーライクであるのに対して適度の嵩
高性と腰とハリに富んだ独特のものであった。つまり、
溶媒の残量及び布帛とした時の風合いに繊維の異形断面
効果が認められた。
【0024】<実施例5〜6>細孔形状が図2b及び表
2に示す様な細孔形状の紡糸口金を用いて単孔当たりの
吐出量0.12g/分、0.49g/分の2水準で変更
した以外は実施例1に準じた紡糸条件で製糸を行ってポ
リベンズオキサゾール繊維を得た。これを実施例5〜6
にした。なお比較のため細孔形状が円形で表2に示す様
な仕様の紡糸口金を用いて実施例1に準じた紡糸条件で
製糸を行ってポリベンズオキサゾール繊維を得た。これ
を比較例2〜3とした。得られた繊維の特性を表2に示
す。
【0025】
【表2】
【0026】表2から明らかなように異形度(X/X
0)が本発明の要件を満たす実施例5〜6の繊維は繊度
が同じ円形断面糸(比較例2〜3)と比較すると繊維中
のリン残量が低く、且つ独特の風合いを有する布帛の得
られることが分かる。
【0027】
【作用】ポリベンザゾール重合体とポリリン酸からなる
紡糸原液に乾湿式紡糸法を適用して200m/分を越え
る速度でリン残量の低い繊維を得ようとすると従来公知
の洗浄手段例えば洗浄浴中を走行させる、洗浄水をスプ
レー又はシャワー状に散布する等の法を適用した場合、
洗浄効率の改善効果には限界があり洗浄装置は巨大化す
る傾向にある。このためポリベンザゾール重合体とポリ
リン酸の紡糸原液の紡糸には従来バッチ洗浄(例えば特
公昭36−23808号公報)が主として用いられき
た。または生産速度が高々80m/分程度の紡糸速度が
採用されており、工業的見地から生産性は高いとはいい
がたいのが現状であった。しかし本発明のように繊維表
面の更新性と繊維内部の拡散に注目して繊維断面を異形
化することで外周総長/断面積が円形断面異糸に比して
高く出来るためポリリン酸の抽出効率が向上すると共に
布帛の風合いに異形断面効果が現れる。
【0028】
【発明の効果】ポリベンザゾール繊維中のリン残量は繊
維物性に影響を及ぼす。しかし、繊維中の残存溶媒濃度
の低下に伴って拡散速度が低下することから高生産性を
保ちながら低濃度域から効率に溶媒を除去する技術の確
立が望まれている。本発明者等が見出した様に繊維断面
を異形化することで従来の課題が一挙に解決できる。つ
まり従来のパッケージに巻き上げた後に洗浄をする行う
バッチ方式でしか達成し得なかったリン残量の低い繊維
を得ることが可能になった。また同時に係る異形断面糸
を布帛に加工すると独特の風合い示すことから産業用の
みならず衣料用にも展開が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾湿式紡糸の一態様を示す図である。
【図2】本発明の繊維の製造に用いた紡糸口金の形状を
示す図である。
【符号の説明】
1:紡糸口金 2:横吹き気流帯域 3:漏斗型抽出浴 4:第1ローラー 5:洗浄ローラー群 6:加熱ローラー群 7:油剤付与ローラー 8:巻取装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリベンザゾール重合体からなる繊維に
    おいて、該繊維群を構成する各単糸の横断面の外周総長
    /断面積比(X)が同一繊度に相当する円形断面糸の外
    周総長/断面積比(X0)の1.10倍以上であり、且
    つ4.0GPa以上強度と140GPa以上の初期弾性
    率を有するポリベンザゾール異形断面糸。
  2. 【請求項2】 ポリベンザゾール重合体のポリリン酸溶
    液を断面が非円形の吐出細孔で構成された紡糸口金を用
    いて気体雰囲気中に吐出し、引き続いて非溶剤性と接触
    させてポリリン酸を除去した後、速度200m/分以上
    で引取ることを特徴とするポリベンザゾール異形断面糸
    の製造方法。
JP24140293A 1993-09-28 1993-09-28 ポリベンザゾール異形断面糸及びその製造方法 Pending JPH0797717A (ja)

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JP24140293A Pending JPH0797717A (ja) 1993-09-28 1993-09-28 ポリベンザゾール異形断面糸及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107557887A (zh) * 2017-09-29 2018-01-09 长青藤高性能纤维材料有限公司 一种用于异形超高分子量聚乙烯纤维生产的喷丝板

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