JP2004241786A - Igウェーハの製造方法及びこの方法で作られたigウェーハ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】OSF顕在化熱処理をした際にウェーハ総面積の25%以上にOSFが発生しかつ転位発生を伴わない酸素析出物を1×105〜3×107個/cm2密度で発生するシリコンウェーハを水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜150℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持する。
【選択図】図1
Description
このOSF、COP及びLDを有しない無欠陥のシリコンウェーハが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この無欠陥のシリコンウェーハは、シリコン単結晶インゴット内での空孔型点欠陥の凝集体及び格子間シリコン型点欠陥の凝集体がそれぞれ存在しないパーフェクト領域を[P]とするとき、パーフェクト領域[P]からなるインゴットから切出されたシリコンウェーハである。パーフェクト領域[P]は、格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在する領域[I]と、シリコン単結晶インゴット内で空孔型点欠陥が支配的に存在する領域[V]との間に介在する。このパーフェクト領域[P]からなるシリコンウェーハは、インゴットの引上げ速度をV(mm/分)とし、シリコン融液とインゴットとの界面近傍におけるインゴット鉛直方向の温度勾配をG(℃/mm)とするとき、熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFがウェーハ中心部で消滅するように、V/G(mm2/分・℃)の値を決めて作られる。
従来、シリコン単結晶インゴットから切出された、研削研磨した直後のシリコンウェーハを500〜800℃で0.5〜20時間保持してウェーハ内に酸素析出核を導入する工程と、この酸素析出核を含むシリコンウェーハを室温から800〜1000℃まで急速加熱して0.5〜20分間保持する工程と、急速加熱して0.5〜20分間保持したシリコンウェーハを更に室温まで放冷する工程と、放冷したシリコンウェーハを500〜700℃から2〜10℃/分の速度で800〜1100℃まで加熱しその温度で2〜48時間保持する工程とを含むIG処理法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
急速加熱し、室温に放冷した後で800〜1100℃まで再び加熱すると、急速加熱で生き残ったウェーハ内部の酸素析出核が成長して酸素析出物となり、安定なIG源となる。
本発明の目的は、点欠陥の凝集体が存在しないことに加えて、シリコンウェーハの状態での熱処理回数が少なくして所望のIG効果を発揮するウェーハの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、この方法で作られたIG能力の高いウェーハを提供することにある。
請求項1に係る発明では、ウェーハとして、上記割合で存在するOSF領域に所定密度の酸素析出物を含むウェーハを用いることにより、従来のウェーハ内に酸素析出核を導入する前熱処理工程及び酸素析出核の成長工程が不要となり、研磨後のウェーハを上記条件で急速加熱することにより、高いIG効果を発揮する。
請求項1に係る方法でIG処理したウェーハは、上記特性を有し、高いIG効果を発揮する。
一般的に、CZ法によりホットゾーン炉内のシリコン融液からシリコン単結晶のインゴットを引上げたときには、シリコン単結晶における欠陥として、点欠陥(point defect)と点欠陥の凝集体(agglomerates:三次元欠陥)が発生する。点欠陥は空孔型点欠陥と格子間シリコン型点欠陥という二つの一般的な形態がある。空孔型点欠陥は一つのシリコン原子がシリコン結晶格子で正常的な位置の一つから離脱したものである。このような空孔が空孔型点欠陥になる。一方、原子がシリコン結晶の格子点以外の位置(インタースチシャルサイト)で発見されるとこれが格子間シリコン点欠陥になる。
上記パーフェクト領域[P]は更に領域[PI]と領域[PV]に分類される。[PI]はV/G比が上記(V/G)1から臨界点までの領域であり、[PV]はV/G比が臨界点から上記(V/G)2までの領域である。即ち、[PI]は領域[I]に隣接し、かつ侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン型点欠陥濃度未満の格子間シリコン型点欠陥濃度を有する領域であり、[PV]は領域[V]に隣接し、かつOSFを形成し得る最低の空孔型点欠陥濃度未満の空孔型点欠陥濃度を有する領域である。
異なった速度で引上げられた複数個の基準インゴットはそれぞれ別々に軸方向にスライスされる。最適のV/Gが軸方向のスライス、ウェーハの確認及びシミュレーションの結果の相関関係から決定され、続いて最適な引上げ速度プロファイルが決定され、そのプロファイルでインゴットが製造される。実際の引上げ速度プロファイルは所望のインゴットの直径、使用される特定のホットゾーン炉及びシリコン融液の品質等を含めてこれに限定されない多くの変数に依存する。
図3に示すように、インゴットの軸方向位置P1は、中央に空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含む。位置P2は位置P1に比べて中央に小さい空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含む。位置P3は中央に空孔型点欠陥もなく、縁部分に格子間シリコン型点欠陥もないので全てパーフェクト領域である。また位置P4は格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在するリング領域及び中央のパーフェクト領域を含む。
請求項1に係るウェーハは図3の位置P2に対応したウェーハW2である。このウェーハW2はウェーハW1に比べて中央にウェーハ総面積の1/2の面積(50%)で空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含む。このウェーハW2に対して上記OSF顕在化熱処理を行うと、OSFはリング状にならずに、ウェーハの中心部にディスク状に発生する。請求項1に係るウェーハW2は、ウェーハ総面積の25%以上にOSFが発生する。OSFがウェーハ総面積の25%未満では、BMDの発生領域が狭く、十分なIG効果を得にくい。好ましくは50〜80%である。このウェーハW2は、図5に示すようにOSFがリング状でなく、中心部に顕在化するように選定して決められた引上げ速度プロファイルで成長したインゴットをスライスして作製される。図6はその平面図である。このウェーハW2ではOSFがリング状を形成しないため、COPフリーである。またLD(侵入型転位)の発生もない。このウェーハW2を作り出すインゴットは、転位発生を伴わない酸素析出物を2×104〜2×108個/cm2の割合で含む。このため、特開平8−45945号公報に示されるように急速加熱の前にウェーハの状態で500〜800℃の比較的低温で0.5〜20時間保持して、ウェーハ内に高密度に酸素析出核を導入しなくてもよい。BMD密度が2×104個/cm2未満では、ウェーハ状態で急速加熱を行ったときに十分なIG効果を得にくい。また2×108個/cm2はOSF領域に発生し得る最大のBMD密度である。
請求項1に係る熱処理方法は1回の急速加熱である。この急速加熱は水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で行われる。具体的には転位発生を伴わない酸素析出物を上記割合で含む室温のシリコンウェーハW2を1100〜1250℃の温度に加熱した炉に素早く入れ、1分〜2時間保持する。別の方法として、転位発生を伴わない酸素析出物を上記割合で含む室温のシリコンウェーハW2を高熱発生可能なランプを用いた高速加熱炉内に配置し、ランプスイッチを入れて熱射を開始し急速に1100〜1250℃の温度に加熱し、1分〜2時間保持する。ここで急速加熱とは、3℃/分以上150℃/秒以下、好ましくは30℃/分以上100℃/秒以下の昇温速度で熱処理することをいう。ランプ光照射で急速加熱する場合にはウェーハを均一に加熱できるため、予め加熱した炉に入れる場合と比較してウェーハがより反りにくいという利点がある。急速加熱して到達する最終温度が、1100℃未満ではウェーハ表面近傍における酸素析出物の消滅が不十分でDZ層を十分に確保できない。また1250℃を越えると、ウェーハ表面近傍の酸素析出物が消滅する前に転位が発生し、DZ層を十分に確保できない。また保持時間が1分未満ではウェーハ表面における酸素析出物を縮小させる時間が短すぎ、ウェーハ表面での酸素析出物の消滅が不十分でDZ層を十分に確保できない。また2時間を越えると、必要以上の厚さのDZ層が得られ、しかも生産性に悪影響を及ぼす。好ましい保持時間は1分〜1.5時間に決められる。
この急速加熱の後、シリコンウェーハを室温まで放冷すれば、ウェーハ表面から1〜100μmの深さにわたってDZ層が形成され、このDZ層より深い部分のBMD密度が2×104〜2×108個/cm3のIGウェーハが得られる。
<実施例1>
シリコン単結晶引上げ装置を用いて直径8インチのボロン(B)がドープされたp型のシリコンインゴットを引上げた。このインゴットは直胴部の長さが1200mm、結晶方位が(100)、抵抗率が約10Ωcm、酸素濃度が1.0×1018atoms/cm3(旧ASTM)であった。インゴットは、引上げ時のV/Gを0.24mm2/分℃から0.18mm2/分℃まで連続的に減少させながら、同一条件で2本育成した。そのうちの1本のインゴットは図3に示すように引上げ方向にインゴット中心を切断し、各領域の位置を調べ、別の1本から図3のP2に対応する位置のシリコンウェーハW2を切出し、試料とした。この例では試料となるウェーハW2は中央にウェーハ総面積の1/2の面積(50%)で空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含む。このウェーハW2に対して上記OSF顕在化熱処理を行うと、図6に示すようにOSFはリング状にならずに、ウェーハの中心部にウェーハ総面積の25%以上の面積でディスク状に発生する。
インゴットから切出し鏡面研磨したこのウェーハW2を水素ガス10%とアルゴンガス90%の雰囲気下、室温から1200℃まで約50℃/分の昇温速度で加熱し、1200℃で90秒間保持することにより、熱処理を行った。
実施例1と同一装置を用いて直径8インチのボロン(B)がドープされたp型のシリコンインゴットを引上げた。このインゴットは直胴部の長さ、結晶方位、抵抗率、酸素濃度が実施例1と同一であった。インゴットは実施例1と同様にV/Gを制御して、同一条件で2本育成した。そのうちの1本のインゴットは図3に示すように引上げ方向にインゴット中心を切断し、各領域の位置を調べ、別の1本から図3のP3に対応する位置のシリコンウェーハW3を切出し、試料とした。この例では試料となるウェーハW3はOSF顕在化熱処理をしたときに実施例1のディスクが縮小してディスクのないウェーハである。このウェーハW3を実施例1と同様に熱処理した。
実施例1及び比較例1の各ウェーハを劈開し、更にウェーハ表面をライト(Wright)エッチング液で選択エッチングを行い、光学顕微鏡の観察により、ウェーハ表面から深さ350μmにおける領域部分のBMD面積密度を測定した。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、OSF顕在化熱処理をしたときに、酸素析出物が比較例1のウェーハより実施例1のウェーハの方が多いため、実施例1のウェーハは比較例1のウェーハと比べてより高いIG効果が得られる。
Claims (2)
- OSF顕在化熱処理をした際にウェーハ総面積の25%以上にOSFが発生しかつ転位発生を伴わない酸素析出物を1×105〜3×107個/cm2密度で発生するシリコンウェーハを水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜150℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持するIGウェーハの製造方法。
- 請求項1記載の方法により作られたIGウェーハであって、
酸素析出物の形成されない層がウェーハ表面から1〜100μmの深さにわたって形成され、前記層より深い部分に2×104〜2×108個/cm2の密度で酸素析出物を有することを特徴とするIGウェーハ。
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