JP4743010B2 - シリコンウェーハの表面欠陥評価方法 - Google Patents
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Description
また、ベアウェーハに所定の厚さの絶縁膜を形成することによりウェーハの欠陥部位に対して厚さが変化した絶縁膜を形成する段階と、ウェーハの表面近くに形成され、欠陥部位上で厚さが変化した絶縁膜の部分を電解によって破壊するとともに欠陥部位に銅をデコレーティングする段階とを備えたウェーハの欠陥分析方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。上記特許文献2に示される方法では、結晶成長された半導体ウェーハの欠陥を肉眼で直接分析できるとある。
本発明の別の目的は、無欠陥領域からなるシリコンウェーハの製造を容易にするシリコンウェーハの表面欠陥評価方法を提供することにある。
請求項1に係る発明では、上記条件で窒化雰囲気下での急速熱処理を施すことにより、ウェーハ表層に窒化膜が生成されると、ウェーハ表面からウェーハ内部に空孔が注入される。この空孔注入と同時に、微小なCOPが存在する領域にある欠陥と、注入された空孔とが熱により結合し、少数キャリアの再結合中心として有効に働く形態になる。その結果、ウェーハ面内で少なくともパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域において、拡散長が短く検出される。この状態のウェーハにおける少数キャリア拡散長をSPV法を用いて算出すると、COPがキャリアの再結合中心としてより有効に働くため、ウェーハ表面の少なくともパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域を簡便に検出することができる。
請求項2に係る発明では、ウェーハがp型半導体であるときはウェーハ表面にHF処理を行うことで、ウェーハ表層のシリコンを水素で終端させることができるため、SPV法による少数キャリア拡散長測定によってウェーハ表面のパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域が検出し易くなる。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、領域[I]に隣接しかつパーフェクト領域[P]に属し侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン濃度未満の領域を[Pi]とし、領域[V]に隣接しかつパーフェクト領域[P]に属しCOP又はFPDを形成し得る空孔濃度以下の領域を[Pv]とするとき、シリコン単結晶インゴットから切出されたウェーハが領域[Pv]と領域[Pi]の混合領域、Pバンド領域及び領域[Vs]からなるウェーハである方法である。
本発明のシリコンウェーハの表面欠陥評価方法は、シリコン単結晶インゴットから切出されたシリコンウェーハに対して窒化雰囲気下、10〜150℃/秒の昇温速度で室温から1170℃以上シリコン融点未満の温度まで加熱処理し、処理温度で1〜120秒間保持した後に、10〜100℃/秒の降温速度で室温まで冷却する急速熱処理工程と、ウェーハ表面を表面光起電力法を用いて少数キャリア拡散長を算出することにより、ウェーハ表面の少なくともパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域を検出する工程とを含むことを特徴とする。
特に、評価対象となるシリコンウェーハが、領域[I]に隣接しかつパーフェクト領域[P]に属し侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン濃度未満の領域を[Pi]とし、領域[V]に隣接しかつパーフェクト領域[P]に属しCOP又はFPDを形成し得る空孔濃度以下の領域を[Pv]とするとき、シリコン単結晶インゴットから切出されたウェーハが領域[Pv]と領域[Pi]の混合領域、Pバンド領域及び領域[Vs]からなるウェーハであることが好ましい。
一般的に、CZ法又はMCZ法によりホットゾーン炉内のシリコン融液からシリコン単結晶のインゴットを引上げたときには、シリコン単結晶における欠陥として、点欠陥(point defect)と点欠陥の凝集体(agglomerates:三次元欠陥)が発生する。点欠陥は空孔型点欠陥と格子間シリコン型点欠陥という二つの一般的な形態がある。空孔型点欠陥は一つのシリコン原子がシリコン結晶格子で正常的な位置の一つから離脱したものである。このような空孔が空孔型点欠陥になる。一方、原子がシリコン結晶の格子点以外の位置(インタースチシャルサイト)で発見されるとこれが格子間シリコン点欠陥になる。
空孔点型欠陥の凝集体は前述したCOPの他に、LSTD(Laser Scattering Tomograph Defects)又はFPD(Flow Pattern Defects)と呼ばれる欠陥を含み、格子間シリコン型点欠陥の凝集体は前述したL/Dと呼ばれる欠陥を含む。FPDとは、インゴットをスライスして作製されたシリコンウェーハを30分間セコエッチング(Secco etching、HF:K2Cr2O7(0.15mol/l)=2:1の混合液によるエッチング)したときに現れる特異なフローパターンを呈する痕跡の源であり、LSTDとは、シリコン単結晶内に赤外線を照射したときにシリコンとは異なる屈折率を有し散乱光を発生する源である。
従って、パーフェクト領域[P]、Pバンド領域及び領域[Vs]からなるシリコンウェーハは、V/G比が上記(V/G)1から(V/G)2の範囲内を含み、(V/G)2から(V/G)3の範囲内を含み、更に(V/G)3から(V/G)4の範囲内を含み、かつこの3つの範囲のみからなるように制御されて引上げられたインゴットから切り出されたものである。また、領域[Pv]と領域[Pi]の混合領域、Pバンド領域及び領域[Vs]からなるシリコンウェーハは、V/G比が上記(V/G)1から臨界点(V/G)cの範囲内を含み、臨界点(V/G)cから(V/G)2の範囲内を含み、(V/G)2から(V/G)3の範囲内を含み、更に(V/G)3から(V/G)4の範囲内を含み、かつこの4つの範囲のみからなるように制御されて引上げられたインゴットから切り出されたものである。しかしながら、上記範囲を含みかつ上記範囲のみからなるように制御しながらインゴットを引上げるような操業しても、操業時における様々な要因に起因して、引上げたインゴットの一部には、上記範囲以外の領域が含まれるように引上げられてしまうインゴットもごく僅かながら存在する。本発明の評価方法では、そのような制御し切れなかったウェーハの評価についても簡便に行うことができる。
本発明における窒化雰囲気下とは上記条件における急速熱処理によってウェーハ表層に窒化膜が生成される程度であればよい。具体的な窒化雰囲気としてはNH3ガス、N2ガス、N2Oガス、NOガスやこれらのガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気が挙げられる。昇温速度を10〜150℃/秒に規定したのは、10℃/秒未満では生産性に劣る不具合を生じ、150℃/秒までは速度を確実に制御することができるためである。処理温度は1170℃〜シリコン融点未満である。1170℃未満では窒化膜生成によるウェーハ内部への空孔の注入が十分ではない。保持時間は1〜120秒である。1秒未満ではウェーハ表層に窒化膜が十分に生成されず、120秒を越えると生産性に劣る。降温速度は10〜100℃/秒、好ましくは70〜100℃/秒である。降温速度を10〜100℃/秒に規定したのは、10℃/秒未満では一旦ウェーハ内部に注入された空孔が表面拡散してしまうためであり、100℃/秒までは速度を確実に制御することができるためである。
<実施例1>
先ず図1に示すように、V/G比が(V/G)1から臨界点(V/G)cの範囲内を含み、また臨界点(V/G)cから(V/G)2の範囲内も含み、かつ上記範囲内のみからなるように制御して直胴部の直径が300mmのp型シリコン単結晶インゴットを引上げた。このインゴットをブロック切断、外径研削し、オリエンテーションノッチ加工を施した後、所定の厚さでスライスすることにより直径が300mmのp型シリコンウェーハを切り出した。このウェーハの表面を機械研磨して平行度を高めたものを評価対象のウェーハとした。
次いで、急速熱処理工程として、NH3ガス及びArガスを20:80の割合とした混合ガスを流して内部を窒化雰囲気とした熱処理炉にウェーハを入れ、50℃/秒の昇温速度で室温から1175℃まで加熱処理し、1175℃で10秒間保持した後に、10℃/秒の降温速度で室温まで冷却した。続いて、急速熱処理したウェーハをHF水溶液に接触させてウェーハ表層のシリコンを水素で終端させた。次に、SPV装置(SDI社製;モデル名FAaST330)を用いてウェーハ表面における少数キャリア拡散長を算出した。拡散長の測定範囲は、1〜ウェーハ厚みの2.5倍(約1900μm)である。ウェーハ表面における少数キャリア拡散長は、ウェーハ表面の領域を15×15の大きさに細分化した小領域に区分けし、この各小領域において少数キャリア拡散長が300μm以上400μm未満、400μm以上500μm未満、500μm以上600μm未満、600μm以上700μm未満及び700μm以上800μm未満のどの範囲に含まれるか分類することにより算出した。
実施例1で使用したウェーハとは異なるロットから切出したウェーハを測定サンプルとして用いた以外は実施例1と同様にしてウェーハ表面の表面欠陥を検出した。即ち、この実施例2の評価対象となるウェーハは、実施例1で引上げたインゴットとは異なるロットで引上げたインゴットから切出したウェーハであり、インゴットの引上げ条件は、実施例1で引上げたインゴットと同様、図1に示すように、V/G比が(V/G)1から臨界点(V/G)cの範囲内を含み、また臨界点(V/G)cから(V/G)2の範囲内も含み、かつ上記範囲内のみからなるように制御した直胴部の直径が300mmのp型シリコン単結晶インゴットである。
<実施例3>
実施例1並びに実施例2で使用したウェーハとは異なるロットから切出したウェーハを測定サンプルとして用いた以外は実施例1と同様にしてウェーハ表面の表面欠陥を検出した。即ち、この実施例3の評価対象となるウェーハは、実施例1及び実施例2で引上げたインゴットとは異なるロットで引上げたインゴットから切出したウェーハであり、インゴットの引上げ条件は、実施例1並びに実施例2で引上げたインゴットと同様、図1に示すように、V/G比が(V/G)1から臨界点(V/G)cの範囲内を含み、また臨界点(V/G)cから(V/G)2の範囲内も含み、かつ上記範囲内のみからなるように制御した直胴部の直径が300mmのp型シリコン単結晶インゴットである。
実施例1で使用したウェーハと同一のロットから切出したウェーハを2枚用意し、一方のウェーハをダミーウェーハとし、他方のウェーハを測定ウェーハとした。先ず、SC1とHFとを混合した洗浄剤を用いてウェーハ洗浄して表面に存在するパーティクル等の外部汚染源を除去した。次いで、ウェーハを熱酸化して、厚さ1000Åの熱酸化膜を形成した。次に、ウェーハ裏面をフッ化水素の蒸気に接触させることによりエッチングして裏面の熱酸化膜の一部を除去した。次に、銅製の上部及び下部プレートと側壁とで所定の空間を構成するデコレーション装置を用意した。この装置の上部及び下部プレートには接続端子が連結され、外部電源によって可変可能に電圧が印加され、プレート間で一定な電界が形成されるように構成されている。この装置内の下部プレートにダミーウェーハを装着した。続いて、装置の空間内に電解物質としてメタノールを注入し、上部及び下部プレートに5MV/cmの電圧を1時間印加してプレートの銅を酸化し、メタノール中にイオン化させた。次にダミーウェーハを脱着した後、測定ウェーハを装置内に装着した。上部及び下部プレートに5MV/cmの電圧を1時間印加して銅のイオンをウェーハの欠陥部位上にデコレーションさせた。デコレーションを終えたウェーハを装置から取出し、ウェーハを目視により観察し、ウェーハ表面に存在する表面欠陥をカウントした。
実施例2で使用したウェーハと同一のロットから切出したウェーハを2枚用意し、一方のウェーハをダミーウェーハとし、他方のウェーハを測定ウェーハとして用いた以外は比較例1と同様にして銅デコレーション法によりウェーハ表面の表面欠陥を検出した。
<比較例3>
実施例3で使用したウェーハと同一のロットから切出したウェーハを2枚用意し、一方のウェーハをダミーウェーハとし、他方のウェーハを測定ウェーハとして用いた以外は比較例1と同様にして銅デコレーション法によりウェーハ表面の表面欠陥を検出した。
実施例1〜3における算出結果を図2、図4及び図6に、比較例1〜3の結果を図3、図5及び図7にそれぞれ示す。
また、図6及び図7から明らかなように、比較例3の銅デコレーション方法による検出分布では表面欠陥がウェーハ全面に点在していた。一方、実施例3の結果では、少数キャリア拡散長の短い領域が存在しておらず、ウェーハ全面が少数キャリア拡散長の長い領域で覆われており、実施例3の少数キャリア拡散長の分布と比較例3の検出分布はよく対応していることが判った。
先ず、領域[I]、Bバンド領域、領域[Pi]、領域[Pv]、Pバンド領域及び領域[Vs]がインゴットの軸方向に含むように、V/G比が(V/G)5から臨界点(V/G)cの範囲内を含み、また臨界点(V/G)cから(V/G)4の範囲内も含むように制御して直胴部の直径が300mmのp型シリコン単結晶インゴットを引上げた。このインゴットをブロック切断、外径研削し、軸方向に、即ち縦割りにスライスすることにより、直径が300mmのp型シリコンウェーハを切り出した。このウェーハの表面を機械研磨して平行度を高めたものを評価対象のウェーハとした。
次いで、急速熱処理工程として、NH3ガス及びArガスを20:80の割合とした混合ガスを流して内部を窒化雰囲気とした熱処理炉に測定サンプルを入れ、50℃/秒の昇温速度で室温から1175℃まで加熱処理し、1175℃で10秒間保持した後に、10℃/秒の降温速度で室温まで冷却した。続いて、急速熱処理した測定サンプルをHF水溶液に接触させて測定サンプル表層のシリコンを水素で終端させた。
実施例4で使用した測定サンプルと同一のロットから切出した測定サンプルを2枚用意し、一方の測定サンプルをダミーサンプルとし、他方の測定サンプルを測定サンプルとして用いた以外は比較例1と同様にして銅デコレーション法により測定サンプル表面の表面欠陥を検出した。
<比較例5>
実施例4で使用した測定サンプルと同一のロットから切出した測定サンプルを用意し、μ−PCD法(Microwave Detected Photoconductive Decay Method;マイクロ波光導電率減衰法)によりライフタイムを評価し、各欠陥分布領域を評価した。
実施例4における算出結果を図8に、比較例4、5の結果を図9、図10にそれぞれ示す。
Claims (5)
- シリコン単結晶インゴットから切出されたシリコンウェーハに対して窒化雰囲気下、10〜150℃/秒の昇温速度で室温から1170℃以上シリコン融点未満の温度まで加熱処理し、前記処理温度で1〜120秒間保持した後に、10〜100℃/秒の降温速度で室温まで冷却する急速熱処理工程と、
前記ウェーハ表面を表面光起電力法を用いて少数キャリア拡散長を算出することにより、前記ウェーハ表面の少なくともパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域を検出する工程と
を含むことを特徴とするシリコンウェーハの表面欠陥評価方法。 - シリコンウェーハがp型半導体であるとき、前記ウェーハ表面の少なくともパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPが存在する領域を検出する工程の前に、前記ウェーハ表面に対してHF処理を行う工程を更に含む請求項1記載の方法。
- シリコン単結晶インゴット内での格子間シリコン型点欠陥の凝集体が存在する領域を[I]とし、空孔型点欠陥の凝集体が存在する領域を[V]とし、格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体が存在しないパーフェクト領域を[P]とし、前記領域[P]に隣接する側の前記領域[V]との境界に存在しOISF核を形成する領域をPバンド領域とし、前記Pバンド領域に隣接する側の領域[V]との境界に存在しパーティクルカウンタでは検出することができない小さなCOPを有する領域を[Vs]領域とするとき、
シリコン単結晶インゴットから切出されたウェーハが前記パーフェクト領域[P]、前記Pバンド領域及び前記領域[Vs]からなるウェーハである請求項1記載の方法。 - 領域[I]に隣接しかつパーフェクト領域[P]に属し侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン濃度未満の領域を[Pi]とし、領域[V]に隣接しかつ前記パーフェクト領域[P]に属しCOP又はFPDを形成し得る空孔濃度以下の領域を[Pv]とするとき、
シリコン単結晶インゴットから切出されたウェーハが前記領域[Pv]と前記領域[Pi]の混合領域、前記Pバンド領域及び前記領域[Vs]からなるウェーハである請求項3記載の方法。 - 格子間シリコンが優勢であって格子間シリコンが凝集した欠陥を有する領域を[I]とするとき、
前記領域[I]を含まないウェーハを窒化雰囲気下、10〜150℃/秒の昇温速度で室温から1170℃以上シリコン融点未満の温度まで加熱処理し、
前記処理温度で1〜120秒間保持した後に、10〜100℃/秒の降温速度で室温まで冷却した前記ウェーハの表面を表面光起電力法を用いて少数キャリア拡散長を算出したときに、
前記ウェーハの全面における少数キャリア拡散長が500〜800μmの範囲内であるか否かを基準に前記熱処理前のウェーハを評価する請求項1記載の方法。
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