JP2004241692A - 強誘電体メモリ素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強誘電体メモリ素子の上部電極を形成する際に、オーバーエッチングされた強誘電体膜の一部が上部電極上に柱状残渣として残るため、上部電極の上面が平滑面にならなかった。
【解決手段】下地上に、下部電極Ir層36と強誘電体(SBT)膜38と上部電極形成用のIr層40aを順次形成する。このIr層40aの上面に上部電極形成のための耐エッチングマスクTiN膜42aを形成して、第1のドライエッチング工程を実施する。第1のドライエッチングにより耐エッチングマスクTiN膜42a上に付着した析出物を除去する第2のドライエッチング工程を経て、第3のドライエッチング工程で耐エッチングマスクTiN膜42aを除去して、強誘電体メモリ素子を形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】下地上に、下部電極Ir層36と強誘電体(SBT)膜38と上部電極形成用のIr層40aを順次形成する。このIr層40aの上面に上部電極形成のための耐エッチングマスクTiN膜42aを形成して、第1のドライエッチング工程を実施する。第1のドライエッチングにより耐エッチングマスクTiN膜42a上に付着した析出物を除去する第2のドライエッチング工程を経て、第3のドライエッチング工程で耐エッチングマスクTiN膜42aを除去して、強誘電体メモリ素子を形成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、強誘電体メモリ素子の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体膜を用いた強誘電体メモリ素子(Ferroelectric RAM:以後「Fe RAM」と略することもある。)は、強誘電体膜を2つの電極で挟んだ構造である。
【0003】
強誘電体膜は自発分極を持ちヒステリシス特性を有することから、この上部電極と下部電極とにより強誘電体膜に電圧を加えれば自発分極の方向を制御できる。すなわち強誘電体は、その構成原子には安定状態が2つあり、この状態を外部から印加する電界によってスイッチすることで「0」か「1」かに対応するメモリーとしての使用が可能である。
【0004】
Fe RAMは、データの不揮発特性を有し、高速かつ高頻度書き換えが可能なことから、半導体メモリの RAM と ROM の両方の長所を併せ持っている。
【0005】
Fe RAMの形成方法を説明するために、強誘電体メモリ素子の構造を図1を参照して説明する。強誘電体メモリ素子は、シリコン基板10上に、絶縁層12および密着層14を介して、強誘電体膜18を上部電極20および下部電極16で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ24を具えた構造として形成される。以後、シリコン基板10、絶縁層12および密着層14をまとめて下地28ということもある。また、強誘電体膜に対して下地と反対側に位置する電極を「上部電極」、下地側に位置する電極を下部電極という。
【0006】
図1に示す強誘電体メモリ素子は、引出電極22を介して上部電極20から電圧を加えることで情報を記録したり、この自発分極の電界に対する応答とその保持能力とを利用して情報を読み出したりする、メモリとして利用される。
【0007】
絶縁層12にはSiO2、密着層14にはTiN、上部電極20および下部電極16にはIrやPtなど白金族の金属が使われる。強誘電体膜18には、ビスマス層状化合物系のSBT(SrBi2Ta2O9)や鉛含有ペロブスカイト系のPZT(Pb(Zr,Ti)O3)あるいはPbの一部をLaで置換したPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、などが使われる。
【0008】
図1に示すFe RAMの従来の製造方法を図2によって説明する。各図は各工程段階で得られる構造体の断面切り口を示してある。基板としてシリコン単結晶基板30を用い、これにCVD法(化学気相成長法:chemical vapor deposition)により酸化シリコン(SiO2)膜32を形成する。酸化シリコン(SiO2)膜32を形成した後高周波スパッターで密着層であるTiN膜34、を形成する。これらシリコン単結晶基板30、酸化シリコン(SiO2)膜32およびTiN膜34は、強誘電体メモリ素子を形成するための下地28を形成する(図2の(A))。
【0009】
この下地上に強誘電体キャパシタを形成する。そのためにまず、下地28上に、下部電極であるIr層36を高周波スパッターで形成する。引き続いてSr, BiとTaの2メチルヘキサン酸塩を用い、キシレンを溶媒として保存液を作成し、塗布−乾燥−熱処理の工程を繰り返すことで、Ir層36上に強誘電体(SBT)膜38を形成する。この後、高周波スパッターで、SBT膜38上に上部電極形成用のIr層40およびエッチングマスクとして利用するためのTiN膜42を順次形成し、続いて、このTiN膜42上にフォトリソグラフィーによってパターニングマスクとしてのフォトレジスト膜44を形成する (図2の(B))。
【0010】
ここまでの工程は、SBT膜を用いる強誘電体メモリ素子の構成方法として、ほぼ標準化された工程である。以下、ここまでの工程を単に「第1の工程」ということもある。
【0011】
フォトレジスト膜44をマスクとしてTiN膜42をドライエッチングでパターンニングして上部電極形成用のエッチングマスクを形成する。続いて、フォトレジスト膜44をO2プラズマで灰化処理(アッシング処理)して取り除く。この後、パターンニングされたTiN膜42aをエッチングマスクとして用いてIr層40に対して高周波スパッターでエッチングして上部電極40aを形成する (図2の(C))。以下第1の工程終了後から上部電極40aを形成するまでの工程を単に「第2の工程」ということもある。
【0012】
上部電極40aを形成する際にマスクとして使ったTiN膜42aをドライエッチングで除去して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図2の(D))。以下第2の工程終了後から素子が完成するまでの工程を単に「第3の工程」ということもある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来方法では、上部電極40a上に柱状残渣42’が形成され、上部電極表面が滑らかに形成されないという問題がある。この原因は上部電極40aを形成するためのエッチングの際、オーバーエッチングされるSBT強誘電体膜38の一部がエッチングマスクとしてのTiN膜42aの上に再付着して膜(析出物堆積膜(deposition layer):以後「デポ膜」と略称することもある。)48を形成し、エッチングマスクTiN膜42aのエッチングを阻害するためと考えられている。
【0014】
この発明の目的は、上部電極の形成の際に、柱状残渣が形成されないようにして、上部電極の上面を平滑面にした強誘電体メモリ素子の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願に係る発明者が種々検討したところ、上部電極形成に用いたエッチングマスクの除去前にデポ膜を除去するか、或いは、上部電極形成用のエッチングマスクの上面にデポ膜が形成されないようにすれば、上部電極の上面に柱状残渣が形成されないようにすることができるという結論に達した。
【0016】
従って、本願第1の発明は、このデポ膜を取り除いた後に、エッチングマスクを除去して上部電極を形成するようにした、強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の特徴を有する。
【0017】
具体的には、下地上の金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、この金属層の露出領域に対し、第1のドライエッチングを行なって上部電極を形成する。この第1のドライエッチングによりハードマスク層上に付着したデポ膜を第2のエッチングにより除去する。この後、前記ハードマスク層を第3のドライエッチングで除去して強誘電体メモリ素子を完成する。
【0018】
この製造方法によれば、ハードマスク上に付着したデポ膜は、上部電極を形成する最終段階における上部電極を形成する白金族の金属層のエッチングの際に既に除去されているので、柱状残渣は形成されず、平滑な上面を有する上部電極が形成できる。
【0019】
本願第2の発明は、製造工程のいずれにおいても、デポ膜が形成されることがない強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の特徴を有する。
【0020】
具体的には、下地上に、下部電極と、強誘電体膜と、上部電極形成用の金属層とを順次積層形成する。この金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、金属層の露出領域に対し第1のドライエッチングを行なって、この金属層の上面からこの金属層の深さの途中までエッチング除去してこの金属層の薄膜部分を残存形成する。この後このハードマスク層と、残存している金属層の薄膜部分とに対して、共通の第2のドライエッチングを行なって、ハードマスク層と金属層の薄膜部分とのエッチング除去を同時に終了させて、強誘電体メモリ素子を完成する。
【0021】
この方法によれば、上部電極のエッチングの際、ハードマスク層外に露出している金属層の領域を全て除去するのではなく、金属層の厚みの一部分を、例えば200Åから300Åの範囲の厚みだけを薄膜部分として残存させている。このため、金属層の下側の強誘電体膜がエッチングされることはないので、ハードマスク層の上面にデポ膜が付着することがない。そして、この場合には、残存した薄膜部分である上部電極材料層をエッチングするレートと、ハードマスク層をエッチングするレートとを予め知ることにより、当該薄膜部分とハードマスク層とを共通のドライエッチングで同時にエッチングが終了するように設定できる。このようにすれば、この場合も、第1の発明の場合と同様に、柱状残渣は形成されず、平滑な上面を有する上部電極が形成できる。
【0022】
本願第3の発明は、第2の発明と同様に、製造工程のいずれにおいても、デポ膜が形成されることがない強誘電体メモリ素子の製造方法であるが、第2の発明とは異なる特徴を有している。
【0023】
具体的には、下地上に、下部電極と、強誘電体膜とを順次に積層形成する。この強誘電体膜上にエッチングストッパー層を形成する。このエッチングストッパー層上に上部電極形成用の金属層を形成し、この金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、金属層の露出領域に対し、エッチングストッパー層が露出するまで、第1のドライエッチングを行なう。最後にハードマスク層を第2のドライエッチングにより除去して、強誘電体メモリ素子を完成する。
【0024】
この方法によれば、エッチングストッパー層を挿入したため、上部電極を形成する工程において、金属層のうちの上部電極を形成しない領域部分を所要の厚みだけ残してドライエッチングを終了するという、上述した第2の発明における工程を必要としない。よって、上述の残存薄膜部分を形成する工程を必要とすることなく、上部電極を形成できる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、これらの図は、この発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説明する数値的およびその他の条件は単なる好適例であり、この発明はこの発明の実施の形態にのみ何等限定されるものではない。
【0026】
また、以下、各実施例を製造工程図を参照して説明するが、工程中の各図は各工程段階で得られる構造体の断面切り口で示してある。また、既に説明した第1の工程に含まれるフォトレジストマスク44を形成するまでの工程は、以下に参照する工程図中では省略してあるので、詳細は図2(A)および図2(B)を参照されたい。
【0027】
(第1の実施例)
図3(A)から(C)は、この発明の第1の実施例の説明に供する製造工程図である。
【0028】
基板としてシリコン基板30を用い、これに例えばCVD法で酸化シリコン(SiO2)膜32を形成する。酸化シリコン膜32を形成した後高周波スパッターで密着層である膜厚600ÅのTiN膜34、下部電極である膜厚1500ÅのIr層36を形成する。引き続いてSr, BiとTaの2メチルヘキサン酸塩を用い、キシレンを溶媒として保存液を作成し、塗布−乾燥−熱処理の工程を繰り返すことで膜厚1200Åの強誘電体(SBT)膜38を形成する。
【0029】
この後、SBT膜38上面に、上部電極形成用の金属層として、膜厚1500ÅのIr膜40を形成し、耐エッチングマスク形成のための膜厚1500ÅのTiN膜42を形成する。TiN膜42上にフォトリソグラフィーを行なってフォトレジスト膜44を形成する。ここまでが第1の工程である(図2(A)及び(B)参照)。
【0030】
フォトレジスト膜44をマスクとして、上部電極40aのエッチング形成のときの耐エッチングマスクとして機能する、ハードマスク層としてTiN膜42aを、ドライエッチングを行なってパターンニングする。このドライエッチングはECR(electron cyclotron resonance etching)方式を用いて次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ90 sccmおよび10 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは、60 Wとする。
(5)エッチング時間は、35 秒とする。
【0031】
フォトレジスト膜44はO2プラズマで灰化処理(アッシング処理)して取り除く。この後、パターンニングされたTiN膜(TiN膜パターンとも称する。)42aを耐エッチングマスクとして、第1のドライエッチング、ここでは高周波スパッターで、Ir層40のTiN膜パターン42a外に露出している領域をエッチングして上部電極40aを形成する(図3(A))。この第1のドライエッチングでTiN膜パターン42a直下に残存しているIr層40の領域部分が上部電極40aとなる。この第1のドライエッチングによって強誘電体膜(SBT膜)38も多少エッチングされるため、TiN膜パターン42aの上面にはデポ膜48が付着する。この第1のドライエッチングはRI(reactive ion etching)方式を用いて次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、150 秒とする。
【0032】
ここまでのプロセスは従来のプロセスの第2の工程である。後述する第2の実施例および第3の実施例においてもここまでの工程はほぼ同一なので、特に必要な場合を除き、説明を省略する。
【0033】
第1の実施例においては、次の工程としてハードマスク層であるTiN膜パターン42a上に付着したデポ膜48を除去する工程を加える(図3(B))。この工程は第2のドライエッチングによるが、SBT膜38の露出している部分がエッチングされないようにマスクする必要はない。SBT膜38の露出している部分がエッチングされたとしても、誘電体キャパシタとしての機能に影響がないからである。しかし、もし必要ならば、SBT膜38のエッチングを防ぐマスクを設けても良い。この第2のドライエッチングはRI方式を用いて次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCF4を30 sccmの流量で供給する。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは500 Wとする。
(4)エッチング時間は、30 秒とする。
【0034】
ハードマスク層であるTiN膜 42a上に付着したデポ膜48をドライエッチングする工程でSBT膜 38も一部エッチングされるが、そのエッチングされた材料物質の一部がTiN膜 42a上に付着することはない。これは、TiN膜 42a上への再付着速度に比べて、エッチング作用が十分に大きいためである。
【0035】
以上の工程を経た後、上部電極40aを形成する際にマスクとして使ったTiN膜42aを第3のドライエッチングで除去して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図3(C))。この第3のドライエッチングはECR方式を用いて次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは60 Wとする。
(5)エッチング時間は、50 秒とする。
【0036】
(第2の実施例)
図4(A)から(C)は、この発明の第2の実施例の説明に供する製造工程図である。図4(A)は第1の工程の終了後、フォトレジスト膜44が除去され、ハードマスク層としてのTiN膜パターン42aが形成された段階での構造体を示している。
【0037】
第2の実施例においては、ハードマスク層であるTiN膜パターン 42aを耐エッチングマスクにして、上部電極形成用の金属層すなわちIr 膜40の露出領域に対し、第1のドライエッチングを行なう。このとき、SBT 膜38が露出しないようにIr膜40の、TiN膜パターン 42a外に露出した部分、すなわち上部電極となる以外の部分(図中、このIr膜が残存した薄膜部分を40bとして示す。)を、例えば、200Åから300Åの範囲内の適当な厚み分だけ残して第1のドライエッチングを終了する(図4(B))。ここまでで第2の工程が終了する。この残存した薄膜部分40bの厚みは、この薄膜部分40bとTiN膜パターン 42aとを共通のドライエッチングで実質的に同時にエッチング処理を開始したとき、薄膜部分40bとTiN膜パターン42aのエッチング除去終了時点が実質的に同時となるように設定する。
【0038】
この第1のドライエッチングはRI方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、90秒とする。
【0039】
最後に残っているハードマスク層であるTiN膜パターン 42aおよび電極となる以外の200Åから300Åだけ残されたIr膜部分、すなわち残存薄膜部分40bを第2のドライエッチングで除去すると共に、上部電極40aを形成して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図4(C))。ここまでで第3の工程が終了する。
【0040】
この第2のドライエッチングはECR方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは60 Wとする。
(5)エッチング時間は、70 秒とする。
【0041】
第1の実施例の製造方法では、ハードマスク層であるTiN 膜パターン42a上に付着したデポ膜48をドライエッチングで除去する際、強誘電体膜38も多少エッチングされ、上部電極直下以外の、強誘電体膜38の上面部分の平坦性が失われるおそれがある。第2の実施例においては、実質的に強誘電体膜38がエッチングされることはないので、強誘電体素子の集積化工程も単純化できる。
【0042】
強誘電体膜38が実質的にエッチングされないためには、既に説明したように、好ましくは、最後に残っているハードマスク層であるTiN 膜パターン42aおよび上述の残存薄膜部分40bを第2のドライエッチングで除去する際に、残存薄膜部分40bが実質的になくなった瞬間に第2のドライエッチングを終了させる必要がある。このために、事前に金属層の材料(ここではIr)とハードマスク層の材料(ここではTiN)に対するエッチング速度を把握しておけば、TiN膜42aと残存薄膜部分40bのエッチングが実質的に同時に終了するように、それぞれの膜厚を考慮して最適なエッチング時間を算出することができる。
【0043】
(第3の実施例)
図5は、この発明の第3の実施例の説明に供する製造工程図である。第3の実施例においては、第1の工程において、SBT膜38を形成した後、膜厚、例えば300ÅのTiNエッチングストッパー層50を形成する点が、従来法と異なる点である。
【0044】
その後、フォトレジスト膜44を形成(第1の工程)し、TiN膜42を、ドライエッチングを行なってパターンニングする(図5(A))までの工程は第2の実施例と同じである。
【0045】
その後、パターンニングにより得られたTiN膜パターン42aを耐エッチングマスクとして用いて、金属層としてのIr膜 40の露出領域に対して、第1のドライエッチングを行なう(図5(B))。ここまでが第2の工程である。この第1のドライエッチングはRI方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、150 秒とする。
【0046】
その後ハードマスク層であるTiN膜パターン 42aおよびエッチングストッパー層であるTiN膜50の露出領域を第2のドライエッチングで除去する。この第2のドライエッチングはECR方式を用いて、次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは、60 Wとする。
(5)エッチング時間は、50 秒とする。
以上の工程を経て、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(第3の工程:図5(C))。
【0047】
この第3の実施例にもとづき形成される素子では、上部電極(Ir膜)40aと強誘電体膜(SBT膜)38との間にストッパー層TiN 50aが存在することになるが、素子の基本性能には影響しない。
【0048】
第2の実施例においては、ハードマスク層であるTiN 膜パターン42aおよび上述の残存薄膜部分40bを、残存薄膜部分40bが実質的になくなった瞬間にドライエッチングを終了させる第2のドライエッチング工程を必要としているが、第3の実施例では、SBT膜38上に膜厚300Åのエッチングストッパー層(TiN 膜)50が形成されているので、第2の実施例で必要とした第2のドライエッチング工程を行うことなく上部電極を形成できる。
【0049】
上述した各実施例は、上部電極としてIrを用いた例につき説明したが、Irの代わりに他の白金族の金属、例えばPtも用いることができる。他の白金族の金属を使用する場合や膜厚を変更する場合には、エッチングする諸条件は、使用する金属材料や膜厚によって変えなければならないことは、当業者にとっては明白なことである。
【0050】
また、強誘電体膜もSBT膜に何ら限定されず、任意好適な強誘電体膜を用いることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、Fe RAM の上部電極の表面が平滑面として形成できるので、引出電極の形成等を支障なく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用される Fe RAM の構造の説明に供する、断面の切り口を示す図である。
【図2】(A)から(D)は、Fe RAM の従来の製造方法を説明するための製造工程図である。
【図3】(A)から(C)は、この発明の第1の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【図4】(A)から(C)は、この発明の第2の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【図5】(A)から(C)は、この発明の第3の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【符号の説明】
10:Si基板
12:SiO2絶縁層
14:TiN密着層
16:Ir下部電極
18:SBT強誘電体膜
20:Ir上部電極
22:引出電極
24:強誘電体キャパシタ
28:下地
40b:残存薄膜部分
50:TiNエッチングストッパー層
【発明の属する技術分野】
この発明は、強誘電体メモリ素子の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体膜を用いた強誘電体メモリ素子(Ferroelectric RAM:以後「Fe RAM」と略することもある。)は、強誘電体膜を2つの電極で挟んだ構造である。
【0003】
強誘電体膜は自発分極を持ちヒステリシス特性を有することから、この上部電極と下部電極とにより強誘電体膜に電圧を加えれば自発分極の方向を制御できる。すなわち強誘電体は、その構成原子には安定状態が2つあり、この状態を外部から印加する電界によってスイッチすることで「0」か「1」かに対応するメモリーとしての使用が可能である。
【0004】
Fe RAMは、データの不揮発特性を有し、高速かつ高頻度書き換えが可能なことから、半導体メモリの RAM と ROM の両方の長所を併せ持っている。
【0005】
Fe RAMの形成方法を説明するために、強誘電体メモリ素子の構造を図1を参照して説明する。強誘電体メモリ素子は、シリコン基板10上に、絶縁層12および密着層14を介して、強誘電体膜18を上部電極20および下部電極16で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ24を具えた構造として形成される。以後、シリコン基板10、絶縁層12および密着層14をまとめて下地28ということもある。また、強誘電体膜に対して下地と反対側に位置する電極を「上部電極」、下地側に位置する電極を下部電極という。
【0006】
図1に示す強誘電体メモリ素子は、引出電極22を介して上部電極20から電圧を加えることで情報を記録したり、この自発分極の電界に対する応答とその保持能力とを利用して情報を読み出したりする、メモリとして利用される。
【0007】
絶縁層12にはSiO2、密着層14にはTiN、上部電極20および下部電極16にはIrやPtなど白金族の金属が使われる。強誘電体膜18には、ビスマス層状化合物系のSBT(SrBi2Ta2O9)や鉛含有ペロブスカイト系のPZT(Pb(Zr,Ti)O3)あるいはPbの一部をLaで置換したPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、などが使われる。
【0008】
図1に示すFe RAMの従来の製造方法を図2によって説明する。各図は各工程段階で得られる構造体の断面切り口を示してある。基板としてシリコン単結晶基板30を用い、これにCVD法(化学気相成長法:chemical vapor deposition)により酸化シリコン(SiO2)膜32を形成する。酸化シリコン(SiO2)膜32を形成した後高周波スパッターで密着層であるTiN膜34、を形成する。これらシリコン単結晶基板30、酸化シリコン(SiO2)膜32およびTiN膜34は、強誘電体メモリ素子を形成するための下地28を形成する(図2の(A))。
【0009】
この下地上に強誘電体キャパシタを形成する。そのためにまず、下地28上に、下部電極であるIr層36を高周波スパッターで形成する。引き続いてSr, BiとTaの2メチルヘキサン酸塩を用い、キシレンを溶媒として保存液を作成し、塗布−乾燥−熱処理の工程を繰り返すことで、Ir層36上に強誘電体(SBT)膜38を形成する。この後、高周波スパッターで、SBT膜38上に上部電極形成用のIr層40およびエッチングマスクとして利用するためのTiN膜42を順次形成し、続いて、このTiN膜42上にフォトリソグラフィーによってパターニングマスクとしてのフォトレジスト膜44を形成する (図2の(B))。
【0010】
ここまでの工程は、SBT膜を用いる強誘電体メモリ素子の構成方法として、ほぼ標準化された工程である。以下、ここまでの工程を単に「第1の工程」ということもある。
【0011】
フォトレジスト膜44をマスクとしてTiN膜42をドライエッチングでパターンニングして上部電極形成用のエッチングマスクを形成する。続いて、フォトレジスト膜44をO2プラズマで灰化処理(アッシング処理)して取り除く。この後、パターンニングされたTiN膜42aをエッチングマスクとして用いてIr層40に対して高周波スパッターでエッチングして上部電極40aを形成する (図2の(C))。以下第1の工程終了後から上部電極40aを形成するまでの工程を単に「第2の工程」ということもある。
【0012】
上部電極40aを形成する際にマスクとして使ったTiN膜42aをドライエッチングで除去して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図2の(D))。以下第2の工程終了後から素子が完成するまでの工程を単に「第3の工程」ということもある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来方法では、上部電極40a上に柱状残渣42’が形成され、上部電極表面が滑らかに形成されないという問題がある。この原因は上部電極40aを形成するためのエッチングの際、オーバーエッチングされるSBT強誘電体膜38の一部がエッチングマスクとしてのTiN膜42aの上に再付着して膜(析出物堆積膜(deposition layer):以後「デポ膜」と略称することもある。)48を形成し、エッチングマスクTiN膜42aのエッチングを阻害するためと考えられている。
【0014】
この発明の目的は、上部電極の形成の際に、柱状残渣が形成されないようにして、上部電極の上面を平滑面にした強誘電体メモリ素子の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願に係る発明者が種々検討したところ、上部電極形成に用いたエッチングマスクの除去前にデポ膜を除去するか、或いは、上部電極形成用のエッチングマスクの上面にデポ膜が形成されないようにすれば、上部電極の上面に柱状残渣が形成されないようにすることができるという結論に達した。
【0016】
従って、本願第1の発明は、このデポ膜を取り除いた後に、エッチングマスクを除去して上部電極を形成するようにした、強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の特徴を有する。
【0017】
具体的には、下地上の金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、この金属層の露出領域に対し、第1のドライエッチングを行なって上部電極を形成する。この第1のドライエッチングによりハードマスク層上に付着したデポ膜を第2のエッチングにより除去する。この後、前記ハードマスク層を第3のドライエッチングで除去して強誘電体メモリ素子を完成する。
【0018】
この製造方法によれば、ハードマスク上に付着したデポ膜は、上部電極を形成する最終段階における上部電極を形成する白金族の金属層のエッチングの際に既に除去されているので、柱状残渣は形成されず、平滑な上面を有する上部電極が形成できる。
【0019】
本願第2の発明は、製造工程のいずれにおいても、デポ膜が形成されることがない強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の特徴を有する。
【0020】
具体的には、下地上に、下部電極と、強誘電体膜と、上部電極形成用の金属層とを順次積層形成する。この金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、金属層の露出領域に対し第1のドライエッチングを行なって、この金属層の上面からこの金属層の深さの途中までエッチング除去してこの金属層の薄膜部分を残存形成する。この後このハードマスク層と、残存している金属層の薄膜部分とに対して、共通の第2のドライエッチングを行なって、ハードマスク層と金属層の薄膜部分とのエッチング除去を同時に終了させて、強誘電体メモリ素子を完成する。
【0021】
この方法によれば、上部電極のエッチングの際、ハードマスク層外に露出している金属層の領域を全て除去するのではなく、金属層の厚みの一部分を、例えば200Åから300Åの範囲の厚みだけを薄膜部分として残存させている。このため、金属層の下側の強誘電体膜がエッチングされることはないので、ハードマスク層の上面にデポ膜が付着することがない。そして、この場合には、残存した薄膜部分である上部電極材料層をエッチングするレートと、ハードマスク層をエッチングするレートとを予め知ることにより、当該薄膜部分とハードマスク層とを共通のドライエッチングで同時にエッチングが終了するように設定できる。このようにすれば、この場合も、第1の発明の場合と同様に、柱状残渣は形成されず、平滑な上面を有する上部電極が形成できる。
【0022】
本願第3の発明は、第2の発明と同様に、製造工程のいずれにおいても、デポ膜が形成されることがない強誘電体メモリ素子の製造方法であるが、第2の発明とは異なる特徴を有している。
【0023】
具体的には、下地上に、下部電極と、強誘電体膜とを順次に積層形成する。この強誘電体膜上にエッチングストッパー層を形成する。このエッチングストッパー層上に上部電極形成用の金属層を形成し、この金属層の上面にハードマスク層を形成する。このハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、金属層の露出領域に対し、エッチングストッパー層が露出するまで、第1のドライエッチングを行なう。最後にハードマスク層を第2のドライエッチングにより除去して、強誘電体メモリ素子を完成する。
【0024】
この方法によれば、エッチングストッパー層を挿入したため、上部電極を形成する工程において、金属層のうちの上部電極を形成しない領域部分を所要の厚みだけ残してドライエッチングを終了するという、上述した第2の発明における工程を必要としない。よって、上述の残存薄膜部分を形成する工程を必要とすることなく、上部電極を形成できる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、これらの図は、この発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説明する数値的およびその他の条件は単なる好適例であり、この発明はこの発明の実施の形態にのみ何等限定されるものではない。
【0026】
また、以下、各実施例を製造工程図を参照して説明するが、工程中の各図は各工程段階で得られる構造体の断面切り口で示してある。また、既に説明した第1の工程に含まれるフォトレジストマスク44を形成するまでの工程は、以下に参照する工程図中では省略してあるので、詳細は図2(A)および図2(B)を参照されたい。
【0027】
(第1の実施例)
図3(A)から(C)は、この発明の第1の実施例の説明に供する製造工程図である。
【0028】
基板としてシリコン基板30を用い、これに例えばCVD法で酸化シリコン(SiO2)膜32を形成する。酸化シリコン膜32を形成した後高周波スパッターで密着層である膜厚600ÅのTiN膜34、下部電極である膜厚1500ÅのIr層36を形成する。引き続いてSr, BiとTaの2メチルヘキサン酸塩を用い、キシレンを溶媒として保存液を作成し、塗布−乾燥−熱処理の工程を繰り返すことで膜厚1200Åの強誘電体(SBT)膜38を形成する。
【0029】
この後、SBT膜38上面に、上部電極形成用の金属層として、膜厚1500ÅのIr膜40を形成し、耐エッチングマスク形成のための膜厚1500ÅのTiN膜42を形成する。TiN膜42上にフォトリソグラフィーを行なってフォトレジスト膜44を形成する。ここまでが第1の工程である(図2(A)及び(B)参照)。
【0030】
フォトレジスト膜44をマスクとして、上部電極40aのエッチング形成のときの耐エッチングマスクとして機能する、ハードマスク層としてTiN膜42aを、ドライエッチングを行なってパターンニングする。このドライエッチングはECR(electron cyclotron resonance etching)方式を用いて次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ90 sccmおよび10 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは、60 Wとする。
(5)エッチング時間は、35 秒とする。
【0031】
フォトレジスト膜44はO2プラズマで灰化処理(アッシング処理)して取り除く。この後、パターンニングされたTiN膜(TiN膜パターンとも称する。)42aを耐エッチングマスクとして、第1のドライエッチング、ここでは高周波スパッターで、Ir層40のTiN膜パターン42a外に露出している領域をエッチングして上部電極40aを形成する(図3(A))。この第1のドライエッチングでTiN膜パターン42a直下に残存しているIr層40の領域部分が上部電極40aとなる。この第1のドライエッチングによって強誘電体膜(SBT膜)38も多少エッチングされるため、TiN膜パターン42aの上面にはデポ膜48が付着する。この第1のドライエッチングはRI(reactive ion etching)方式を用いて次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、150 秒とする。
【0032】
ここまでのプロセスは従来のプロセスの第2の工程である。後述する第2の実施例および第3の実施例においてもここまでの工程はほぼ同一なので、特に必要な場合を除き、説明を省略する。
【0033】
第1の実施例においては、次の工程としてハードマスク層であるTiN膜パターン42a上に付着したデポ膜48を除去する工程を加える(図3(B))。この工程は第2のドライエッチングによるが、SBT膜38の露出している部分がエッチングされないようにマスクする必要はない。SBT膜38の露出している部分がエッチングされたとしても、誘電体キャパシタとしての機能に影響がないからである。しかし、もし必要ならば、SBT膜38のエッチングを防ぐマスクを設けても良い。この第2のドライエッチングはRI方式を用いて次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCF4を30 sccmの流量で供給する。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは500 Wとする。
(4)エッチング時間は、30 秒とする。
【0034】
ハードマスク層であるTiN膜 42a上に付着したデポ膜48をドライエッチングする工程でSBT膜 38も一部エッチングされるが、そのエッチングされた材料物質の一部がTiN膜 42a上に付着することはない。これは、TiN膜 42a上への再付着速度に比べて、エッチング作用が十分に大きいためである。
【0035】
以上の工程を経た後、上部電極40aを形成する際にマスクとして使ったTiN膜42aを第3のドライエッチングで除去して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図3(C))。この第3のドライエッチングはECR方式を用いて次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは60 Wとする。
(5)エッチング時間は、50 秒とする。
【0036】
(第2の実施例)
図4(A)から(C)は、この発明の第2の実施例の説明に供する製造工程図である。図4(A)は第1の工程の終了後、フォトレジスト膜44が除去され、ハードマスク層としてのTiN膜パターン42aが形成された段階での構造体を示している。
【0037】
第2の実施例においては、ハードマスク層であるTiN膜パターン 42aを耐エッチングマスクにして、上部電極形成用の金属層すなわちIr 膜40の露出領域に対し、第1のドライエッチングを行なう。このとき、SBT 膜38が露出しないようにIr膜40の、TiN膜パターン 42a外に露出した部分、すなわち上部電極となる以外の部分(図中、このIr膜が残存した薄膜部分を40bとして示す。)を、例えば、200Åから300Åの範囲内の適当な厚み分だけ残して第1のドライエッチングを終了する(図4(B))。ここまでで第2の工程が終了する。この残存した薄膜部分40bの厚みは、この薄膜部分40bとTiN膜パターン 42aとを共通のドライエッチングで実質的に同時にエッチング処理を開始したとき、薄膜部分40bとTiN膜パターン42aのエッチング除去終了時点が実質的に同時となるように設定する。
【0038】
この第1のドライエッチングはRI方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、90秒とする。
【0039】
最後に残っているハードマスク層であるTiN膜パターン 42aおよび電極となる以外の200Åから300Åだけ残されたIr膜部分、すなわち残存薄膜部分40bを第2のドライエッチングで除去すると共に、上部電極40aを形成して、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(図4(C))。ここまでで第3の工程が終了する。
【0040】
この第2のドライエッチングはECR方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは60 Wとする。
(5)エッチング時間は、70 秒とする。
【0041】
第1の実施例の製造方法では、ハードマスク層であるTiN 膜パターン42a上に付着したデポ膜48をドライエッチングで除去する際、強誘電体膜38も多少エッチングされ、上部電極直下以外の、強誘電体膜38の上面部分の平坦性が失われるおそれがある。第2の実施例においては、実質的に強誘電体膜38がエッチングされることはないので、強誘電体素子の集積化工程も単純化できる。
【0042】
強誘電体膜38が実質的にエッチングされないためには、既に説明したように、好ましくは、最後に残っているハードマスク層であるTiN 膜パターン42aおよび上述の残存薄膜部分40bを第2のドライエッチングで除去する際に、残存薄膜部分40bが実質的になくなった瞬間に第2のドライエッチングを終了させる必要がある。このために、事前に金属層の材料(ここではIr)とハードマスク層の材料(ここではTiN)に対するエッチング速度を把握しておけば、TiN膜42aと残存薄膜部分40bのエッチングが実質的に同時に終了するように、それぞれの膜厚を考慮して最適なエッチング時間を算出することができる。
【0043】
(第3の実施例)
図5は、この発明の第3の実施例の説明に供する製造工程図である。第3の実施例においては、第1の工程において、SBT膜38を形成した後、膜厚、例えば300ÅのTiNエッチングストッパー層50を形成する点が、従来法と異なる点である。
【0044】
その後、フォトレジスト膜44を形成(第1の工程)し、TiN膜42を、ドライエッチングを行なってパターンニングする(図5(A))までの工程は第2の実施例と同じである。
【0045】
その後、パターンニングにより得られたTiN膜パターン42aを耐エッチングマスクとして用いて、金属層としてのIr膜 40の露出領域に対して、第1のドライエッチングを行なう(図5(B))。ここまでが第2の工程である。この第1のドライエッチングはRI方式を用いて、次に示す条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びO2をそれぞれ20 sccmおよび40 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、5 mTorrとする。
(3)RF(13.56 MHz)パワーは800 Wとする。
(4)エッチング時間は、150 秒とする。
【0046】
その後ハードマスク層であるTiN膜パターン 42aおよびエッチングストッパー層であるTiN膜50の露出領域を第2のドライエッチングで除去する。この第2のドライエッチングはECR方式を用いて、次の条件で行なうのが好適である。
(1)エッチングガスはCl2及びBCl3をそれぞれ70 sccmおよび30 sccmの流量で混合したものを用いる。
(2)圧力は、10 mTorrとする。
(3)マイクロ波(2.45 GHz)パワーは、600 Wとする。
(4)RF(13.56 MHz)パワーは、60 Wとする。
(5)エッチング時間は、50 秒とする。
以上の工程を経て、強誘電体膜38を上部電極40aおよび下部電極36で挟んだ積層構造としての強誘電体キャパシタ46を具えた素子を完成する(第3の工程:図5(C))。
【0047】
この第3の実施例にもとづき形成される素子では、上部電極(Ir膜)40aと強誘電体膜(SBT膜)38との間にストッパー層TiN 50aが存在することになるが、素子の基本性能には影響しない。
【0048】
第2の実施例においては、ハードマスク層であるTiN 膜パターン42aおよび上述の残存薄膜部分40bを、残存薄膜部分40bが実質的になくなった瞬間にドライエッチングを終了させる第2のドライエッチング工程を必要としているが、第3の実施例では、SBT膜38上に膜厚300Åのエッチングストッパー層(TiN 膜)50が形成されているので、第2の実施例で必要とした第2のドライエッチング工程を行うことなく上部電極を形成できる。
【0049】
上述した各実施例は、上部電極としてIrを用いた例につき説明したが、Irの代わりに他の白金族の金属、例えばPtも用いることができる。他の白金族の金属を使用する場合や膜厚を変更する場合には、エッチングする諸条件は、使用する金属材料や膜厚によって変えなければならないことは、当業者にとっては明白なことである。
【0050】
また、強誘電体膜もSBT膜に何ら限定されず、任意好適な強誘電体膜を用いることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、Fe RAM の上部電極の表面が平滑面として形成できるので、引出電極の形成等を支障なく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用される Fe RAM の構造の説明に供する、断面の切り口を示す図である。
【図2】(A)から(D)は、Fe RAM の従来の製造方法を説明するための製造工程図である。
【図3】(A)から(C)は、この発明の第1の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【図4】(A)から(C)は、この発明の第2の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【図5】(A)から(C)は、この発明の第3の実施例による製造方法を説明するための製造工程図である。
【符号の説明】
10:Si基板
12:SiO2絶縁層
14:TiN密着層
16:Ir下部電極
18:SBT強誘電体膜
20:Ir上部電極
22:引出電極
24:強誘電体キャパシタ
28:下地
40b:残存薄膜部分
50:TiNエッチングストッパー層
Claims (3)
- (a) 下地上に、下部電極と、強誘電体膜と、上部電極形成用の金属層とを順次に積層形成する工程と、
(b) 該金属層の上面にハードマスク層を形成する工程と、
(c) 該ハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて前記金属層の露出領域に対し第1のドライエッチングを行なって上部電極を形成する工程と、
(d) 該第1のドライエッチングにより前記ハードマスク層上に付着した析出物堆積膜を第2のドライエッチングにより除去する工程と、
(e) 前記ハードマスク層を第3のドライエッチングにより除去する工程と
を含むことを特徴とする強誘電体メモリ素子の製造方法。 - (a) 下地上に、下部電極と、強誘電体膜と、上部電極形成用の金属層とを順次に積層形成する工程と、
(b) 該金属層の上面にハードマスク層を形成する工程と、
(c) 該ハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、前記金属層の露出領域に対し第1のドライエッチングを行なって、該金属層の上面から該金属層の深さの途中までエッチング除去して該金属層の薄膜部分を残存形成する工程と、
(d) 前記ハードマスク層と残存している前記薄膜部分とに対して共通の第2のドライエッチングを行なって該ハードマスク層と前記薄膜部分とのエッチング除去を同時に終了させる工程と
を含むことを特徴とする強誘電体メモリ素子の製造方法。 - (a) 下地上に、下部電極と、強誘電体膜とを順次に積層形成する工程と、
(b) 該強誘電体膜上にエッチングストッパー層を形成する工程と、
(c) 該エッチングストッパー層上に上部電極形成用の金属層を形成する工程と、
(d) 該金属層の上面にハードマスク層を形成する工程と、
(e) 該ハードマスク層を耐エッチングマスクとして用いて、前記金属層の露出領域に対し、前記エッチングストッパー層が露出するまで、第1のドライエッチングを行なう工程と、
(f) 前記ハードマスク層を第2のドライエッチングにより除去する工程と
を含むことを特徴とする強誘電体メモリ素子の製造方法。
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