JP2004241539A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モノマーと酸化剤からなる重合溶液の充填が十分にできていないために、コンデンサの容量を十分に引出せなかったり、ESRを下げることができないという課題を解決し、電気特性の安定を図ることのできる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】含浸槽3内にモノマーと酸化剤からなる重合溶液1を入れ、コンデンサ素子2を入れて開閉弁4を閉め、含浸槽3内を減圧状態にしてコンデンサ素子2を浸漬した後、開閉弁4を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽3内を減圧状態にした後、再度開閉弁4を開けて含浸槽3内を大気圧に開放するようにしたことにより、コンデンサ素子2内へ重合溶液1を十分に含浸させることができ、電気特性を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】含浸槽3内にモノマーと酸化剤からなる重合溶液1を入れ、コンデンサ素子2を入れて開閉弁4を閉め、含浸槽3内を減圧状態にしてコンデンサ素子2を浸漬した後、開閉弁4を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽3内を減圧状態にした後、再度開閉弁4を開けて含浸槽3内を大気圧に開放するようにしたことにより、コンデンサ素子2内へ重合溶液1を十分に含浸させることができ、電気特性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に利用される固体電解コンデンサの中で、特に、高容量で低ESRの電気的特性を安定して発揮することができる固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は固体電解コンデンサのコンデンサ素子の構成を示した展開斜視図である。図3において16はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子16は陽極箔11と陰極箔13に陽極リード14と陰極リード15を電気的に接続し、夫々の電極箔の間にセパレータ12を介在させて巻回することにより構成されたものである。
【0003】
図4は従来の固体電解コンデンサの固体電解質層形成工程における製造過程と真空状態との関係を説明する図であり、上記図3で示したコンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内に入れて含浸槽内を減圧状態にした後、コンデンサ素子を重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放してからコンデンサ素子を引き上げて、乾燥を行うことにより電極箔間の隙間に固体電解質層を形成して容量を得るようにしたものであった。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−213287号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサの製造方法においては、固体電解質層を形成するための重合溶液への含浸工程を1回しか行わないため、モノマーと酸化剤からなる重合溶液がコンデンサ素子内へ十分に充填できず、このために必要とされる容量が得られないという課題があった。
【0007】
また、モノマーと酸化剤からなる重合溶液を放置することにより酸化反応が起こり、重合溶液の粘度が増すために、含浸性が悪くなるという課題もあった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決し、コンデンサの高容量引出しを達成することができ、かつ、ESRを下げることができ、電気特性の安定を図ることのできる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、これを引き上げて乾燥することにより固体電解質層を形成した後、このコンデンサ素子を有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部を封止材にて封止する固体電解コンデンサの製造方法において、上記固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内にコンデンサ素子を入れて含浸槽内を減圧状態にした後に、コンデンサ素子を上記重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放し、続いて再度含浸槽内を減圧状態にした後に、再度含浸槽内を大気圧に開放することによりコンデンサ素子に重合溶液を含浸させるようにした固体電解コンデンサの製造方法というものであり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液をコンデンサ素子内部まで十分に充填させることができるようになるため、固体電解コンデンサの容量を引出すことができるようになるという作用を有する。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中にコンデンサ素子を浸漬した状態で、含浸槽内を減圧状態から大気圧に開放する工程を2〜10回繰り返し行うようにした製造方法であり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液をより多くコンデンサ素子内に充填させることができるようになるため、固体電解コンデンサの高容量引出しを達成し、かつ、ESRを低下させることができるという作用を有する。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、コンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、含浸槽内を減圧した状態を2秒間以上保持するようにした製造方法であり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中の溶存酸素を除去することができるため、含浸性を向上させることができるという作用を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について説明する。
【0013】
図1(a),(b)は本発明の一実施の形態における固体電解コンデンサの製造方法の要部である重合溶液の含浸工程を説明するための含浸装置の断面図、図2(a),(b)は同要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図である。
【0014】
まず、上記図3に示したコンデンサ素子を作製するために、誘電体酸化皮膜の耐電圧が30Vの陽極箔11と陰極箔13に陽極リード14と陰極リード15を電気的に接続し、夫々の電極箔の間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ12(厚さ50μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより巻回形のコンデンサ素子を作製した(このコンデンサ素子にアジピン酸アンモニウム10重量%エチレングリコール溶液を含浸させた際の周波数120Hzにおける静電容量は150μFであった)。
【0015】
図1(a)に示すように、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液1が充填された含浸槽3内に入れ、図2(a)に示すように、開閉弁4を閉め含浸槽3内を10mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子2を浸漬(図1(b)に示す)した後、開閉弁4を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽3内を10mmHgまで減圧状態にし、続いて再度開閉弁4を開けて含浸槽3内を大気圧に開放した。
【0016】
その後、含浸槽3内の重合溶液1からコンデンサ素子2を引き上げ、85℃の恒温槽に60分間放置(図示せず)して、コンデンサ素子2を乾燥させることにより、化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを電極箔間に形成した後、有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部に樹脂加硫ブチルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、この金属ケースの開口部をカーリング処理により封止して固体電解コンデンサを作製した。
【0017】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0018】
上記実施の形態1において、図2(b)に示すように、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れ、コンデンサ素子を入れて開閉弁を閉め、含浸槽内を20mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子を浸漬した後、開閉弁を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧状態にし、再度開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放するという工程を4回繰り返して行った以外は上記実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0019】
なお、上記重合溶液は時間が経つにつれて溶液の粘度が増す作用があるので、含浸槽内を減圧状態にした後、開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放する工程は、10回以内好ましくは5回以内にすることが良い。
【0020】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0021】
上記実施の形態1において、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れ、コンデンサ素子を入れて開閉弁を閉め、含浸槽内を30mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子を浸漬した状態で3秒間保持した後に、開閉弁を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁を閉めて含浸槽内を15mmHgまで減圧状態にした状態で3秒間保持した後に、再度開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放するという工程を行った以外は上記実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0022】
(実施の形態4)
上記実施の形態1において、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れコンデンサ素子を浸漬し、開閉弁4を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧した状態で2秒間放置した後、開閉弁を開けて大気開放を行い、さらに、開閉弁を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧して2秒間放置した後、再度開閉弁を開けて大気開放を行った以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0023】
なお、上記実施の形態3,4の方法により製造した固体電解コンデンサは、含浸槽内を減圧した状態で所定時間放置することにより、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中の溶存酸素を除去することができるため、コンデンサ素子へモノマーと酸化剤からなる重合溶液の含浸性の向上が図れ、また漏れ電流の低下を図ることができるものであり、このように重合溶液中の溶存酸素を除去するためには、含浸槽内を減圧状態で放置する時間が1秒以上、好ましくは2秒以上必要であり、放置時間を必要以上に長くしても含浸性の向上は図れないことから、10秒以内、好ましくは5秒以内とすることが良い。
【0024】
以上のように作製された本発明の実施の形態1〜4の固体電解コンデンサと従来品について、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100KHz)、漏れ電流の特性を測定し、その結果を(表1)に示す。
【0025】
なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESR、漏れ電流は平均値を示した。
【0026】
【表1】
【0027】
(表1)から明らかなように、本発明の実施の形態の1〜4の固体電解コンデンサは、従来品に比べ静電容量の値が大きく、ESRの値も低く、漏れ電流も低いことがわかる。これは、含浸槽内を減圧した状態の後、大気圧に開放を行う工程を繰り返すことにより、モノマーと酸化剤からなる重合溶液がコンデンサ素子の電極箔のピット内へより多く充填されているからである。
【0028】
また、含浸槽内を減圧状態で放置することにより、溶存酸素が除去され、含浸性の向上が図れているからであり、本発明の効果が十分に発揮できていることがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成をモノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内にコンデンサ素子を入れて含浸槽内を減圧状態にした後にコンデンサ素子を上記重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放し、続いて再度含浸槽内を減圧状態にした後に再度含浸槽内を大気圧に開放するようにして行うようにしたため、重合溶液がコンデンサ素子の電極箔のピット内により多く充填されるようになって固体電解コンデンサの高容量引出しを達成し、かつ低ESR化が図れ、電気特性の安定化が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)本発明の一実施の形態における固体電解コンデンサの製造方法の要部であるコンデンサ素子への重合溶液の含浸工程を示した含浸装置の断面図
【図2】(a),(b)同要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図
【図3】固体電解コンデンサのコンデンサ素子の構成を示した展開斜視図
【図4】従来の固体電解コンデンサの製造方法の要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図
【符号の説明】
1 モノマーと酸化剤からなる重合溶液
2 コンデンサ素子
3 含浸槽
4 開閉弁
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に利用される固体電解コンデンサの中で、特に、高容量で低ESRの電気的特性を安定して発揮することができる固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は固体電解コンデンサのコンデンサ素子の構成を示した展開斜視図である。図3において16はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子16は陽極箔11と陰極箔13に陽極リード14と陰極リード15を電気的に接続し、夫々の電極箔の間にセパレータ12を介在させて巻回することにより構成されたものである。
【0003】
図4は従来の固体電解コンデンサの固体電解質層形成工程における製造過程と真空状態との関係を説明する図であり、上記図3で示したコンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内に入れて含浸槽内を減圧状態にした後、コンデンサ素子を重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放してからコンデンサ素子を引き上げて、乾燥を行うことにより電極箔間の隙間に固体電解質層を形成して容量を得るようにしたものであった。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−213287号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサの製造方法においては、固体電解質層を形成するための重合溶液への含浸工程を1回しか行わないため、モノマーと酸化剤からなる重合溶液がコンデンサ素子内へ十分に充填できず、このために必要とされる容量が得られないという課題があった。
【0007】
また、モノマーと酸化剤からなる重合溶液を放置することにより酸化反応が起こり、重合溶液の粘度が増すために、含浸性が悪くなるという課題もあった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決し、コンデンサの高容量引出しを達成することができ、かつ、ESRを下げることができ、電気特性の安定を図ることのできる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、これを引き上げて乾燥することにより固体電解質層を形成した後、このコンデンサ素子を有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部を封止材にて封止する固体電解コンデンサの製造方法において、上記固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内にコンデンサ素子を入れて含浸槽内を減圧状態にした後に、コンデンサ素子を上記重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放し、続いて再度含浸槽内を減圧状態にした後に、再度含浸槽内を大気圧に開放することによりコンデンサ素子に重合溶液を含浸させるようにした固体電解コンデンサの製造方法というものであり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液をコンデンサ素子内部まで十分に充填させることができるようになるため、固体電解コンデンサの容量を引出すことができるようになるという作用を有する。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中にコンデンサ素子を浸漬した状態で、含浸槽内を減圧状態から大気圧に開放する工程を2〜10回繰り返し行うようにした製造方法であり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液をより多くコンデンサ素子内に充填させることができるようになるため、固体電解コンデンサの高容量引出しを達成し、かつ、ESRを低下させることができるという作用を有する。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、コンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、含浸槽内を減圧した状態を2秒間以上保持するようにした製造方法であり、この方法により、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中の溶存酸素を除去することができるため、含浸性を向上させることができるという作用を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について説明する。
【0013】
図1(a),(b)は本発明の一実施の形態における固体電解コンデンサの製造方法の要部である重合溶液の含浸工程を説明するための含浸装置の断面図、図2(a),(b)は同要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図である。
【0014】
まず、上記図3に示したコンデンサ素子を作製するために、誘電体酸化皮膜の耐電圧が30Vの陽極箔11と陰極箔13に陽極リード14と陰極リード15を電気的に接続し、夫々の電極箔の間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ12(厚さ50μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより巻回形のコンデンサ素子を作製した(このコンデンサ素子にアジピン酸アンモニウム10重量%エチレングリコール溶液を含浸させた際の周波数120Hzにおける静電容量は150μFであった)。
【0015】
図1(a)に示すように、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液1が充填された含浸槽3内に入れ、図2(a)に示すように、開閉弁4を閉め含浸槽3内を10mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子2を浸漬(図1(b)に示す)した後、開閉弁4を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽3内を10mmHgまで減圧状態にし、続いて再度開閉弁4を開けて含浸槽3内を大気圧に開放した。
【0016】
その後、含浸槽3内の重合溶液1からコンデンサ素子2を引き上げ、85℃の恒温槽に60分間放置(図示せず)して、コンデンサ素子2を乾燥させることにより、化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを電極箔間に形成した後、有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部に樹脂加硫ブチルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、この金属ケースの開口部をカーリング処理により封止して固体電解コンデンサを作製した。
【0017】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0018】
上記実施の形態1において、図2(b)に示すように、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れ、コンデンサ素子を入れて開閉弁を閉め、含浸槽内を20mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子を浸漬した後、開閉弁を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁4を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧状態にし、再度開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放するという工程を4回繰り返して行った以外は上記実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0019】
なお、上記重合溶液は時間が経つにつれて溶液の粘度が増す作用があるので、含浸槽内を減圧状態にした後、開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放する工程は、10回以内好ましくは5回以内にすることが良い。
【0020】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0021】
上記実施の形態1において、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れ、コンデンサ素子を入れて開閉弁を閉め、含浸槽内を30mmHgまで減圧状態にしてからコンデンサ素子を浸漬した状態で3秒間保持した後に、開閉弁を開けて大気圧に開放し、続いて再度開閉弁を閉めて含浸槽内を15mmHgまで減圧状態にした状態で3秒間保持した後に、再度開閉弁を開けて含浸槽内を大気圧に開放するという工程を行った以外は上記実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0022】
(実施の形態4)
上記実施の形態1において、含浸槽内に複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む重合溶液を入れコンデンサ素子を浸漬し、開閉弁4を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧した状態で2秒間放置した後、開閉弁を開けて大気開放を行い、さらに、開閉弁を閉めて含浸槽内を10mmHgまで減圧して2秒間放置した後、再度開閉弁を開けて大気開放を行った以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0023】
なお、上記実施の形態3,4の方法により製造した固体電解コンデンサは、含浸槽内を減圧した状態で所定時間放置することにより、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中の溶存酸素を除去することができるため、コンデンサ素子へモノマーと酸化剤からなる重合溶液の含浸性の向上が図れ、また漏れ電流の低下を図ることができるものであり、このように重合溶液中の溶存酸素を除去するためには、含浸槽内を減圧状態で放置する時間が1秒以上、好ましくは2秒以上必要であり、放置時間を必要以上に長くしても含浸性の向上は図れないことから、10秒以内、好ましくは5秒以内とすることが良い。
【0024】
以上のように作製された本発明の実施の形態1〜4の固体電解コンデンサと従来品について、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100KHz)、漏れ電流の特性を測定し、その結果を(表1)に示す。
【0025】
なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESR、漏れ電流は平均値を示した。
【0026】
【表1】
【0027】
(表1)から明らかなように、本発明の実施の形態の1〜4の固体電解コンデンサは、従来品に比べ静電容量の値が大きく、ESRの値も低く、漏れ電流も低いことがわかる。これは、含浸槽内を減圧した状態の後、大気圧に開放を行う工程を繰り返すことにより、モノマーと酸化剤からなる重合溶液がコンデンサ素子の電極箔のピット内へより多く充填されているからである。
【0028】
また、含浸槽内を減圧状態で放置することにより、溶存酸素が除去され、含浸性の向上が図れているからであり、本発明の効果が十分に発揮できていることがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成をモノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内にコンデンサ素子を入れて含浸槽内を減圧状態にした後にコンデンサ素子を上記重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放し、続いて再度含浸槽内を減圧状態にした後に再度含浸槽内を大気圧に開放するようにして行うようにしたため、重合溶液がコンデンサ素子の電極箔のピット内により多く充填されるようになって固体電解コンデンサの高容量引出しを達成し、かつ低ESR化が図れ、電気特性の安定化が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)本発明の一実施の形態における固体電解コンデンサの製造方法の要部であるコンデンサ素子への重合溶液の含浸工程を示した含浸装置の断面図
【図2】(a),(b)同要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図
【図3】固体電解コンデンサのコンデンサ素子の構成を示した展開斜視図
【図4】従来の固体電解コンデンサの製造方法の要部である固体電解質層形成工程における製造過程と真空との関係を説明する図
【符号の説明】
1 モノマーと酸化剤からなる重合溶液
2 コンデンサ素子
3 含浸槽
4 開閉弁
Claims (3)
- 誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、これを引き上げて乾燥することにより固体電解質層を形成した後、このコンデンサ素子を有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部を封止材にて封止する固体電解コンデンサの製造方法において、上記固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液が充填された含浸槽内にコンデンサ素子を入れて含浸槽内を減圧状態にした後に、コンデンサ素子を上記重合溶液中に浸漬し、その後含浸槽内を大気圧に開放し、続いて再度含浸槽内を減圧状態にした後に、再度含浸槽内を大気圧に開放することによりコンデンサ素子に重合溶液を含浸させるようにした固体電解コンデンサの製造方法。
- 固体電解質層の形成を、モノマーと酸化剤からなる重合溶液中にコンデンサ素子を浸漬した状態で、含浸槽内を減圧状態から大気圧に開放する工程を2〜10回繰り返し行うようにした請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- コンデンサ素子をモノマーと酸化剤からなる重合溶液に浸漬し、含浸槽内を減圧した状態を2秒間以上保持するようにした請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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