JP5288427B2 - 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP5288427B2
JP5288427B2 JP2001295763A JP2001295763A JP5288427B2 JP 5288427 B2 JP5288427 B2 JP 5288427B2 JP 2001295763 A JP2001295763 A JP 2001295763A JP 2001295763 A JP2001295763 A JP 2001295763A JP 5288427 B2 JP5288427 B2 JP 5288427B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolytic
electrolytic capacitor
capacitor element
oxidizing agent
polymerizable monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001295763A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002260965A (ja
Inventor
典仁 福井
英彦 伊東
篤志 吉澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemi Con Corp filed Critical Nippon Chemi Con Corp
Priority to JP2001295763A priority Critical patent/JP5288427B2/ja
Publication of JP2002260965A publication Critical patent/JP2002260965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5288427B2 publication Critical patent/JP5288427B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサに係り、特に、コンデンサ素子にモノマー溶液と酸化剤溶液を含浸する際の方法及び条件に改良を施した固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサに関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出して、コンデンサ素子内でEDT等の重合性モノマーの重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。
この後、コンデンサ素子を外装ケースに挿入し、外装ケース内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させることによって、コンデンサ素子の外周に外装樹脂を被覆し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。なお、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層が損傷して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コンデンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行うことにより酸化皮膜層を修復し、特性の向上を図っている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、上記のような製造方法では、コンデンサ素子にEDT等の重合性モノマーを吐出→乾燥→酸化剤を吐出→重合という工程が必要となり、工程が煩雑なものとなるため、EDT溶液等の重合性モノマー溶液と酸化剤溶液を予め混合して含浸させる方法が用いられているが、特性が十分なものではないという問題点があった。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、簡便な製造工程で、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサを提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者等は、上記課題を解決すべく、簡便な製造工程で、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本出願人が別途特許出願したように、一定量の重合性モノマーと一定量の酸化剤を所定の溶媒と共に混合すると、この混合の過程で、モノマーと酸化剤が接触して重合も進行する、言い換えれば、モノマーと酸化剤の混合が進みながらも、2つのモノマーが重合して二量体を形成し、さらに三量体となり、さらなる重合が進行するという状況になる。そして、混合液中のモノマーの二量化が5%以上進行した時点で、この混合液をコンデンサ素子に含浸すると良好な特性が得られるとの知見に基づき、このような混合状態が得られる各種の条件、具体的には、酸化剤の溶媒に対する濃度、重合性モノマーと酸化剤の重量比、あるいは添加剤の効果について検討を行ったものである。以下、本発明について詳述する。
(固体電解コンデンサの製造方法)
陽極箔を陰極箔及びセパレータと共に巻回してコンデンサ素子を形成する。一方、所定の容器に重合性モノマーと酸化剤と所定の溶媒とを入れて混合し、その直後に、コンデンサ素子をこの混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、固体電解コンデンサを完成する。
この場合、所定の溶媒に対する酸化剤の濃度を40〜55wt%とする、重合性モノマーと酸化剤の重量比を1:0.9〜1:2.2の範囲内とする、あるいは上記の混合液に所定の重合促進剤を添加するという処理の少なくともいずれかを行う。
(酸化剤及びその濃度)
酸化剤としては、ブタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができる。
この場合、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜55wt%が好ましく、45〜53wt%がより好ましい。この範囲未満ではESRが上昇し、この範囲を超えると混合液の含浸性が低下して、静電容量等の初期特性が低下する。
酸化剤の溶媒に対する濃度を上記の範囲に規定した理由は、以下の通りである。すなわち、本発明においては、モノマーと酸化剤を混合するが、これらを混合する過程で、モノマーと酸化剤が接触して重合も進行し、粘度も上昇していく。しかし、コンデンサ素子にこの混合液を含浸する時点では、両者の混合は進行しているが、重合はあまり進んでいないという状態が好ましい。
このような知見に基づいて、本発明者等は、酸化剤の濃度を種々変えて検討したところ、酸化剤の溶媒に対する濃度が55wt%以下である場合に良好な結果が得られたものである。すなわち、酸化剤の濃度が少ないと、混合液の粘度が低いので混合しやすく、さらに重合の進行が少ないので粘度もそれほど上昇せず、混合が進んで粘度が上がっていないという状態が得られ、この状態でコンデンサ素子に含浸すると良好な混合液の含浸状態が得られることが分かった。一方、酸化剤の溶媒に対する濃度が40%未満であると、モノマーを重合する酸化剤が十分ではなくなり、形成される導電性ポリマーの量が低下してESRが上昇することが分かった。
(重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、所定の酸化剤と混合することによって緩やかな重合反応を行って導電性ポリマーを形成するものが好ましく、以下に述べるEDTの他に、下記の構造式で表されるチオフェン誘導体を用いることができる。従って、急速に重合反応が進行するピロール等は好ましくない。
Figure 0005288427
(EDT)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
(重合性モノマーと酸化剤の混合比)
重合性モノマーと酸化剤(溶媒を含まず)の混合比は、重量比で1:0.9〜1:2.2の範囲が好適であり、1:1.3〜1:2.0の範囲がより好適である。この範囲外ではESRが上昇する。
その理由は、以下の通りであると考えられる。すなわち、モノマーに対する酸化剤の量が多過ぎると、相対的に含浸されるモノマーの量が低下するので、形成される導電性ポリマーの量が低下してESRが上昇する。一方、酸化剤の量が少なすぎると、モノマーを重合するのに必要な酸化剤が不足して、形成される導電性ポリマーの量が低下してESRが上昇する。
(重合促進剤の添加)
また、混合液に重合促進剤を添加すると、重合度が上がるためと考えられるが、コンデンサの特性が向上し、さらに、耐熱特性が向上する。なお、重合促進剤の添加量は、混合液中0.5〜3wt%であることが好ましい。
この重合促進剤としては、メチルアミン、エチルアミン等のモノアミン、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリアミン等のアミン類、硫酸第一鉄、ベンゾイル鉄等の鉄塩、N,N−ジメチルアニリン、テトラヒドロキノリン等を挙げることができるが、これらの中でもトリエチルアミン、メチルジエタノールアミンが好適である。
なお、これらの重合促進剤の効果は、モノマーと酸化剤をコンデンサ素子に含浸して重合させる場合に得ることができるが、重合促進剤を添加した混合液を含浸する場合の方が、モノマー乃至酸化剤に重合促進剤を添加して、これらを別々に含浸する場合に比べて、重合促進剤が混合液に均一に混合した状態になるので好適である。
(含浸方法)
本発明に係る混合液をコンデンサ素子に含浸する方法としては、混合液にコンデンサ素子を浸漬する方法、混合液を吐出法等によってコンデンサ素子に注入する方法等を用いることができるが、工程的には浸漬法が簡便で好ましい。この場合、所定の容器に一定量のモノマーと一定量の酸化剤を所定の溶媒と共に注入し、その後に混合して、この容器にコンデンサ素子を浸漬して含浸する方法が、容器内では混合が良好に進行し、工程的に簡便であるためより好ましい。
(容器の形状)
浸漬法に用いる容器の形状は特に限定されないが、底面及び開口部の面積はコンデンサ素子の底面積の1.05〜1.35倍が望ましく、1.1〜1.25倍がより望ましい。この範囲未満ではコンデンサ素子を浸漬した際に、混合液の浸透状態が好ましくなく、この範囲を越えると混合液の振動、混合が良好に進行しないからである。
(容器に注入する混合液の量)
容器に注入する混合液の量は、モノマー、酸化剤の総量がコンデンサ素子の空隙容積(コンデンサ素子内の空間部の容積)の0.4倍以上であることが望ましく、0.6倍以上であることがより望ましい。この範囲未満では、混合液が不十分であり、十分な量のポリマーを形成することができないからである。
なお、混合液の注入については、モノマーと酸化剤溶液を注入する方法が好適である。すなわち、予め酸化剤と溶媒を混合して酸化剤溶液を作成し、この酸化剤溶液とモノマーを注入する。この方法によっても、本発明の方法によって均一に混合することができる。さらに、モノマーと酸化剤の注入順序は、注入量の少ないモノマーを先に注入することが望ましい。
(混合方法)
重合性モノマーと酸化剤を所定の溶媒と共に混合する方法としては、振動、撹拌、超音波等を用いることができるが、なかでも、工程的には振動を用いるのが簡便で好ましい。振動は横振動、縦振動、斜め振動、さらには円運動、楕円運動やこれらの混じった振動を用いることができ、これらの振動によって混合を促進させることができる。さらに、重合性モノマーと酸化剤を容器内に注入する工程においても振動を加えると、この工程でも混合が進行するので好適である。
振動は、リニアフィーダー方式、モーター方式、超音波振動等、振動を与えることができるものであればその方式は問わないが、均一な振動を与えることができるモーター方式等が好適である。
また、振動する工程における温度は5〜35℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。5℃未満では混合液が良好に混合せず、35℃を越えると振動中に重合が進行して、良好な状態で混合液をコンデンサ素子に含浸することができないからである。
さらに、振動の振幅は0.1mm以上であることが好適である。この振幅未満では混合があまり進行せず、その間に重合が進行して粘度が上昇し、良好な状態で混合液を含浸することができなくなるからである。
また、振動時間は1秒〜1分が好適であり、5〜15秒がより好適である。振動時間が短すぎると、混合が不十分なために良好な混合液が含浸されず、コンデンサの特性が低下し、振動時間が長すぎると、重合が進みすぎて混合液の粘度が上昇し、含浸性が低下するからである。
なお、混合時に振動を加える場合の条件は、容器中の混合液の液量、振動の周波数、振幅の大きさ、振動時間等によって異なる。例えば、150mgの混合液に対しては、振動の周波数が50Hz、振幅が4mmの場合、振動時間は10秒が望ましい。
(浸漬時間)
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×2L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ8×4L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
(減圧)
含浸する工程で減圧すると、含浸される混合液の量が増大し、コンデンサ素子内で形成される導電性ポリマーの量が増大することによるものと思われるが、ESR特性が向上するので好適である。
減圧する方法は、第一にコンデンサ素子を減圧下に保持した後に混合液に含浸する方法、第二にコンデンサ素子を混合液に含浸した状態で減圧する方法、第三にコンデンサ素子を混合液に含浸した後にコンデンサ素子を混合液から引き上げて減圧状態で保持する方法があるが、これらの中でも第三の方法が簡便で好ましい。
また、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状態とすることが望ましい。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるため、コンデンサ素子内部でのポリマーの密度が高くなり、熱安定性等の特性の向上を図ることができるからである。また、電極箔のピット内部にも混合液が入りやすくなるため、静電容量のアップを図ることができるからである。
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(作用・効果)
上記のように、重合性モノマーと酸化剤の混合液をコンデンサ素子に含浸する場合に、酸化剤の溶媒に対する濃度を40〜55wt%とすることにより、重合性モノマーと酸化剤を所定の溶媒と混合した直後において、重合性モノマーと酸化剤の混合は進行しているが、重合はあまり進んでいないという状態が得られ、混合液をコンデンサ素子に含浸するのに最適な状態とすることができる。そのため、上記のような本発明の製造方法によれば、重合性モノマーと酸化剤と溶媒を混合した混合液を、含浸に最も適した状態でコンデンサ素子に含浸することができるので、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる。
また、重合性モノマーと酸化剤の混合液をコンデンサ素子に含浸する場合に、重合性モノマーと酸化剤の重量比を1:0.9〜1:2.2の範囲とすることにより、重合性モノマーに対する酸化剤の量を適正な量とすることができ、混合液をコンデンサ素子に含浸するのに最適な状態とすることができる。そのため、上記のような本発明の製造方法によれば、重合性モノマーと酸化剤と溶媒を混合した混合液を、含浸に最も適した状態でコンデンサ素子に含浸することができるので、導電性ポリマーの形成量を増大させることができ、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる。
さらに、重合性モノマーと酸化剤の混合液をコンデンサ素子に含浸する場合に、混合液に重合促進剤を添加することにより、重合度を上げることができるため、コンデンサの特性が向上し、さらに、耐熱特性が向上する。
また、本発明の製造方法によれば、コンデンサ素子を混合液に浸漬するので、コンデンサ素子が大きくなっても、コンデンサ素子の外表面の全体から混合液を浸透させることができるので、均一な浸透が可能になる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明に係る実施例1〜実施例4は、重合性モノマーとしてEDT、酸化剤溶液としてパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を用い、実施例1及び実施例3は、所定の容器に、EDTと本発明の範囲内の濃度に調製したp−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を注入したものであり、実施例4は、さらに重合促進剤としてトリエチルアミンを添加したものである。また、実施例2は、所定の容器に、EDTと本発明の範囲外の濃度に調製したp−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、本発明の範囲内の重量比で注入したものである。また、実施例5〜実施例10は重合性モノマーとしてそれぞれ下記の構造式のものを用いてコンデンサ素子を形成したものである。
また、比較例1は、所定の容器に、EDTと本発明の範囲外の濃度に調製したp−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を注入したものであり、比較例2は、混合液としてピロールと過硫酸アンモニウムを用い、これらを容器内に注入した後、振動を加えなかったものである。また、比較例3及び比較例4は、それぞれ実施例5〜7及び実施例8〜10と同じ重合性モノマーを用い、この重合性モノマーとp−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液の混合比が1:0.5となるように注入したものである。
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が8φ×4Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
一方、カップ状の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その重量比が1:0.8となるように注入し、常温で横2mm、縦1.5mmの振動を10秒間与えた。その後、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、100℃、1時間加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。そして、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口してエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は4WV、定格容量は820μFである。
(実施例2)
カップ状の容器に、EDTと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
カップ状の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例4)
カップ状の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入し、さらに重合促進剤としてトリエチルアミンを4.9g添加したものである。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例1)
カップ状の容器に、EDTと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:0.5となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例2)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が8φ×4Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
また、混合液として、ピロールと過硫酸アンモニウムを用い、これらをカップ状の容器に注入した後、振動を加えずに混合し、この混合液中に上記のコンデンサ素子を浸漬し、常温放置して、ポリピロールからなる固体電解質層を形成した。その後、コンデンサ素子の表面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口して、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例5)
重合性モノマーとして下記の構造式のものを用い、カップ状の容器に、この重合性モノマーと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:0.8となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
Figure 0005288427
(実施例6)
カップ状の容器に、実施例5と同様の重合性モノマーと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例7)
カップ状の容器に、実施例5と同様の重合性モノマーと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例3)
実施例5〜7と同様の重合性モノマーを用い、カップ状の容器に、この重合性モノマーと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:0.5となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例8)
重合性モノマーとして下記の構造式のものを用い、カップ状の容器に、この重合性モノマーと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:0.8となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
Figure 0005288427
(実施例9)
カップ状の容器に、実施例8と同様の重合性モノマーと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例10)
カップ状の容器に、実施例8と同様の重合性モノマーと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:1.3となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例4)
実施例8〜10と同様の重合性モノマーを用い、カップ状の容器に、この重合性モノマーと35%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を、その混合比が1:0.5となるように注入した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例1〜10及び比較例1〜4の各固体電解コンデンサについて、電気的特性を調べたところ、表1に示したような結果が得られた。
Figure 0005288427
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜4の固体電解コンデンサの特性はいずれも良好であった。特に、酸化剤の濃度及びEDTと酸化剤の比が共に本発明の範囲内で、さらに重合促進剤を添加した実施例4においては、より優れた特性が得られた。
一方、酸化剤の濃度及びEDTと酸化剤の比が共に本発明の範囲外である比較例1では、実施例1〜4と比べて特性は大幅に低下した。また、ピロールを用いた比較例2では満足な特性が得られなかった。これは、モノマーと酸化剤を注入した時点で急速に重合が始まり、十分な量の混合液がコンデンサ素子に含浸されなかったためと考えられる。なお、比較例2において、振動を加えた場合、特性はさらに低下した。
また、重合性モノマーとして他のチオフェン誘導体を用いた実施例5〜10及び比較例3,4についても同様の結果が得られた。すなわち、本発明に係る実施例5〜7の固体電解コンデンサの特性はいずれも良好であった。特に、酸化剤の濃度及び重合性モノマーと酸化剤の比が共に本発明の範囲内である実施例7においては、より優れた特性が得られた。一方、酸化剤の濃度及び重合性モノマーと酸化剤の比が共に本発明の範囲外である比較例3では、実施例5〜7と比べて特性は大幅に低下した。
また、本発明に係る実施例8〜10の固体電解コンデンサの特性はいずれも良好であった。特に、酸化剤の濃度及び重合性モノマーと酸化剤の比が共に本発明の範囲内である実施例10においては、より優れた特性が得られた。一方、酸化剤の濃度及び重合性モノマーと酸化剤の比が共に本発明の範囲外である比較例4では、実施例8〜10と比べて特性は大幅に低下した。
発明の効果
以上述べたように、本発明によれば、簡便な製造工程で、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサを提供することができる。

Claims (7)

  1. 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、緩やかな
    重合反応を示す重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質
    層を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法において、
    重合性モノマーと酸化剤を所定の溶媒と共に混合する際に、前記酸化剤の溶媒に対する
    濃度を40〜55wt%とし、これらを混合した直後、当該混合液中の前記重合性モノマ
    ーの二量化が5%以上進行した後に、前記コンデンサ素子にこの混合液を10秒以上含浸
    して固体電解質層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記重合性モノマーと酸化剤を所定の溶媒と共に混合する際に、トリエチルアミン及び
    /又はメチルジエタノールからなる重合促進剤を添加したことを特徴とする請求項1に記
    載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記コンデンサ素子に前記混合液を含浸する方法が、前記混合液にコンデンサ素子を浸
    漬する方法であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  4. 前記コンデンサ素子に前記混合液を含浸する工程において、減圧状態とすることを特徴
    とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記重合性モノマーが、チオフェン又はその誘導体であることを特徴とする請求項1乃
    至請求項4のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とす
    る請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法によって形
    成したことを特徴とする固体電解コンデンサ。
JP2001295763A 2000-12-28 2001-09-27 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ Expired - Fee Related JP5288427B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001295763A JP5288427B2 (ja) 2000-12-28 2001-09-27 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000402160 2000-12-28
JP2000402160 2000-12-28
JP2000-402160 2000-12-28
JP2001295763A JP5288427B2 (ja) 2000-12-28 2001-09-27 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002260965A JP2002260965A (ja) 2002-09-13
JP5288427B2 true JP5288427B2 (ja) 2013-09-11

Family

ID=26607149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001295763A Expired - Fee Related JP5288427B2 (ja) 2000-12-28 2001-09-27 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5288427B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10331673A1 (de) * 2003-07-14 2005-02-10 H.C. Starck Gmbh Polythiophen mit Alkylenoxythiathiophen-Einheiten in Elektrolytkondensatoren

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01115965A (ja) * 1987-10-28 1989-05-09 Chuo Hatsumei Kenkyusho:Kk モノマー・無機コロイドゾル含浸剤およびその製造方法
JPH10306142A (ja) * 1997-03-03 1998-11-17 Hitachi Chem Co Ltd 導電性高分子膜の形成方法
JP3978544B2 (ja) * 1997-06-06 2007-09-19 日本ケミコン株式会社 固体電解コンデンサ
JP3459573B2 (ja) * 1998-08-04 2003-10-20 三洋電機株式会社 固体電解コンデンサの製造方法
JP2000150314A (ja) * 1999-01-01 2000-05-30 Nippon Chemicon Corp 固体電解コンデンサおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002260965A (ja) 2002-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5288427B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ
JP5126865B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4779277B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4899282B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ
JP2003100560A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2003017369A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4899283B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ
JP4774664B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2003197478A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5011624B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5015382B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4639504B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4442361B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4720075B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4363022B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4314938B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4608865B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4378908B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4982027B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2003100557A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5541756B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2005085911A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4110905B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5303085B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2003297686A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20011016

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110613

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110816

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111116

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111124

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130530

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5288427

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees