JP3332238B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP3332238B2 JP17750491A JP17750491A JP3332238B2 JP 3332238 B2 JP3332238 B2 JP 3332238B2 JP 17750491 A JP17750491 A JP 17750491A JP 17750491 A JP17750491 A JP 17750491A JP 3332238 B2 JP3332238 B2 JP 3332238B2
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解コンデンサを
安価で簡単な工程で製造できる固体電解コンデンサの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器のデジタル化に伴って、
高周波特性の良好なコンデンサへの要求が高まってい
る。しかし、一般の電解液を用いたアルミニウム電解コ
ンデンサの場合、イオン伝導によるため、高周波での容
量減少が極めて大きく、また比抵抗も極端に低くするこ
とはできないので、高周波でのインピーダンスが大きい
という欠点がある。一方固体電解コンデンサでは、前述
のような欠点はないが、固体電解質であるマンガンの比
抵抗があまり低くないため、高周波でのインピーダンス
はまだ不十分である。そこで、最近では有機半導体を用
いた固体電解コンデンサが広く研究されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機半導体を固体電解
質として用いた固体電解コンデンサのうち、ピロール系
の導電性高分子を用いたものとしては、電極箔を板状と
した技術が種々開示されているが、体積効率が悪く、ま
た従来の電解液を用いた電解コンデンサとは製造工程が
全く異なるため、コストが高くなるという問題点があっ
た。
【0004】また、陽極箔と陰極箔とを巻回したコンデ
ンサ素子を用いた技術もいくつか開示されている。たと
えば、特開昭64−24410号公報では、捲回型アル
ミニウム電解コンデンサ素子を導電性高分子化合物のモ
ノマー溶液に浸漬した後、有機酸またはその塩を共存さ
せた酸化剤溶液に浸漬して重合させる方法が開示されて
いる。しかしこの方法では、温度が高いと酸化反応によ
る重合が促進されるため素子の表面近くで優先的に導電
性高分子が形成され固化してしまい、素子内部まで均一
に重合させることが難しい。また、低温にすれば重合に
長時間を要するという問題点がある。
【0005】特開平2−186616号公報では、陽極
箔と陰極箔との間に多孔質セパレータを介在させて巻回
した素子を用い、含浸用ピロール溶液に含浸し、酸化剤
溶液に浸漬してピロールの化学的重合を行った後、さら
に電解重合を行う方法が開示されている。しかし、この
方法は工程が繁雑であり、また電解重合の際にモノマー
が素子内部まで十分に供給され難いという問題点を有す
る。
【0006】さらに特開平2−62028号公報には、
やはり捲回型コンデンサ素子を電解重合溶液中に浸漬し
て陰極箔を正極とし陽極箔を負極として電解重合する方
法が開示されている。しかし、電解重合の装置及び条件
が複雑であるばかりか、電解重合時に陽極箔が損傷する
恐れがあり、また導電性高分子は正極側から形成される
ので、負極の陽極箔のエッチング構造の内部まで均一に
形成することは難しい。
【0007】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、従来の電解コンデンサ
用の設備を利用して簡単な製造工程とし、安価で良好な
特性の固体電解コンデンサを提供することである。
【0008】上記目的による本発明では、固体電解コン
デンサの製造方法において、−30℃以下に冷却された
酸化剤と導電性高分子単量体とを含む重合溶液を外装ケ
ースに一定量注入した後、陽極酸化により酸化皮膜を形
成した陽極箔と、陰極箔とをセパレータを介して巻回し
たコンデンサ素子を前記外装ケースに挿入して該コンデ
ンサ素子に前記重合溶液を含浸し、−20℃以上の温度
下において前記重合溶液を酸化重合させることを特徴と
する。あるいは、固体電解コンデンサの製造方法におい
て、陽極酸化により酸化皮膜を形成した陽極箔と、陰極
箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を外
装ケースに挿入した後、−30℃以下に冷却された酸化
剤と導電性高分子単量体とを含む重合溶液を前記外装ケ
ースに注入してコンデンサ素子に含浸し、−20℃以上
の温度下において前記重合溶液を酸化重合させることを
特徴とする。 前記巻回型コンデンサ素子を外装ケースに
挿入する前に、あらかじめ前記重合溶液に浸漬して予備
含浸しておいても良い。前記高分子単量体は、ピロール
又はその誘導体であり、酸化剤は有機スルホン酸、カル
ボン酸または有機硫酸化合物の遷移金属塩であることが
望ましい。また、前記重合溶液の含浸は減圧下で行うこ
とが好ましい。
【0009】
【作用】本発明によれば、コンデンサ素子までは従来の
電解液を用いた電解コンデンサと同じ製造工程でできる
ので、非常に安価に大量生産できる。また、前記混合溶
液の含浸時におけるケースの使用は、定量含浸と真空含
浸による含浸率の向上に効果があり、陽極箔のエッチン
グピット内部まで効率よく導電性高分子が充填できる。
従って、工程が非常に簡単であり、コストが安価とな
る。
【0010】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。 実施例1 高純度アルミニウム箔を電気化学的に粗面化しその後陽
極酸化を行って誘電体皮膜を形成してなる陽極化成箔
と、粗面化しただけの陰極箔とを密度0.5g/cm3
マニラ麻を主体としたセパレータを介して巻回してアル
ミニウム乾式電解コンデンサ用の25V47μF(5φ
×11l)の巻回型コンデンサ素子を作製した(図示せ
ず)。次に、このコンデンサ素子をリン酸アンモニウム
水溶液等の化成液中に浸漬し、陽極箔裁断面や陽極リー
ド引出し部などを再化成修復処理した。続いてドデシル
ベンゼンスルホン酸鉄(III)25wt%と該ドデシルベン
ゼンスルホン酸鉄(III)のモル数に対して3倍量のモル
数とピロールを添加した−50℃のメタノール溶液0.
15mlをアルミニウムケース(5φ×11l)に入れ前
記素子を浸漬、含浸させた後25℃雰囲気中に20分間
放置して導電性高分子膜の重合を行った。その後、90
℃10分の乾燥を行ってから樹脂で封入しコンデンサと
した(図示せず)。
【0011】実施例2 実施例1においてアルミニウムケースを使用した含浸工
程において真空含浸(減圧下での含浸)を行い、その後
重合をケース内で行い封止してコンデンサを作製した
(図示せず)。
【0012】実施例3 実施例1と同じ巻回型コンデンサ素子を用い、あらかじ
めドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム5wt%と該
ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムのモル数に対
して3倍量のモル数とピロールを添加した−50℃のア
セトニトリル溶液中に浸漬して予備含浸した後、該素子
をアルミニウムケース(5φ×11l)に挿入しそこへ
前記溶液を0.2ml注入してから25℃雰囲気中に20
分放置して導電性高分子膜の重合を行った。その後、9
0℃10分の乾燥を行ってから樹脂で封入しコンデンサ
とした(図示せず)。
【0013】比較例1 実施例1と同じ巻回型コンデンサ素子を用い、再化成し
てから、ピロール4:パラトルエンスルホン酸テトラエ
チルアンモニウム6:メタノール2の溶液を含浸させた
後、過硫酸アンモニウム20wt%、パラトルエンスルホ
ン酸テトラエチルアンモニウム10wt%を含む水溶液に
1時間浸漬して重合した。重合終了後、90℃10分の
乾燥を行ってから金属ケースに封入しコンデンサとし
た。
【0014】比較例2 実施例1と同じ巻回型コンデンサ素子を用い、再化成し
てから、ピロール4:パラトルエンスルホン酸テトラエ
チルアンモニウム6:メタノール2の溶液を含浸させた
後、陰極リードと陽極リード間に陰極リードが正となる
ように5Vの電圧を印加し、1時間の電解重合を行っ
た。重合終了後、90℃10分の乾燥を行ってから金属
ケースに封入しコンデンサとした。
【0015】以上のようにして作製したコンデンサを8
5℃雰囲気中で10V印加し3時間のエージングを行っ
た後、定格電圧を10Vとして諸特性を測定した。その
結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1から明らかなように、本発明による実
施例は陽極箔のエッチングピット内部まで効果的に導電
性高分子が充填できるため容量出現率が極めて高い。ま
た、高周波におけるESRも低い値を実現できる。
【0018】以上本発明につき好適な実施例をあげて種
々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はない。たとえば、陽極箔は実施例では交流エッチング
による海綿状エッチング構造のものを用いたが、直流エ
ッチングによるトンネル型構造のものも利用できる。陰
極箔としては固体電解コンデンサとしては陰極容量が必
要ないのでエッチングしてあってもエッチングしてなく
ても良い。また、セパレータは陽極箔と陰極箔とを隔離
するためのものであり、実施例では天然繊維のものを使
用したが、合成繊維などを使用することもできる。ま
た、コンデンサ素子をケース封入するのではなく、直接
樹脂外装することも可能である。本発明実施例におい
て、外装ケースとしてはアルミニウムを用いたが、合成
樹脂でもポリイミド(常用温度250℃)やポリフェニ
レンサルファイド(融点280℃)といった耐熱性樹脂
を利用することもできる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム乾式電解
コンデンサ用の素子を用いて、安価かつ良好な特性の固
体電解コンデンサを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−278807(JP,A) 特開 平3−46214(JP,A) 特開 平3−95910(JP,A) 特開 平2−62028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/028 H01G 9/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −30℃以下に冷却された酸化剤と導電
    性高分子単量体とを含む重合溶液を外装ケースに一定量
    注入した後、陽極酸化により酸化皮膜を形成した陽極箔
    と、陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ
    素子を前記外装ケースに挿入して該コンデンサ素子に前
    記重合溶液を含浸し、−20℃以上の温度下において前
    記重合溶液を酸化重合させることを特徴とする固体電解
    コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 陽極酸化により酸化皮膜を形成した陽極
    箔と、陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデン
    サ素子を外装ケースに挿入した後、−30℃以下に冷却
    された酸化剤と導電性高分子単量体とを含む重合溶液を
    前記外装ケースに注入してコンデンサ素子に含浸し、−
    20℃以上の温度下において前記重合溶液を酸化重合さ
    せることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記巻回型コンデンサ素子を外装ケース
    に挿入する前に、コンデンサ素子をあらかじめ−30℃
    以下に冷却された酸化剤と導電性高分子単量体とを含む
    重合溶液に浸漬して予備含浸することを特徴とする請求
    1または2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高分子単量体がピロール又はその誘
    導体であり、酸化剤が有機スルホン酸、カルボン酸また
    は有機硫酸化合物の遷移金属塩であることを特徴とする
    請求項1、2または3記載の固体電解コンデンサの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記重合溶液の含浸を減圧下で行うこと
    を特徴とする請求項1、2、3または4記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
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