JP2004241251A - 電池用インシュレータ及び非水電解液電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部短絡を防止する。
【解決手段】外装缶5のビード部17と電池素子2の巻回端面との間に濾過機能を有するインシュレータ3を配置させることで、非水電解液4と一緒に電池素子3の内部に入り込もうとするビード加工により生じた導電金属微粉をインシュレータ3が濾過して捕集させることから、電池素子3の内部に導電金属微粉が侵入することで起こる内部短絡を防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】外装缶5のビード部17と電池素子2の巻回端面との間に濾過機能を有するインシュレータ3を配置させることで、非水電解液4と一緒に電池素子3の内部に入り込もうとするビード加工により生じた導電金属微粉をインシュレータ3が濾過して捕集させることから、電池素子3の内部に導電金属微粉が侵入することで起こる内部短絡を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極と負極とがセパレータを介して巻回された電池素子と非水電解液と外装缶とを備え、電池素子が巻回端面で短絡することを防止する電池用インシュレータ及びこの電池用インシュレータを用いた非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、PDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等といった水系電解液電池よりも大きなエネルギー密度を有する図6に示すリチウムイオン二次電池100がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池200は、発電要素となる電池素子201と、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる際の媒体となる非水電解液202とが、導電性金属等で形成された略円筒状の有底容器からなる外装缶203に収納され、外装缶203の開口部が封口蓋体204で封止されて内部が高い気密性で密閉されたものである。
【0004】
電池素子201は、帯状の正極205と帯状の負極206とがセパレータ207を介して電極の長手方向に巻回されたものであり、巻回軸方向に挿入されるように外装缶203に収納される。電池素子201には、外装缶203の底面と相対する巻回端面とは反対側の巻回端面にインシュレータ208が配置されている。
【0005】
このインシュレータ208は、例えば略円盤状の絶縁性樹脂等からなり、外装缶203の開口部が封口蓋体204で封止された際に、電池素子201の巻回端面を押圧する封口蓋体204を介して正極205と負極206とが電気的に導通して起こる内部短絡を防止するものである。また、インシュレータ208は、外装缶203の開口部を封口蓋体204で封止する前の状態において、外装缶203に収納された電池素子201を外部に飛び出さないように抑えるものでもある。インシュレータ208には、非水電解液202が注液された際に、非水電解液202が電池素子201に適切に染み渡るように、一方主面から他方主面に貫通する孔部208a、208bが複数設けられている。また、孔部208a、208bの形状を工夫することで非水電解液202の注液にかかる時間を短縮すること等が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
外装缶203は、電池素子201における負極206と負極リード端子209で接続されて負極外部端子となる。このため、外装缶203は、例えば鉄、ニッケル、ステンレス等の導電性金属等により形成されている。特に、外装缶203には、廉価で絞り加工等の機械加工等がし易い鉄の表面に、防錆や、溶接等による接続信頼性を高めるためのニッケルめっきを施したものを用いる。
【0007】
外装缶203には、その開口部付近に内周側面を一周するように内側にくびれるビード部210が設けられている。このビード部210は、封口蓋体204が外装缶203の開口部にガスケット211を介して圧入されて閉蓋する際に、封口蓋体204の台座となって封口蓋体204が外装缶203の開口部に配置される位置を決定する。また、ビード部210は、その内径がインシュレータ208の外径よりも小さくされることで、電池素子201の巻回端面に配置されたインシュレータ208及び、インシュレータ208に抑えられた電池素子201が外部に飛び出すことを防止させるように機能する。
【0008】
封口蓋体204は、電池内圧が所定の圧力以上になるとリチウムイオン二次電池200に流れる電流を遮断する電流遮断機構部212や、過電流及び過剰熱等からリチウムイオン二次電池200を保護するPTC(positive temperature coefficient)素子213や、リチウムイオン二次電池200の外部正極端子となる端子板214等が互いに電気的に導通された状態でガスケット211に収納され、外装缶203の開口部に圧入される。そして、封口蓋体204は、電池素子201における正極205の正極リード端子215が電流遮断機構部212の接続板212aに接続されて正極端子となる。
【0009】
そして、リチウムイオン二次電池200は、電池素子201が収納され、開口部に封口蓋体204がガスケット211を介して圧入された状態で、ビード部210より上方の縁部付近を内側に曲げ加工、いわゆるかしめ加工することにより封口蓋体204が外装缶203の開口部で固定されて電池素子201が密閉封入された構造となる。このとき、リチウムイオン二次電池200では、外装缶203にかしめ加工が施された際に、かしめ加工が施された外装缶203の縁部全周からガスケット211がはみ出るようにされており、負極外部端子となる外装缶203と、正極外部端子となる封口蓋体204とが接触しないようにされている。
【0010】
以上のような構成のリチウムイオン二次電池200は、次のようにして製造する。先ず、正極活物質と、導電材と、結着剤とを均一に分散させた正極合剤塗液を正極集電体の両主面に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層を形成し、帯状に裁断して所定の位置に正極リード端子215を取り付けることで帯状の正極205を作製する。次に、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体の両主面に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層を形成して所定の位置に負極リード端子209を取り付けることで帯状の負極206を作製する。
【0011】
次に、正極205と負極206とを、帯状のセパレータ207を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子201を作製する。次に、電池素子201を外装缶203に収納し、負極リード端子209が外装缶203の底面に溶接された後に、電池素子201の巻回中心に位置する空間部201aにセンターピン216が挿入される。
【0012】
次に、電池素子201の外装缶203の開口部側の巻回端面に、中心部の孔部208aに正極リード端子215を通した状態でインシュレータ208を配置する。そして、電池素子201及びインシュレータ208が収納された外装缶203には、開口部付近に内径全周に亘って内側に括れるビード部210が、後述するビード加工により設けられる。
【0013】
次に、電池素子201及びインシュレータ208が収納され、且つビード部210が設けられた外装缶5には、非水電解液202が注液される。次に、注液が終了した電池素子201から導出される正極リード端子215を、ガスケット211に収納された封口蓋体204の接続板212aに溶接する。
【0014】
次に、外装缶203は、封口蓋体204がガスケット211を介して開口部に圧入されることで閉蓋され、ビード部210より上方の縁部付近を内側に曲げる加工、いわゆるかしめ加工することにより開口部で封口蓋体204が固定されて電池素子201を密閉封入させることになる。このようにして、リチウムイオン二次電池200が製造される。
【0015】
【特許文献1】
特開平9−283112号公報(第2−3頁)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような構成のリチウムイオン二次電池200おいて、外装缶203にビード部210を形成する際は、図7に示すように、外装缶203の開口部からビード部210を加工したい位置までの深さの内周面に沿うように外装缶203に挿入される内周刃217及び外装缶203の縁部が当接される当接面218とを有するビード加工型219が外装缶203に係合される。そして、外装缶203には、図8に示すように、ビード加工型219が係合され、中心軸を中心に図7及び図8中矢印Aで示す軸回り方向に回転している状態で、ビード部210を形成したい位置に外周側から略円盤状のビード加工刃220を押圧させながらビード加工型219を図8中矢印Bで示す外装缶203が軸方向に短くなる方向に押圧することで、外装缶203の開口部付近が内周刃217及びビード加工刃220に沿うように曲げられてビード部210が形成される。なお、ビード加工に用いられるビード加工刃220は、中心軸を中心に軸回りに回転可能にされており、中心軸を中心に回転している外装缶203に押圧されると外装缶203の回転に追従して中心軸を中心に回転するようになっている。
【0017】
このようなビード加工法では、ビード加工刃220が外装缶203の回転に追従して回転しながら外装缶203に押圧されることから、ビード加工が施される際の外装缶203とビード加工刃220との間に生じる摩擦等を抑えることができ、例えばビード部210の外周側でニッケルめっき等が剥がれることを抑制できる。
【0018】
しかしながら、外装缶203においては、ビード加工が施される際に、外装缶203の内周面がビード加工型219の内周刃217に当接されて扱かれることになり、ビード部210の内周側のニッケルめっき等が剥がれて粒径が数十ミクロン程度の大きさの導電金属微粉となってインシュレータ208上等に飛散してしまう。
【0019】
そして、この導電金属微粉は、非水電解液202を注液した際に、非水電解液202と一緒にインシュレータ208の中心部に位置する孔部208aの周囲に設けられた孔部208b等を通って電池素子201の巻回端面から電池素子201の内部にまで入り込み、正極205と負極206とを導通させて内部短絡の原因となる虞がある。
ここで、リチウムイオン二次電池を製造する際のビード加工により、電池1個当たりでインシュレータ上に飛散した導電金属微粉の数と大きさとを測定した結果を図9に示す。なお、図9では、横軸に導電金属微粉の粒径を示し、縦軸にそれぞれの大きさの導電金属微粉のインシュレータ上に飛散した数を示している。
【0020】
図9に示す評価結果から、リチウムイオン二次電池では、外装缶にビート加工を施すことにより、インシュレータ上に粒径を数十ミクロンから数百ミクロン程度とする導電金属微粉が大量に飛散しており、非水電解液が注液された際に、導電金属微粉が非水電解液と一緒に電池素子の内部に入り込む虞があることがわかる。
【0021】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、内部短絡を防止させることが可能な電池用インシュレータ及びこの電池用インシュレータを用いた非水電解液電池を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る電池用インシュレータは、略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、有底筒状をなして電池素子及び非水電解液を収納し、収納した電池素子を飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有する非水電解液電池に用いられる電池用インシュレータであって、少なくとも外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する電池素子の巻回端面との間に配置されていると共に、その外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされ、濾過機能を有するシート体で形成されていることを特徴としている。
【0023】
この電池用インシュレータでは、濾過機能を有するシート体が、その外径を外装缶における括れ部の内径より大きくさせた状態で外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に配置されることで、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過して捕集させることができる。
【0024】
この電池用インシュレータでは、濾過機能を有することから、非水電解液だけを通過させて電池素子内に侵入する異物を適切に捕集でき、且つ非水電解が通過するのに係る時間を短縮できる。
【0025】
本発明に係る非水電解液電池は、略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、電池素子の巻回端面に配置され、濾過機能を有するシート体で形成されている電池用インシュレータと、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、有底筒状をなして上記電池素子、電池用インシュレータ及び非水電解液を収納し、収納した電池素子及び電池用インシュレータを飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有し、電池用インシュレータが少なくとも外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する電池素子の巻回端面との間に配置され、電池用インシュレータの外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされていることを特徴としている。
【0026】
この非水電解液電池では、その外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされ、且つ外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に配置された濾過機能を有する電池用インシュレータにより、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過し、捕集させることが可能となる。
【0027】
この非水電解液電池では、電池用インシュレータが濾過機能を有することから、非水電解液だけを通過させて電池素子内に侵入する異物を適切に捕集できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した電池用インシュレータ及び非水電解液電池について、図1に示す円筒形のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。この電池1は、発電要素となりの巻回構造を有する電池素子2と、電池素子2の巻回端面に配置され、且つ濾過機能を有するインシュレータ3と、電池内部でリチウムイオンを移動させる際の媒体となる非水電解液4とが、外装容器となる外装缶5内に収納され、外装缶5の開口部が封口蓋体6で閉蓋されたものである。
【0029】
電池素子2は、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物等を用いる帯状の正極7と、負極活物質として炭素質材料等を用いる帯状の負極8とが、正極7と負極8とが接触しないようにこれらを互いに遮蔽する帯状のセパレータ9を介して積層され、電極の長手方向に巻回されたものである。この電池素子2は、正極7と負極8との間で後述する非水電解液4を媒体としてリチウムイオンを行き来させることで電池反応が行われることになる。
【0030】
正極7は、正極活物質、結着剤等を含有する正極合剤塗液を正極集電体10の主面に塗布、乾燥、加圧することにより、正極集電体10の主面上に正極合剤層11が圧縮形成されている。正極7には、正極リード端子12が正極集電体10の所定の位置に、例えば超音波溶接や抵抗溶接等の溶接方法によって電気的に接続されている。この正極リード端子12には、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0031】
正極7において、正極合剤層11に含有される正極活物質には、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な材料を用いる。具体的には、例えば化学式LixMO2(リチウムの価数xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等の化学式で示されるリチウム遷移金属複合酸化物、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等の化学式で示されるリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマー等を用いる。これらのうち、リチウム遷移金属複合酸化物としては、例えばLiCoO2といった化学式で示されるリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2といった化学式で示されるリチウム・ニッケル複合酸化物、LixNiyCo1−yO2(リチウムの価数x、ニッケルの価数yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02であり、コバルトの価数1−yはニッケルの価数yによって決定する。)といった一般的な化学式で示されるリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物や、LiMn2O4といった化学式で示されるスピネル型のリチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。そして、正極7では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム遷移金属複合酸化物等のうちの何れか一種又は複数種を混合して用いることも可能である。
【0032】
正極7では、正極合剤層11の結着剤として、非水電解液電池の正極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる他に、正極合剤層11に導電材として炭素質材料等を添加したり、公知の添加剤等を添加したりすることができる。また、正極7では、正極集電体10に、例えばアルミニウム等の導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0033】
負極8は、負極活物質、結着剤等を含有する負極合剤塗液を負極集電体13の主面に塗布、乾燥、加圧することにより、負極集電体13の主面上に負極合剤層14が圧縮形成された構造となっている。負極8には、負極リード端子15が負極集電体13の所定の位置に接続されている。この負極リード端子15には、例えば銅、ニッケル等の導電性金属等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0034】
負極8において、負極合剤層14に含有される負極活物質には、リチウム、リチウム合金、又はリチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等を用いることが可能である。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料を用いることが可能である。コークス類としては、例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。なお、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである。これらの炭素質材料は、電池素子2を充放電した際に、負極8側にリチウムが析出することを抑制させることが可能である。
【0035】
また、上述した炭素質材料の他には、負極活物質として例えばリチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物等が挙げられる。負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとしたときにMxM’yLiz(M’はLi元素及びM元素以外の金属元素であり、Mの価数xは0より大きな数値であり、M’の価数y及びリチウムの価数zは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この化学式においては、例えば半導体元素であるB、Si、As等も金属元素として挙げられる。具体的には、例えばMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B、Si、As等の元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうち何れか一種又は複数種である。)、AlSb、CuMgSb等が挙げられる。
【0036】
特に、リチウムと化合可能な元素には、3B族典型元素が好ましく、これらの中でも特にSi、Snが好ましく、更にはSiを用いることが好ましい。具体的には、MxSi、MxSn(MはSi、Sn以外の一種以上の元素であり、Mの価数xは0以上の数値である。)の化学式で示されるSi化合物、Sn化合物として、例えばSiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0037】
さらに、負極活物質としては、1つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、Ge2N2O、SiOx(酸素の価数xは0<x≦2である。)、SnOx(酸素の価数xは0<x≦2である。)、LiSiO、LiSnO等の化学式で示される酸化物、窒化物等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0038】
負極8では、負極合剤層14の結着剤として、非水電解液電池の負極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる。負極8では、負極集電体13に、例えば銅等といった導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0039】
セパレータ9は、正極7と負極8とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池の絶縁性微多孔膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ9の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0040】
このような構成の電池素子2は、正極7と負極8とがセパレータ9を介して積層され、長手方向に巻回された巻回体であり、巻回軸方向の一端面より正極リード端子12が突出し、他端面より負極リード端子15が突出した構造になっている。
【0041】
また、電池素子2には、巻回中心に設けられた一方の巻回端面から他方の巻回端面に貫通する空間部2aに、例えば電池内圧が上昇して内部のガスを外部に排出させる状態に陥った際にガスの通り道として機能するセンターピン16が挿入されている。センターピン16は、適切にガスの通り道として機能し、容易に潰れてしまうことがないように例えば金属や樹脂など剛性が高い材料で筒状に形成されている。
【0042】
そして、電池素子2においては、空間部2aに挿入されるセンターピン16が金属等で形成された場合でも、巻回中心、すなわち空間部2aの内壁でセパレータ9を露出するような巻回構造になっており、センターピン16と電極とが接触して内部短絡を起こすことがないようにされている。
【0043】
なお、ここでは、電池素子2の空間部2aにセンターピン16を挿入しているが、このことに限定されることはなく、例えばセンターピン16の替わりに温度ヒューズ等の安全性保護素子等を空間部2aに挿入させたり、空間部2aに何も挿入させなかったりしてもよい。
【0044】
以上のような巻回構造の電池素子2には、巻回端面に濾過機能を有する略円形上のシート体からなるインシュレータ3が配置されている。このインシュレータ3は、濾過機能の他に、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった場合に、電池内部の電池素子2が封口蓋体6等と接触して電池素子2の巻回端面が潰れ、正極7と負極8とが接触して内部短絡を起こすような不具合を防止させる絶縁機能も有している。
【0045】
このため、インシュレータ3には、例えば絶縁性材料等で略円形状のシート体に形成されているものであり、例えばパルプやセルロース等の絶縁性繊維材料等からなる濾紙、織布、不織布等を用いる。具体的に、インシュレータ3には、厚みが0.26mmであり、濾水時間が80秒であり、吸収高度が8cmであり、湿潤破裂強度が1.7kPaであり、捕集粒子径が5μmであり、捕集効率が80(0.3μmDOP%)であり、灰分が0.1%であり、耐熱温度が120℃であり、pH範囲が0〜12であるアドバンテック東洋(株)社製の定性濾紙No.2等を用いる。
【0046】
そして、インシュレータ3は、濾過機能を有する濾紙、織布、不織布等からなるため、後述する非水電解液4を注液した際に、非水電解液4だけを通過させて非水電解液4と一緒に電池素子2の内部に侵入する異物等を濾過して捕集することから、電池素子2内に異物が侵入することを抑制させるものでもある。
【0047】
このインシュレータ3は、電池素子2内に非水電解液4と一緒に侵入する異物を適切に捕集するために、後述するビード部17と電池素子2との間で、その主面が外装缶5に収納された電池素子2の外装缶5の開口部側の巻回端面と対向するように配置されている。そして、このインシュレータ3は、その外周が、電池素子2巻回端面の外周及びビード部17の内径よりも大きくなるようにされている。これにより、インシュレータ3では、例えば上述したビード加工等で外装缶5が削れる等して発生する粒子径が数十ミクロン程度の導電金属微粉等といった異物を、巻回端面より電池素子2の内部、すなわち正極7と負極8との間等に入り込む前に電池素子2の巻回端面で捕集することが可能となる。
【0048】
また、このインシュレータ3には、例えば略円形状のシート体からなるインシュレータ3の電池素子2の空間部2aと対向する位置、すなわち中心付近に正極リード端子12等を通すための孔部3aが設けられている。この場合、インシュレータ3は、孔部3aから電池素子2の内部に異物が入り込むことがないように、孔部3aの径が、電池素子2の空間部2aの内径より小さくなるようにされている。
【0049】
すなわち、このインシュレータ3は、図2及び図3に示すように、その外径Aが電池素子2の巻回端面の外径Bよりも大きくされ、孔部3aの内径Cが電池素子2の空間部2aの内径Dよりも小さくされている。
【0050】
これにより、インシュレータ3では、電池素子2のビード部17と対向する巻回端面において電極が露出する部分を適切に覆うようにされ、注液された非水電解液4と一緒に電池素子2の内部に巻回端面より侵入する虞のある異物を適切に捕集できる。そして、電池素子2においては、インシュレータ3の孔部3aより空間部2aに異物が侵入しても、空間部2aの内壁はセパレータ9が露出しており電極と異物とが接触することがないことから、内部短絡や電池特性の低下を起こすことが防止される。なお、電池素子2の内部空間2aに挿入されるセンターピン16は、図2及び図3に示すように、その外径Eがインシュレータ3の孔部3aの内径Cよりも小さくされている。これにより、電池製造時において、電池素子2を形成後から電池封口する前であれば、所定の工程で電池素子2の空間部2aにセンターピン16を挿入することが可能となり歩留まりの向上を図ることができる。
【0051】
また、インシュレータ3は、絶縁性繊維材料等からなる濾紙、織布、不織布等のメッシュの大きさが5μm以上、10μm以下の範囲にされている。
【0052】
インシュレータ3のメッシュの大きさが5μmより小さい場合、非水電解液4を注液した際に、インシュレータ3を非水電解液4が通過する速度が遅くなって注液にかかる時間が長くなり電池1を製造する際の歩留まりが悪くなる。一方、インシュレータ3のメッシュの大きさが10μmより大きい場合、電池素子2内に粒径が10μmより大きい導電金属微粉等の異物が入り込む虞がある。この場合、粒径が10μmより大きい導電金属微粉は、電池1の充放電により膨張する電極に延伸されてセパレータ9が薄くなった際に、正極7と負極8とを接触させて内部短絡の原因になる虞がある。
【0053】
したがって、インシュレータ3では、メッシュの大きさが5μm以上、10μm以下の範囲にされることにより、注液の際の非水電解液4を適切に通過させて製造歩留まりの低下を抑え、且つ10μmより大きな粒径の導電金属微粉等を適切に捕集して内部短絡の発生を抑制させることができる。
【0054】
非水電解液4は、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液である。非水電解液4において、非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを使用することが好ましい。
【0055】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。
【0056】
外装缶5は、例えば導電性金属等からなり、底面5aが略円状にされたる略円筒状の有底容器である。この外装缶5は、負極リード端子15が底面5aに溶接されて負極8と導通して負極外部端子となることから、例えば鉄、ステンレス、ニッケル等といった導電性金属等で形成される。外装缶5は、例えば鉄等で形成された場合、その表面には防錆や溶接信頼性を高めるためにニッケルめっき等が施される。
【0057】
この外装缶5には、その開口部付近に内径全周に亘って内側に括れた曲げ加工によるビード部17が設けられている。このビード部17は、封口蓋体6が外装缶5の開口部にガスケット18を介して圧入されて閉蓋する際に、封口蓋体6の台座となって封口蓋体6が外装缶5の開口部に配置される位置を決定し、且つ外装缶5に収納された電池素子2やインシュレータ3が飛び出すことを防止するものである。このため、ビード部17は、その内径が電池素子2やインシュレータ3の外径よりも小さくされている。
【0058】
封口蓋体6は、電池素子2の電池内圧が所定の圧力以上になると電池素子2に流れる電流を遮断する電流遮断機構部19と、電池素子2に所定の温度以上又は所定の電流値以上の電流が流れると電気抵抗を上昇させて電池素子2に流れる電流を小さくさせるPTC素子20と、電池1の外部正極端子となる端子板21とが順次積層されてガスケット18に収納された状態で、外装缶5の開口部に圧入される。
【0059】
電流遮断機構部19は、電池内圧が所定値以上に上昇した場合に破れて電池内部のガス等を電池外部に逃がす安全弁22と、正極リード端子12が接続される接続板23と、接続板23が接続されるディスク24と、安全弁22とディスク24とを絶縁するディスクホルダ25とによって構成されている。
【0060】
安全弁22は、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなり、円盤状金属板にプレス加工等を施すことで、外装缶5に収納された電池素子2側に突出する皿部22aと、皿部22aの略中央から電池素子2側に突出する凸部22bとが形成されている。また、安全弁22は、皿部22aに電池内圧が所定値以上に上昇した際に破れる肉薄部22cが設けられている。
【0061】
接続板23は、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなり、一主面には安全弁22の凸部22bが、他主面には電池素子2が突出する正極リード端子12が超音波溶接等で溶接されることで接続されている。
【0062】
ディスク24は、例えば平面性を保持できるある程度の剛性を有する金属板等からなり、略中央部に安全弁22の凸部22bが挿入される孔部24aが設けられている。
【0063】
ディスクホルダ25は、例えば絶縁性樹脂材料等からなり、円環状を呈して内周側に安全弁22の皿部22aと、ディスク24とが嵌合されることで、これらを保持している。また、ディスクホルダ25には、嵌合された安全弁22の皿部22aとディスク24とを接触しないように離間させる離間部25aが内周全周に亘って内側に突出するように設けられている。さらに、このディスクホルダ25には、離間部25aの略中央部に安全弁22の凸部22bが挿入される孔部25bが設けられている。
【0064】
そして、電流遮断機構部19は、ディスクホルダ25の内周側に安全弁22の皿部22aとディスク24とがディスクホルダ25の離間部25aにより接触しないように嵌合され、安全弁22の凸部22bがディスクホルダ25の孔部25b及びディスク24の孔部24aに挿入されて接続板23に例えば抵抗溶接法や超音波溶接法等で溶接された構成になっている。すなわち、電流遮断機構部19は、接続板23、ディスク24、ディスクホルダ25、安全弁22が順次積層され、安全弁22の凸部22bがディスクホルダ25及びディスク24を貫通するようにして接続板23に接続された構成になっている。
【0065】
このような構成の電流遮断機構部19では、電池内圧が上昇するに従って、安全弁22の皿部22aが電池素子2側とは反対の外側に膨らむように変形して行く。そして、安全弁22の皿部22aの変形に伴って凸部22bに接続されている接続板23の外側に移動しようとするのをディスク24が抑えることから、安全弁22の凸部22bと接続板23との接続が途切れることになる。このようにして、電流遮断機構部19では、電池内圧が上昇した際に、電池素子2と封口蓋体6との接続を遮断して、これ以上、電池素子2に電流が流れて電池内圧が更に上昇することを抑制させる。
【0066】
PTC素子20は、電池温度が所定値以上に上昇したり、所定値以上の電流が流れたりして温度が上昇すると、その電気抵抗を大きくさせて、電池素子2に流れる電流を小さくさせるようにする。これにより、電池素子2では、PTC素子20が電流値を制御して電池内部の温度上昇を抑制させることが可能になる。
【0067】
また、PTC素子20は、その電気抵抗が大きくなって電池素子2に流れる電流が小さくなり温度が下がると、その電気抵抗が小さくなって、電池素子2に再び電流が流れるようにさせる。
【0068】
端子板21は、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等のうちの何れか一種又は複数種を含む導電性金属等からなり、接続板23、安全弁22、PTC素子20を介して電池素子2から突出する正極リード端子12と電気的に接続されることから、電池素子2の正極外部端子として機能する。この端子板21には、例えば円盤状金属板にプレス加工等を施すことで、外装缶5に収納された電池素子2側とは反対側に突出する端子部21aが設けられる。この端子部21aは、正極外部端子となる端子板21の外部に対する正極側の接続部となり、外部からの接続端子が例えば接触や溶接等により接続されることになる。また、この端子板21には、例えば電池内圧の上昇により安全弁22が破れて外部に放出されたガス等を逃がす図示しないガス抜け孔等が設けられている。
【0069】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極7を作製する。正極7を作製する際は、正極活物質と、導電材と、結着剤とを例えばボールミル、サンドミル、二軸混練機等の分散装置で均一に分散させた正極合剤塗液を調製する。そして、この正極合剤塗液を正極集電体10の両主面に未塗工部を設けながら例えばスライドコーティング、エクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等の塗工装置で均一に塗布し、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱乾燥機等を用いて乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層11を形成し、帯状に裁断して未塗工部等に正極リード端子12を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、帯状の正極7が作製される。
【0070】
次に、負極8を作製する。負極8を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を上述した分散装置等を用いて調製する。そして、この負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に未塗工部を設けながら上述した塗工装置等を用いて均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層14を形成し、帯状に裁断して未塗工部等に負極リード端子15を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、帯状の負極8が作製される。
【0071】
次に、正極7と負極8とを、帯状のセパレータ9を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子2を作製する。
【0072】
次に、電池素子2は、外装缶5に収納され、負極リード端子15が外装缶5の底面5aに例えば抵抗溶接等で溶接された後に、空間部2aにセンターピン16が挿入される。このとき、電池素子2においては、外装缶5の底面5a側の巻回端面に内部短絡を防止するためのインシュレータ26を設置する。
【0073】
次に、電池素子2の外装缶5の開口部側の巻回端面に、孔部3aに電池素子2から導出される正極リード端子12を通した状態でインシュレータ3を設置する。そして、電池素子2及びインシュレータ3が収納された外装缶5には、開口部付近に内径全周に亘って内側に括れたビード部17が、上述したビード加工により設けられる。
【0074】
次に、電池素子2及びインシュレータ3が収納され、且つビード部17が設けられた外装缶5には、非水電解液4が注液される。
【0075】
このとき、インシュレータ3は、例えばビード加工によりインシュレータ3上等に導電金属微粉等の異物が飛散し、注液された非水電解液4と一緒に電池素子2内に入り込もうとしても、導電金属微粉等をビード部17と電池素子2との間で適切に捕集させて電池素子2内に異物が入り込むこと防止させる。
【0076】
次に、注液が終了した電池素子2から導出される正極リード端子12を、周囲にアスファルト等のシール剤が塗布されたガスケット18に収納された封口蓋体6の接続板23に例えば超音波溶接等で溶接させる。
【0077】
次に、外装缶5の開口部は、封口蓋体6がガスケット18を介して圧入されることで閉蓋される。そして、外装缶5は、ビード部17より上方の縁部付近を内側に曲げる加工、いわゆるかしめ加工することにより開口部で封口蓋体6が固定されて電池素子2が密閉封入される。このとき、外装缶5は、かしめ加工が施された際に、開口部の縁部全周でガスケット18がはみ出るようにされており、負極外部端子となる縁部と正極外部端子となる封口蓋体6とが接触しないようにされている。このようにして、電池1が製造される。
【0078】
以上のようにして製造される電池1では、外装缶5のビード部17と電池素子2との間に配置された濾過機能を有するインシュレータ3が、注液時に非水電解液4と一緒に電池素子2内に入り込もうとする例えばビード加工時に生じる導電金属微粉等の異物をビード部17と電池素子2との間で適切に濾過して捕集させる。
【0079】
これにより、電池1では、電池素子2の内部に導電金属微粉等の異物が入り込むことが抑制されることになり、従来のような電池素子内に入り込んだ導電金属微粉等の異物により発生する内部短絡や電池特性の低下を防止することができる。
【0080】
また、この電池1では、インシュレータ3が濾過機能を有するシート体で形成されていることから、従来の略板状の絶縁性樹脂等等からなるインシュレータ等に比べて非水電解液4がインシュレータ3を通過する時間を短縮でき、製造時の歩留まりを向上できる。
ここで、電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータ及び従来のインシュレータをそれぞれ配置して外装缶に挿入し、外装缶にビード加工を施した後に、それぞれのインシュレータ上に、粒径が30μm程度の導電金属微粉を10個、23個、29個づつ付着させて非水電解液を注液した際のインシュレータ上にそれぞれ残存した導電金属微粉の個数を測定した結果を図4に示す。なお、図4では、横軸に、それぞれのインシュレータ上に付着させた導電金属微粉の個数を示し、縦軸に、付着させた導電金属微粉の個数に対するそれぞれのインシュレータ上に注液後に残存した導電金属微粉の個数の比率、すなわち注液後の導電金属微粉の残存率を示している。また、図4中○印は濾過機能を有するインシュレータを示し、図4中×印は従来のインシュレータを示している。
【0081】
図4に示す評価結果から、濾過機能を有するインシュレータを用いた場合では、従来のインシュレータを用いた場合に比べ、注液された非水電解液と一緒に電池素子内等に流れてゆくことがなく適切に濾過、捕集されてインシュレータ上に残存していることがわかる。
【0082】
また、電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータ及び従来のインシュレータをそれぞれ配置して製造したリチウムイオン二次電池について、初回充電後の電池電圧の変化を測定した結果を図5に示す。なお、図5では、横軸に初回充電後の経過日数を示し、縦軸に電池電圧を示している。図5中100は、濾過機能を有するインシュレータを電池素子の巻回端面に配置させたリチウムイオン二次電池を示し、図5中101は従来のインシュレータを電池素子の巻回端面に配置させたリチウムイオン二次電池を示している。また、ここでは、これらのリチウムイオン二次電池の差を明確にするために、粒径が30μm程度の導電金属微粉1mgをそれぞれのインシュレータ上に付着させた後に注液し、リチウムイオン二次電池を完成させた。充電は、所定の電流値で4.25Vまでの定電流定電圧充電で行った。
【0083】
図5に示す評価結果から、濾過機能を有するインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池では、従来のインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池に比べ、初回充電後の電池電圧の低下が抑制されていることがわかる。
【0084】
以上のことから、リチウムイオン二次電池における電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータを配置させることは、注液時に非水電解液と一緒に電池素子内等に侵入する例えばビード加工時に生じる導電金属微粉等が適切に濾過、捕集されることから、電池素子等内に入り込んだ導電金属微粉等による内部短絡を防止する上で大変有効であることがわかる。
【0085】
なお、以上では、電池素子2の外装缶5のビード部17と対向する巻回端面だけにインシュレータ3を配置させたが、このことに限定されることはなく、例えば電池素子2の外装缶5の底面5aと対向する巻回端面にもインシュレータ3を配置させることも可能である。この場合、電池素子2の両巻回端面から侵入しようとする異物を捕集することが可能となり、内部短絡の発生を更に抑制させることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に濾過機能を有する電池用インシュレータを配置させることで、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過し、捕集させることが可能となる。
【0087】
したがって、本発明によれば、電池用インシュレータにより電池素子内に異物が入り込むことが抑制されることから、従来のような電池素子内に侵入した異物による内部短絡や電池特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したリチウムイオン二次電池の内部構造を示す斜視図である。
【図2】同リチウムイオン二次電池を一部切り欠いて示す平面図である。
【図3】同リチウムイオン二次電池における電池素子、インシュレータ、外装缶、センターピンを示す要部断面図である。
【図4】注液後に濾過機能を有するインシュレータ上及び従来のインシュレータ上に残存した導電金属微粉の残存率を示した特性図である。
【図5】濾過機能を有するインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池と、従来のインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池とにおける初回充電後の経過日数と電池電圧との関係を示した特性図である。
【図6】従来のリチウムイオン二次電池の内部構造を示す斜視図である。
【図7】外装缶にビード加工を施す状態を示す斜視図である。
【図8】外装缶にビード部が加工された状態を示す斜視図である。
【図9】ビード加工によりインシュレータ上に飛散した導電金属微粉の粒径と数との関係を示した特性図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 電池素子、2a 空間部、3 インシュレータ、3a 孔部、4 非水電解液、5 外装缶、6 封口蓋体、7 正極、8負極、9 セパレータ、10 正極集電体、11 正極合剤層、12 正極リード端子、13 負極集電体、14 負極合剤層、15 負極リード端子、17ビード部、18 ガスケット
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極と負極とがセパレータを介して巻回された電池素子と非水電解液と外装缶とを備え、電池素子が巻回端面で短絡することを防止する電池用インシュレータ及びこの電池用インシュレータを用いた非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、PDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等といった水系電解液電池よりも大きなエネルギー密度を有する図6に示すリチウムイオン二次電池100がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池200は、発電要素となる電池素子201と、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる際の媒体となる非水電解液202とが、導電性金属等で形成された略円筒状の有底容器からなる外装缶203に収納され、外装缶203の開口部が封口蓋体204で封止されて内部が高い気密性で密閉されたものである。
【0004】
電池素子201は、帯状の正極205と帯状の負極206とがセパレータ207を介して電極の長手方向に巻回されたものであり、巻回軸方向に挿入されるように外装缶203に収納される。電池素子201には、外装缶203の底面と相対する巻回端面とは反対側の巻回端面にインシュレータ208が配置されている。
【0005】
このインシュレータ208は、例えば略円盤状の絶縁性樹脂等からなり、外装缶203の開口部が封口蓋体204で封止された際に、電池素子201の巻回端面を押圧する封口蓋体204を介して正極205と負極206とが電気的に導通して起こる内部短絡を防止するものである。また、インシュレータ208は、外装缶203の開口部を封口蓋体204で封止する前の状態において、外装缶203に収納された電池素子201を外部に飛び出さないように抑えるものでもある。インシュレータ208には、非水電解液202が注液された際に、非水電解液202が電池素子201に適切に染み渡るように、一方主面から他方主面に貫通する孔部208a、208bが複数設けられている。また、孔部208a、208bの形状を工夫することで非水電解液202の注液にかかる時間を短縮すること等が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
外装缶203は、電池素子201における負極206と負極リード端子209で接続されて負極外部端子となる。このため、外装缶203は、例えば鉄、ニッケル、ステンレス等の導電性金属等により形成されている。特に、外装缶203には、廉価で絞り加工等の機械加工等がし易い鉄の表面に、防錆や、溶接等による接続信頼性を高めるためのニッケルめっきを施したものを用いる。
【0007】
外装缶203には、その開口部付近に内周側面を一周するように内側にくびれるビード部210が設けられている。このビード部210は、封口蓋体204が外装缶203の開口部にガスケット211を介して圧入されて閉蓋する際に、封口蓋体204の台座となって封口蓋体204が外装缶203の開口部に配置される位置を決定する。また、ビード部210は、その内径がインシュレータ208の外径よりも小さくされることで、電池素子201の巻回端面に配置されたインシュレータ208及び、インシュレータ208に抑えられた電池素子201が外部に飛び出すことを防止させるように機能する。
【0008】
封口蓋体204は、電池内圧が所定の圧力以上になるとリチウムイオン二次電池200に流れる電流を遮断する電流遮断機構部212や、過電流及び過剰熱等からリチウムイオン二次電池200を保護するPTC(positive temperature coefficient)素子213や、リチウムイオン二次電池200の外部正極端子となる端子板214等が互いに電気的に導通された状態でガスケット211に収納され、外装缶203の開口部に圧入される。そして、封口蓋体204は、電池素子201における正極205の正極リード端子215が電流遮断機構部212の接続板212aに接続されて正極端子となる。
【0009】
そして、リチウムイオン二次電池200は、電池素子201が収納され、開口部に封口蓋体204がガスケット211を介して圧入された状態で、ビード部210より上方の縁部付近を内側に曲げ加工、いわゆるかしめ加工することにより封口蓋体204が外装缶203の開口部で固定されて電池素子201が密閉封入された構造となる。このとき、リチウムイオン二次電池200では、外装缶203にかしめ加工が施された際に、かしめ加工が施された外装缶203の縁部全周からガスケット211がはみ出るようにされており、負極外部端子となる外装缶203と、正極外部端子となる封口蓋体204とが接触しないようにされている。
【0010】
以上のような構成のリチウムイオン二次電池200は、次のようにして製造する。先ず、正極活物質と、導電材と、結着剤とを均一に分散させた正極合剤塗液を正極集電体の両主面に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層を形成し、帯状に裁断して所定の位置に正極リード端子215を取り付けることで帯状の正極205を作製する。次に、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体の両主面に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層を形成して所定の位置に負極リード端子209を取り付けることで帯状の負極206を作製する。
【0011】
次に、正極205と負極206とを、帯状のセパレータ207を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子201を作製する。次に、電池素子201を外装缶203に収納し、負極リード端子209が外装缶203の底面に溶接された後に、電池素子201の巻回中心に位置する空間部201aにセンターピン216が挿入される。
【0012】
次に、電池素子201の外装缶203の開口部側の巻回端面に、中心部の孔部208aに正極リード端子215を通した状態でインシュレータ208を配置する。そして、電池素子201及びインシュレータ208が収納された外装缶203には、開口部付近に内径全周に亘って内側に括れるビード部210が、後述するビード加工により設けられる。
【0013】
次に、電池素子201及びインシュレータ208が収納され、且つビード部210が設けられた外装缶5には、非水電解液202が注液される。次に、注液が終了した電池素子201から導出される正極リード端子215を、ガスケット211に収納された封口蓋体204の接続板212aに溶接する。
【0014】
次に、外装缶203は、封口蓋体204がガスケット211を介して開口部に圧入されることで閉蓋され、ビード部210より上方の縁部付近を内側に曲げる加工、いわゆるかしめ加工することにより開口部で封口蓋体204が固定されて電池素子201を密閉封入させることになる。このようにして、リチウムイオン二次電池200が製造される。
【0015】
【特許文献1】
特開平9−283112号公報(第2−3頁)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような構成のリチウムイオン二次電池200おいて、外装缶203にビード部210を形成する際は、図7に示すように、外装缶203の開口部からビード部210を加工したい位置までの深さの内周面に沿うように外装缶203に挿入される内周刃217及び外装缶203の縁部が当接される当接面218とを有するビード加工型219が外装缶203に係合される。そして、外装缶203には、図8に示すように、ビード加工型219が係合され、中心軸を中心に図7及び図8中矢印Aで示す軸回り方向に回転している状態で、ビード部210を形成したい位置に外周側から略円盤状のビード加工刃220を押圧させながらビード加工型219を図8中矢印Bで示す外装缶203が軸方向に短くなる方向に押圧することで、外装缶203の開口部付近が内周刃217及びビード加工刃220に沿うように曲げられてビード部210が形成される。なお、ビード加工に用いられるビード加工刃220は、中心軸を中心に軸回りに回転可能にされており、中心軸を中心に回転している外装缶203に押圧されると外装缶203の回転に追従して中心軸を中心に回転するようになっている。
【0017】
このようなビード加工法では、ビード加工刃220が外装缶203の回転に追従して回転しながら外装缶203に押圧されることから、ビード加工が施される際の外装缶203とビード加工刃220との間に生じる摩擦等を抑えることができ、例えばビード部210の外周側でニッケルめっき等が剥がれることを抑制できる。
【0018】
しかしながら、外装缶203においては、ビード加工が施される際に、外装缶203の内周面がビード加工型219の内周刃217に当接されて扱かれることになり、ビード部210の内周側のニッケルめっき等が剥がれて粒径が数十ミクロン程度の大きさの導電金属微粉となってインシュレータ208上等に飛散してしまう。
【0019】
そして、この導電金属微粉は、非水電解液202を注液した際に、非水電解液202と一緒にインシュレータ208の中心部に位置する孔部208aの周囲に設けられた孔部208b等を通って電池素子201の巻回端面から電池素子201の内部にまで入り込み、正極205と負極206とを導通させて内部短絡の原因となる虞がある。
ここで、リチウムイオン二次電池を製造する際のビード加工により、電池1個当たりでインシュレータ上に飛散した導電金属微粉の数と大きさとを測定した結果を図9に示す。なお、図9では、横軸に導電金属微粉の粒径を示し、縦軸にそれぞれの大きさの導電金属微粉のインシュレータ上に飛散した数を示している。
【0020】
図9に示す評価結果から、リチウムイオン二次電池では、外装缶にビート加工を施すことにより、インシュレータ上に粒径を数十ミクロンから数百ミクロン程度とする導電金属微粉が大量に飛散しており、非水電解液が注液された際に、導電金属微粉が非水電解液と一緒に電池素子の内部に入り込む虞があることがわかる。
【0021】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、内部短絡を防止させることが可能な電池用インシュレータ及びこの電池用インシュレータを用いた非水電解液電池を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る電池用インシュレータは、略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、有底筒状をなして電池素子及び非水電解液を収納し、収納した電池素子を飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有する非水電解液電池に用いられる電池用インシュレータであって、少なくとも外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する電池素子の巻回端面との間に配置されていると共に、その外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされ、濾過機能を有するシート体で形成されていることを特徴としている。
【0023】
この電池用インシュレータでは、濾過機能を有するシート体が、その外径を外装缶における括れ部の内径より大きくさせた状態で外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に配置されることで、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過して捕集させることができる。
【0024】
この電池用インシュレータでは、濾過機能を有することから、非水電解液だけを通過させて電池素子内に侵入する異物を適切に捕集でき、且つ非水電解が通過するのに係る時間を短縮できる。
【0025】
本発明に係る非水電解液電池は、略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、電池素子の巻回端面に配置され、濾過機能を有するシート体で形成されている電池用インシュレータと、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、有底筒状をなして上記電池素子、電池用インシュレータ及び非水電解液を収納し、収納した電池素子及び電池用インシュレータを飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有し、電池用インシュレータが少なくとも外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する電池素子の巻回端面との間に配置され、電池用インシュレータの外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされていることを特徴としている。
【0026】
この非水電解液電池では、その外径が外装缶における括れ部の内径より大きくされ、且つ外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に配置された濾過機能を有する電池用インシュレータにより、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過し、捕集させることが可能となる。
【0027】
この非水電解液電池では、電池用インシュレータが濾過機能を有することから、非水電解液だけを通過させて電池素子内に侵入する異物を適切に捕集できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した電池用インシュレータ及び非水電解液電池について、図1に示す円筒形のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。この電池1は、発電要素となりの巻回構造を有する電池素子2と、電池素子2の巻回端面に配置され、且つ濾過機能を有するインシュレータ3と、電池内部でリチウムイオンを移動させる際の媒体となる非水電解液4とが、外装容器となる外装缶5内に収納され、外装缶5の開口部が封口蓋体6で閉蓋されたものである。
【0029】
電池素子2は、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物等を用いる帯状の正極7と、負極活物質として炭素質材料等を用いる帯状の負極8とが、正極7と負極8とが接触しないようにこれらを互いに遮蔽する帯状のセパレータ9を介して積層され、電極の長手方向に巻回されたものである。この電池素子2は、正極7と負極8との間で後述する非水電解液4を媒体としてリチウムイオンを行き来させることで電池反応が行われることになる。
【0030】
正極7は、正極活物質、結着剤等を含有する正極合剤塗液を正極集電体10の主面に塗布、乾燥、加圧することにより、正極集電体10の主面上に正極合剤層11が圧縮形成されている。正極7には、正極リード端子12が正極集電体10の所定の位置に、例えば超音波溶接や抵抗溶接等の溶接方法によって電気的に接続されている。この正極リード端子12には、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0031】
正極7において、正極合剤層11に含有される正極活物質には、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な材料を用いる。具体的には、例えば化学式LixMO2(リチウムの価数xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等の化学式で示されるリチウム遷移金属複合酸化物、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等の化学式で示されるリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマー等を用いる。これらのうち、リチウム遷移金属複合酸化物としては、例えばLiCoO2といった化学式で示されるリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2といった化学式で示されるリチウム・ニッケル複合酸化物、LixNiyCo1−yO2(リチウムの価数x、ニッケルの価数yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02であり、コバルトの価数1−yはニッケルの価数yによって決定する。)といった一般的な化学式で示されるリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物や、LiMn2O4といった化学式で示されるスピネル型のリチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。そして、正極7では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム遷移金属複合酸化物等のうちの何れか一種又は複数種を混合して用いることも可能である。
【0032】
正極7では、正極合剤層11の結着剤として、非水電解液電池の正極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる他に、正極合剤層11に導電材として炭素質材料等を添加したり、公知の添加剤等を添加したりすることができる。また、正極7では、正極集電体10に、例えばアルミニウム等の導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0033】
負極8は、負極活物質、結着剤等を含有する負極合剤塗液を負極集電体13の主面に塗布、乾燥、加圧することにより、負極集電体13の主面上に負極合剤層14が圧縮形成された構造となっている。負極8には、負極リード端子15が負極集電体13の所定の位置に接続されている。この負極リード端子15には、例えば銅、ニッケル等の導電性金属等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0034】
負極8において、負極合剤層14に含有される負極活物質には、リチウム、リチウム合金、又はリチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等を用いることが可能である。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料を用いることが可能である。コークス類としては、例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。なお、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである。これらの炭素質材料は、電池素子2を充放電した際に、負極8側にリチウムが析出することを抑制させることが可能である。
【0035】
また、上述した炭素質材料の他には、負極活物質として例えばリチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物等が挙げられる。負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとしたときにMxM’yLiz(M’はLi元素及びM元素以外の金属元素であり、Mの価数xは0より大きな数値であり、M’の価数y及びリチウムの価数zは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この化学式においては、例えば半導体元素であるB、Si、As等も金属元素として挙げられる。具体的には、例えばMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B、Si、As等の元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうち何れか一種又は複数種である。)、AlSb、CuMgSb等が挙げられる。
【0036】
特に、リチウムと化合可能な元素には、3B族典型元素が好ましく、これらの中でも特にSi、Snが好ましく、更にはSiを用いることが好ましい。具体的には、MxSi、MxSn(MはSi、Sn以外の一種以上の元素であり、Mの価数xは0以上の数値である。)の化学式で示されるSi化合物、Sn化合物として、例えばSiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0037】
さらに、負極活物質としては、1つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、Ge2N2O、SiOx(酸素の価数xは0<x≦2である。)、SnOx(酸素の価数xは0<x≦2である。)、LiSiO、LiSnO等の化学式で示される酸化物、窒化物等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0038】
負極8では、負極合剤層14の結着剤として、非水電解液電池の負極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる。負極8では、負極集電体13に、例えば銅等といった導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0039】
セパレータ9は、正極7と負極8とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池の絶縁性微多孔膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ9の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0040】
このような構成の電池素子2は、正極7と負極8とがセパレータ9を介して積層され、長手方向に巻回された巻回体であり、巻回軸方向の一端面より正極リード端子12が突出し、他端面より負極リード端子15が突出した構造になっている。
【0041】
また、電池素子2には、巻回中心に設けられた一方の巻回端面から他方の巻回端面に貫通する空間部2aに、例えば電池内圧が上昇して内部のガスを外部に排出させる状態に陥った際にガスの通り道として機能するセンターピン16が挿入されている。センターピン16は、適切にガスの通り道として機能し、容易に潰れてしまうことがないように例えば金属や樹脂など剛性が高い材料で筒状に形成されている。
【0042】
そして、電池素子2においては、空間部2aに挿入されるセンターピン16が金属等で形成された場合でも、巻回中心、すなわち空間部2aの内壁でセパレータ9を露出するような巻回構造になっており、センターピン16と電極とが接触して内部短絡を起こすことがないようにされている。
【0043】
なお、ここでは、電池素子2の空間部2aにセンターピン16を挿入しているが、このことに限定されることはなく、例えばセンターピン16の替わりに温度ヒューズ等の安全性保護素子等を空間部2aに挿入させたり、空間部2aに何も挿入させなかったりしてもよい。
【0044】
以上のような巻回構造の電池素子2には、巻回端面に濾過機能を有する略円形上のシート体からなるインシュレータ3が配置されている。このインシュレータ3は、濾過機能の他に、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった場合に、電池内部の電池素子2が封口蓋体6等と接触して電池素子2の巻回端面が潰れ、正極7と負極8とが接触して内部短絡を起こすような不具合を防止させる絶縁機能も有している。
【0045】
このため、インシュレータ3には、例えば絶縁性材料等で略円形状のシート体に形成されているものであり、例えばパルプやセルロース等の絶縁性繊維材料等からなる濾紙、織布、不織布等を用いる。具体的に、インシュレータ3には、厚みが0.26mmであり、濾水時間が80秒であり、吸収高度が8cmであり、湿潤破裂強度が1.7kPaであり、捕集粒子径が5μmであり、捕集効率が80(0.3μmDOP%)であり、灰分が0.1%であり、耐熱温度が120℃であり、pH範囲が0〜12であるアドバンテック東洋(株)社製の定性濾紙No.2等を用いる。
【0046】
そして、インシュレータ3は、濾過機能を有する濾紙、織布、不織布等からなるため、後述する非水電解液4を注液した際に、非水電解液4だけを通過させて非水電解液4と一緒に電池素子2の内部に侵入する異物等を濾過して捕集することから、電池素子2内に異物が侵入することを抑制させるものでもある。
【0047】
このインシュレータ3は、電池素子2内に非水電解液4と一緒に侵入する異物を適切に捕集するために、後述するビード部17と電池素子2との間で、その主面が外装缶5に収納された電池素子2の外装缶5の開口部側の巻回端面と対向するように配置されている。そして、このインシュレータ3は、その外周が、電池素子2巻回端面の外周及びビード部17の内径よりも大きくなるようにされている。これにより、インシュレータ3では、例えば上述したビード加工等で外装缶5が削れる等して発生する粒子径が数十ミクロン程度の導電金属微粉等といった異物を、巻回端面より電池素子2の内部、すなわち正極7と負極8との間等に入り込む前に電池素子2の巻回端面で捕集することが可能となる。
【0048】
また、このインシュレータ3には、例えば略円形状のシート体からなるインシュレータ3の電池素子2の空間部2aと対向する位置、すなわち中心付近に正極リード端子12等を通すための孔部3aが設けられている。この場合、インシュレータ3は、孔部3aから電池素子2の内部に異物が入り込むことがないように、孔部3aの径が、電池素子2の空間部2aの内径より小さくなるようにされている。
【0049】
すなわち、このインシュレータ3は、図2及び図3に示すように、その外径Aが電池素子2の巻回端面の外径Bよりも大きくされ、孔部3aの内径Cが電池素子2の空間部2aの内径Dよりも小さくされている。
【0050】
これにより、インシュレータ3では、電池素子2のビード部17と対向する巻回端面において電極が露出する部分を適切に覆うようにされ、注液された非水電解液4と一緒に電池素子2の内部に巻回端面より侵入する虞のある異物を適切に捕集できる。そして、電池素子2においては、インシュレータ3の孔部3aより空間部2aに異物が侵入しても、空間部2aの内壁はセパレータ9が露出しており電極と異物とが接触することがないことから、内部短絡や電池特性の低下を起こすことが防止される。なお、電池素子2の内部空間2aに挿入されるセンターピン16は、図2及び図3に示すように、その外径Eがインシュレータ3の孔部3aの内径Cよりも小さくされている。これにより、電池製造時において、電池素子2を形成後から電池封口する前であれば、所定の工程で電池素子2の空間部2aにセンターピン16を挿入することが可能となり歩留まりの向上を図ることができる。
【0051】
また、インシュレータ3は、絶縁性繊維材料等からなる濾紙、織布、不織布等のメッシュの大きさが5μm以上、10μm以下の範囲にされている。
【0052】
インシュレータ3のメッシュの大きさが5μmより小さい場合、非水電解液4を注液した際に、インシュレータ3を非水電解液4が通過する速度が遅くなって注液にかかる時間が長くなり電池1を製造する際の歩留まりが悪くなる。一方、インシュレータ3のメッシュの大きさが10μmより大きい場合、電池素子2内に粒径が10μmより大きい導電金属微粉等の異物が入り込む虞がある。この場合、粒径が10μmより大きい導電金属微粉は、電池1の充放電により膨張する電極に延伸されてセパレータ9が薄くなった際に、正極7と負極8とを接触させて内部短絡の原因になる虞がある。
【0053】
したがって、インシュレータ3では、メッシュの大きさが5μm以上、10μm以下の範囲にされることにより、注液の際の非水電解液4を適切に通過させて製造歩留まりの低下を抑え、且つ10μmより大きな粒径の導電金属微粉等を適切に捕集して内部短絡の発生を抑制させることができる。
【0054】
非水電解液4は、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液である。非水電解液4において、非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを使用することが好ましい。
【0055】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。
【0056】
外装缶5は、例えば導電性金属等からなり、底面5aが略円状にされたる略円筒状の有底容器である。この外装缶5は、負極リード端子15が底面5aに溶接されて負極8と導通して負極外部端子となることから、例えば鉄、ステンレス、ニッケル等といった導電性金属等で形成される。外装缶5は、例えば鉄等で形成された場合、その表面には防錆や溶接信頼性を高めるためにニッケルめっき等が施される。
【0057】
この外装缶5には、その開口部付近に内径全周に亘って内側に括れた曲げ加工によるビード部17が設けられている。このビード部17は、封口蓋体6が外装缶5の開口部にガスケット18を介して圧入されて閉蓋する際に、封口蓋体6の台座となって封口蓋体6が外装缶5の開口部に配置される位置を決定し、且つ外装缶5に収納された電池素子2やインシュレータ3が飛び出すことを防止するものである。このため、ビード部17は、その内径が電池素子2やインシュレータ3の外径よりも小さくされている。
【0058】
封口蓋体6は、電池素子2の電池内圧が所定の圧力以上になると電池素子2に流れる電流を遮断する電流遮断機構部19と、電池素子2に所定の温度以上又は所定の電流値以上の電流が流れると電気抵抗を上昇させて電池素子2に流れる電流を小さくさせるPTC素子20と、電池1の外部正極端子となる端子板21とが順次積層されてガスケット18に収納された状態で、外装缶5の開口部に圧入される。
【0059】
電流遮断機構部19は、電池内圧が所定値以上に上昇した場合に破れて電池内部のガス等を電池外部に逃がす安全弁22と、正極リード端子12が接続される接続板23と、接続板23が接続されるディスク24と、安全弁22とディスク24とを絶縁するディスクホルダ25とによって構成されている。
【0060】
安全弁22は、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなり、円盤状金属板にプレス加工等を施すことで、外装缶5に収納された電池素子2側に突出する皿部22aと、皿部22aの略中央から電池素子2側に突出する凸部22bとが形成されている。また、安全弁22は、皿部22aに電池内圧が所定値以上に上昇した際に破れる肉薄部22cが設けられている。
【0061】
接続板23は、例えばアルミニウム等の導電性金属等からなり、一主面には安全弁22の凸部22bが、他主面には電池素子2が突出する正極リード端子12が超音波溶接等で溶接されることで接続されている。
【0062】
ディスク24は、例えば平面性を保持できるある程度の剛性を有する金属板等からなり、略中央部に安全弁22の凸部22bが挿入される孔部24aが設けられている。
【0063】
ディスクホルダ25は、例えば絶縁性樹脂材料等からなり、円環状を呈して内周側に安全弁22の皿部22aと、ディスク24とが嵌合されることで、これらを保持している。また、ディスクホルダ25には、嵌合された安全弁22の皿部22aとディスク24とを接触しないように離間させる離間部25aが内周全周に亘って内側に突出するように設けられている。さらに、このディスクホルダ25には、離間部25aの略中央部に安全弁22の凸部22bが挿入される孔部25bが設けられている。
【0064】
そして、電流遮断機構部19は、ディスクホルダ25の内周側に安全弁22の皿部22aとディスク24とがディスクホルダ25の離間部25aにより接触しないように嵌合され、安全弁22の凸部22bがディスクホルダ25の孔部25b及びディスク24の孔部24aに挿入されて接続板23に例えば抵抗溶接法や超音波溶接法等で溶接された構成になっている。すなわち、電流遮断機構部19は、接続板23、ディスク24、ディスクホルダ25、安全弁22が順次積層され、安全弁22の凸部22bがディスクホルダ25及びディスク24を貫通するようにして接続板23に接続された構成になっている。
【0065】
このような構成の電流遮断機構部19では、電池内圧が上昇するに従って、安全弁22の皿部22aが電池素子2側とは反対の外側に膨らむように変形して行く。そして、安全弁22の皿部22aの変形に伴って凸部22bに接続されている接続板23の外側に移動しようとするのをディスク24が抑えることから、安全弁22の凸部22bと接続板23との接続が途切れることになる。このようにして、電流遮断機構部19では、電池内圧が上昇した際に、電池素子2と封口蓋体6との接続を遮断して、これ以上、電池素子2に電流が流れて電池内圧が更に上昇することを抑制させる。
【0066】
PTC素子20は、電池温度が所定値以上に上昇したり、所定値以上の電流が流れたりして温度が上昇すると、その電気抵抗を大きくさせて、電池素子2に流れる電流を小さくさせるようにする。これにより、電池素子2では、PTC素子20が電流値を制御して電池内部の温度上昇を抑制させることが可能になる。
【0067】
また、PTC素子20は、その電気抵抗が大きくなって電池素子2に流れる電流が小さくなり温度が下がると、その電気抵抗が小さくなって、電池素子2に再び電流が流れるようにさせる。
【0068】
端子板21は、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等のうちの何れか一種又は複数種を含む導電性金属等からなり、接続板23、安全弁22、PTC素子20を介して電池素子2から突出する正極リード端子12と電気的に接続されることから、電池素子2の正極外部端子として機能する。この端子板21には、例えば円盤状金属板にプレス加工等を施すことで、外装缶5に収納された電池素子2側とは反対側に突出する端子部21aが設けられる。この端子部21aは、正極外部端子となる端子板21の外部に対する正極側の接続部となり、外部からの接続端子が例えば接触や溶接等により接続されることになる。また、この端子板21には、例えば電池内圧の上昇により安全弁22が破れて外部に放出されたガス等を逃がす図示しないガス抜け孔等が設けられている。
【0069】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極7を作製する。正極7を作製する際は、正極活物質と、導電材と、結着剤とを例えばボールミル、サンドミル、二軸混練機等の分散装置で均一に分散させた正極合剤塗液を調製する。そして、この正極合剤塗液を正極集電体10の両主面に未塗工部を設けながら例えばスライドコーティング、エクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等の塗工装置で均一に塗布し、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱乾燥機等を用いて乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層11を形成し、帯状に裁断して未塗工部等に正極リード端子12を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、帯状の正極7が作製される。
【0070】
次に、負極8を作製する。負極8を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を上述した分散装置等を用いて調製する。そして、この負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に未塗工部を設けながら上述した塗工装置等を用いて均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層14を形成し、帯状に裁断して未塗工部等に負極リード端子15を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、帯状の負極8が作製される。
【0071】
次に、正極7と負極8とを、帯状のセパレータ9を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子2を作製する。
【0072】
次に、電池素子2は、外装缶5に収納され、負極リード端子15が外装缶5の底面5aに例えば抵抗溶接等で溶接された後に、空間部2aにセンターピン16が挿入される。このとき、電池素子2においては、外装缶5の底面5a側の巻回端面に内部短絡を防止するためのインシュレータ26を設置する。
【0073】
次に、電池素子2の外装缶5の開口部側の巻回端面に、孔部3aに電池素子2から導出される正極リード端子12を通した状態でインシュレータ3を設置する。そして、電池素子2及びインシュレータ3が収納された外装缶5には、開口部付近に内径全周に亘って内側に括れたビード部17が、上述したビード加工により設けられる。
【0074】
次に、電池素子2及びインシュレータ3が収納され、且つビード部17が設けられた外装缶5には、非水電解液4が注液される。
【0075】
このとき、インシュレータ3は、例えばビード加工によりインシュレータ3上等に導電金属微粉等の異物が飛散し、注液された非水電解液4と一緒に電池素子2内に入り込もうとしても、導電金属微粉等をビード部17と電池素子2との間で適切に捕集させて電池素子2内に異物が入り込むこと防止させる。
【0076】
次に、注液が終了した電池素子2から導出される正極リード端子12を、周囲にアスファルト等のシール剤が塗布されたガスケット18に収納された封口蓋体6の接続板23に例えば超音波溶接等で溶接させる。
【0077】
次に、外装缶5の開口部は、封口蓋体6がガスケット18を介して圧入されることで閉蓋される。そして、外装缶5は、ビード部17より上方の縁部付近を内側に曲げる加工、いわゆるかしめ加工することにより開口部で封口蓋体6が固定されて電池素子2が密閉封入される。このとき、外装缶5は、かしめ加工が施された際に、開口部の縁部全周でガスケット18がはみ出るようにされており、負極外部端子となる縁部と正極外部端子となる封口蓋体6とが接触しないようにされている。このようにして、電池1が製造される。
【0078】
以上のようにして製造される電池1では、外装缶5のビード部17と電池素子2との間に配置された濾過機能を有するインシュレータ3が、注液時に非水電解液4と一緒に電池素子2内に入り込もうとする例えばビード加工時に生じる導電金属微粉等の異物をビード部17と電池素子2との間で適切に濾過して捕集させる。
【0079】
これにより、電池1では、電池素子2の内部に導電金属微粉等の異物が入り込むことが抑制されることになり、従来のような電池素子内に入り込んだ導電金属微粉等の異物により発生する内部短絡や電池特性の低下を防止することができる。
【0080】
また、この電池1では、インシュレータ3が濾過機能を有するシート体で形成されていることから、従来の略板状の絶縁性樹脂等等からなるインシュレータ等に比べて非水電解液4がインシュレータ3を通過する時間を短縮でき、製造時の歩留まりを向上できる。
ここで、電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータ及び従来のインシュレータをそれぞれ配置して外装缶に挿入し、外装缶にビード加工を施した後に、それぞれのインシュレータ上に、粒径が30μm程度の導電金属微粉を10個、23個、29個づつ付着させて非水電解液を注液した際のインシュレータ上にそれぞれ残存した導電金属微粉の個数を測定した結果を図4に示す。なお、図4では、横軸に、それぞれのインシュレータ上に付着させた導電金属微粉の個数を示し、縦軸に、付着させた導電金属微粉の個数に対するそれぞれのインシュレータ上に注液後に残存した導電金属微粉の個数の比率、すなわち注液後の導電金属微粉の残存率を示している。また、図4中○印は濾過機能を有するインシュレータを示し、図4中×印は従来のインシュレータを示している。
【0081】
図4に示す評価結果から、濾過機能を有するインシュレータを用いた場合では、従来のインシュレータを用いた場合に比べ、注液された非水電解液と一緒に電池素子内等に流れてゆくことがなく適切に濾過、捕集されてインシュレータ上に残存していることがわかる。
【0082】
また、電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータ及び従来のインシュレータをそれぞれ配置して製造したリチウムイオン二次電池について、初回充電後の電池電圧の変化を測定した結果を図5に示す。なお、図5では、横軸に初回充電後の経過日数を示し、縦軸に電池電圧を示している。図5中100は、濾過機能を有するインシュレータを電池素子の巻回端面に配置させたリチウムイオン二次電池を示し、図5中101は従来のインシュレータを電池素子の巻回端面に配置させたリチウムイオン二次電池を示している。また、ここでは、これらのリチウムイオン二次電池の差を明確にするために、粒径が30μm程度の導電金属微粉1mgをそれぞれのインシュレータ上に付着させた後に注液し、リチウムイオン二次電池を完成させた。充電は、所定の電流値で4.25Vまでの定電流定電圧充電で行った。
【0083】
図5に示す評価結果から、濾過機能を有するインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池では、従来のインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池に比べ、初回充電後の電池電圧の低下が抑制されていることがわかる。
【0084】
以上のことから、リチウムイオン二次電池における電池素子の巻回端面に濾過機能を有するインシュレータを配置させることは、注液時に非水電解液と一緒に電池素子内等に侵入する例えばビード加工時に生じる導電金属微粉等が適切に濾過、捕集されることから、電池素子等内に入り込んだ導電金属微粉等による内部短絡を防止する上で大変有効であることがわかる。
【0085】
なお、以上では、電池素子2の外装缶5のビード部17と対向する巻回端面だけにインシュレータ3を配置させたが、このことに限定されることはなく、例えば電池素子2の外装缶5の底面5aと対向する巻回端面にもインシュレータ3を配置させることも可能である。この場合、電池素子2の両巻回端面から侵入しようとする異物を捕集することが可能となり、内部短絡の発生を更に抑制させることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、外装缶の括れ部と電池素子の巻回端面との間に濾過機能を有する電池用インシュレータを配置させることで、非水電解液と一緒に電池素子内に侵入する異物を外装缶の括れ部と電池素子との間で適切に濾過し、捕集させることが可能となる。
【0087】
したがって、本発明によれば、電池用インシュレータにより電池素子内に異物が入り込むことが抑制されることから、従来のような電池素子内に侵入した異物による内部短絡や電池特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したリチウムイオン二次電池の内部構造を示す斜視図である。
【図2】同リチウムイオン二次電池を一部切り欠いて示す平面図である。
【図3】同リチウムイオン二次電池における電池素子、インシュレータ、外装缶、センターピンを示す要部断面図である。
【図4】注液後に濾過機能を有するインシュレータ上及び従来のインシュレータ上に残存した導電金属微粉の残存率を示した特性図である。
【図5】濾過機能を有するインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池と、従来のインシュレータを用いたリチウムイオン二次電池とにおける初回充電後の経過日数と電池電圧との関係を示した特性図である。
【図6】従来のリチウムイオン二次電池の内部構造を示す斜視図である。
【図7】外装缶にビード加工を施す状態を示す斜視図である。
【図8】外装缶にビード部が加工された状態を示す斜視図である。
【図9】ビード加工によりインシュレータ上に飛散した導電金属微粉の粒径と数との関係を示した特性図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 電池素子、2a 空間部、3 インシュレータ、3a 孔部、4 非水電解液、5 外装缶、6 封口蓋体、7 正極、8負極、9 セパレータ、10 正極集電体、11 正極合剤層、12 正極リード端子、13 負極集電体、14 負極合剤層、15 負極リード端子、17ビード部、18 ガスケット
Claims (8)
- 略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、有底筒状をなして上記電池素子及び上記非水電解液を収納し、収納した上記電池素子を飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有する非水電解液電池に用いられる電池用インシュレータであって、
少なくとも上記外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する上記電池素子の巻回端面との間に配置されていると共に、その外径が上記外装缶における括れ部の内径より大きくされ、濾過機能を有するシート体で形成されていることを特徴とする電池用インシュレータ。 - 上記シート体は、濾紙、織布又は不織布よりなることを特徴とする請求項1記載の電池用インシュレータ。
- 上記シート体は、パルプ及び/又はセルロースにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の電池用インシュレータ。
- 上記シート体は、上記電池素子の巻回中心に備わる一方の巻回端面から他方の巻回端面に貫通する空間部と相対する位置に孔部が設けられ、
上記孔部の内径が、上記空間部の内径よりも小さくされていることを特徴とする請求項1記載の電池用インシュレータ。 - 略帯状の正極と、略帯状の負極とがセパレータを介して長手方向に巻回された電池素子と、
上記電池素子の巻回端面に配置され、濾過機能を有するシート体で形成されている電池用インシュレータと、
電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液と、
有底筒状をなして上記電池素子、上記電池用インシュレータ及び上記非水電解液を収納し、収納した上記電池素子及び上記電池用インシュレータを飛び出さないように支持させるための内周側面を一周する括れ部が設けられた外装缶とを有し、
上記電池用インシュレータは、少なくとも上記外装缶の括れ部と、この括れ部に相対する上記電池素子の巻回端面との間に配置され、その外径が上記外装缶における括れ部の内径より大きくされている非水電解液電池。 - 上記電池用インシュレータが濾紙、織布又は不織布により形成されている請求項5記載の非水電解液電池。
- 上記電池用インシュレータがパルプ及び/又はセルロースにより形成されている請求項5記載の非水電解液電池。
- 上記電池素子は、巻回中心に一方の巻回端面から他方の巻回端面に貫通する空間部を備え、
上記電池用インシュレータは、上記空間部と相対する位置に孔部が設けられ、
上記孔部の内径が、上記空間部の内径よりも小さくされている請求項5記載の非水電解液電池。
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