JP4321027B2 - 非水電解液電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極と負極とがセパレータを介して捲回された電池素子と非水電解液とを備え、非水電解液を電池素子に含浸させ易くすることで電池特性が大幅に改良された非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、PDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等といった水系電解液電池よりも大きなエネルギー密度を有する図13に示すリチウムイオン二次電池100がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池100は、例えば化学式LiM(式中MはCo、Ni、Mn、Fe等の遷移金属である。)で示されるリチウム遷移金属複合酸化物等を正極活物質として用い、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な炭素質材料等を負極活物質として用い、これらの活物質を結着剤等で押し固めた活物質層を導電性金属等からなる帯状の集電体上にそれぞれ形成させた帯状の正極101及び負極102を備えている。そして、リチウムイオン二次電池100は、上述した帯状の正極101及び負極102が、セパレータ103を介して互いに対向するように積層され、長手方向に捲回された電池素子104を発電要素とし、非水電解液105と一緒に外装缶106に封入された構成となっている。また、このリチウムイオン二次電池100には、電池素子104の捲回端面に電極の短絡を防止させるための絶縁板107が配置されている。
【0004】
このような構成のリチウムイオン二次電池100では、近年の電子機器の高性能化に伴い更なる高容量化が要求されていることから、例えば電極の活物質層等の充填密度を向上させることにより高容量化を図っている。
【0005】
このため、リチウムイオン二次電池100では、電極の活物質層の充填密度の向上によって電池素子104に対して非水電解液105が含浸しにくくなり、電極に非水電解液105が満遍なく行き渡らなくなって電池特性の低下が起こってしまう。
【0006】
また、リチウムイオン二次電池100では、電池素子104に対する非水電解液105の含浸性の低下により、生産性も低下して製造歩留まりが悪くなる。
【0007】
さらに、このリチウムイオン二次電池100には、電池素子104の捲回端面に、図14に示すように、直径17mmの円盤状板材の略中央部に直径3mm程度の孔部107aが設けられた絶縁板107が配置されている。そして、この絶縁板107は、一方主面全体の面積に対して孔部107aが占める面積が3%よりも狭いことから、電池素子104の捲回端面のほぼ全体を蓋するようさせて電池素子104への非水電解液105の含浸を妨げてしまう。
【0008】
このため、リチウムイオン二次電池100では、電池素子104の捲回端面を蓋するように配置された絶縁板107が、非水電解液105の移動を妨げて電池素子104に対する非水電解液105の含浸性が更に低下してしまう。
【0009】
このような問題を解決する手段としては、例えば電池内に収納された構成群の少なくとも上部に絶縁板が配され、絶縁板は、外周部に少なくとも一つの切り欠き部と有することで構成群に対する電解液の含浸性を向上させることが提案されている。(例えば、特許文献1を参照。)
また、他の手段としては、例えば絶縁体が中央平面部と献上の壁部と壁部の外側の鍔部とから構成され、鍔部底面は中央部底面より電極群側に位置し、複数の貫通孔が形成されていることで電解液の注液時間を短くできることが提案されている。(例えば、特許文献2を参照。)
【特許文献1】
特開平9−283111号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平9−283112号公報(第2−3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した提案でも、電池素子104に対する非水電解液105の含浸性を向上させることは困難であり、電池特性の低下や、電池製造時の歩留まりの低下が起こっているのが現状である。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、電池素子に対する非水電解液の含浸性を向上させることで、電池特性の低下や電池製造時の歩留まりの低下が抑制された非水電解液電池を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解液電池は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成され、正極集電体に正極端子が接続された正極と、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成され、負極集電体に負極端子が接続された負極とが、セパレータを介して長手方向に捲回され、その捲回両端面に絶縁板が配置された電池素子と、電解質塩を含有する非水電解液と、電池素子及び非水電解液が収納されると共に、正極端子又は負極端子が接続される底面を有する外装容器とを備え、正極端子及び負極端子のうちの外装容器の底面に接続される方の底面と対向する面に、凸部が複数形成されており、この凸部によって電池素子と底面との間に隙間が形成され、外装容器の底面に外側に向かって段差が設けられており、この段差によって電池素子と底面との間に隙間が形成され、絶縁板は、略中央部に孔部を有し、上記中央部の孔部から放射状に孔部、切欠部、溝部のうちの少なくともいずれか1つが複数設けられており、上記非水電解液が上記電池素子に導かれるようにされていることを特徴としている。
【0013】
この非水電解液電池では、正極端子又は負極端子のうちの外装容器の底面と対向する面に凸部が複数形成され、外装容器の底面に外側に向かって段差が設けられることにより、電池素子と外装容器の底面との間に隙間が形成され、絶縁板が略中央部に孔部を有し、上記中央部の孔部から放射状に孔部、切欠部、溝部のうちの少なくともいずれか1つが複数設けられていることにより、非水電解液が電池素子に導かれるようにされている。
【0014】
これにより、この非水電解液電池では、電池素子と外装容器との間に形成された隙間が非水電解液を移動させ易くすると共に、この隙間にある非水電解液を絶縁板の中央部の孔部から放射状に設けられた複数の孔部、切欠部、溝部のうちの少なくともいずれか一方を通って電池素子に適切に供給させる。
【0015】
したがって、この非水電解液電池では、外装容器内で移動し易くなった非水電解液が電池素子に適切に供給され含浸していくことから、非水電解液を正極及び負極に満遍なく行き渡らせることができる。また、この非水電解液電池では、外装容器内で移動し易くなった非水電解液が電池素子に適切に供給されることから、電池素子に対する非水電解液の含浸性を向上できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解液電池について、図1に示す直径18mm、長さ650mmの円筒形のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。この電池1は、発電要素となりの捲回構造を有する電池素子2と、電池素子2の捲回両端面に配置された絶縁板3と、電池内部でリチウムイオンを移動させる非水電解液4とが、外装容器となる外装缶5内に一括封入された構造となっている。
【0017】
電池素子2は、図2に示すように、帯状の正極6と、帯状の負極7とが、帯状のセパレータ8を介して密着状態で長手方向に直径が17mm程度になるように巻回された構成となっている。
【0018】
正極6は、図3に示すように、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤塗液を正極集電体9の両主面に塗布、乾燥、加圧することにより、正極集電体9の両主面上に正極活物質層10が圧縮形成された構造となっている。正極4には、正極端子11が正極集電体9の所定の位置に接続されている。この正極端子11には、例えばアルミニウム等の導電性金属からなる短冊状金属片等を用いる。
【0019】
また、この正極6には、長手方向の両端部に、例えば正極端子11を接続させる場所として、正極集電体9の両主面とも正極活物質層10が形成されずに正極集電体9が露出している正極集電体露出部12が設けられている。
【0020】
この正極集電体露出部12は、正極6が捲回されて電池素子2となったときに、外周側になった方が電池素子2の外周を少なくとも一周以上覆うような長さになっている。すなわち、正極6の長手方向の両端部に設けられた正極集電体露出部12のうちの電池素子2の外周側になった方の捲回方向の長さをL1とし、電池素子2の外径をdとしたとき、L1≧dπとなる。なお、正極集電体露出部12において、電池素子2の内周側になった方には、正極端子11が正極6の短手方向に沿うように所定の位置に取り付けられる。
【0021】
正極6において、正極活物質層10に含有される正極活物質には、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な材料を用いる。具体的には、例えば化学式LiMO(xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等で示されるリチウム複合酸化物、TiS、MoS、NbSe、V等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマー等を用いる。これらのうち、リチウム複合酸化物としては、例えばLiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(x、yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02である。)や、LiMn等で示されるスピネル型リチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。そして、正極2では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム複合酸化物等のうちの何れか一種又は複数種を混合して用いることも可能である。
【0022】
正極6では、正極活物質層10の結着剤として、非水電解液電池の正極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる他に、正極活物質層10に例えば導電材として炭素質材料等を添加したり、公知の添加剤等を添加したりすることができる。正極6では、正極集電体9に、例えばアルミニウム等、導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0023】
負極7は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に塗布、乾燥、加圧することにより、負極集電体13の両主面上に負極活物質層14が圧縮形成された構造となっている。負極7には、負極端子15が負極集電体13の所定の位置に接続されている。この負極端子15には、例えば銅、ニッケル等の導電性金属からなる短冊状金属片等を用いる。
【0024】
この負極7には、長手方向の両端部のうちの一端部に、縁端から順に、両主面で負極集電体13が露出している負極集電体露出部16と、負極集電体13の一主面だけに負極活物質層14が形成された負極合剤片面形成部17とが設けられている。また、負極7には、長手方向の両端部のうちの他端部に、負極集電体露出部16だけが設けられている。この負極集電体露出部16は、例えば負極端子15を接続させるための場所として負極7に設けられる。
【0025】
負極7の長手方向の両端部のうち、一端部側の負極集電体露出部16は、負極7が捲回されて電池素子2となったときに、外周側に配置されて電池素子2の外周を少なくとも一周以上覆うような長さになっている。すなわち、負極7の一端部側に設けられた負極集電体露出部16の捲回方向の長さをL2とし、電池素子2の外径をdとしたとき、L2≧dπとなる。なお、一端部側の負極集電体露出部16には、負極端子15が負極7の短手方向に沿うように所定の位置に取り付けられている。
【0026】
また、負極7の一端部側に設けられた負極合剤片面形成部17は、正極活物質層10と対向する側の負極集電体13の一主面に負極活物質層14が形成され、正極活物質層10と対向しない側の負極集電体13の他主面が露出した構成となっている。また、負極合剤片面形成部17は、正極活物質層10と負極活物質層14とを適切に対向させるために、電池素子2の外周を一周以上覆うような長さになっている。
【0027】
負極7において、負極活物質層14に含有される負極活物質には、リチウム、リチウム合金、又はリチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等を用いることが可能である。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料を用いることが可能である。コークス類としては、例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。なお、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである。これらの炭素質材料は、電池1を充放電した際に、負極7側にリチウムが析出することを抑制させることが可能である。
【0028】
また、上述した炭素質材料の他には、負極活物質として例えばリチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物等が挙げられる。負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとしたときにMM'Li(M'はLi元素及びM元素以外の金属元素であり、xは0より大きな数値であり、y及びzは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この化学式においては、例えば半導体元素であるB、Si、As等も金属元素として挙げられる。具体的には、例えばMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B、Si、As等の元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうち何れか一種又は複数種である。)、AlSb、CuMgSb等が挙げられる。
【0029】
特に、リチウムと化合可能な元素には、3B族典型元素が好ましく、これらの中でもSi、Snが好ましく、更にはSiを用いることが好ましい。具体的には、MSi、MSn(MはSi、Sn以外の一種以上の元素であり、xは0以上の数値である。)の化学式で示されるSi化合物、Sn化合物として、例えばSiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0030】
さらに、負極活物質としては、一つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si、SiO、GeO、SiO(0<x≦2)、SnO(0<x≦2)、LiSiO、LiSnO等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0031】
負極7では、負極活物質層14の結着剤として、非水電解液電池の負極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる。負極7では、負極集電体13に、例えば銅等といった導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0032】
セパレータ8は、正極6と負極7とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池の絶縁性微多孔膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ8の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0033】
以上のような捲回構造の電池素子2には、捲回両端面に円盤状を呈する絶縁板3が配置されている。この絶縁板3は、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった場合に、電池内部の電池素子2が外装缶5と接触して電池素子2の捲回端面が潰れ、正極6と負極7とが接触して内部短絡することを防止させるものである。
【0034】
このため、絶縁板3は、例えば絶縁性樹脂等で形成されている。具体的に、絶縁板3を形成する絶縁性樹脂には、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの一種又は複数種を混合したものを用いる。
【0035】
また、この絶縁板3には、図3〜図10に示すように、一主面から他主面に貫通する孔部3a、外周部に備わる切欠部3b、主面に形成される溝部3cのうちの何れか一種以上が一箇所以上に設けられている。
【0036】
これにより、絶縁板3では、電池内の非水電解液4が孔部3a、切欠部3b、溝部3cを通って電池素子2に導かれるようにされていることから、電池素子2に非水電解液4を適切に供給させ、電池素子2に対する非水電解液の含浸性を向上させるように作用する。
【0037】
ここで、図3〜図10に示す絶縁板3について説明する。図3に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に直径4mm〜直径7mm程度の孔部3aが設けられている。図4に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に設けられた直径3mm程度の孔部3aから放射状に外周方向に向かう細長の孔部3aが複数設けられている。図5及び図6に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に直径3mm程度の孔部3aが設けられ、略中心の孔部3aを中心にした同一円周上に複数の直径3mm程度の孔部3aが複数設けられている。
【0038】
図3〜図6に示す孔部3aだけが設けられている絶縁板3においては、一方主面全体の面積に対して5%以上の範囲に孔部3aが設けられている。絶縁板3の一方主面全体の面積に対して孔部3aが占める面積が5%よりも狭い場合、絶縁板3に対して孔部3aが占める割合が少ないことから、電池素子2への非水電解液4の供給を妨げてしまい、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を向上させることが困難になる。
【0039】
したがって、絶縁板3では、孔部3aだけが設けられている場合、一方主面全体の面積に対して孔部3aが占める面積を5%以上の範囲にすることによって、電池素子2に対して非水電解液4を適切に供給できる。
【0040】
また図7に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の外周が多角形状を呈するように切り欠かれている。図8に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に直径3mm程度の孔部3aが設けられ、外周部に所定の間隔で半円状の切欠部3bが複数設けられている。
【0041】
図9に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に設けられた直径3mm程度の孔部3aから外周縁端まで亘って放射状に溝部3cが複数設けられている。図10に示す絶縁板3は、直径17mm程度の円盤状板材の略中心に直径3mm程度の孔部3aが設けられ、主面全体に亘ってストライプ状を呈する溝部3cが複数設けられている。
【0042】
図9及び図10に示す絶縁板3においては、少なくとも電池素子2と対向する主面側に溝部3cが設けられていれば、溝部3cを通って非水電解液4が電池素子2の捲回端面に導かれることから、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を適切に向上させることができる。
【0043】
この絶縁板3は、その厚みが0.01mm以上、1mm以下の範囲にされている。絶縁板3の厚みが0.01mmより薄い場合、絶縁板3が薄すぎて、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった際に、正極6と負極7とが接触して起こる内部短絡を防止させることが困難になる。一方、絶縁板3の厚みが1mmより厚い場合、絶縁板3が厚すぎて、電池内部で絶縁板3が占める割合が大きくなり電池容量を低下させてしまう。
【0044】
したがって、絶縁板3では、その厚みを0.01mm以上、1mm以下の範囲にすることにより、電池1に衝撃や振動等が加わった際に起こる内部短絡を適切に防止できると共に、電池容量が低下することを抑制できる。
【0045】
この絶縁板3は、その外径が電池素子2の外径に対して85%以上、100%以下の範囲の大きさにされている。絶縁板3の外径が電池素子2の外径に対して85%より小さい場合、絶縁板3の外径が小さすぎて、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった際に、正極6と負極7とが接触して起こる内部短絡を防止させることが困難になる。一方、絶縁板3の外径が電池素子2の外径に対して100%より大きい場合、絶縁板3の外径が大きすぎて、外装缶5に収納させる際に、絶縁板3の外周部が外装缶5の内周面に当たって絶縁板3を外装缶5に収納しにくくなる。
【0046】
したがって、絶縁板3では、その外径を電池素子2の外径に対して85%以上、100%以下の範囲の大きさにすることにより、電池1に衝撃や振動等が加わった際に起こる内部短絡を適切に防止できると共に、外装缶5に収納させ易くして電池製造時の歩留まりを良好にできる。
【0047】
非水電解液4は、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水溶液である。非水電解液4において、非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを使用することが好ましい。
【0048】
また、電解質塩としては、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。
【0049】
外装缶5は、例えば有底筒状容器であり、底面5aが円状等の形状を有している。外装缶5は、図1において底面5aが円状となっているが、このことに限定されることはなく、例えば矩形状、扁平円状等の底面を有する有底筒状容器も適用可能である。
【0050】
また、外装缶5には、底面5aに段差部5bが設けられている。この段差部5bは、外装缶5に収納される電池素子2の捲回端面と底面5aとの間に隙間部18を形成させることから、外装缶5に収納された非水電解液4を移動させ易くして電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を向上させるように作用する。また、外装缶5では、隙間部18に貯留した非水電解液4が絶縁板3の孔部3a等を通って電池素子2の捲回端面に適切に供給され含浸されることから、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性が向上される。
【0051】
この外装缶5は、正極端子11が底面5aに溶接されて正極6と導通する場合、例えばアルミニウム、チタン等といった導電性金属で形成される。一方、外装缶5は、負極端子15が底面5aに溶接されて負極7と導通する場合、例えば鉄、ステンレス、ニッケル等といった導電性金属で形成される。外装缶5は、例えば鉄等で形成された場合、その表面にはニッケルめっき等が施される。
【0052】
正極端子11及び負極端子15のうちの外装缶5の底面5aに溶接される方には、図11及び図12に示すように、底面と相対する溶接面側に突出する凸部19が複数設けられている。なお、図11及び図12は、負極端子15に凸部19が複数も受けられた状態を示している。
【0053】
負極端子15が外装缶5の底面5aに溶接された場合、凸部19は、例えば電池1に衝撃や振動等が加わった際に、電池素子2が外装缶5の底面5a側に寄って密着することで段差部5bにより形成された隙間部18を電池素子2が埋めてしまわないように、底面5aと負極端子15の溶接面との間、すなわち底面5aと電池素子2との間に適切に隙間部18を形成させるように作用する。
【0054】
これにより、電池1では、電池素子2の警戒軸方向の端部と外装缶5の底面5aとの間に適切に隙間部18が形成されることになり、この隙間部18に貯留した非水電解液4が絶縁板3の孔部3a等を通って電池素子2の捲回端面に適切に供給され、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を向上できる。なお、正極端子11が外装缶5の底面5aに溶接されて正極端子11の溶接面側に凸部19が設けられた場合でも同様の作用効果が得られる。
【0055】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極6を作製する。正極6を作製する際は、正極活物質と、導電材と、結着剤とを例えばボールミル、サンドミル、二軸混練機等の分散装置で均一に分散させた正極合剤塗液を調製する。そして、この正極合剤塗液を正極集電体9の両主面に未塗工部を設けながら例えばスライドコーティング、エクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等の塗工装置で均一に塗布し、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱乾燥機等を用いて乾燥した後に、圧縮することで正極活物質層10を形成し、帯状に裁断して所定の位置に正極端子11を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長手方向の両端部に、正極集電体9が露出している正極集電体露出部12が設けられた正極6が作製される。
【0056】
次に、負極7を作製する。負極7を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を上述した分散装置等を用いて調製する。そして、この負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に未塗工部や片面塗工部を設けながら上述した塗工装置等を用いて均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極活物質層14を形成し、帯状に裁断して所定の位置に凸部19が設けられた負極端子15を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長手方向の一端部に、負極集電体13が露出している負極集電体露出部16と、片面だけ負極集電体13が露出している負極合剤片面形成部17とが設けられ、長手方向の他端部に、負極集電体露出部16だけが設けられた負極7が作製される。
【0057】
次に、正極6と負極7とを、帯状のセパレータ8を介して積層し、多数回捲回することにより電池素子2を作製する。
【0058】
このとき、電池素子2には、正極端子11が内周側の正極集電体露出部12に取り付けられ、負極端子15が外周側の負極集電体露出部16に取り付けられている。
【0059】
次に、電池素子2の捲回両端面に、孔部3a、切欠部3b、溝部3cのうちの一種以上が一箇所以上に設けられた絶縁板3をそれぞれ設置し、さらに電池素子2を底面5aに段差部5bが設けられた外装缶5に収納する。そして、負極7の集電をとるために、負極端子15の電池素子2より突出している部分を外装缶5の底面5aに溶接する。このとき、凸部19と底面5aとが対向するように負極端子15を外装缶5の底面5aに溶接する。これにより、外装缶5は、負極7と導通することとなり、電池1の外部負極となる。また、正極6の集電をとるために、正極端子11の電池素子2より突出している部分を電流遮断用薄板20に溶接することでこの電流遮断用薄板20を介して電池蓋21と電気的に接続する。この電流遮断用薄板20は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋21は、正極6と導通することとなり、電池1の外部正極となる。
【0060】
次に、電池素子2が収納されている外装缶5の中に非水電解液4を注入する。この非水電解液4は、電解質塩を、非水溶媒に溶解させて調製される。次に、アスファルト等からなるシール剤を塗布したガスケット22を介して外装缶5の開口部をかしめることにより電池蓋21が固定され、電池1が作製される。
【0061】
なお、この電池1においては、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁23、電池内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperature coefficient)素子24等が設けられている。
【0062】
このようにして製造される電池1では、負極端子15の溶接面に凸部19が形成され、外装缶5の底面5aに段差部5bが設けられることにより、電池素子2と外装缶5の底面5aとの間に隙間部18が形成され、絶縁板3に孔部3a、切欠部3b、溝部3cの何れか一つ以上が一箇所以上に設けられていることにより、非水電解液4が電池素子2に導かれるようにされている。
【0063】
これにより、この電池1では、電池素子2と外装缶5との間に形成された隙間部18が非水電解液4を移動させ易くすると共に、この隙間部18にある非水電解液4を絶縁板3に設けられた孔部3a、切欠部3b、溝部3cを通って電池素子2に適切に供給できる。
【0064】
したがって、この電池1では、外装缶5内で移動し易くなった非水電解液4が電池素子2に適切に供給され含浸していくことから、非水電解液4を正極6及び負極7に満遍なく行き渡らせることから電池特性の低下を抑制できる。また、この電池1では、外装缶5内で移動し易くなった非水電解液4が電池素子2に適切に供給されることから、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を大幅に向上できる。
【0065】
以上のことより、この電池1は、電池特性に優れ、且つ製造歩留まりの向上により低コスト化が図られた電源として、例えば携帯型の電子機器等に幅広く用いることが可能である。
【0066】
また、この電池1においては、少なくとも電池素子2の捲回両端面に配置された絶縁板3のうちの外装缶5の底面5aと対向する端面側の絶縁板3に、上述した図3〜図10に示すような孔部3a、切欠部3b、溝部3cが設けられていれば、電池素子2に対する非水電解液4の含浸性を向上させる作用効果が得られる。
【0067】
また、上述した実施の形態においては、円筒形の電池1を例に挙げて説明しているが、このことに限定されることはなく、捲回構造の電池素子を備えていれば、例えば角型等、外装材に金属製容器等を用いた電池、薄型等、様々な大きさ、形状の非水電解液電池に適用可能である。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解液電池としてリチウムイオン二次電池を実際に作製した実施例及び比較例について説明する。
【0069】
〈実施例1〉
実施例1では、先ず、正極を作製した。正極を作製する際は、正極活物質としてLiCoOを96重量部と、導電材としてケッチェンブラックを1重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを加えて混練して分散を行い、正極合剤塗液を作製した。次に、正極合剤塗液を正極集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔の両主面に未塗工部を設けながら均一に塗布し、乾燥した後に、ローラプレス機で圧縮成形することで正極活物質層を形成し、帯状に裁断した。このようにして、長手方向の両端部に正極集電体露出部が設けられた正極を作製した。具体的に、厚み160μm、正極活物質層の体積密度が3.5g/cmとなる正極を作製した。
【0070】
次に、正極集電体露出部の所定の位置に、正極の短手方向と略平行となるように正極端子を取り付けた。
【0071】
次に、負極を作製した。負極を作製する際は、負極活物質としてグラファイトを94重量部と、結着剤としてPVdFを6重量部と、溶媒としてNMPとを加えて混練して分散を行い、負極合剤塗液を作製した。次に、この負極合剤塗液を負極集電体となる厚みが15μmの銅箔の両主面に未塗工部や片面塗工部を設けながら均一に塗布し、乾燥した後に、ローラプレス機で圧縮成形することで負極活物質層を形成し、帯状に裁断した。このようにして、長手方向の一端部に負極集電体露出部や負極合剤片面形成部が設けられ、長手方向の他端部に負極集電体露出部だけが設けられた負極を作製した。具体的に、厚み160μm、極合剤層の体積密度が1.66g/cmとなる負極を作製した。
【0072】
次に、負極の長手方向の一端部側の負極集電体露出部に、負極の短手方向と略平行となるように溶接面に凸部が設けられた負極端子を取り付けた。
【0073】
次に、正極と負極とを、ポリエチレンからなる微多孔性フィルムからなる帯状のセパレータを介して積層し、電極の長手方向に多数回捲回することにより直径17mmの電池素子を作製した。このとき、電池素子において、正極端子は内周側の正極集電体露出部に配置され、負極端子は外周側の負極集電体露出部に配置されるようにした。
【0074】
次に、以上のようにして作製した電池素子の捲回端面から導出している正極端子を電池蓋に、負極端子を鉄にニッケルメッキを施した外装缶の底面にそれぞれ溶接すると共に、電池素子を底面に段差部を有する外装缶に収納した。
【0075】
このとき、外装缶の底面に対する負極端子の溶接面に突起部がくるようにして、適切に電池素子と外装缶の底面との間に隙間が形成されるようにした。また、電池素子の捲回両端面には、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部と、この孔部から放射状に外周方向に向かう6個の細長の孔部とが設けられた絶縁板をそれぞれ配置した。
【0076】
次に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積混合比が1対1の混合溶媒に対してLiPFが1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を作製した。次に、この非水電解液を外装缶内に4.5g注入し、アスファルトを塗布したガスケットを介して外装缶の開口部に電池蓋を圧入して外装缶の開口部をかしめることによりで電池蓋を強固に固定した。
【0077】
以上のようにして直径18mm、高さ65mmの円筒形のリチウムイオン二次池を5個作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池を称する。
【0078】
〈実施例2〉
実施例2では、絶縁板を電池素子に配置する際に、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部と、この孔部と中心にして同心円上に6個の直径3mmの孔部とが設けられた絶縁板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を5個作製した。
【0079】
〈実施例3〉
実施例3では、絶縁板を電池素子に配置する際に、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部を設け、外周を切り欠いて六角形にさせた絶縁板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして5個電池を作製した。
【0080】
〈実施例4〉
実施例4では、絶縁板を電池素子に配置する際に、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部を設け、この孔部から外周縁端までに亘る無数の溝部が主面に設けられた絶縁板を用い、この絶縁板を溝部が設けられた側の主面と電池素子の捲回端面とが対向するように配置させたこと以外は、実施例1と同様にして電池を5個作製した。
【0081】
〈比較例1〉
比較例1では、絶縁板を電池素子に配置する際に、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部だけが設けられた絶縁板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして5個電池を作製した。
【0082】
〈比較例2〉
比較例2では、底面に段差部が設けられていない外装缶を用いたこと以外は、実施例1と同様にして5個電池を作製した。
【0083】
〈比較例3〉
比較例3では、溶接面に凸部が設けられていない負極端子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして5個電池を作製した。
【0084】
〈比較例4〉
比較例4では、直径17mmの円盤状を呈し、略中央に直径3mmの孔部だけが設けられた絶縁板と、底面に段差部が設けられていない外装缶と、溶接面に凸部が設けられていない負極端子とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を5個作製した。
【0085】
そして、以上のように作製した実施例1〜実施例4、及び比較例1〜比較例4の電池について、電池素子が挿入された外装缶に非水電解液を注液した際に、非水電解液が電池素子に含浸されるのに掛かる含浸時間を測定した。なお、非水電解液を注液する際は、電池素子が挿入された外装缶内に非水電解液を注液し、93kPaの減圧状態で25秒保持した後に、200kPaで加圧させた。
【0086】
以下、各実施例及び各比較例における、非水電解液の含浸時間の評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 0004321027
【0088】
なお、表1おいて、含浸時間は、各実施例及び各比較例の5個の電池についてそれぞれ含浸時間を測定した平均値を示している。
【0089】
表1に示す評価結果から、孔部、切欠部、溝部等が複数設けられた絶縁板を用いた実施例1〜実施例4では、直径3mmの孔部が一つだけ設けられた絶縁板を用いた比較例1に比べ、含浸時間が短くなっていることがわかる。
【0090】
比較例1では、絶縁板に設けられた孔部の直径が小さく、また孔部の数が少ないことから、絶縁板が電池素子の捲回端面を蓋するように作用することから、電池素子に対する非水電解液の含浸を妨げて含浸時間が長くなってしまう。
【0091】
一方、実施例1〜実施例4では、絶縁板に複数の孔部や、切欠部、溝部等が設けられており、絶縁板が電池素子の捲回端面を蓋するように配置されていても、非水電解液が孔部、切欠部、溝部等を通って電池素子に適切に供給され、含浸されていくことから含浸時間が短くなる。
【0092】
表1に示す評価結果から、底面に段差部が設けられた外装缶を用いた実施例1〜実施例4では、底面に段差部が設けられていない外装缶を用いた比較例2に比べ、含浸時間が短くなっていることがわかる。
【0093】
比較例2では、外装缶の底面に段差部が設けられていないことから、底面と電池素子との間に隙間を形成させることが困難となり、電池素子の捲回端面から含浸していく非水電解液が少ないことから含浸時間が長くなってしまう。
【0094】
一方、実施例1〜実施例4では、外装缶の底面に段差部が設けられて電池素子と底面との間に隙間が形成されていることにより、隙間により電池内部の非水電解液が移動し易くなると共に隙間に貯留した非水電解液が、絶縁板の孔部等を通って電池素子の捲回端面から適切に含浸していくことから含浸時間が短くなる。
【0095】
表1に示す評価結果から、溶接面に凸部が設けられた負極端子を用いた実施例1〜実施例4では、溶接面に凸部が設けられていない負極端子を用いた比較例3に比べ、含浸時間が短くなっていることがわかる。
【0096】
比較例3では、負極端子の溶接面に凸部が設けられていないことから、外装缶に電池素子を挿入した際に、電池素子が外装缶の底面側に寄ってしまい、電池素子により外装缶の底面に設けられた段差部によって形成される隙間が埋まってしまう。これにより、比較例3では、比較例2と同様に、底面と電池素子との間に隙間を形成させることが困難となり、電池素子の捲回端面から含浸していく非水電解液が少ないことから含浸時間が長くなる。
【0097】
一方、実施例1〜実施例4では、負極端子の溶接面に凸部が設けられており、外装缶に挿入した電池素子が底面側に寄ることを防いで電池素子と外装缶の底面との間に適切に隙間が形成されることから、含浸時間を短くできる。
【0098】
表1に示す評価結果から、実施例1〜実施例4では、直径3mmの孔部が一つだけ設けられた絶縁板と、底面に段差部が設けられていない外装缶と、溶接面に凸部が設けられていない負極端子とを用いた比較例4に比べ、含浸時間が大幅に短くなっていることがわかる。
【0099】
比較例4では、比較例1〜比較例3の不具合を全て併せ持つことから、含浸時間が大幅に長くなる。
【0100】
これに対し、実施例1〜実施例4では、上述したように、絶縁板に複数設けた孔部、切欠部、溝部や、外装缶の底面に設けた段差部や、負極端子の溶接面に設けた凸部の作用効果により、比較例4に比べて大幅に含浸時間が短くできる。
【0101】
以上のことより、電池を作製する際に、絶縁板に孔部、切欠部、溝部を設け、外装缶の底面に段差部を設け、負極端子の溶接面に凸部を設けることは、非水電解液が電池素子に含浸される際の含浸時間が短くでき、電池製造時の歩留まりを向上させる上で大変有効であることがわかる。
【0102】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る非水電解液電池では、絶縁板に一つ以上設けた孔部、切欠部、溝部や、外装容器の底面に設けた段差や、外装容器の底面に溶接される電極端子の溶接面に設けた凸部により、電池内の非水電解液が移動し易くなると共に、隙間にある非水電解液が絶縁板の孔部、切欠部、溝部を通って適切に供給され、電池素子の捲回端面より適切に含浸していくことから、電池素子に対する非水電解液の含浸性を向上できる。
【0103】
これにより、本発明に係る非水電解液電池では、電池内の非水電解液が正極及び負極に満遍なく行き渡ることから電池特性の低下が抑制できると共に、従来に比べて電池素子に対する非水電解液の含浸性が大幅に向上されることから電池製造時の歩留まりを向上できる。
【0104】
したがって、本発明に係る非水電解液電池は、電池特性に優れ、且つ製造歩留まりの向上により低コスト化が図られた電源として例えば電子機器等に幅広く用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したリチウムイオン二次電池の内部構造を示す縦断面図である。
【図2】同リチウムイオン二次電池の内部構造を横断面から示す模式図である。
【図3】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央に直径が大きい孔部が設けられている状態を示す平面図である。
【図4】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央の孔部の他に、細長の孔部が複数設けられている状態を示す平面図である。
【図5】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央の孔部の他に、孔部が4個設けられている状態を示す平面図である。
【図6】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央の孔部の他に、孔部が6個設けられている状態を示す平面図である。
【図7】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央に孔部が設けられ、外周が六角形に切り欠かれた状態を示す平面図である。
【図8】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央の孔部の他に、外周部に半円状の切欠部が6個設けられている状態を示す平面図である。
【図9】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央に設けられた孔部から外周縁端にまで亘る溝部が無数に設けられている状態を示す平面図である。
【図10】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板であり、略中央の孔部の他に、溝部がストライプ状に無数に設けられている状態を示す平面図である。
【図11】同リチウムイオン二次電池に用いられる負極端子の一例を示しており、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。
【図12】同リチウムイオン二次電池に用いられる負極端子の他の例を示しており、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。
【図13】従来のリチウムイオン二次電池の内部構造を示す縦断面図である。
【図14】同リチウムイオン二次電池に用いられる絶縁板を示す平面図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 電池素子、3 絶縁板、3a 孔部、3b切欠部、3c 溝部、4 非水電解液、5 外装缶、5a 底面、5b 段差部、6 正極、7 負極、8 セパレータ、9 正極集電体、10 正極活物質層、11 正極端子、12 正極集電体露出部、13 負極集電体、14 負極活物質層、15 負極端子、16 負極集電体露出部、17 負極合剤片面形成部、18 隙間部、19 凸部

Claims (6)

  1. 帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成され、上記正極集電体に正極端子が接続された正極と、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成され、上記負極集電体に負極端子が接続された負極とが、セパレータを介して長手方向に捲回され、その捲回両端面に絶縁板が配置された電池素子と、
    電解質塩を含有する非水電解液と、
    上記電池素子及び上記非水電解液が収納されると共に、上記正極端子又は上記負極端子が接続される底面を有する外装容器とを備え、
    上記正極端子及び上記負極端子のうちの上記外装容器の底面に接続される方は、上記底面と対向する面から突出する凸部が複数形成されており、この凸部によって上記電池素子と上記底面との間に隙間が形成され、
    上記外装容器は、上記底面に外側に向かって段差が設けられており、この段差によって上記電池素子と上記底面との間に隙間が形成され、
    上記絶縁板は、略中央部に孔部を有し、上記中央部の孔部から放射状に孔部、切欠部、溝部のうちの少なくともいずれか1つが複数設けられており、上記非水電解液が上記電池素子に導かれるようにされている非水電解液電池。
  2. 上記絶縁板は、その主面に、上記溝部が中心に対して放射状に複数設けられている請求項1記載の非水電解液電池。
  3. 上記絶縁板は、その外周が多角形状になるように、上記切欠部が設けられている請求項1記載の非水電解液電池。
  4. 上記絶縁板は、一主面から他主面に貫通する上記孔部が、中心に対して放射状に複数設けられている請求項1記載の非水電解液電池。
  5. 上記絶縁板は、上記孔部だけが設けられている場合、一主面全体の面積の5%以上の範囲に上記孔部が設けられている請求項1記載の非水電解液電池。
  6. 上記絶縁板は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂のうちの一種又は複数種を混合した混合物からなる請求項1記載の非水電解液電池。
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