JP2004240035A - 感光性樹脂組成物およびパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造において電気・電子絶縁材料として用いられるポリイミド系の感光性樹脂組成物およびこれを用いるパターン形成方法に係り、特に、ICやLSI等の半導体素子上に成膜され、微細パターンの加工が必要とされる絶縁膜、保護膜の形成に有用な感光性樹脂組成物およびパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリイミド樹脂は、その高い耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、低誘電率等によって、半導体を含む電気・電子分野への展開がなされており、半導体デバイスの分野では、IC、LSI、超LSI等の半導体素子の層間絶縁膜や表面保護膜の形成材料として用いられている。
【0003】
ところで、従来のポリイミド膜パターン形成方法では、ポリイミド前駆体をウェハ上に塗布、乾燥した後、フォトレジストを用いてパターン蝕刻加工を行わなければならないうえ、有害とされるヒドラジン溶液をポリイミドエッチング液として使用しなければならなかった。
【0004】
そこで、この問題を解決するものとして、ポリイミド前駆体に感光基を導入することにより、ポリイミド自体にパターン形成能を持たせたものが開発され、感光性ポリイミドとして広く用いられるようになってきた(例えば、特許文献1参照。)。このような感光性ポリイミドによれば、工程の合理化が図られるうえ、ヒドラジン溶液の使用も不要となる。
【0005】
一方、最近の半導体製造技術の多様化に伴い、ポリイミド樹脂には、より厳しい耐薬品性が要求されるようになってきた。
【0006】
すなわち、ポリイミド樹脂をマスクとしたウエットエッチングやドライエッチングのプロセスに用いるエッチングガスやエッチング溶液に対する耐性のみならず、ポリイミド樹脂上に成膜された無機または有機材料の除去に用いるエッチングガスやエッチング溶液に対しても高い耐性を有することが求められてきている。
【0007】
しかしながら、感光性ポリイミドとして、このような要求に十分に応え得る耐薬品性を備えたものは未だ得られていない。
【0008】
このような事情から、露光、現像が可能で、しかも、従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド樹脂からなるパターン形成が可能なポリイミド系の感光性樹脂組成物の開発が要望されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭54−145794号公報(第2−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、前述した要望に応えるべく、露光、現像が可能で、しかも、従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド樹脂からなるパターン形成が可能なポリイミド系の感光性樹脂組成物およびそのような感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、後述する特定組成の感光性樹脂組成物と、それを用いるネガ型のパターン形成方法を採用することによって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)一般式[I]で示される繰返し単位と一般式[II]で示される繰返し単位とを有するポリイミド前駆体:
【化3】
【化4】
(式中、R1は4価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された4価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された4価の有機基であり、R2は2価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された2価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された2価の有機基であり、R3はエチレン性不飽和結合を有する1価の有機基であり、R4およびR5はそれぞれ1価の有機基であり、R6は3価もしくは4価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された3価もしくは4価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された3価もしくは4価の有機基であり、R7は不飽和結合を有する2価の有機基であり、nは1または2である。)、(B)感光剤および(C)溶剤を含有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のパターン形成方法は、上記の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、形成された塗膜にネガ型パターンマスクを透して活性光線を照射する露光工程と、有機溶剤を使用して前記塗膜の未露光部分のみを溶解してネガ型パターンに現像する現像工程と、現像したネガ型パターンを熱処理してポリイミドのネガ型パターンを形成する熱処理工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記パターン形成方法において、基板上に塗布し乾燥させて塗膜を形成し、次いで、この塗膜に所望のネガ型パターンマスクを透して紫外線等の活性光線を照射した後、有機溶剤を使用して未露光部分のみを溶解してネガ型パターンに現像し、さらにこのネガ型パターンを熱処理することにより、前記一般式[I]で示される繰返し単位と前記一般式[II]で示される繰返し単位とを有するポリイミド前駆体がイミド化されるとともに、R7基の不飽和結合による三次元架橋反応が進み、耐熱性のみならず耐薬品性に優れたポリイミド膜パターンが形成される。
【0015】
すなわち、一般に不飽和結合は加熱されるとカルボン酸と容易に反応してしまうため、架橋点が消失するが、本発明のポリイミド前駆体は、カルボン酸の部位が3級アミン化合物によるイオン結合でブロックされているため、熱処理の初期では不飽和結合間の架橋反応が優先し、また、3級アミン化合物がカルボン酸から脱離する温度になるとイミド化が優先するため、不飽和結合がカルボン酸との反応によって消失する量は少ない。この結果、線状ポリマーであるポリイミドに三次元架橋構造を導入することができ、耐熱性のみならず耐薬品性の向上したポリイミド膜を形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明で用いる(A)成分のポリイミド前躯体は、前記一般式[I]で示される繰返し単位と前記一般式[II]で示される繰返し単位とを有するものである。
【0018】
式中、R1骨格となる酸成分としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4′−オキシジフタル酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸、2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸等とその無水物が挙げられる。
【0019】
また、R2骨格となるジアミン成分としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(3,3′−ジメチル−シクロヘキシルアミン)、2,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルフォン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロピル]ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビスアニリンフルオレン等が挙げられる。
【0020】
さらに、R6骨格となるアミン成分としては、例えば、3,4,4′−トリアミノジフェニルエーテル、2,4,6−トリアミノピリミジンや、3,3−ジアミノベンジジン等が挙げられ、また、これらのアミン成分にアミド結合で導入するR7骨格をもつ酸成分としては、例えば、マレイン酸、メチルナジック酸、4−ペンテン−1,2ジカルボン酸、4−ヘキセン−1,2ジカルボン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、3−メチルー4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、4−メチルー4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、4−メチル−4−ペンテン−1,2ジカルボン酸、4,9−デカジエン−1,2ジカルボン酸等とその無水物が挙げられる。
【0021】
また、上記R1、R7骨格をもつ各酸成分にイオン結合で導入するR3、R4およびR5基を有するアミン化合物としては、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルエステル等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いる(A)成分のポリイミド前躯体は、例えば、前述したようなR6骨格となるアミン成分の1種または2種以上と、R7骨格をもつ酸成分の1種または2種以上とを、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミドのような非プロトン性極性溶媒を反応溶媒として反応させ、次いで、R2骨格となるジアミン成分の1種または2種以上を添加した後、R1骨格となる酸成分の1種または2種以上を加えて重縮合反応させ、さらに、R3、R4およびR5基を有するアミン化合物の1種または2種以上を添加し、R1およびR7骨格に結合するカルボン酸にイオン結合させることにより得ることができる。
【0023】
なお、本発明において、(A)成分のポリイミド前躯体としては、一般式[II]で示される繰返し単位の比率が10モル%以上であることが好ましく、30〜60モル%の範囲であるとより好ましい。10モル%未満であると、樹脂中への架橋構造の導入が不十分となり、耐薬品性を十分に向上させることができない。
【0024】
また、本発明で用いる(B)成分の感光剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−エチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−ブチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−(t−ブチル)シクロヘキサノン等のアジド化合物;1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N−フェニルグリシン、N−(p−エチル)フェニルグリシン等のグリシン誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、本発明において好ましいものであるが、紫外線等の活性光線の照射によって分解し、効率よくラジカルを発生するものであれば、特にこれらの化合物に限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では活性光線に対する感度が低く、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0025】
さらに、(C)成分の溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物には、以上の各成分の他、(D)増感剤、(E)架橋剤、(F)組成物の保存安定性を向上させる重合禁止剤等を配合することができる。
【0027】
(D)増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノベンゾフェノン)、2,5−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシコロヘキサン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)アセトン、3,3′−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N′−エタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、4−モルホニノベンゾフェノンジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。これらの増感剤は、使用する光の波長に合わせて、さらには要求感度に合わせて利用することで各波長における解像度を向上させることができる。添加量が0.1重量部未満では添加による効果が十分得られず、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0028】
(E)架橋剤としては、例えば、シアヌル酸トリアリルエステル、イソシアヌル酸トリアリルエステル、リン酸トリアリルエステル、クエン酸トリアリルエステル、トリメシン酸トリアリルエステル、テトラアリロキシエタン、ジアリルエーテル、アジピン酸ジアリルエステル、ジアリルアミン、ジアリルマロン酸ジエチルエステル、ヘキサジエン、イソシアヌル酸ジアリルエステル、イソシアヌル酸ジアリル−n−プロピルエステル、イソフタル酸ジアリルエステル、マレイン酸ジアリルエステル、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、テレフタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジアリルエステル等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。1重量部未満では添加による効果が十分得られず、50重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0029】
(F)重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ブチルキノン等のヒドロキノン誘導体等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では添加による効果が十分得られず、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0030】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いてネガ型パターンを形成する方法を、半導体デバイスに適用する場合を例に説明する。
【0031】
まず、この感光性樹脂組成物を、ウェハ上にスピンコータ等を用いて塗布し、80〜120℃で塗膜を乾燥させる。次いで、得られた塗膜上にパターンが描画されているマスクを透過させて365nm、436nmといった活性紫外線を照射する。照射後、30〜120℃で再度塗膜を加熱した後、塗膜を有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等を使用して活性光線未照射部のみを溶解現像し、低級アルコール等のアルコール系溶剤等によってリンス洗浄する。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が用いられる。これによって、ウェハ上には所望するネガ型パターンが形成され、さらに、この塗膜を150〜350℃で熱処理することによって、ポリイミド前駆体がイミド化されるとともに、不飽和結合による三次元架橋反応が進み、耐熱性および耐薬品性に優れたポリイミド膜が形成される。
【0032】
なお、このように本発明の感光性樹脂組成物においては、ポリイミドに三次元架橋構造を導入することができ、これによって、耐熱性のみならず耐薬品性の向上したポリイミド膜を形成することができるため、感光性樹脂組成物としての用途のみならず、一般的なコーティング材料等としても有用で、耐熱性および耐薬品性に優れた被膜を形成することができる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0034】
実施例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、3,4,4′−トリアミノジフェニルエーテル0.45molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、無水マレイン酸0.45molを添加し3時間撹拌して反応させた。次いで、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.45molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molとを加えて30分間撹拌した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し3時間撹拌して反応させた。その後、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0035】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0036】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0037】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したが、パターンの剥離は全く観察されなかった。
【0038】
実施例2
窒素導入管を備えた反応フラスコに、3,3′−ジアミノベンジジン0.3molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、メチルナジック酸無水物0.6molを添加し3時間撹拌して反応させた。次いで、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.45molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。その後、アクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0039】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚7μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、10μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0040】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0041】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したが、パターンの剥離は全く観察されなかった。
【0042】
比較例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.9molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。次いで、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0043】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0044】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0045】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したところ、パターンは消失してしまった。
【0046】
比較例2
窒素導入管を備えた反応フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.8molと、3,4,4′−トリアミノ1ジフェニルエーテル0.067molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。次いで、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0047】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0048】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0049】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したところ、パターンは斑状となった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、露光、現像によるパターン形成が可能で、しかも、最終的に従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド膜を形成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造において電気・電子絶縁材料として用いられるポリイミド系の感光性樹脂組成物およびこれを用いるパターン形成方法に係り、特に、ICやLSI等の半導体素子上に成膜され、微細パターンの加工が必要とされる絶縁膜、保護膜の形成に有用な感光性樹脂組成物およびパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリイミド樹脂は、その高い耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、低誘電率等によって、半導体を含む電気・電子分野への展開がなされており、半導体デバイスの分野では、IC、LSI、超LSI等の半導体素子の層間絶縁膜や表面保護膜の形成材料として用いられている。
【0003】
ところで、従来のポリイミド膜パターン形成方法では、ポリイミド前駆体をウェハ上に塗布、乾燥した後、フォトレジストを用いてパターン蝕刻加工を行わなければならないうえ、有害とされるヒドラジン溶液をポリイミドエッチング液として使用しなければならなかった。
【0004】
そこで、この問題を解決するものとして、ポリイミド前駆体に感光基を導入することにより、ポリイミド自体にパターン形成能を持たせたものが開発され、感光性ポリイミドとして広く用いられるようになってきた(例えば、特許文献1参照。)。このような感光性ポリイミドによれば、工程の合理化が図られるうえ、ヒドラジン溶液の使用も不要となる。
【0005】
一方、最近の半導体製造技術の多様化に伴い、ポリイミド樹脂には、より厳しい耐薬品性が要求されるようになってきた。
【0006】
すなわち、ポリイミド樹脂をマスクとしたウエットエッチングやドライエッチングのプロセスに用いるエッチングガスやエッチング溶液に対する耐性のみならず、ポリイミド樹脂上に成膜された無機または有機材料の除去に用いるエッチングガスやエッチング溶液に対しても高い耐性を有することが求められてきている。
【0007】
しかしながら、感光性ポリイミドとして、このような要求に十分に応え得る耐薬品性を備えたものは未だ得られていない。
【0008】
このような事情から、露光、現像が可能で、しかも、従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド樹脂からなるパターン形成が可能なポリイミド系の感光性樹脂組成物の開発が要望されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭54−145794号公報(第2−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、前述した要望に応えるべく、露光、現像が可能で、しかも、従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド樹脂からなるパターン形成が可能なポリイミド系の感光性樹脂組成物およびそのような感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、後述する特定組成の感光性樹脂組成物と、それを用いるネガ型のパターン形成方法を採用することによって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)一般式[I]で示される繰返し単位と一般式[II]で示される繰返し単位とを有するポリイミド前駆体:
【化3】
【化4】
(式中、R1は4価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された4価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された4価の有機基であり、R2は2価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された2価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された2価の有機基であり、R3はエチレン性不飽和結合を有する1価の有機基であり、R4およびR5はそれぞれ1価の有機基であり、R6は3価もしくは4価の芳香族基、複数の芳香族環が単結合された3価もしくは4価の有機基、または複数の芳香族環が−O−、−CO−、−SO2−、−CH2−もしくは−C(CF3)2−で結合された3価もしくは4価の有機基であり、R7は不飽和結合を有する2価の有機基であり、nは1または2である。)、(B)感光剤および(C)溶剤を含有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のパターン形成方法は、上記の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、形成された塗膜にネガ型パターンマスクを透して活性光線を照射する露光工程と、有機溶剤を使用して前記塗膜の未露光部分のみを溶解してネガ型パターンに現像する現像工程と、現像したネガ型パターンを熱処理してポリイミドのネガ型パターンを形成する熱処理工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記パターン形成方法において、基板上に塗布し乾燥させて塗膜を形成し、次いで、この塗膜に所望のネガ型パターンマスクを透して紫外線等の活性光線を照射した後、有機溶剤を使用して未露光部分のみを溶解してネガ型パターンに現像し、さらにこのネガ型パターンを熱処理することにより、前記一般式[I]で示される繰返し単位と前記一般式[II]で示される繰返し単位とを有するポリイミド前駆体がイミド化されるとともに、R7基の不飽和結合による三次元架橋反応が進み、耐熱性のみならず耐薬品性に優れたポリイミド膜パターンが形成される。
【0015】
すなわち、一般に不飽和結合は加熱されるとカルボン酸と容易に反応してしまうため、架橋点が消失するが、本発明のポリイミド前駆体は、カルボン酸の部位が3級アミン化合物によるイオン結合でブロックされているため、熱処理の初期では不飽和結合間の架橋反応が優先し、また、3級アミン化合物がカルボン酸から脱離する温度になるとイミド化が優先するため、不飽和結合がカルボン酸との反応によって消失する量は少ない。この結果、線状ポリマーであるポリイミドに三次元架橋構造を導入することができ、耐熱性のみならず耐薬品性の向上したポリイミド膜を形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明で用いる(A)成分のポリイミド前躯体は、前記一般式[I]で示される繰返し単位と前記一般式[II]で示される繰返し単位とを有するものである。
【0018】
式中、R1骨格となる酸成分としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4′−オキシジフタル酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸、2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸等とその無水物が挙げられる。
【0019】
また、R2骨格となるジアミン成分としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(3,3′−ジメチル−シクロヘキシルアミン)、2,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルフォン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロピル]ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビスアニリンフルオレン等が挙げられる。
【0020】
さらに、R6骨格となるアミン成分としては、例えば、3,4,4′−トリアミノジフェニルエーテル、2,4,6−トリアミノピリミジンや、3,3−ジアミノベンジジン等が挙げられ、また、これらのアミン成分にアミド結合で導入するR7骨格をもつ酸成分としては、例えば、マレイン酸、メチルナジック酸、4−ペンテン−1,2ジカルボン酸、4−ヘキセン−1,2ジカルボン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、3−メチルー4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、4−メチルー4−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、4−メチル−4−ペンテン−1,2ジカルボン酸、4,9−デカジエン−1,2ジカルボン酸等とその無水物が挙げられる。
【0021】
また、上記R1、R7骨格をもつ各酸成分にイオン結合で導入するR3、R4およびR5基を有するアミン化合物としては、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルエステル等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いる(A)成分のポリイミド前躯体は、例えば、前述したようなR6骨格となるアミン成分の1種または2種以上と、R7骨格をもつ酸成分の1種または2種以上とを、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミドのような非プロトン性極性溶媒を反応溶媒として反応させ、次いで、R2骨格となるジアミン成分の1種または2種以上を添加した後、R1骨格となる酸成分の1種または2種以上を加えて重縮合反応させ、さらに、R3、R4およびR5基を有するアミン化合物の1種または2種以上を添加し、R1およびR7骨格に結合するカルボン酸にイオン結合させることにより得ることができる。
【0023】
なお、本発明において、(A)成分のポリイミド前躯体としては、一般式[II]で示される繰返し単位の比率が10モル%以上であることが好ましく、30〜60モル%の範囲であるとより好ましい。10モル%未満であると、樹脂中への架橋構造の導入が不十分となり、耐薬品性を十分に向上させることができない。
【0024】
また、本発明で用いる(B)成分の感光剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−エチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−ブチルシクロヘキサノン、2,6′−ジ(4′−ジアジドベンザル)−4−(t−ブチル)シクロヘキサノン等のアジド化合物;1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N−フェニルグリシン、N−(p−エチル)フェニルグリシン等のグリシン誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、本発明において好ましいものであるが、紫外線等の活性光線の照射によって分解し、効率よくラジカルを発生するものであれば、特にこれらの化合物に限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では活性光線に対する感度が低く、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0025】
さらに、(C)成分の溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物には、以上の各成分の他、(D)増感剤、(E)架橋剤、(F)組成物の保存安定性を向上させる重合禁止剤等を配合することができる。
【0027】
(D)増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノベンゾフェノン)、2,5−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシコロヘキサン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)アセトン、3,3′−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N′−エタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、4−モルホニノベンゾフェノンジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。これらの増感剤は、使用する光の波長に合わせて、さらには要求感度に合わせて利用することで各波長における解像度を向上させることができる。添加量が0.1重量部未満では添加による効果が十分得られず、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0028】
(E)架橋剤としては、例えば、シアヌル酸トリアリルエステル、イソシアヌル酸トリアリルエステル、リン酸トリアリルエステル、クエン酸トリアリルエステル、トリメシン酸トリアリルエステル、テトラアリロキシエタン、ジアリルエーテル、アジピン酸ジアリルエステル、ジアリルアミン、ジアリルマロン酸ジエチルエステル、ヘキサジエン、イソシアヌル酸ジアリルエステル、イソシアヌル酸ジアリル−n−プロピルエステル、イソフタル酸ジアリルエステル、マレイン酸ジアリルエステル、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、テレフタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジアリルエステル等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。1重量部未満では添加による効果が十分得られず、50重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0029】
(F)重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ブチルキノン等のヒドロキノン誘導体等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、その添加量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では添加による効果が十分得られず、10重量部を超えると得られる塗膜特性が低下する。
【0030】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いてネガ型パターンを形成する方法を、半導体デバイスに適用する場合を例に説明する。
【0031】
まず、この感光性樹脂組成物を、ウェハ上にスピンコータ等を用いて塗布し、80〜120℃で塗膜を乾燥させる。次いで、得られた塗膜上にパターンが描画されているマスクを透過させて365nm、436nmといった活性紫外線を照射する。照射後、30〜120℃で再度塗膜を加熱した後、塗膜を有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等を使用して活性光線未照射部のみを溶解現像し、低級アルコール等のアルコール系溶剤等によってリンス洗浄する。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が用いられる。これによって、ウェハ上には所望するネガ型パターンが形成され、さらに、この塗膜を150〜350℃で熱処理することによって、ポリイミド前駆体がイミド化されるとともに、不飽和結合による三次元架橋反応が進み、耐熱性および耐薬品性に優れたポリイミド膜が形成される。
【0032】
なお、このように本発明の感光性樹脂組成物においては、ポリイミドに三次元架橋構造を導入することができ、これによって、耐熱性のみならず耐薬品性の向上したポリイミド膜を形成することができるため、感光性樹脂組成物としての用途のみならず、一般的なコーティング材料等としても有用で、耐熱性および耐薬品性に優れた被膜を形成することができる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0034】
実施例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、3,4,4′−トリアミノジフェニルエーテル0.45molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、無水マレイン酸0.45molを添加し3時間撹拌して反応させた。次いで、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.45molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molとを加えて30分間撹拌した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し3時間撹拌して反応させた。その後、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0035】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0036】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0037】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したが、パターンの剥離は全く観察されなかった。
【0038】
実施例2
窒素導入管を備えた反応フラスコに、3,3′−ジアミノベンジジン0.3molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、メチルナジック酸無水物0.6molを添加し3時間撹拌して反応させた。次いで、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.45molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。その後、アクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0039】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚7μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、10μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0040】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0041】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したが、パターンの剥離は全く観察されなかった。
【0042】
比較例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.9molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。次いで、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0043】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0044】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0045】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したところ、パターンは消失してしまった。
【0046】
比較例2
窒素導入管を備えた反応フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.8molと、3,4,4′−トリアミノ1ジフェニルエーテル0.067molと、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1molと、N−メチル−2−ピロリドン2Lとを加えて30分間撹拌した後、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物1.1molを添加し5時間撹拌して反応させた。次いで、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル2.4molを加え3時間撹拌した。得られた樹脂溶液100gに、N−フェニルグリシン5gと、イソシアヌル酸トリアリル20gとを添加混合し、この混合物を1μm濾過して感光性樹脂組成物を得た。
【0047】
上記感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて6インチシリコンウェハ上にコーティングし、ベーク板上にて90℃で3分間加熱乾燥して、膜厚4μmの塗膜を形成した。この塗膜を365nmの波長の光のみを透過させるフィルタを使用した紫外線露光機によって200mJ/cm2のエネルギーでテストパターンを照射し、ベーク板上にて90℃で1分間加熱した。この後、N−メチル−2−ピロリドンにより60秒間のパドル現像を行い、イソプロピルアルコールで洗浄した後、スピン乾燥を行った。この操作により塗膜の紫外線照射部以外の部分を溶解させたネガ型レリーフパターンが得られた。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、7μmまでのパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0048】
次に、このパターンを300℃で1時間加熱し、塗膜のイミド化を完結させた。形成されたポリイミドパターンは、シリコンウェハ上に強固に密着しており、クラックや剥離は全く観察されなかった。また、熱処理前のシャープな形状がそのまま保持されていた。
【0049】
さらに、このポリイミドパターンが形成されたシリコンウェハを、モノエタノールアミン100gとジメチルスルホキシド100gの混合溶液中に浸漬し、80℃で1時間加熱した後、水洗したところ、パターンは斑状となった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、露光、現像によるパターン形成が可能で、しかも、最終的に従来に比べより高い耐薬品性を備えたポリイミド膜を形成することができる。
Claims (2)
- (A)一般式[I]で示される繰返し単位と一般式[II]で示される繰返し単位とを有するポリイミド前駆体:
(B)感光剤および
(C)溶剤
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 請求項1記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、形成された塗膜にネガ型パターンマスクを透して活性光線を照射する露光工程と、有機溶剤を使用して前記塗膜の未露光部分のみを溶解してネガ型パターンに現像する現像工程と、現像したネガ型パターンを熱処理してポリイミドのネガ型パターンを形成する熱処理工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
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