JP2004029053A - 感光性樹脂組成物およびポジ型パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造において電気、電子絶縁材料として用いられるポジ型感光性樹脂組成物およびそのパターン形成方法に関するものであり、詳しくは、この感光性樹脂組成物は、ICやLSI等の半導体素子表面上に成膜される絶縁保護膜であって、微細パターンの加工が必要とされるものなどに適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、感光性を有する耐熱性重合体組成物として、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に、アクリル基もしくはメタクリル基を有する三級アミン化合物をイオン結合にて導入したタイプ(特開昭54−145794)やアクリル基もしくはメタクリル基を有する三級アミン化合物をエステル結合にて導入したタイプ(特開昭49−115541)などがあった。これらはいずれもネガ型のパターン形成能を有しており、半導体を中心とした電子材料用途の保護膜として利用されている。しかし、上記感光性樹脂は、パターン形成時に極性の高い有機溶剤を用いなければならず、産業用廃棄物、環境問題の点で好ましくなく、更にはこれらの感光性樹脂は上記有機溶剤に対する膨潤性が高いため、微細なパターンを形成することが不可能であった。
【0003】
これらの問題に対してポリイミド樹脂と同等の耐熱性を有するポリベンゾオキサゾールに感光剤としてジアゾナフトキノン化合物を混合したポジ型感光性樹脂が提案されている(特開昭56−27140)。このポジ型感光性樹脂は、アルカリ水溶液にてパターン形成が可能であるため、有機溶剤を使用しないですむというメリットを有しており、更にこの樹脂は、アルカリ水溶液に対する膨潤性が低いため比較的に微細なパターンが得られる。しかし、このポジ型感光性樹脂は、露光部と未露光部の溶解度差が低いため、大型ウェーハにおけるパターニングではパターンの寸法制御性が悪いという欠点をもっていた。
【0004】
しかしながら、近年の半導体技術の急速な発展に伴い、その関連材料、とりわけパターン形成材料に対する要求特性は厳しいものとなっている。半導体保護膜用途の材料としては、すでに一般的となっているポリイミド樹脂と同等の膜特性を有していながら、さらにはレジスト材料並みの解像度が要求されて、さらには露光時間の短縮化を図るために高感度の感光性樹脂の開発が待たれている。そこで、最近では、ポリイミド前駆体にビニルオキシ含有化合物(ビニルエーテル化合物)と紫外線等の活性光線によって酸性を有する官能基を発生する光酸発生剤を混ぜ込んだポジ型感光性樹脂が開発されている(特許3054415)。この樹脂は、高感度でかつアルカリ水溶液で現像したパターンが高解像度、高コントラストであり、従来では展開が困難とされてきたデバイスでの実用化の可能性を有している。このポジ型パターン形成のメカニズムは、ポリイミド前駆体とビニルエーテル化合物から形成されたアルリ水溶液に対する不溶化膜を、露光とその後の加熱工程によりアルカリ水溶液に対して可溶化することによりポジ型パターンを形成する。その後、このポジ型パターンを半導体保護膜として用いるための耐熱性および電気特性、機械的特性を満足させるために、熱処理してポリイミドのポジ型パターンを形成するイミド化熱処理工程を加える。しかし、このポジ型感光性樹脂は、ポリイミド前駆体とビニルエーテル化合物の反応性が高く、貯蔵中にアルカリ水溶液に対する不溶化反応が進行して、粘度が上昇してしまうという問題があった。保存安定性が悪いと可使時間が短くなるため、半導体保護膜用としての一液型のシステムとして応用するには難点があった。従って、一液型で使用できる高感度、高解像度をもつとともに、貯蔵中や輸送中に粘度が変化しない保存安定性に優れた材料が強く求められるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した従来技術の欠点を解消し、高感度、高解像度で、かつ、保存安定性に優れたポジ型の感光性を有する耐熱性重合体組成物と、そのポジ型重合体組成物を用いてなるパターン形成方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を進めた結果、後述のポジ型感光性樹脂組成物およびそれを用いてなるパターン形成方法を採用することによって、上記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】
即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)次の一般式をもつポリイミド前駆体、
【化2】
(但し、式中、R1 は、4価の芳香族基、4価の脂環式炭化水素基、4価の脂肪族基、又は芳香族環、脂環式炭化水素環、脂肪族炭化水素鎖の複数もしくは相互を単結合、−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −もしくは−C(CF3 )−で結合させた4価の有機基であり、R2 は、2価の芳香族基、2価の脂環式炭化水素基、2価の脂肪族基、又は芳香族環、脂環式炭化水素環、脂肪族炭化水素鎖の複数もしくは相互を単結合、−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −もしくは−C(CF3 )−で結合させた2価の有機基であり、そしてnは1以上の整数である)
(B)二官能以上のビニルエーテル化合物、
(C)紫外線等の活性光線によって酸性を有する官能基を発生する光酸発生剤、(D)保存安定性を目的とした反応禁止剤としての三級アミン化合物および
(E)成膜用組成物とするための溶剤
からなることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物であり、また、そのポジ型感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、90〜130℃で乾燥させてアルカリ水溶液に対する不溶化膜を形成する不溶化膜形成工程と、得られた不溶化膜に対し、ポジ型マスクパターンを透して活性紫外線を露光した後、90〜130℃で加熱して不溶化膜の露光部分のみを分解する露光塗膜分解工程と、アルカリ水溶液を使用して露光塗膜の露光分解部分のみを溶解してポジ型パターンに現像するポジ型パターン現像工程と、現像したポジ型パターンを熱処理してポリイミドのポジ型パターンを形成するイミド化熱処理工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明における(A)のポリイミド前躯体のR1 骨格をもつ酸成分としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4′−オキシジフタル酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸等とその無水物が挙げられ、これらは単独又は混合して使用することができる。
【0010】
本発明に用いるR2 骨格をもつジアミン成分としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(3,3−ジメチル−シクロヘキシルアミン)、2,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルフォン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。また、これらのR2 骨格をもつジアミン化合物は上記R1 骨格をもつ酸成分に対して等モルで使用するのが好ましいが、使用目的や最終粘度、分子量に合わせて0.5〜1.5倍モルの範囲で使用することができる。
【0011】
本発明に用いる(A)ポリイミド前駆体の重縮合反応は、例えばR1 骨格をもつ酸二無水物とR2 骨格をもつジアミンをN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等の反応溶媒を用いて常温で行うのが好ましい。これらの反応溶媒は単独もしくは複数を組み合わせて使用することができる。
【0012】
本発明に用いる(B)ビニルエーテル化合物としては、(A)ポリイミド前駆体の−COOH部位と反応してアセタール架橋構造を形成し、アルカリ水溶液に対して不溶化膜を形成させるための化合物である。そのため、二官能以上のビニルエーテル基を有していることが必要である。二官能以上のビニルエーテル化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0013】
【化3】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
【化4】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
【化5】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
(B)のビニルエーテル化合物の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して50〜150重量部が好ましい。添加量が50重量部未満では現像後の塗膜の残膜率が低下し、また150重量部を超えると感度が低下するうえ、得られる塗膜の特性が低下する。
【0014】
本発明に用いる(C)成分である一般的に光酸発生剤とよばれる化合物は、紫外線などの活性光線によってルイス酸やカチオン種を生成する物質で、近年では半導体集積回路の微細パターン形成用レジスト(通称、化学増幅レジスト)によく用いられている。光酸発生剤として具体的には、例えば、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0015】
(C)光酸発生剤の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して5〜20重量部の割合であることが好ましい。5重量部未満では紫外線に対する感度が低く、20重量部を超えると得られる塗膜の特性が低下するのでこの範囲が良い。
【0016】
本発明に用いる(D)樹脂組成物の保存安定性を向上させるための反応禁止剤としては、三級アミン化合物が挙げられる。その具体例としては、トリエチルアミン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、トリイソプロピルアミン、4−メチルモルホリンの他、下記構造式のものも挙げられる。
【0017】
【化15】
(D)保存安定性を向上させるための反応禁止剤の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましい。0.1重量部未満では保存安定性が悪くゲル化してしまい、1重量部を超えると得られる感度が低下するのでこの範囲が良い。
【0018】
本発明に用いられる(E)の溶剤としては、樹脂組成物を溶解した性状で塗布成膜するために用いるものである。具体的には、例えば、N−メチルピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0019】
次に本発明によって得られた感光性樹脂組成物によるポジ型パターン形成方法について説明する。
【0020】
半導体デバイスへの適用を考えた場合、まず、この樹脂組成物を対象とするウェーハ上にスピンコーターを用いてコーティングし、次にその塗膜を90〜130℃で塗膜を加熱する。次に、得られた塗膜上にパターンが描画されているマスクを透過させて365nm、436nmといった活性紫外線を照射する。この露光によって発生する酸の触媒反応により、樹脂のアセタール架橋体のアセタール分解反応を促進させるために、100℃前後の加熱処理を行う。次に、この塗膜をアルカリ性水溶液、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の無機アルカリ水溶液やエチルアミン、n−プロピルアミン等の一級アミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の二級アミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の三級アミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アミンを使用して活性光線照射部のみを溶解現像し、純水によってリンス洗浄する。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が考えられる。これによって、対象とするウェーハ上には所望するポジ型パターンを得ることができる。さらに、この塗膜を熱処理することによってこの樹脂組成物を熱硬化およびイミド化し、膜特性に優れるポリイミド膜を形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0022】
実施例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学社製)500gを入れ、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルの4,4−DPE(和歌山精化社製、商品名)34.7g、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのH−PAM(信越化学社製、商品名)4.78gを加えて攪拌し、溶解させた。続いて2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(クラリアントジャパン社製)85.5gを加えて攪拌し、室温で5時間縮合反応させ、ポリイミド前駆体を得た。
【0023】
次に、得られたポリイミド前駆体/N−メチル−2−ピロリドン100重量部(内ポリイミド前駆体20重量部)にトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部、トリフルオロメチルスルホン酸N−ヒドロキシナフタルイミドのNAI−105(みどり化学社製、商品名)3重量部、および下記に示す式の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(Aldrich社製)20重量部
【化16】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
を溶解させ、感光性樹脂組成物とした。
【0024】
得られた感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて6インチシリコンウェーハ上にコートし、110℃のベーク板上で3分間加熱乾燥することによって膜厚10μmの塗膜を得た。次に、この塗膜に紫外線露光機によりマスクを通して150mj/cm2 の露光を行い、続いて110℃のベーク板上で1分間加熱した。さらにこの塗膜表面を2.38%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)水溶液にて60秒間現像し、純水でリンス洗浄を行った。得られたポジ型パターンを光学顕微鏡によって観察したところ、3μmのポジ型レリーフパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0025】
さらに、このパターンを150℃で1時間、次いで250℃で1時間、さらに350℃で1時間の加熱処理を行いイミド化を行った。得られたポリイミドパターンは、上記の熱処理においても崩れを起こすことなく、シヤープなプロファイルを保っていた。また、このパターンは、シリコンウェーハ上に強固に密着しており、通常のテープ剥離試験においても剥がれることはなかった。
【0026】
また、感光性樹脂組成物の保存安定性を確認するために、上記の組成物をサンプル管に入れ、23℃で2週間放置した。その間、経過日数における粘度変化をE型粘度計で測定した。その結果、2週間の放置においてもゲル化することなく、保存安定性が良好であることが確認できた。
【0027】
実施例2
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を、1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン(東京化成社製)0.1重量部に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0028】
実施例3
実施例1の配合における化16の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル20重量部を、下記に示す式のトリエチレングリコールジビニルエーテル(Aldrich社製)20重量部
【化17】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0029】
実施例4
実施例1の配合における化16の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル20重量部を、下記に示す式のトリメリット酸トリス[(4−(ビニルオキシ)ブチル](Aldrich社製)12重量部
【化18】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0030】
比較例1
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を添加しないで、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0031】
比較例2
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)の配合量0.1重量部を0.01重量部に変え、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0032】
比較例3
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を、1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン(東京化成社製)0.01重量部に変え、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0033】
以上、実施例1〜4および比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型のパターン形成能をもつ感光性ポリイミド前駆体であり、紫外線に対して化学増幅的に反応するため、高いコントラストを有し、高感度でかつ寸法制御性が良好なシャープなポジ型のパターンを得ることができる。また、最終的に得られるポリイミド膜は、耐熱性や耐薬品性に優れている。さらに、これ迄困難とされた一液型システムでの保存安定性が良好になったため、通常使用されている半導体デバイス保護膜と同等に使用することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造において電気、電子絶縁材料として用いられるポジ型感光性樹脂組成物およびそのパターン形成方法に関するものであり、詳しくは、この感光性樹脂組成物は、ICやLSI等の半導体素子表面上に成膜される絶縁保護膜であって、微細パターンの加工が必要とされるものなどに適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、感光性を有する耐熱性重合体組成物として、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に、アクリル基もしくはメタクリル基を有する三級アミン化合物をイオン結合にて導入したタイプ(特開昭54−145794)やアクリル基もしくはメタクリル基を有する三級アミン化合物をエステル結合にて導入したタイプ(特開昭49−115541)などがあった。これらはいずれもネガ型のパターン形成能を有しており、半導体を中心とした電子材料用途の保護膜として利用されている。しかし、上記感光性樹脂は、パターン形成時に極性の高い有機溶剤を用いなければならず、産業用廃棄物、環境問題の点で好ましくなく、更にはこれらの感光性樹脂は上記有機溶剤に対する膨潤性が高いため、微細なパターンを形成することが不可能であった。
【0003】
これらの問題に対してポリイミド樹脂と同等の耐熱性を有するポリベンゾオキサゾールに感光剤としてジアゾナフトキノン化合物を混合したポジ型感光性樹脂が提案されている(特開昭56−27140)。このポジ型感光性樹脂は、アルカリ水溶液にてパターン形成が可能であるため、有機溶剤を使用しないですむというメリットを有しており、更にこの樹脂は、アルカリ水溶液に対する膨潤性が低いため比較的に微細なパターンが得られる。しかし、このポジ型感光性樹脂は、露光部と未露光部の溶解度差が低いため、大型ウェーハにおけるパターニングではパターンの寸法制御性が悪いという欠点をもっていた。
【0004】
しかしながら、近年の半導体技術の急速な発展に伴い、その関連材料、とりわけパターン形成材料に対する要求特性は厳しいものとなっている。半導体保護膜用途の材料としては、すでに一般的となっているポリイミド樹脂と同等の膜特性を有していながら、さらにはレジスト材料並みの解像度が要求されて、さらには露光時間の短縮化を図るために高感度の感光性樹脂の開発が待たれている。そこで、最近では、ポリイミド前駆体にビニルオキシ含有化合物(ビニルエーテル化合物)と紫外線等の活性光線によって酸性を有する官能基を発生する光酸発生剤を混ぜ込んだポジ型感光性樹脂が開発されている(特許3054415)。この樹脂は、高感度でかつアルカリ水溶液で現像したパターンが高解像度、高コントラストであり、従来では展開が困難とされてきたデバイスでの実用化の可能性を有している。このポジ型パターン形成のメカニズムは、ポリイミド前駆体とビニルエーテル化合物から形成されたアルリ水溶液に対する不溶化膜を、露光とその後の加熱工程によりアルカリ水溶液に対して可溶化することによりポジ型パターンを形成する。その後、このポジ型パターンを半導体保護膜として用いるための耐熱性および電気特性、機械的特性を満足させるために、熱処理してポリイミドのポジ型パターンを形成するイミド化熱処理工程を加える。しかし、このポジ型感光性樹脂は、ポリイミド前駆体とビニルエーテル化合物の反応性が高く、貯蔵中にアルカリ水溶液に対する不溶化反応が進行して、粘度が上昇してしまうという問題があった。保存安定性が悪いと可使時間が短くなるため、半導体保護膜用としての一液型のシステムとして応用するには難点があった。従って、一液型で使用できる高感度、高解像度をもつとともに、貯蔵中や輸送中に粘度が変化しない保存安定性に優れた材料が強く求められるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した従来技術の欠点を解消し、高感度、高解像度で、かつ、保存安定性に優れたポジ型の感光性を有する耐熱性重合体組成物と、そのポジ型重合体組成物を用いてなるパターン形成方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を進めた結果、後述のポジ型感光性樹脂組成物およびそれを用いてなるパターン形成方法を採用することによって、上記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】
即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)次の一般式をもつポリイミド前駆体、
【化2】
(但し、式中、R1 は、4価の芳香族基、4価の脂環式炭化水素基、4価の脂肪族基、又は芳香族環、脂環式炭化水素環、脂肪族炭化水素鎖の複数もしくは相互を単結合、−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −もしくは−C(CF3 )−で結合させた4価の有機基であり、R2 は、2価の芳香族基、2価の脂環式炭化水素基、2価の脂肪族基、又は芳香族環、脂環式炭化水素環、脂肪族炭化水素鎖の複数もしくは相互を単結合、−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −もしくは−C(CF3 )−で結合させた2価の有機基であり、そしてnは1以上の整数である)
(B)二官能以上のビニルエーテル化合物、
(C)紫外線等の活性光線によって酸性を有する官能基を発生する光酸発生剤、(D)保存安定性を目的とした反応禁止剤としての三級アミン化合物および
(E)成膜用組成物とするための溶剤
からなることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物であり、また、そのポジ型感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、90〜130℃で乾燥させてアルカリ水溶液に対する不溶化膜を形成する不溶化膜形成工程と、得られた不溶化膜に対し、ポジ型マスクパターンを透して活性紫外線を露光した後、90〜130℃で加熱して不溶化膜の露光部分のみを分解する露光塗膜分解工程と、アルカリ水溶液を使用して露光塗膜の露光分解部分のみを溶解してポジ型パターンに現像するポジ型パターン現像工程と、現像したポジ型パターンを熱処理してポリイミドのポジ型パターンを形成するイミド化熱処理工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明における(A)のポリイミド前躯体のR1 骨格をもつ酸成分としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4′−オキシジフタル酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸等とその無水物が挙げられ、これらは単独又は混合して使用することができる。
【0010】
本発明に用いるR2 骨格をもつジアミン成分としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(3,3−ジメチル−シクロヘキシルアミン)、2,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルフォン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。また、これらのR2 骨格をもつジアミン化合物は上記R1 骨格をもつ酸成分に対して等モルで使用するのが好ましいが、使用目的や最終粘度、分子量に合わせて0.5〜1.5倍モルの範囲で使用することができる。
【0011】
本発明に用いる(A)ポリイミド前駆体の重縮合反応は、例えばR1 骨格をもつ酸二無水物とR2 骨格をもつジアミンをN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等の反応溶媒を用いて常温で行うのが好ましい。これらの反応溶媒は単独もしくは複数を組み合わせて使用することができる。
【0012】
本発明に用いる(B)ビニルエーテル化合物としては、(A)ポリイミド前駆体の−COOH部位と反応してアセタール架橋構造を形成し、アルカリ水溶液に対して不溶化膜を形成させるための化合物である。そのため、二官能以上のビニルエーテル基を有していることが必要である。二官能以上のビニルエーテル化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0013】
【化3】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
【化4】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
【化5】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
(B)のビニルエーテル化合物の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して50〜150重量部が好ましい。添加量が50重量部未満では現像後の塗膜の残膜率が低下し、また150重量部を超えると感度が低下するうえ、得られる塗膜の特性が低下する。
【0014】
本発明に用いる(C)成分である一般的に光酸発生剤とよばれる化合物は、紫外線などの活性光線によってルイス酸やカチオン種を生成する物質で、近年では半導体集積回路の微細パターン形成用レジスト(通称、化学増幅レジスト)によく用いられている。光酸発生剤として具体的には、例えば、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0015】
(C)光酸発生剤の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して5〜20重量部の割合であることが好ましい。5重量部未満では紫外線に対する感度が低く、20重量部を超えると得られる塗膜の特性が低下するのでこの範囲が良い。
【0016】
本発明に用いる(D)樹脂組成物の保存安定性を向上させるための反応禁止剤としては、三級アミン化合物が挙げられる。その具体例としては、トリエチルアミン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、トリイソプロピルアミン、4−メチルモルホリンの他、下記構造式のものも挙げられる。
【0017】
【化15】
(D)保存安定性を向上させるための反応禁止剤の添加量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましい。0.1重量部未満では保存安定性が悪くゲル化してしまい、1重量部を超えると得られる感度が低下するのでこの範囲が良い。
【0018】
本発明に用いられる(E)の溶剤としては、樹脂組成物を溶解した性状で塗布成膜するために用いるものである。具体的には、例えば、N−メチルピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0019】
次に本発明によって得られた感光性樹脂組成物によるポジ型パターン形成方法について説明する。
【0020】
半導体デバイスへの適用を考えた場合、まず、この樹脂組成物を対象とするウェーハ上にスピンコーターを用いてコーティングし、次にその塗膜を90〜130℃で塗膜を加熱する。次に、得られた塗膜上にパターンが描画されているマスクを透過させて365nm、436nmといった活性紫外線を照射する。この露光によって発生する酸の触媒反応により、樹脂のアセタール架橋体のアセタール分解反応を促進させるために、100℃前後の加熱処理を行う。次に、この塗膜をアルカリ性水溶液、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の無機アルカリ水溶液やエチルアミン、n−プロピルアミン等の一級アミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の二級アミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の三級アミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アミンを使用して活性光線照射部のみを溶解現像し、純水によってリンス洗浄する。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が考えられる。これによって、対象とするウェーハ上には所望するポジ型パターンを得ることができる。さらに、この塗膜を熱処理することによってこの樹脂組成物を熱硬化およびイミド化し、膜特性に優れるポリイミド膜を形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0022】
実施例1
窒素導入管を備えた反応フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学社製)500gを入れ、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルの4,4−DPE(和歌山精化社製、商品名)34.7g、1,3−ビス(γ−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのH−PAM(信越化学社製、商品名)4.78gを加えて攪拌し、溶解させた。続いて2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(クラリアントジャパン社製)85.5gを加えて攪拌し、室温で5時間縮合反応させ、ポリイミド前駆体を得た。
【0023】
次に、得られたポリイミド前駆体/N−メチル−2−ピロリドン100重量部(内ポリイミド前駆体20重量部)にトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部、トリフルオロメチルスルホン酸N−ヒドロキシナフタルイミドのNAI−105(みどり化学社製、商品名)3重量部、および下記に示す式の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(Aldrich社製)20重量部
【化16】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
を溶解させ、感光性樹脂組成物とした。
【0024】
得られた感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて6インチシリコンウェーハ上にコートし、110℃のベーク板上で3分間加熱乾燥することによって膜厚10μmの塗膜を得た。次に、この塗膜に紫外線露光機によりマスクを通して150mj/cm2 の露光を行い、続いて110℃のベーク板上で1分間加熱した。さらにこの塗膜表面を2.38%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)水溶液にて60秒間現像し、純水でリンス洗浄を行った。得られたポジ型パターンを光学顕微鏡によって観察したところ、3μmのポジ型レリーフパターンがシャープに形成されていることが確認された。
【0025】
さらに、このパターンを150℃で1時間、次いで250℃で1時間、さらに350℃で1時間の加熱処理を行いイミド化を行った。得られたポリイミドパターンは、上記の熱処理においても崩れを起こすことなく、シヤープなプロファイルを保っていた。また、このパターンは、シリコンウェーハ上に強固に密着しており、通常のテープ剥離試験においても剥がれることはなかった。
【0026】
また、感光性樹脂組成物の保存安定性を確認するために、上記の組成物をサンプル管に入れ、23℃で2週間放置した。その間、経過日数における粘度変化をE型粘度計で測定した。その結果、2週間の放置においてもゲル化することなく、保存安定性が良好であることが確認できた。
【0027】
実施例2
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を、1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン(東京化成社製)0.1重量部に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0028】
実施例3
実施例1の配合における化16の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル20重量部を、下記に示す式のトリエチレングリコールジビニルエーテル(Aldrich社製)20重量部
【化17】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0029】
実施例4
実施例1の配合における化16の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル20重量部を、下記に示す式のトリメリット酸トリス[(4−(ビニルオキシ)ブチル](Aldrich社製)12重量部
【化18】
(但し、式中、Xは−O−CH=CH2 を表す)
に替えた以外は、全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0030】
比較例1
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を添加しないで、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0031】
比較例2
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)の配合量0.1重量部を0.01重量部に変え、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0032】
比較例3
実施例1の配合におけるトリエチルアミン(関東化学社製)0.1重量部を、1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン(東京化成社製)0.01重量部に変え、それ以外は全べて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得て、同様の試験評価を行った。
【0033】
以上、実施例1〜4および比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型のパターン形成能をもつ感光性ポリイミド前駆体であり、紫外線に対して化学増幅的に反応するため、高いコントラストを有し、高感度でかつ寸法制御性が良好なシャープなポジ型のパターンを得ることができる。また、最終的に得られるポリイミド膜は、耐熱性や耐薬品性に優れている。さらに、これ迄困難とされた一液型システムでの保存安定性が良好になったため、通常使用されている半導体デバイス保護膜と同等に使用することが可能となった。
Claims (2)
- (A)次の一般式をもつポリイミド前躯体、
(B)二官能以上のビニルエーテル化合物、
(C)紫外線等の活性光線によって酸性を有する官能基を発生する光酸発生剤、
(D)保存安定性を目的とした反応禁止剤としての三級アミン化合物および
(E)成膜用組成物とするための溶剤
からなることを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、90〜130℃で乾燥させてアルカリ水溶液に対する不溶化膜を形成する不溶化膜形成工程と、得られた不溶化膜に対し、ポジ型マスクパターンを透して活性紫外線を露光した後、90〜130℃で加熱して不溶化膜の露光部分のみを分解する露光塗膜分解工程と、アルカリ水溶液を使用して露光塗膜の露光分解部分のみを溶解してポジ型パターンに現像するポジ型パターン現像工程と、現像したポジ型パターンを熱処理してポリイミドのポジ型パターンを形成するイミド化熱処理工程とを含むことを特徴とするポジ型パターン形成方法。
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