JP2004237591A - 情報記録シート - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間貼着した後剥離しても被着物の表面を汚損せず、剥がした位置への貼り替えが可能であり、かつ、貼り替え後も十分な接着力を発揮することができる、情報記録シートを提供すること。
【解決手段】情報記録シートは、粘着性を有し、かつ、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであるゴム状シートと、温度によって可逆的に可視画像を表示し又は消去することが可能な可逆性記録層とを有する積層体である。
【選択図】 図1
【解決手段】情報記録シートは、粘着性を有し、かつ、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであるゴム状シートと、温度によって可逆的に可視画像を表示し又は消去することが可能な可逆性記録層とを有する積層体である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱や光によって可視画像を表示し、又は消去することが可能な情報記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレー、電子黒板、偽造防止が必要なカードやプリペイドカード等の表示媒体として、可逆性記録媒体が使われるようになってきた。情報等の書換えが可能な可逆性記録媒体としては、加熱温度を調整することによって、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるものと、加熱温度や加熱後の冷却温度を調整することによって、発色して可視状態になるものが知られている。
前者の例として、特開昭63−41186号公報に、ベヘン酸等の有機低分子化合物を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂母材中に分散させ、さらに、高級脂肪酸金属塩を含有させて、高コントラストの画像形成を可能とした、可逆性感熱記録媒体が開示されている。
後者の例としては、分子構造内にラクトン環を有しており、電子を放出してラクトン環を開環するという構造変化によって発色する電子供与性化合物(いわゆるロイコ染料)と、このロイコ染料と熱的に反応して顕色または減色する特定の顕減色剤をバインダー中に分散させたものが、特開平2−188293号公報、および、特開平2−188294号公報に開示されている。
【0003】
近年においては、可逆性記録媒体をラベル形状にし、裏面に接着層を設け、例えば、搬送用コンテナ、自動車の車体、電気製品等の表面に貼り付けて、内容物や製品の情報、および、その他必要な情報を表示するラベル(書き換え可能な情報記録ラベル)としても使用されるようになった。
しかし、この書き換え可能な情報記録ラベルは、可逆性記録媒体のリライト機能が劣化して、印字または消去ができなくなると、搬送用コンテナ等の被着物から剥がされるが、接着剤が被着物の表面に残存し、被着物の表面を汚損することがある。これは製品等の商品価値を低下させることにもなる。また、貼着していた元の位置に新しいラベルを貼り替える場合には、被着物の表面に残存した接着剤のために十分な接着力が得られないことがある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−41186号公報
【特許文献2】
特開平2−188293号公報
【特許文献3】
特開平2−188294号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、長期間貼着した後剥離しても被着体表面を汚損せず、剥がした位置への貼り替えが可能であり、かつ、貼り替え後も十分な接着力を発揮することができる、情報記録シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記録ラベルは、粘着性を有し、かつ、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであるゴム状シートと、温度によって可逆的に可視画像を表示し又は消去することが可能な可逆性記録層とを有する積層体であることを特徴とする。
ここで、前記可視画像は、加熱冷却及び/又は光照射を行うことにより、可逆的に表示し又は消去されることができる。
また、前記可視画像は、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるか、あるいは発色して可視状態になることができる。
情報記録シートは、前記可逆性記録層と接するように、光熱変換物質を含有する層を設けることができる。
また、前記可逆性記録層は、光熱変換物質を含有してもよい。
また、前記ゴム状シートは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とすることができる。
情報記録シートは、前記可逆性記録層の裏側に、光反射層又は着色層を有することができる。
【0007】
本発明の情報記録シートは特定のゴム状シートを有するので、このゴム状シートの粘着力によって被着物の表面にしっかりと固定することができ、また、このゴム状シートの粘着力より大きな力をかければ、容易に剥離することができる。しかも被着物への貼着に接着剤を使用していないので、情報記録シートを剥離した後に、糊残り等のような汚損が生じることもない。したがって、剥離した位置に新しい情報記録シートを貼ることができ、しかも被着面は汚損されておらず平滑であるので、十分な接着力を発揮することができる。
また、本発明の情報記録シートを構成するゴム状シートは、せん断弾性率(G’)が0.03〜10MPaであるので、情報記録シートが通常使用される環境下では柔軟であり、被着体の表面が平面でなく、例えば曲面であっても、貼着することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録シートは、温度によって可視画像を表示し、又は消去することが可能な可逆性記録層と、粘着性を有するゴム状シートとを有する積層体である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。図1において、温度によって可逆的に可視画像を表示し、又は消去することができる可逆性記録層3は、基材2の上に、光反射層4を介して配置されている。光反射層4を可逆性記録層3の下に配置することにより、可逆性記録層3に表示された可視画像の視認性を向上させることができる。なお、光反射層4と基材2との間、および/または、光反射層4と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。また、基材2の可逆性記録層3とは反対側の面に、接着層6を介してゴム状シート1が貼り合わされている。本発明の情報記録シートは、ゴム状シートの粘着力によって、被着物の表面に保持される。
【0010】
ただし、ゴム状シートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したときのせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであることが必要であり、特に0.3〜3.2MPaであることが好ましい。本発明においては、特にことわりがない限りせん断弾性率はこの条件で測定したものとする。せん断弾性率(G’)が0.03MPa未満のゴム状シートは機械的強度が弱いため、表示情報の書換えに伴う多数回の繰返し使用に耐えられない。一方、せん断弾性率(G’)が10MPaを超えると、粘着性が低くなるので被着物に貼り付けることができなくなる。なお、せん断弾性率が上記範囲内のゴム状シートは、ラベル等が通常使用される環境下では柔らかいので、被着物の表面が平面でなく曲面であっても、貼付することができる。
【0011】
ゴム状シートは、シート形状に形成されており、自在に折り曲げ可能であることが好ましい。ゴム状シートは、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム等の合成ゴム、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー等を主成分とする。
情報記録シートが屋外で使用される場合には、耐熱性、耐寒性、耐候性等を考慮して、例えばシリコーンゴムを主成分とするゴム状シートを用いることが好ましい。シリコーンゴムを主成分とするゴム状シートとしては、例えば、三菱樹脂(株)社製の商品名「珪樹」を商業的に入手することができる。
ゴム状シートの厚さは、被着物の表面が平滑な面である場合には50μm未満でもよいが、被着物(自動車の車体や電気製品等)の表面に凹凸がある場合には、被着物表面の凹凸を吸収するために50μm以上であることが好ましい。
【0012】
ゴム状シート1は、基材2に接着層6によって貼着されている。接着層6は、接着剤からなってもよいし、接着性のシートであってもよい。
例えば、基材2に、ゴム状シート1の材料と同種類の接着剤を塗工して、ゴム状シート1を貼り合わせることができる。また、シリコーン系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアミド系、ポリエステル系等のホットメルトタイプの接着剤を用いて貼り合わせてもよい。
あるいはまた、ゴム状シート1及び基材2の両方に接着可能な、いわゆる両面テープのような接着性のシートを、ゴム状シート1と基材2との間に挟み込んで貼り合わせることができる。
【0013】
基材は、十分な形状保持性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を主成分とするシートが好ましい。基材上に可逆性記録層等を形成するための二次加工を考慮すると、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートがさらに好ましい。
基材の厚さは、25μm〜500μmであることが好ましく、更に50μm〜250μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0014】
可逆性記録層3は、加熱温度を調整することによって、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるもの、又は加熱温度や加熱後の冷却温度を調整することによって、発色して可視状態になるもの等を使用することができる。
【0015】
まず、加熱温度を調節することによって、透明状態又は白濁状態に変化する材料(以下、本明細書において「透明白濁タイプ」という)について説明する。透明白濁タイプの例としては、高分子樹脂母材中に結晶性の有機低分子化合物を分散させたものが挙げられる。
透明白濁タイプに用いられる高分子樹脂母材としては、透明で製膜性の良い合成樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等のような、透明なアモルファス樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】
高分子樹脂母材に分散させる結晶性の有機低分子化合物としては、高分子樹脂母材中に0.1〜2.0μm程度の直径の集合体となって分散し、加熱したり冷却することによって融解または結晶化するものが好ましく用いられる。有機低分子化合物が結晶状態になると白濁を示し、溶融状態になると透明になる。そのような有機低分子化合物としては、例えば、炭素数12以上の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル等の周知の有機低分子化合物の他、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステル、スルフィド、脂肪酸アミド、脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸エステル、及び、その誘導体等からなる結晶性低分子化合物が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0017】
本発明においては、炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステル等を使用することが好ましい。炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルは、低融点(mp.)化合物であり、比較的低温での熱処理によって融解、結晶化するので、好ましく用いられる。炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルと、高融点(mp.)の炭素数10以上の脂肪族二塩基酸とを併用した組み合わせで使用することがさらに好ましい。上記脂肪酸アルキルエステルと上記脂肪族二塩基酸との配合割合を調整して使用することにより、透明化する温度領域を調整することができ、所定の温度における透明性及び白濁の程度を変化させることが可能である。
【0018】
炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルとしては、例えばステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチル、リグノセリン酸ステアリル、リグノセリン酸ベヘニル等が挙げられる。
炭素数10以上の脂肪族二塩基酸としては、例えばセバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、エイコサン2酸等が挙げられる。
炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステル、及び炭素数10以上の脂肪族二塩基酸は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
上記高分子樹脂母材と上記有機低分子化合物との配合割合は、高分子樹脂母材100質量部に対し、有機低分子化合物が5〜100質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることが更に好ましい。
【0020】
次に、加熱温度や加熱後の冷却温度を調節することによって可逆的に色調が変化する材料(以下、本明細書において「色調変化タイプ」という)について説明する。これは、色調変化タイプとしては、例えば電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を高分子樹脂母材に溶解もしくは分散させたものが挙げられる。熱の作用によって酸の性質を示したり、塩基の性質を示す電子受容性化合物が、可逆的構造を有する電子供与性呈色化合物に対して、顕色剤となったり、減色剤となったりすることを利用したものである。
なお、高分子樹脂母材としては、透明白濁タイプにおいて使用された高分子樹脂母材と同様のものを使用することができる。
【0021】
電子供与性呈色化合物としては、分子構造内にラクトン環部分を有する、いわゆるロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料としては、例えばクリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のフタリド化合物、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン等のフルオラン化合物等が好ましく用いられる。これらの化合物は、分子構造中にラクトン環部分をもち、そのラクトン環が開環したり閉環したりすることにより、発色したり消色したりする。
【0022】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、スルホン酸、スルホン酸塩等が挙げられる。上記フェノール類には、フェノール基を1個以上有する安息香酸化合物も含まれ、具体例として、4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸、4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸等が挙げられる。
【0023】
電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物及び高分子樹脂母材の配合割合は、例えば、ロイコ染料10質量部に対し、電子受容性化合物は好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは20〜50質量部であり、ロイコ染料10質量部に対し、高分子樹脂母材は、好ましくは10〜200質量部、更に好ましくは20〜100質量部である。
【0024】
可逆性記録層は、高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を分散させた後、基材や必要に応じて設けられた光反射層等の上に塗布することにより、又は高分子樹脂母材中に電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とを溶解もしくは分散させた後、基材等の上に塗布することにより形成される。
可逆性記録層の厚さは、3μm〜30μmであることが好ましく、更に5〜20μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0025】
透明白濁タイプの場合には、可視画像のコントラストを高くして鮮明さを向上させるために可逆性記録層3の下に光学的反射面として機能する光反射層4を設けることが好ましい。光反射層4は、例えば、アルミニウム、スズ等の金属を蒸着させることにより形成してもよいし、金属の蒸着箔を基材に接着して形成してもよいし、あるいは、アルミニウム粉、白色系顔料等を混合した光反射性着色塗料を基材に塗布することにより形成してもよい。なお、金属を蒸着する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法等の周知の方法を、適宜、採用することができる。
【0026】
本実施形態においては、可逆性記録層3の上には、保護層8が配置されている。保護層を設けることにより、リライト耐久性やサーマルヘッドとのマッチング性を向上させることができる。保護層は、最外層であり、サーマルヘッドやその他の物等との接触を考慮して、耐擦傷性、耐汚染性に優れた材料からなることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂を用いて形成することが好ましい。これらの中では、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を使用することが好ましい。
紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーを主成分とするものに、各種アクリレートモノマー、その他の添加剤等を適宜混合し、取扱い性、作業性、硬化性等を調整したものを使用することができる。また、紫外線硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合には、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系等の光重合開始剤を適量添加して、硬化重合させることが好ましい。
保護層8の厚みは、保護層を構成する樹脂材料の種類等に応じて適宜設計することが好ましいが、一般的には、0.5〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。保護層の厚みが0.5μmより薄いと充分な保護効果が得られない場合があり、20μmより厚いと可逆性記録層のコントラストが低下することがある。
【0027】
本実施形態においては、可逆性記録層3の裏側に光反射層4を配置したが、可逆性記録層3が色調変化タイプによって形成されている場合には、光反射層の替わりに着色層を配置することが好ましい。この構成の第2の実施形態に係る情報記録シートの層構成を図2に示す。ここでは、可逆性記録層3の下に、着色層5が配置されている。着色層5は、例えば、顔料、染料等を混合した着色塗料等を塗布することによって形成される。着色層5の色調は、可逆性記録層3が発色したときの色調を考慮して選択されることが望ましい。なお、着色層5と基材2との間、および/または、着色層5と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。本発明において、各層間に配置される接着層としては、塩化ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ウレタン−ポリエステル系、等が挙げられる。
【0028】
本発明においては、例えば図1及び図2に示す可逆性記録層3に光吸収剤を含有させてもよい。光吸収剤としては、アゾ系色素、シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポリフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール錯体系色素、アズレニウム系色素、キノンイミン系色素、キノンジミイン系色素等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、可逆性記録層に隣接して、光熱変換層を配置してもよい。この層構成の第3の実施形態に係る情報記録シートを図3に示す。図3において、可逆性記録層3の上には光熱変換層7が配置されている。可逆性記録層3に可視画像を表示したり消去するために赤外線レーザを使用する場合には、赤外線レーザによる印字感度を向上させるために、可逆性記録層3と隣接して赤外吸収色素を含有する材料からなる可視光透過性の光熱変換層7を設けることが好ましい。図3においては、光熱変換層7を可逆性記録層3の上に配置したが、可逆性記録層3の下に配置してもよい。また、赤外吸収色素を含有する光熱変換層7を保護するために、可視光透過性の紫外線吸収層をさらに設けてもよい。なお、光反射層4と基材2との間、および/または、光反射層4と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。
赤外吸収色素としては、使用する半導体レーザ光の発振波長付近に吸収ピークをもつものが選択される。一般には、波長300nm〜1,000nm、好ましくは700〜900nmの半導体レーザを使用することができ、赤外吸収色素としては、かかる波長領域に吸収ピークを有するシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素等が好ましく用いられる。
【0030】
光熱変換層7を構成する樹脂母材としては、可視光透過性が高く、製膜性が良好なものが好ましく、また、耐熱性に優れ、分解したり黄変しないものが好ましい。具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリエステル−ウレタン共重合体等が挙げられる。また、可逆性記録層を構成する高分子樹脂母材と同様のものを使用してもよい。
光熱変換層の厚さは、0.1μm〜10μmであることが好ましく、更に0.5μm〜5μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0031】
本発明の情報記録シートは、熱や光によって可視画像を表示し、又は消去することができる。例えば、ドット単位で加熱制御が可能なサーマルヘッド、エリア全面での加熱制御が可能なヒーターバーや加熱スタンプ、レーザ光、赤外線等を使用して可視状態とすることができる。特に光熱変換層7を有する情報記録シーとの場合には、情報記録シートを曲面に貼付したままの状態でレーザ光を照射しても、可視画像を表示したり、消去することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例において使用した、所望のせん断弾性率を有するシリコーンゴムシートは、ポリオルガノシロキサンの種類、分子量、補強性フィラー(例えばシリカ)等、シリコーンゴムの組成と架橋度を調整することによって得ることができる。あるいはまた、複数の市販のシリコーンコンパウンドを任意にブレンドすることによって得ることができる。
(実施例1)
基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイヤホイルT100Ew07」)の一方の表面にアルミニウムを蒸着して、厚さ0.1μmの光反射層を形成した。その上に厚さ1μmになるように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系の接着剤(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインMF」)からなる接着層を形成し、更にその上に、下記に示す可逆性記録層用組成物をテトラヒドロフランに溶解した塗液をコーティングし、温度110℃で5分間、加熱乾燥して、厚さ10μmの可逆性記録層を形成した。その後、形成された可逆性記録層の上に、紫外線硬化性樹脂を塗工した後、紫外線を照射し、硬化させて、厚さ2μmの保護層を形成した。
(可逆性記録層用組成物)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100質量部
(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインC」)
ベヘン酸ステアリル 20質量部
ドデカン2酸 10質量部
次いで、基材の他方の面に、シリコーン系接着剤を塗工し、接着層を形成した。この接着層上に、厚さ200μmのシリコーンゴムシート(三菱樹脂(株)製、商品名「珪樹」)を貼り合わせて情報記録シートを得た。ただし、使用したシリコーンゴムシートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03MPaであった。得られた情報記録シートを、縦5cm×横10cmに切断して、情報記録ラベルを作製した。
【0033】
(評価)
得られた情報記録ラベルに、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報(品名、価格等)を印字し、被着物(自動車、電気製品等)に貼付した。その後、情報記録ラベルを剥がし、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報内容の書き換えを行い、再度被着物の同一場所に貼り付けた。この作業を300回、繰り返した後、被着物の表面を目視観察したところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.3MPaのシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0035】
(実施例3)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.6MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0036】
(実施例4)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が1.6MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0037】
(実施例5)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が3.2MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0038】
(実施例6)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が10MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0039】
(実施例7)
実施例1と同様にして、基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイヤホイルT100E w07」)上に、アルミニウム蒸着層と接着層と可逆性記録層とをこの順に有する積層体を形成した。可逆性記録層の上に、下記に示す光熱変換層用組成物をトルエンに溶解した塗液をコーティングした後、加熱乾燥して、厚さ1μmの光熱変換層を形成した。これを用いて、実施例1と同様にして、保護層およびシリコーンゴムシートを設けて情報記録シートを作製し、また、情報記録ラベルを作製した。
(光熱変換層用組成物)
ポリエステル樹脂 100質量部
(東洋紡績(株)製、商品名「バイロン200」)
フタロシアニン系色素 5質量部
(山本化成(株)製、商品名「D99−038」)
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0040】
(実施例8)
基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのPETフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム社製の「ダイヤホイルT100E w07」)の一方の面に、白色顔料(酸化チタン)を含有した塗料をコーティングした後、加熱乾燥して、厚さ2μmの着色層を形成した。その着色層の上に厚さ1μmになるように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系の接着剤(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインMF」)からなる接着層を形成し、更にその上に、下記に示す可逆性記録層用組成物を塗工した後、温度110℃で5分間、加熱乾燥して、厚さ10μmの可逆性記録層を形成した。形成された可逆性記録層の上に、紫外線硬化性樹脂を塗工した後、紫外線を照射し、硬化させて、厚さ2μmの保護層を形成した。次いで、基材の他方の面にシリコーン系接着剤を塗工し、接着層を形成した。この接着層上に、厚さ200μmのシリコーンゴムシート(三菱樹脂(株)製、商品名「珪樹」)を貼り合わせて情報記録シートを得た。ただし、使用したシリコーンゴムシートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03MPaであった。実施例1と同様にして、得られた情報記録シートを、縦5cm×横10cmに切断して、情報記録ラベルを作製した。
(可逆性記録層用組成物)
下記に示すa液およびb液を、それぞれペイントシェーカーで2時間程度撹拌し、分散させた。このa液とb液とを、a:b=1:3の割合で混合して、塗布液を調整した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0041】
(比較例1)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.02MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行った。ところが、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報内容の書き換えを行い、被着物に再貼付しようとしたが、シリコーンゴムが変形してしまっていたので貼り付けることができなかった。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が20MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルに専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報を印字し、被着物(自動車や電気製品)の表面に貼付しようとしたが、貼り付けることができなかった。
【0043】
なお、実施例1〜8の情報記録ラベルは、300回のリライト作業では、情報記録ラベルのリライト機能は低下しなかったが、リライト機能が低下した際に新規な情報記録ラベルに貼り替える場合でも、十分な接着力で貼着することができることは明らかである。また、実施例2〜5の情報記録ラベルは、繰り返し使用してもシリコーンゴムが変形することがなく、常に良好な接着性を確保することができた。
【0044】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、長期間貼着した後剥離しても被着物の表面を汚損せず、剥がした位置への貼り替えが可能であり、かつ、貼り替え後も十分な接着力を発揮することができる、情報記録シートを提供することができる。また、この情報記録シートは、温度によって可視画像を可逆的に表示し、又は消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ゴムシート
2 基材
3 可逆性記録層
4 光反射層
5 着色層
6 接着層
7 光熱変換層
8 保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱や光によって可視画像を表示し、又は消去することが可能な情報記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレー、電子黒板、偽造防止が必要なカードやプリペイドカード等の表示媒体として、可逆性記録媒体が使われるようになってきた。情報等の書換えが可能な可逆性記録媒体としては、加熱温度を調整することによって、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるものと、加熱温度や加熱後の冷却温度を調整することによって、発色して可視状態になるものが知られている。
前者の例として、特開昭63−41186号公報に、ベヘン酸等の有機低分子化合物を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂母材中に分散させ、さらに、高級脂肪酸金属塩を含有させて、高コントラストの画像形成を可能とした、可逆性感熱記録媒体が開示されている。
後者の例としては、分子構造内にラクトン環を有しており、電子を放出してラクトン環を開環するという構造変化によって発色する電子供与性化合物(いわゆるロイコ染料)と、このロイコ染料と熱的に反応して顕色または減色する特定の顕減色剤をバインダー中に分散させたものが、特開平2−188293号公報、および、特開平2−188294号公報に開示されている。
【0003】
近年においては、可逆性記録媒体をラベル形状にし、裏面に接着層を設け、例えば、搬送用コンテナ、自動車の車体、電気製品等の表面に貼り付けて、内容物や製品の情報、および、その他必要な情報を表示するラベル(書き換え可能な情報記録ラベル)としても使用されるようになった。
しかし、この書き換え可能な情報記録ラベルは、可逆性記録媒体のリライト機能が劣化して、印字または消去ができなくなると、搬送用コンテナ等の被着物から剥がされるが、接着剤が被着物の表面に残存し、被着物の表面を汚損することがある。これは製品等の商品価値を低下させることにもなる。また、貼着していた元の位置に新しいラベルを貼り替える場合には、被着物の表面に残存した接着剤のために十分な接着力が得られないことがある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−41186号公報
【特許文献2】
特開平2−188293号公報
【特許文献3】
特開平2−188294号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、長期間貼着した後剥離しても被着体表面を汚損せず、剥がした位置への貼り替えが可能であり、かつ、貼り替え後も十分な接着力を発揮することができる、情報記録シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記録ラベルは、粘着性を有し、かつ、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであるゴム状シートと、温度によって可逆的に可視画像を表示し又は消去することが可能な可逆性記録層とを有する積層体であることを特徴とする。
ここで、前記可視画像は、加熱冷却及び/又は光照射を行うことにより、可逆的に表示し又は消去されることができる。
また、前記可視画像は、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるか、あるいは発色して可視状態になることができる。
情報記録シートは、前記可逆性記録層と接するように、光熱変換物質を含有する層を設けることができる。
また、前記可逆性記録層は、光熱変換物質を含有してもよい。
また、前記ゴム状シートは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とすることができる。
情報記録シートは、前記可逆性記録層の裏側に、光反射層又は着色層を有することができる。
【0007】
本発明の情報記録シートは特定のゴム状シートを有するので、このゴム状シートの粘着力によって被着物の表面にしっかりと固定することができ、また、このゴム状シートの粘着力より大きな力をかければ、容易に剥離することができる。しかも被着物への貼着に接着剤を使用していないので、情報記録シートを剥離した後に、糊残り等のような汚損が生じることもない。したがって、剥離した位置に新しい情報記録シートを貼ることができ、しかも被着面は汚損されておらず平滑であるので、十分な接着力を発揮することができる。
また、本発明の情報記録シートを構成するゴム状シートは、せん断弾性率(G’)が0.03〜10MPaであるので、情報記録シートが通常使用される環境下では柔軟であり、被着体の表面が平面でなく、例えば曲面であっても、貼着することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録シートは、温度によって可視画像を表示し、又は消去することが可能な可逆性記録層と、粘着性を有するゴム状シートとを有する積層体である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。図1において、温度によって可逆的に可視画像を表示し、又は消去することができる可逆性記録層3は、基材2の上に、光反射層4を介して配置されている。光反射層4を可逆性記録層3の下に配置することにより、可逆性記録層3に表示された可視画像の視認性を向上させることができる。なお、光反射層4と基材2との間、および/または、光反射層4と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。また、基材2の可逆性記録層3とは反対側の面に、接着層6を介してゴム状シート1が貼り合わされている。本発明の情報記録シートは、ゴム状シートの粘着力によって、被着物の表面に保持される。
【0010】
ただし、ゴム状シートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したときのせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであることが必要であり、特に0.3〜3.2MPaであることが好ましい。本発明においては、特にことわりがない限りせん断弾性率はこの条件で測定したものとする。せん断弾性率(G’)が0.03MPa未満のゴム状シートは機械的強度が弱いため、表示情報の書換えに伴う多数回の繰返し使用に耐えられない。一方、せん断弾性率(G’)が10MPaを超えると、粘着性が低くなるので被着物に貼り付けることができなくなる。なお、せん断弾性率が上記範囲内のゴム状シートは、ラベル等が通常使用される環境下では柔らかいので、被着物の表面が平面でなく曲面であっても、貼付することができる。
【0011】
ゴム状シートは、シート形状に形成されており、自在に折り曲げ可能であることが好ましい。ゴム状シートは、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム等の合成ゴム、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー等を主成分とする。
情報記録シートが屋外で使用される場合には、耐熱性、耐寒性、耐候性等を考慮して、例えばシリコーンゴムを主成分とするゴム状シートを用いることが好ましい。シリコーンゴムを主成分とするゴム状シートとしては、例えば、三菱樹脂(株)社製の商品名「珪樹」を商業的に入手することができる。
ゴム状シートの厚さは、被着物の表面が平滑な面である場合には50μm未満でもよいが、被着物(自動車の車体や電気製品等)の表面に凹凸がある場合には、被着物表面の凹凸を吸収するために50μm以上であることが好ましい。
【0012】
ゴム状シート1は、基材2に接着層6によって貼着されている。接着層6は、接着剤からなってもよいし、接着性のシートであってもよい。
例えば、基材2に、ゴム状シート1の材料と同種類の接着剤を塗工して、ゴム状シート1を貼り合わせることができる。また、シリコーン系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアミド系、ポリエステル系等のホットメルトタイプの接着剤を用いて貼り合わせてもよい。
あるいはまた、ゴム状シート1及び基材2の両方に接着可能な、いわゆる両面テープのような接着性のシートを、ゴム状シート1と基材2との間に挟み込んで貼り合わせることができる。
【0013】
基材は、十分な形状保持性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を主成分とするシートが好ましい。基材上に可逆性記録層等を形成するための二次加工を考慮すると、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートがさらに好ましい。
基材の厚さは、25μm〜500μmであることが好ましく、更に50μm〜250μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0014】
可逆性記録層3は、加熱温度を調整することによって、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるもの、又は加熱温度や加熱後の冷却温度を調整することによって、発色して可視状態になるもの等を使用することができる。
【0015】
まず、加熱温度を調節することによって、透明状態又は白濁状態に変化する材料(以下、本明細書において「透明白濁タイプ」という)について説明する。透明白濁タイプの例としては、高分子樹脂母材中に結晶性の有機低分子化合物を分散させたものが挙げられる。
透明白濁タイプに用いられる高分子樹脂母材としては、透明で製膜性の良い合成樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等のような、透明なアモルファス樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】
高分子樹脂母材に分散させる結晶性の有機低分子化合物としては、高分子樹脂母材中に0.1〜2.0μm程度の直径の集合体となって分散し、加熱したり冷却することによって融解または結晶化するものが好ましく用いられる。有機低分子化合物が結晶状態になると白濁を示し、溶融状態になると透明になる。そのような有機低分子化合物としては、例えば、炭素数12以上の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル等の周知の有機低分子化合物の他、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステル、スルフィド、脂肪酸アミド、脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸エステル、及び、その誘導体等からなる結晶性低分子化合物が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0017】
本発明においては、炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステル等を使用することが好ましい。炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルは、低融点(mp.)化合物であり、比較的低温での熱処理によって融解、結晶化するので、好ましく用いられる。炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルと、高融点(mp.)の炭素数10以上の脂肪族二塩基酸とを併用した組み合わせで使用することがさらに好ましい。上記脂肪酸アルキルエステルと上記脂肪族二塩基酸との配合割合を調整して使用することにより、透明化する温度領域を調整することができ、所定の温度における透明性及び白濁の程度を変化させることが可能である。
【0018】
炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルとしては、例えばステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチル、リグノセリン酸ステアリル、リグノセリン酸ベヘニル等が挙げられる。
炭素数10以上の脂肪族二塩基酸としては、例えばセバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、エイコサン2酸等が挙げられる。
炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステル、及び炭素数10以上の脂肪族二塩基酸は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
上記高分子樹脂母材と上記有機低分子化合物との配合割合は、高分子樹脂母材100質量部に対し、有機低分子化合物が5〜100質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることが更に好ましい。
【0020】
次に、加熱温度や加熱後の冷却温度を調節することによって可逆的に色調が変化する材料(以下、本明細書において「色調変化タイプ」という)について説明する。これは、色調変化タイプとしては、例えば電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を高分子樹脂母材に溶解もしくは分散させたものが挙げられる。熱の作用によって酸の性質を示したり、塩基の性質を示す電子受容性化合物が、可逆的構造を有する電子供与性呈色化合物に対して、顕色剤となったり、減色剤となったりすることを利用したものである。
なお、高分子樹脂母材としては、透明白濁タイプにおいて使用された高分子樹脂母材と同様のものを使用することができる。
【0021】
電子供与性呈色化合物としては、分子構造内にラクトン環部分を有する、いわゆるロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料としては、例えばクリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のフタリド化合物、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン等のフルオラン化合物等が好ましく用いられる。これらの化合物は、分子構造中にラクトン環部分をもち、そのラクトン環が開環したり閉環したりすることにより、発色したり消色したりする。
【0022】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、スルホン酸、スルホン酸塩等が挙げられる。上記フェノール類には、フェノール基を1個以上有する安息香酸化合物も含まれ、具体例として、4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸、4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸等が挙げられる。
【0023】
電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物及び高分子樹脂母材の配合割合は、例えば、ロイコ染料10質量部に対し、電子受容性化合物は好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは20〜50質量部であり、ロイコ染料10質量部に対し、高分子樹脂母材は、好ましくは10〜200質量部、更に好ましくは20〜100質量部である。
【0024】
可逆性記録層は、高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を分散させた後、基材や必要に応じて設けられた光反射層等の上に塗布することにより、又は高分子樹脂母材中に電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とを溶解もしくは分散させた後、基材等の上に塗布することにより形成される。
可逆性記録層の厚さは、3μm〜30μmであることが好ましく、更に5〜20μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0025】
透明白濁タイプの場合には、可視画像のコントラストを高くして鮮明さを向上させるために可逆性記録層3の下に光学的反射面として機能する光反射層4を設けることが好ましい。光反射層4は、例えば、アルミニウム、スズ等の金属を蒸着させることにより形成してもよいし、金属の蒸着箔を基材に接着して形成してもよいし、あるいは、アルミニウム粉、白色系顔料等を混合した光反射性着色塗料を基材に塗布することにより形成してもよい。なお、金属を蒸着する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法等の周知の方法を、適宜、採用することができる。
【0026】
本実施形態においては、可逆性記録層3の上には、保護層8が配置されている。保護層を設けることにより、リライト耐久性やサーマルヘッドとのマッチング性を向上させることができる。保護層は、最外層であり、サーマルヘッドやその他の物等との接触を考慮して、耐擦傷性、耐汚染性に優れた材料からなることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂を用いて形成することが好ましい。これらの中では、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を使用することが好ましい。
紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーを主成分とするものに、各種アクリレートモノマー、その他の添加剤等を適宜混合し、取扱い性、作業性、硬化性等を調整したものを使用することができる。また、紫外線硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合には、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系等の光重合開始剤を適量添加して、硬化重合させることが好ましい。
保護層8の厚みは、保護層を構成する樹脂材料の種類等に応じて適宜設計することが好ましいが、一般的には、0.5〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。保護層の厚みが0.5μmより薄いと充分な保護効果が得られない場合があり、20μmより厚いと可逆性記録層のコントラストが低下することがある。
【0027】
本実施形態においては、可逆性記録層3の裏側に光反射層4を配置したが、可逆性記録層3が色調変化タイプによって形成されている場合には、光反射層の替わりに着色層を配置することが好ましい。この構成の第2の実施形態に係る情報記録シートの層構成を図2に示す。ここでは、可逆性記録層3の下に、着色層5が配置されている。着色層5は、例えば、顔料、染料等を混合した着色塗料等を塗布することによって形成される。着色層5の色調は、可逆性記録層3が発色したときの色調を考慮して選択されることが望ましい。なお、着色層5と基材2との間、および/または、着色層5と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。本発明において、各層間に配置される接着層としては、塩化ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ウレタン−ポリエステル系、等が挙げられる。
【0028】
本発明においては、例えば図1及び図2に示す可逆性記録層3に光吸収剤を含有させてもよい。光吸収剤としては、アゾ系色素、シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポリフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール錯体系色素、アズレニウム系色素、キノンイミン系色素、キノンジミイン系色素等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、可逆性記録層に隣接して、光熱変換層を配置してもよい。この層構成の第3の実施形態に係る情報記録シートを図3に示す。図3において、可逆性記録層3の上には光熱変換層7が配置されている。可逆性記録層3に可視画像を表示したり消去するために赤外線レーザを使用する場合には、赤外線レーザによる印字感度を向上させるために、可逆性記録層3と隣接して赤外吸収色素を含有する材料からなる可視光透過性の光熱変換層7を設けることが好ましい。図3においては、光熱変換層7を可逆性記録層3の上に配置したが、可逆性記録層3の下に配置してもよい。また、赤外吸収色素を含有する光熱変換層7を保護するために、可視光透過性の紫外線吸収層をさらに設けてもよい。なお、光反射層4と基材2との間、および/または、光反射層4と可逆性記録層3との間には接着層を配置してもよい。
赤外吸収色素としては、使用する半導体レーザ光の発振波長付近に吸収ピークをもつものが選択される。一般には、波長300nm〜1,000nm、好ましくは700〜900nmの半導体レーザを使用することができ、赤外吸収色素としては、かかる波長領域に吸収ピークを有するシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素等が好ましく用いられる。
【0030】
光熱変換層7を構成する樹脂母材としては、可視光透過性が高く、製膜性が良好なものが好ましく、また、耐熱性に優れ、分解したり黄変しないものが好ましい。具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリエステル−ウレタン共重合体等が挙げられる。また、可逆性記録層を構成する高分子樹脂母材と同様のものを使用してもよい。
光熱変換層の厚さは、0.1μm〜10μmであることが好ましく、更に0.5μm〜5μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
【0031】
本発明の情報記録シートは、熱や光によって可視画像を表示し、又は消去することができる。例えば、ドット単位で加熱制御が可能なサーマルヘッド、エリア全面での加熱制御が可能なヒーターバーや加熱スタンプ、レーザ光、赤外線等を使用して可視状態とすることができる。特に光熱変換層7を有する情報記録シーとの場合には、情報記録シートを曲面に貼付したままの状態でレーザ光を照射しても、可視画像を表示したり、消去することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例において使用した、所望のせん断弾性率を有するシリコーンゴムシートは、ポリオルガノシロキサンの種類、分子量、補強性フィラー(例えばシリカ)等、シリコーンゴムの組成と架橋度を調整することによって得ることができる。あるいはまた、複数の市販のシリコーンコンパウンドを任意にブレンドすることによって得ることができる。
(実施例1)
基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイヤホイルT100Ew07」)の一方の表面にアルミニウムを蒸着して、厚さ0.1μmの光反射層を形成した。その上に厚さ1μmになるように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系の接着剤(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインMF」)からなる接着層を形成し、更にその上に、下記に示す可逆性記録層用組成物をテトラヒドロフランに溶解した塗液をコーティングし、温度110℃で5分間、加熱乾燥して、厚さ10μmの可逆性記録層を形成した。その後、形成された可逆性記録層の上に、紫外線硬化性樹脂を塗工した後、紫外線を照射し、硬化させて、厚さ2μmの保護層を形成した。
(可逆性記録層用組成物)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100質量部
(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインC」)
ベヘン酸ステアリル 20質量部
ドデカン2酸 10質量部
次いで、基材の他方の面に、シリコーン系接着剤を塗工し、接着層を形成した。この接着層上に、厚さ200μmのシリコーンゴムシート(三菱樹脂(株)製、商品名「珪樹」)を貼り合わせて情報記録シートを得た。ただし、使用したシリコーンゴムシートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03MPaであった。得られた情報記録シートを、縦5cm×横10cmに切断して、情報記録ラベルを作製した。
【0033】
(評価)
得られた情報記録ラベルに、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報(品名、価格等)を印字し、被着物(自動車、電気製品等)に貼付した。その後、情報記録ラベルを剥がし、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報内容の書き換えを行い、再度被着物の同一場所に貼り付けた。この作業を300回、繰り返した後、被着物の表面を目視観察したところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.3MPaのシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0035】
(実施例3)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.6MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0036】
(実施例4)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が1.6MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0037】
(実施例5)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が3.2MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0038】
(実施例6)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が10MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0039】
(実施例7)
実施例1と同様にして、基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイヤホイルT100E w07」)上に、アルミニウム蒸着層と接着層と可逆性記録層とをこの順に有する積層体を形成した。可逆性記録層の上に、下記に示す光熱変換層用組成物をトルエンに溶解した塗液をコーティングした後、加熱乾燥して、厚さ1μmの光熱変換層を形成した。これを用いて、実施例1と同様にして、保護層およびシリコーンゴムシートを設けて情報記録シートを作製し、また、情報記録ラベルを作製した。
(光熱変換層用組成物)
ポリエステル樹脂 100質量部
(東洋紡績(株)製、商品名「バイロン200」)
フタロシアニン系色素 5質量部
(山本化成(株)製、商品名「D99−038」)
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0040】
(実施例8)
基材(両面が易接着処理された厚さ100μmのPETフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム社製の「ダイヤホイルT100E w07」)の一方の面に、白色顔料(酸化チタン)を含有した塗料をコーティングした後、加熱乾燥して、厚さ2μmの着色層を形成した。その着色層の上に厚さ1μmになるように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系の接着剤(日信化学工業(株)製、商品名「ソルバインMF」)からなる接着層を形成し、更にその上に、下記に示す可逆性記録層用組成物を塗工した後、温度110℃で5分間、加熱乾燥して、厚さ10μmの可逆性記録層を形成した。形成された可逆性記録層の上に、紫外線硬化性樹脂を塗工した後、紫外線を照射し、硬化させて、厚さ2μmの保護層を形成した。次いで、基材の他方の面にシリコーン系接着剤を塗工し、接着層を形成した。この接着層上に、厚さ200μmのシリコーンゴムシート(三菱樹脂(株)製、商品名「珪樹」)を貼り合わせて情報記録シートを得た。ただし、使用したシリコーンゴムシートは、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03MPaであった。実施例1と同様にして、得られた情報記録シートを、縦5cm×横10cmに切断して、情報記録ラベルを作製した。
(可逆性記録層用組成物)
下記に示すa液およびb液を、それぞれペイントシェーカーで2時間程度撹拌し、分散させた。このa液とb液とを、a:b=1:3の割合で混合して、塗布液を調整した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、被着物の表面は汚れておらず、繰返しの貼着が可能であった。
【0041】
(比較例1)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が0.02MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルについて、実施例1と同様の評価を行った。ところが、専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報内容の書き換えを行い、被着物に再貼付しようとしたが、シリコーンゴムが変形してしまっていたので貼り付けることができなかった。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、シリコーンゴムシートを、せん断弾性率(G’)が20MPaであるシリコーンゴムシートに変更した以外は実施例1と同様にして、情報記録シート及び情報記録ラベルを作製した。
得られた情報記録ラベルに専用のサーマルヘッドプリンタを用いて情報を印字し、被着物(自動車や電気製品)の表面に貼付しようとしたが、貼り付けることができなかった。
【0043】
なお、実施例1〜8の情報記録ラベルは、300回のリライト作業では、情報記録ラベルのリライト機能は低下しなかったが、リライト機能が低下した際に新規な情報記録ラベルに貼り替える場合でも、十分な接着力で貼着することができることは明らかである。また、実施例2〜5の情報記録ラベルは、繰り返し使用してもシリコーンゴムが変形することがなく、常に良好な接着性を確保することができた。
【0044】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、長期間貼着した後剥離しても被着物の表面を汚損せず、剥がした位置への貼り替えが可能であり、かつ、貼り替え後も十分な接着力を発揮することができる、情報記録シートを提供することができる。また、この情報記録シートは、温度によって可視画像を可逆的に表示し、又は消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る情報記録シートの層構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ゴムシート
2 基材
3 可逆性記録層
4 光反射層
5 着色層
6 接着層
7 光熱変換層
8 保護層
Claims (7)
- 粘着性を有し、かつ、動的粘弾性測定法に基づいて、周波数10Hz、温度20℃の条件下で測定したせん断弾性率(G’)が、0.03〜10MPaであるゴム状シートと、温度によって可逆的に可視画像を表示し又は消去することが可能な可逆性記録層とを有する積層体であることを特徴とする情報記録シート。
- 前記可視画像が、加熱冷却及び/又は光照射を行うことにより、可逆的に表示し又は消去されることを特徴とする請求項1記載の情報記録シート。
- 前記可視画像が、透明/白濁の状態変化を生じて可視状態になるか、あるいは発色して可視状態になることを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録シート。
- 前記可逆性記録層と接するように、光熱変換物質を含有する層を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の情報記録シート。
- 前記可逆性記録層が、光熱変換物質を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の情報記録シート。
- 前記ゴム状シートが、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の情報記録シート。
- 前記可逆性記録層の裏側に、光反射層又は着色層を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の情報記録シート。
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