JP4177038B2 - 可逆性記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱や光に感応して可視画像を表示および消去することが可能な可逆性記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可視画像を表示または消去することにより画像情報の書き換えが可能な可逆性感熱記録媒体の記録層の材料として、加熱温度や加熱後の冷却速度を調節することによって可逆的に透明性を変化させる有機低分子化合物を樹脂母材中に分散させた可逆性感熱記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭63−41186号公報には、所定の有機低分子化合物を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの適当な樹脂母材中に分散状態に配合し、多数のドットまたは区分された所定領域を処理温度によって、透明部と白濁部とのコントラストを生じさせ、これをアルミニウム蒸着層などの光反射層に反射させてコントラストのよい画像を表示する可逆性感熱記録媒体が開示されている。
【0004】
また、加熱温度や加熱後の冷却速度を調節することによって可逆的に色調が変化するものとして、分子構造内にラクトン環を持ち、電子放出によるラクトン環の開環という構造変化により、発色性を示す電子供与性呈色性化合物(いわゆるロイコ染料)を用いた可逆性感熱記録材料が知られている。
【0005】
これらの可逆性感熱記録材料を用いて可視画像エリアを形成したカードやラベルなどが実用化されており、その可視画像エリアは、ドット単位で加熱が可能なサーマルヘッドによって文字などの可視画像を印字することができると共に、サーマルヘッドや加熱スタンプまたはヒーターバーなどで所要の区域を加熱して消去できる。
【0006】
文字などの可視画像は、半導体レーザ等を用いて可逆性感熱記録材料を加熱することにより、非接触な状態で書き換えができるので、熱伝導時の接触劣化がなく、可逆性記録媒体の耐久性が向上する。
【0007】
また、半導体レーザを使用して画像を書き換える場合には、実用レベルの装置の小型化と低出力化を実現するために、効率よく光熱変換を行う必要があるが、そのためには半導体レーザの発振波長付近に吸収ピークを有するシアニン色素等の赤外線吸収色素を利用し、これを上記可逆性感熱記録層中やその隣接層に添加することが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、可逆性感熱記録層中やその隣接層に赤外線吸収色素を添加した層を設けて半導体レーザで書き換えを行なう場合、非接触で書き換えできるので使用耐久性は良いが、使用中の紫外線曝露によって赤外線吸収色素が劣化し、カードやラベルとして実使用に耐える期間が短くなったり、屋外で長時間にわたる使用に耐えられないという問題があった。
【0009】
この問題の原因は、赤外線吸収色素が耐候性に弱いことから、記録層の劣化がまだ特に顕著でなくても、それより先に赤外吸収色素が紫外線の影響を受けてその機能を低下させることが原因ではないかと本願の発明者らは考えた。
【0010】
また、カーボンブラックなどの顔料は、耐候性はよいが、不透明性によって画像のコントラストを低下させ、また赤外吸収剤の色調がカード等のデザイン上の制約を引き起こす。
【0011】
なお、記録層上に赤外吸収機能のみを有する層を積層し、その上に紫外線吸収機能のみを有する層を積層した可逆性記録媒体とすると、耐候性に弱い赤外線吸収色素が、この上に積層された紫外線吸収機能を有する層によって保護される。
【0012】
しかし、赤外吸収機能のみを有する層と紫外線吸収機能のみを有する層を別々に積層する工程では、多層化に伴う工程増があり、またコストアップや各層間に接着性のばらつきが生じ、さらにまた熱伝導による歪を各層で調整する必要が生じること等の問題がある。
【0013】
さらに、従来の可逆性感熱記録媒体は、各層の構成材料からなる塗料を記録層上へ塗工する度に記録層の消去温度範囲幅が低下するという問題があった。この問題についての詳細な原因は不明であるが、塗工の際の記録層へ溶剤浸透が影響していると思われる。
【0014】
そこで、本願の各請求項に係る発明の課題は、上記した問題点を解決して、赤外線吸収色素を含有する材料を用いた可逆性記録媒体を、その使用中に紫外線に曝されても赤外線吸収色素の機能が低下せず、カードやラベルとして使用できる期間が充分に長く、長時間の屋外使用にも耐えるものとすることである。
【0015】
特に、半導体レーザを使用して印字と消去を行う場合にも印字感度を十分に持つと共に、屋外使用に充分耐える耐候性を有する可逆性記録媒体とすることである。また、上記の課題を解決すると共に、多層化に伴う工程増、コストアップ、各層間の接着性のばらつき、熱伝導による歪などの新たな問題の発生がなく、耐候性、レーザ感度、消去性、耐久性に優れ、しかも生産効率がよく、2次加工においても剥離等の破壊が起きない強靭な可逆性記録媒体とすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、温度によって可逆的に透明性または発色性を変化させて可視画像を表示および消去可能な記録層を有し、その上に可視光が透過可能でありかつ紫外線および赤外線を吸収する紫外・赤外光吸収層を設けた積層体からなる可逆性記録媒体としたのである。
【0017】
上記したように構成されるこの発明の可逆性記録媒体は、赤外吸収色素を含有する層に紫外線吸収機能をもたせたことにより、記録媒体に外側から入射してくる紫外線が、赤外吸収色素を含有する層に到達すると同時に吸収され、すなわち赤外吸収色素に紫外線は作用しない。それゆえ、紫外線による記録媒体中の赤外吸収色素の劣化は防止される。
【0018】
また、上記した可逆性記録媒体において、紫外・赤外光吸収層が、下記(1)、(2)および(3)の光透過率特性を有する紫外・赤外光吸収層である請求項1に記載の可逆性記録媒体としてもよい。
【0019】

(1)波長300nm〜360nmの範囲での平均透過率が10%以下、
(2)波長400nm〜700nmの範囲での平均透過率が50%以上、
(3)波長700nm〜1200nmの範囲において透過率40%以下の吸収ピークを有する。
【0020】
このように紫外・赤外光吸収層の紫外線を吸収する特性によって、赤外吸収色素は確実に紫外線による劣化から防止され、より耐候性に優れた可逆性記録媒体になる。
【0021】
また、上記の可逆性記録媒体において、光吸収層が、紫外線吸収性の樹脂を母材とし、かつ赤外吸収色素を含有した光吸収層であることが好ましい。
【0022】
上記構成の可逆性記録媒体は、従来の低分子型紫外線吸収剤を配合したものに比べて、熱安定性や紫外線吸収性能安定性がよく、さらに紫外線吸収剤のブリードを抑えることができ、層間剥離や経時変化のない可逆性記録媒体を得ることができるためにより優れた効果を奏する。また、低分子型よりも紫外線吸収機能が高いために層の厚みを薄く形成することができる。
【0023】
また、上記の可逆性記録媒体において、記録層および光吸収層は架橋構造を有する樹脂からなる層とすることが好ましい。なぜなら、樹脂に架橋構造を導入して硬化させると、高温状態での弾性率が向上して隣接する記録層および光吸収層の熱変形が抑制されるため、層間剥離を起こすことなく、レーザ印字時の瞬間的な加熱によっても各層の破壊や変形が小さくなり、繰り返して書き換えるための耐久性に優れ、また加熱プレスによって2次加工する際にも可逆性記録媒体に層間剥離が生じない。
【0024】
また、上記の可逆性記録媒体において、記録媒体が、赤外線レーザによって可視画像の表示および消去を行う赤外線レーザ用記録媒体であることが好ましい。
【0025】
以上のように構成されるこの発明の可逆性記録媒体は、赤外線レーザによって可視画像の表示および消去を行う用途の赤外線レーザ用可逆性記録媒体として適用できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
可逆性記録媒体に係る発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
【0027】
図1に示す実施形態の可逆性記録媒体は、合成樹脂製フィルムからなる基材1の片面に記録層2を設け、可視光透過性を有し、かつ紫外線領域および赤外線領域にともに光吸収機能を有する光吸収層3と、可視光透過性の保護層4とを順次最外層に向かって積層したフィルム状の可逆性記録媒体である。
【0028】
記録層2に用いる樹脂母材は、透明で製膜性の良い合成樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ、これらの単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
また、上記の樹脂母材に対して、電子線または紫外線などの放射線硬化性樹脂を混合すると、高温領域での弾性率が高くなり、繰り返し耐久性の向上を図ることができる。そのような樹脂としては、例えばテトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の硬化性に優れた多官能アクリレートモノマーが良好に使用できる。紫外線硬化の場合はベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系等の光重合開始剤を適量添加して硬化重合させる。
【0030】
記録層を透明性が変化するタイプの記録材料で形成する場合に用いる有機低分子化合物は、高分子の樹脂母材内に0.1〜2.0μm程度の直径の集合体となって分散し、熱処理によって融解または結晶化するものであり、例えばステアリン酸メチル、ステアリン酸エチルなどの炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルその他の高級脂肪酸といった周知の有機低分子化合物を採用できる。
【0031】
このような有機低分子化合物としては、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステルおよびその誘導体などからなる化合物であってもよく、それらの1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0032】
結晶性の有機低分子化合物のうち、炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルは、低融点(mp)であり、比較的低温の熱処理によって融解または結晶化するので好ましい。さらに炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルに加えて炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の高融点(mp)のものを併用し、脂肪酸アルキルエステルと脂肪族二塩基酸の配合割合を調整すれば、透明化する温度領域を調整でき、所定温度での透明性および白濁の程度を変化させることができる。
【0033】
炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルの例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチルなどが挙げられる。
【0034】
また炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の例としては、セバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、エイコサン2酸などが挙げられる。
【0035】
発色性が変化するタイプの記録材料に用いる色素前駆体としては、分子構造中にラクトン環を有するロイコ染料が良好に使用できるものである。たとえば、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3、3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のフタリド化合物、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げられる。
【0036】
また、ロイコ染料で用いられる電子受容性化合物としては、以下のような化合物が例示できる。ドデシルホスホン酸のような炭素数6以上の脂肪族基を持つ有機リン酸化合物、α−ヒドロキシデカン酸のような脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物。好ましくは、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリドのような炭素数12以上の脂肪族基を一つ有するフェノール性化合物である。
【0037】
また、発色性が変化するタイプの記録材料に用いるバインダーポリマーとしては、前述のような透明性樹脂であればよく、特に母材となる樹脂とその架橋剤で構成されるポリマーが好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネート架橋剤と熱架橋する水酸基、アミノ基、カルボキシル基などを有する熱可塑性樹脂であり、例えばアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール樹脂などである。
【0038】
記録層2の厚みは、使用する記録材料の種類や色調、組成配合比などによって変更するが、例えば3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。厚みが薄いと可視画像のコントラストが充分に得られず、厚いと層厚み方向の伝熱の温度分布が大きくなり、画像の印字、消去速度に影響を及ぼすからである。
【0039】
ところで、本願の発明者らは、特願2001−230208、特願2001−230225において、記録層上に赤外吸収機能のみを有する層をまず積層し、次いでその上にさらに紫外線吸収機能のみを有する層を積層してなる構成の可逆性記録媒体に係る発明を出願した。この可逆性記録媒体は、耐候性に弱い赤外線吸収色素が、この上に積層された紫外線吸収機能を有する層によって、紫外線劣化を防止する。
【0040】
それらの層構成のように赤外吸収機能のみを有する層と紫外線吸収機能のみを有する層を別々に積層した場合には、多層化に伴う工程増、コストアップ、各層間の接着性のばらつき、熱伝導による歪を各層で合わせ込む必要があったが、本願の各請求項に係る発明のようにして単層化すると、工程減、コストダウン、層間接着性のばらつき減、熱伝導設計の容易さにおいて有利になる。
【0041】
さらに、従来の層構成のように、各波長の吸収機能層を別々に積層した場合には、各層の構成材料からなる塗料を記録層上へ塗工する度に記録層の消去温度範囲幅が低下するという問題があるが、本願の各請求項に係る発明ではそのような問題はなくなる。その原因は充分には解明されていないが、塗工の際の記録層へ溶剤浸透が影響していると思われる。従来の層構成では、2層を形成するために2回の塗工が必要であったが、この発明のように単一の層を1回だけ塗工すれば、記録層の消去温度範囲の低下を充分に防ぐことができ、結果的には消去性を向上させることができる。
【0042】
次に、記録層上に積層する可視光透過性を有し、かつ紫外線領域および赤外線領域にともに光吸収機能を有する単層の光吸収層3は、以下のようにして形成できる。
【0043】
まず光吸収層に紫外線吸収機能を持たせるには、例えば▲1▼低分子型の紫外線吸収剤を高分子樹脂中に溶解もしくは分散して層を形成するか、もしくは▲2▼高分子型の紫外線吸収剤を塗布する。
【0044】
▲1▼の低分子型の紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤または無機系紫外線吸収剤が挙げられる。有機系紫外線吸収剤としては、分子構造中に紫外線吸収能をもつ化合物であり、具体的には2、4―ジヒドロキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ−4―メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、トリアジン系、ベンゾエート系化合物などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いても良いが、二種類以上を混合使用しても良い。
【0045】
また、前記した無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、シリカ、アルミナなどの紫外線領域に吸収を持つ顔料が挙げられるが、可視光領域で吸収性のないものがより好ましい。これらの紫外線吸収剤は、単独で使われても良いが、二種類以上を混合使用しても良い。
【0046】
また、紫外線吸収層を形成する高分子樹脂としては透明で製膜性のよいものが好ましく、特に耐熱性に優れていて、分解や黄変し難いのが好ましい。そのような条件を満足するものは、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などである。
【0047】
高分子樹脂への紫外線吸収剤の好ましい含有量は、高分子樹脂100重量部に対して紫外線吸収剤5〜50重量部である。これよりも少なすぎると耐候性が充分に得られ難く、逆に多すぎるとブリードが起こったり、脆くなって接着性や耐久性に悪影響を及ぼす。
【0048】
また、▲2▼の高分子型の紫外線吸収剤としては、高分子構造中に紫外線吸収機能を示す構造を有する高分子共重合体を使用できる。具体的には、分子構造中に反応性の不飽和エチレン基を有するベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収分子構造をもつモノマーを、メタクリル酸メチル、スチレン、エチレンなどの重合性モノマーと共重合させた高分子共重合体や、分子構造中にヒドロキシエチル基を有するベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収分子構造をもつモノマーを、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸エステルなどのモノマーと重付加し、または重縮合させた高分子共重合体が挙げられる。
【0049】
紫外線吸収分子構造をもつモノマーの具体例は、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロキシ)エトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物や、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。これらのモノマーは単独成分であってもよいし、複数成分であってもよい。また、反応性HALS(ヒンダードアミン光安定剤)など他の機能性を有する反応性モノマーと共重合したものでも良い。
【0050】
これらの高分子型紫外線吸収剤は、単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良く、また低分子型紫外線吸収剤と混合して用いても良い。
【0051】
この発明において、特に高分子型の紫外線吸収剤を用いると、熱安定性、紫外線吸収性能安定性およびブリード防止機能等が優れるものになり、これに以下に示す赤外吸収色素を併用すると、紫外線吸収機能と赤外線吸収機能の両者の機能を損なわず、これらを混合した単層で良好な効果が得られる。
【0052】
この原因は定かではないが、紫外線吸収機能を有する部分が樹脂母材の側鎖に固定されているため、赤外吸収色素の分散に悪影響を及ぼすことなく、また赤外吸収色素を取り囲むようにバインダーが絡まるため、これらが同一の層内にあっても紫外線による赤外吸収色素の分解を回避し易い構造をとるのではないかと考られる。
【0053】
また、高分子型紫外線吸収剤は、低分子型紫外線吸収剤よりも紫外線吸収機能が高いため、結果的に層厚みを薄くすることができ、この点においても有利な効果が奏される。
【0054】
高分子構造中に占める紫外線吸収機能を示す構造は、重量%で5〜60%程度占めることが望ましい。なぜならこの範囲未満の割合では、充分な耐候性が得られず、この範囲を超えて多ければポリマーの製膜性や強度が不足するので好ましくない。
【0055】
次に光吸収層に赤外線吸収機能を持たせるには、上述の紫外線吸収機能を有する光吸収層に、さらに赤外吸収色素を含有させることで実現できる。
【0056】
光吸収層に添加する赤外吸収色素は、半導体レーザ光の発振波長付近に吸収ピークをもつものが選択的に採用される。一般的には、700〜1200nm程度の半導体レーザが汎用性があり、赤外吸収色素としては、この波長域に吸収ピークを有するシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。この発明の有利な効果を得るためには、赤外吸収色素において耐候性、耐熱性等の化学的安定性のよいものを選択的に採用することが好ましい。
【0057】
また、以上のようにして得られる紫外線吸収機能と赤外線吸収機能を併せ持つ光吸収層の機能は、まず300nm〜360nmの範囲での平均透過率が10%以下であることが望ましく、さらに好ましくは5%以下であることが望ましい。これより大きいと当該波長領域の紫外線を有効にカットできず、当該光吸収層3に含有される赤外吸収剤の劣化防止機能が低減する。
【0058】
そして400nm〜700nmの範囲での平均透過率が50%以上であることが望ましく、さらに望ましくは60%以上であることが望ましい。これより小さいと記録画像の視認性を妨げる。またデザイン上の観点から光吸収層は無色に近いことが望ましく、この領域での平均透過率は出来るだけフラットであることが望ましい。
【0059】
さらに波長700nm〜1200nmの範囲において透過率40%以下となる吸収ピークを有することが望ましく、さらに好ましくは透過率30%以下となる吸収ピークを有することが望ましい。吸収ピークを有する波長は、使用するレーザ光線の波長によって選択できるが、780nm、830nm、1064nmなどが汎用レーザとして使用されているのでそれに応じた機能であることが必要である。吸収ピークの透過率は、使用するレーザ光線の波長と、可視画像をレーザで書換える場合の速度やレーザ出力等によって異なるが、40%より大きいと高速や低出力での書換えが困難になる。またレーザ光線の波長付近においては、できるだけ、透過率が同程度で変動の少ないことが望ましい。レーザ発信源の個体差や環境温度などによりレーザの波長自体が変動し得るため、それに伴う光吸収層3の光吸収量の変動を少なくすることが望ましいからである。
【0060】
以上のようにして、赤外吸収色素の機能を損なうことなく、また可視光領域において良好な透過性を有しながら、短波長の紫外線を浴びて劣化と分解を充分に防止でき、赤外レーザでの印字や消去性の感度の低下および消失を実際に回避することができる。
【0061】
さらにこの発明の有利な効果を確実に得るためには、光吸収層は、その一部もしくは全部に架橋構造を有することが好ましい。
【0062】
未架橋である場合は、レーザ印字時の瞬間的な加熱により光吸収層が軟化または溶融し、そのために可逆性記録媒体の各層に歪を生じ、結果的に割れが発生したり、破壊や変形を起こし、この発明の効果が得られない。架橋は、例えばイソシアネート化合物を用いて熱架橋させても良く、その場合は水酸基やカルボキシル基などの官能基を有している樹脂を採用する。
【0063】
一方、熱架橋によって3次元の網目が形成されるように硬化させると、高温時の弾性率が向上して変形が抑制され、レーザ印字時の瞬間的な加熱でも各層の破壊や変形が小さくなり、繰り返し耐久性に優れた可逆性記録媒体が得られ、また加熱プレスによる2次加工において可逆性記録媒体自体の層剥離等の問題もなくなる。
【0064】
また、前記の官能基を有しない樹脂を混合することにより、柔軟性、積層性、接着性などの特性が適当に調整され調和する。
【0065】
この発明の効果は、特に記録層2と光吸収層3がこの順で積層され、かつ両層とも、その一部もしくは全部が架橋構造を有していることによって有利に達成される。
【0066】
すなわち、赤外レーザの照射によって光吸収層3は発熱し、記録層2に熱が伝導するが、その際に劣化や歪みの発生を押さえ、繰り返して熱履歴を与えた際の剥離やつぶれ等の物理的な劣化が回避される。
【0067】
光吸収層3の厚みは、1〜30μm程度が好ましく、2〜20μmがより好ましい。この範囲未満の薄い厚さでは、紫外線吸収機能や赤外線吸収機能の効果が充分に得られず、また前記範囲を超えて厚いと層間剥離の発生や記録材コントラストの低下等の問題を起こしやすいからである。
【0068】
さらに、通常は、光吸収層3の上に可視光透過性の保護層4を設けることができる。保護層4を形成する材料は、外部との接触を考慮して耐擦傷性、耐汚染性などに優れた材料が好ましい。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂が挙げられる。より好ましい材料は、紫外線硬化樹脂または電子線硬化樹脂であり、具体的にはウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーからなる主成分に各種アクリレートモノマー、その他添加剤等を適宜混合して、取り扱い性、作業性、硬化性などを調整したものである。紫外線硬化の場合はベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系等の光重合開始剤を適量添加して硬化重合させる。
【0069】
保護層4の厚みは、樹脂の種類などに応じて0.5〜20μmに設定され、通常は2〜10μmである。厚みこの範囲より薄いと充分な保護効果が得られず、この範囲を超えて厚ければ記録層のコントラストが低下する。
【0070】
また、特に透明性が変化する記録材料を用いた場合は、図2に示す第2実施形態の可逆性記録媒体のように、基材1と記録層2の間、または図3に示す第3実施形態の可逆性記録媒体のように基材1に重ねた記録層2の反対面に、画像の視認性を向上させるのために光反射層5を設けることが好ましい。
【0071】
光反射層5は、例えば、アルミニウムやスズなどの蒸着箔の接着またはアルミ粉などを混ぜた光反射性塗料の塗布層または蒸着膜からなる層が好ましい。なお、色、光沢、コストおよび汎用性等の面から、特にアルミニウム蒸着膜を採用することが好ましい。
【0072】
金属蒸着層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法などの周知の方法を選択的に採用することができる。
【0073】
光反射層5の厚さは、金属蒸着膜のものは数百オングストローム(Å)であるが、可逆性記録媒体に形成する画像の色、光沢、製造コスト、強度、平面性などを考慮して、適宜に決定すればよく、また下地が透けて見える厚さを採用してもよい。
【0074】
支持体としての基材1は、周知の合成樹脂からなるフィルムを使用できる。可逆性記録媒体を2次加工して、カード、ラベル等に仕上げる際の取り扱い性を改良してもよく、その形態や材料は、耐熱性、熱収縮性、耐変形性、汎用性、コストなどを考慮して適宜選択することができる。
【0075】
また、光反射層5を記録層2と反対面に設ける場合には、可視光透過性も必要である。具体的にはポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムがこれらの性能が優位なものとして使用できる。
【0076】
カード、ラベルなどの別の支持体にさらに貼り付けるなど、記録媒体に対する2次加工を容易にするために、基材1の最外面に接着剤層または粘着材層6を設けることができる。これらは被接着体の種類や接着手段、用途、目的などによって周知の接着剤、粘着材を積層できる。例えば塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤または粘着材をコーティングしたり、また両面テープ等を貼り付けて構成してもよい。両面テープに場合は粘着材層に不織布等の支持体が含まれているものも使用できる。粘着材の場合はさらにセパレータを積層して2次加工までの商品形態を保つことができる。
【0077】
以上の各層間にはさらに接着層やアンカー層を設けたり、コロナ処理等の接着処理を施して可逆記録媒体各層の積層を強固にしたり、ブリードを抑えるために目止め層を設けたり、あるいは表面の平滑性を得る為の平滑層などを必要に応じて適宜設けることもできる。
【0078】
また、図4に示す第4実施形態は、転写できる可逆性記録媒体(転写フィルム)であり、基材を有しないものの例である。
【0079】
図4に示す転写フィルムは、剥離用基材7の上に転写後の最外層にあたる保護層4を重ねて設け、その上に光吸収層3を設け、その上に記録材料からなる記録層2を設け、最外層に接着剤層8を形成したものである。
【0080】
剥離用基材7は、剥離性のあるフィルムまたは紙などのシート状の素材からなり、引き剥がして剥離しやすいように曲げやすく、かつ強靱で破れ難い物性を有するものである。剥離用基材7としてプラスチックフィルムを採用した場合、母材に適量の可塑剤や補強剤を配合するなど所要の機械的特性が得られるようにする。また保護層4との界面に、シリコーン樹脂やフッ素樹脂などの離型性樹脂を設けて剥離性を向上させることもできる。
【0081】
剥離用基材7の具体例としては、紙、布、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォンなどがある。
【0082】
接着剤層8は、たとえばポリエステル系樹脂のように熱接着性のよい熱可塑性樹脂で形成することが好ましい。また、熱接着性を向上させるために、イソシアネート化合物、またはその誘導体を架橋剤として配合した熱接着性樹脂またはカルボキシル基を有する樹脂を採用してもよい。
【0083】
図5に示す第5実施形態の可逆性記録媒体は、前記の第4実施形態において、記録層2と接着剤層8の間に、画像の視認性を向上させるための光反射層5を設けたものである。
【0084】
以上説明したような各実施形態の各層間には、本発明の効果を阻害しないならば、接着層やアンカー層を設けたり、コロナ処理等の接着処理を施して可逆記録媒体各層の積層を強固にしたり、ブリードを抑えるために目止め層を設けたり、または表面の平滑性を得るための平滑層などを適宜設けることができる。
【0085】
図4または図5に示す第4または第5の実施形態の転写フィルムを用いて、カードやラベル等の任意の基材に要部を積層一体化し、記録表示部を形成するには、接着剤層8を基材面に熱圧着し、次いで剥離用基材7を剥離する。これにより任意の基材の表面に少なくとも接着剤層8、記録層2、光吸収層3、保護層4の積層体(可逆性記録媒体の要部)を容易に基材に接着固定できる。
【0086】
なお、図1から図3の各図に示される第1〜3の実施形態の可逆性記録媒体、または図4もしくは図5で構成される第4、第5の実施形態の転写シートを用いて2次加工したカードまたはラベル等の構成例を図6〜8に示した。
【0087】
図6中の符号9は、転写された可逆性記録媒体であり、符号10は、カードまたはラベルの基材であり、符号11は、磁気テープである。
また、図7中の符号12は、接触型ICチップであり、図8中符号13は、非接触型ICチップであり、符号14はアンテナコイルである。
【0088】
【実施例および比較例】
〔実施例1〕
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム基材(25μm厚)の表面に接着剤を介してアルミニウムを蒸着し、その上に下記の可逆性記録材料をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、110℃で5分間加熱乾燥した後、160W/cm×10m/minにてUV照射し、層厚10μmの記録層を形成した。<記録層>
▲1▼塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体 100 重量部
(日信化学社製:ソルバインMF)
▲2▼テトラエチレングリコールジアクリレート 50 重量部
▲3▼光重合開始剤(チバガイギー社製:イルガキュア184) 2 重量部
▲4▼ポリエステル系可塑剤(DIC社製:P−29) 25 重量部
▲5▼ベヘン酸ステアリル 40 重量部
▲6▼ドデカン2酸 8 重量部
【0089】
次に、記録層の上に下記の塗料を塗布し、130℃で5分間加熱乾燥して、厚み5μmの光吸収層を作成した。
<光吸収層>
▲1▼アクリル樹脂 100 重量部
(三菱レイヨン製:LR−1503:固形分50wt%)
▲2▼ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 20 重量部
(チバガイギー:チヌビン234)
▲3▼イソシアネート化合物 9 重量部
(日本ポリウレタン社製:コロネートL:固形分75wt%)
▲4▼フタロシアニン系色素(山本化成社製:D99−038) 5 重量部
▲5▼トルエン 200 重量部
【0090】
<保護層>
次いで、形成された光熱変換層上にエポキシアクリレート系紫外線硬化樹脂からなる保護層をコーティングし、160W/cm×10m/minにて紫外線照射し、層厚5μmの保護層を形成したフィルムを得た。
【0091】
また、当該光吸収層のみを、別途透明なポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム基材(100μm厚)上に同様条件で塗工し、透過率測定のサンプルとした。
【0092】
さらにポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム基材(25μm厚)の上記処理との反対面に下記の塗料を塗布して、130℃で5分間加熱乾燥し、層厚4μmの接着剤層を形成した。
<接着剤層>
▲1▼塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体 100 重量部
(日信化学社製:ソルバインMF)
▲2▼メチルイソブチルケトン 250 重量部
▲3▼トルエン 250 重量部
【0093】
以上のようにして得られた可逆性記録材料からなるフィルムをポリ塩化ビニルからなるシート基材に重ね、プレス温度140℃、プレス時間20分、プレス圧力20kg/cm2の加熱加圧処理で接着し、カード上に打ち抜いてカード型可逆性記録媒体を作成した。
【0094】
得られたカード型可逆性記録媒体にて、以下の評価を行い、結果を表1中に併記した。
【0095】
(1)印字・消去特性(レーザー感度)
カード型可逆性記録媒体の保護層の上面から、800nmの発振波長の半導体レーザを照射し、初期設定条件を100%として、0から2%ごとに少しずつレーザの出力を上げていき、カードの印字特性、消去特性を調査し、レーザ感度を評価した。
【0096】
評価はマクベス反射濃度計(RD−918S)で濃度を測定して行い、予め測定した当該実施例における記録媒体の最小濃度に対する110%以下の数値が出始める出力値を印字出力(%)とし、また最大濃度の95%以上の数値が出始める出力値を消去出力(%)として評価した。
【0097】
(2)耐候性(UV照射後のレーザー感度)
カード型可逆性記録媒体を160W/cm×10m/minにて30パス紫外線照射を行い、充分に放置した後、(1)で求めた印字出力と消去出力でレーザ書き込みテストを行った。ブランクと同様に印字、消去ができた場合は○、印字あるいは消去が不可であれば×とした。
【0098】
また、別途、紫外線フェードメーター(スガ試験機社製)にて8時間および24時間の紫外線照射を行い、充分に放置した後、(1)で求めた印字出力と消去出力でレーザ書き込みテストを行なった。8時間照射品においてブランクと同様に印字および消去ができた場合は○印、さらに24時間照射品においてもブランクと同様に印字および消去ができた場合は◎印とし、8時間照射品で印字または消去が不可であれば×印とした。
【0099】
(3)透過率測定
上記において、別途、透明なPETフィルム基材(100μm厚)に作成した透過率測定用の当該光吸収層のみのサンプルについて、分光光度計によって300nmから1200nm間の各波長における透過率を測定した。そして、300〜360nmの平均透過率が10%以下のものを○印、さらに5%以下のものを◎印とし、10%より大きければ×印として評価した。
【0100】
また400〜700nmの平均透過率が50%以上のものを○印とし、それ以外は×印とした。
【0101】
さらに700〜1200nmの範囲において透過率が40%以下となる吸収ピークがあれば○印とし、なければ×印とした。
【0102】
(4)消去温度幅の測定
得られたカードを予め130℃のオーブン内に1分間放置して加熱した後、取り出して室温まで冷却することにより、カードの全面を白濁状態にした。その後、50℃から120℃の温度範囲において、2℃毎にオーブンを設定し、低温側から順次、各温度のオーブン内に1分間放置した後に取り出して室温まで冷却し、その処理温度毎の反射濃度をマクベス反射濃度計(RD−918S)で測定した。そして、反射濃度が1.0以上となるように透明化可能な温度範囲を消去温度幅とした。消去温度幅が28℃以上あったものを◎印、24℃以上28℃未満を○印、24℃未満を×印とした。
【0103】
また、以上の(1)から(4)の評価を基にして総合評価(優:◎印、良:○印、不可:×印)を行ない、その結果を表1中に記号で併記した。
【0104】
〔実施例2〕
光吸収層の組成を以下のように変更したこと以外は、全て実施例1と同様に行なった。
<光吸収層>
▲1▼高分子型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 100 重量部
(日本触媒製:UV−G714)
▲2▼イソシアネート化合物 3 重量部
(住友バイエルウレタン製:スミジュールN3200)
▲3▼フタロシアニン系色素(山本化成社製:D99−038) 5 重量部
▲4▼メチルエチルケトン 300 重量部
【0105】
〔実施例3〕
記録層2の組成および形成方法を以下のように変更したこと以外はすべて実施例2と同様に行った。下記の可逆性記録材料の組成物をペイントシェーカーを用いて2時間分散した。
<分散液>
▲1▼色素前駆体:クリスタルバイオレットラクトン 10重量部
▲2▼電子受容性化合物:ヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジド20重量部
▲3▼樹脂母材:アクリルポリオール(三菱レイヨン社製:LR−1503)50重量部
▲4▼溶剤:トルエン 150重量部
【0106】
分散された記録材料組成物の中にさらに以下の硬化剤を加えて、よく攪拌し塗工液を調整した。
<硬化剤>
▲1▼イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL:固形分75wt%) 5重量部
【0107】
透明ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム基材(25μm厚)の表面に上記で作成した塗工液を塗布し、130℃で5分間乾燥した後、60℃で16時間エージングを行い、層厚10μmの記録層を形成した。
【0108】
以降は実施例1と同様に行った。ただし評価(4)の消去温度幅測定については、ロイコ染料による発色型の記録材料は、冷却速度に依存して発色または消色を繰り返す原理により,加熱オーブンによる静的な温度特性の評価はできないため未評価とした。
【0109】
〔比較例1〕
光吸収層を設けないこと以外はすべて実施例1と同様に行った。ただし評価(3)の透過率測定は当該サンプル自身がないため、未評価とした。
【0110】
〔比較例2〕
光吸収層の組成を以下のように変更したこと以外はすべて実施例1と同様に行った。
<光吸収層>
▲1▼アクリル樹脂 100 重量部
(三菱レイヨン製:LR−1503:固形分50wt%)
▲2▼イソシアネート化合物 9 重量部
(日本ポリウレタン社製:コロネートL:固形分75wt%)
▲3▼フタロシアニン系色素(山本化成社製:D99−038) 5 重量部
▲4▼トルエン 200 重量部
【0111】
〔比較例3〕
実施例1において、形成された記録層の上に下記の塗料を塗布し、130℃で5分間加熱乾燥し、層厚5μmの赤外線吸収層を形成した。
<赤外線吸収層>
▲1▼アクリル樹脂 100 重量部
(三菱レイヨン製:LR−1503:固形分50wt%)
▲2▼イソシアネート化合物 9 重量部
(日本ポリウレタン社製:コロネートL:固形分75wt%)
▲3▼フタロシアニン系色素(山本化成社製:D99−038) 5 重量部
▲4▼トルエン 200 重量部
【0112】
次に、当該赤外線吸収層の上にさらに下記の塗料を塗布し、130℃で5分間加熱乾燥して、厚み5μmの紫外線吸収層を作成した。
<紫外線吸収層>
▲1▼アクリル樹脂 100 重量部
(三菱レイヨン製:LR−1503:固形分50wt%)
▲2▼ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 20 重量部
(チバガイギー:チヌビン234)
▲3▼イソシアネート化合物 9 重量部
(日本ポリウレタン社製:コロネートL:固形分75wt%)
▲4▼トルエン 200 重量部
【0113】
そして実施例1と同様にこの上に保護層を形成させ、以降は実施例1と同様に行なった。ただし評価(3)の透過率測定においては、透明PET上に赤外線吸収層と紫外線吸収層とを両方積層したサンプルにて評価を行った。
【0114】
【表1】
Figure 0004177038
【0115】
上記の結果からも明らかなように、実施例1〜3は、いずれも良好な結果を示し、紫外線照射後も印字消去を行うことができ、赤外吸収色素の紫外線による劣化と分解を防止できていることが解る。特に、低分子型紫外線吸収剤を樹脂母材に含有させた実施例1に比べて高分子型紫外線吸収剤を採用した実施例2、3のものは、より長期の耐候性テストに耐えるものであり、実施例の中でも優位なものであった。
【0116】
比較例2は、耐光性テストにおいて紫外線の照射を行うと、初期のレーザ出力条件で印字および消去ができなくなっており、目視観察したところ、赤外吸収色素固有の色調が失われており、赤外吸収色素が劣化および分解し、赤外レーザでの光熱変換機能が低下していることが推測される。
【0117】
また、実施例1、2の消去温度幅と、比較例3の消去温度幅とを比較すると、実施例では記録層上への塗工工程が少ない分、消去幅の低下が防止できていることがわかる。比較例3は、最も工程が少ない比較例1と比べると、73%程度しか消去幅が残存していないのに対し、実施例1、2の場合には、同じく比較例1と比べても87%の消去幅が保持できていることがわかり、消去性のよい可逆性記録媒体であった。
【0118】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、温度によって可視画像を表示および消去可能な記録層を有し、その上に可視光が透過可能でありかつ紫外線および赤外線を吸収する紫外・赤外光吸収層を設けた積層体からなる可逆性記録媒体としたので、半導体レーザを使用して印字と消去を行う場合にも印字感度を充分に持つと共に、屋外使用に充分耐えうる耐候性をもつ可逆性記録媒体である。
【0119】
また、耐候性、レーザ感度、消去性、耐久性に優れ、さらに生産効率がよく、2次加工においても剥離等の破壊が起きない強靭な可逆性記録媒体であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆性記録媒体を示す第1実施形態の断面図
【図2】可逆性記録媒体を示す第2実施形態の断面図
【図3】可逆性記録媒体を示す第3実施形態の断面図
【図4】転写フィルムを示す第4実施形態の断面図
【図5】転写フィルムを示す第5実施形態の断面図
【図6】可逆性記録媒体を用いたカードまたはラベルの実施形態を示す断面図
【図7】可逆性記録媒体を用いたカードまたはラベルの実施形態を示す断面図
【図8】可逆性記録媒体を用いたカードまたはラベルの実施形態を示す断面図
【符号の説明】
1 基材
2 記録層
3 光吸収層
4 保護層
5 光反射層
6 粘着材層
7 剥離用基材
8 接着剤層
9 可逆性記録媒体
10 基材
11 磁気テープ
12 接触型ICチップ
13 非接触型ICチップ
14 アンテナコイル

Claims (4)

  1. 温度によって可逆的に透明性または発色性を変化させて可視画像を表示および消去可能な記録層を有し、その上に可視光が透過可能でありかつ紫外線および赤外線を吸収する紫外・赤外光吸収層を設けた積層体からなり、前記紫外・赤外光吸収層が、紫外線吸収剤および赤外吸収色素を含有し、下記(1)、(2)および(3)の光透過率特性を有する紫外・赤外光吸収層である可逆性記録媒体。

    (1)波長300nm〜360nmの範囲での平均透過率が10%以下、
    (2)波長400nm〜700nmの範囲での平均透過率が50%以上、
    (3)波長700nm〜1200nmの範囲において透過率40%以下の吸収ピークを有する。
  2. 紫外線吸収剤が、低分子型紫外線吸収剤もしくは高分子型紫外線吸収剤またはこれらの混合物である請求項1に記載の可逆性記録媒体。
  3. 記録層および光吸収層は架橋構造を有する樹脂からなる請求項1または2に記載の可逆性記録媒体。
  4. 記録媒体が、赤外線レーザによって可視画像の表示および消去を行う赤外線レーザ用記録媒体である請求項1〜のいずれかに記載の可逆性記録媒体。
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