JP2004236408A - 車両用発電機のトルク演算装置 - Google Patents

車両用発電機のトルク演算装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記憶容量を低減することができ、高い精度でトルクを算出することができる車両用発電機のトルク演算装置を提供すること。
【解決手段】トルク演算装置54は、車両用交流発電機1の励磁電流を検出して算出する励磁電流算出部55と、車両用交流発電機1の出力電流を算出する出力電流算出部57と、車両用交流発電機1の回転数を算出する回転数算出部56と、これらの算出結果を用いて車両用交流発電機1の駆動トルクを推定するトルク算出部58とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用発電機の消費トルク等を算出する車両用発電機のトルク演算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省燃費の観点から、エンジンの出力トルクそのものを制御する、いわゆるトルクベース制御が盛んになっている。このような制御を行う場合に、車両動力トルクに加えてベルト駆動の補機での消費トルク、特に増速比が大きな車両用発電機の消費トルクを考慮して制御を行いたいという要求が高まっている。
【0003】
一般に、車両用発電機は、使用回転数や周囲温度範囲が極めて広く、その消費トルクの推定は、図8に示すようなトルクマップ(あるいはこれと同等の情報)を周囲温度毎に用意し、車両用発電機の励磁デューティ比や回転数に基づいてこのトルクマップを逐次参照することによって行われている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。また、車両用発電機の効率マップを格納しておいて、発電電力を検出してこの効率マップを参照し、求めた効率から消費トルクを推定する手法が知られている(例えば、特許文献4、5)。
【0004】
また、各種のマップを用いない方法としては、車両用発電機の稼働状態(励磁状態)から消費トルクを推定する方法が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−254699号公報(第2−3頁、図1−5)
【特許文献2】
特開平8−240134号公報(第4−6頁、図1−6)
【特許文献3】
特開平10−4698号公報(第3−5頁、図1−8)
【特許文献4】
特開平10−210679号公報(第3−5頁、図1−8)
【特許文献5】
特開2001−292501号公報(第4−7頁、図1−11)
【特許文献6】
特許第2855714号公報(第2−5頁、図1−7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1〜5に開示された従来方法では各種のマップ情報が必要になるため、このマップ情報を格納しておくメモリの記憶容量が膨大になるという問題があった。しかも、このマップ情報は、車両用発電機の機種毎に用意する必要があるため、コストや設計の手間を考えると実用的とはいえなかった。
【0007】
また、上述した特許文献6に開示された従来方法では誤差が大きくなるという問題があった。例えば、最近の小型化された車両用発電機では、磁気回路を高度に磁気飽和させて最大出力を得る設計がなされているため、特に低回転数領域において励磁状態量と出力電流(電力)との間の線形関係が崩れ、実際のトルクと推定したトルクとの差が大きくなる。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、記憶容量を低減することができ、高い精度でトルクを算出することができる車両用発電機のトルク算出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用発電機のトルク算出装置は、車両用発電機の励磁電流に関する状態量を検出する励磁検出手段と、車両用発電機の出力電流に関する状態量を検出する出力検出手段と、車両用発電機の回転数に関する状態量を検出する回転検出手段と、励磁検出手段、出力検出手段、回転検出手段のそれぞれによって検出される3つの状態量に基づいて、車両用発電機の駆動トルクを推定するトルク推定手段とを備えている。励磁電流、出力電流、回転数の3つの状態量を検出して駆動トルク(消費トルク)を推定するため、従来のように、マップ情報を参照する必要がなく、この参照を行うために必要だった記憶容量を大幅に低減することが可能になる。また、これらの状態量を用いて推定する駆動トルクは、磁気回路の磁気飽和による非線形性をも考慮できるので、高精度なトルク算出が可能になる。
【0010】
また、上述した励磁検出手段は、界磁巻線に印加される電圧と、励磁電流を断続させるスイッチ手段の駆動デューティ比とに基づいて励磁電流値を推定することが望ましい。これにより、励磁電流を検出するために大幅な装置改良が不要になり、励磁電流の検出機能を追加することによる装置規模の拡大やコストの上昇を抑えることが可能になる。
【0011】
また、上述した励磁電流を断続させるスイッチ手段は、電流検出機能を有するMOSFETであり、励磁検出手段は、MOSFETによって検出された電流値を励磁電流値として用いることが望ましい。これにより、励磁電流を直接検出することが可能になり、励磁電流の検出精度を向上させることができる。
【0012】
また、上述した出力検出手段は、電機子巻線端に環着された軟磁性体に巻装されたコイルの両端電圧を検出することにより、出力電流値を算出することが望ましい。これにより、電機子巻線で発生した交流電流振幅もしくは実行値を磁束変化から容易に検出することが可能になり、出力電流値の算出を容易かつ高精度で行うことができる。
【0013】
また、電機子巻線の発生電圧を整流する整流器の直流出力端に環装されるC状磁性体と、このC状磁性体の切欠き部に装着されたそう磁気センサとを有する電流センサが車両用発電機に備わっており、上述した出力検出手段は、磁気センサの出力に基づいて出力電流値を算出することが望ましい。これにより、車両用発電機の直流出力電流を直接かつ確実に検出することができる。
【0014】
また、上述した回転検出手段は、電機子巻線の発生電圧の基本周波数成分に基づいて、回転数を算出することが望ましい。これにより、従来の回転検出機能付きの発電制御装置を用いて回転数を取得することが可能になり、構成の追加や改良を少なくすることができる。
【0015】
また、上述した車両用発電機の回転子の慣性モーメント情報が予め格納されており、トルク推定手段は、電機子巻線の発生電圧に基づいて検出した回転子の回転加速度と慣性モーメント情報とを用いて、車両用発電機の慣性トルクを推定することが望ましい。これにより、エンジンの過渡的な変化に追随して発電機トルクを求めることが可能になり、さらに正確なトルク推定が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機の構成を示す図であり、あわせてこの車両用交流発電機と車載バッテリとの接続状態が示されている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の車両用交流発電機1は、電機子巻線2、整流器3、界磁巻線4、発電制御装置5および電流センサ6を含んで構成されている。電機子巻線2は、多相巻線(例えば三相巻線)からなっており、誘起される交流出力が整流器3に供給される。整流器3は、電機子巻線2の交流出力を直流出力に整流する全波整流回路である。界磁巻線4は、電機子巻線2に電圧を誘起させるための鎖交磁束を発生させるために、励磁電流を流して界磁を形成する。発電制御装置5は、車両用交流発電機1の出力電圧を所定の調整電圧設定値Vreg に制御する。また、発電制御装置5は、励磁電流、回転数および出力電流に基づいて車両交流発電機1の消費トルクを算出する。電流センサ6は、車両用交流発電機1の出力電流を検出する。車両用交流発電機1のB端子(出力端子)が車載バッテリ9に接続されている。
【0018】
また、発電制御装置5は、パワートランジスタ51、環流ダイオード52、電圧制御回路53、トルク演算装置54を備えている。パワートランジスタ51は、界磁巻線4に対して直列に接続されており、この界磁巻線4に流れる励磁電流を断続制御するスイッチ手段である。環流ダイオード52は、界磁巻線4に並列に接続されており、パワートランジスタ51のオフ時に界磁巻線4に流れる励磁電流を環流させる。電圧制御回路53は、B端子に現れる出力電圧を検出して、この出力電圧が所定の調整電圧設定値Vreg になるようにパワートランジスタ51の断続状態を制御する。具体的には、出力電圧の方が調整電圧設定値Vreg よりも高い場合には、電圧制御回路53はパワートランジスタをオフする。これにより、界磁巻線4に流れる励磁電流が減少し、出力電圧が低下する。反対に、出力電圧の方が調整電圧設定値Vreg よりも低い場合には、電圧制御回路53はパワートランジスタをオンする。これにより、界磁巻線4に流れる励磁電流が増加し、出力電圧が上昇する。このようにして、出力電圧のレベルに応じてパワートランジスタ51が断続され、調整電圧設定値Vreg に一致するように制御される。
【0019】
また、トルク演算装置54は、車両用交流発電機1の消費トルクを算出する。このために、トルク演算装置54は、励磁電流算出部55、回転数算出部56、出力電流算出部57、トルク算出部58を有している。
上述した励磁電流算出部55が励磁電流検出手段に、出力電流算出部57が出力検出手段に、回転数算出部56が回転検出手段に、トルク算出部58がトルク推定手段にそれぞれ対応する。
【0020】
次に、トルク演算装置54の詳細動作について説明する。
(1)励磁電流の算出動作
図2は、パワートランジスタ51と界磁巻線4の接続点に現れる電圧波形を示す図である。また、図3はパワートランジスタ51と励磁巻線4の接続点の電圧波形のデューティ比と励磁電流の相対値との関係を示す図である。
【0021】
発電制御装置5では、パワートランジスタ51を断続することによって励磁電流を調整しており、パワートランジスタ51と界磁巻線4の接続点には、図2に示すような矩形形状の電圧波形が現れる。この電圧波形のデューティ比(t/T)と励磁電流の相対値Fとの間には、図3に示す直線的な関係があり、この相対値Fを用いて励磁電流Iを表すと以下のようになる。
【0022】
=F・V/R …(1)
ここで、Vは界磁巻線4に印加される電圧であり、車両用交流発電機1の出力電圧に等しい。なお、正確には、出力電圧からパワートランジスタ51のソース・ドレイン間電圧を差し引いた値になるため、厳密にこの値を用いるようにしてもよい。また、Rは界磁巻線4の抵抗値である。この抵抗値は、厳密には界磁巻線4の温度に依存するので、車両用交流発電機1内部の温度を検出して、以下の式を用いて抵抗値を補正することにより、正確に励磁電流の値を算出することができる。
【0023】
=(K+T)/(K+T)・R …(2)
ここで、Kは温度と抵抗値との関係を示す定数、Tは現在の温度、Tは基準温度、Rは基準温度における界磁巻線4の抵抗値である。
励磁電流算出部55は、パワートランジスタ51と励磁巻線4の接続点に現れる電圧波形のデューティ比を検出し、図3に示した関係に基づいて励磁電流相対値Fを求めた後、この励磁電流相対値Fと電圧Vと抵抗値Rとを(1)式に代入してその時点での励磁電流Iを算出する。あるいは、励磁電流算出部55は、その時点での温度Tを検出して(2)式に基づく抵抗値Rの補正を行った後、励磁電流Iを算出する。
【0024】
(2)回転数の算出動作
車両用交流発電機1の回転数を検出する手法としては、電機子巻線2の何れかの相電圧の周波数成分を検出する方法が一般に知られており、本実施形態ではこの方法を用いて回転数検出を行っている。
【0025】
電機子巻線2の一相の出力電圧Vは、デューティ比が50%で、周波数が車両用交流発電機1の回転数に比例した波形となる。回転数算出部56は、この電機子巻線2の一相の出力電圧Vをパルス化して、このパルスの基本周波数成分をカウントしたり、この基本周波数成分を電圧に変換したりすることにより、図4に示すように、このパルスの周波数に比例する車両用交流発電機1の回転数Nを算出する。
【0026】
なお、図4は12極(6極対)の発電機の例を示しているが、12極に限るものではない。
(3)出力電流の算出動作
図5は、電流センサ6が設置された車両用交流発電機1のB端子近傍の部分的な斜視図である。また、図6は電流センサ6を抜き出してその詳細形状を示す斜視図である。
【0027】
整流器3の直流出力端であるB端子の周囲には、このB端子とフレーム等(図示せず)との間の電気絶縁を確保するために、樹脂製の絶縁ブッシュ7が備わっている。本実施形態では、C状コア(磁性体)61とこのC状コア61のギャップ部(切欠き部)62に挿入された磁気センサ63とで構成される電流センサ6がこの絶縁ブッシュ7にインサートモードルされている。C状コア61は、軟磁性体材料を用いて形成されており、B端子に出力電流が流れたときに発生する周回する磁界を集める働きを有している。例えば、軟磁性体材料として78パーマロイなどを用いることができる。磁気センサ63は、C状コア61によって集められた磁界の大きさに感応して電気信号に変換する。例えば、磁気センサ63としては、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)等が用いられる。このうような構造を採用することにより、絶縁ブッシュ7を変更するだけで電流センサ6を車両に装着することが可能になり、搭載性を損なうことなく車両用交流発電機1の出力電流を検出することが可能になる。
【0028】
出力電流算出部57は、電流センサ6内の磁気センサ63から出力される電気信号を取り込んで、車両用交流発電機1の出力電流Iを算出する。
(4)車両用交流発電機1の消費トルクの算出動作
上述した3つの状態量(励磁電流I、回転数N、出力電流I)の算出が終了すると、車両用交流発電機1の消費トルクTを以下の式を用いてリアルタイムで計算することが可能になる。
【0029】
T=(k・I +M・I・I+k・I )/N …(3)
ここで、kは界磁巻線4の自己インダクタンスに関する定数、kは電機子巻線2の自己インダクタンスに関する定数、Mは界磁巻線4と電機子巻線2の相互インダクタンスに関する定数である。
【0030】
この式に含まれる回転数N、励磁電流I、出力電流Iは、励磁電流算出部55、回転数算出部56、出力電流算出部57のそれぞれによってリアルタイムに算出するものであるため、結局トルク演算装置54内のメモリ(図示せず)に格納しておく必要がある情報は、k、k、Mの3つとなる。
【0031】
トルク算出部58は、励磁電流算出部55、回転数算出部56、出力電流算出部57のそれぞれによって算出された回転数N、励磁電流I、出力電流Iと、メモリから読み出した3つの定数k、k、Mの値を(3)式に代入して車両用交流発電機1の消費トルクを計算する。
【0032】
このように、本実施形態の発電制御装置5に備わったトルク演算装置54では、励磁電流、出力電流、回転数の3つの状態量を検出して駆動トルク(消費トルク)を推定するため、従来のように、マップ情報を参照する必要がなく、この参照を行うために必要だった記憶容量を大幅に低減することが可能になる。また、これらの状態量を用いて推定する駆動トルクは、磁気回路の磁気飽和の影響が少ないため、高精度なトルク算出が可能になる。
【0033】
特に、励磁電流を検出するために大幅な装置改良が不要になり、励磁電流の検出機能を追加することによる装置規模の拡大やコストの上昇を抑えることが可能になる。また、C状コア61と磁気センサ63からなる電流センサ6を絶縁ブッシュ7に内蔵することにより出力電流の検出を行っており、励磁電流を検出するために大幅な装置改良が不要になるため、励磁電流の検出機能を追加することによる装置規模の拡大やコストの上昇を抑えることが可能になる。さらに、回転数の検出を、電機子巻線2の発生電圧の基本周波数成分に基づいて行うことにより、従来の回転検出機能付きの発電制御装置を用いて回転数を取得することが可能になり、構成の追加や改良を少なくすることができる。
【0034】
また、このようにして算出された消費トルクを車内LAN等の汎用の通信手段を用いてエンジン制御装置(図示せず)に送ることにより、低コストで信頼性の高い発電機の消費トルクを考慮に入れたエンジン制御を行うことが可能になり、エンジン回転の安定化を図ることができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、界磁巻線4に印加される電圧Vやこの電圧のデューティ比に対応する励磁電流の相対値Fを用いて励磁電流Iを算出したが、励磁電流の供給経路に直列に電流検出用の抵抗を接続してこの抵抗の両端電圧を検出して励磁電流を算出するようにしてもよい。
【0036】
図7は、励磁電流検出を行う変形例の構成を示す図である。図7に示すように、円流検出機構としての検出抵抗を内蔵したMOSFET51Aがパワートランジスタ51の代わりに用いられ、この検出抵抗の両端電圧が増幅器59で増幅されて検出される。トルク算出部58は、この増幅器59の出力電圧を取り込んで、界磁巻線4に流れる励磁電流Iとすることができる。
【0037】
また、上述した実施形態では、車両用交流発電機1のB端子近傍に装着される絶縁ブッシュ7に電流センサ6を内蔵させて出力電流Iを検出するようにしたが、電機子巻線2と整流器3の接続部分(電機子巻線端)を、検出用コイルを巻装した環状の軟磁性体に貫通させ、電機子巻線2の交流電流に起因する交流磁束変化を交流電圧として検出するようにしてもよい。このとき、電機子電流の最大値でも環状の軟磁性体が磁気飽和しないような設計にしておけば、全回転域でほぼ線形の電流検出を行うことが可能になる。
【0038】
電機子巻線2が対称三相巻線の場合には、相電流の振幅値をIp とすると、直流出力値Idcは以下の式で表すことができる。
Idc=0.955・Ip
磁気センサを用いる場合に比べて温度による影響を除去することができるため、出力電流値の検出精度を向上させることが可能になる。
【0039】
また、上述した実施形態では、車両用交流発電機1の消費トルクTを求めるようにしたが、併せて車両用交流発電機1の慣性トルクT2を求めるようにしてもよい。具体的には、回転数Nの時間変化成分、すなわち回転加速度N’を算出するとともに、メモリにあらかじめ車両用交流発電機1の慣性モーメント値Jを格納しておいてこの値を読み出すようにすれば、以下の式を用いて、エンジンの過渡変動時における車両用交流発電機1の慣性トルクT2を算出することができる。
【0040】
T2=J・N’
また、消費トルクTと慣性トルクT2を合計することにより、車両用交流発電機1の総トルクTtot を算出することができるため、この総トルクTtot を用いてエンジン制御装置による制御を行うことにより、さらにエンジンの回転を安定化させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、トルク演算装置54を発電制御装置5内に備えたが、トルク演算装置54の全部あるいは一部の機能をエンジン制御装置に持たせるようにしてもよい。例えば、励磁電流、出力電流、回転数のそれぞれの情報をシリアル通信プロトコル(例えばCAN;Controller Area Network)を介してエンジン制御装置に送信し、エンジン制御装置において消費トルク等の算出を行うことにより、トルク制御に関する一括処理をエンジン制御装置で行うことが可能になり、通信による誤差や時間遅れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の構成を示す図である。
【図2】パワートランジスタと界磁巻線の接続点に現れる電圧波形を示す図である。
【図3】パワートランジスタと励磁巻線の接続点の電圧波形のデューティ比と励磁電流の相対値との関係を示す図である。
【図4】電機子巻線の一相出力電圧の周波数と車両用交流発電機の回転数との関係を示す図である。
【図5】電流センサが設置された車両用交流発電機のB端子近傍の部分的な斜視図である。
【図6】電流センサを抜き出してその詳細形状を示す斜視図である。
【図7】励磁電流検出を行う変形例の構成を示す図である。
【図8】従来のマップ参照方式で用いられるマップの具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 電機子巻線
3 整流器
4 界磁巻線
5 発電制御装置
6 電流センサ
7 絶縁ブッシュ
9 車載バッテリ
51 パワートランジスタ
52 環流ダイオード
53 電圧制御回路
54 トルク演算装置
55 励磁電流算出部
56 回転数算出部
57 出力電流算出部
58 トルク算出部

Claims (7)

  1. 車両用発電機の励磁電流に関する状態量を検出する励磁検出手段と、
    前記車両用発電機の出力電流に関する状態量を検出する出力検出手段と、
    前記車両用発電機の回転数に関する状態量を検出する回転検出手段と、
    前記励磁検出手段、前記出力検出手段、前記回転検出手段のそれぞれによって検出される3つの状態量に基づいて、前記車両用発電機の駆動トルクを推定するトルク推定手段と、
    を備えることを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  2. 請求項1において、
    前記励磁検出手段は、界磁巻線に印加される電圧と、前記励磁電流を断続させるスイッチ手段の駆動デューティ比とに基づいて励磁電流値を推定することを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  3. 請求項1において、
    前記励磁電流を断続させるスイッチ手段は、電流検出機能を有するMOSFETであり、
    前記励磁検出手段は、前記MOSFETによって検出された電流値を前記励磁電流値として用いることを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記出力検出手段は、電機子巻線端に環着された軟磁性体に巻装されたコイルの両端電圧を検出することにより、出力電流値を算出することを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    電機子巻線の発生電圧を整流する整流器の直流出力端に環装されるC状磁性体と、このC状磁性体の切欠き部に装着された磁気センサとを有する電流センサが前記車両用発電機に備わっており、
    前記出力検出手段は、前記磁気センサの出力に基づいて前記出力電流値を算出することを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記回転検出手段は、電機子巻線の発生電圧の基本周波数成分に基づいて、前記回転数を算出することを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記車両用発電機の回転子の慣性モーメント情報が予め格納されており、
    前記トルク推定手段は、電機子巻線の発生電圧に基づいて検出した前記回転子の回転加速度と前記慣性モーメント情報とを用いて、前記車両用発電機の慣性トルクを推定することを特徴とする車両用発電機のトルク演算装置。
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