JP2004236220A - 符号化装置、情報管理装置、復号化装置、画像形成装置、符号化プログラム、情報管理プログラム、復号化プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば、デジタル複写機1等での画像処理に際して、画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、判定参照値に関わる情報を領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得し、この変動量がしきい値を超える領域については画像データを領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得することで、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減するようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号化装置、情報管理装置、復号化装置、画像形成装置、符号化プログラム、情報管理プログラム、復号化プログラムおよび記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、符号化された画像データの編集性を高めるために、画像データを複数の領域に分割し、各領域を独立に符号化して圧縮符号とし、この圧縮符号を復号する際に、復号後の処理内容に応じて復号する領域の順序を変える処理が知られている。ここで「独立して」とは、各領域を復号する際に他の領域の情報を利用することがなく、従って、他の領域の画像データが復号されているか否かに関わりなく復号することが可能であることを意味する。
【0003】
画像データを複数の領域に分割して符号化することで編集性を高める例としては、例えば、復号する領域の順序を変えることで画像の回転処理(例えば、90°回転)を実行可能とする技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、国際標準となった画像圧縮方式JPEG2000においてもタイルと言う概念が導入されており、画像データをタイル分割してタイルごとに符号化することにより領域分割された画像データを得ることが可能となる。タイルは独立に符号化される単位であるので、読み出すタイルの順序を変えることで容易に画像の回転処理等を実行できる。
【0005】
また、従来では、タイル単位に符号上限を設定しながら符号化を実施する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、従来では、画像の圧縮に際し、レンダリングの並列処理において、各色の各バンドのレンダリングに必要な時間を見積もって効率よく割り振ることで、所定時間内にレンダリングを終了させるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−160904公報(段落0003を参照)
【特許文献2】
特開2002−125116公報
【特許文献3】
特開2000−134623公報
【特許文献4】
特開2001−45304公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像データをタイルに分割してタイル単位の処理を実行する場合、各タイル内の情報の価値は一律ではない。特に、文字画像の背景部分などは情報量が少なく、正確に情報を記録しても不正確に記録しても視覚上差がない場合がある。また、画像形成装置においては、文字モードでの出力に際して背景情報はフィルタリングによってほぼ0にされてしまうなど、情報の活用がされないこともある。
【0009】
しかしながら、上述した従来の技術では、このような重要度の低い情報であっても符号化/復号処理時には所定の処理時間を必要とし、また下位ビットプレーンにおいては多少の濃度ムラによる情報量を保存するためにかなりの情報が必要となる。このような場合には、画質上重要度の低い部分を認識して復号処理を短時間に行なうことが大きな意味を持つ。
【0010】
一方、電子写真方式の画像形成装置など、画像形成を開始すると途中で一時停止が出来ないプロセスにおいては、圧縮符号を時間内に復号することが重要である。電子写真方式の画像形成装置では、設定された復号時間内に画像が復号されなければ、それまで形成したトナー像が無駄になる場合もある。したがって、このような場合には、復号時間を短くすることが重要となる。
【0011】
上述した特許文献3に記載された技術では、復号時間を短縮する手法の一つとして、タイルに分割して並列処理を行なうことにより圧縮された画像データを高速に復号するようにしているが、このような技術では復号に要する時間は画像領域ごとに異なり、例えば、網点画像など複雑な画像を含むタイルを復号する際には時間がかかる。このため、並列処理をタイル単位で実行すると、単純な画像を含むタイルの復号は終了しているにも拘わらず、複雑な画像を含むタイルの復号が終了するまでは全体として復号が完了しないため、次段の処理を待つ必要が生じてしまう。このような場合には、画質上重要度の低いタイルを認識して復号処理を短時間に行なうことが大きな意味を持つ。
【0012】
一方、上述した特許文献4に記載された技術では、圧縮符号の復号の場合はレンダリングの場合と異なるため、復号処理を分割して異なる復号器に分担させるということが容易ではない。
【0013】
すなわち、符号化/復号処理が、近接画素との相関を参照しながら実行される処理であるために、同じタイル内の復号処理を分担しようとしても、符号化時に先に符号化された画素が復号されるまではそれ以降の復号処理を実行できない場合が多く、このために効果的な時間の短縮にならない。
【0014】
また、エントロピー符号化に際して予測テーブルを書き換えていくタイプの符号化において、タイル内の途中の画素(画素Aとする)から復号を実行するためには、符号化部がその画素Aを符号化した時点での予測テーブルが必要となる。しかしながら、この予測テーブルは、一般に、画素Aまでの復号処理が終了した時点でなければ得ることが出来ない。
【0015】
このように、復号処理を分割するためには符号化時からそのための準備をする必要があり、容易に処理を分割できないという不具合があった。
【0016】
また、レンダリングの場合、処理に重要度を付けることは困難である。
【0017】
本発明の目的は、記憶容量の低減を図り、圧縮符号の生成に要する処理時間を短縮することである。
【0018】
本発明の目的は、画質上重要度の低い領域を認識し、記憶容量の低減を図ることである。
【0019】
本発明の目的は、符号列の復号に要する処理時間を短縮することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の符号化装置は、画像データを1または複数の領域に分割する領域分割手段と、前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、を具備する。
【0021】
ここで、「変動量がしきい値以下である」とは、領域内の判定参照値間に変動がない状態も含む。
【0022】
したがって、画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、判定参照値に関わる情報が領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得され、この変動量がしきい値を超える領域については画像データが領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得される。これによって、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0023】
請求項2記載の発明の符号化装置は、カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換手段と、前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割手段と、前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、を具備する。
【0024】
したがって、カラー画像データを変換して輝度情報と色差情報とを取得し、色差情報のみまたは輝度情報および色差情報を判定参照値として、この判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値に関わる情報が領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得され、この変動量がしきい値を超える領域については画像データが領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得される。これによって、領域内の色差情報のみまたは輝度情報および色差情報の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の符号化装置において、前記圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式である。
【0026】
したがって、例えば、JPEG2000等の圧縮符号化方式を用いて請求項1または2記載の発明を実現することができる。
【0027】
請求項4記載の発明の情報管理装置は、請求項1、2または3記載の符号化装置によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除手段と、を具備する。
【0028】
したがって、変動量がしきい値以下である領域における符号列からの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報が削除される。これによって、変動量が小さい場合等、画質上重要度の低い領域符号を削除して、記憶容量の低減を図ることができる。
【0029】
請求項5記載の発明の復号化装置は、請求項1、2または3記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化手段と、を具備する。
【0030】
ここで、「判定参照値が所定の範囲内の値をとる」とは、例えば、判定参照値を一様にしたり、復号化した判定参照定値に所定の揺らぎ成分値を加えたりすることで実現することができる。
【0031】
したがって、請求項1、2または3記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式により符号列を復号化して画像データを取得し、この変動量がしきい値を超える領域については所定の復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する。これによって、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように復号すればよいので、変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の復号化装置において、前記復号化手段は、請求項4記載の情報管理装置が備える削除手段により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成する。
【0033】
したがって、判定参照値が削除された符号列を復号することにより、処理に要する負担をより軽減することができる。これにより、画質上重要度の低い領域の符号列の復号に要する処理時間をより短縮することができる。
【0034】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の復号化装置において、ウェーブレット逆変換を用いて符号列を復号する。
【0035】
したがって、例えば、JPEG2000等の復号化方式を用いて請求項5または6記載の発明を実現することができる。
【0036】
請求項8記載の発明の画像形成装置は、請求項5、6または7記載の復号化装置と、前記復号化装置が復号した画像データに基づいて画像形成を行うプリンタエンジンと、を具備する。
【0037】
したがって、請求項5、6または7記載の復号化装置と同様の作用を奏し、画像形成に要する処理時間を短縮することができる。
【0038】
請求項9記載の発明の符号化プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、画像データを1または複数の領域に分割する領域分割機能段と、前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、を実行させる。
【0039】
ここで、「変動量がしきい値以下である」とは、領域内の判定参照値間に変動がない状態も含む。
【0040】
したがって、画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、判定参照値に関わる情報が領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得され、この変動量がしきい値を超える領域については画像データが領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得される。これによって、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0041】
請求項10記載の発明の符号化プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換機能と、前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割機能と、前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、を実行させる。
【0042】
したがって、カラー画像データを変換して輝度情報と色差情報とを取得し、色差情報のみまたは輝度情報および色差情報を判定参照値として、この判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値に関わる情報が領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得され、この変動量がしきい値を超える領域については画像データが領域ごとに圧縮符号化されて符号列が取得される。これによって、領域内の色差情報のみまたは輝度情報および色差情報の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0043】
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の符号化プログラムにおいて、前記符号化機能による圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式である。
【0044】
したがって、例えば、JPEG2000等の圧縮符号化方式を用いて請求項9または10記載の発明を実現することができる。
【0045】
請求項12記載の発明の情報管理プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除機能と、を実行させる。
【0046】
したがって、変動量がしきい値以下である領域における符号列からの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報が削除される。これによって、変動量が小さい場合等、画質上重要度の低い領域符号を削除して、記憶容量の低減を図ることができる。
【0047】
請求項13記載の発明の復号化プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化機能と、を実行させる。
【0048】
ここで、「判定参照値が所定の範囲内の値をとる」とは、例えば、判定参照値を一様にしたり、復号化した判定参照定値に所定の揺らぎ成分値を加えたりすることで実現することができる。
【0049】
したがって、請求項9、10または11記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式により符号列を復号化して画像データを取得し、この変動量がしきい値を超える領域については所定の復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する。これによって、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように復号すればよいので、変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができる。
【0050】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の復号化プログラムにおいて、前記復号化機能は、請求項12記載の情報管理プログラムの実行により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成する。
【0051】
したがって、判定参照値が削除された符号列を復号することにより、処理に要する負担をより軽減することができる。これにより、画質上重要度の低い領域の符号列の復号に要する処理時間をより短縮することができる。
【0052】
請求項15記載の発明は、請求項13または14記載の復号化プログラムにおいて、前記復号化機能による複合化方式は、符号列をウェーブレット逆変換を用いて量子化し、量子化後の符号列を復号する。
【0053】
したがって、例えば、JPEG2000等の復号化方式を用いて請求項13または14記載の発明を実現することができる。
【0054】
請求項16記載の発明の記憶媒体は、請求項9、10または11記載の符号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する。
【0055】
したがって、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項9、10または11記載の発明の作用を得ることができる。
【0056】
請求項15記載の発明の記憶媒体は、請求項12記載の情報管理プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する。
【0057】
したがって、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項12記載の発明の作用を得ることができる。
【0058】
請求項16記載の発明の記憶媒体は、請求項13、14または15記載の復号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する。
【0059】
したがって、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項13、14または15記載の発明の作用を得ることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1ないし図17を参照して説明する。本実施の形態では、本発明の符号化装置、情報管理装置、復号化装置および画像形成装置として、デジタル複写機への適用例を示す。
【0061】
図1は、本実施の形態であるデジタル複写機の概略構成を示すブロック図である。デジタル複写機1は、周知の電子写真プロセスにより用紙上などに画像形成を行なうプリンタエンジン2と、原稿の画像を読み取るスキャナ3とを備えている。また、デジタル複写機1は、マイクロコンピュータおよびメモリ等を有するコントローラ5を備えている。本実施の形態では、後述する符号化プログラム、情報管理プログラムおよび複合化プログラムがメモリに格納されており、このため、メモリによって記憶媒体が実現される。
【0062】
メモリには、図示しない通信I/F等を介してネットワーク4からダウンロードすることによってインストールしたり、可搬性を有するメディアに記録されたプログラムを図示しないメディア情報読取装置によって読み取ることでインストールしたりすることができる。可搬性を有するメディアに記録されたプログラムを図示しないメディア情報読取装置によって読み取ることでインストールする場合、メディア情報読取装置による読み取りが可能なメディアによって記憶媒体が実現される。
【0063】
このコントローラ5は、具体的には、デジタル複写機1の全体を制御するメインコントローラと、各部をそれぞれ制御する複数のサブコントローラとからなるが、ここでは、単一のコントローラ5として説明する。
【0064】
プリンタエンジン2は、それぞれ感光体、現像装置、クリーニング装置、帯電装置を有していて、K,M,C,Y(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)各色の乾式トナー像を形成するためのプロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yと、転写ベルト12と、定着装置13と、プロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yが有する各感光体にK,M,C,Y各色の画像の静電潜像を光書込みする光書込装置14K,14M,14C,14Yとを備えている。
【0065】
デジタル複写機1は、カラー画像を記録されるための転写材(記録用紙やOHPなど)を収納する給紙トレイ15a〜15cを備えている。各プロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yは、K,M,C,Y各色のトナー像を転写ベルト12に重ね合わせて形成し、この重ね合わされたトナー像は、給紙トレイ15a〜15cから供給される転写材に転写されて、定着装置13により定着される。
【0066】
本実施の形態のデジタル複写機1は、LANなどの所定のネットワーク4から図示しない通信インターフェイスを介して画像データを受け取ることが可能な構成となっている。
【0067】
RIP部21は、ネットワーク4を介して入力された画像データがPDL(ページ記述言語)形式のデータであるとき、これをバンド単位に描画処理してビットマップ形式に変換して、画像処理装置26に出力する。
【0068】
ここでバンドとは、所定数の画素ラインから構成される画像データの一領域である。
【0069】
画像処理装置26は、バンドバッファ22、符号化部23(23a,23b)、復号化部24(24a,24b)、ページメモリ25を備えている。
【0070】
バンドバッファ22は、1ページ分の画像データを構成する複数のバンドのうち、一つのバンドに含まれる画素のデータを格納するためのバッファである。
【0071】
本実施の形態では、バンドバッファ22が格納可能な画像データの容量は、600dpiの1画素あたり8ビットのRGBの3色からなる画像データをA4サイズの4分の1だけ格納できる容量である。
【0072】
ただし、後述するウェーブレット変換のオーバーラップに際して参照する隣接画素分の画像データはこれとは別に格納することが可能である。
【0073】
なお、本発明を実施する際にバンドバッファ22の記憶容量は適宜選択できることは言うまでもない。
【0074】
符号化部23a,23bは、バンドバッファ22に格納された画像データを符号化する。復号化部24a,24bは、圧縮符号を復号する。
【0075】
符号化部23bについては後述するが、本実施の形態の符号化部23a,23bは、静止画圧縮の国際標準であるJPEG2000を使用して実施する。すなわち、符号化部23a,23bは、静止画像を1または複数の矩形の領域(タイル)に分割し、このタイルごとに独立して階層的に圧縮符号化する圧縮符号化方式を用いて画像データを圧縮する。このように、例えば、JPEG2000方式においては画像をタイル分割して符号化することができるという特徴を有する。
【0076】
なお、タイル分割しない場合は、タイル数=1に該当し、符号化部23aはタイル数=1としてJPEG2000方式で画像データを符号化する。また、後述する符号化部23bはタイル数=16としてJPEG2000方式で画像データを符号化する。
【0077】
本実施の形態においては、記憶される画像データはタイルおよびサブタイルに分割されていればよく、その点では符号化部23aは必ずしも必要ではないが、タイル分割された圧縮符号列が量子化された際に生じるタイル境界歪を無くすための好適な実施の形態として符号化部23aを備えている。
【0078】
ページメモリ25は所定ページ分の画像データを圧縮符号として格納(記憶)するためのメモリである。本実施の形態のページメモリ25は、A4サイズの画像データ1ページ分の圧縮符号列を格納可能とする。
【0079】
ハードディスク27はページメモリ25に格納された圧縮符号列を取得して格納し、必要に応じてその圧縮符号列をページメモリ25に再格納するために設けられたメモリである。
【0080】
詳細は後述するが、復号化部24bで復号されたRGB(レッド、グリーン、ブルー)色の信号で表現された画像データは、RGB→CMYK変換部28に出力される。
【0081】
RGB→CMYK変換部28は、復号化部24bで復号されたRGB色の信号で表現された画像データをCMYK信号に変換する。変換されたCMYK信号は、それぞれK,M,C,Y色階調処理部29K、29M,29C,29Yに出力される。
【0082】
K,M,C,Y色階調処理部29K、29M,29C,29Yは、それぞれK,M,C,Y色の多値データを少値化して書込データに変換する機能を果たす。本実施の形態では、バンドバッファ22において1画素8ビットの600dpi画像データを格納しており、K,M,C,Y色階調処理部29K,29M,29C,29Yは、この画像データを1画素1ビットの1200dpi画像データへと変換する。
【0083】
K,M,C色の書込みデータは、画像形成開始タイミングを調節するためにラインメモリ16K,16M,16Cに格納され、各色の画像が転写材上で重なり合うようにタイミングを合わせてK、M、C,Y,の光書込装置14K、14M,14C,14Yに送られる。
【0084】
次に、本実施の形態の符号化部23aが実施する符号化方式について説明する。図2(a)は、符号化部23aが実施する符号化方式を示すブロック図である。符号化部23aは、バンドバッファ22に格納された画像データをタイル分割せずに符号化する。バンドバッファ22から出力されたRGB信号からなる画像データは、DCレベルシフト部31でレベルシフトされ、色変換部32で色変換され、各色変換係数はウェーブレット変換部33でウェーブレット変換され、エントロピー符号化部34でウェーブレット係数がエントロピー符号化される。エントロピー符号化された符号は、符号フォーマットに従い、最終的に必要とされる符号順序に並べ替えて出力される。ページメモリ25に出力される。
【0085】
DCレベルシフト部31は、画像信号がRGB信号値のような正の数(符号なし整数)である場合には、各信号値から信号のダイナミックレンジの半分を減算するレベルシフトを、逆変換では各信号値に信号のダイナミックレンジの半分を加算するレベルシフトを行なう。
【0086】
なお、DCレベルシフト部31におけるレベルシフトは画像信号がYCbCr信号におけるCbおよびCrのような符号付き整数の場合には適用しない。
【0087】
JPEG2000で使用される色変換の方式はYCrCb等公知の技術なので説明は省略する。
【0088】
ウェーブレット変換には9×7フィルタ、5×3フィルタのいずれを使用してもよい。いずれのフィルタも隣接画素とオーバーラップするフィルタである。隣接画素とオーバーラップするフィルタを使用する場合、量子化時にブロック歪が発生することがないという利点がある。
【0089】
なお、本実施の形態では、バンド境界においても隣接画素とのオーバーラップを行わせるために、バンドを構成する画素と併せて隣接する画素も必要な分だけバンドバッファ22に格納しておく。
【0090】
後述するが、本実施の形態の量子化は、ビットプレーン単位でポスト量子化を行なう。
【0091】
ここで、JPEG2000の符号フォーマットについて説明する。図3は、JPEG2000の符号フォーマットの概略構成を説明図である。符号フォーマットは、符号データの始まりを示すSOC(Start of Codestream)マーカで始まる。SOCマーカの後には、符号化のパラメータや量子化のパラメータ等を記述したメインヘッダ(図4参照)が続き、その後に実際の符号データが続く。
【0092】
図4は、メインヘッダの構成を示す説明図である。メインヘッダは、COD,QCDの必須マーカセグメントと、COC,QCC,RGN,POC,PPM,TLM,PLM,CRG,COMのオプションマーカセグメントとで構成される。COMマーカはコメント等の情報を付加したいときに利用するマーカで、メインヘッダ、タイルヘッダの双方で使用することが可能である。
【0093】
図4中に示すSIZマーカには、タイルサイズの情報が記述されている。
【0094】
実際の符号データは、SOT(Start of Tile−part)マーカで始まり、タイルヘッダ、SOD(Start of data)マーカ、タイルデータ(符号)で構成される。これら画像全体に相当する符号データの後には、符号の終了を示すEOC(End of Codestream)マーカが付加される。
【0095】
次に、タイルヘッダの構成について説明する。図5は、タイルデータの先頭に付加されるマーカセグメント列を示す説明図であり、COD,COC,QCD,QCC,RGN,POC,PPT,PLT,COMのマーカセグメントが使用可能である。図6は、タイル内が複数に分割されている場合における分割されたタイル部分列の先頭に付加されるマーカセグメント列を示す説明図であり、POC,PPT,PLT,COMのマーカセグメントが使用可能である。タイルヘッダでは必須マーカセグメントはなく、すべてオプションである。
【0096】
JPEG2000のエントロピー符号化は、係数モデリング処理と算術符号化処理とで実行される。この方式は国際標準として周知であるため詳しい説明は省略するが、以下に必要な範囲での概要について説明する。
【0097】
符号化方式は、EBCOT(Embedded Block Coding with Optimized truncation)と呼ばれるブロックベースのビットプレーン符号化である。EBCOTの特徴としては、各サブバンドを同一サイズにブロック分割して符号化する点と、ポスト処理による符号量制御が可能な点が挙げられる。EBCOTは、ブロック分割、係数モデリング、算術符号化という順で符号化を実行する。すなわち符号化は、Code blockと称するブロック単位で行われるので、まず、ウェーブレット係数はブロックに分割され係数モデリングされる。
【0098】
係数モデリングは、符号化対象となる多値ウェーブレット係数から、後段の2値算術符号化用のビットモデルを作成することが目的である。言い換えれば、符号化方法を決定する部分である。符号化対象となるウェーブレット係数は正負の符号を持った整数(あるいは実数表現された整数)であり、それらを決められた順序で走査しながら、係数を絶対値表現したものに対して、上位ビットから下位ビットへと、ビットプレーン単位で処理を行なう。ビットプレーン内の各ビットは3つの処理パスによって4つの符号化を行なう。
【0099】
すなわち、まず、各Code blockにおけるビットプレーン上のビット走査順序は、垂直方向に4ビットまとめた単位でのラスター走査で行われる。符号化は、significance propagation pass(有意な係数が周囲にある有意でない係数の符号化)、magnitude refinement pass(有意な係数の符号化)、cleanup pass (残りの係数情報の符号化)の3つの処理パスで実行される。各処理パスで実行される符号化方法は、significance coding、sign coding、magnitude refinement coding、cleanup codingの4種類がある。なお、ここで、“significance”とは、該当ビット(係数)が“有意である/ない”ことを示しており、以下のような解釈によって行われる。
【0100】
・有意である:これまでの符号化処理において注目係数が0でないとわかっている状態のこと。言い換えれば、すでに1であるビットを符号化済みであること。
【0101】
・有意でない:係数値が0であるか、0の可能性がある状態のこと。言い換えれば、未だ1であるビットを符号化していない状態のこと。
【0102】
符号化は、まず、ビットプレーンのMSBより走査を行ない、ビットプレーン中に有意でない係数(0でないビット)が存在するか否かを判定する。有意である係数が登場するまでは3つの符号化処理パスは実行されない。有意でない係数のみで構成されるビットプレーンは、そのビットプレーン数をパケットヘッダに記述する。この値は復号時に利用され、有意でないビットプレーンを形成するために使われるとともに、係数のダイナミックレンジを復元するためにも必要である。実際の符号化は、有意であるビットが最初に登場したビットプレーンから開始され、該ビットプレーンは、まずcleanup passで処理される。その後、下位のビットプレーンに対して順次、3つのパスを用いて処理が進められる。その3つのパスについて以下に説明する。
【0103】
a)Significance propagation pass(有意な係数が周囲にある有意でない係数の符号化)
周囲の所定の8近傍の係数値に少なくとも1つの有意な係数があり、かつ注目する係数(X位置の係数値)がまだ有意でない場合にのみ、本パスにて処理される。それ以外の場合には本パスでは処理されない。
【0104】
b)Magnitude refinement pass(有意な係数の符号化)
注目する係数値(X)がすでに有意である状態の場合には、Magnituderefinement passによって処理される。本パスでは状態変化後(有意でない→有意である)に行なう最初のパスであるかどうか、周囲の8近傍に有意な係数値が存在するかどうかによって、3つのコンテクストモデルを算出する。
【0105】
c)Cleanup pass(残りの係数情報の符号化)
上記2つのパス(Significance propagation passとMagnitude refinement pass)に該当しない残りのビットは、Cleanup passにて処理される。
【0106】
本パスで作成するコンテクストは、上記2つのパスのように8近傍の係数値を参照するコンテクストに加えて、ランレングス符号化用のコンテクストを作成する。符号化はランレングス符号化を行なうかどうかを判断しながら符号化処理を行なう。まず、垂直方向に連続する4つの係数値がすべて本パスに属しており、かつ4つすべての係数値における周囲の8近傍に有意な係数値が存在しないか否かを判断する。
【0107】
本条件に該当する場合には、ランレングス符号化を行なう。
【0108】
一方、本条件に該当しない場合には、4つの係数値の中に少なくとも1つの有意である係数が存在するので、各係数値をSignificance propagation passで符号化する。
【0109】
ランレングス符号化は、4つの注目係数のビットがすべて0であるならば、シンボル0を符号化して終了する。そうでない場合にはシンボル1を符号化する。シンボル1を符号化した場合には、続いて4ビット中の最初の1になっているビット位置を2ビットで符号化し、その直後に正負の符号をSignificance propagation passと同様に符号化をする。ここでビット位置を示す2ビットを符号化する際にはUNIFORMコンテクストと称するコンテクストを用いる。これ以降の係数に対しては、Significance propagation passで符号化を行なう。
【0110】
以上の処理が完了すると、次の4つの係数処理に入り、順次符号化処理を行なう。なお、算術符号化については公知の技術であるので説明を省略する。
【0111】
本実施の形態では、上述した方式により符号化、復号化を行なうが、上述の説明により、有意である係数が存在しないビットプレーンは非常に早く係数モデリングが終了するのに対し、3パスを実施するビットプレーンは処理時間が長い。
【0112】
3パスのそれぞれにどのくらい時間がかかるかは回路の組み方やソフトウェアとハードウェアとの役割分担のあり方などに依存するが、どのパスを使用するかによっても処理時間は異なる。例えば,有意でないビットプレーンのみからなるタイルは非常に高速に処理ができるが、MSBから有意であるウェーブレット係数を多く含むタイルの処理には時間がかかる。
【0113】
このため、後述する並列処理において、一つの復号部23aが一つのタイルを処理するように処理を行なうと、処理時間が最も長いタイルの処理によって1バンドの処理時間が決定されてしまう。この場合、コントローラ5は係数モデリング時間が最長の場合にあわせて処理をプログラムしなければならなくなるが、全てのタイルにおいて処理時間が長い画像は少なく、係数モデリング時間が最長の場合にあわせて処理をプログラムすることは,出力の際に必要以上にユーザを待たせることとなり好ましくない。
【0114】
本実施の形態は、以上のような点を後述のように改良するものである。
【0115】
次に、復号化部24a,24bについて説明する。図2(b)は、復号化部24a,24bが実施する復号方式の機能ブロック図である。復号化部24a,24bが実行するのは、それぞれ符号化部23a,23bの逆変換であり、符号化部23a,23bで使用するDCレベルシフト、色変換、ウェーブレット変換、エントロピー符号化の各処理の逆変換をそれぞれ実行する逆DCレベルシフト部36、逆色変換部37、ウェーブレット逆変換部38、エントロピー復号部39からなる。圧縮符号がタイル分割されている場合には、かかる処理を各タイルについて実行する。復号化部24bは、図7に示すように、復号器51〜54という4つの復号器から構成され、各復号器51〜54がタイル単位で復号を行なうことで、並列処理が可能となっている。
【0116】
次に、符号化部23bについて説明する。図2(c)は、符号化部23bが実施する復号方式の機能ブロック図である。符号化部23bは、バンドバッファ22に格納された画像データをタイル分割して符号化する。符号化部23bは、符号化部23aと比べてタイル分割部40がDCレベルシフト部31の前段に追加されている点が異なる。すなわち、画像データは、まず、タイル分割部40で複数のタイルに分割され、タイルごとに独立に、符号化部23aにおけると同様な処理が施される。ここに、符号化部23bによって領域分割手段および領域分割機能が実現される。
【0117】
ここで「独立」とは、符号化時に他のタイル内の画素情報を利用することなく符号化を実施すると言う意味である。なお、符号化部23bは色変換を施してからタイル分割してもよい。
以下、符号化部23aによって符号化された圧縮符号列を「第一の符号列」、符号化部23bによって符号化された圧縮符号列を「第二の符号列」と記す。
【0118】
次に、デジタル複写機1の動作について説明する。
【0119】
本実施の形態のデジタル複写機1は、A4サイズの出力時に電子ソート機能を実行することができる。電子ソート機能の実行に際しては、第一部数目の画像の出力時には給紙トレイ15a(または給紙トレイ15b)に収納されたA4用紙に画像が記録され、第二部数目の画像の出力時には給紙トレイ15b(または給紙トレイ15a)に収納されたA4用紙に画像が記録され、その後順次、奇数部数目の画像の出力時には給紙トレイ15a(または給紙トレイ15b)に収納されたA4用紙に画像が記録され、偶数部数目の出力時には給紙トレイ15b(または給紙トレイ15a)に収納されたA4用紙に画像が記録され、というように交互に画像が記録される。このとき、奇数部数目の出力時には画像は回転されずに出力され、偶数部数目の出力時には画像が90度回転されて出力される。
【0120】
また、本実施の形態のデジタル複写機1は、給紙トレイ15a、15bのうち一方に収納された転写材が消費されると、他方に収納された転写材上に画像を形成する給紙トレイ自動切換機能を有している。このときも、画像を90度回転させることによって、切り替え先の給紙トレイに収納された転写材に適合した向きで画像を出力する。
【0121】
次に、この電子ソート機能または給紙トレイ自動切換機能を実現するために、画像処理装置26がコントローラ5に制御されて行なう処理について説明する。図8は、電子ソート機能または給紙トレイ自動切換機能を実現するために画像処理装置26がコントローラ5に制御されて行なう処理を概略的に示すフローチャートである。本実施の形態では、図8に示す処理を実行させるプログラムによって符号化プログラムが実現されている。
【0122】
まず、コントローラ5は、スキャナ3から読み込まれた、または、ネットワーク4から図示しない通信インターフェイスを介して受信した画像データを、バンド単位にバンドバッファ22に格納する(ステップS1)。
【0123】
バンドバッファ22に格納された1バンド分の画像データを、符号化部23aによってタイル分割せずに符号化して、ページメモリ25に格納する(ステップS2)。
【0124】
ページメモリ25に格納された圧縮符号は、その後ハードディスク27に格納される。
【0125】
ステップS2において、符号化部23aは、まず、色変換によってRGB信号を輝度色差信号(輝度情報、色差情報)に変換し、輝度色差をそれぞれウェーブレット変換し、ウェーブレット変換係数をエントロピー符号化する。本実施の形態では、色変換によってRGB信号を輝度色差信号(輝度情報、色差情報)に変換する処理によって色変換手段および色変換機能が実現される。
【0126】
本実施の形態では、6階層のウェーブレット変換を水平垂直方向に実施し、その結果、画像データを、図9に示すように、オクターブ分割する。図9中、インデックスの数字はウェーブレット変換の階層数を意味し、数字が小さくなるに従い高周波となっている。LLは低周波係数で第6階層にしか存在せず、HL,LH,HHは高周波成分で各階層に存在する。なお、図9中には、煩雑さを避けるため、LL,HL,LH,HHを第2階層までしか表示していない。
【0127】
符号化部23aは、このように分割されたウェーブレット変換係数に対して上述のエントロピー符号化を実施することになるが、より重要な情報を優先的に符号化するべく、エントロピー符号化の実行に際しては、ウェーブレット変換係数を図9のようにシフトして符号化する。
【0128】
ここで、図10はエントロピー符号化の実行に際して行なうウェーブレット変換係数のシフトについて示す説明図である。図10中、左右方向は各係数のビットプレーンの広がりを意味しており、一つの係数においては最左側が最上位ビット(MSB)、最右側が最下位ビット(LSB)である。
【0129】
重要な情報を優先的に符号化するとは、具体的には、重要度の高いLL6のみを含むビットプレーン群Aをまず符号化し、次いで、ビットプレーン群B,C,D,Eの順で順次符号化していくことを意味する。
【0130】
なお、本実施の形態においては、簡易化のために輝度情報および色差情報の量子化方法を全く同じとし、かつ、各ビットプレーン群の重要度も輝度情報および色差情報間で異ならないものとする。すなわち、輝度情報のビットプレーン群A,B,C,D,Eは、それぞれ色差情報のビットプレーン群A,B,C,D,Eと同じ重要度として認識され、以下において、例えば、「ビットプレーン群Eを削減する」と記した場合には、輝度情報と色差情報とのそれぞれからビットプレーン群Eを削減することを意味する。
【0131】
なお、本実施の形態では、輝度情報および色差情報の量子化方法を全く同じとしたが、これに限るものではなく、例えば、輝度情報と色差情報との重要度の違いを利用して輝度情報と色差情報との重要度に相対的に差を設けたり、ビットプレーン群の構成を変えるようにしたりしもよい。
【0132】
次に、量子化の動作について説明する。符号化部23aによって符号化された第一の符号列は、コントローラ5の指示によって、あらかじめ設定された量子化率に従って量子化される。
【0133】
ここで、量子化率は、符号化開始当初は量子化を全く行わないように設定されているが、ページメモリ25の容量と第一の符号列の符号量との関係に基づき、必要に応じて設定が変更されていく。
【0134】
この量子化は、図10に示したビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で実行される。具体的には、圧縮符号列から情報を削除する際に、各ビットプレーン群を符号化して得られる符号を単位として情報を削除する。例えば、量子化率の設定がビットプレーン群Eを量子化するように設定されている場合には、エントロピー符号化されたデータのうちからビットプレーン群Eに該当する情報であるHH1係数およびLH1,HL1,HH2,LH2,HL2,HH3の下位ビットプレーンの情報を削除する。このとき、本実施の形態の圧縮符号列はビットプレーン単位に符号化されているため、圧縮符号状態のまま容易に情報を削減することが可能である。なお、量子化対象であるビットプレーン群については、初めからエントロピー符号化しないという方法も取り得る。
【0135】
そして、量子化後の第一の符号列の符号量を、コントローラ5内の図示せぬメモリに記憶する。本実施の形態で、コントローラ5は、第一の符号列の符号量をそのメモリに格納する際、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で符号量を格納する。以下、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの符号量をそれぞれ量aA、aB、aC、aD、aEと記し、全ての符号量の和をaと記す。すなわち、“a=aA+aB+aC+aD+aE”である。
【0136】
図8に戻り、次に、符号化部23bによって、バンドバッファ22に格納された画像データを符号化して第二の符号列を取得し、第二の符号列自体はそのまま破棄して符号量のみをコントローラ5内のメモリに記憶する(ステップS3)。
【0137】
符号化部23bはステップS3の処理に際して、符号化を行ないつつ、以下に説明する2つの適応処理を行なう。
【0138】
まず、1つ目の適応処理について説明する。適応処理の1つ目は、復号にかかる時間の算出である。符号化部23bは、まず、図11(a)に示すように、1バンドを4つのタイルに分割して符号化処理を開始する。1バンドを4つのタイルに分割するのは、上述したように、復号化部24bが4つの復号器51,52,53,54から構成されており、並列処理による復号を4つに分けて実施するためである。復号にかかる時間の算出(復号時間の見積もり)は、各タイルの符号化処理において、上述した係数モデリング処理のどの処理が何回実施されたかによって見積もる。
【0139】
例えば、タイル1、2では画像の背景領域であるために有意でないビットプレーンが多く3つの符号化処理パスがほとんど実行されなかったのに対して、タイル3、4は写真画像を含んでいるためにほとんどのビットプレーンが3パス符号化されたものとする。ここで、例えば、各タイルを一つの復号器で処理する場合、図11(b)に示すように、タイル1の復号時間は1[msec]、タイル2の復号時間は2[msec]、タイル3の復号時間は18[msec]、タイル4の復号時間は21[msec]かかるとする。このような処理では、タイル1が1[msec]の復号時間で復号されているにも拘わらず、バンド全体での復号時間は、タイル4の復号時間である21[msec]となってしまう。
【0140】
これに対し、本実施の形態では、単一のタイルの処理に要する復号時間が所定時間を超えたタイルについて、このタイルをサブタイルに分割する。例えば、所定時間を10[msec]とした場合、図11(c)に示すように、タイル3は10[msec]と8[msec]との復号時間を有する2つのサブタイルに分割され、タイル4は10[msec]と10[msec]と1[msec]との復号時間を有する3つのサブタイルに分割される。かかるサブタイル分割情報は、メインヘッダのコメント欄に情報を入れておく、あるいは、コントローラ5内のメモリにサブタイル情報を記憶しておく等の方法によって管理することができる。なお、本実施の形態では、コントローラ5内のメモリにサブタイル情報を記憶しておくものとする。
【0141】
より具体的に説明すると、“タイル番号、サブタイル情報が存在することを示す1ビットのフラグである「0」、サブタイルの数、各サブタイルの先頭アドレス”を1セットとして格納する。ここで、実際には、タイル内には輝度色差の3成分が存在する(以下、輝度、色差情報1、色差情報2と記す)。そこで、上記の“タイル番号、サブタイル情報が存在することを示す1ビットのフラグである「0」、サブタイルの数、各サブタイルの先頭アドレス”は輝度色差の各成分について記述されることになる。すなわち、全ての輝度色差成分がサブタイル分割されていれば、“タイル番号、輝度についてサブタイル情報が存在することを示す1ビットのフラグである「0」、輝度に関するサブタイルの数、輝度に関する各サブタイルの先頭アドレス、色差情報1についてサブタイル情報が存在することを示す1ビットのフラグである「0」、色差情報1に関するサブタイルの数、色差情報1に関する各サブタイルの先頭アドレス、色差情報2についてサブタイル情報が存在することを示す1ビットのフラグである「0」、色差情報2に関するサブタイルの数、色差情報2に関する各サブタイルの先頭アドレス”となる。
【0142】
次に、符号化部23bが実行する2つ目の適応処理について説明する。符号化部23bが実行する2つ目の適応処理は、タイル内の判定参照値(本実施の形態では、輝度情報や色差情報。なお、モノクロ画像の場合には濃度値となる)が、設定された所定のしきい値Th1に以下であるか否かを判定する。所定のしきい値Th1は、判定参照値が一様(とみなせる)か否かをタイルごとに判断可能な値が設定される。
【0143】
この判定では、具体的に、符号化部23bによって、各タイル内で判定参照値の最大値(以下Smaxと記す)と判定最小値の最小値(以下Sminと記す)とを取得する。Smax,Sminの取得は、画素ごとに行われ、記憶されているSmaxおよびSminと各画素値における判定参照値とを順次比較して、Smaxよりも大きい判定参照値が出現した場合には記憶されているSmaxを更新し、Sminよりも小さい判定参照値が出現した場合には記憶されているSminを更新する。これにより、各タイルにおける判定参照値のSmax,Sminを取得することができる。
【0144】
符号化部23bは、このようして得られたタイル内のSmaxおよびSminから、変動係数Smax−Sminを変動量として算出する。ここに、変動係数Smax−Sminの算出によって、変動量取得手段および変動量取得機能が実現される。
【0145】
そして、算出した変動量である変動係数Smax−Sminと設定された所定のしきい値Th1とを比較する。ここに、変動量判定手段および変動量判定機能が実現される。
【0146】
算出した変動係数Smax−Sminが設定された所定のしきい値Th1以下であれば、タイル内における判定参照値の変動が小さいと判断して、コントローラ内のメモリにタイル内の平均値の近似値であるSave=(Smax+Smin)/2を格納する。
【0147】
このとき、実際には、判定参照値として、タイル内には輝度情報および2つの色差情報の計3成分の情報が存在するが、本実施の形態では、これらの3成分のそれぞれにおいて変動係数Smax−Sminを算出し、変動係数(すなわち変動量)の値が設定された所定のしきい値Th1以下の成分についてはSaveを算出して格納する。
【0148】
コントローラ5に格納される情報の形式は、具体的には、“輝度に関してタイル内の値の変動が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、色差情報1に関してタイル内の値の変動が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、色差情報2に関してタイル内の値の変動が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、輝度のフラグ値が「1」の場合には輝度のSave値、色差情報1のフラグ値が「1」の場合には色差情報1のSave値、色差情報2のフラグ値が「1」の場合には色差情報2のSave値”を1セットとして格納する。
【0149】
例えば、図11では、タイル1および2は平均値が(輝度、色差情報1、色差情報2)=(3、1、0)である背景領域であり、輝度情報および色差情報の全てについてSmax−Sminの値が所定のしきい値Th1以下である場合、タイル1および2については(タイル番号=1、フラグ=1、1、1、平均値情報=3、1、0)が記憶される。
【0150】
タイルヘッダのコメント欄に格納される情報の形式は、具体的には、“輝度に関してタイル内の変動量が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、色差情報1に関してタイル内の変動量が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、色差情報2に関してタイル内の変動量が小さいことを示す1ビットのフラグである「1」、輝度のフラグ値が「1」の場合には輝度のSave値、色差情報1のフラグ値が「1」の場合には色差情報1のSave値、色差情報2のフラグ値が「1」の場合には色差情報2のSave値”を1セットとして格納する。
【0151】
例えば、輝度および色差に関する平均が(輝度、色差情報1、色差情報2)=(120、1、0)であり、輝度については変動量が大きいが色差についてはSmax−Sminで表される変動量が所定のしきい値以下であったとする。この場合、“フラグ=1、1、1、色差情報1の平均濃度情報=1、色差情報2の平均濃度情報=0”が記憶される。
【0152】
以上のように、符号化部23bは必要に応じて平均濃度情報をタイルヘッダに格納しつつ符号化を行なう。ここに、符号化手段および符号化機能が実現される。
【0153】
以下、タイル内の輝度、色差情報1、色差情報2いずれかについて平均値情報を有するタイルを「平均値タイル」と記す。
【0154】
なお、サブタイル情報および平均値情報は、択一的に記憶される。すなわち、フラグ情報が「0」である輝度色差成分についてはサブタイル情報のみが格納されており、フラグ情報が「1」である輝度色差成分については平均値情報のみが格納されている。
【0155】
いずれの情報を格納するかは、輝度情報および色差情報のそれぞれに関して、変動量である変動係数Smax−Sminの値の所定のしきい値Th1に対する関係について、以下に示す(1)または(2)の判断を行なって判定される。
【0156】
(1)Smax−Sminが所定のしきい値以下であれば平均値情報を記憶する。
【0157】
(2)Smax−Sminが所定のしきい値を超えている場合には、サブタイル分割されたタイルについてはサブタイル情報が格納される。一方サブタイル分割されないタイルについては「1」のみが格納される。
【0158】
以上より、輝度情報のみがサブタイル分割されており色差情報1と色差情報2は平均値情報が記述されるタイルについては“タイル番号、0、1、1、輝度に関するサブタイルの数、輝度に関する各サブタイルの先頭アドレス、色差情報1の平均値情報、色差情報2の平均値情報”のように格納されることとなる。
【0159】
符号化部23bは、S3において、上述のように平均値情報やサブタイル情報を得る。
【0160】
ところで、本実施の形態のコントローラ5は、第二の符号列の符号量をコントローラ5のメモリに格納する際、第一の符号列の場合と同様、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で符号量を格納する。このとき、輝度色差の全てについて平均値情報を格納したタイルでは、タイルヘッダの情報量のみが格納されることとなる。
【0161】
本実施の形態では、全てのタイル、サブタイルはビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で量子化されるので、各タイル/サブタイル別に符号量を記憶しておくのではなく、1バンド全体として各ビットプレーンの符号量を記憶しておけばよい。以下、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの符号量をそれぞれ量bA,bB,bC,bD,bEと記し、全ての符号量の和をbと記す。すなわち、“b=bA+bB+bC+bD+bE”である。符号化部23bによる符号化は、符号化部23aによる符号化と同時に実行することで、処理時間を短縮化することができる。また、このときにサブタイル分割を実施するか否かについて決定することで、効率的な処理を行なうことができる。
【0162】
次に、量子化率の再設定ついて説明する。量子化率の再設定とは、ページ全体の量子化度合いをより強くするように量子化率を設定しなおすことを意味する。具体的には、ページメモリ25に格納された符号化済みのバンドの総符号量F2を取得し、またページメモリ25の容量F1、画像データ1ページ分を構成する全バンド数N、および符号化済みのバンド数nから(F1/N×n)を計算する(ステップSS4)。
【0163】
ついで、コントローラ5は、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立するか否かを判断し(ステップS5)、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立すれば量子化率を再設定する(ステップS6)。この判定式の意味を以下説明すると、(F1/N×n)は各バンドの情報量が等しいと仮定した場合にページメモリ25に格納されるべき情報量の上限である。例えば、Nが4、nが3のときは、“F1/N×n=F1×0.75”となり、圧縮符号はページメモリ25の75%以下の容量を占めるべきであることを意味する。すなわち“(F1/N×n)<F2の関係が成立すれば量子化率を再設定する”とは、各バンドの情報量が等しいと仮定した場合の予想情報量(F1/N×n)に対して、実際に符号化済みのバンドの総符号量F2が少しでも上回れば量子化率を再設定することを意味する。
【0164】
“(F1/N×n)<F2”の関係が成立して量子化率を再設定した場合、再設定後に符号化するバンドの量子化率を新たに設定された量子化率で量子化する(ステップS2)だけではなく、ページメモリ25に格納済みの圧縮符号についても再量子化を実行する(ステップS7)必要がある。その理由は、1ページの画像内で量子化率が変動すると画像品質がページ内で変動し、見る者に違和感を覚えさせる恐れがあるためである。
【0165】
次に、図12を用いてページメモリ25に格納された圧縮符号の量子化について説明する。図12では、ページメモリ25の容量を外枠とし、この容量を各バンドの情報が埋めていく様子を模式的に示している。図12(a)には第1バンド、第2バンドまでをページメモリ25に格納した状態が示されている。このとき、当初は量子化を全く行わないように量子化率が設定されているため、各バンド内にはビットプレーン群A,B,C,D,Eを表わす情報がすべて格納されている。図12(a)の第一バンドでは、この情報を単にA,B,C,D,Eと記している。図12(a)の第二バンドおよび図12、図13内のその他の図においては、特にA,B,C,D,Eとは記さないが、図12または図13において、バンドまたはタイル内部の情報を点線で区切って示した場合には、上方から順に情報A,B,C,D,Eを意味するものとする。
【0166】
図12(a)の状態において、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立した場合、コントローラ5は量子化処理を実行し、ページメモリ25内の符号列から情報Eを削減する。図12(b)は、削減後の状態を示しているが、情報Eが削減された結果、各バンドとも符号量が減少していることが判る。
【0167】
図8に戻って、ページメモリ25に格納済みの圧縮符号について量子化を実行した(ステップS7)後、コントローラ5は処理対象であったバンドが1ページを構成するバンドのうち最後のバンドであったかを判定し(ステップS8)、最後のバンドでなければ(ステップS8のN)、コントローラ5はバンドバッファ22をクリアしてステップS1に進み、次のバンドの画像データをバンドバッファ22に読み込ませる。ただし、符号化対象であるバンドのウェーブレット変換に必要な画素値はクリアせずにバンドバッファ22内に残して、これを符号化に利用する。これにより、量子化を実施したときにバンド境界に境界歪が発生することを防止できる。
【0168】
これにより、符号化部23aは新たに読み込まれたバンドを構成する画像データの符号化を開始する。
【0169】
処理対象であったバンドが1ページを構成するバンドのうち最後のバンドであれば(ステップS8のY)、符号化部23aによる符号化処理を終了する。このときには、図12(c)に示すように、1ページを構成する全バンドがページメモリ25に格納されている。
【0170】
次に、asum、bsumを計算する(ステップS9)。
【0171】
ここで、asumとは、符号量aA,aB,aC,aD,aEのうちから第一の符号列を作成する際に量子化されなかったビットプレーン群に関する符号量のみを抽出し、これを全バンドにわたって加算した値である。また、bsumとは、符号量aA,aB,aC,aD,aEのうちから第一の符号列を作成する際に量子化されなかったビットプレーン群に関する符号量のみを抽出し、これを全バンドにわたって加算した値である。例えば、第一の符号列がビットプレーン群E,D,Cを量子化された状態でページメモリ25に格納されていればasumは(aA+aB)を全バンドにわたって加算した値であり、bsumは(bA+bB)を全バンドにわたって加算した値である。
【0172】
ステップS10では、ページメモリ25に格納された第一の符号列の符号量F2、またページメモリ25の容量F1を用いて“F1×asum/bsum<F2”が成立するか否かが確認される。この条件が成立することは(ステップS10のY)、第一の符号列を第二の符号列に変換した場合に第二の符号列がページメモリ25の容量を超えることを意味するので、“F1×asum/bsum<F2”が成立しなくなるように量子化率の再設定が行なわれる(ステップS11)。具体的には、ページメモリ25内の第一の符号列をさらに量子化した場合に“F1×asum/bsum<F2”が成立するか否かを再計算し、この式が成立しなくなるまで量子化を繰り返す。この再計算においては、asum,bsumとして量子化後の値を使用し、例えばビットプレーン群A、Bによって構成される第一の符号列からビットプレーン群Bをさらに量子化する場合にはasumとしてaAを全バンド分加算した値を、bsumとしてbAを全バンド分加算した値を使用する。これによって、量子化後に第一の符号列から変換される第二の符号列の正確な符号量を得ることができる。
【0173】
なお、ビットプレーン群がAのみとなっても“F1×asum/bsum<F2”が成立する場合には、エラー報知によって回転処理を必要とする機能が実行できない旨をユーザに知らせるか、解像度を落として画像データを再圧縮する。
【0174】
そして、“F1×asum/bsum<F2”が成立しない量子化率が得られた場合、再設定された量子化率に従ってページメモリ25内の第一の符号列を量子化する(ステップS12)。
【0175】
以上の処理によって、第一の符号列を第二の符号列に変換しても、第二の符号列の符号量がページメモリ25の容量を超えないことが確実となったことになる。
【0176】
続いて、ページメモリ25から1バンド分の第一の符号列を読み出し、これを復号化部24aで復号して、得られた画像データをバンドバッファ22に格納する(ステップS13)。格納された画像データは符号化部23bによって符号化されるが、上述したように本実施の形態におけるタイル分割は、図14(a)に示すように各バンドを4つのタイルに分割して行なう。すなわちA4サイズの画像データは16のタイルに分割される。符号化部23bは各タイルを符号化し、得られた圧縮符号をページメモリ25に格納する(ステップS14)。このとき、ステップS10,S11,S12の処理によって第二の符号列はさらに量子化しなくともページメモリ25に格納可能であることが分かっているので、ステップS14の符号化処理において量子化は実行しない。
【0177】
また、ここで、符号化部23bは各タイルを符号化する際、コントローラ5内のメモリを参照して、平均値情報またはサブタイル情報を取得し、この情報に従って以下に示す(1),(2)の処理を行なう。
【0178】
(1)平均値情報Saveが格納されているタイルについては、タイルヘッダのコメント欄に平均値情報のみを格納して一切符号化処理を行わない。またタイルヘッダの後に圧縮符号をつけずにタイルヘッダのみを圧縮符号とする。
【0179】
(2)サブタイル情報が格納されているタイルについては、各タイルをサブタイルに分割する。すなわち、図11に例示したようなバンドにおいては、タイル3は2つのサブタイルに、タイル4は3つのサブタイルに分割して、それぞれ符号化を行なう。
【0180】
ここで、「サブタイルに分割して符号化を行なう」とは、一つのタイルを符号化する際に、サブタイル同士が別のタイルであるかのごとく処理を行なうことを意味する。具体的には、ウェーブレット変換時や係数モデリング時には隣接するサブタイルの画素値を参照せず、算術符号器は各サブタイルを符号化する際にコンテクストを初期化する。
【0181】
符号化部23aは、各タイルの先頭アドレスをコントローラ5内のメモリに記憶する。一方、各サブタイルの先頭アドレスは、タイルヘッダの中に格納する。
【0182】
ここで、タイルヘッダへの書き込みについてより詳細に説明する。タイルヘッダへのサブタイル情報および平均値情報は、輝度色差ごとに択一的に記憶される。すなわち、タイルヘッダのCOMマーカの直後に「0」が存在する輝度色差成分についてはサブタイル情報のみがコメント欄に格納されており、COMマーカの直後に「1」が存在する輝度色差成分については平均値情報のみがコメント欄に格納されている。
【0183】
いずれの情報を格納するかは、以下に示す(3)または(4)に応じて判断される。
【0184】
(3)コントローラ内に格納された、各タイルのタイル番号に続くフラグ情報が「1」である基礎色差成分については、平均値情報を格納する。
【0185】
(4)コントローラ内に格納された、各タイルのタイル番号に続くフラグ情報が「0」である基礎色差成分については、サブタイル分割されたタイルについてはサブタイル情報が格納される。一方輝度色差ともサブタイル分割されないタイルについてはCOMマーカ自体を含め何の情報も格納されない。
【0186】
以上のように、符号化部23bはS14においてタイルヘッダに平均値情報やサブタイル情報を格納しつつ画像データを第二の圧縮符号としてページメモリ25に格納する。このとき平均値が小さなタイルについてはタイルヘッダ以外の情報が削減されるので、かかるタイルが存在すればその分圧縮符号の情報量は少なくなる。
【0187】
なお、どのバンドから「第一の符号列」を「第二の符号列」に変換するかという順序は、コントローラ5が各バンドについて第一の符号列の状態での符号量αおよび第二の符号列の状態での符号量βから“γ=α÷β”という値γを計算し、このγが大きなバンドから順に変換するものとする。この理由は以下の通りである。
【0188】
一般に画像データを符号化する際には、タイル分割して符号化する方が、タイル分割しないで符号化する方よりも符号量が大きくなる。しかし、タイルの境界部分での拡張仮想画素の取り方や画像データによっては、タイル分割して符号化する方が、タイル分割しないで符号化する方よりも符号量が小さくなることが起こり得る。かかる事態が生じた場合、第二の符号列の符号量が全体としてページメモリ25の容量以下であったとしても、「第一の符号列を第二の符号列に変換することによって符号量が減少するバンド」よりも「第一の符号列を第二の符号列に変換することによって符号量が増加するバンド」を先に処理してしまうと、一時的にページメモリ25に格納できないという事態が起こり得る。例えば、ページメモリ25が圧縮符号を格納可能な容量を100%としたとき、第一バンドが第一の符号列として20%、第二の符号列として24%を占め、第二バンドが第一の符号列として30%、第二の符号列として25%を占め、第三バンドが第一の符号列として25%、第二の符号列として30%を占め、第四バンドが第一の符号列として23%、第二の符号列として20%を占めるとき、第一の符号列は1ページ全体として98%、第二の符号列は1ページ全体として99%となり、どちらもページメモリ25に格納可能な容量である。しかし、初めに第一バンドについて第一の符号列を第二の符号列に変換すると、その時点で符号量が全体で102%となりメモリ容量をオーバーしてしまう。
【0189】
そこで本実施の形態では、γの値が大きなバンド、すなわち「第二の符号列の符号量に対する第一の符号列の符号量が相対的に大きなバンド」を優先的に処理することでかかる不具合を回避し、1ページ分のページメモリしか持たない場合においても確実に量子化せずに第一の符号列を第二の符号列に変換可能である。上述の例でいえば、第一バンドではγ=0.83、第二バンドではγ=1.20、第三バンドではγ=0.83、第四バンドではγ=1.15であり、第二、第四、第一、第三バンドの順で処理を行えばよい。あるいは、上記のような不具合が生じるのはγの値が1を超えるバンドのみであるので、γ>1であるバンドについて優先的に処理を行なうようにしてもよい。
【0190】
そして、ステップS15においては、全てのバンドについて符号化部23bによる符号化処理が終了したか否かを確認し、処理が終了する。
【0191】
符号化部23bによる符号化処理が終了した時、ページメモリ25には第二の符号列が第一の符号列から量子化せずに変換されて格納されている。従って、この符号は、タイルごとに圧縮された非可逆圧縮符号でありながらタイル境界歪はまったく発生しない。
【0192】
符号化部23bによる符号化処理が終了した時、ページメモリ25には第二の符号列が図11(d)の状態で格納されている(この図にはサブタイルについては記述しない)。図11(d)では、第一の符号列から量子化せずに第二の符号列へと変換されたために、タイルごとに圧縮された非可逆圧縮符号でありながらタイル境界歪はまったく発生していない。これに対し、初めからタイル分割して符号化を行ない、これを適宜量子化した場合の模式図を、図3と同じ要領で図12に示す。図12では圧縮符号がページメモリ25に格納できなかった場合に、(a)から(b)に量子化されることによって圧縮符号が大きく量子化される。これによって最終的に得られた圧縮符号(c)では、タイル境界歪が目立った画像が生成されることになる。
【0193】
このように本実施の形態では、タイルに分割しない状態で符号化した第一の符号列に対して必要な量子化を施し、これを量子化せずにタイルに分割符号化された第二の符号列に変換することにより、タイル境界歪が発生しない圧縮符号を得ることができる。この圧縮符号はコントローラ5内のメモリに記憶されたタイルごとの先頭アドレス値を参照することでタイル単位に読み出すことができるので、必要な順序で各タイルを読み出して電子ソート機能または給紙トレイ自動切換機能を実現することができる。
【0194】
次に、画像を90°回転する動作について詳細に説明する。
【0195】
まず、A4用紙の長辺が搬送方向となるように搬送する場合には、図13(b)に示すように、コントローラ5内のメモリを参照して第一〜第四タイル(インデックス1〜4)の圧縮符号をページメモリ25から読み出し、この圧縮符号を復号化部24bで復号してバンドバッファ22に画像データを展開する。そして、この画像データを図13(b)に示す矢印方向に読み出して次工程の処理を行なう。一方、A4用紙の短辺が搬送方向となるように搬送する場合には、図13(c)に示すように、コントローラ5内のメモリを参照して第一、第五、第九、第十三タイル(インデックス1、5、9、13)の圧縮符号をページメモリ25から読み出し、この圧縮符号を復号化部24bで復号してバンドバッファ22に画像データを展開する。そしてこの画像データを図13(c)に示す矢印方向に読み出して次工程の処理を行なう。
【0196】
なお、本実施の形態では、各タイルがサブタイル分割されている場合があるが、この場合においても1タイルを構成するサブタイルを個別に読み出すことができるので、バンドバッファに展開するタイル/サブタイルの読み出し順序を変えて回転処理が容易に実行できる。
【0197】
また、本実施の形態では、最終的に得られる圧縮符号がタイル/サブタイル単位で独立に復号可能であるので、復号化部24bは並列処理によって復号を行なう。具体的には、図7に示すように復号化部24bは、復号器51〜54という4つの復号器から構成され、各復号器51〜54がタイル単位で復号を行なう。したがって、並列処理が可能となり、復号処理ひいてはデジタル複写機1の処理が高速化するが、正確に復号しても画質上あまり意味のない均一な画素値のタイルを復号化することによって復号時間が浪費されることがある。また、タイルごとに復号時間に差があると最も処理時間がかかるタイルにひきずられてバンド全体の処理時間が長くなってしまうことがある。
【0198】
そこで、本実施の形態では、復号時間が長いタイルをサブタイルに分割し、適宜4つの復号器に復号を委ねることによってさらに効率よく復号を行なう。
【0199】
なお、以下では輝度色差の一つの成分について説明するが、実際の処理ではこれを輝度色差の3成分それぞれについて実行することになる。
【0200】
▲1▼タイルヘッダに平均値情報が記述されたタイルについては復号処理を行なわない。かかるタイルはタイルを構成する画素全ての値をSaveとしてバンドバッファ上に画素値を近似再現する。これによって正確に復号しても画質上あまり意味のないタイルの復号処理に時間をかけなくても良くなる。
【0201】
▲2▼復号時間が長いタイルをサブタイルに分割し、適宜4つの復号器に復号を委ねることによって効率よく復号を行なう。
【0202】
具体的には、図15に示す処理を行なう。本実施の形態では、この図15に示す処理を実行させるプログラムによって復号化プログラムが実現されている。
【0203】
このようにして、コントローラ5がページメモリ25から読み出す1バンド分のタイルまたはサブタイルを決定する(ステップS21)。この決定は、回転処理の有無などによって決定される。
【0204】
次に、コントローラ5は、ページメモリ25内の各タイルの先頭アドレスにアクセスしてコメント欄を参照し、平均値情報の有無を確認する(ステップS22)。ここに、復号化装置における変動量判断手段および変動量判断機能が実現される。
【0205】
平均値情報が存在すればそのタイルを復号処理の対象から除外するとともにバンドバッファ22内の当該タイルに関する画素値を格納する領域において全画素値をSaveとする(ステップS23)。
【0206】
ついでコントローラは平均値情報が存在しないタイルについて各タイルを復号する復号器を決定する(ステップS24)。
【0207】
復号器が決定されたら並列処理によって復号を行なってトナー画像を形成し(ステップS25)、最終バンドまで処理が終われば終了する(ステップS26)。ここに、ステップS25によって、復号化手段および復号化機能が実現される。
【0208】
図15中ステップS24で実行する平均値情報が存在しないタイルに関する復号器の決定は、図16に示すように行なわれる。まず、1タイルに1つの復号器を分配する(ステップS31)。このとき、ステップS31では、タイルヘッダを参照し、タイルがサブタイルに分割されている場合には、1つのサブタイルの復号を行なう復号器21,52,53または54が決定される。
【0209】
図11(c)に示した例で説明すると、第一タイルが復号器51、第2タイルが復号器52、第3タイルの第一のサブタイルが復号器53、第4タイルの第一のサブタイルが復号器54に分配される。
【0210】
次に、I=1が設定され(ステップS32)、第Iタイル内に復号器が決定されていないサブタイルが存在するかが判定される(ステップS33)。この例では、タイル1,2ではサブタイル分割されていないので、この結果が否定(ステップS33のN)となり、Iがカウントアップされ(ステップS35)、タイル3では第二のサブタイルが復号器に分配されていないために(ステップS35のY)、ステップS34へと進む。
【0211】
ステップS34では、復号時間が最も早く終了する復号器にサブタイルの復号が分配する。なお、各タイルや、サブタイルの復号時間については、前述のとおり、コントローラ5内のメモリなどに記憶しているので、このデータを利用して前記の処理を行なう。すなわち、図11の例では、タイル1を復号する復号器51が復号時間=1[msec]で最も処理時間が短く、したがって、第3タイルの第2サブタイルは復号器51に分配される。なお復号時間が等しい復号器が2つある場合には、復号器51→52→53→54(図7参照)の順で優先的に分配される。サブタイルが分配されたらステップS33に戻って同様に処理が続き、この例では、第4タイルの第2サブタイルは復号器52に、第4タイルの第3サブタイルは第1の復号器51に分配される。全てのタイルについて処理が終了すると(S36のY)、復号器の分配は終了となる。
【0212】
図11の例における本実施の形態のデジタル複写機1での処理時間の短縮効果を図11(D)に示す。タイル1および2については、復号処理が実行されずに直接バンドバッファに画素値が出現するために復号時間が0となる。
【0213】
また、タイルをサブタイルに分割して復号器を分配したことにより、処理時間の長いタイルに全体の処理時間が引きずられずに処理が行なわれていることが判る。
【0214】
特に、本実施の形態のように、復号処理を行わないタイルが存在する場合には、各復号器にサブタイルの処理を分散することが高速化に有効である。
【0215】
すなわち、図11(b)に示す全てのタイルを従来の方式により復号し、かつ各タイルを各復号器で復号した場合には21[msec]の復号時間を必要としたのに対し、本実施の形態の復号方法よれば、最長10[msec]で各復号器の復号が終了していることが判る。したがって、処理時間が半分以下に減少し、高速処理が可能となっていることが判る。
【0216】
このように、処理の高速化が可能であることに鑑み、本実施の形態では、デフォルトではA4サイズにおける各バンドの復号時間を18[msec]と設定しておく。そして、例えば、全面網点画像など、全タイルにおいて復号時間が長くサブタイルを分割した場合にも18[msec]以内に処理が終了しない画像に対しては解像度を落として処理を実行することで対応する。
【0217】
なお図11(d)の例では、タイル1、2について輝度情報と色差情報の両者がともに復号時間0である場合について説明した。輝度には復号時間が必要だが、色差は復号時間が0である場合には色差についてはタイル1、2の復号時間は0、輝度についてはタイル1、2の復号時間は0でないとして復号時間の割り振りを行えばよい。また、輝度と色差とのそれぞれについてタイル単位に復号時間を割り振る場合のみならず、輝度と色差を混在させて、第一タイルの輝度については復号器1、第一タイルの色差情報1については復号器2、第一タイルの色差情報2については復号器3、というような割り振りを行なっても良い。
【0218】
図10の例における本実施の形態の効果を、図10(d)を参照して説明する。すなわち、タイルをサブタイルに分割して復号器を分配したことにより、各タイルを各復号器で復号した場合には21[msec]の復号時間を必要としたのに対し、本実施の形態では最長12[msec]で各復号器の復号が終了している。したがって処理時間が半分近くに減少し、高速処理が可能となっている。
【0219】
このような処理の高速化が可能であることに鑑み、本実施の形態ではデフォルトではA4サイズにおける各バンドの復号時間を18[msec]と設定しておく。そして全面の網点画像など、全タイルにおいて復号時間が長くサブタイル分割によっても18[msec]以内に処理が終了しない画像に対しては、解像度を落として処理を実行することで対応する。
【0220】
なお、高速処理という利点は回転処理とは関係がないので、A3サイズの画像を形成する場合にも画像データを第二の符号列として保持することで復号処理の高速化という利点を得ることができる。
【0221】
ただし、本実施の形態の場合、並列処理の実行は同一画像を多くの部数出力する際に有効である一方で、一部数しか画像を出力しない場合には第一の符号化処理を前段で実行することによってかえって処理時間が伸びてしまうので、出力部数が所定の数を超えた場合にのみ画像データを第二の符号列として保持するようにしてもよい。
【0222】
なお、本実施の形態のページメモリ25を、互いに等しい容量を有し、それぞれA4サイズ1ページ分の圧縮符号を格納するために設けられた二つのメモリとし、ページメモリ25全体としてはA4サイズ2ページ分の画像データを圧縮符号として格納することができるようにしてもよい。かかる構成とすることにより、画像の連続出力の際には2つのメモリのいずれか一方に格納された1ページ分の圧縮符号を読み出して画像形成しつつ、他方にはハードディスク27から読み出した次のページの圧縮符号を格納することが可能となる。また、後述するように第一の符号列を復号して得た画像データを符号化部23bで符号化して第二の符号列を取得する場合には、2つのメモリのいずれか一方に第一の符号列を格納し、第二の符号化部で符号化された第二の符号列は他方に格納することによって、煩雑なメモリ管理を行なうことなく第二の符号列を取得することができる。また、A3サイズの画像を扱う場合には、2つのメモリの両方でA3サイズ1枚分の画像データを格納する。
【0223】
さらに、バンドバッファ22に格納された画像データに対して、まず、符号化部23bが符号化処理を行ない、そして第二の符号列がページメモリ25のふたつのメモリの一方に格納されれば画像形成動作を開始する一方、第二の符号列がページメモリ25のメモリの一方に格納できなかった場合には、量子化せずに格納できないことが判明した時点で図7に示した処理を実施してもよい。
【0224】
かかる構成とすることにより、初めからタイル分割して第二の符号列とした場合でも符号量が充分小さくなるような画像データに対しては、符号化部23aによる符号化処理および復号化部24aによる復号処理を実施しないですむため、高圧縮が可能な画像に対しては処理時間を短縮化することができる。
【0225】
なお、以上の例では、本発明をデジタル複写機に適用する例で説明したが、コンピュータやデジタルTV内の処理であっても、並列処理によって画像を復号する処理において本発明は適用可能である。
【0226】
また、復号器はハードウェアでもソフトウェアでも良く、複数の復号回路によって画像を復号する場合にも複数のCPUによって画像を復号する場合にも本発明は適用可能である。
【0227】
さらに、本発明を適用できる符号化方式は領域分割が可能な符号化方式であれば良く、JPEG2000方式の符号でなくともよい。
【0228】
以上説明したように、本発明によれば、判定参照値の変動の激しさに応じてタイル内の情報を圧縮符号とするか、あるいは判定参照値(に関する情報)のみを表わす符号とするかを選択することにより、記憶容量の低減および処理時間の短縮が可能となる。特に、本実施の形態のように並列処理によって復号を実施する場合には、復号処理が不要なタイルを特定することにより処理が必要なタイルのみを復号器に割り当てることができるため効率が向上する。また、本実施の形態では、上記選択を輝度情報および色差情報のそれぞれについて実施するため、カラー/モノクロ混在画像に関して記憶容量の低減および処理時間の短縮効果が大きい。
【0229】
ところで、ページメモリ25に格納された圧縮符号が格納されるハードディスク27は、画像出力後もタイル分割された画像データを保持し続ける。しかしながら、本実施の形態のデジタル複写機1では、ハードディスク27内の圧縮符号の総符号量があるしきい値LIMを超えると情報を削除し始める。
【0230】
本実施の形態のデジタル複写機1では、このときに、コントローラ5によって平坦濃度タイルに関する情報を参照しながら削除を行なう。図17は、コントローラ5によって平坦濃度タイルに関する情報を参照しながら削除を行なう処理を概略的に説明するフローチャートである。本実施の形態では、この図17に示す処理を実行させるプログラムによって情報管理プログラムが実現されている。コントローラ5は、画像を検索するためのインデックス情報であるIに初期値I=1を設定し(ステップS41)、スキャンされた日付順にIを変更しながら検索を行ない、第I番目の画像を構成するタイルのタイルヘッダを参照して平坦濃度タイルが存在するかを確認する(ステップS42)。ここに、情報管理装置における変動量判断手段および変動量判断機能が実現される。
【0231】
第I番目の画像を構成するタイルのタイルヘッダを参照して平坦濃度タイルが存在する場合には(ステップS42のY)、当該タイルにおけるタイルヘッダ以外の圧縮符号を削減する(ステップS43)。ここに、削除手段および削除機能が実現される。
【0232】
ステップS43では、具体的に、当該タイルのタイルヘッダにおけるSOTマーカから次のタイルのSOTマーカまたはEOCマーカまでに存在する情報を削除する。この削減は輝度色差成分単位で実施する。このようにして情報が削減されたタイルには、タイルヘッダ情報のみが残される。なお、既にタイルヘッダ情報しか存在しない場合には何もせずにステップS44に進む。
【0233】
全タイルに関する判定が終了したか否かがチェックされ(ステップS44)、終了していなければ(ステップS44のN)、チェックするタイルを変えながらステップS42に戻る。一方、終了すれば(ステップS44のY)、Iをカウントアップする(S45)。
【0234】
そして、ハードディスク27内に存在する全画像数をNimに大して、I>Nimかどうか、すなわち、全ての画像について平坦濃度タイルにおける情報削除が実行されたかをチェックし(ステップS46)、終了していなければ(ステップS46のN)、S202に戻る。一方、終了していれば(ステップS46のY)、ハードディスク27内の全圧縮符号の符号量F_HDDがLIM以下となったか否かを判定する(ステップS47)。
【0235】
ハードディスク27内の全圧縮符号の符号量F_HDDがLIM以下であれば(ステップS47のY)処理を終了し、ハードディスク27内の全圧縮符号の符号量F_HDDがLIMを超えていれば(ステップS47のN)、従来の方法にしたがってスキャン日付の古い画像から情報を削除する(ステップS48)。
【0236】
ところで、このように符号情報が削除された平坦濃度タイルを有する画像については、その後のユーザによる検索処理および出力処理等を以下のようにして行なうことができる。
【0237】
検索処理においては、例えば、そのタイルのサムネイル情報などに平均濃度情報を使用してそのタイルを表示し、ユーザの検索に役立てることができる。
【0238】
画像出力処理やネットワークを介してのコンピュータへの画像データの取り込み処理においては、平坦濃度タイルのタイルヘッダの後に圧縮符号を新たに加えることができる。この新たに加える符号は、LLとして平均濃度情報を付加し、また、タイル内の濃度変動が全くないことを表わす情報を付加する。ここで、「タイル内の濃度変動が全くないことを表わす情報」としては、例えば、全てのビットプレーンが有意でないことを表わす情報をヘッダに付加すればよい。あるいは、完全に均一な濃度である場合周囲のタイルと比較してユーザが違和感を覚えることがあるので、ある程度ランダムに情報が変化する符号情報を、メモリ4等にあらかじめ1パターン以上記憶しておき、このパターンを圧縮符号として付加するようにしても良い。
【0239】
このような情報の復号化の処理は、復号化部24で実施しても良いし、あるいはコントローラ5によってハードディスク27内またはページメモリ25内で符号を変換しても良い。なお、復号化部24で復号しながらかかる処理を実行することにより、処理の高速化を図ることができるのでより好適である。
【0240】
このように、本実施の形態のデジタル複写機1によれば、タイル単位に不要な情報を削減するので、不要な情報をタイルごとに効率よく削除して、記憶容量の低減を図ることができる。また、輝度情報や色差情報等の判定参照値を削除した後の圧縮符号は、以降、このタイル内の判定参照値が均一なタイルとして取り扱うことが可能になり、以降の処理に要する処理時間を短縮することができる。
【0241】
なお、上述した実施の形態では、タイル内の情報の変動を輝度および色差を対象として判断するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、タイル内の情報の変動を色差情報についてのみ判定し、輝度情報についてはタイル内の情報が均一であっても符号化/復号処理を実行するようにしてもよい。
【0242】
このような処理を行うことにより、色差について、記憶容量の低減および処理時間の短縮を図ることができるので、カラー/モノクロ混在画像のモノクロ領域のタイルに対して処理の効率化を図ることができる。
【0243】
また、別の実施の形態として、例えば、図8中ステップS6において変換係数Smax−Sminの値を判定するしきい値Th1を、出力モード等に応じて切り替えるようにしてもよい。このような場合、例えば、文字モードのときは写真モードのときに比べてTh1を大きくするように設定する。
【0244】
文字モードでは写真モードに比べてエッジを強調し階調性を落とすフィルタ処理を行なうことが一般的であるため、文字モードの設定下においてしきい値Th1を写真モードのしきい値Th1と比較して大きく設定することにより、写真モードに比べてエッジを強調し、階調性を落として鮮明な画像を形成することができる。
【0245】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の符号化装置によれば、画像データを1または複数の領域に分割する領域分割手段と、前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、を具備して、画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、判定参照値に関わる情報が領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得し、この変動量がしきい値を超える領域については画像データを領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得することにより、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、これにより記憶容量の低減を図り、圧縮符号の生成に要する処理時間を短縮することができる。
【0246】
請求項2記載の発明の符号化装置によれば、カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換手段と、前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割手段と、前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、を具備して、カラー画像データを変換して輝度情報と色差情報とを取得し、色差情報のみまたは輝度情報および色差情報を判定参照値として、この判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値に関わる情報を領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得し、この変動量がしきい値を超える領域については画像データを領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得することにより、領域内の色差情報のみまたは輝度情報および色差情報の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、これにより記憶容量の低減を図り、圧縮符号の生成に要する処理時間を短縮することができる。
【0247】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の符号化装置において、前記圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式であるので、例えば、JPEG2000等の圧縮符号化方式を用いて請求項1または2記載の発明を実現することができる。
【0248】
請求項4記載の発明の情報管理装置によれば、請求項1、2または3記載の符号化装置によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除手段と、を具備して、変動量がしきい値以下である領域における符号列については、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除することにより、判定参照値の変動量が小さい場合等、画質上重要度の低い領域符号を削除して、記憶容量の低減を図ることができる。
【0249】
請求項5記載の発明の復号化装置によれば、請求項1、2または3記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断手段と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化手段と、を具備して、請求項1、2または3記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式により符号列を復号化して画像データを取得し、この変動量がしきい値を超える領域については所定の復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得することにより、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように復号すればよいので、変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、符号列の復号に要する処理時間を短縮することができる。
【0250】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の復号化装置において、前記復号化手段は、請求項4記載の情報管理装置が備える削除手段により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成するので、処理に要する負担をより軽減することができ、画質上重要度の低い領域の符号列の復号に要する処理時間をより短縮することができる。
【0251】
請求項7記載の発明によれば前記復号化手段は、ウェーブレット逆変換を用いて符号列を復号するので、例えば、JPEG2000等の復号化方式を用いて請求項5または6記載の発明を実現することができる。
【0252】
請求項8記載の発明の画像形成装置によれば、請求項5、6または7記載の復号化装置と、前記復号化装置が復号した画像データに基づいて画像形成を行うプリンタエンジンと、を具備するので、請求項5、6または7記載の復号化装置と同様の効果を奏し、画像形成に要する処理時間を短縮することができる。
【0253】
請求項9記載の発明の符号化プログラムによれば、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、画像データを1または複数の領域に分割する領域分割機能段と、前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、を実行させ、画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、判定参照値に関わる情報を領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得し、この変動量がしきい値を超える領域については画像データを領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得することにより、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、これにより記憶容量の低減を図り、圧縮符号の生成に要する処理時間を短縮することができる。
【0254】
請求項10記載の発明の符号化プログラムによれば、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換機能と、前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割機能と、前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、を実行させ、カラー画像データを変換して輝度情報と色差情報とを取得し、色差情報のみまたは輝度情報および色差情報を判定参照値として、この判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値に関わる情報を領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得し、この変動量がしきい値を超える領域については画像データを領域ごとに圧縮符号化して符号列を取得することにより、領域内の色差情報のみまたは輝度情報および色差情報の変動量が規定されたしきい値以下である領域については、この変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、これにより記憶容量の低減を図り、圧縮符号の生成に要する処理時間を短縮することができる。
【0255】
請求項11記載の発明によれば、請求項9または10記載の符号化プログラムにおいて、前記符号化機能による圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式であるので、例えば、JPEG2000等の圧縮符号化方式を用いて請求項9または10記載の発明を実現することができる。
【0256】
請求項12記載の発明の情報管理プログラムによれば、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除機能と、を実行させ、変動量がしきい値以下である領域における符号列については、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除することにより、判定参照値の変動量が小さい場合等、画質上重要度の低い領域符号を削除して、記憶容量の低減を図ることができる。
【0257】
請求項13記載の発明の復号化プログラムによれば、コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断機能と、前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化機能と、を実行させ、請求項9、10または11記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式により符号列を復号化して画像データを取得し、この変動量がしきい値を超える領域については所定の復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得することにより、領域内の判定参照値の変動量が規定されたしきい値以下である領域については判定参照値が所定の範囲内の値をとるように復号すればよいので、変動量がしきい値を超える領域よりも処理に要する負担を軽減することができ、これにより符号列の復号に要する処理時間を短縮することができる。
【0258】
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の復号化プログラムにおいて、前記復号化機能は、請求項12記載の情報管理プログラムの実行により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成することにより、処理に要する負担をより軽減することができ、画質上重要度の低い領域の符号列の復号に要する処理時間をより短縮することができる。
【0259】
請求項15記載の発明によれば、請求項13または14記載の復号化プログラムにおいて、前記復号化機能による複合化方式は、符号列をウェーブレット逆変換を用いて量子化し、量子化後の符号列を復号するので、例えば、JPEG2000等の復号化方式を用いて請求項13または14記載の発明を実現することができる。
【0260】
請求項16記載の発明の記憶媒体によれば、請求項9、10または11記載の符号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶するので、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項9、10または11記載の発明の効果を得ることができる。
【0261】
請求項15記載の発明の記憶媒体によれば、請求項12記載の情報管理プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶するので、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項12記載の発明の作用を得ることができる。
【0262】
請求項16記載の発明の記憶媒体によれば、請求項13、14または15記載の復号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶するので、本発明の記憶媒体に記憶された符号化プログラムを読み取って(インストールして)実行することにより、請求項13、14または15記載の発明の作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態であるデジタル複写機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は符号化部が実施する符号化方式を示すブロック図、(b)は復号化部が実施する復号方式の機能ブロック図、(c)は別の符号化部が実施する復号方式の機能ブロック図である。
【図3】JPEG2000の符号フォーマットの概略構成を説明図である。
【図4】JPEG2000の符号フォーマットのメインヘッダの構成を示す説明図である。
【図5】JPEG2000の符号フォーマットのタイルヘッダの構成を示す説明図である。
【図6】JPEG2000の符号フォーマットのタイルヘッダの構成を示す説明図である。
【図7】復号化部の構成について説明する説明図である。
【図8】デジタル複写機が行なう処理のフローチャートである。
【図9】JPEG2000によるオクターブ分割の説明図である。
【図10】エントロピー符号化の実行時に行なうウェーブレット変換係数のシフトについて説明する説明図である。
【図11】画像データの復号について説明する説明図である。
【図12】圧縮符号の量子化について説明する説明図である。
【図13】圧縮符号の量子化について説明する説明図である。
【図14】タイル分割について説明する説明図である。
【図15】デジタル複写機が行なう復号化、画像形成の処理について概略的に説明するフローチャートである。
【図16】そのステップS24におけるサブルーチンを概略的に説明するフローチャートである。
【図17】コントローラによって平坦濃度タイルに関する情報を参照しながら削除を行なう処理を概略的に説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 符号化装置、情報管理装置、復号化装置、画像形成装置
2 プリンタエンジン
Claims (18)
- 画像データを1または複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、
前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、
を具備する符号化装置。 - カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換手段と、
前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得手段と、
前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定手段と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化手段と、
を具備する符号化装置。 - 前記圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式である請求項1または2記載の符号化装置。
- 請求項1、2または3記載の符号化装置によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断手段と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除手段と、
を具備する情報管理装置。 - 請求項1、2または3記載の符号化装置によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断手段と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化手段と、
を具備する復号化装置。 - 前記復号化手段は、請求項4記載の情報管理装置が備える削除手段により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成する請求項5記載の復号化装置。
- 前記復号化手段は、ウェーブレット逆変換を用いて符号列を復号する請求項5または6記載の復号化装置。
- 請求項5、6または7記載の復号化装置と、
前記復号化装置が復号した画像データに基づいて画像形成を行うプリンタエンジンと、
を具備する画像形成装置。 - コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、
画像データを1または複数の領域に分割する領域分割機能段と、
前記画像データを構成する画素値における特定成分を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、
前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、
を実行させる符号化プログラム。 - コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、
カラー画像データを輝度情報と色差情報とに変換する色変換機能と、
前記輝度情報および前記色差情報をそれぞれ1または複数の領域に分割する領域分割機能と、
前記色差情報のみまたは前記輝度情報および前記色差情報を判定参照値とし、この判定参照値の変動量を前記領域ごとに取得する変動量取得機能と、
前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを前記領域ごとに判定する変動量判定機能と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値に関わる情報を前記領域ごとに圧縮符号化できる所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得し、前記変動量が前記しきい値を超える領域については前記画像データを前記圧縮符号化方式で圧縮符号化して符号列を取得する符号化機能と、
を実行させる符号化プログラム。 - 前記符号化機能による圧縮符号化方式は、1または複数の領域に分割した前記画像データを、ウェーブレット変換を用いて前記領域ごとに独立して階層的に圧縮符号化する方式である請求項9または10記載の符号化プログラム。
- コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、
請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって変動量がしきい値以下である領域から取得される符号列に基づいて、前記変動量が規定されたしきい値以下であるか否かを領域ごとに判断する変動量判断機能と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域における符号列からこの符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値に関わる情報を削除する削除機能と、
を実行させる情報管理プログラム。 - コンピュータによる読み取りが可能であってこのコンピュータに、
請求項9、10または11記載の符号化プログラムの実行によって取得される符号列に基づいて、この符号列を圧縮符号化する前の画像データを構成する画素値における特定成分である判定参照値の変動量がしきい値以下であるか否かを判断する変動量判断機能と、
前記変動量が前記しきい値以下である前記領域については前記判定参照値が所定の範囲内の値をとるように所定の復号化方式によりこの符号列を復号化して画像データを取得し、前記変動量が前記しきい値を超える前記領域については前記復号化方式により符号列をそのまま復号して画像データを取得する復号化機能と、
を実行させる復号化プログラム。 - 前記復号化機能は、請求項12記載の情報管理プログラムの実行により前記判定参照値が削除された符号列を復号した画像データを生成する請求項13記載の復号化プログラム。
- 前記復号化機能による複合化方式は、符号列をウェーブレット逆変換を用いて量子化し、量子化後の符号列を復号する請求項13または14記載の復号化プログラム。
- 請求項9、10または11記載の符号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体。
- 請求項12記載の情報管理プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体。
- 請求項13、14または15記載の復号化プログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体。
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