JP4014087B2 - 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4014087B2 JP4014087B2 JP2002274012A JP2002274012A JP4014087B2 JP 4014087 B2 JP4014087 B2 JP 4014087B2 JP 2002274012 A JP2002274012 A JP 2002274012A JP 2002274012 A JP2002274012 A JP 2002274012A JP 4014087 B2 JP4014087 B2 JP 4014087B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- quantization
- scanning direction
- anisotropy
- image
- scaling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦横で変倍処理が異なる画像データを扱う画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像入出力技術の進歩により、画像に対する高精細化の要求が高まっている。画像入力装置の一例として、デジタルカメラを例に挙げると、300万以上の画素数を持つ高性能な電荷結合素子の低価格化が進み、普及価格帯の製品においても広く用いられるようになっている。また、画像出力装置や画像表示装置の技術分野に関しても、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等のハードコピー分野における高精細化や低価格化は目を見張るものがあり、このような現象は、複写機や複合機(MFP)等の画像形成装置の分野においても例外ではない。
【0003】
こうした高性能で低価格な画像入出力製品の市場投入効果によって、高精細画像の大衆化が始まっており、今後は、あらゆる場面で高精細画像の需要が高まると予想されている。
【0004】
以上のようなことを背景として、高精細画像を容易に取扱うことのできる圧縮伸長技術に対する要求も、今後ますます高まっていくことは必至と思われる。そこで、そのような要求を満たす画像圧縮技術の一つとして、従来、高精細画像を小さい単位に分割して処理することが可能であり、高圧縮率でも高画質な画像を復号可能なJPEG2000という技術がある。
【0005】
従って、複写機や複合機等の画像形成装置においても、メモリの節約等を図るため、JPEG2000等の高精細画像圧縮伸長技術が搭載され、読取った原稿画像を一旦圧縮符号化して符号データとしてメモリに格納した後、逆の手順で符号データを伸長させて画像データとしてプリンタ側に出力させることでコピー印刷動作が実行されるように構成される傾向にある。
【0006】
ところで、複写機や複合機等にあっては、その一つの機能として拡大/縮小変倍機能を備えているものが多い。この変倍処理としては、一般に、主走査方向は周知のキュービックコンボリューション補間法等の電気的な変倍処理により行い、副走査方向は副走査手段(スキャナのキャリッジ)の移動速度を変えるというメカニカルな変倍処理で行うようにしている。
【0007】
例えば、図20を参照して縦横2倍に拡大する場合の例を説明すると、同図(a)に示すように原稿Dに対する主走査方向、副走査方向が設定されているとすると、まず、キャリッジの移動速度を変倍率2倍に合わせて変更して(等倍時の1/2の速度)、スキャナにより原稿Dの読取りを行うことより、同図(b)に示すように副走査方向の変倍(2倍)がメカニカルに行われる。そして、このような副走査変倍処理を受けてスキャナにより読取られた画像データに対して、その主走査方向にキュービックコンボリューション補間法による電気的な変倍処理を施すことにより、同図(c)に示すように主走査方向の変倍(2倍)が電気的に行われ、結果として、縦横2倍に拡大された画像データが得られる。
【0008】
このようにして変倍処理を受けた画像データは、JPEG2000アルゴリズム等に従い、一旦圧縮符号化して符号データとしてメモリに格納した後、逆の手順で符号データを伸長させて画像データとしてプリンタ側に出力させることでコピー印刷動作が実行される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、主走査方向の変倍に用いられる電気的な補間法は、最も精度が高いといわれているキュービックコンボリューション補間法であっても、高精度なメカニカル変倍処理に比して、エッジなまりが出てしまう不具合がある。即ち、上述のように縦横で変倍処理が異なる2次元の画像データは、性質として、その縦方向と横方向とで異方性を持つものといえる。
【0010】
例えば、図21に示すような矩形パルス状の画像を読取る場合を考える。等倍時には○印で示す各サンプリング点S1,S2,…で原稿画像を副走査、主走査を行い、画像上でも対応する点でその画像データを取得するものとすると、例えば、2倍拡大時には、副走査方向のサンプリング速度が1/2になるため、○印で示す各サンプリング点S1,S2,…の中間の×印で示す点でも原稿画像を読取ることとなるため、画像から得られる画像データは○印、×印で示す両方のデータとなる。よって、その画像データの様子を再現すると、図21(b)中に実線で示すようにエッジなまりのない高精度なデータ状態となる。これに対し、主走査方向のサンプリング点は○印で示す各サンプリング点S1,S2,…のままであり、各○印で示す画像データ間を電気的な補間法により補うため、図21(b)中に破線で示すようにエッジなまりが出てしまいやすい。
【0011】
このような変倍処理を受けた画像データは、前述のように圧縮符号化処理を経て符号化されることとなるが、その途中の量子化の過程において、等倍時と同じ量子化のスレッシュレベルを用いて量子化を行っているものであり、図21(b)からも判るように、量子化のスレッシュレベルによってはエッジなまりを生ずる主走査方向の画像データが細くなりやすい。この結果、その符合データを復号化して伸長した画像データにより拡大印刷した場合には、図22に示すように主走査方向の画像がぼやけやすくなり(図示例の格子画像の横線が薄くなったり細くなったりしてぼやける)、エッジなまりのない副走査方向の画像との間で画質差を生じてしまう。
【0012】
上述の説明は、変倍処理中、拡大変倍時の処理例で説明したが、縮小変倍時にも、拡大変倍時よりも程度が低いことが多いものの、電気的な変倍処理を行う主走査方向の画像データに関してそのエッジがなまることがある。
【0013】
また、このような事情(2次元画像データについての縦方向と横方向との異方性)は、複写機等における縦横方向で変倍処理が異なることを要因とする場合だけでなく、各種ケースがある。
【0014】
例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置においても、取り込んだ画像データに対して縦横比の異なる縦長変倍或いは横長変倍なる編集操作を行うようなケースでは、縦横の変倍率の違いによる異方性を有することとなる。この場合、何れの方向の変倍処理も電気的な変倍処理となるが、変倍率の大きいほうがエッジなまりの程度も大きくなるので、結果的に、再現される画像品質に縦横で差が出てしまう。
【0015】
また、複写機やプリンタ等においても、元の画像データは正常であっても、例えば現像条件とか転写条件等を要因として、当該複写機やプリンタが、例えば図23に示すように常に縦線が横線よりも太く出てしまう(或いは、逆)癖を持っているケースもあり、出力形態において画像データの縦方向と横方向とに異方性を有するといえる。特に、図示例のような格子画像を含む文書画像等の場合には顕著に出てしまうことがある。従って、このような複写機の場合であれば、変倍コピー時だけでなく等倍コピー時であっても縦横方向で画質差を生じてしまうこととなる。
【0016】
さらには、撮像対象を撮像素子により2次元にインターレース方式によりラスタースキャニングして読取るテレビジョンカメラにおいても、インターレース方式のラスタースキャニングを要因として画像データについて縦方向(垂直方向)と横方向(水平方向)とで既知の異方性を有し、さらには、水平方向と垂直方向とのアスペクト比4:3或いは16:9といった違いもあるため、ラスタースキャニング方向となる水平方向をエッジなまりの出やすい方向といえる。
【0017】
本発明の目的は、縦横で変倍処理が異なる場合の如く、縦横で異方性を有する画像データを圧縮符号化する場合に、再現される画像の高画質化を図れるようにすることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、画像データを、2次元ウェーブレット係数への変換、量子化及び符号化という手順で圧縮符号化する画像処理装置において、前記圧縮符号化の対象となる画像データについて、主走査方向の変倍が電気的な変倍処理により行われ、副走査方向の変倍が機械的な変倍処理により行われて、縦方向と横方向とで異方性を有するか否か判定する異方性判定手段と、前記異方性判定手段により異方性を有すると判定された画像データに対して、異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層のサブバンド位置に応じて異なる量子化レベルの量子化を行う量子化手段とを有し、前記量子化手段は、主走査方向がウェーブレット変換処理の水平方向である場合には、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くし、主走査方向がウェーブレット変換処理の垂直方向である場合には、逆にサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くすることを特徴とする。
【0019】
従って、縦方向と横方向との異方性を有する画像データに対して、その異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層であってもそのサブバンド位置に応じて異なる量子化を行うことで、異方性に起因する画質差を異なる量子化により吸収することができ、再現される画像の高画質化を図れる。
【0020】
具体的には、エッジなまりの出やすい方向が、ウェーブレット変換処理の水平方向である場合、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを相対的に抑制することにより、そのエッジなまりによる画質への影響を軽減でき、再現される画像の高画質化を図れる。逆にいえば、エッジなまりの出にくい方向に対応するサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルは相対的に大きくしても画質への影響が出にくいので、全体としては効率のよい圧縮符号化が可能となる。
【0021】
また、エッジなまりの出やすい方向が、ウェーブレット変換処理の垂直方向である場合、サブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを相対的に抑制することにより、そのエッジなまりによる画質への影響を軽減でき、再現される画像の高画質化を図れる。逆にいえば、エッジなまりの出にくい方向に対応するサブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルは相対的に大きくしても画質への影響が出にくいので、全体としては効率のよい圧縮符号化が可能となる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記異方性判定手段は、異方性の要因の程度も判定し、前記量子化手段は、前記異方性判定手段で判定された異方性の要因の程度に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする。
【0023】
異方性の要因の程度によってエッジなまりの程度も異なるので、異方性の要因の程度に応じてエッジなまりの出やすい方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルの程度を異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0024】
具体的には、エッジなまりの出やすい方向が、ウェーブレット変換処理の水平方向である場合、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。また、エッジなまりの出やすい方向が、ウェーブレット変換処理の垂直方向である場合、サブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像処理装置において、前記異方性判定手段は、主走査方向の変倍率を異方性の要因の程度として判定し、前記量子化手段は、前記主走査方向の変倍率に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする。
【0026】
異方性の要因となる主走査方向の変倍率によってエッジなまりの程度も異なり、変倍率が大きくなればエッジなまりの程度も大きくなるので、変倍率に応じてエッジなまりの出やすい方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルの程度を異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像処理装置において、前記量子化手段は、主走査方向の変倍率が縮小変倍の場合には拡大変倍の場合よりも主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを高 くすることを特徴とする。
【0028】
縮小変倍の場合も電気的変倍処理を行う主走査方向にエッジなまりが生ずることがあるものの、一般には、拡大変倍時よりもその程度が低いことが多いので、拡大変倍時よりも量子化レベルを高くすることで、適正に対処できる。
【0029】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像処理装置において、前記量子化手段は、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせる。
【0030】
細線はより高域の階層のウェーブレット係数として現れるので、サブバンドの階層によってもエッジなまりによる画質の影響の度合いが異なるので、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0031】
請求項6記載の発明のプログラムは、請求項1ないし5の何れか1項に記載の画像処理装置における各手段の機能を当該画像処理装置が備えるコンピュータに実行させる。
【0032】
従って、請求項1ないし5の何れか1項に記載の発明と同様な作用を奏する。
【0033】
請求項7記載の発明のコンピュータに読取り可能な記憶媒体は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置における各手段の機能をコンピュータに実行させるプログラムを記憶している。
【0034】
従って、請求項6記載の発明と同様な作用を奏する。
【0035】
請求項8の発明は、画像データを、2次元ウェーブレット係数への変換、量子化及び符号化という手順で圧縮符号化する画像処理方法において、前記圧縮符号化の対象となる画像データについて、主走査方向の変倍が電気的な変倍処理により行われ、副走査方向の変倍が機械的な変倍処理により行われて、縦方向と横方向とで異方性を有するか否か判定する異方性判定ステップと、前記異方性判定ステップにより異方性を有すると判定された画像データに対して、異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層のサブバンド位置に応じて異なる量子化レベルの量子化を行う量子化ステップとを有し、前記量子化ステップは、主走査方向がウェーブレット変換処理の水平方向である場合には、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くし、主走査方向がウェーブレット変換処理の垂直方向である場合には、逆にサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くすることを特徴とする。
【0036】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像処理方法において、前記異方性判定ステップは、異方性の要因の程度も判定し、前記量子化ステップは、前記異方性判定手段で判定された異方性の要因の程度に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする。
【0037】
請求項10発明は、請求項9記載の画像処理方法において、前記異方性判定ステップは、主走査方向の変倍率を異方性の要因の程度として判定し、前記量子化ステップは、前記主走査方向の変倍率に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向 に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする。
【0038】
請求項11発明は、請求項10記載の画像処理方法において、前記量子化ステップは、前記主走査方向の変倍率が縮小変倍の場合には拡大変倍の場合よりも前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを高くすることを特徴とする。
【0039】
請求項12発明は、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記量子化ステップは、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする。
【0040】
従って、請求項8乃至12記載の発明の画像処理方法では、請求項1乃至5記載の発明の画像処理装置と同様の作用を奏する。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図17に基づいて説明する。
【0042】
[JPEG2000について概略説明]
まず、JPEG2000について概略説明する。
図1は、JPEG2000アルゴリズムの基本を説明するための機能ブロック図である。図1に示すように、JPEG2000アルゴリズムは、色空間変換・逆変換部101、2次元ウェーブレット変換・逆変換部102、量子化・逆量子化部103、エントロピー符号化・復号化部104、タグ処理部105によって構成されている。以下、各部について説明する。
【0043】
色空間変換・逆変換部101及び2次元ウェーブレット変換・逆変換部102について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0044】
図2は、カラー画像である原画像の分割された各コンポーネントの一例を示す模式図である。カラー画像は、一般に、図2に示すように、原画像の各コンポーネントR、G、B(111)が、例えばRGB原色系によって分離されている。そして、原画像の各コンポーネントR、G、Bは、さらに、矩形をした領域であるタイル112によって分割される。個々のタイル112、例えば、R00,R01,…,R15/G00,G01,…,G15/B00,B01,…,B15は、圧縮伸長プロセスを実行する際の基本単位を構成する。従って、圧縮伸長動作は、コンポーネントR、G、B(111)毎、そしてタイル112毎に、独立して行なわれる。
【0045】
ここで、画像データの符号化時、各タイル112のデータは、図1に示す色空間変換・逆変換部101に入力され、色空間変換を施された後、2次元ウェーブレット変換・逆変換部102で2次元ウェーブレット変換(順変換)が適用されて周波数帯に空間分割される。
【0046】
図3は、デコンポジションレベル数が3であるの場合の各デコンポジションレベルにおけるサブバンドを示す模式図である。2次元ウェーブレット変換・逆変換部102は、原画像のタイル分割によって得られたタイル原画像(0LL)(デコンポジションレベル0)に対して、2次元ウェーブレット変換を施し、デコンポジションレベル1に示すサブバンド(1LL,1HL,1LH,1HH)を分離する。そして、2次元ウェーブレット変換・逆変換部102は、引き続き、この階層における低周波成分1LLに対して、2次元ウェーブレット変換を施し、デコンポジションレベル2に示すサブバンド(2LL,2HL,2LH,2HH)を分離する。2次元ウェーブレット変換・逆変換部102は、順次同様に、低周波成分2LLに対しても、2次元ウェーブレット変換を施し、デコンポジションレベル3に示すサブバンド(3LL,3HL,3LH,3HH)を分離する。図3中、各デコンポジションレベルにおいて符号化の対象となるサブバンドはグレーで示されている。例えば、デコンポジションレベル数を3とした場合、グレーで示したサブバンド(3HL,3LH,3HH,2HL,2LH,2HH,1HL,1LH,1HH)が符号化対象となり、3LLサブバンドは符号化されない。
【0047】
次いで、量子化・逆量子化部103では、指定した符号化の順番で符号化の対象となるビットが定められた後、対象ビット周辺のビットからコンテキストが生成される。
【0048】
図4は、プレシンクトを例示する模式図である。量子化の処理が終わったウェーブレット係数は、個々のサブバンド毎に、「プレシンクト」と呼ばれる重複しない矩形に分割される。これは、インプリメンテーションでメモリを効率的に使うために導入されたものである。図4に示すように、一つのプレシンクトは、空間的に一致した3つの矩形領域からなっている。さらに、個々のプレシンクトは、重複しない矩形の「コードブロック」に分けられる。これは、エントロピーコーディングを行う際の基本単位となる。
【0049】
図5は、2次元ウェーブレット変換後の2次元ウェーブレット係数の値を「ビットプレーン」単位に分解し、画素或いはコードブロック毎に「ビットプレーン」に順位付けを行う処理の概要を示す模式図である。ウェーブレット変換後の係数値は、そのまま量子化し符号化することも可能であるが、JPEG2000では符号化効率を上げるために、係数値を「ビットプレーン」単位に分解し、画素或いはコードブロック毎に「ビットプレーン」に順位付けを行うことができる。図5には、その手順を簡単に示した。この例は、原画像(32×32画素)を16×16画素のタイル4つで分割した場合の例であり、デコンポジションレベル1のプレシンクトとコードブロックとの大きさは、各々8×8画素と4×4画素としている。プレシンクトとコードブロックの番号とは、ラスター順に付けられる。タイル境界外に対する画素拡張にはミラーリング法を使い、可逆(5,3)フィルタでウェーブレット変換を行い、デコンポジションレベル1のウェーブレット係数値を求めている。
【0050】
また、図5には、タイル0/プレシンクト3/コードブロック3について、代表的な「レイヤ」についての概念的な模式図も併せて示している。レイヤの構造は、ウェーブレット係数値を横方向(ビットプレーン方向)から見ると理解し易い。1つのレイヤは任意の数のビットプレーンから構成される。この例では、レイヤ0、1、2、3は、各々、1、3、1という3つのビットプレーンからなっている。そして、LSBに近いビットプレーンを含むレイヤ程、先に量子化の対象となり、逆に、MSBに近いレイヤは最後まで量子化されずに残ることになる。LSBに近いレイヤから破棄する方法はトランケーションと呼ばれ、量子化率を細かく制御することが可能である。
【0051】
次いで、エントロピー符号化・復号化部104について図6を参照しながら説明する。図6は、符号化された画像データのコードストリームを例示する模式図である。エントロピー符号化・復号化部104(図1参照)では、コンテキストと対象ビットとから、確率推定によって各コンポーネントRGBのタイル112に対する符号化を行う。こうして、原画像の全てのコンポーネントRGBについて、タイル112単位で符号化処理が行われる。
【0052】
次いで、タグ処理部105について説明する。タグ処理部105は、エントロピー符号化・復号化部104からの全符号化データを1本のコードストリームに結合するとともに、それにタグを付加する処理を行う。図6に、コードストリームの構造を簡単に示している。このようなコードストリームの先頭と各タイル112を構成する部分タイルの先頭には、ヘッダと呼ばれるタグ情報が付加され、その後に、各タイル112の符号化データが続く。そして、コードストリームの終端には、再びタグが置かれる。
【0053】
一方、復号化時には、符号化時とは逆に、各コンポーネントRGBの各タイル112のコードストリームから画像データを生成する。このような処理について、図1を用いて簡単に説明する。タグ処理部105は、外部より入力したコードストリームに付加されたタグ情報を解釈し、コードストリームを各コンポーネントRGBの各タイル112のコードストリームに分解し、その各コンポーネントRGBの各タイル112のコードストリーム毎に復号化処理を行う。この際、コードストリーム内のタグ情報に基づく順番で復号化の対象となるビットの位置が定められるとともに、量子化・逆量子化部103において、その対象ビット位置の周辺ビット(既に復号化を終えている)の並びからコンテキストを生成する。そして、エントロピー符号化・復号化部104では、そのコンテキストとコードストリームとから確率推定によって復号化を行なって対象ビットを生成し、それを対象ビットの位置に書き込む。このようにして復号化されたデータは、周波数帯域毎に空間分割されているため、これを2次元ウェーブレット変換・逆変換部102で2次元ウェーブレット逆変換を行うことにより、画像データ中の各コンポーネントRGBにおける各タイル112が復元される。復元されたデータは、色空間変換・逆変換部101によって元の表色系のデータに変換される。
【0054】
[画像処理装置及び画像読取装置を含む画像形成装置の構成例]
本実施の形態は、前述のJPEG2000の機能を画像処理装置中に備える画像形成装置としてのデジタルフルカラー複写機への適用例を示すもので、図7にその概略構成例を示す。
【0055】
このデジタルカラー複写機1は、後述するように複合機としての機能を持つもので、プリンタエンジンとして機能するカラープリンタであるプリンタ2と、プリンタ2の上部に設置された画像読取装置としてのカラーイメージスキャナであるスキャナ3とから構成されている。
【0056】
プリンタ2は、スキャナ3で光学的に読取られた原稿の画像データや外部装置から送信された画像データ等に基づいて作像ユニット4で電子写真方式による画像形成を行い、この画像を給紙部5から用紙搬送部6で用紙搬送路7を経て搬送される記録媒体である用紙Pに転写し、画像が転写された用紙Pを搬送ベルト8で定着部9に搬送し、用紙Pの転写画像を定着部9で加熱加圧することにより定着して排紙トレイ10に排紙する構造である。
【0057】
作像ユニット4は、回転するドラム状の感光体11の周囲に、感光体11の表面を一様に帯電させる帯電部12、一様帯電した感光体11の表面に対する露光走査によって色毎の画像データに基づく静電潜像を感光体11上に形成する露光部13、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のトナーを有して色毎の静電潜像に対応するトナーを付着させて可視像であるトナー像を形成するリボルバー方式のカラー現像部14、順次色毎のトナー像を複数のローラに支持された中間転写ベルト15上に転写させる中間転写部16、中間転写ベルト15上に転写されず感光体11上に残留するトナーを掻き落す感光体クリーニング部17、感光体11上の電荷を除電する除電部18等を配置することにより形成されており、さらに、中間転写ベルト15上のトナー像を用紙P上に一括転写させる転写部19、用紙P上に一括転写されず中間転写ベルト15上に残留するトナーを掻き落すベルトクリーニング部20を配置することにより形成されている。
【0058】
次に、スキャナ3について説明する。スキャナ3は、スキャナ本体21と、スキャナ本体21の上部に設けられた原稿搬送部であるADF(自動原稿搬送装置)22とから構成されている。スキャナ本体21の筐体23の上面には、原稿固定モードでの原稿画像の読取時に原稿が載置される載置原稿用ガラス24と、原稿搬送モードでの原稿画像の読取時に使用される搬送原稿用ガラス25とが設けられている。ここで、原稿固定モードとは、載置原稿用ガラス24上に載置された状態の原稿の画像を読取る動作モードであり、原稿搬送モードとは、ADF22により原稿を自動給紙し、自動給紙された原稿が搬送原稿用ガラス25上を通過する際にその原稿の画像を読取る動作モードである。
【0059】
また、筐体23の内部であって載置原稿用ガラス24に下方から対向する位置には、原稿に光を照射する露光手段としての照明ランプ(高輝度Xeランプ)26及びミラー27を備える第一走行体28が、載置原稿用ガラス24に沿って副走査方向に移動自在に配置されている。第一走行体28の反射光路には、2個のミラー29,30を備える第二走行体31が、載置原稿用ガラス24に沿って副走査方向に移動自在に配置されており、この第二走行体31の反射光路には、レンズ32を介してカラーラインセンサであるCCD(Charge Coupled Device)33を搭載したSBU(Sensor Board Unit)34が位置している。なお、CCD33が光電変換素子として機能する。
【0060】
副走査手段としての第一走行体28と第二走行体31とには、ステッピングモータ35がプーリやワイヤなど(いずれも図示せず)により連結されており、第一走行体28と第二走行体31とは、図7中左側から右側へ2:1の速度比で同一の副走査方向に移動自在とされている。なお、本実施の形態のデジタルカラー複写機1は、変倍機能を備えるものであり、拡大/縮小変倍コピー時には、その変倍率に応じてステッピングモータ35の速度を制御することにより、第一,第二走行体28,31の原稿に対する移動速度を変更させることにより、副走査方向の変倍処理がメカ的に行われる。主走査方向の変倍は後述するような電気的変倍処理により実行される。
【0061】
次に、図8はこのようなデジタルカラー複写機1の電気的な接続を示すブロック図である。原稿画像を光学的に読取るスキャナ3中の読取りユニット(CCD)33は前述のようにSBU34に搭載され、読取りユニット(CCD)33において電気信号に変換された画像信号はデジタル画像信号に変換された後、SBU34から出力される。SBU34から出力される画像信号はCDIC(圧縮/伸長及びデータインターフェイス制御部)41に入力される。機能デバイス及びデータバス間における画像データの伝送はCDIC41が全て制御する。CDIC41は画像データに関し、SBU34、パラレルバス42、IPP(画像処理プロッセッサ)43間のデータ転送、本システムの全体制御を司るシステムコントローラ(CPU)44と画像データに対するプロセスコントローラ45との間の通信を行う。符号44a,44bは、システムコントローラ44が使用するROM、RAMである。各々SBU34からの画像信号は、CDIC41を経由してIPP43に転送され、光学系及びデジタル画像信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化とする)が補正されて、再度CDIC41へ出力される。
【0062】
即ち、システムコントローラ44は、CPUを有し、ROM44aに書き込まれた制御プログラムに従って、RAM44bを作業領域として使用しながら、装置各部を制御するマイクロコンピュータである。ROM44aは、システムコントローラ44が上記装置各部を制御するための画像処理用プログラム、その他の制御プログラムが記憶されているメモリである。つまり、本実施の形態では、ROM44aに後述するような各種機能を実現するための画像処理用プログラムが格納されており、このROM44aがプログラムを記憶した記憶媒体として機能している。このため、本実施の形態では、ROM44aが例えばEEPROMやフラッシュメモリにより構成され、ROM44a記憶されているプログラムが書換え自在とされている。なお、特に図示しないが、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードさせる場合であれば、ネットワークインタフェースを付加すればよい。
【0063】
このデジタルカラー複写機1では、読取りユニット33による読取り画像をメモリに蓄積して再利用するジョブと、メモリに蓄積しないジョブとがあり、以下では各々の場合について説明する。メモリに蓄積する例としては、1枚の同一原稿を複数枚複写する場合、読取りユニット33で1回だけ原稿の読取動作を行い、メモリに蓄積し、蓄積データを複数回読み出す使い方がある。メモリを使わない例としては、1枚の原稿を1枚だけ複写する場合、読取り画像をそのまま印刷すればよいので、メモリアクセスを行う必要はない。
【0064】
まず、メモリを使わない場合、IPP43からCDIC41へ転送された画像データは、再度CDIC41からIPP43へ戻される。IPP43においてCCD33による輝度データを面積階調に変換するための画質処理を行う。この画質処理後の画像データはIPP43からVDC(ビデオ・データ制御)46に転送する。そして、面積階調に変化された信号に対し、ドット配置に関する後処理及びドットを再現するためのパルス制御を行い、電子写真方式で画像形成するプリンタエンジンである作像ユニット4により、転写紙P上に再生画像を形成する。
【0065】
メモリに画像データを蓄積し、画像データの読み出し時に付加的な処理、例えば、画像方向の回転、画像の合成等を行う場合の画像データの流れを説明する。IPP43からCDIC41へ転送された画像データは、CDIC41からパラレルバス42を経由してIMAC19(画像メモリアクセス制御)47に送られる。IMAC47では、システムコントローラ44の制御に基づき画像データの、記憶装置であるMEM(メモリモジュール)48へのアクセス制御、外部のPC(パソコン)49へのプリント用データの展開、MEM48のメモリ有効活用のための画像データの圧縮/伸長を行う。IMAC47へ送られた画像データはデータ圧縮後MEM48へ蓄積され、この蓄積データは必要に応じて読み出される。読み出した画像データは伸長されて本来の画像データに戻され、IMAC47からパラレルバス経由でCDIC41へ戻される。
【0066】
CDIC41からIPP43への転送後は画像データに対して画質処理及びVDC46でのパルス制御を行い、その画像データにより作像ユニット4において転写紙P上に画像形成する。
【0067】
このデジタルカラー複写機1は、いわゆる複合機であり、FAX送信機能を備えている。このFAX送信機能は、読取り画像データにIPP43にて画像処理を実施し、CDIC41及びパラレルバス42を経由してFCU(FAX制御ユニット)50へ転送する。FCU50にて通信網へのデータ変換を行い、PN(公衆回線)51へFAXデータとして送信する。FAX受信は、PN51からの回線データをFCU50で画像データへ変換し、パラレルバス42及びCDIC41を経由してIPP43へ転送する。この場合、特別な画質処理は行わず、VDC46においてドット再配置及びパルス制御を行い、作像ユニット4において転写紙P上に再生画像を形成する。
【0068】
複数のジョブ、例えば、コピー機能、FAX送受信機能、プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取りユニット33、作像ユニット4及びパラレルバス42の使用権のジョブへの割り振りをシステムコントローラ44及びプロセスコントローラ45で制御する。
【0069】
プロセスコントローラ(CPU)45は画像データの流れを制御し、システムコントローラ44はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。符号45a,45bは、プロセスコントローラ45が使用するROM、RAMである。
【0070】
ユーザは、操作パネル52を選択入力することで各種の機能の選択を行い、コピー機能、FAX機能等の処理内容を設定する。
【0071】
システムコントローラ44とプロセスコントローラ45はパラレルバス42、CDIC41及びシリアルバス53を介して相互に通信を行う。この際、CDIC41内においては、パラレルバス42とシリアルバス53とのデータインターフェイスのためのデータフォーマット変換を行う。
【0072】
図9は、IPP43の構成を示すブロック図である。読取り画像はSBU34、CDIC41を介してIPP43の入力I/F61からスキャナ画像処理部62へ伝達される。スキャナ画像処理部62が行う処理は、読取り画像信号の劣化補正が目的で、シェーディング補正、スキャナγ補正、MTF補正等を行う。補正処理ではないが、本実施の形態で対象となる主走査方向の電気的な拡大/縮小の変倍処理もキュービックコンボリューション補間法等を用いて行う。読取り画像データの補正処理終了後、出力I/F63を介してCDIC41へ画像データを転送する。転写紙への出力はCDIC41からの画像データを入力I/F64より受け、画質処理部65において面積階調処理を行う。画質処理後のデータは出力I/F66を介してVDC46へ出力される。面積階調処理は濃度変換、ディザ処理、誤差拡散処理等が有り、階調情報の面積近似を主な処理とする。一旦、スキャナ画像処理された画像データをメモリ48に蓄積しておけば、画質処理を変えることによって種々の再生画像を確認することができる。例えば、再生画像の濃度を振ってみたり、ディザマトリクスの線数を変更してみたりすることで、再生画像の雰囲気を変更できる。この時、処理を変更する度に画像を読取りユニット38から読み込み直す必要はなく、MEM20から格納画像を読み出せば同一データに対し、何度でも異なる処理を実施できる。
【0073】
図10は、IMAC47の構成を示すブロック図である。図10に示すように、IMAC47は、パラレルデータI/F71において、パラレルバス42との間で画像データのインターフェイスを管理する。IMAC47は、構成的にはMEM48への画像データの格納/読み出しと、主に外部のPC49から入力されるコードデータの画像データへの展開を制御する。ここでいうMEM48の例としては、半導体メモリ、ハードディスク、若しくはその両方がある。PC49から入力されたコードデータは、ラインバッファ72において、ローカル領域でのデータの格納を行う。ラインバッファ72に格納されたコードデータは、システムコントローラI/F73を介して入力されたシステムコントローラ44からの展開処理命令に基づき、ビデオ制御部74において画像データに展開される。展開された画像データ若しくはパラレルデータI/F71を介してパラレルバス42から入力された画像データは、MEM48に格納される。この場合、データ変換部75において格納対象となる画像データを選択し、データ圧縮部76においてメモリ使用効率を上げるために、必要に応じてデータ圧縮を行い、メモリアクセス制御部77にてMEM48のアドレスを管理しながらMEM48に画像データを格納する。MEM48に格納された画像データの読み出しは、メモリアクセス制御部77において読み出し先アドレスを制御し、読み出されたデータは、必要に応じてデータ伸長部78で伸長される。データ圧縮部76、データ伸長部78ででの圧縮伸長に使われる符号化方式の一例としては、MEM48のメモリ領域の節約に適した高能率な符号化方式が挙げられる。これは前述したCDIC41に要求される機能重視の符号化方式と異なり、効率重視の符号化方式であり、本実施の形態では前述したようなJPEG2000フォーマットが利用されている。即ち、データ圧縮部76が画像データを2次元ウェーブレット変換、量子化及び符号化という手順で符号データに圧縮符号化するJPEG2000フォーマットの符号化手段として構成され、データ伸長部78は圧縮符号化された符号データを復号化、逆量子化及び2次元ウェーブレット逆変換という逆の手順で伸長するJPEG2000フォーマットの復号化手段として構成されている。伸長された画像データをパラレルバス42へ転送する場合、パラレルデータI/F71を介してデータ転送を行う。
【0074】
[変倍コピー動作]
本実施の形態のデジタルカラー複写機1は、前述したように拡大/縮小変倍機能を有するものであるが、従来と同様に、主走査方向はスキャナ画像処理部62において周知のキュービックコンボリューション補間法等の電気的な変倍処理により行い、副走査方向はその変倍率に応じてステッピングモータ35の速度を制御することにより、第一走行体28の移動速度を変えるというメカニカルな変倍処理で行うものである。
【0075】
例えば、図11を参照して縦横2倍に拡大する場合の例を説明すると、同図(a)に示すように原稿Dに対する主走査方向、副走査方向が設定されているとすると、まず、第一走行体28の移動速度を変倍率2倍に合わせて変更して(等倍時の1/2の速度)、スキャナ3により原稿Dの読取りを行うことより、同図(b)に示すように副走査方向の変倍(2倍)がメカニカルに行われる。そして、このような副走査変倍処理を受けてスキャナ3より読取られた画像データに対して、はスキャナ画像処理部62においてその主走査方向にキュービックコンボリューション補間法による電気的な変倍処理を施すことにより、同図(c)に示すように主走査方向の変倍(2倍)が電気的に行われ、結果として、縦横2倍に拡大された画像データが得られる。
【0076】
このようにして変倍処理を受けた画像データは、JPEG2000アルゴリズム等に従い、一旦圧縮符号化して符号データとしてMEM48に格納した後、逆の手順で符号データを伸長させて画像データとして作像ユニット4側に出力させることでコピー印刷動作が実行される。
【0077】
ここに、主走査方向と副走査方向との変倍処理の違いを要因として画像データについて縦方向と横方向とで当該デジタルカラー複写機1について既知の異方性を有し、電気的変倍処理を行う主走査方向がエッジなまりの出やすい方向であると予め自己判定している状況下に、JPEG2000アルゴリズムに従う圧縮符号化処理中の量子化過程において、2次元ウェーブレット係数に対して同一階層のサブバンド位置に応じて異なる量子化を行う量子化手段ないしは量子化機能を持たせているものである。即ち、図11(d)中に低圧縮率、高圧縮率として示すように、主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをウェーブレット変換処理の他方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベル(圧縮率)に対して相対的に低くして量子化を行うようにしている。
【0078】
これは、JPEG2000アルゴリズムにおいて図3等で説明したウェーブレット変換の特徴を利用したものである。いま、図12(a)に示すような原稿Dの画像データをウェーブレット変換すると、その変換結果は、図12(b)に示すように表すことができる。即ち、水平方向低周波・垂直方向低周波成分となるサブバンドLLには画像データ中の全体像が1/2に縮小されて現れ、水平方向低周波・垂直方向高周波成分となるサブバンドLHには横線(水平方向の線)画像が現れ、水平方向高周波・垂直方向低周波成分となるサブバンドHLには縦線(垂直方向の線)画像が現れ、水平方向高周波・垂直方向高周波成分となるサブバンドHHには斜め線画像が現れる特性を有する。
【0079】
従って、例えば図13(デコンポジションレベル=2)に示すように主走査方向がウェーブレット変換処理の水平方向に相当し、副走査方向がウェーブレット変換処理の縦方向に相当する場合、主走査方向のエッジなまりの生じやすい画像データ成分はサブバンドLH系の階層のウェーブレット係数に現れ、副走査方向の画像データ成分はサブバンドHL系の階層のウェーブレット係数に現れる。よって、通常は、ウェーブレット係数に対して同一の量子化レベルが割り当てられる同一階層のサブバンド1LH,1HL、サブバンド2HL,2LHについて、サブバンド1LH,2LH側の量子化レベルの方がサブバンド1HL,2HL側の量子化レベルよりも相対的に低くなるようにその量子化レベルを異ならせ、電気的変倍処理を行う主走査方向側についての量子化を抑制することにより、そのエッジなまりによる画質への影響を軽減でき、再現される画像の高画質化を図れることが理解できる。逆にいえば、エッジなまりの出にくい副走査方向に対応するサブバンド1HL,2HLに位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルは相対的に大きくしても画質への影響が出にくいので、全体としては効率のよい圧縮符号化が可能となることも理解できる。
【0080】
このため、本実施の形態では、例えば図13に示すような条件(デコンポジションレベル=2、主走査方向=水平方向、副走査方向=垂直方向)とした場合、拡大変倍処理について、図14に示すようなサブバンド毎の量子化レベルに関するテーブルが予めROM44a等に用意されている。この場合の量子化レベルはウェーブレット係数を量子化するための分母で表現しており、“1”は20であって量子化しないことを示しており、“2”は21 、“4”は22 、“8”は23 を各々表している。このテーブルによれば、等倍時には、サブバンド2HL,2LHに同じ量子化レベル“2”が割り当てられ、サブバンド1HL,1LHに同じ量子化レベル“4”が割り当てられているが、2倍なる拡大変倍時には、サブバンド2HLの量子化レベル“2”に対して同一階層のサブバンド2LHには量子化レベル“1”が割り当てられてその量子化が抑制され(低圧縮率化)、サブバンド1HLの量子化レベル“4”に対して同一階層のサブバンド1LHには量子化レベル“2”が割り当てられてその量子化が抑制(低圧縮率化)されている。また、4倍なる拡大変倍時も同様であるが、例えば、サブバンド1LHには量子化レベル“1”が割り当てられてその量子化がより一層抑制(低圧縮率化)されている。
【0081】
異方性の要因となる主走査方向の変倍率によってエッジなまりの程度も異なり、変倍率が大きくなればエッジなまりの程度も大きくなるので、このテーブルに示す数値例のように、その変倍率に応じてサブバンド1LHのウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。また、細線はより高域の階層のウェーブレット係数として現れ、サブバンドの階層によってもエッジなまりによる画質の影響の度合いが異なるので、このテーブルに示す数値例のように、サブバンド2LH,1LHの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることで、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0082】
このようなテーブルを参照するコピー動作時の処理制御例を概略的に示す図15のフローチャートを参照して説明する。コピー動作は、オペレータがコピー枚数、変倍率等のコピー条件を設定後、スタートキーを押下することにより開始される(S1のY)。そこで、コピー条件設定段階で変倍指定されているかをチェックする(S2)。このステップS2の処理が異方性判定手段の機能として実行され、変倍指定されている場合には、その変倍率により異方性の程度が判定される。なお、圧縮符号化の対象となる2次元の画像データについて縦方向と横方向との異方性を有するか否かの判定は、当該デジタルカラー複写機1においては主走査方向と副走査方向との変倍処理の違いを要因として既知の異方性があるものと認識済みであり、変倍指定によりこの既知の情報が有効となる。
【0083】
変倍指定されていない場合には(S2のN)、スキャナ3に通常の等倍時の読取り動作を行わせ(S3)、原稿についての読取り画像データを取得する。一方、変倍指定されている場合には(S2のY)、その変倍率に応じてスキャナ3(ステッピングモータ35)を制御して副走査方向にメカ変倍を行わせながら読取り動作を行わせ(S4)、得られた副走査変倍済みの画像データについてスキャナ画像処理部62においてその主走査方向にキュービックコンボリューション補間法による電気的な変倍処理を施す(S5)。
【0084】
このようにして取得された画像データは、データ圧縮部76において2次元ウェーブレット変換され(S6)、さらに、前述したテーブルを参照し量子化及び符号化という手順で符号データに圧縮符号化する(S7)。このステップS7の処理が量子化手段の機能として実行される。この処理において、変倍コピー時にはテーブル中に示される量子化レベルが用いられるため、エッジなまりが出やすい主走査方向のウェーブレット係数の圧縮率は抑制される。
【0085】
符号化されたデータは、一旦、MEM48に格納され(S8)、再度、MEM48から読み出されてデータ伸長部78により圧縮符号化された符号データを復号化、逆量子化及び2次元ウェーブレット逆変換という逆の手順で元の画像データへの復号化処理が行われ(S9)、作像ユニット4側に出力させることでコピー印刷動作が実行される。
【0086】
従って、本実施の形態によれば、変倍処理後の画像データについて縦横で画質差の少ない圧縮符号化が可能となり、作像ユニット4側で再現される画像の高画質化を図れる。
【0087】
なお、上述の説明では、拡大変倍時を想定したが、1/2倍、1/4倍、…のような縮小変倍時についても同様であり、例えば図16に示すような縮小変倍率毎に各サブバンドに割り当てる量子化レベルを規定したテーブルを参照するようにすればよい。この場合、縮小変倍の場合も電気的変倍処理を行う主走査方向にエッジなまりが生ずることがあるものの、一般には、拡大変倍時よりもその程度が低いことが多いので、拡大変倍時よりも量子化レベルを高くすることで、適正に対処することができる。図示例では、サブバンド1LHについて、拡大時の量子化レベル“2”“1”よりもその量子化レベルが“3”“2”のように高くされている。
【0088】
また、上述の説明では、ウェーブレット係数を符号化する段階で線形量子化を施す場合の量子化レベルに着目したが、符号化した後の不要なビットプレーンの符号を破棄する(トランケート)レベルを異ならせるようにしてもよい。この場合、例えば図18に示すような拡大変倍率毎に各サブバンドに割り当てるビットプレーンのトランケートを規定したテーブルを参照するようにすればよい。各数値“0”〜“3”は20〜23 に相当するべき数を示しており、“0”はビットプレーンを破棄しないこと、“1”は最下位1ビット分のビットプレーンを破棄すること、“2”は最下位2ビット分のビットプレーンを破棄すること、“3”は最下位3ビット分のビットプレーンを破棄することを表している。
【0089】
このテーブルによれば、等倍時には、サブバンド2HL,2LHに同じトランケート“1”が割り当てられ、サブバンド1HL,1LHに同じトランケート“2”が割り当てられているが、2倍なる拡大変倍時には、サブバンド2HLのトランケート“1”に対して同一階層のサブバンド2LHにはトランケート“0”が割り当てられてその量子化が抑制され(低圧縮率化)、サブバンド1HLのトランケート“2”に対して同一階層のサブバンド1LHにはトランケート“1”が割り当てられてその量子化が抑制(低圧縮率化)されている。また、4倍なる拡大変倍時も同様であるが、例えば、サブバンド1LHにはトランケート“0”が割り当てられてその量子化がより一層抑制されている。
【0090】
さらに、上述の説明では、縦横等しい相似変倍の例で説明したが、縦横で比率の異なる縦長又は横長変倍の場合でも同様に適用できる。この場合、メカ的変倍処理を行いエッジなまりのない副走査方向の変倍率は特に関係なく、電気的変倍処理を行う主走査方向の変倍率に着目すればよい。
【0091】
また、本実施の形態では、スキャナ3における走査方向と2次元ウェーブレット変換処理の方向との関係を、図13に示したように、主走査方向=水平方向、副走査方向=垂直方向とした例で説明したが、主走査方向=垂直方向、副走査方向=水平方向となる関係の場合には、サブバンドLH系に代えて主走査方向に対応する垂直方向なるサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを抑制するようにすればよい(サブバンドLH系とサブバンドHL系との量子化レベルを入替えればよい)。
【0092】
本発明の第二の実施の形態を図18に基づいて説明する。前述の実施の形態では、2次元の画像データについて縦方向と横方向とに異方性を有する典型例として主走査方向と副走査方向との変倍処理の違いを要因とするスキャナの例で説明したが、本実施の形態は、2次元の画像データについて縦方向と横方向とに異方性を有する他の例としてテレビジョンカメラへの適用例を示す。
【0093】
図18は、テレビジョンカメラ80が備えるハードウェア構成の概略を示すブロック図である。このテレビションカメラ80は、画像入力装置81と画像圧縮装置82とを備えており、これらの画像入力装置81、画像圧縮装置82は、バス83を介してCPU84に接続されている。この他、メモリ85、操作パネル86、外部出力インタフェース87等を備えている。
【0094】
ここで、画像入力装置81は、CCD、MOSイメージセンサ等の撮像素子を備え、撮像対象を2次元にインターレース方式によりラスタースキャニングして読取り、その読取り画像データを画像圧縮装置82に出力する。この画像圧縮装置82は、画像処理装置中の量子化手段等の圧縮処理系を代表して表現したものであり、JPEG2000アルゴリズムに従い圧縮符号化する。生成された符号列データは外部出力インタフェース87を介して外部に出力される。
【0095】
このようなテレビジョンカメラ80について、本実施の形態では、インターレース方式のラスタースキャニングを要因として画像データについて縦方向と横方向とで既知の異方性を有し、ラスタースキャニング方向となる水平方向をエッジなまりの出やすい方向として自己判定しているものである。さらには、水平方向と垂直方向とのアスペクト比4:3或いは16:9といった違いもあるため、ラスタースキャニング方向となる水平方向をエッジなまりの出やすい方向といえる。そこで、このような異方性についても前述した実施の形態の場合と同様に、画像圧縮装置82における量子化処理の段階でエッジなまりの出やすい方向であるラスタースキャニング方向(水平方向)とその他の方向である縦方向とで量子化の程度を異ならせるようにしたものである。これにより、撮像後の画像データについて縦横で画質差の少ない圧縮符号化が可能となり、テレビジョン等で再現される画像の高画質化を図れる。
【0096】
本発明の第三の実施の形態を図19に基づいて説明する。本実施の形態は、2次元の画像データについて縦方向と横方向とに異方性を有する他の例として情報処理装置であるパーソナルコンピュータ(PC)への適用例を示す。
【0097】
図19は、PC90が備えるハードウェア構成の概略を示すブロック図である。このPC90は、情報処理を行うCPU91、情報を格納するROM92及びRAM93等の1次記憶装置、インタネット、その他のネットワーク94を介して外部からダウンロードした圧縮符号を記憶するHDD(Hard Disk Drive)95、情報を保管したり外部に情報を配布したり外部から情報を入手するためのCD−ROMドライブ96、ネットワーク94を介して外部の他のコンピュータ等と通信により情報を伝達するための通信制御装置97、処理経過や結果等を操作者に表示するCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置98、並びに操作者がCPU91に命令や情報等を入力するためのキーボードやマウス等の入力装置99等から構成されており、これらの各部間で送受信されるデータをバスコントローラ100が調停して動作する。
【0098】
このようなPC90は、ROM92に各種制御プログラムとともに、画像処理の一環として、JPEG2000アルゴリズムに従い圧縮符号化処理を行う機能と復号化処理を行う機能とを実現するためのプログラムも格納されており、圧縮符号化手段や復号手段の機能を有する構成とされている。また、ユーザ操作を受付ける入力装置99が画像データを取得するデータ取得手段としても機能する。
【0099】
一般に、この種のPC90では、画像編集ソフトが組み込まれており、取り込んだ画像データに対して縦横比の異なる縦長変倍或いは横長変倍なる編集操作も可能とされている。このような場合、縦横の変倍率の違いにより縦横方向に異方性を有することとなる。即ち、何れの方向の変倍処理も補間法等による電気的な変倍処理となるが、変倍率の大きいほうがエッジなまりの程度も大きくなるので、結果的に、再現される画像品質に縦横で差が出てしまう。
【0100】
そこで、本実施の形態では、画像データの編集処理に対してユーザ操作として縦横の変倍率の異なる変倍処理が指定された場合、縦横の変倍率の違いを要因として画像データについて縦方向と横方向とで異方性を有するものと推定し(異方性判定手段)、電気的変倍処理の影響が大きい方(変倍率の大きい方)がエッジなまりの出やすい方向と推定して、その方向と他の方向とで前述した実施の形態の場合と同様に異なる量子化を施すようにしたものである。
【0101】
これにより、編集操作後の画像データについて縦横で画質差の少ない圧縮符号化が可能となり、ディスプレイ、プリンタ等で再現される画像の高画質化を図ることができる。例えば、縦長拡大変倍の場合であれば、垂直方向の画像データに対する量子化を抑制すればよいこととなる。
【0102】
本発明の第四の実施の形態について説明する。本実施の形態は、画像出力装置に関するものであるが、具体的には、例えば第一の実施の形態で説明したような複写機やプリンタ等を想定している。即ち、画像データを入力する入力手段(スキャナ3)と、この入力手段(スキャナ3)により入力された2次元の画像データを圧縮符号化の対象とする第一の実施の形態の場合と同様な画像処理装置と、この画像処理装置により圧縮符号化された符号データを記憶する記憶装置(MEM48)と、この記憶装置(MEM48)に記憶された符号データを画像データに復号する復号手段と、復号手段により復号された画像データに基づき2次元画像の出力処理を行う出力手段(プリンタ2)と、を備えている。
【0103】
このような複写機1において、元の画像データは正常であっても、例えば現像条件とか転写条件等を要因として、当該複写機やプリンタが、例えば図23に示したように常に縦線が横線よりも太く出てしまう(或いは、逆)癖を持っているケースもあり、出力形態において2次元の画像データについて縦方向と横方向とに異方性を有するといえる。特に、図示例のような格子画像を含む文書画像等の場合には顕著に出てしまうことがある。従って、このような複写機の場合であれば、変倍コピー時だけでなく等倍コピー時であっても縦横方向で画質差を生じてしまうこととなる。
【0104】
そこで、本実施の形態では、入力側だけでなく、このような出力側を要因とする縦方向と横方向とで異方性を有する場合にも、同様に適用することにより適切に対処できるようにしたものである。即ち、本実施の形態の複写機1は、自己の出力手段(プリンタ2)における縦方向と横方向とでの線の太さが異なるという既知の出力特性の違いを要因として画像データについて縦方向と横方向とで既知の異方性を有するものと自己判定している。そして、異方性判定手段は、このような既知の出力特性の違いによりエッジなまりの出やすい方向を判定する。このような判定結果に基づき、本来は縦方向と横方向とで均等な画像データについて、出力手段(プリンタ2)における出力異方性が解消されるように画像データの量子化の段階で前述した実施の形態の場合と同様に縦方向と横方向とで量子化の程度を異ならせて意図的に逆の異方性を持たせて相殺させることにより、出力手段(プリンタ2)で再現される画像の高画質化を図れるようにしたものである。
【0105】
即ち、プリンタ2の印刷出力の特性として縦方向又は横方向の何れかの方向に太線が出やすいような癖を持つ機種の場合に、その癖が相殺されて縦方向と横方向とで画質差のない高画質のコピー画像を得ることができる。より具体的には、太線が出る方向(印刷画像が太くなる方向)の量子化レベルを他方向に対して相対的に高くなる(圧縮率を高くする)ように、量子化レベルをウェーブレット変換の方向によって異ならせるようにすればよい。
【0106】
【発明の効果】
請求項1及び8記載の発明によれば、縦方向と横方向との異方性を有する画像データに対して、その異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層であってもそのサブバンド位置に応じて異なる量子化を行うようにしたので、異方性に起因する画質差を異なる量子化により吸収することができ、再現される画像の高画質化を図ることができる。具体的には、異方性の要因によりエッジなまりの出やすい主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを相対的に抑制するようにしたので、そのエッジなまりによる画質への影響を軽減でき、再現される画像の高画質化を図ることができ、逆にいえば、エッジなまりの出にくい副走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルは相対的に大きくしても画質への影響が出にくいので、全体としては効率のよい圧縮符号化を可能にすることができる。
【0107】
請求項2及び9記載の発明によれば、異方性の要因の程度によってエッジなまりの程度も異なるので、異方性の要因の程度に応じてエッジなまりの出やすい主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルの程度を異ならせるようにしたので、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0108】
請求項3及び10記載の発明によれば、異方性の要因となる主走査方向の変倍率によってエッジなまりの程度も異なり、変倍率が大きくなればエッジなまりの程度も大きくなるので、変倍率に応じてエッジなまりの出やすい方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルの程度を異ならせるようにしたので、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0109】
請求項4及び11記載の発明によれば、縮小変倍の場合も電気的変倍処理を行う主走査方向にエッジなまりが生ずることがあるものの、一般には、拡大変倍時よりもその程度が低いことが多いので、拡大変倍時よりも量子化レベルを低くするようにしたので、適正に対処することができる。
【0110】
請求項5及び12記載の発明によれば、細線はより高域の階層のウェーブレット係数として現れるので、サブバンドの階層によってもエッジなまりによる画質の影響の度合いが異なるので、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせるようにしたので、そのエッジなまりによる画質への影響を、より軽減させることができる。
【0111】
請求項6及び7記載の発明のプログラムあるいは記憶媒体によれば、請求項1乃至5に記載の発明と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の前提となるJPEG2000方式の基本となるアルゴリズムを実現するシステムの機能ブロック図である。
【図2】原画像の各コンポーネントの分割された矩形領域を示す説明図である。
【図3】デコンポジションレベル数が3の場合の、各デコンポジションレベルにおけるサブバンドを示す説明図である。
【図4】プレシンクトを示す説明図である。
【図5】ビットプレーンに順位付けする手順の一例を示す説明図である。である。
【図6】符号化された画像データのコードストリームを例示する模式図である。
【図7】本実施の形態が適用されるデジタルフルカラー複写機の概略構成図である。
【図8】その電気的な接続を示すブロック図である。
【図9】そのうちのIPPの構成例を示すブロック図である。
【図10】そのうちのIMACの構成例を示すブロック図である。
【図11】主走査方向と副走査方向との変倍処理の違いを模式的に示す説明図である。
【図12】ウェーブレット変換処理による各サブバンドの特徴を模式的に示す説明図である。
【図13】サブバンドの階層構造と主走査方向/副走査方向との関係を示す説明図である。
【図14】量子化レベルの割り当てテーブル例を示す説明図である。
【図15】変倍コピー動作の制御例を示す概略フローチャートである。
【図16】縮小変倍時の量子化レベルの割り当てテーブル例を示す説明図である。
【図17】ビットプレーンのトランケートによる量子化レベルの割り当てテーブル例を示す説明図である。
【図18】本発明の第二の実施の形態のテレビジョンカメラのハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【図19】本発明の第三の実施の形態のPCのハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【図20】主走査方向と副走査方向との変倍処理の違いを模式的に示す説明図である。
【図21】変倍処理の違いによるエッジなまりについての説明図である。
【図22】エッジなまりの影響を受けた印刷出力例を示す説明図である。
【図23】プリンタが有する癖による印刷出力例を示す説明図である。
【符号の説明】
2 プリンタ、出力手段
3 スキャナ、入力手段
26 露光手段
28 副走査手段
33 光電変換素子
48 記憶装置
81 画像入力装置
Claims (12)
- 画像データを、2次元ウェーブレット係数への変換、量子化及び符号化という手順で圧縮符号化する画像処理装置において、
前記圧縮符号化の対象となる画像データについて、主走査方向の変倍が電気的な変倍処理により行われ、副走査方向の変倍が機械的な変倍処理により行われて、縦方向と横方向とで異方性を有するか否か判定する異方性判定手段と、
前記異方性判定手段により異方性を有すると判定された画像データに対して、異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層のサブバンド位置に応じて異なる量子化レベルの量子化を行う量子化手段とを有し、
前記量子化手段は、主走査方向がウェーブレット変換処理の水平方向である場合には、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くし、主走査方向がウェーブレット変換処理の垂直方向である場合には、逆にサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くすることを特徴とする画像処理装置。 - 前記異方性判定手段は、異方性の要因の程度も判定し、
前記量子化手段は、前記異方性判定手段で判定された異方性の要因の程度に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記異方性判定手段は、主走査方向の変倍率を異方性の要因の程度として判定し、
前記量子化手段は、前記主走査方向の変倍率に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。 - 前記量子化手段は、前記主走査方向の変倍率が縮小変倍の場合には拡大変倍の場合よりも前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを高くすることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
- 前記量子化手段は、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置における各手段の機能をコンピュータに実行させるプログラム。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置における各手段の機能をコンピュータに実行させるプログラムを記憶しているコンピュータに読取り可能な記憶媒体。
- 画像データを、2次元ウェーブレット係数への変換、量子化及び符号化という手順で圧縮符号化する画像処理方法において、
前記圧縮符号化の対象となる画像データについて、主走査方向の変倍が電気的な変倍処理により行われ、副走査方向の変倍が機械的な変倍処理により行われて、縦方向と横方向とで異方性を有するか否か判定する異方性判定ステップと、
前記異方性判定ステップにより異方性を有すると判定された画像データに対して、異方性の要因に基づき2次元ウェーブレット係数に対して同一階層のサブバンド位置に応じて異なる量子化レベルの量子化を行う量子化ステップとを有し、
前記量子化ステップは、主走査方向がウェーブレット変換処理の水平方向である場合には、サブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対し て相対的に低くし、主走査方向がウェーブレット変換処理の垂直方向である場合には、逆にサブバンドHL系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルをサブバンドLH系の階層に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルに対して相対的に低くすることを特徴とする画像処理方法。 - 前記異方性判定ステップは、異方性の要因の程度も判定し、
前記量子化ステップは、前記異方性判定手段で判定された異方性の要因の程度に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項8記載の画像処理方法。 - 前記異方性判定ステップは、主走査方向の変倍率を異方性の要因の程度として判定し、
前記量子化ステップは、前記主走査方向の変倍率に応じて、前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。 - 前記量子化ステップは、前記主走査方向の変倍率が縮小変倍の場合には拡大変倍の場合よりも前記主走査方向に対応するウェーブレット変換処理の方向に位置するウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを高くすることを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
- 前記量子化ステップは、サブバンドの階層に応じてウェーブレット係数に割り当てる量子化レベルを異ならせることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の画像処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274012A JP4014087B2 (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274012A JP4014087B2 (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004112532A JP2004112532A (ja) | 2004-04-08 |
JP4014087B2 true JP4014087B2 (ja) | 2007-11-28 |
Family
ID=32270617
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002274012A Expired - Fee Related JP4014087B2 (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4014087B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100776822B1 (ko) | 2006-04-11 | 2007-11-19 | 고려대학교 산학협력단 | 스테레오 잔여 영상 부호화 방법 및 그 장치 |
JP6120490B2 (ja) | 2011-11-07 | 2017-04-26 | キヤノン株式会社 | 画像符号化装置、画像符号化方法及びプログラム、画像復号装置、画像復号方法及びプログラム |
CN110113619B (zh) * | 2019-04-17 | 2021-06-15 | 浙江大华技术股份有限公司 | 一种编码方法、装置、电子设备及存储介质 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002274012A patent/JP4014087B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004112532A (ja) | 2004-04-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7336852B2 (en) | Image processing apparatus, image reading apparatus, image forming apparatus and recording medium for image processing program | |
JP4136951B2 (ja) | 画像処理装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP2004242290A (ja) | 画像処理装置および画像処理方法、画像編集処理システム、画像処理プログラム及び記憶媒体 | |
JP4014087B2 (ja) | 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 | |
JP2004236299A (ja) | 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体 | |
EP1635576A1 (en) | Image processing device and image processing program | |
JP2004227406A (ja) | 画像処理装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP4169190B2 (ja) | 画像読取装置、画像形成装置、画像読取処理方法、プログラム及び記憶媒体 | |
JP4111909B2 (ja) | 画像処理装置、画像処理用プログラム及び記憶媒体 | |
JP4013721B2 (ja) | 画像処理装置 | |
JP4093871B2 (ja) | 画像形成装置、プログラムおよび記憶媒体 | |
JP3784755B2 (ja) | 画像処理装置、画像形成装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP4090352B2 (ja) | 画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP5078199B2 (ja) | 画像符号化装置及びその方法並びにプログラムコード、記憶媒体 | |
JP3912752B2 (ja) | 画像処理装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP4010452B2 (ja) | 画像処理装置及び画像処理方法 | |
JP4111863B2 (ja) | 画像処理装置、画像形成装置、画像処理用プログラム及び記憶媒体 | |
JP2005130244A (ja) | 画像処理装置および画像処理方法 | |
JP2004228952A (ja) | 画像処理装置、画像処理用プログラム及び記憶媒体 | |
JP4050157B2 (ja) | 画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体 | |
JP4194373B2 (ja) | 画像処理装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP2004235935A (ja) | 画像処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記憶媒体 | |
JP2004229097A (ja) | 画像処理装置、プログラム及び記憶媒体 | |
JP2004236219A (ja) | 画像圧縮装置、復号装置、画像形成装置、プログラムおよび記憶媒体 | |
JP4017109B2 (ja) | 画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20041007 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050223 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050526 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20060925 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070611 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070810 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070906 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4014087 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110921 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120921 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130921 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |