JP4017109B2 - 画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を圧縮符号化する画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、符号化された画像データの操作性を高めるために、画像データを複数の領域に分割して各領域を独立に符号化して圧縮符号列とし、この圧縮符号列を復号する際に、復号後の処理内容に応じて復号する領域の順序を変えていく処理が知られている。ここで、「独立して」とは、各領域を復号する際に他の領域の情報を利用することがなく、従って他の領域の画像データが復号されているか否かに関わりなく復号することが可能であることを意味する。
【0003】
画像データを複数の領域に分割して符号化することで操作性が高める例として、復号する領域の順序を変えることで、画像を回転して方向を変える処理が知られている。例えば、特許文献1では、固定長符号化方式を用いて画像の回転処理等を実行する技術が開示されている。また、特許文献2では、ブロック単位に可変長符号化された圧縮符号の各ブロックのアドレスを記憶しておき、復号する順序に応じてアクセスするアドレスを切り替える技術が開示されている。一般に可変長符号化は固定長符号化に比べて圧縮率が高いために、特許文献1に開示される方法は固定長符号化方式と比較して圧縮率が高いという利点がある。
【0004】
また、国際標準となった画像圧縮方式JPEG2000においても、タイルと呼ばれる概念が導入されており、画像データをタイル分割してタイルごとに符号化することにより、タイルに領域分割された画像データを得ることが可能となる。このタイルは独立に符号化される単位であるので、読み出すタイルの順序を制御することで容易に画像の回転処理等を実行できる。
【0005】
さらに、画像データが複数の領域に分割されている場合、復号処理を行なう際に並列処理を実行することも可能となる。特許文献3には、タイル分割された場合の圧縮符号量を制御するために、各タイルに上限情報量を割り当てて、各タイルがその上限値を越えないように圧縮を行う技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−160904公報(0003の欄を参照)
【特許文献2】
特開2002−125116公報
【特許文献3】
特開2000−134623公報
【特許文献4】
特開2001−217718公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タイル単位に可変長符号化を実施して得られた圧縮符号をメモリに格納する場合、可変長符号化では固定長符号化方式と異なり圧縮率の予測が困難であるため、圧縮符号がメモリに入りきらない場合が生じ得る。かかる場合には、圧縮符号がメモリに格納できるように画像データの情報量を削減する必要があるが、領域分割した画像を量子化すると領域の境界に画質劣化が生じる。このような画質劣化は、独立して符号化される各領域をタイルと呼ぶJPEG2000においてはタイル境界歪などと呼ばれている。
【0008】
このような、タイル境界歪を低減する技術としては、特許文献4に開示の技術が知られている。
【0009】
しかしながら、特許文献4に示されるように、タイル境界の状態に応じて拡張画素の作成方法を適応的に選択する技術では、本質的にタイル境界歪みを防止することができないという不具合がある。
【0010】
したがって、必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる技術が望まれる。
【0011】
この発明の目的は、必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明の画像処理装置は、画像データを複数の領域に分割することなく圧縮符号化して符号列を得る第1の符号化手段と、画像データを複数の領域に分割して領域ごとに独立に圧縮符号化して符号列を得る第2の符号化手段と、前記第1の符号化手段による圧縮符号化後の符号列を復号する第1の復号手段と、前記第2の符号化手段による圧縮符号化後の符号列を復号する第2の復号手段と、前記画像データの回転処理の必要の有無を判定する判定手段と、前記判定手段によって前記回転処理が必要と判定された場合には、前記第2の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択し、前記回転処理が必要でないと判定された場合には、前記第1の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択する選択手段とを有することを特徴とする。
【0013】
したがって、必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。具体的には、画像の回転処理が必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化することで、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記第1の符号化手段は、当該符号化手段で圧縮符号化した符号列を量子化する量子化手段を更に有し、前記第1の復号手段は、前記量子化手段による量子化後の符号列を復号し、前記第2の符号化手段は、前記第1の復号手段による復号後の画像データを入力として前記圧縮符号化を行うことを特徴とする。
【0015】
したがって、圧縮符号化後の符号列を量子化する場合、第2の符号化手段では量子化する必要がなく、領域分割して圧縮符号化した場合でも、領域の境界における歪みを防止、または、低減して、画質の劣化を防止することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像処理装置と、前記第1または第2の復号手段による復号後の画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンと、前記プリンタエンジンに供給する前記媒体を収納する複数の収納部と、前記複数の各収納部内の前記媒体の有無を検出するセンサとを備え、前記判定手段は、前記センサの検出信号に基づいて前記画像データの回転の必要の有無を判定することを特徴とする。
【0017】
したがって、収納部に収納されている媒体のサイズ、向きに応じて、画像の向きを回転して利用したい場合など、領域分割が必要なときには領域分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像処理装置と、前記第1または第2の復号手段で復号後の画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンとを備え、前記判定手段は、前記プリンタエンジンによる画像の形成中に所定のタイミングで前記画像データの回転処理が必要か否かを判定し、前記選択手段は、前記判定手段によって前記回転処理が必要と判定された場合には前記第2の符号化手段による圧縮符号化を実行することを選択し、回転処理が必要ではないと判定された場合には前記第1の符号化手段による圧縮符号化を実行することを選択することを特徴とする。
【0019】
ここで、「所定のタイミング」とは、例えば、1枚の媒体に画像を形成するごとに画像の回転処理が必要か否かを判定することや、媒体を収納する給紙トレイなどの収納部中に格納される媒体がN枚以下であるという情報を検知可能な装置においては、N枚の媒体に画像を形成するごとに画像の回転処理が必要か否かを判定することなどが考えられる。また、「画像の回転処理が必要か否かの判断」としては、例えば、画像形成中であった給紙トレイなどの中に格納される媒体がなくなった場合に、画像の回転処理が必要と判定し、あるいは、画像形成中であった給紙トレイの中に格納される媒体がジャムを起こした場合に、画像の回転処理が必要と判定したりすることなどが考えられる。
【0020】
したがって、画像の向きを回転して利用したい場合は、それを可能とするように画像を領域分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明の画像処理方法は、画像データを複数の領域に分割することなく圧縮符号化して符号列を得る第1の符号化ステップと、画像データを複数の領域に分割して領域ごとに独立に圧縮符号化して符号列を得る第2の符号化ステップと、前記第1の符号化ステップによる圧縮符号化後の符号列を復号する第1の復号ステップと、前記第2の符号化ステップによる圧縮符号化後の符号列を復号する第2の復号ステップと、前記画像データの回転処理の必要の有無を判定する判定ステップと、前記判定ステップによって前記回転処理が必要と判定された場合には、前記第2の符号化ステップによる前記画像データの圧縮符号化を選択し、前記回転処理が必要でないと判定された場合には、前記第1の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択する選択ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
したがって、請求項5、6に記載の発明は請求項1、2に記載の発明と同様の作用、効果を奏する。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1または2記載の画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1または2記載の画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態であるデジタル複写機1の概略構成を示すブロック図である。この
デジタル複写機1は、本発明の画像形成装置を実施するもので、周知の電子写真プロセスにより用紙上などに画像形成を行なうプリンタエンジン2と、原稿の画像を読み取るスキャナ3とを備えている。このデジタル複写機1は、マイクロコンピュータを有するコントローラ5を備えている。このコントローラ55は、具体的には、デジタル複写機1の全体を制御するメインコントローラと、メインコントローラ5各部をそれぞれ制御する複数のサブコントローラとからなるが、ここでは、単一のコントローラ5として図示する。このコントローラ5のCPUは、ROM(記憶媒体)に記憶されている制御プログラムに基づいて後述する処理を実行する。
【0027】
プリンタエンジン2は、それぞれ感光体、現像装置、クリーニング装置、帯電装置を有していて、K,M,C,Y(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)各色の乾式トナー像を形成するためのプロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yと、転写ベルト12と、定着装置13と、プロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yの各感光体にK,M,C,Y各色の画像の静電潜像を光書込みする光書込装置14K,14M,14C,14Yとを備えている。また、デジタル複写機1は、カラー画像を記録されるための媒体(用紙やOHPなど)を収納する給紙トレイ15a〜15cを備えている。各プロセスカートリッジ11K,11M,11C,11Yは、K,M,C,Y各色のトナー像を転写ベルト12に重ね合わせて形成し、この重ね合わされたトナー像は、給紙トレイ15a〜15cから供給される媒体に転写されて、定着装置13により定着される。
【0028】
また、デジタル複写機1は、バンドバッファ22、符号化部23a,23b、復号部24,24b、ページメモリ25からなる、画像処理装置26を備えている。
【0029】
図1において、バンドバッファ22は、1ページ分の画像データを構成する複数のバンドのうち、一つのバンドに含まれる画素のデータを格納するためのバッファである。ここでバンドとは、所定数の画素ラインから構成される画像データの一領域である。
【0030】
デジタル複写機1は、LANなどの所定のネットワーク4から図示しない通信インターフェイスを介して画像データを受け取ることができる。RIP部21は、ネットワーク4を介して入力された画像データがPDL(ページ記述言語)形式のデータであるとき、これをバンド単位に描画処理してビットマップ形式に変換して、画像処理装置26に出力する。
【0031】
本例では、バンドバッファ22に格納された画像データを符号化するための符号化装置である符号化部23a,23bと、圧縮符号列を復号するための復号化装置である復号部24a,24bを備えている。符号化部23a,23bは、静止画圧縮の国際標準であるJPEG2000を使用して実施する。したがって、その圧縮符号列化方式は、静止画像を1又は複数の領域(タイル)に分割し、この領域ごとに独立して階層的に圧縮符号列化するものである。すなわち、JPEG2000方式においては画像をタイル分割して符号化することができ、また、タイル数=1はタイル分割しない場合に該当するので、符号化部23aはタイル数=1としてJPEG2000方式で画像データを符号化し、一方、符号化部23bはタイル数=16としてJPEG2000方式で画像データを符号化する。
【0032】
ページメモリ25は、所定ページ分の画像データを圧縮符号列として格納(記憶)するための記憶装置である。本例のページメモリ25は、A4サイズの画像データ1ページ分の圧縮符号列を格納可能とする。ハードディスク27はページメモリ25に格納された圧縮符号列を取得して格納し、必要に応じてその圧縮符号列をページメモリ25に再格納するために設けられたメモリである。
【0033】
RGB→CMYK変換部28は、後述のようにして復号化部24bで復号された、RGB(レッド、グリーン、ブルー)色の信号で表現された画像データを受け取り、これをCMYK信号に変換する。K,M,C,Y色階調処理部29K、29M,29C,29Yは、それぞれK,M,C,Y色の多値データを少値化して書込データに変換する機能を果たす。本例では、バンドバッファ22では1画素8ビットの600dpi画像データを格納し、これをK,M,C,Y色階調処理部29K,29M,29C,29Yで1画素1ビットの1200dpi画像データへと変換する。
【0034】
K,M,C色の書込みデータは、画像形成開始タイミングを調節するためにラインメモリ16K,16M,16Cに格納され、各色の画像が媒体上で重なり合うようにタイミングを合わせてK、M、C,Y,の色書込装置14K、14M,14C,14Yに送られる。
【0035】
次に、本例における符号化部23aが実施する符号化方式のブロック図を図2(a)に示す。すなわちRGB信号からなる画像データはDCレベルシフト部31でレベルシフトされ、色変換部32で色変換され、各色変換係数はウェーブレット変換部33でウェーブレット変換され、エントロピー符号化部34でウェーブレット係数がエントロピー符号化される。エントロピー符号化された符号は符号フォーマットに従い最終的に必要とされる符号順序に並べ替えて出力される。
【0036】
次に、復号部24a,24bについて説明する。図2(b)は、復号部24a,24bが実施する復号方式の機能ブロック図である。復号部24a,24bが実行するのは、それぞれ符号化部23a,23bの逆変換であり、符号化部23a,23bで使用するDCレベルシフト、色変換、ウェーブレット変換、エントロピー符号化の各処理の逆変換をそれぞれ実行する逆DCレベルシフト部36、逆色変換部37、ウェーブレット逆変換部38、エントロピー復号部39からなる。圧縮符号列がタイル分割されている場合には、かかる処理を各タイルについて実行する。
【0037】
符号化部23bについて説明する。図2(c)は、符号化部23bが実施する符号化方式の機能ブロック図である。符号化部23bは、バンドバッファ22に格納された画像データをタイル分割して符号化するための符号化装置である。以下、符号化部23aによって符号化された圧縮符号列を「第一の符号列」、符号化部23bによって符号化された圧縮符号列を「第二の符号列」と記す。
【0038】
本例における符号化部23bが実施する符号化方式のブロック図を図2(c)に示すが、符号化部23bは、符号化部23aと比べてタイル分割部40がDCレベルシフト部31の前段に追加されている点が異なる。すなわち画像データはまず、タイル分割部40で複数のタイルに分割され、タイルごとに独立に、符号化部23aにおけると同様な処理が施される。ここで「独立」とは、符号化時に他のタイル内の画素情報を利用することなく符号化を実施するという意味である。なお、符号化部23bは色変換を施してからタイル分割してもよい。
次に、デジタル複写機1の動作について説明する。
【0039】
このデジタル複写機1は、給紙トレイ15a,15bのうち一方に収納された用紙などの媒体が消費されると、他方に収納された媒体上に画像を形成する給紙トレイ自動切換機能を有するが、このとき、画像を90度回転させることによって切り替え先の給紙トレイに収納された媒体に適合した向きで画像を印刷出力することができる。このような画像の回転を可能とするために、デジタル複写機1は、画像データをタイル分割して圧縮することが可能な画像処理装置26を用いており、この圧縮符号列における各タイルの先頭アドレスをコントローラ5内のメモリに記憶しておき、任意の順序でタイル単位に画像データを読み出すことができる。すなわち、読み出すタイルの順序を変えることで、画像の回転処理を行うことができる。
【0040】
しかし、はじめから画像の回転が可能な圧縮符号列となるように、画像データをタイル分割して圧縮する場合には、タイル境界歪が発生し、あるいは、圧縮率が悪化するという不具合が生じる。そこで、本例では画像を圧縮する際に画像を回転する必要性を判断し、必要がある場合のみ、画像をタイル分割して圧縮する処理を行う。具体的には、画像データを符号化する際に、出力される画像に適合した向きの媒体が給紙トレイ15a(または15b)に存在するか否かを判断して、適合する向きの用紙があれば、タイル分割をせずに画像を圧縮符号列化し、適合する向きの用紙がなければ、画像を回転する必要があるので、タイル分割して画像を圧縮符号列化する。
【0041】
また、本例では、圧縮符号列を復号して画像を印刷出力する際にも、1枚の出力を行うごとに出力される画像に適合した向きの用紙が給紙トレイ15a(または15b)に存在するか否かを判断して、圧縮符号列がタイル分割されているか否か、あるいは、適合する向きの用紙の有無に応じて、適宜処理を切り替える。具体的には、印刷出力される画像に適合する向きの用紙が給紙トレイ15a(または15b)に存在する場合には、圧縮符号列がタイル分割されていないときに、単に圧縮符号列を復号し、圧縮符号列がタイル分割されているときに、第一の向きで画像データが復号されるように圧縮符号列を復号する。一方、適合する向きの用紙が給紙トレイ15a(または15b)に存在しない場合には、画像を回転する必要があるので、圧縮符号列がタイル分割されていないときに、単に圧縮符号列をタイル分割された圧縮符号列に変換し、圧縮符号列がタイル分割されているときに、第一の向きを90度回転させた第二の向きで画像データが復号されるように圧縮符号列を復号する。
【0042】
以上の機能を実現するために、本例では、コントローラ5が図3に示す処理を行う。
【0043】
まず、コントローラ5は、スキャナ3から読み込まれた、またはネットワーク4から送られてきた画像データの方向及びサイズを判断し、印刷出力される画像に適合した用紙サイズ及び適合した用紙の向きを判断する(ステップS1)。画像データの向き及びサイズのデータを取得する手段としては、ネットワーク4を介して、図示しないホスト端末から直接取得する、あるいは、スキャナ3に備え付けられた原稿サイズ検知装置から取得することが考えられる。またネットワーク4から直接、圧縮符号列がデジタル複写機1に送られてきた場合には、圧縮符号列のヘッダを参照して、画像データの向き及びサイズのデータを取得すればよい。
【0044】
ついで、コントローラ5は、各給紙トレイ15a,15bからの信号(各給紙トレイ15a,15bに設けられたセンサ(光センサなど)の検出信号)によって、ステップS1で判断した画像に適合したサイズ、適合した向きの用紙などの媒体が存在するか否かを判断する(選択手段、判定手段、選択処理)(ステップS2)。すなわち、各給紙トレイ15a,15bにおいて、あらかじめ収納できる媒体のサイズ、向きが定まっているので、各給紙トレイ15a,15bでの媒体の有無を判断することで、所定のサイズ、適合した向きの媒体の有無が判断できる。
【0045】
適合したサイズ、かつ、適合した向きの媒体があれば(ステップS2のY)、符号化部23aを用いてタイル分割せずに1ページ分の画像の圧縮符号列化を行う(第1の符号化手段、第1の符号化処理)(ステップS3)。なお、ネットワーク4から直接、圧縮符号列がデジタル複写機1に送られてきた場合には、ステップS3の符号化処理は実行しない。1ページ分の画像の符号化が終了すると、次のページの画像データが存在するか否かを判断し(ステップS4)、次のページがあれば(ステップS4のN)、ステップS3に戻り、その符号化処理を実施し、なければ(ステップS4のY)、一連の処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS2の判断において、適合した向きの用紙がなければ(ステップS2のN)、コントローラ5は、適合したサイズで、適合しない向きの用紙が存在するか否かを判断する(ステップS5)。本例の場合、例えば、給紙トレイ15aで出力すべき画像を出力しようとした場合に、給紙トレイ15aには用紙がなかったが、給紙トレイ15bには用紙があるために、画像を回転して印刷出力すれば印刷出力可能である場合などが、「適合したサイズで適合しない向きの用紙が存在する」場合に該当する。
【0047】
ステップS5の判定の結果、適合したサイズで、適合しない向きの用紙が存在すれば(ステップS5のY)、符号化部23bを用いてタイル分割しながら1ページ分の画像の圧縮符号列化を行う(第2の符号化手段、第2の符号化処理)(ステップS6)。1ページ分の画像の符号化が終了すると、次のページの画像が存在するか否かを判断し(ステップS7)、次のページの画像があれば(ステップS7のY)、ステップS6に戻って符号化処理を実施し、なければ(ステップS7のN)、一連の処理を終了する。なお、ネットワーク4から直接、圧縮符号列がデジタル複写機1に送られてきた場合には、一度、圧縮符号列をページメモリ25に送り、復号化部24aでバンド単位に復号し、得られた画像データを、タイル分割しながら符号化すればよい(ステップS6)。もちろん、ネットワーク4から送られてきた圧縮符号列が適切にタイル分割されていれば、このようなステップS6,S7の処理をスルーすればよい。
【0048】
一方、ステップS5の判定の結果、適合したサイズで、適合しない向きの用紙も存在しなければ(ステップS5のN)、指示どおりの画像を出力することができないので、図示しないディスプレイにエラーを表示する(ステップS8)。
【0049】
このようにして、圧縮符号化された符号列は、ページメモリ25やハードディスク27に記憶され、プリンタエンジン2で画像形成するときには、復号化部24a,24bにより復号され(第1の復号手段、第2の復号手段)、復号後の画像データはRGB→CMYK変換部28に出力されて、プリンタエンジン2における画像形成に供される。
【0050】
次に、符号化部23aを用いて、タイル分割せずに1ページ分の画像の圧縮符号列化を行う処理(ステップS3)の詳細について、図4を参照して説明する。
【0051】
図4において、スキャナ3から読み込まれた、または、ネットワーク4から送られてきた画像データは、バンド単位にバンドバッファ22に格納される(ステップS11)。本例のバンドバッファ22が格納可能な画像データの容量は、600dpiの1画素あたり8ビットの画像データをA4サイズの4分の1だけ格納できる容量である。但し、前述したように、ウェーブレット変換のオーバーラップ時に参照する隣接画素分の画像データは、これとは別に格納可能である。
【0052】
バンドバッファ22に格納された1バンド分の画像データは、符号化部23aで、タイル分割せずに符号化されて、ページメモリ25に格納される(ステップS12)。ここで、符号化部23aは、まず色変換によってRGB信号を輝度色差信号に変換し、輝度色差をそれぞれウェーブレット変換し、ウェーブレット変換係数をエントロピー符号化する。本例では、6階層のウェーブレット変換を水平垂直方向に実施し、その結果、画像データは図5に示すようにオクターブ分割される。図5において、インデックスの数字はウェーブレット変換の階層数を意味し、数字が小さくなるに従い高周波となっている。LLは低周波係数で第6階層にしか存在せず、HL,LH,HHは高周波成分で各階層に存在する(煩雑さを避けるため、図5においては第2階層までしか表示しない)。このように分割されたウェーブレット変換係数に対してエントロピー符号化が実施されることになるが、より重要な情報を優先的に符号化するべく、エントロピー符号化の実行時にはウェーブレット変換係数を図6のようにシフトして符号化する。ここで、図6において、左右方向は各係数のビットプレーンの広がりを意味し、一つの係数においては最左側がMSB(最上位ビット)、最右側がLSB(最下位ビット)である。重要な情報を優先的に符号化するとは、具体的には、重要度の高いLL6のみを含むビットプレーン群Aをまず符号化し、次いでビットプレーン群B、C、D,Eの順で順次符号化していくことを意味する。なお、本例においては、簡単の為に輝度色差の量子化方法を全く同じとし、かつ、各ビットプレーン群の重要度も輝度色差で異ならないものとする。すなわち、輝度のビットプレーン群A,B,C,D,Eは、それぞれ色差のビットプレーン群A,B,C,D,Eと同じ重要度として認識され、以下において、例えば「ビットプレーン群Eを削減する」と記したときには、輝度と色差のそれぞれからビットプレーン群Eを削減することを意味する。但し、本例と異なり、輝度色差の重要度の違いを利用して輝度色差の重要度に相対的に差を設け、あるいは、ビットプレーン群の構成を変えてもよい。
【0053】
次に、量子化の動作について説明する。符号化部23aによって符号化された第一の圧縮符号列は、コントローラの指示によって、設定された量子化率に従って量子化される(ステップS12)。ここで、量子化率は、符号化開始当初は量子化を全く行わないように設定されているが、ページメモリ25の容量と第一の圧縮符号列の符号量との関係に基づき、必要に応じて設定が変更されていく。
【0054】
この量子化は、図6に示したビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で実行される。具体的には、圧縮符号列から情報を削減する際に、各ビットプレーン群を符号化して得られる符号を単位として情報を削減する。例えば、量子化率の設定がビットプレーン群Eを量子化するように設定されている場合には、エントロピー符号化されたデータのうちから、ビットプレーン群Eに該当する情報であるHH1係数、および、LH1,HL1,HH2,LH2,HL2,HH3の下位ビットプレーンの情報を削除する。このとき、本例の圧縮符号列はビットプレーン単位に符号化されているために、圧縮符号列状態のまま容易に情報の削減が可能である。あるいは、量子化対象であるビットプレーン群については初めからエントロピー符号化しないという方法も取りえる。
【0055】
次に、量子化率の設定ついて説明する。量子化率の再設定とは、ページ全体の量子化度合いをより強くするように量子化率を設定しなおすことを意味する。具体的には、ページメモリ25に格納された符号化済みのバンドの総符号量F2を取得し、また、ページメモリ25の容量F1、画像データ1ページ分を構成する全バンド数N、および符号化済みのバンド数nから(F1/N×n)を計算する(ステップS13)。
【0056】
ついでコントローラ5は、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立するか否かを判断し(ステップS14)、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立すれば(ステップS14のY)、量子化率を再設定する(ステップS15)。この判定式の意味を以下説明すると、(F1/N×n)は、各バンドの情報量が等しいと仮定した場合にページメモリ25に格納されるべき情報量の上限である。例えば、Nが4、nが3のときは、“F1/N×n=F1×0.75”となり、圧縮符号列はページメモリ25の75%以下の容量を占めるべきであることを意味する。すなわち、「“(F1/N×n)<F2”の関係が成立すれば、量子化率を再設定する」とは、各バンドの情報量が等しいと仮定した場合の予想情報量(F1/N×n)に対して、実際に符号化済みのバンドの総符号量F2が少しでも上回れば量子化率を再設定することを意味する。
【0057】
“(F1/N×n)<F2”の関係が成立して(ステップS14のY)、量子化率を再設定した場合(ステップS15)、再設定後に符号化するバンドの量子化率を新たに設定された量子化率で量子化する(ステップS12)だけではなく、ページメモリ25に格納済みの圧縮符号列についても再量子化を実行する(ステップS16)必要がある。その理由は、1ページの画像内で量子化率が変動すると画像品質がページ内で変動し、見る者に違和感を感じさせる恐れがあるためである。
【0058】
図7を参照して、ページメモリ25に格納された圧縮符号列の量子化について説明する。図7では、ページメモリ25の容量を外枠とし、この容量を各バンドの情報が埋めていく様子を模式的に示している。図7(a)には第1バンド、第2バンドまでをページメモリ25に格納した状態が示されている。このとき、当初は量子化を全く行わないように量子化率が設定されているため、各バンド内にはビットプレーン群A,B,C,D,Eを表わす情報がすべて格納されている。図7(a)の第一バンドでは、この情報を単にA,B,C,D,Eと記し、図7(a)の第二バンドおよび図7、図8内のその他の図においては,特にA,B,C,D,Eとは記さないが、図7又は図8において、バンド又はタイル内部の情報を点線で区切って示した場合には、上方から順に情報A,B,C,D,Eを意味するものとする。
【0059】
図7(a)の状態において、“(F1/N×n)<F2”の関係が成立した場合、コントローラは量子化処理を実行し、ページメモリ25内の圧縮符号列から情報Eを削減する。削減後の図を図7(b)に示すが、情報Eが削減された結果、各バンドとも符号量が減少している。
【0060】
図4に戻り、ページメモリ25に格納済みの圧縮符号列について量子化を実行した(ステップS16)後、コントローラ5は、処理対象であったバンドが1ページを構成するバンドのうち最後のバンドであったか否かを判定し(ステップS17)、最後のバンドでなければ、コントローラ5はバンドバッファ22をクリアする。ただし、符号化対象であるバンドのウェーブレット変換に必要な画素値はクリアせずにバンドバッファ22内に残して、これを符号化に利用する。これにより、量子化を実施したときにバンドの境界に境界歪が発生することを防止できる。
【0061】
次いで、コントローラ5は、次のバンドの画像データをバンドバッファ22に読み込ませ(ステップS17のN,S11)、符号化部23aは、新たに読み込まれたバンドを構成する画像データの符号化を開始する。最後のバンドであれば(ステップS17のY)、符号化部23aによる符号化処理が終了する。このときには、図7(c)に示すように、1ページを構成する全バンドがページメモリ25に格納されている。
【0062】
続いて、符号化部23bを用いて、タイル分割して1ページ分の画像の符号化を行う処理(ステップS6)の詳細について説明する。かかる処理としては2つの方式が考えられるので、以下では、この各方式について説明する。
【0063】
1つ目の方式は、初めから画像をタイル分割して符号化する方式である。この場合における処理としては、ステップS12を符号化部23aでなく、符号化部23bで行ない、この符号化部23bでの圧縮符号化を、符号化部23aによる圧縮符号化を経ていない画像データに対して行うことにより、図4の処理と同様に行うことができる(第2の符号化手段、第2の符号化処理)。
【0064】
この方式では、符号化の処理スピードは速いが、量子化を実施しなければならなくなった場合には(ステップS12,S15,S16)、タイル境界歪が発生してしまう。このような符号化方式を、以下、「タイル分割符号化方式A」と記す。
【0065】
次に、2つ目の方式は、それを採用するデジタル複写機1において、画像の回転処理が必要な場合にのみステップS6の処理を実施することにより、画像の回転を実施しない場合には高画質な画像を得ることを可能とするものである。
【0066】
この2つ目の方式は、まず、画像をタイル分割せずに符号化して、この段階で量子化を実施し、次いで、タイル分割されていない圧縮符号列を、タイル分割された圧縮符号列へと変換する方式である。この方式の場合には、符号化の処理速度は遅いが、量子化をしなければタイル分割された圧縮符号列をページメモリ25に格納することができない画像データに対しても、タイル境界歪を発生させずにタイル分割を行った圧縮符号化を実施することができる。このような符号化方式を、以下、「タイル分割符号化方式B」と記す。この2つ目の方式を採用するデジタル複写機1においては、画像の回転処理が必要な場合にのみ、図3のステップS6の処理を実施することにより、画像の回転を実施しない場合には、高速に画像形成をすることができる。
【0067】
以下、「タイル分割符号化方式B」の処理の詳細を、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図9において、コントローラ5は、スキャナ3から読み込まれた、または、ネットワーク4から受信した画像データを、バンド単位にバンドバッファ22に格納する(ステップS21)。本例のバンドバッファ22が格納可能な画像データの容量は、600dpiの1画素あたり8ビットのRGBの3色からなる画像データをA4サイズの4分の1だけ格納できる容量である。但し、上述したように、ウェーブレット変換のオーバーラップ時に参照する隣接画素分の画像データはこれとは別に格納可能である。
【0069】
バンドバッファ22に格納された1バンド分の画像データは、符号化部23aでタイル分割せずに符号化されて、ページメモリ25に格納される(第1の符号化手段、第1の符号化処理)(ステップS22)。ここで、符号化部23aは、まず、色変換によってRGB信号を輝度色差信号に変換し、輝度色差をそれぞれウェーブレット変換し、ウェーブレット変換係数をエントロピー符号化する。本例では、6階層のウェーブレット変換を水平垂直方向に実施し、その結果、画像データは、図5に示すようにオクターブ分割される。図5において、インデックスの数字はウェーブレット変換の階層数を意味し、数字が小さくなるに従い高周波となっている。LLは低周波係数で第6階層にしか存在せず、HL,LH,HHは高周波成分で各階層に存在する(煩雑さを避けるため、図5においては第2階層までしか表示しない)。このように分割されたウェーブレット変換係数に対して、上述のエントロピー符号化が実施されることになるが、より重要な情報を優先的に符号化するべく、エントロピー符号化の実行時にはウェーブレット変換係数を図6のようにシフトして符号化する。ここで、図6において、左右方向は各係数のビットプレーンの広がりを意味し、一つの係数においては最左側がMSB(最上位ビット)、最右側がLSB(最下位ビット)である。重要な情報を優先的に符号化するとは、具体的には、重要度の高いLL6のみを含むビットプレーン群Aをまず符号化し、次いで、ビットプレーン群B,C,D,Eの順で順次符号化していくことを意味する。なお、本例においては簡単の為に輝度色差の量子化方法を全く同じとし、かつ、各ビットプレーン群の重要度も輝度色差で異ならないものとする。すなわち輝度のビットプレーン群A,B,C,D,Eはそれぞれ色差のビットプレーン群A,B,C,D,Eと同じ重要度として認識され、以下において、例えば、「ビットプレーン群Eを削減する」と記したときには、輝度と色差のそれぞれからビットプレーン群Eを削減することを意味する。但し、本例と異なり、輝度色差の重要度の違いを利用して輝度色差の重要度に相対的に差を設け、あるいは、ビットプレーン群の構成を変えてもよい。
【0070】
次に、量子化の動作について説明する。符号化部23aによって符号化された第一の符号列は、コントローラ5の指示によって、あらかじめ設定された量子化率に従って量子化される(ステップS22)。ここで量子化率は、符号化開始当初は量子化を全く行わないように設定されているが、ページメモリ25の容量と第一の符号列の符号量との関係に基づき、必要に応じて設定が変更されていく。
【0071】
この量子化は、図6に示したビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で実行される。具体的には、圧縮符号列から情報を削減する際に、各ビットプレーン群を符号化して得られる符号を単位として情報を削減する。例えば、量子化率の設定がビットプレーン群Eを量子化するように設定されている場合には、エントロピー符号化されたデータのうちからビットプレーン群Eに該当する情報であるHH1係数およびLH1,HL1,HH2,LH2,HL2,HH3の下位ビットプレーンの情報を削除する。このとき、本例の圧縮符号列はビットプレーン単位に符号化されているために圧縮符号状態のまま容易に情報の削減が可能である。あるいは、量子化対象であるビットプレーン群については初めからエントロピー符号化しないという方法も取り得る。
【0072】
次いで、量子化後の第一の符号列の符号量をコントローラ5内のメモリに記憶する(ステップS22)。本例で、コントローラ5は、第一の符号列の符号量をそのメモリに格納する際、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で符号量を格納する。以下、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの符号量をそれぞれ量a,a,a,a,aと記し、全ての符号量の和をaと記す。すなわち、“a=a+a+a+a+a”である。
【0073】
また、符号化部23bは、バンドバッファ22に格納された画像データを符号化して第二の符号列を得て、その第二の符号列自体はそのまま破棄して、符号量のデータのみをコントローラ5内のメモリに記憶する(ステップS23)。
【0074】
ところで、本例のコントローラ5は、第二の符号列の符号量をコントローラ5のメモリに格納する際、第一の符号列の場合と同様、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの単位で符号量を格納する。以下、ビットプレーン群A,B,C,D,Eの符号量をそれぞれ量b,b,b,b,bと記し、全ての符号量の和をbと記す。すなわち、“b=b+b+b+b+b”である。この符号化部23bによる符号化は、符号化部23aによる符号化と同時に実行すると処理時間を短縮化することができる。
【0075】
次に、量子化率の再設定の処理(S24〜S28)は、前述のステップS13〜S17と同様の内容であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
ページメモリ25に格納済みの圧縮符号について量子化を実行した(量子化手段)(ステップS27)後、コントローラ5は処理対象であったバンドが1ページを構成するバンドのうち最後のバンドであったかを判定し(ステップS28)、最後のバンドでなければ(ステップS28のN)、コントローラ5はバンドバッファ22をクリアする。ただし、符号化対象であるバンドのウェーブレット変換に必要な画素値はクリアせずにバンドバッファ22内に残して、これを符号化に利用する。これにより、量子化を実施したときにバンド境界に境界歪が発生することを防止できる。次いで、コントローラ5は次のバンドの画像データをバンドバッファ22に読み込ませ(ステップS21に戻る)、符号化部23aは新たに読み込まれたバンドを構成する画像データの符号化を開始する。
【0077】
最後のバンドであれば(ステップS28のY)、符号化部23aによる符号化処理が終了する。このときには図7(c)に示すように、1ページを構成する全バンドがページメモリ25に格納されている。そして、ステップS29において、コントローラ5は、asum,bsumを計算する。ここで、asumとは符号量a,a,a,a,aのうちから第一の符号列を作成する際に量子化されなかったビットプレーン群に関する符号量のみを抽出し、これを全バンドにわたって加算した値である。また、bsumとは、符号量a,a,a,a,aのうちから第一の符号列を作成する際に量子化されなかったビットプレーン群に関する符号量のみを抽出し、これを全バンドにわたって加算した値である。例えば、第一の符号列がビットプレーン群E,D,Cを量子化された状態でページメモリ25に格納されていればasumは(a+aa)を全バンドにわたって加算した値であり、bsumは(b+b)を全バンドにわたって加算した値である。
【0078】
ステップS30では、ページメモリ25に格納された第一の符号列の符号量F2、またページメモリ25の容量F1を用いて“F1×asum/bsum<F2”が成立するか否かが確認される。この条件が成立することは(ステップS30のY)、第一の符号列を第二の符号列に変換した場合に、第二の符号列がページメモリ25の容量を越えることを意味するので、“F1×asum/bsum<F2”が成立しなくなるように量子化率の再設定が行なわれる(ステップS31)。具体的には、ページメモリ25内の第一の符号列をさらに量子化した場合に“F1×asum/bsum<F2”が成立するか否かを再計算し、この式が成立しなくなるまで量子化を繰り返す。この再計算においては、asum,bsumとして量子化後の値を使用し、例えばビットプレーン群A、Bによって構成される第一の符号列からビットプレーン群Bをさらに量子化する場合にはasumとしてaを全バンド分加算した値を、bsumとしてbを全バンド分加算した値を使用する。これによって、量子化後に第一の符号列から変換される第二の符号列の正確な符号量を得ることができる。なお、ビットプレーン群がAのみとなっても“F1×asum/bsum<F2”が成立する場合には、所定のエラー報知によって、画像の回転処理を必要とする機能が実行できない旨をユーザに知らせるか、解像度を落として画像データを再圧縮する。
【0079】
そして、“F1×asum/bsum<F2”が成立しない量子化率が得られた場合、再設定された量子化率に従ってページメモリ25内の第一の符号列を量子化する(量子化手段)(ステップS32)。以上の処理によって、第一の符号列を第二の符号列に変換しても、第二の符号列の符号量がページメモリ25の容量を越えないことが確実となったことになる。
【0080】
続いて、ページメモリ25から1バンド分の第一の符号列を読み出し、これを復号化部24aで復号して(第1の復号手段)、得られた画像データをバンドバッファ22に格納する(ステップS33)。格納された画像データは符号化部23bによって符号化されるが、上述したように本例におけるタイル分割は、図8(a)に示すように各バンドを4つのタイルに分割して行う。すなわちA4サイズの画像データは16のタイルに分割される。符号化部23bは各タイルを符号化し(第2の符号化手段、第2の符号化処理)、得られた圧縮符号をページメモリ25に格納する(ステップS34)。このとき、ステップS30,S31,S32の処理によって第二の符号列はさらに量子化しなくともページメモリ25に格納可能であることが分かっているので、ステップS34の符号化処理において量子化は実行しない。
【0081】
なお、どのバンドから「第一の符号列」を「第二の符号列」に変換するかという順序は、コントローラ5が各バンドについて第一の符号列の状態での符号量αおよび第二の符号列の状態での符号量βから“γ=α÷β”という値γを計算し、このγが大きなバンドから順に変換するものとする。この理由は以下の通りである。
【0082】
一般に画像データを符号化する際には、タイル分割して符号化する方が、タイル分割しないで符号化する方よりも符号量が大きくなる。しかし、タイルの境界部分での拡張仮想画素の取り方や画像データによっては、タイル分割して符号化する方が、タイル分割しないで符号化する方よりも符号量が小さくなることが起こり得る。かかる事態が生じた場合、第二の符号列の符号量が全体としてページメモリ25の容量以下であったとしても、「第一の符号列を第二の符号列に変換することによって符号量が減少するバンド」よりも「第一の符号列を第二の符号列に変換することによって符号量が増加するバンド」を先に処理してしまうと、一時的にページメモリ25に格納できないという事態が起こり得る。例えば、ページメモリ25が圧縮符号を格納可能な容量を100%としたとき、第一バンドが第一の符号列として20%、第二の符号列として24%を占め、第二バンドが第一の符号列として30%、第二の符号列として25%を占め、第三バンドが第一の符号列として25%、第二の符号列として30%を占め、第四バンドが第一の符号列として23%、第二の符号列として20%を占めるとき、第一の符号列は1ページ全体として98%、第二の符号列は1ページ全体として99%となり、どちらもページメモリ25に格納可能な容量である。しかし、はじめに第一バンドについて第一の符号列を第二の符号列に変換すると、その時点で符号量が全体で102%となりメモリ容量をオーバーしてしまう。
【0083】
そこで、本例では、γの値が大きなバンド、すなわち「第二の符号列の符号量に対する第一の符号列の符号量が相対的に大きなバンド」を優先的に処理することで、かかる不具合を回避し、1ページ分のページメモリしか持たない場合においても確実に量子化せずに第一の符号列を第二の符号列に変換可能である。上述の例でいえば、第一バンドではγ=0.83、第二バンドではγ=1.20、第三バンドではγ=0.83、第四バンドではγ=1.15であり、第二、第四、第一、第三バンドの順で処理を行えばよい。あるいは、上記のような不具合が生じるのはγの値が1を超えるバンドのみであるので、γ>1であるバンドについて優先的に処理を行うようにしてもよい。
【0084】
そして、ステップS35においては、全てのバンドについて符号化部23bによる符号化処理が終了したか否かを確認し、処理が終了する。
【0085】
符号化部23bによる符号化処理が終了した時、ページメモリ25には第二の符号列が第一の符号列から量子化せずに変換されて格納されている。従って、この符号は、タイルごとに圧縮された非可逆圧縮符号でありながらタイル境界歪はまったく発生しない。
【0086】
符号化部23bによる符号化処理が終了した時、ページメモリ25には第二の符号列が図7(d)の状態で格納されている。図7(d)では、第一の符号列から量子化せずに第二の符号列へと変換されたために、タイルごとに圧縮された非可逆圧縮符号でありながらタイル境界歪はまったく発生していない。これに対し、初めからタイル分割して符号化を行い、これを適宜量子化した場合の模式図を図8に示す。図8では、圧縮符号がページメモリ25に格納できなかった場合に、(a)から(b)に量子化されることによって圧縮符号が大きく量子化される。これによって最終的に得られた圧縮符号(c)では、タイル境界歪が目立った画像が生成されることになる。
【0087】
このように、本例では、タイルに分割しない状態で符号化した第一の符号列に対して必要な量子化を施し、これを量子化せずにタイルに分割符号化された第二の符号列に変換することにより、タイル境界歪が発生しない圧縮符号を得ることができる。
【0088】
以上説明した「タイル分割符号化方式A」および「タイル分割符号化方式B」のいずれを使用する場合でも、得られた圧縮符号列はコントローラ5内のメモリに記憶されたタイルごとの先頭アドレス値を参照することでタイル単位に読み出すことができるので、必要な順序で各タイルを読み出して電子ソート機能(後述する)または給紙トレイ自動切換機能を実現することができる。
【0089】
次に、画像の回転処理について詳細に説明する。
【0090】
デジタル複写機1において、A4用紙の長辺が搬送方向となるように用紙の搬送を行う場合には、図10(b)に示すように、コントローラ5内のメモリを参照して、第一〜第四タイル(インデックス1〜4)の圧縮符号列をページメモリ25から読み出し、この圧縮符号列を復号化部24bで復号してバンドバッファ22に画像データを展開する。そして、この画像データを図10(b)に示す矢印方向に読み出して、次工程の処理を行う。一方、A4用紙の短辺が搬送方向となるように搬送する場合には、図10(c)に示すように、コントローラ内のメモリを参照して第一、第五、第九、第十三タイル(インデックス1,5,9,13)の圧縮符号列をページメモリ25から読み出し、この圧縮符号列を復号化部24bで復号してバンドバッファ22に画像データを展開する。そして、この画像データを図10(c)に示す矢印方向に読み出して、次工程の処理を行う。このように、タイル分割された圧縮符号列を用いれば、画像を回転させて出力させることが可能である。
【0091】
なお、以下において、印刷出力される画像に適合したサイズ及び向きの用紙が存在するなどの理由により、ページメモリ25から画像を回転させないで読み出す処理を「無回転順序での読み出し処理」と記し、また、出力される画像に適合したサイズ及び向きの用紙が存在しないが、適合したサイズ及び適合しない向きの用紙は存在するなどの理由により、ページメモリ25から画像を回転させて読み出す処理を「回転順序での読み出し処理」と記す。
【0092】
また、本例では最終的に得られる圧縮符号列がタイル単位で独立に復号可能であるので、復号化部24bは並列処理によって復号を行なことも可能である。具体的には、図11に示すように、復号化部24bは復号器51〜54という4つの復号器から構成され、各復号器51〜54がタイル単位で復号を行う。したがって、並列処理が可能となり、復号処理ひいては画像形成処理が高速化する。これによって、タイル分割符号化Bを実施することによる処理の遅れを補うこともできる。
【0093】
次に、画像の印刷出力の際の処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0094】
なお、画像の符号化時から印刷出力時までの間に用紙が補充されることや、先に出力要求をしたユーザによって用紙が消費されてしまうこともあるので、画像出力時にも適切な記録用紙があるか否かを判断しながら、かかる処理を行なう。
【0095】
図12において、コントローラ5は定期的に画像の印刷出力の要求の有無を判断し(ステップS41)、印刷出力の要求があれば(ステップS41のY)、以下の処理を開始する。
【0096】
まず、ステップS42において、出力画像に適合したサイズ、かつ、適合した向きの用紙が存在するか否かが判断され、存在する場合には(ステップS42のY)、無回転順序での読み出し処理によって、1バンド分の画像データがバンドバッファ22に読み出され(ステップS43)、読み出された画像データは、図10を参照して前述した読み出し順序に従い、次工程に送られる(ステップS44)。そして、これが最後のバンドか否かが判定され(ステップS45)、最後のバンドでなければ(ステップS45のN)、ステップS43に戻って次のバンドを読み出し、最後のバンドであれば(ステップS45のY)、最後のページであるか否かが判定され(ステップS46)、最後のページであれば(ステップS46のY)、一連の処理を終了し、最後のページでなければ(ステップS46のN)、ステップS42に戻って、処理が続けられる。
【0097】
ステップS42において、初めから適合したサイズかつ適合した向きの用紙がない場合、または、画像形成動作で消費されたことによってかかる用紙が空になってしまった場合には(ステップS42のN)、ステップS47において、適合したサイズであるが、向きが適合していない用紙が存在するか否かが判断される。そのような用紙がなければ(ステップS47のN)、指定された画像形成ができないので、図示しないディスプレイにメッセージを表示してエラーが報知される(ステップS53)。適合したサイズであるが、向きが適合していない用紙が存在する場合には(ステップS47のY)、圧縮符号列がタイル分割されているか否かが判断され(ステップS48)、タイル分割されていれば(ステップS48のY)、回転順序での読み出し処理によって1バンド分の画像データが、ページメモリ25からバンドバッファ22に読み出される(ステップS49)。読み出された画像データは、図10を参照して説明した読み出し順序で次工程に送られ(ステップS50)、ついで、現在処理したバンドが1ページの画像データにおける最後のバンドか否かが判断される(ステップS51)。最後でなければ(ステップS51のN)、ステップS49に戻って次のバンドが読み出され、最後であれば(ステップS51のY)、現在処理したページが最後のページであるかが判断される(ステップS52)。最後のページであれば(ステップS52のY)、一連の処理が終了し、そうでなければ(ステップS52のN)、ステップS47に戻る。
【0098】
ステップS48において、ページメモリ25内の圧縮符号列がタイル分割されていないと判断された場合には(ステップS48のN)、圧縮符号列はバンド単位でバンドバッファ22に復号され(ステップS54)、バンドバッファ22内の画像データがタイル分割されて符号化され(ステップS55)、ページメモリ25に格納される(ステップS56)。ついで、全バンドが処理されたか否かが判断され(ステップS57)、全バンドすなわち1ページ分の処理が終了していれば(ステップS57のY)、ステップS49の処理に移って画像が回転出力され、1ページ分の処理が終了していなければ(ステップS57のN)、ステップS54に戻って、次のバンドが読み出される。
【0099】
以上の処理によって、画像は適宜回転されて印刷出力される。
【0100】
なお、図12のステップS55において、画像をタイル分割符号に変換する際に、タイル分割によって符号量が増える場合がある。このような場合には、ページメモリ25に格納可能な符号量になるように量子化を行なう必要があるが、この量子化によって発生するタイル境界歪は、画像データをいきなりタイル分割して符号化する場合に比べて低減されている。なぜなら、タイル分割せずにページメモリ25に圧縮符号列を格納する際に、ある程度の量子化が行なわれているので、タイル分割前の圧縮符号列からタイル分割された圧縮符号列への変換時に削減される情報は比較的少ないためである。このように、本例では、第一の圧縮符号列の状態でページメモリ25に格納した画像をタイル分割するために、はじめからタイル分割する場合と比較してタイル境界歪を低減することができる。このように、画像形成途中で用紙がなくなるなど、画像の回転が必要な状況が生じた時点で画像を回転可能な圧縮符号列への変換を行なうことにより、画像の回転前の印刷出力においても、画像の回転後の印刷出力においても、高画質な画像を形成することが可能となる。
【0101】
なお、ステップS55において、タイル境界歪が少しでも発生することを避けるためには、はじめにタイル分割せずに圧縮する際に、図10を参照して説明した処理に従い、タイル分割する場合としない場合の符号量を求めておき、タイル分割後の符号を量子化しないように、充分な量子化をタイル分割前の符号に施しておけばよい。このように、タイル境界歪をまったく発生させない圧縮符号列変換方式を、以下「圧縮符号列変換方式B」と記し、このようなことを考慮せずに圧縮符号列の変換を行なう圧縮符号列変換方式を、以下「圧縮符号列変換方式A」と記す。
【0102】
表1には、本例で説明したさまざまな処理を組み合わせた場合のメリット、デメリットを一覧表で示している。
【0103】
【表1】
Figure 0004017109
【0104】
表1には記載していないが、どの組み合わせの場合においても共通の効果として、画像の回転が必要な場合にのみタイル分割を行なうことによって、常にタイル分割を行なう場合と比べて、高画質な画像が得られるというメリットを挙げることができる。これは、一般に、タイル分割によって圧縮率が悪化するためである。表1に記したのは、このメリットに加えて、各方式の組合せでさらにどんなメリットがあるかである。
【0105】
なお、表1において、デメリットとして処理速度の遅さが挙げられている組合せがあるが、プリンタエンジン2における画像形成動作が適正な時間内で終了すること、すなわち、単位時間あたりに所定数の画素を書込装置14K〜14Yに送るという機能さえ果たすことができれば、圧縮符号化にある程度を要したとしても問題は少ない。また、タイル分割に時間を要したとしても、その後に画像の回転処理を実施する際には、読み出すタイルの順序を変えるだけで、処理を高速化することができる。このため、電子ソート機能などを用いる場合において、回転のたびに画像を圧縮しなおす方式に比べると、出力時間全体としてはむしろ高速化されている。
【0106】
なお、本例のページメモリ25を、互いに等しい容量を有し、それぞれA4サイズ1ページ分の圧縮符号列を格納するために設けられた2つのメモリで構成されたダブルメモリとし、ページメモリ25全体としては、A4サイズ2ページ分の画像データを圧縮符号列として格納することができるようにしてもよい。かかる構成とすることにより、連続出力の際にはダブルメモリのいずれか一方に格納された1ページ分の圧縮符号列を読み出して画像形成しつつ、他方にはハードディスク27から読み出した次のページの圧縮符号列を格納することが可能となる。
【0107】
また、後述するように、第一の圧縮符号列を復号して得た画像データを符号化部23bで符号化して第二の圧縮符号列を得る場合には、ダブルメモリのいずれか一方に第一の圧縮符号列を格納し、符号化部23aで符号化された第二の圧縮符号列は他方に格納することによって、煩雑なメモリ管理を行うことなく第二の圧縮符号列を得ることができる。またA3サイズの画像を扱う場合にはダブルメモリの両方でA3サイズ1枚分の画像データを格納することができる。
【0108】
さらに、タイル分割符号化方式Bについては、バンドバッファ22に格納された画像データに対して、まず符号化部23bが符号化処理を行ない、そして、第二の圧縮符号列がページメモリ25に格納されれば、画像形成動作を開始する一方、第二の圧縮符号列がページメモリ25に格納できなかった場合には、量子化せずにページメモリ25に格納することができないと判明した時点で、図9を参照して説明した処理を実施するようにしてもよい。かかる構成とすれば、はじめからタイル分割して第二の圧縮符号列とした場合でも、符号量が充分小さくなるような画像データに対しては、符号化部23aによる符号化処理および復号化部24aによる復号処理を実施しないですむため、高圧縮が可能な画像に対しては処理時間を短縮化することができる。
【0109】
また、本例のデジタル複写機1は、A4サイズの画像の出力時に電子ソート機能を実行することもできる。すなわち、電子ソート機能の実行時には、第一部数目の出力時に給紙トレイ15a(又は給紙トレイ15b)に収納されたA4用紙に画像が記録され、第二部数目の出力時には給紙トレイ15b(又は給紙トレイ15a)に収納されたA4用紙に画像が記録され、その後順次、奇数部数目の出力時には給紙トレイ15a(又は給紙トレイ15b)に収納されたA4用紙に画像が記録され、偶数部数目の出力時には給紙トレイ15b(又は給紙トレイ15a)に収納されたA4用紙に画像が記録され、というように、交互に画像が記録される。このとき、奇数部数目の出力時には画像は回転されずに出力され、偶数部数目の出力時には画像が90度回転されて出力される。
【0110】
本例では、出力されるページ数が1よりも大きく、かつ出力部数が1よりも大きい場合に電子ソート機能を実行すると判断し、コントローラ5が、前述のタイル分割符号化方式Aまたはタイル分割符号化方式Bによってタイル分割された圧縮符号列を作成する。
【0111】
従って、常にタイル分割を実施する場合と比べ、電子ソート機能を実行する場合、すなわち、画像の回転処理が必要な場合にのみタイル分割処理を実行するので、電子ソート機能を実行しない場合には、高画質な画像が得られる(タイル分割符号化方式Aを採用する場合)か、または、高速な処理(タイル分割符号化方式Bを採用する場合)が可能となる。
【0112】
【発明の効果】
請求項1,5,7、8などに記載の発明は、必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。具体的には、画像の回転処理が必要なときは画像を複数の領域に分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【0113】
請求項2、6に記載の発明は、圧縮符号化した符号列を量子化する場合、領域分割して圧縮符号化した場合でも、領域の境界における歪みを防止、または、低減して、画質の劣化を防止することができる。
【0114】
請求項3に記載の発明は、収納部に収納されている媒体のサイズ、向きに応じて、画像の向きを回転して利用したい場合など、領域分割が必要なときには領域分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【0115】
請求項4に記載の発明は、画像の向きを回転して利用したい場合は、それを可能とするように画像を領域分割して圧縮符号化する一方で、不要なときは領域分割を行わずに画像を圧縮符号化し、領域の境界における歪みを防止して、画質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるデジタル複写機の概略構成を示す説明図である。
【図2】デジタル複写機の符号化部(a)、復号化部(b)、符号化部(c)の機能ブロック図である。
【図3】デジタル複写機が行う画像の符号化処理のフローチャートである。
【図4】ステップS3のサブルーチンのフローチャートである。
【図5】JPEG2000によるオクターブ分割の説明図である。
【図6】エントロピー符号化の実行時に行なうウェーブレット変換係数のシフトについて説明する説明図である。
【図7】圧縮符号の量子化について説明する説明図である。
【図8】圧縮符号の量子化について説明する説明図である。
【図9】ステップS6のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図10】タイル分割について説明する説明図である。
【図11】復号化部の構成について説明する説明図である。
【図12】デジタル複写機が行う画像の印刷出力の際の処理について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 プリンタエンジン
25 記憶装置
26 画像処理装置

Claims (8)

  1. 画像データを複数の領域に分割することなく圧縮符号化して符号列を得る第1の符号化手段と、
    画像データを複数の領域に分割して領域ごとに独立に圧縮符号化して符号列を得る第2の符号化手段と、
    前記第1の符号化手段による圧縮符号化後の符号列を復号する第1の復号手段と、
    前記第2の符号化手段による圧縮符号化後の符号列を復号する第2の復号手段と、
    前記画像データの回転処理の必要の有無を判定する判定手段と、
    前記判定手段によって前記回転処理が必要と判定された場合には、前記第2の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択し、前記回転処理が必要でないと判定された場合には、前記第1の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択する選択手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第1の符号化手段は、当該符号化手段で圧縮符号化した符号列を量子化する量子化手段を更に有し、
    前記第1の復号手段は、前記量子化手段による量子化後の符号列を復号し、
    前記第2の符号化手段は、前記第1の復号手段による復号後の画像データを入力として前記圧縮符号化を行う、
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像処理装置と、
    前記第1または第2の復号手段による復号後の画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンと、
    前記プリンタエンジンに供給する前記媒体を収納する複数の収納部と、
    前記複数の各収納部内の前記媒体の有無を検出するセンサと、
    を備え、
    前記判定手段は、前記センサの検出信号に基づいて前記画像データの回転の必要の有無を判定する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1または2に記載の画像処理装置と、
    前記第1または第2の復号手段で復号後の画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンと、
    を備え、
    前記判定手段は、前記プリンタエンジンによる画像の形成中に所定のタイミングで前記画像データの回転処理が必要か否かを判定し、
    前記選択手段は、前記判定手段によって前記回転処理が必要と判定された場合には前記第2の符号化手段による圧縮符号化を実行することを選択し、回転処理が必要ではないと判定された場合には前記第1の符号化手段による圧縮符号化を実行することを選択する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  5. 画像データを複数の領域に分割することなく圧縮符号化して符号列を得る第1の符号化ステップと、
    画像データを複数の領域に分割して領域ごとに独立に圧縮符号化して符号列を得る第2の符号化ステップと、
    前記第1の符号化ステップによる圧縮符号化後の符号列を復号する第1の復号ステップと、
    前記第2の符号化ステップによる圧縮符号化後の符号列を復号する第2の復号ステップと、
    前記画像データの回転処理の必要の有無を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップによって前記回転処理が必要と判定された場合には、前記第2の符号化ステップによる前記画像データの圧縮符号化を選択し、前記回転処理が必要でないと判定された場合には、前記第1の符号化手段による前記画像データの圧縮符号化を選択する選択ステップと、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  6. 前記第1の符号化ステップは、当該符号化ステップで圧縮符号化した符号列を量子化する量子化ステップを更に有し、
    前記第1の復号ステップは、前記量子化ステップによる量子化後の符号列を復号し、
    前記第2の符号化ステップは、前記第1の復号ステップによる復号後の画像データを入力として前記圧縮符号化を行う、
    ことを特徴とする請求項5記載の画像処理方法。
  7. 請求項1または2記載の画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 請求項1または2記載の画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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