JPH08288852A - 量子化装置及び量子化方法 - Google Patents

量子化装置及び量子化方法

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JPH08288852A
JPH08288852A JP8582295A JP8582295A JPH08288852A JP H08288852 A JPH08288852 A JP H08288852A JP 8582295 A JP8582295 A JP 8582295A JP 8582295 A JP8582295 A JP 8582295A JP H08288852 A JPH08288852 A JP H08288852A
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光弥 駒村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 信号振幅分布が異なる入力信号に対し、最適
な量子化を行なえ、量子化によるS/Nの劣化を抑制す
る。 【構成】 入力信号をブロック化して順次ブロック化信
号x(n)を出力するブロック化手段1と、ブロック化
信号x(n)を構成する入力信号の振幅分布の標準偏差
σを求める標準偏差演算手段2と、互いに異なる確率密
度関数にて設計され、入力された信号を量子化する複数
の量子化手段5と、標準偏差演算手段2により求められ
た標準偏差σ及び当該標準偏差σに対応するブロック化
信号x(n)に基づき、複数の量子化手段5のうちいず
れか一つの量子化手段5を選択するための選択信号SQS
を出力する選択制御手段3と、ブロック化信号x(n)
を選択信号SQSに対応する量子化手段5に入力すべく、
選択信号SQSに基づいて信号経路を切替える切替手段4
と、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力信号を量子化する
量子化装置、量子化方法に係わり、特に画像信号並びに
オーディオ信号等を圧縮して圧縮データを得るための量
子化装置及び量子化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】画像信号やオーディオ信号の高能率符号
化では、予測符号化、変換符号化、サブバンド符号化等
が用いられている。
【0003】予測符号化においては予測誤差が量子化さ
れ、変換符号化においては変換係数が量子化され、サブ
バンド符号化ではサブバンドフィルタ出力が量子化され
る。一般に画像信号やオーディオ信号等は非定常な性質
を有するものであるので、信号の変動に追従して量子化
器を適応させる適応量子化を用いることにより、固定の
量子化器を用いる場合に比べて量子化誤差を小さくでき
る。
【0004】適応量子化においては、平均値=0、標準
偏差=1に正規化された確率密度関数p(x)に対して
設計された最適量子化器の量子化境界及び量子化代表値
を、入力信号x(n)の標準偏差σ(n)倍することに
より信号パワーの変動に適応する。
【0005】この場合において、最適量子化器の量子化
境界及び量子化代表値は、入力信号x(n)の確率密度
関数p(x)を仮定し、量子化誤差が最小になるように
設計される。
【0006】従来、最適量子化器を設計する場合の入力
信号の振幅分布としては、ガウス分布あるいはラプラス
分布が仮定されていた。ここで、最適量子化を用いた符
号化装置の一例として、帯域分割にウェーブレット変換
を用いた入力画像データのサブバンド符号化について図
10乃至図12を参照して説明する。
【0007】サブバンド符号化装置50は大別すると、
図10に示すように、帯域分割部51と、量子化器52
と、量子化部53と、符号化部54と、を備えて構成さ
れる。
【0008】帯域分割部51は、フィールド毎あるいは
フレーム毎のウェーブレット変換を行なうことにより入
力画像データDIN’を各サブバンドデータDSB’に分割
し、分割された各サブバンドデータDSB’は、量子化部
53に入力される。
【0009】量子化部53は、量子化器52を複数有
し、各フィールド毎に、各サブバンドデータDSB’の標
準偏差σを求め、各サブバンドデータDSB’を各々与え
られたビット数で適応量子化し、サブバンド量子化出力
データDQSB ’を出力する。
【0010】サブバンド量子化出力データDQSB ’は、
符号化部54にて符号化され、符号化データDC’とし
て出力される。この場合において、符号化部54では2
次元ハフマン符号等が用いられる。
【0011】帯域分割部51における入力画像データD
IN’の2次元ウェーブレット変換は、図11に示すよう
に、第1の方向に1次元のサブバンド分割を行ない、さ
らに、第2の方向に1次元のサブバンド分割を行なうと
いう処理を、最も低域のサブバンドV1 (V2 、V3
…)に再帰的に適用することによって実現できる。
【0012】図11において、符号「H」及び符号
「G」は、ウェーブレット理論に基づいて設計されたク
オドラチャミラーフィルタ(QMF)であり、符号
「H」は低域通過フィルタを表し、符号「G」は高域フ
ィルタを表している。
【0013】この場合において、低域通過フィルタH及
び高域通過フィルタGのインパルス応答をそれぞれh
(n)及びg(n)とすると、 g(n)=(−1)(1-n) h(1−n) の関係を有している。
【0014】また、符号「↓2」は1/2デシメーショ
ンを表し、符号「〔 〕T 」は、行列の転置を表してい
る。上述したウェーブレット変換を3階層行なうことに
より画像の空間周波数は、図12に示すように10個の
サブバンドに分割される。
【0015】図12において、添字Lは低域サブバンド
を表し、添字Hは高域サブバンドを表し、数字は階層を
示す。このようにウェーブレット変換によりサブバンド
に分割された画像信号は各サブバンド毎に与えられたビ
ット数で適応量子化され、サブバンド符号化が行なわれ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の適応量子化
に用いる最適量子化器は、入力信号x(n)の振幅分布
をガウス分布あるいはラプラス分布であると仮定して量
子化境界及び量子化代表値を設定していたが、実際の信
号の振幅分布は仮定した確率密度関数p(x)(ガウス
分布あるいはラプラス分布)によって精度良く近似でき
ていないことがわかった。
【0017】この結果、実際の入力信号の振幅分布と異
なる確率密度関数を仮定して最適量子化器を構成するこ
とになり、量子化によるS/Nの劣化が増大するという
問題点が生じていた。
【0018】そこで、本発明の目的は、入力信号の振幅
分布が変動する場合でも良好な量子化を行なえる量子化
装置及び量子化方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、入力信号をブロック化して
順次ブロック化信号を出力するブロック化手段と、前記
ブロック化信号を構成する前記入力信号の振幅分布の標
準偏差σを求める標準偏差演算手段と、互いに異なる確
率密度関数に基いて設計され、入力された信号を量子化
する複数の量子化手段と、標準偏差演算手段により求め
られた標準偏差σ及び当該標準偏差σに対応する前記ブ
ロック化信号に基づき、前記複数の量子化手段のうちい
ずれか一つの量子化手段を選択するための選択信号を出
力する選択制御手段と、前記ブロック化信号を前記選択
信号に対応する量子化手段に入力すべく、前記選択信号
に基づいて信号経路を切替える切替手段と、を備えて構
成する。
【0020】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記量子化器は、一般化ガウス分布に基づ
き、量子化境界及び量子化代表値を設定するように構成
する。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記選択制御手段は、予め設定した所定範
囲の範囲内の振幅値を有する前記入力信号のブロック化
信号全体に対する割合を算出し、前記割合に基づいて前
記選択信号を出力するように構成する。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記所定範囲を、0±α・σ(α>0)の
範囲とするように構成する。請求項5記載の発明は、請
求項1記載の量子化装置において、前記選択制御手段へ
入力される標準偏差σとして、前回処理した前記ブロッ
ク化信号に対応する標準偏差σを用いるように構成す
る。
【0023】請求項6記載の発明は、入力信号をブロッ
ク化して順次ブロック化信号を出力するブロック化工程
と、前記ブロック化信号を構成する前記入力信号の振幅
分布の標準偏差σを求める標準偏差演算工程と、互いに
異なる確率密度関数に基いて設計され、入力された信号
を量子化する複数の量子化工程と、標準偏差演算工程に
より求められた標準偏差σ及び当該標準偏差σに対応す
る前記ブロック化信号に基づき、前記複数の量子化工程
のうちいずれか一つの量子化工程を選択する選択制御工
程と、前記選択に基づいて前記ブロック化信号を選択し
た量子化工程に入力させる切替工程と、を備えて構成す
る。
【0024】請求項7記載の発明は、請求項6記載の発
明において、前記量子化工程は、一般化ガウス分布に基
づき、量子化境界及び量子化代表値を設定するように構
成する。
【0025】請求項8記載の発明は、請求項6記載の発
明において、前記選択制御工程は、予め設定した所定範
囲の範囲内の振幅値を有する前記入力信号のブロック化
信号全体に対する割合を算出し、前記割合に基づいて前
記選択信号を出力するように構成する。
【0026】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明において、前記所定範囲を、0±α・σ(α>0)の
範囲とするように構成する。請求項10記載の発明は、
請求項6記載の発明において、前記選択制御工程へ入力
される標準偏差σとして、前回処理した前記ブロック化
信号に対応する標準偏差σを用いるように構成する。
【0027】
【作用】請求項1記載の発明によれば、ブロック化手段
は、入力信号をブロック化して順次ブロック化信号を標
準偏差演算手段及び選択制御手段に出力する。
【0028】標準偏差演算手段は、ブロック化信号を構
成する入力信号の振幅分布の標準偏差σを求め、選択制
御手段に出力する。選択制御手段は、標準偏差演算手段
により求められた標準偏差σ及び当該標準偏差σに対応
するブロック化信号に基づき、複数の量子化器のうちい
ずれか一つの量子化器を選択するための選択信号を切替
手段に出力する。
【0029】切替手段は、ブロック化信号を選択信号に
対応する量子化手段に入力すべく、選択信号に基づいて
信号経路を切替える。この結果、量子化手段は、入力さ
れたブロック化信号を量子化して出力する。
【0030】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の作用に加えて、量子化器は、入力信号の分布
を精度よく近似する。一般化ガウス分布に基づき、量子
化境界及び量子化代表値を設定するように構成するの
で、ガウス分布及びラプラス分布を含む広範囲の分布に
対応できる。
【0031】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の作用に加えて、選択制御手段は、予め設定し
た所定範囲の範囲内の振幅値を有する入力信号のブロッ
ク化信号全体に対する割合を算出し、割合に基づいて選
択信号を出力するので、選択処理を短時間に行なえる。
【0032】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明の作用に加えて、所定範囲を、0±α・σ(α
>0)の範囲とするように構成するので、少ない計算量
で実際の振幅分布を精度よく近似でき、近似した確率密
度関数に対応する量子化器を選択できる。
【0033】請求項5記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の作用に加えて、選択制御手段へ入力される標
準偏差σとして、前回処理したブロック化信号に対応す
る標準偏差σを用いるので、選択制御手段における演算
と標準偏差演算を並行して行なえる。
【0034】請求項6記載の発明によれば、ブロック化
工程は、入力信号をブロック化して順次ブロック化信号
を標準偏差演算工程に出力する。標準偏差演算工程は、
ブロック化信号を構成する入力信号の振幅分布の標準偏
差σを求め、選択制御工程に出力する。
【0035】選択制御工程は、標準偏差演算工程により
求められた標準偏差σ及び当該標準偏差σに対応するブ
ロック化信号に基づき、複数の量子化工程のうちいずれ
か一つの量子化工程を選択する。
【0036】切替工程は、選択制御工程における選択に
基づいてブロック化信号を選択した量子化工程に入力さ
せる。この結果、選択された量子化工程は入力されたブ
ロック化信号を量子化して出力する。
【0037】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の発明の作用に加えて、量子化工程は、入力信号の分
布を精度よく近似する一般化ガウス分布に基づき、量子
化境界及び量子化代表値を設定するので、ガウス分布及
びラプラス分布を含む広範囲の分布に対応できる。
【0038】請求項8記載の発明によれば、請求項6記
載の発明の作用に加えて、選択制御工程は、予め設定し
た所定範囲の範囲内の振幅値を有する入力信号のブロッ
ク化信号全体に対する割合を算出し、割合に基づいて選
択信号を出力するので、選択処理を短時間で行なえる。
【0039】請求項9記載の発明によれば、請求項8記
載の発明の作用に加えて、所定範囲を、0±α・σ(α
>0)の範囲とするので、少ない計算量で実際の振幅分
布を精度よく近似でき、近似した確率密度関数に対応す
る量子化工程を選択できる。
【0040】請求項10記載の発明によれば、請求項6
記載の発明の作用に加えて、選択制御工程へ入力される
標準偏差σとして、前回処理したブロック化信号に対応
する標準偏差σを用いるので、選択制御工程における演
算と標準偏差演算を並行して行なえる。
【0041】
【実施例】次に図面を参照して本発明の量子化装置の好
適な実施例を説明する。まず、図1を参照して実施例の
量子化装置の概要を説明する。
【0042】量子化装置は、大別すると、入力信号をブ
ロック化してブロック化信号を出力するブロック形成部
1と、各ブロック化信号を構成する入力信号の振幅の標
準偏差σ(n)を算出する標準偏差算出部2と、求めた
標準偏差σ(n)及びブロック化信号に基づいて量子化
器を選択するための量子化器選択信号を出力する量子化
器選択制御部3と、ブロック化信号を入力すべき量子化
器を切替える切替部4と、各々が相異なる確率密度関数
に基いて設計された複数の量子化器5と、を備えて構成
されている。
【0043】ブロック形成部1は、入力信号をブロック
化してブロック化信号x(n)を生成し、ブロック単位
で入力信号をバッファ等に保持する。標準偏差算出部2
は、各ブロック化信号x(n)毎に当該ブロック化信号
x(n)を構成する入力信号の振幅分布の標準偏差σ
(n)を求める。
【0044】量子化器選択制御部3は、標準偏差算出部
2により求めた標準偏差σ(n)及びブロック形成部1
において保持しているブロック化信号x(n)より、各
ブロック化信号の確率密度関数p(x)を推定し、当該
ブロック化信号の量子化に適した量子化器を選択するた
めの量子化器選択信号SQSをブロック形成部1及び切替
部4に出力する。
【0045】各量子化器5は、所望の量子化S/Nが得
られるように、各々異なる確率密度関数p(x)を仮定
して量子化境界及び量子化代表値を設定して設計されて
いる。
【0046】量子化器選択信号SQSに対応して、量子化
器5のいずれか一つが切替部4を介してブロック形成部
1に接続され、当該接続された量子化器5にブロック化
信号x(n)が入力されるように、ブロック形成部1に
ブロック化信号x(n)の出力が指令される。
【0047】これらと並行して、標準偏差算出部2によ
って求めた標準偏差σ(n)は、量子化器5に供給さ
れ、ブロック形成部1より出力される信号x(n)の適
応量子化を行なう。
【0048】量子化器選択信号SQSにより選択された量
子化器5にて量子化された量子化出力は、切替部4を介
して出力される。従って、ブロック化信号を構成する入
力信号の振幅分布の標準偏差に基づいて当該ブロック化
信号の確率密度関数を推定し、異なる確率密度関数に基
づいて設計された量子化器の中から量子化に適した量子
化器を選択して量子化を行なうので、量子化ノイズの発
生を抑制してS/Nの高い量子化出力を得ることができ
る。
【0049】次に、入力信号として画像信号を例にとり
各部の詳細を説明する。図2は、本発明の量子化装置を
用いたサブバンド符号化装置のブロック図である。
【0050】サブバンド符号化装置10は、入力画像デ
ータDINをフィールド単位でウェーブレット変換して各
サブバンドに分割し、複数のサブバンドデータDSBとし
て出力する帯域分割部11と、帯域分割部11により分
割されたサブバンド毎にサブバンドデータDSBの量子化
を行ないサブバンド量子化データDQSB として出力する
複数の量子化装置12を有する量子化部13と、量子化
部13により量子化されたサブバンド量子化データD
QSB を可変長符号化して符号化データDC として出力す
る符号化部14と、を備えて構成される。
【0051】帯域分割部11及び符号化部14の構成は
従来と同様であるので、以下の説明においては、量子化
装置12について図3を参照して詳細に説明する。量子
化装置12は、入力されたサブバンドデータDSBを、例
えば、1フィールド分だけ一時的に保持するバッファ1
5と、このバッファ15に保持したサブバンドデータに
基づいて、フィールド毎にサブバンドデータDSBの振幅
分布の標準偏差σを求めるとともに、量子化器選択制御
部17、第1量子化器18及び第2量子化器19へ、そ
の計算結果である標準偏差σを出力するσ計算部16
と、バッファ15に保持したサブバンドデータDSB及び
標準偏差σに基づいてサブバンドデータの確率密度関数
p(x)を推定し、量子化を行なうべき量子化器(第1
量子化器18または第2量子化器19)を選択するため
の量子化器選択信号SQSを第1スイッチSW1及び第2
スイッチSW2に出力するとともに、バッファ15に保
持しているサブバンドデータDSBの量子化器(第1量子
化器18または第2量子化器19)への出力を指令する
量子化器選択制御部17と、形状規定パラメータβ=
0.5(βについては後述する)の一般化ガウス分布に
対して設計され、入力されるサブバンドデータDSBの適
応量子化を行なってサブバンド量子化データDQSB を出
力する第1量子化器18と、同様に形状規定パラメータ
β=0.8の分布に対して設計され、入力されるサブバ
ンドデータDSBの適応量子化を行なってサブバンド量子
化データDQSB を出力する第2量子化器19と、を備え
て構成される。
【0052】第1量子化器18及び第2量子化器19
は、上述したようにそれぞれβ=0.5、0.8の一般
化ガウス分布に基づき量子化境界及び量子化代表値を設
定している。すなわち、本実施例では、入力信号の振幅
分布を一般化ガウス分布で近似できるという原理に基づ
き各量子化器は構成されていることになる。以下、この
点について説明する。
【0053】ランダム変数x(n)の一般化ガウス分布
の確率密度数p(x)は、
【0054】
【数1】 で与えられる。ここで、γは、
【0055】
【数2】 である。また、Γ(x)はガンマ関数、σはランダム変
数x(n)の標準偏差、βは一般化ガウス分布の形状を
規定するパラメータ(以下、形状規定パラメータとい
う。)である。
【0056】図4に上記(1)、(2)式に基づき、形
状規定パラメータβを変化させた場合の確率密度関数の
変化を示す。ここで、β=1.0の場合はラプラス分布
であり、β=2.0の場合はガウス分布である。
【0057】図4において、縦軸は存在確率を示し、横
軸は変数x(n)を標準偏差σで正規化したものを示し
ている。ここで、画像の輝度信号をウェーブレット変換
によりサブバンド分割したときのサブバンド信号の振幅
分布の例を図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)
に示す。
【0058】図5(a)、(b)及び図6(a)、
(b)において、縦軸は存在確率を示し、横軸はサブバ
ンド信号の振幅を標準偏差σで正規化した値を示し、白
丸(○)はサブバンド信号の振幅分布であり、正規化し
た振幅がxi±0.05の範囲にある割合H(xi)
(但し、xi=−6.0,−5.9,…,5.9,6.
0)を示し、実線は振幅分布を一般化ガウス分布で近似
したものである。
【0059】ここで、ヒストグラムH(xi)を近似す
る一般化ガラス分布βを求めるために、(3)式の示す
ように、H(xi)とPβ(xi)の差の2乗和Dβを
最小とするβを求めた
【0060】
【数3】 図5及び図6から、画像のサブバンド信号の振幅分布は
画像の種類やサブバンドによって大きく変動すること、
及び平均値0、標準偏差σ=1の一般化ガウス分布の形
状規定パラメータβをサブバンド信号に応じた設定とす
ることで精度よく近似できることがわかる。
【0061】すなわち、入力信号の確率密度関数は大き
く変動するため、ガウス分布(β=1)、ラプラス分布
(β=2)を仮定して設計した従来の単一の量子化器で
は量子化テータのS/Nの劣化が避けられず、異なる確
率密度関数に対して設計した複数の量子化器を入力振幅
の分布に応じて適応的に切り替える必要があり、各量子
化器は入力信号を精度よく近似できる一般化ガウス分布
に基づき構成すればよいといえる。
【0062】次に、図7に8種類の画像のサブバンド信
号の振幅分布の形状規定パラメータβの頻度分布を示
す。図7に示すように、ほとんどの画像のサブバンド信
号の分布は、 0.35<β<1.05 の範囲内に入ることがわかる。
【0063】すなわち、実用的には、量子化器をこの範
囲内で最適となるように設計すればよいこととなる。次
に、S/N比の劣化が最小になるようにするための実際
の最適量子化器の形状規定パラメータβQ の選定につい
て説明する。
【0064】形状規定パラメータβQ の一般化ガウス分
布に対して設計した7ビット量子化器において、入力信
号の形状規定パラメータβS を変化させた場合のS/N
比の低下量(dB)を図8に示す。
【0065】図8において、0(dB)は量子化器の形
状規定パラメータβQ =入力画像信号の形状規定パラメ
ータβS の場合、すなわち、理想的な最適量子化器の場
合のS/N比を表している。
【0066】この理想的な最適量子化器を用いたの場合
のS/N比に対し、入力信号の形状規定パラメータβS
を、前述の 0.35<β<1.05 の場合について考えると、S/N比の低下量(理想的な
最適量子化器を用いた場合とのS/N比の差)を、例え
ば、1(dB)以内にするためには、βQ=0.5と、
0.8の分布に対して設計された量子化器を用い、入力
信号の形状規定パラメータβS が、 βS <0.67 の範囲において、βS =0.5で設計された量子化器を
用い、入力信号形状規定パラメータβS が、 0.67<βS の範囲においては、βS =0.8で設計された量子化器
を用いればよいことがわかる。
【0067】すなわち、βQ を適切に設定した量子化器
を用いることで、少ない個数の量子化器でS/Nの劣化
の防止ができる。次に、量子化選択制御部17の動作を
説明する。
【0068】標準偏差σで正規化された入力信号振幅分
布は平均値0、標準偏差σ=1の一般化ガウス分布で近
似でき、S/N比の低下量を1(dB)以内にするため
にはβQ =0.5、0.8にて設計された量子化器を入
力信号の形状規定パラメータβS に対し適応的に切り替
えれば良いことをは上述した通りである。
【0069】量子化選択制御部17では、入力信号の形
状規定パラメータβS を精度良く求めるために、振幅0
近傍の所定範囲内における存在割合を求めている。以
下、この点について説明する。
【0070】図9に図7において形状規定パラメータβ
の頻度分布を示した8種類の画像の各サブバンド信号に
対して、横軸に形状規定パラメータβ、縦軸に振幅が0
±0.05σの範囲内に存在する割合であるH(0)
[%]をブロットしたものを示す。
【0071】図9において、実線は、一般化ガウス分布
に対する0±0.05σの範囲内の存在割合Pβ(0)
を形状規定パラメータβの関数として表したものであ
る。図9に示すように、実際の画像に対するプロット
は、実線に適合しており、振幅が0±0.05σの範囲
内の存在する割合であるH(0)[%]から入力信号の
形状規定パラメータβS の高精度の推定が可能であるこ
とがわかる。
【0072】そこで、第1量子化器及び第2量子化器を
切り替えるH(0)[%]のしきい値TH[%]を、図
8における量子化器の形状規定パラメータβS =0.5
及びβQ =0.8の曲線が交差するときの形状規定パラ
メータβS =0.67に相当する。
【0073】
【数4】 すなわち、
【0074】
【数5】 に設定する。これにより、量子化器選択制御部17は入
力信号より求めたH(0)[%]が、 H(0)≧11[%] の場合には、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW
2を第1量子化器18側に切り替え、求めたH(0)
[%]が、 H(0)<11[%] の場合には、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW
2を第2量子化器19側に切り替えるように量子化選択
信号SQSを出力する。
【0075】上述の場合、振幅値0近傍の存在割合を求
めることにより入力信号のβS を求めているが、他の範
囲についての存在確率から入力信号のβS を求めること
も可能である。しかし、精度、計算量の面から見て、0
近傍の存在割合を求めることが望ましい。
【0076】また、上述の場合、標準偏差σの計算後、
振幅が0±0.05σの範囲内に存在する割合H(0)
[%]の計算が行なわれ、計算結果に基づき選択された
量子化器にて量子化が行われるので、計算時間が長いと
量子化出力までの時間が長くなる。このような場合に
は、前回計算した標準偏差を用いて、今回の入力信号に
対するH(0)を計算して量子化器を選択し、並行して
今回の標準偏差の計算値を求めるようにしてもよい。
【0077】動画像に置いては、画面の切り替わり(シ
ーンチェンジ)を除けば、前ブロック(処理済みブロッ
ク)と現ブロック(処理対象ブロック)とでは、標準偏
差σに大きな差はないので前回の標準偏差σを用いるこ
とができる。
【0078】本実施例では、特に、画像信号に対する量
子化器の適応的な切り替えについて説明しているが、入
力信号は画像信号に限らず音声信号にも適用可能であ
る。また、ウエーブレット変換を用いた符号化装置に限
らず、本発明は他の帯域分割手段を用いた符号化装置に
使用される量子化装置として適用可能である。
【0079】さらに、サブバンド符号化に限らず予測符
号化等に用いることができる。換言すれば、分布形状が
一般化ガウス分布等で近似できるように入力信号をブロ
ック化できる符号化装置に使用する量子化装置において
適用でき、入力信号の振幅分布に応じた量子化器の切り
替えにより量子化データのS/Nの劣化の抑制が可能で
ある。
【0080】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、標準偏差
演算手段により求められた標準偏差σ及び当該標準偏差
σに対応するブロック化信号に基づき、複数の量子化器
のうちいずれか一つの量子化手段を選択するための選択
信号を出力し、選択された量子化手段は、入力されたブ
ロック化信号を量子化して出力するので、信号振幅分布
が異なる入力信号に対してもより最適な量子化手段によ
り量子化を行なえ、量子化データのS/Nの劣化を抑制
できる。
【0081】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の効果に加えて、量子化器は、入力信号の分布
を精度よく近似する一般化ガウス分布に基づき、量子化
境界及び量子化代表値を設定するように構成し、ガウス
分布及びラプラス分布を含む広範囲の分布に対応できる
ので、様々な振幅分布を有する入力信号に対してより好
適な量子化が行なえる。
【0082】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の効果に加えて、選択制御手段は、予め設定し
た所定範囲の範囲内の振幅値を有する入力信号のブロッ
ク化信号全体に対する割合を算出し、割合に基づいて選
択信号を出力するので、選択処理を短時間に行え、結果
としてS/N比の劣化を抑制したより好適な量子化が行
なえる。
【0083】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明の作用に加えて、所定範囲を、0±α・σ(α
>0)の範囲とするように構成するので、少ない計算量
で実際の振幅分布を精度よく近似でき、近似した確率密
度関数に対応する量子化器を選択でき、結果としてS/
N比の劣化を抑制したより好適な量子化が行なえる。
【0084】請求項5記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の効果に加えて、選択制御手段へ入力される標
準偏差σとして、前回処理したブロック化信号に対応す
る標準偏差σを用いることにより選択制御手段における
演算と標準偏差演算を並行して行なえるので、処理の高
速化を図ることができる。
【0085】請求項6記載の発明によれば、標準偏差演
算工程により求められた標準偏差σ及び当該標準偏差σ
に対応するブロック化信号に基づき、複数の量子化工程
のうちいずれか一つの量子化工程を選択し、選択された
量子化工程は入力されたブロック化信号を量子化して出
力するので、信号振幅分布が異なる入力信号に対しても
より最適な量子化手段により量子化を行なえ、量子化デ
ータのS/Nの劣化を抑制できる。
【0086】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の発明の効果に加えて、量子化工程は、入力信号の分
布を精度よく近似する一般化ガウス分布に基づき、量子
化境界及び量子化代表値を設定するので、ガウス分布及
びラプラス分布を含む広範囲の分布に対応できるので、
様々な振幅分布を有する入力信号に対してより好適な量
子化が行なえる。
【0087】請求項8記載の発明によれば、請求項6記
載の発明の作用に加えて、選択制御工程は、予め設定し
た所定範囲の範囲内の振幅値を有する入力信号のブロッ
ク化信号全体に対する割合を算出し、割合に基づいて選
択信号を出力するので、選択処理を短時間で行なえ、結
果としてS/N比の劣化を抑制したより好適な量子化が
行なえる。
【0088】請求項9記載の発明によれば、請求項8記
載の発明の作用に加えて、所定範囲を、0±α・σ(α
>0)の範囲とするので、少ない計算量で実際の振幅分
布を精度よく近似でき、近似した確率密度関数に対応す
る量子化工程を選択でき、結果としてS/N比の劣化を
抑制したより好適な量子化が行なえる。
【0089】請求項10記載の発明によれば、請求項6
記載の発明の効果に加えて、選択制御工程へ入力される
標準偏差σとして、前回処理したブロック化信号に対応
する標準偏差σを用ることにより、選択制御手段におけ
る演算と標準偏差演算を並行して行なえるので、処理の
高速化を図ることができる。
【0090】以上をまとめると、本発明による量子化装
置及び量子化方法によれば、入力信号の分布に応じて適
切な量子化器を選択し、量子化を成すように構成したの
で、量子化によるS/Nの劣化を抑制できる。
【0091】特に、入力信号の分布を精度よく近似する
一般化ガウス分布に基づき、各量子化器の量子化境界及
び量子化代表値の設定をすることで量子化によるS/N
の劣化を効果的に抑制できる。
【0092】また、入力信号の分布を0近傍の振幅の信
号の存在割合により推定することができ、推定精度、計
算量の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の原理説明図である。
【図2】サブバンド符号化装置の概要構成ブロック図で
ある。
【図3】量子化装置の概要構成ブロック図である。
【図4】一般化ガウス分布の説明図である。
【図5】画像の輝度信号をウェーブレット変換によりサ
ブバンド分割した時のサブバンド信号の振幅分布例を説
明する図(1)である。
【図6】画像の輝度信号をウェーブレット変換によりサ
ブバンド分割した時のサブバンド信号の振幅分布例を説
明する図(2)である。
【図7】画像のサブバンド信号の振幅分布の形状規定パ
ラメータの頻度分布を説明する図である。
【図8】所定の形状規定パラメータβQ に対応する量子
化器で、形状規定パラメータβ S の信号を量子化した場
合のS/N比(SNR)の低下量(dB)を説明する図
である。
【図9】形状規定パラメータと存在割合H(0)[%]
の関係を説明する図である。
【図10】従来のサブバンド符号化装置の概要構成ブロ
ック図である。
【図11】帯域分割部における入力画像データの2次元
ウェーブレット変換を説明する図である。
【図12】ウェーブレット変換を3階層行なった場合の
画像の空間周波数の分割状態説明図である。
【符号の説明】
1…ブロック形成部 2…標準偏差(σ)算出部 3…量子化器選択制御部 4…切替部 5…量子化器 10…サブバンド符号化装置 11…帯域分割部 12…量子化装置 13…量子化部 14…符号化部 15…バッファ 16…σ計算部 17…量子化器選択制御部 18…第1量子化器 19…第2量子化器 β、βQ 、βS …形状規定パラメータ DIN…入力画像データ DSB…サブバンドデータ DC …符号化データ DQSB …サブバンド量子化データ SQS…量子化器選択データ SW1…第1スイッチ SW2…第2スイッチ σ…標準偏差

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号をブロック化して順次ブロック
    化信号を出力するブロック化手段と、 前記ブロック化信号を構成する前記入力信号の振幅分布
    の標準偏差σを求める標準偏差演算手段と、 互いに異なる確率密度関数に基いて設計され、入力され
    た信号を量子化する複数の量子化手段と、 標準偏差演算手段により求められた標準偏差σ及び当該
    標準偏差σに対応する前記ブロック化信号に基づき、前
    記複数の量子化手段のうちいずれか一つの量子化手段を
    選択するための選択信号を出力する選択制御手段と、 前記ブロック化信号を前記選択信号に対応する量子化手
    段に入力すべく、前記選択信号に基づいて信号経路を切
    替える切替手段と、 を備えたことを特徴とする量子化装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の量子化装置において、 前記量子化器は、一般化ガウス分布に基づき、量子化境
    界及び量子化代表値を設定することを特徴とする量子化
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の量子化装置において、 前記選択制御手段は、予め設定した所定範囲の範囲内の
    振幅値を有する前記入力信号のブロック化信号全体に対
    する割合を算出し、前記割合に基づいて前記選択信号を
    出力することを特徴とする量子化装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の量子化装置において、 前記所定範囲を、0±α・σ(α>0)の範囲とするこ
    とを特徴とする量子化装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の量子化装置において、 前記選択制御手段へ入力される標準偏差σとして、前回
    処理した前記ブロック化信号に対応する標準偏差σを用
    いることを特徴とする量子化装置。
  6. 【請求項6】 入力信号をブロック化して順次ブロック
    化信号を出力するブロック化工程と、 前記ブロック化信号を構成する前記入力信号の振幅分布
    の標準偏差σを求める標準偏差演算工程と、 互いに異なる確率密度関数に基いて設計され、入力され
    た信号を量子化する複数の量子化工程と、 標準偏差演算工程により求められた標準偏差σ及び当該
    標準偏差σに対応する前記ブロック化信号に基づき、前
    記複数の量子化工程のうちいずれか一つの量子化工程を
    選択する選択制御工程と、 前記選択に基づいて前記ブロック化信号を選択した量子
    化工程に入力させる切替工程と、 を備えたことを特徴とする量子化方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の量子化方法において、 前記量子化工程は、一般化ガウス分布に基づき、量子化
    境界及び量子化代表値を設定することを特徴とする量子
    化方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の量子化方法において、 前記選択制御工程は、予め設定した所定範囲の範囲内の
    振幅値を有する前記入力信号のブロック化信号全体に対
    する割合を算出し、前記割合に基づいて前記選択信号を
    出力することを特徴とする量子化方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の量子化方法において、 前記所定範囲を、0±α・σ(α>0)の範囲とするこ
    とを特徴とする量子化方法。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の量子化方法において、 前記選択制御工程へ入力される標準偏差σとして、前回
    処理した前記ブロック化信号に対応する標準偏差σを用
    いることを特徴とする量子化方法。
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