JP2004232763A - トルク伝達カップリング、四輪駆動車 - Google Patents

トルク伝達カップリング、四輪駆動車 Download PDF

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正夫 寺岡
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Abstract

【課題】車両への組付けを容易にすると共に、重量増を抑制し、且つ小型化を図ることを可能とする。
【解決手段】リヤプロペラシャフト5を等速ジョイント7により回転連動結合可能にする中空筒状のジョイント結合筒65と、回転可能に配置された中空筒状のクラッチ外筒67と、クラッチ外筒67の内側に回転可能に配置されたシャフト69と、クラッチ外筒67とシャフト69との間のトルク伝達を断続可能にする摩擦クラッチ71とを備え、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成したことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のトルク伝達カップリング、該トルク伝達カップリングを組み込んだ四輪駆動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のトルク伝達カップリングとしては、例えば図12に示すようなものがある。図12は、従来のトルク伝達カップリングの断面図である。図12のように、トルク伝達カップリング401は、カップリングケース403と、中空のシャフト405とが同軸上に配置され、カップリングケース403とシャフト405との間に多板のメインクラッチ407が設けられている。
【0003】
前記メインクラッチ407は、押圧プレート409の押圧によって、カップリングケース403に対して締結される。押圧プレート409に対向して、カムプレート411が設けられている。押圧プレート409とカムプレート411との間には、それぞれのカム面間にボール413が介設されている。
【0004】
前記カムプレート411と前記カップリングケース403との間には、多板のパイロットクラッチ415が設けられている。パイロットクラッチ415に対向して、アーマチュア417が設けられている。前記パイロットクラッチ415に対応して、ケーシング418側に電磁石419が支持されている。
【0005】
前記カップリングケース403には、植え込みボルト421が設けられている。この植え込みボルト421にフランジ423がナット425によって締結固定されている。フランジ423は、プロペラシャフトに接続される。前記シャフト405には、ドライブピニオンシャフト427が結合される。
【0006】
従って、電磁石419の給電制御による磁力によって、アーマチュア417が移動し、パイロットクラッチ415が締結される。プロペラシャフトからフランジ423に伝達されたトルクは、植え込みボルト421を介してカップリングケース403側に伝達される。このときカップリングケース403と共に回転しようとするカムプレート411が押圧プレート409に対し周方向にずれる。このずれによるカム面とボール413との作用によって押圧プレート409がメインクラッチ407側へ移動し、該メインクラッチ407が締結される。
【0007】
前記締結によって、カップリングケース403に入力されたトルクが、メインクラッチ407を介してシャフト405へ伝達される。シャフト405からは、ドライブピニオンシャフト427側へトルク伝達が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−153116号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のトルク伝達カップリング401に対し、フランジ423は車両の組立工程において、植え込みボルト421とナット425とにより結合するものである。従って、車両の組立時に植え込みボルト421に対するフランジ423の配置は勿論のこと、複数のナット425の締結を行わなければならず、組付作業が著しく煩雑なものとなっていた。
【0010】
また、フランジ423とカップリングケース403との間に植え込みボルトを配置するスペースが必要となり、トルク伝達カップリング401全体が回転軸芯に沿った方向に大型化し、且つ重量増を招くという問題があった。
【0011】
さらに、フランジ423の外周側に植え込みボルト421が存在するため、回転半径の小さなフランジ423側から回転半径の大きなカップリングケース403側へトルクを伝達しなければならず、フランジ423側に大きな力が作用するものとなる。このため、フランジ423の肉厚を大きくしなければならず、重量増を招くものとなっていた。
【0012】
本発明は、組み付け作業を容易にすることができると共に、小型化、重量軽減を図ることも可能なトルク伝達カップリング及びこれを備えた四輪駆動車の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、相手側回転部材を回転連結部材により回転連動結合可能な中空筒状の第1の外側回転部材と、回転可能に配置された中空筒状の第2の外側回転部材と、前記第2の外側回転部材の内側に回転可能に配置された内側回転部材と、前記第2の外側回転部材と内側回転部材との間のトルク伝達を断続可能にするクラッチ手段とを備え、前記第1の外側回転部材と前記第2の外側回転部材又は前記内側回転部材とを予め一体に形成し又は一体的に組み付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1,第2の外側回転部材間に、前記第1の外側回転部材の内周側に形成される第1の周回状空間と第2の外側回転部材及び内側回転部材間に形成される第2の周回状空間との間を区画する周回状の区画壁を設け、前記第2の周回状空間に、前記クラッチ手段を配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記区画壁を、前記第1の外側回転部材と一体の壁部で構成し又は一体の壁部を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記区画壁は、前記第1,第2の外側回転部材と別体の壁部を少なくとも前記第1の外側回転部材に固着して構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記区画壁と前記内側回転部材又は第2の外側回転部材との間を、シールで閉止したことを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記クラッチ手段は、回転軸芯に沿った方向の押圧力で締結される摩擦クラッチであり、前記区画壁は、前記摩擦クラッチの締結力を受ける受け面を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記第2の周回状空間に、前記区画壁に対向する周回状の端壁を設けて該第2の周回状空間を密閉状としたことを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、前記クラッチ手段は、前記内側回転部材と共に一体に回転する内プレート及び前記第2の周回状空間に封入された粘性流体を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明は、請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、前記クラッチ手段は、前記第2の外側回転部材と前記内側回転部材と共に各別に一体に回転する外内摩擦部材からなる摩擦クラッチであり、
前記摩擦クラッチの締結力を操作する締結力付与手段を設けたことを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明は、請求項9記載のトルク伝達カップリングであって、前記締結力操作手段は、前記第2の周回状空間の回転軸芯に沿った方向で前記端壁の外側に配置されたアクチュエータを備えていることを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明は、請求項10記載のトルク伝達カップリングであって、前記アクチュエータは、通電制御による磁力線でアーマチュアを移動させて前記締結力を操作する周回状の電磁石であることを特徴とする。
【0024】
請求項12の発明は、請求項1記載のトルク伝達カップリングであって、前記内側回転部材に、中空部が形成され、前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合可能としたことを特徴とする。
【0025】
請求項13の発明は、請求項12記載のトルク伝達カップリングであって、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする。
【0026】
請求項14の発明は、請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、前記内側回転部材に、中空部を形成し、前記中空部に、回転軸部材を連動回転結合し、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記端壁に、ボス部を設け、前記ボス部と前記固定側支持体及び内側回転部材との間に、第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする。
【0027】
請求項15の発明は、請求項12記載のトルク伝達カップリングであって、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記固定側支持体に、少なくとも前記第2の外側回転部材の外周を覆うスリーブを設けたことを特徴とする。
【0028】
請求項16の発明は、請求項15記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1,第2の外側回転部材の少なくとも一方を、前記スリーブの内面にベアリングを介して回転自在に支持したことを特徴とする。
【0029】
請求項17の発明は、請求項15記載のトルク伝達カップリングであって、前記スリーブの先端と前記第1の外側回転部材との間に、スリーブ外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする。
【0030】
請求項18の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1,第2の外側回転部材は、内外周が同径の筒状に形成されたことを特徴とする。
【0031】
請求項19の発明は、請求項4記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1,第2の外側回転部材の内周面に、回転軸芯に沿った方向に渡って同一諸元の係合溝を連続形成したことを特徴とする。
【0032】
請求項20の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1の外側回転部材の内径を前記第2の外側回転部材の内径よりも小径に形成して両者間に回転軸芯に沿った方向に向いた突当面を設け、前記区画壁を、前記第1,第2の外側回転部材に対して別体の壁部材で形成し、前記区画壁を、前記第2の周回状空間側から前記突当面に突き当てて位置決めたことを特徴とする。
【0033】
請求項21の発明は、請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、前記区画壁を、前記第2の外側回転部材に一体形成し、前記第1の外側回転部材の端部を、前記区画壁の回転半径の沿った方向の中間部に一体に結合したことを特徴とする。
【0034】
請求項22の発明は、請求項3記載のトルク伝達カップリングであって、前記第1の外側回転部材の内周側に、前記内側回転部材の内周へ延設された連結ボス部を設け、前記内側回転部材に、前記連結ボス部を回転軸芯に沿った方向の係合溝により周回方向に係合させて予め一体的に組み付け、前記第2の外側回転部材に、中空部を設け、前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合したことを特徴とする。
【0035】
請求項23の発明は、請求項1〜22の何れかに記載のトルク伝達カップリングであって、前記回転連結部材は、等速ジョイントであることを特徴とする。
【0036】
請求項24の発明は、請求項1〜23の何れかに記載のトルク伝達カップリングを、横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車におけるリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたことを特徴とする。
【0037】
請求項25の発明は、請求項1〜23の何れかに記載のトルク伝達カップリングを、縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車における左右後輪のアクスルシャフト側に夫々設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して前記各トルク伝達カップリングに伝達することを特徴とする。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明では、相手側回転部材を回転連結部材により回転連動結合可能な中空筒状の第1の外側回転部材と、回転可能に配置された中空筒状の第2の外側回転部材と、前記第2の外側回転部材の内側に回転可能に配置された内側回転部材と、前記第2の外側回転部材と内側回転部材との間のトルク伝達を断続可能にするクラッチ手段とを備え、前記第1の外側回転部材と前記第2の外側回転部材又は前記内側回転部材とを予め一体に形成し又は一体的に組み付けることができる。
【0039】
従って、トルク伝達カップリングの車両への組付け等に際して、第1の外側回転部材と第2の外側回転部材又は内側回転部材とを一体に取り扱うことができ、車両への組付、部品管理を極めて容易にすることができる。
【0040】
また、第1の外側回転部材と第2の外側回転部材又は内側回転部材とを予め一体に形成し又は一体的に組み付けたため、従来のような植え込みボルトを不用とし、その分回転軸芯に沿った方向での小型化を図ることができ、且つ重量軽減も可能である。
【0041】
さらに、第1の外側回転部材の大きさを第2の外側回転部材と同等又はこれに近い大きさにすることができ、第1の外側回転部材から第2の外側回転部材又は内側回転部材へのトルク伝達に際して、第1の外側回転部材に必要以上の大きな力が働くことはなく、肉厚増を抑制し、全体的な小型化と共に重量軽減を図ることができる。
【0042】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記第1,第2の外側回転部材間に、前記第1の外側回転部材の内周側に形成される第1の周回状空間と第2の外側回転部材及び内側回転部材間に形成される第2の周回状空間との間を区画する周回状の区画壁を設け、前記第2の周回状空間に、前記クラッチ手段を配置したため、第2の周回状空間側に、第1の周回状空間側とは別の専用のオイル等を収容することができる。従って、第2の周回状空間をクラッチ手段の断続特性に合わせたものにすることができる。
【0043】
請求項3の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記区画壁を、少なくとも前記第1の外側回転部材に対して一体の壁部で構成したため、第1の外側回転部材の強度向上を図ることができ、第1の外側回転部材の肉厚増をより抑制し、小型化、重量軽減をより容易にすることができる。
【0044】
また、第1の外側回転部材を形成するに際して、区画壁を共に形成することができ、区画壁の形成を容易にすることができる。さらに、第1,第2の外側回転部材を結合すると、区画壁が規定位置に自動的に配置されることになり、組付けを容易に行うことができる。
【0045】
請求項4の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記区画壁は、前記第1,第2の外側回転部材と別体の壁部材を少なくとも前記第1の外側回転部材に固着して構成したため、第1の外側回転部材を容易に形成することができる。
【0046】
また、区画壁の位置も組付誤差等に応じて調整することもでき、組付けを容易にすることができる。さらに、区画壁が別体の壁部材で形成されているため、区画壁の形状の選定自由度を拡げることができる。
【0047】
請求項5の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記区画壁と前記内側回転部材又は第2の外側回転部材との間を、シールで閉止したため、第1,第2の周回状空間との間をより確実に区画することができる。
【0048】
請求項6の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記クラッチ手段は、回転軸芯に沿った方向の押圧力で締結される摩擦クラッチであり、前記区画壁は前記摩擦クラッチの締結力を受ける受け面を備えたため、区画壁によって第1,第2の周回状空間の区画を行うと共に、区画壁の受け面によって摩擦クラッチの締結力を受け、摩擦クラッチを確実に締結することができる。従って、特別な受圧部材を設ける必要がなく、部品点数を軽減し、組付け、部品管理をより容易にすることができる。また、重量増を抑制し、小型化を確実に達成することができる。
【0049】
請求項7の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記第2の周回状空間に、前記区画壁に対向する回転方向に沿った方向の端壁を設けて該第2の周回状空間を密閉状としたため、第2の周回状空間をクラッチ手段の断続機能特性に合わせた環境に容易に設定することができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0050】
請求項8の発明では、請求項7の発明の効果に加え、前記クラッチ手段は、前記内側回転部材と共に一体に回転する内プレート及び前記第2の周回状空間に封入された粘性流体を含むため、粘性流体の剪断抵抗によるトルク伝達を行うことができる。従って、オンデマンド、すなわち必要に応じて機械的にトルク伝達が可能となり、且つ構造を簡単にすることができる。
【0051】
請求項9の発明では、請求項7の発明の効果に加え、記クラッチ手段は、前記第2の外側回転部材と前記内側回転部材と共に各別に一体に回転する外内摩擦部材からなる摩擦クラッチであり、前記摩擦クラッチの締結力を操作する締結力付与手段を設けたため、締結力付与手段により車両の走行状態に合わせて締結力を操作し、所望のトルク伝達を行うことができる。
【0052】
請求項10の発明では、請求項9の発明の効果に加え、前記締結力操作手段は、前記第2の周回状空間の回転軸芯に沿った方向で前記端壁の外側に配置されたアクチュエータを備えているため、端壁の外側に形成される空間を利用して、アクチュエータを容易に配置することができる。
【0053】
請求項11の発明では、請求項10の発明の効果に加え、前記アクチュエータは、通電制御による磁力線でアーマチュアを移動させて前記締結力を操作する周回状の電磁石であるため、端壁の外側に形成される空間を利用して、周回状の電磁石をより容易に配置することができる。
【0054】
請求項12の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記内側回転部材に、中空部が形成され、前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合可能としたため、回転軸部材の組付けを容易に行うことができる。
【0055】
請求項13の発明では、請求項12の発明の効果に加え、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたため、第2の周回状空間と動力伝達ギヤ側の空間とでそれぞれの機能特性に合わせた流体の使用が可能となり、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0056】
請求項14の発明では、請求項7の発明の効果に加え、前記内側回転部材に、中空部を形成し、前記中空部に、回転軸部材を連動回転結合し、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記端壁に、ボス部を設け、前記ボス部と前記固定側支持体及び内側回転部材との間に、第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたため、第2の外側回転部材と動力伝達ギヤ側の空間とをより確実に区画し、それぞれの機能特性に合わせた流体の使用が可能となり、信頼性、耐久性をより向上することができる。また、第2の外側回転部材を固定側支持体外部に露出させることができ、冷却性を向上することができる。
【0057】
請求項15の発明では、請求項12の発明の効果に加え、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記固定側支持体に、少なくとも前記第2の外側回転部材の外周を覆うスリーブを設けたため、外部からの飛散物や地上の突起物等から第2の外側回転部材を保護することができ、耐久性、信頼性を向上することができる。
【0058】
請求項16の発明では、請求項15の発明の効果に加え、前記第1,第2の外側回転部材の少なくとも一方を、前記スリーブの内面にベアリングを介して回転自在に支持したため、固定側支持体に対するトルク伝達カップリングの回転支持をより確実に行うことができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0059】
請求項17の発明では、請求項15の発明の効果に加え、前記スリーブの先端と前記第1の外側回転部材との間に、スリーブ外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたため、スリーブの先端においてシールの組付けを容易に行うことができる。
【0060】
請求項18の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記第1,第2の外側回転部材は、内外周が同径の筒状に形成されたため、第1の外側回転部材を第2の外側回転部材と同等の肉厚とすることができ、重量増を抑制すると共に、小型化を図ることができる。また、第1,第2の外側回転部材の一体形成が容易であり、製造を容易に行うことができる。
【0061】
請求項19の発明では、請求項4の発明の効果に加え、前記第1,第2の外側回転部材の内周面に、回転軸芯に沿った方向に渡って同一緒元の係合溝を連続形成したため、別体の壁部材である区画壁を係合溝に沿って容易に組み付けることができ、回転方向の位置決めも確実且つ容易となる。
【0062】
請求項20の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記第1の外側回転部材の内径を前記第2の外側回転部材の内径よりも小径に形成して両者間に回転軸芯に沿った方向に向いた突当面を設け、前記区画壁を、前記第1,第2の外側回転部材に対して別体の壁部材で形成し、前記区画壁を、前記第2の周回状空間側から前記突当面に突き当てて位置決めたため、区画壁の組付けを極めて容易に行うことができる。
【0063】
請求項21の発明では、請求項2の発明の効果に加え、前記区画壁を、前記第2の外側回転部材に一体形成し、前記第1の外側回転部材の端部を、前記区画壁の回転半径の沿った方向の中間部に一体に結合したため、第1の外側回転部材が区画壁に対して補強リブとしての機能を奏することができ、区画壁の肉厚増を抑制して、回転軸芯に沿った方向によりコンパクトに形成することができ、また重量増も抑制することができる。
【0064】
請求項22の発明では、請求項3の発明の効果に加え、前記第1の外側回転部材の内周側に、前記内側回転部材の内周へ延設された連結ボス部を設け、前記内側回転部材に、前記連結ボス部を回転軸芯に沿った方向の係合溝により周回方向に係合させて予め一体的に組み付け、前記第2の外側回転部材に、中空部を設け、前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合したため、内側回転部材に対する第1の外側回転部材の組付けを容易に行うことができながら、トルク伝達を確実に行うことができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0065】
請求項23の発明では、請求項1〜22の何れかの発明の効果に加え、前記回転連結部材は等速ジョイントであるため、第1の外側回転部材をプロペラシャフト側に容易に結合することができる。
【0066】
請求項24の発明では、請求項1〜23の何れかに記載のトルク伝達カップリングを、横置きフロントエンジン、フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン、リヤドライブベースの四輪駆動車におけるリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたため、トルク伝達カップリングの第1の外側回転部材と内側回転部材又は第2の外側回転部材とを用いて、車体側に容易に組み付けることができると共に、四輪駆動車の重量増を抑制することができる。
【0067】
請求項25の発明では、請求項1〜23の何れかのトルク伝達カップリングを縦置きフロントエンジン、リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン、フロントドライブベースのおける四輪駆動車の左右後輪のアクセルシャフト側にそれぞれ設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して、前記各トルク伝達カップリングに伝達するため、トルク伝達カップリングの第1の外側回転部材と内側回転部材又は第2外側回転部材とを用いて、車体側に容易に組み付けることができると共に、四輪駆動車の重量増を抑制することが可能となる。
【0068】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1,図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は、本発明の第1実施形態のトルク伝達カップリングの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図、図2は、本発明の第1実施形態に係るトルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【0069】
図1のように、第1実施形態のトルク伝達カップリング1は、横置きフロントエンジン、フロントドライブベース(FFベース)の四輪駆動車のリヤデファレンシャル3と、プロペラシャフトを構成するリヤプロペラシャフト5との間に設けられている。
【0070】
前記トルク伝達カップリング1には、前記リヤプロペラシャフト5が回転連結部材としての等速ジョイント7を介して結合されている。トルク伝達カップリング1の出力側には、回転軸部材としてのドライブピニオンシャフト9が接続されている。ドライブピニオンシャフト9は、動力伝達ギヤとしてのドライブピニオンギヤ11を備えている。ドライブピニオンシャフト9は、固定側支持体であるデフキャリア13にベアリング15を介して回転自在に支持されている。
【0071】
前記リヤデファレンシャル3は、前記デフキャリア13に回転自在に支持されている。リヤデファレンシャル3のリングギヤ17は、前記ドライブピニオンギヤ11に噛み合っている。リヤデファレンシャル3は、左右のアクスルシャフト19,21を介して、左右の後輪23,25に連動連結されている。
【0072】
前記リヤプロペラシャフト5は、同じくプロペラシャフトを構成するフロントプロペラシャフト27側に連結されている。フロントプロペラシャフト27は、トランスファ29の伝動軸31に連動連結されている。伝動軸31は、トランスファ29内において、傘歯車33,35、伝動軸37、平歯車39,41を介してフロントデファレンシャル43のデフケース45側に連動構成されている。
【0073】
前記フロントデファレンシャル43のリングギヤ47には、エンジン49の出力がトランスミッション51を介して入力されるようになっている。前記フロントデファレンシャル43は、左右のアクスルシャフト53,55を介して、左右の前輪57,59に連動連結されている。
【0074】
従って、エンジン49の出力トルクは、トランスミッション51からフロントデファレンシャル43のリングギヤ47に伝達され、フロントデファレンシャル43から左右のアクスルシャフト53,55を介して左右の前輪57,59に伝達される。
【0075】
また、フロントデファレンシャル43のデフケース45から、トランスファ29の平歯車41,39、伝動軸37、傘歯車35,33、伝動軸31を介して、フロントプロペラシャフト27へトルク伝達が行われる。
【0076】
前記フロントプロペラシャフト27からは、リヤプロペラシャフト5へトルク伝達が行われ、リヤプロペラシャフト5から等速ジョイント7を介してトルク伝達カップリング1にトルク伝達が行われる。
【0077】
前記トルク伝達カップリング1が、トルク伝達可能状態となっていれば、ドライブピニオンシャフト9からドライブピニオンギヤ11を介して、リヤデファレンシャル3のリングギヤ17にトルク伝達が行われ、リヤデファレンシャル3から左右のアクスルシャフト19,21を介して左右の後輪23,25にトルク伝達が行われる。
【0078】
従って、トルク伝達カップリング1によってトルク伝達が行われる場合には、左右の前輪57,59、左右の後輪23,25によって四輪駆動状態で走行することができる。
【0079】
前記トルク伝達カップリング1がトルク遮断状態となっているときには、左右の後輪23,25へのトルク伝達は行われず、左右の前輪57,59へのトルク伝達によって二輪駆動状態での走行を行うことができる。
【0080】
なお、前記トルク伝達カップリング1は、リヤデファレンシャル3と、リヤプロペラシャフト5との間に配置するものに限らず、例えば図1において一点鎖線で追記したように、リヤプロペラシャフト5とフロントプロペラシャフト27との間のプロペラシャフト上のトルク伝達カップリング1A、トランスファ29とプロペラシャフトを構成するフロントプロペラシャフト27との間のトルク伝達カップリング1B、又はフロントデファレンシャル43と左右前輪57,59との間、すなわちフロントデファレンシャル43と左右のアクスルシャフト53,55との間に設けるトルク伝達カップリング1C,1Dとしてそれぞれ設けることもできる。前記プロペラシャフト上に設けるトルク伝達カップリング1Aは、弾性を有するマウント部材61によって車体63側に取り付けられる。
【0081】
なお、本実施形態においては、図1の実線図示で示すリヤデファレンシャル3とリヤプロペラシャフト5との間に設ける実線図示のトルク伝達カップリング1を例に説明するため、それぞれ一点鎖線図示のトルク伝達カップリング1A,1B,1C,1Dは存在しないものとして説明を行う。
【0082】
前記トルク伝達カップリング1の詳細は図2のようになっている。この図2のように、トルク伝達カップリング1は、第1の外側回転部材としてのジョイント結合筒65と、第2の外側回転部材としてのクラッチ外筒67と、内側回転部材としてのシャフト69と、クラッチ手段として本実施形態でメインクラッチを構成する摩擦クラッチ71とを備えている。
【0083】
前記ジョイント結合筒65は、例えばアルミダイキャスト等によって中空筒状、例えば円筒状に形成されている。ジョイント結合筒65の内外周径は、クラッチ外筒67の内外周径と略同一に形成されている。ジョイント結合筒65の内周側には、第1の周回状空間73が形成されている。ジョイント結合筒65の内周面には、ボール係合溝75が回転軸芯に沿った方向に設けられ、周方向に所定間隔で複数備えられている。
【0084】
従って、第1の外側回転部材としてのジョイント結合筒65は、相手側回転部材としての図1のリヤプロペラシャフト5を回転連結部材としての等速ジョイント7により回転連動結合可能な構成となっている。
【0085】
前記ジョイント結合筒65の端部外周面には、ブーツ係合溝77が周回状に設けられている。ジョイント結合筒65の一端78はストレートに開放され、他端には区画壁79が一体に形成されている。
【0086】
前記区画壁79は、少なくとも第1の外側回転部材であるジョイント結合筒65に対して一体の壁部で構成されればよく、区画壁79をジョイント結合筒65及びクラッチ外筒67に対して一体の壁部で構成することも可能である。
【0087】
前記区画壁79には、軽量化のための凹部81,83が両側面に互い違いに形成されている。区画壁79は、摩擦クラッチ71の締結力を受ける受け面85を備えている。
【0088】
前記クラッチ外筒67は、回転可能に配置され、アルミダイキャスト等によって中空筒状、例えば両端開放の略円筒状に形成されている。クラッチ外筒67の一端側内周面には、回転軸芯に沿った方向に雌スプライン89が設けられている。クラッチ外筒67の端部内周には、雌ねじ91が設けられている。前記クラッチ外筒67の他端側に、溶接93によって前記ジョイント結合筒65が固着され、予め一体に形成されている。
【0089】
前記シャフト69は、例えばアルミダイキャスト等によって中空円筒状に形成され、内周側に中空部95が形成されている。シャフト69の一側外周面には、雄スプライン97が設けられている。シャフト69の一側内周面には、雌スプライン99が設けられている。前記シャフト69の一端部は、シール102を備えたベアリング101によって前記区画壁79の内周に回転自在に支持されている。
【0090】
なお、ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67、シャフト69の材料は、プロペラシャフト5からの入力トルクに応じて耐久強度、衝撃強度等の設計要件を満たすように一般構造用スチール材、鋳物材、ステンレス材等から適宜選択することができる。
【0091】
前記クラッチ外筒67及び前記シャフト69間に、第2の周回状空間103が設けられている。前記摩擦クラッチ71は、第2の周回状空間103に配置され、前記第2の外側回転部材としてのクラッチ外筒67と内側回転部としてのシャフト69との間のトルク伝達を断続可能にするものである。
【0092】
前記摩擦クラッチ71は、外クラッチプレート105と内クラッチプレート107とが交互に複数枚配置された多板クラッチである。外クラッチプレート105は、前記第2の外側回転部材である前記クラッチ外筒67の雌スプライン89に係合してクラッチ外筒67と共に一体に回転する外摩擦部材を構成する。内クラッチプレート107は、前記内側回転部材であるシャフト69の雄スプライン97に係合してシャフト69と共に一体に回転する内摩擦部材を構成する。
【0093】
前記第2の周回状空間103と、前記第1の周回状空間73とは、前記区画壁79と前記シャフト69との間を閉止する前記ベアリング101のシール102によって密閉状に区画されている。
【0094】
前記第2の周回状空間103内には、前記摩擦クラッチ71の端部に押圧プレート109が配置されている。押圧プレート109は、前記雄スプライン97にスプライン嵌合している。押圧プレート109による回転軸芯に沿った方向の押圧力で、前記摩擦クラッチ71が前記受け面85との間で締結される。
【0095】
前記第2の周回状空間103には、前記区画壁79に対向する周回状の端壁111が設けられている。従って、前記第2の周回状空間103は密閉状とされている。
【0096】
すなわち、前記端壁111には、外周側に結合筒113が一体に設けられ、同内周側にボス部115が一体に設けられている。結合筒113の外周面には、雄ねじ117が設けられ、前記クラッチ外筒67の雌ねじ91にねじ込まれている。このねじ込みにより端壁111は、前記クラッチ外筒67に結合されている。端壁111の結合筒113外周面には、前記クラッチ外筒67側に収容保持されたOリング等のシール119が密接している。
【0097】
前記ボス部115の端部内周面と前記シャフト69の端部外周面との間には、ニードルベアリング121が介設され、ボス部115の端部内周面とシャフト69の端部内周面とが相対回転自在となっている。ボス部115には、高温高圧に耐えるXリング等のシール123が収容保持され、前記シャフト69の外面に密接している。前記端壁111の中間部には、非磁性体125が介設されている。
【0098】
前記端壁111に隣接して、第2の周回状空間103の内周側には、カムプレート127が回転自在に配置されている。カムプレート127の背面は、ニードルベアリング129を介し、前記端壁111側に支持される構成となっている。カムプレート127と前記押圧プレート109とのカム面間に、ボール131が介設されている。前記カムプレート127の外周面には、雄スプライン133が設けられている。
【0099】
前記クラッチ外筒67の内周面と、前記カムプレート127の外周面との間にパイロットクラッチ135が配置されている。パイロットクラッチ135は、内外摩擦部材である内外クラッチプレートが交互に配置されたもので、外クラッチプレートは、前記クラッチ外筒67の雌スプライン89に係合し、内クラッチプレートは、前記カムプレート127の雄スプライン133に係合している。このパイロットクラッチ135に隣接してアーマチュア137が対向配置されている。アーマチュア137は、外周が前記クラッチ外筒67の雌スプライン89にスプライン嵌合している。
【0100】
前記第2の周回状空間103の外側において、前記端壁111の結合筒113とボス部115との間に、締結力操作手段であるアクチュエータとして電磁石139が配置されている。電磁石139に対しデフキャリア13側に給電用の配線が設けられている。電磁石139は、周回状に形成され、給電制御による磁力線でアーマチュア137を移動させて、前記パイロットクラッチ135を締結制御し、前記摩擦クラッチ71の締結力を操作する。
【0101】
前記電磁石139は、前記結合筒113、ボス部115に対して隙間をもって配置された磁石マウント141に支持されている。磁石マウント141には、圧入部143が周回状に設けられている。圧入部143には、前記端壁111のボス部115がベアリング145を介して相対回転自在に支持されている。ベアリング145には、シール147が設けられている。圧入部143の外周には、シールを構成する圧入面149が設けられている。
【0102】
前記圧入部143は、前記デフキャリア13のスリーブ151に設けられたシールを構成する圧入穴153に圧入支持されている。スリーブ151と圧入部143とには、固定ピン155が圧入され、圧入穴153に対する圧入部143の圧入を位置決めている。
【0103】
前記シャフト69の中空部95には、回転軸部材である前記ドライブピニオンシャフト9が回転連動結合されている。すなわち、ドライブピニオンシャフト9は、シャフト69の雌スプライン99にスプライン嵌合している。ドライブピニオンシャフト9と前記シャフト69との間には、Cクリップ157が介設され、両者間の回転軸芯に沿った方向の位置決めが行われている。シャフト69の端部には、ゴムリング159と共に閉止プレート161が取り付けられ、シールを構成している。
【0104】
前記ドライブピニオンシャフト9は、ドライブピニオンギヤ11側において、前記ベアリング15により前記デフキャリア13に回転自在に支持されている。ベアリング15はユニットベアリングで構成され、ワッシャ163を介してナット165が締結され、ベアリング15に与圧が付与されている。ベアリング15は、ボルト167によってデフキャリア13側に締結固定されている。
【0105】
前記ボス部115及びドライブピニオンシャフト9とデフキャリア13及びシャフト69との間に設けられたシール147、圧入面149及び圧入穴153、シール123、ゴムリング159,閉止プレート161が第2の周回状空間103及びデフキャリア13外部に対してドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画している。
【0106】
前記ジョイント結合筒65には、前記リヤプロペラシャフト5が等速ジョイント7により回転連動結合されている。前記等速ジョイント7は、例えばボール型等速ジョイントで構成され、インナーレース169に前記リヤプロペラシャフト5がスプライン結合され、ケージ171によって保持された各トルク伝達ボール173が前記各ボール係合溝75に係合している。
【0107】
前記ジョイント結合筒65とリヤプロペラシャフト5との間には、ゴム製のダストブーツ175が取り付けられている。ダストブーツ175の一側端部内周には、係合凸部177が周回状に形成されている。係合凸部177は、前記ジョイント結合筒65のブーツ係合溝77に係合し、ジョイント係合筒65に対するダストブーツ175の位置決めが行われている。このダストブーツ175によって、第1の周回状空間73に対する粉塵、泥水等の浸入を防止することができる。
【0108】
車両への組付けに際しては、前記ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67、シャフト69、摩擦クラッチ71、押圧プレート109、端壁111、カムプレート127、ボール131、パイロットクラッチ135、アーマチュア137、電磁石139、磁石マウント141が、ベアリング101,145、ニードルベアリング121,129、Oリング119、Xリング123と共に組み付けられたユニットとして取り扱われる。
【0109】
このトルク伝達カップリング1のユニットは、デフキャリア13側にベアリング15によって支持されたドライブピニオンシャフト9に対し端部側すなわち図2の左側から挿入して取り付ける。この挿入により、シャフト69の雌スプライン99にドライブピニオンシャフト9がスプライン嵌合され、このスプライン嵌合がCクリップ157によって位置決められる。
【0110】
前記磁石マウント141の圧入部143は、圧入面149においてスリーブ151の圧入穴153に圧入され、スリーブ151と圧入部143との間に固定ピン155が圧入されて、磁石マウント141のスリーブ151に対する位置決めが行われる。
【0111】
次に、リヤプロペラシャフト5の端部に、インナーレース169において結合された等速ジョイント7を、ジョイント結合筒65の開放された一端側78から挿入し、トルク伝達ボール173をボール係合溝75の端部から挿入して、図2のように係合させる。
【0112】
次いで、ダストブーツ175の端部を、ジョイント結合筒65の端部に被せ、係合凸部177をブーツ係合溝77に係合させて組付けが完了する。
【0113】
なお、前記等速ジョイント7を、予めジョイント結合筒65に組み込んでトルク伝達カップリング1側の構成部品とすることもできる。この場合、車両への組み付けに際しては、ジョイント結合筒65に組み込まれた等速ジョイント7のインナーレース169に対してリヤプロペラシャフト5の端部を結合することになる。
【0114】
前記電磁石139の通電制御が行われないときには、前記摩擦クラッチ71は締結されず、クラッチ外筒67からシャフト69へのトルク伝達は行われない。従って、前記リヤプロペラシャフト5から等速ジョイント7を介し、ジョイント結合筒65に伝達されたトルクにより、クラッチ外筒67は一体に回転するが、摩擦クラッチ71の内外クラッチプレート107,105間で相対回転し、シャフト69側へのトルク伝達は行われない。従って、前記のように自動車は、前輪57,59での二輪駆動状態で走行する。
【0115】
前記電磁石139が通電制御されると、電磁石139の磁力によって、アーマチュア109がパイロットクラッチ135側へ移動する。これによって、パイロットクラッチ135が端壁111との間で締結され、クラッチ外筒67の回転がパイロットクラッチ135を介してカムプレート127に伝達される。このカムプレート127へのトルク伝達によってカムプレート127が回転しようとし、押圧プレート109との間で周方向へ回転ずれを起こす。
【0116】
この回転ずれによって、カムプレート127と押圧プレート109とのカム面がボール131に乗り上げる。このときカムプレート127はニードルベアリング129によって端壁111側に回転軸芯に沿った方向に支持されるため、押圧プレート109に回転軸芯に沿った反対方向への力が作用する。従って、押圧プレート109によって、摩擦クラッチ71が押圧され、受け面85との間で摩擦クラッチ71が締結される。
【0117】
この締結によって、クラッチ外筒67に前記のようにして伝達されたトルクは、摩擦クラッチ71を介し、シャフト69側に伝達され、シャフト69からドライブピニオンシャフト9に伝達され、ドライブピニオンギヤ11が回転駆動される。従って、自動車は前記のように前輪57,59、後輪23,25での四輪駆動状態で走行することができる。
【0118】
本実施形態において、前記トルク伝達カップリング1は、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成しているため、トルク伝達カップリング1の車両への組付け等に際して、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67等とを一体に取り扱うことができ、車両への組付、部品管理を極めて容易にすることができる。
【0119】
前記ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成したため、従来のような植え込みボルトを不用とし、その分回転軸芯に沿った方向での小型化を図ることができ、且つ重量軽減も可能である。
【0120】
前記ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成したため、ジョイント結合筒65の大きさをクラッチ外筒67と同等又はこれに近い大きさにすることができ、ジョイント結合筒65からクラッチ外筒67へのトルク伝達に際して、ジョイント結合筒65に必要以上の大きな力が働くことはなく、肉厚増を抑制し、全体的な小型化と共に重量軽減を図ることができる。
【0121】
前記ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67との間に、第1の周回状空間73と第2の周回状空間103との間を区画する周回状の区画壁79を設け、前記第2の周回状空間103に、前記摩擦クラッチ71を配置したため、第2の周回状空間103側を、第1の周回状空間73側とは別の専用のオイル等を収容することができる。従って、第2の周回状空間103を摩擦クラッチ71の断続特性に合わせたものにすることができる。
【0122】
前記区画壁79を、ジョイント結合筒65に対して一体の壁部で構成したため、ジョイント結合筒65の強度向上を図ることができ、ジョイント結合筒65の肉厚増をより抑制し、重量軽減、小型化をより容易にすることができる。
【0123】
また、ジョイント結合筒65を形成するに際して、区画壁79を共に形成することができ、区画壁79の形成を容易にすることができる。さらに、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを結合すると、区画壁79が規定位置に自動的に配置されることになり、組付けを容易に行うことができる。
【0124】
前記区画壁79と前記シャフト69との間を、シール102で閉止したため、第1,第2の周回状空間73,103間をより確実に区画することができる。
【0125】
前記摩擦クラッチ71は、回転軸芯に沿った方向の押圧力で締結される摩擦クラッチであり、前記区画壁79は前記摩擦クラッチ71の締結力を受ける受け面85を備えたため、区画壁79によって第1,第2の周回状空間73,103の区画を行うと共に、区画壁79の受け面85によって摩擦クラッチ71の締結力を受け、摩擦クラッチ71を確実に締結することができる。従って、特別な受圧部材を設ける必要がなく、部品点数を軽減し、組付け、部品管理をより容易にすることができる。また、重量増を抑制し、小型化を確実に達成することができる。
【0126】
前記第2の周回状空間103に、前記区画壁79に対向する回転方向に沿った方向の端壁111を設けて該第2の周回状空間103を密閉状としたため、第2の周回状空間103を摩擦クラッチ71の断続機能特性に合わせた環境に容易に設定することができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0127】
前記摩擦クラッチ71は、前記クラッチ外筒67とシャフト69と共に各別に一体に回転する外内クラッチプレート105,107からなり、前記摩擦クラッチ71の締結力を操作する電磁石139を設けたため、電磁石139により車両の走行状態に合わせて締結力を操作し、所望のトルク伝達を行うことができる。
【0128】
前記電磁石139は、前記第2の周回状空間103の回転軸芯に沿った方向で前記端壁111の外側に配置されているため、端壁111の外側に形成される空間を利用して、電磁石139を容易に配置することができる。
【0129】
前記電磁石139は、周回状に形成され、端壁111の外側で結合筒113及びボス部115間に形成される空間を利用して、より容易にコンパクトに配置することができる。
【0130】
前記シャフト69に、中空部95が形成され、前記中空部95に、ドライブピニオンシャフト9を回転連動結合可能としたため、ドライブピニオンシャフト9の組付けを容易に行うことができ、車両への組付けが極めて容易となる。
【0131】
前記ドライブピニオンシャフト9に、ドライブピニオンギヤ11を設け、前記中空部95に、前記ドライブピニオンシャフト9を回転連動結合し、前記ドライブピニオンシャフト9を、ベアリング15を介してデフキャリア13に回転自在に支持し、前記第2の周回状空間103及びデフキャリア13外部に対して前記ドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画するシール123,147,圧入面149,圧入穴153,ゴムリング159,閉止プレート161を設けたため、第2の周回状空間103とドライブピニオンギヤ11側の空間168とでそれぞれの機能特性に合わせたオイル等の使用が可能となり、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0132】
特に、前記端壁111に、ボス部115を設け、前記ボス部115と前記デフキャリア13及びシャフト69との間に、第2の周回状空間103及びデフキャリア13外部に対して前記ドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画するシール123,147,圧入面149,圧入穴153を設けたため、クラッチ外筒67をデフキャリア13外部に露出させることができ、冷却性を向上することができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Eの取り付け状態を示す拡大断面図を示している。この第2実施形態のトルク伝達カップリング1Eは、基本的には図2の第1実施形態と同様な構成であり、細部の形状等は多少異なるが、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0133】
本実施形態のトルク伝達カップリング1Eは、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67との内外周が同径の筒状に形成されている。ジョイント結合筒65の内周面に形成されるボール係合溝75と、クラッチ外筒67の内周面に形成された雌スプライン89とは連続して形成され、回転軸芯に沿った方向に渡って同一緒元の係合溝として連続形成されている。
【0134】
本実施形態の区画壁79は、ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67に対し別体の壁部材で構成されている。区画壁79の外周には、前記ボール係合溝75及び雌スプライン89に対応する雄スプライン179が設けられ、ボール係合溝75及び雌スプライン89にスプライン嵌合している。従って、区画壁79は組付時にボール係合溝75側あるいは雌スプライン89側から組み込んで回転軸芯方向に移動させ、図3の配置とすることができる。
【0135】
前記区画壁79は、前記ジョイント結合筒65及び前記クラッチ外筒67に溶接93によって固着されている。但し、区画壁79は少なくとも前記ジョイント結合筒65に固着されればよいものである。
【0136】
前記区画壁79の内周側には、前記Xリングのシール123と同様な構成のXリングのシール181が収容され、シャフト69の端部外周に密接している。シャフト69の端部と、ドライブピニオンシャフト9の端部との間には、Oリング等ゴム製のシール183が設けられている。
【0137】
本実施形態の端壁111は、クラッチ外筒67に溶接により固着されている。この端壁111のボス部115の外周面とデフキャリア13のスリーブ151内周面との間には、シール185が介設されている。
【0138】
従って、シール123,183,185により、第2の周回状空間103及びデフキャリア13外部に対して、前記ドライブピニオンギヤ側の空間168を区画している。
【0139】
本実施形態のクラッチ手段は、回転速度差感応型の一例としての粘性流体クラッチ187で構成されている。粘性流体クラッチ187は、クラッチ外筒67とシャフト69と共にそれぞれ一体に回転し、相互に隣接対向する外内プレート189,191及び第2の周回状空間103内に封入された粘性流体、例えばシリコンコイルからなっている。外プレート189は、クラッチ外筒67の雌スプライン89に係合し、内プレート191はシャフト69の雄スプライン97に係合している。従って、前記クラッチ手段としての粘性流体クラッチ187は、前記シャフト69と共に一体に回転する内プレート191及び前記第2の周回状空間103に封入された粘性流体を含む構成となっている。
【0140】
前記クラッチ外筒67がトルク伝達によって回転すると、シャフト69との間に相対回転を生じ、外プレート189、内プレート191間で粘性流体が剪断抵抗を生じ、外プレート189から内プレート191へ粘性流体を介してトルク伝達が行われる。
【0141】
従って、クラッチ外筒67から粘性流体クラッチ187を介して、シャフト69側へトルク伝達が行われ、後輪23,25側へトルクを伝達することができる。
【0142】
本実施形態においても、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とが予め一体に形成される等して、基本的には第1実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0143】
前記区画壁111は、前記ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67とは別体の壁部材をジョイント結合筒65及びクラッチ外筒67に固着して構成したため、ジョイント結合筒65を容易に形成することができる。
【0144】
前記区画壁111の位置も、組み付く時に組付誤差等に合わせてスライド調整することができる。そして、区画壁111の位置調整後に溶接93を行うことで、組付けを容易にすることができる。区画壁111が別体の壁部材で形成されているため、区画壁111の形状の選定自由度を拡げることができる。
【0145】
前記クラッチ手段は、粘性流体クラッチ187であるため、粘性流体の剪断抵抗によるトルク伝達を行うことができる。従って、オンデマンド、すなわち必要に応じて機械的にトルク伝達が可能となり、且つ構造を簡単にすることができる。
【0146】
前記ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67は、内外周が同径の筒状に形成されたため、ジョイント結合筒65をクラッチ外筒67と同等の肉厚とすることができ、重量増を抑制することができる。また、ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67の同一材料による一体形成が容易であり、製造を容易に行うことができる。
【0147】
前記ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67の内周面に、回転軸芯に沿った方向に渡って同一緒元のボール係合溝75、雌スプライン89を連続形成したため、別体の壁部材である区画壁79を係合溝に沿って容易に組み付け、回転方向の位置決めも確実且つ容易となる。
(第3実施形態)
図4は本発明の第3実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Fの取り付け状態を示す拡大断面図である。本実施形態は、前記第2実施形態と基本的な構成は同様であり、細部の形状等は多少異なるが、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0148】
本実施形態では、ジョイント結合筒65及びクラッチ外筒67を一体に形成し、別体の壁部材で形成された区画壁79を組み込んだものである。すなわち前記ジョイント結合筒65の内径及び外径は、前記クラッチ外筒67よりも若干小径に形成され、両者間に回転軸芯に沿った方向に向いた突当面193が設けられている。
【0149】
前記区画壁79の外周一側は45°の面取りがなされ、前記突当面193外周側のコーナー部との間に、シールリング195が介設されている。前記クラッチ外筒67側には、止め輪197が取り付けられ、区画壁79の外周他側に回転軸芯に沿った方向に係合している。これにより、区画壁79は突当面193に突き当てられ、止め輪197により位置決められる。
【0150】
前記区画壁79の組付けは、該区画壁79を、シールリング195と共に第2の周回状空間103側から挿入して前記突当面193に突き当て、止め輪197を組み付けて、突当面193に対し区画壁79を位置決める。
【0151】
本実施形態においてもジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成すること等により、基本的には第2実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0152】
また、前記ジョイント結合筒65の内径を前記クラッチ外筒67の内径よりも小径に形成して両者間に回転軸芯に沿った方向に向いた突当面193を設け、前記区画壁79を、前記ジョイント結合筒65、クラッチ外筒67に対して別体の壁部材で形成し、前記区画壁79を、前記第2の周回状空間103側から前記突当面に突き当てて位置決めたため、区画壁79の組付けを極めて容易に行うことができる。
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Gの取り付け状態を示す拡大断面図である。本実施形態においても基本的な構成は第2実施形態と同様であり、細部の形状等は若干異なるが、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0153】
本実施形態では、区画壁79はクラッチ外筒67に一体形成されている。前記ジョイント結合筒65の端部199が前記区画壁79の回転半径に沿った方向の中間部に若干のくびれ部201を介して一体に結合されている。
【0154】
前記シャフト69には、雌スプライン99の他に同一緒元の雌スプライン203が設けられ、雌スプライン99,203にドライブピニオンシャフト9の雄スプライン205がスプライン嵌合している。ドライブピニオンシャフト9の雄スプライン205は、ベアリング15側にまで至っており、シャフト69の端部がベアリング15のインナーレース207に突き当たっている。
【0155】
前記ドライブピニオンシャフト9の端部には、ワッシャ163を介してナット165が締結され、シャフト69が締結力を受けるようになっている。従って、シャフト69からベアリング15のインナーレース207に締結力が作用し、ベアリング15に与圧が付与されるようになっている。
【0156】
本実施形態においてもジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成すること等により、第2実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0157】
また、前記区画壁79を、前記クラッチ外筒67に一体形成し、前記ジョイント結合筒65の端部199を、前記区画壁79の回転半径に沿った方向の中間部に一体に結合したため、ジョイント結合筒65が区画壁79に対して補強リブとしての機能を奏することができ、区画壁79の肉厚増を抑制して、回転軸芯に沿った方向に、よりコンパクトに形成することができ、また重量増も抑制することができる。
(第5実施形態)
図6は本発明の第5実施形態を示し、トルク伝達カップリング1Hの取り付け状態を示す拡大断面図である。本実施形態においても第2実施形態と基本的な構成は同様であり、細部の形状等は多少異なるが、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0158】
本実施形態では、端壁111がクラッチ外筒67と一体に形成され、区画壁79は、クラッチ外筒67に対し溶接209によって結合され一体形成されている。
【0159】
前記区画壁79には、第4実施形態と同様に、ジョイント結合筒65の端部199が前記区画壁79の回転半径に沿った方向の中間部に一体に結合されている。シール183は、シャフト69側に収容され、ドライブピニオンシャフト9の端部外周面に密接している。
【0160】
従って、本実施形態においても、第2実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。また、ジョイント結合筒65の端部199を区画壁79の回転半径方向の中間部に一体に結合したため、この点において第4実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
(第6実施形態)
図7は本発明の第6実施形態を示し、トルク伝達カップリング1Iの取り付け状態を示す拡大断面図である。本実施形態においても基本的な構成は第5実施形態と同一であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0161】
本実施形態では、前記デフキャリア13に前記ジョイント結合筒65及びクラッチ外筒67の外周を覆うスリーブ211を設けたものである。スリーブ211の先端の支持部213は段付き状に形成され、支持部213内面にベアリング215を介してジョイント結合筒65が回転自在に支持されている。また、支持部213の内面とジョイント結合筒65の外面との間にシール217が介設されている。
【0162】
前記シール217、183、123によって、前記同様、空間168が前記同様にして区画されている。
【0163】
本実施形態においても第5実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0164】
また、ジョイント結合筒65及びクラッチ外筒67の外周を覆うスリーブ211を設けたため、外部からの飛散物や地上の突起物等からクラッチ外筒67を保護することができ、耐久性、信頼性を向上することができる。
【0165】
前記ジョイント結合筒65をスリーブ211の内面にベアリング215を介して回転自在に支持したため、デフキャリア13に対するトルク伝達カップリング1Iの回転支持をより確実に行うことができる。従って、粘性流体クラッチ187により、ぶれの無い確実なトルク伝達を行わせることができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0166】
前記スリーブ211の先端と前記ジョイント結合筒65との間に、スリーブ211外部に対して前記ドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画するシール217を設けたため、スリーブ211外部に対してドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画することができ、前記同様な作用効果を奏することができる。また、スリーブ211の先端においてシール217の組付けを容易に行うことができる。
【0167】
なお、スリーブ211は、デフキャリア13とは別部材として形成し、ボルト等の固着手段を用いてデフキャリア13に一体化しても良い。
(第7実施形態)
図8は本発明の第7実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Jの取り付け状態を示す拡大断面図を示している。本実施形態のトルク伝達カップリング1Jは、基本的に図5の第4実施形態と同一であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0168】
本実施形態では、デフキャリア13のスリーブ211がジョイント結合筒65の端部まで延設され、ジョイント結合筒65の端部外周とスリーブ211の先端内周との間にシール217が介設されている。クラッチ外筒67は、スリーブ211の中間部内面にベアリング215を介して回転自在に支持されている。
【0169】
従って、本実施形態においても第5実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0170】
また、前記シール217によりスリーブ211外部に対しドライブピニオンギヤ11側の空間168を区画することができ、第6実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0171】
また、ベアリング215により粘性流体クラッチ187をスリーブ211側に確実に支持し、ぶれの無い確実なトルク伝達を行わせることができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0172】
なお、第6実施形態での説明と同様に、スリーブ211は、デフキャリア13とは別部材として形成し、ボルト等の固着手段を用いてデフキャリア13に一体化しても良い。
(第8実施形態)
図9は本発明の第8実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Kの取り付け状態を示す拡大断面図を示している。基本的な構成は図2の第1実施形態と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0173】
本実施形態では、ジョイント結合筒65の内周側、すなわち一体に設けた区画壁79の内周側に、シャフト227の内周へ延設された連結ボス部219が設けられている。連結ボス部219には、ゴム製のシール221が保持され、ドライブピニオンシャフト9の端部外周に密接している。ドライブピニオンシャフト9の端部には、スナップリング223が取り付けられ、連結ボス部219の回転軸芯に沿った方向での位置決めを行っている。
【0174】
前記連結ボス部219には回転軸芯に沿った方向の係合溝として、雄スプライン225が設けられている。連結ボス部219の基部外周面234と雄スプライン225との外周径は同径となっている。内回転部材としてのシャフト227の端部内周には、回転軸芯に沿った方向の係合溝を構成する雌スプライン229が設けられている。そして、シャフト227のスプライン229に連結ボス部219のスプライン225を係合させて予め一体に組み付けている。
【0175】
前記クラッチ外筒67には、前記区画壁79と共に区画壁を構成する端壁231が溶接233によって固着されている。端壁231は、前記連結ボス部219の基部外周面234に相対回転可能に嵌合している。前記端壁231側に支持されXリングで構成されたシール181は、連結ボス部219の基部外周面234に密接している。
【0176】
また端壁111の内周側には、ボス部115とは反対方向に第2の周回状空間103側に突出する支持ボス部235が設けられている。前記シャフト227は、前記支持ボス部235外周面に相対回転自在に支持されている。シャフト227側に保持されXリングで構成されたシール123は、支持ボス部235外周面に密接している。
【0177】
前記クラッチ外筒67側には、前記ボス部115及び支持ボス部235内周側に中空部が形成され、該中空部に雌スプライン237が設けられている。
【0178】
前記ドライブピニオンシャフト9は、前記雌スプライン237にスプライン嵌合し、Cクリップ157によって位置決められている。
【0179】
前記シャフト227に対するジョイント結合筒65の結合は、次のようにして行う。すなわち、連結ボス部219を端壁231の内周側に差し込み、区画壁79を端壁231に突き当てるようにする。これによって、連結ボス部219の雄スプライン225がシャフト227の雌スプライン229にスプライン嵌合し、シール181が基部外周面234に密接する。このようにして、ジョイント結合筒65をクラッチ外筒67に極めて容易に結合することができる。
【0180】
前記ジョイント結合筒65に伝達されたトルクは、連結ボス部219から雄スプライン225、雌スプライン229を介してシャフト227に伝達される。これによって、シャフト227とクラッチ外筒67側とが相対回転し、内外プレート191,189間で粘性流体の剪断抵抗を生じ、シャフト227からクラッチ外筒67側へトルク伝達が行われる。このトルク伝達によって、ボス部115及び支持ボス部235からスプライン結合を介して、ドライブピニオンシャフト9へトルク伝達が行われ、前記同様、オンデマンドのトルク伝達を行うことができる。
【0181】
そして、本実施形態においても、ジョイント結合筒65とシャフト227とを予め一体的に組み付けることによって、第1実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
【0182】
本実施形態では、ジョイント結合筒65の径の小さな連結ボス部219からシャフト227へトルクが伝達されるため、連結ボス部219の肉厚をある程度必要とする。しかし、ジョイント結合筒65側全体が肉厚になる場合に比較すると重量軽減は可能であり、又小型化も達成できる。
【0183】
前記ジョイント結合筒65の内周側に、前記シャフト227の内周へ延設された連結ボス部219を設け、前記シャフト227に、前記連結ボス部219を雄スプライン225,雌スプライン229により係合させて予め一体的に組み付け、前記クラッチ外筒67の中空部に、ドライブピニオンシャフト9をスプライン結合したため、シャフト227に対するジョイント結合筒65の組付けを容易に行うことができながら、トルク伝達を確実に行うことができ、信頼性、耐久性を向上することができる。
(第9実施形態)
図10は第9実施形態に係り、トルク伝達カップリング1Lの取り付け状態を示す拡大断面図である。尚、基本的な構成は図2の第1実施形態と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0184】
本実施形態では、電磁石139とアーマチュア137とのエアギャップ239を自動調整するようにしたものである。前記電磁石139のヨーク241は、前記デフキャリア13に回転軸芯に沿った方向に移動可能に支持されている。すなわち、デフキャリア13には摺動孔243が設けられ、この摺動孔243に前記ヨーク241の外周面がスライド可能に嵌合支持されている。
【0185】
前記ヨーク241には、ばね受245が周回状に設けられている。このばね受245と前記デフキャリア13の壁面247との間には、コイルスプリング249が介設されている。コイルスプリング249は、前記電磁石139を回転軸芯に沿った方向へ付勢移動させ、エアギャップ239を拡げようとするものである。
【0186】
前記デフキャリア13の壁面247には、収容凹部251が周方向に複数設けられている。各収容凹部251内には、回転駒253がピン255によって回転自在に支持されている。回転駒253は、デフキャリア13と電磁石139との間で、電磁石139のエアギャップ239を拡げようとする移動を許容し、反対の移動を阻止するワンウェイクラッチとして機能している。従って、回転駒253は、図10のようにエアギャップ239を拡げようとする方向である図10の右方向に傾斜して配置され、先端部が電磁石139の外周面に係合している。
【0187】
前記アーマチュア137は、前記電磁石139に対しエアギャップ239を介して対向している。このアーマチュア137は、クラッチ外筒67に一体に設けられ、第2の周回状空間103を密閉状とする端壁を兼ねている。アーマチュア137の内周側には、ボス部257が設けられ、該ボス部257の端部にストッパ部259が設けられている。
【0188】
前記ストッパ部259は、前記コイルスプリング249の付勢による電磁石139のアーマチュア137に対するエアギャップ239を拡げようとする方向への相対移動を位置決めて、エアギャップ239の設定値を維持するものである。従って、コイルスプリング249の付勢によって電磁石139がストッパ部259に当接することで、エアギャップ239が自動調整されるようになっている。
【0189】
前記ボス部257は、ドライブピニオンシャフト9の外周面に嵌合し、ボス部257側に収容保持されたOリング等のシール261が密接している。
【0190】
摩擦クラッチ71は、図10において簡略して図示してあるが、図2の第1実施形態の摩擦クラッチ71と同様に外クラッチプレート105、内クラッチプレート107を備えている。
【0191】
本実施形態において、内クラッチプレート107は、ドライブピニオンシャフト9に設けられた雄スプライン263に係合している。従って、本実施形態では、ドライブピニオンシャフト9そのものが内側回転部材を構成している。
【0192】
前記ドライブピニオンシャフト9には、前記摩擦クラッチ71の一側に対向配置された受圧プレート265が嵌合配置されている。受圧プレート265は、前記ドライブピニオンシャフト9に取り付けられているストッパリング267に係合し、回転軸芯に沿った方向に位置決められている。この受圧プレート265に対応して、摩擦クラッチ71の他側に対向する区画壁79に、押圧面269が構成されている。
【0193】
前記区画壁79の内周側には、支持孔271が設けられ、前記ドライブピニオンシャフト9の端部が嵌合支持されている。支持孔271には、シールを構成する閉止プレート273が取り付けられている。
【0194】
前記クラッチ外筒67とデフキャリア13のスリーブ151先端との間に、シール186が介設されている。前記シール185、261、閉止プレート273によって、前記同様、空間168が区画されている。
【0195】
そして、電磁石139が通電制御されると、電磁石139の磁力によって、アーマチュア137がエアギャップ239を詰める方向へ移動する。この移動によって、クラッチ外筒67、区画壁79も全体的に同方向へ移動し、押圧面269と受圧プレート265との間で摩擦クラッチ71が締結される。このときにクラッチ外筒67及びジョイント結合筒65は、トルク伝達ボール173との間で軸方向の相対移動が可能なため、電磁石139の磁力によってクラッチ外筒67及びジョイント結合筒65等が無理なく移動することで前記のように摩擦クラッチ71を締結する。これによって、クラッチ外筒67に伝達されたトルクは、摩擦クラッチ71を介しドライブピニオンシャフト9に伝達され、前記同様、四輪駆動状態で走行することができる。
【0196】
前記摩擦クラッチ71の締結及び締結解除によって、摩擦クラッチ71が摩耗したときには、摩耗に応じて摩擦クラッチ71締結時のクラッチ外筒67側の移動量が大きくなる。これによって、エアギャップ239が小さくなろうとする。この場合、電磁石139はコイルスプリング249の付勢力によって、ストッパ部259へ当接するように移動する。
【0197】
前記回転駒253は電磁石139の移動方向へ傾斜しているため、回転駒253が電磁石139の前記のようなエアギャップ239を拡げようとする移動を阻止することはなくこれを許容し、反対の移動、すなわち電磁石139のエアギャップ239側への移動を阻止することができる。
【0198】
従って、摩擦クラッチ71の摩耗によって、クラッチ外筒67側の移動量が大きくなり、エアギャップ239が変化しようとしてもこれに応じて電磁石139がストッパ部259に当接するように移動するため、アーマチュア137と電磁石139との間のエアギャップ239の設定値を維持するように自動調整される。このため、規定のトルク−電流特性を長期間にわたって維持することができる。
【0199】
しかも、第1実施形態に比較して、パイロットクラッチ135やカムプレート127、ボール131等が不要となり、がたつきのない正確なトルク伝達を行うことができる。
【0200】
そして、本実施形態においても、ジョイント結合筒65とクラッチ外筒67とを予め一体に形成する等して、第1実施形態とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
(第10実施形態)
図11は本発明の第10実施形態に係り、トルク伝達カップリングの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。この図11は、縦置きフロントエンジン、リヤドライブベース(FRベース)の四輪駆動車のスケルトン平面図である。尚、図1と対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0201】
本実施形態では、トルク伝達カップリング1M,1Nが左右後輪23,25のアクスルシャフト19,21側にそれぞれ設けられている。そして、プロペラシャフト275からの伝達トルクを方向変換歯車組277を介して、前記各トルク伝達カップリング1M,1Nに伝達するようにしている。
【0202】
前記方向変換歯車組は、ドライブピニオンシャフト9に設けられたドライブピニオンギヤ11と、伝動軸279に取り付けられたリングギヤ281とによって構成されている。トルク伝達カップリング1M,1Nが第1実施形態のトルク伝達カップリング1の構造であるとすると、各等速ジョイント7にアクスルシャフト19,21がそれぞれ結合されている。
【0203】
アクチュエータである電磁石139は、それぞれキャリア283側に支持されている。伝動軸279はトルク伝達カップリング1M,1Nのシャフト中空部に結合されている。キャリア283とトルク伝達カップリング1M,1Nとの間には、シール285が設けられている。
【0204】
また、本実施形態においては、動力分配装置285にもトルク伝達カップリング1Pが設けられている。このトルク伝達カップリング1Pは、図9の第8実施形態のトルク伝達カップリング1Kと近似した形態となっている。図9の第8実施形態を利用して説明すると、本実施形態では、図9においてジョイント結合筒65とドライブピニオンシャフト9とがスプライン嵌合し、クラッチ外筒67側はドライブピニオンシャフト9に対し相対回転自在に構成される。そして、ドライブピニオンシャフト9に代え、図11のようにトランスミッション51の出力軸287がジョイント結合筒65に結合されている。ジョイント結合筒65にはプロペラシャフト275が等速ジョイント7を介して結合される。クラッチ外筒67側には、スプロケット289が一体的に設けられている。
【0205】
多板式の摩擦クラッチ71の締結力を操作する締結力操作手段であるアクチュエータとしては、モータ295が用いられている。モータ295は動力分配装置286のハウジング297に支持されている。モータ295は減速ギヤ組299を介して押圧プレート109を移動させ、摩擦クラッチ71を締結する構成となっている。
【0206】
前記スプロケット289には伝動軸301に設けられたスプロケット303との間にチェーン305が掛け回されている。伝動軸301は、プロペラシャフト307を介して伝動軸309側に接続されている。
【0207】
従って、前記トルク伝達カップリング1M,1Nでは、電磁石139の通電制御によって前記同様摩擦クラッチ71を締結制御し、リングギヤ281から伝動軸279に伝達されたトルクを左右のアクスルシャフト19,21へ伝達することができる。これによりプロペラシャフト275からドライブピニオンシャフト9、ドライブピニオンギヤ11、リングギヤ281へ伝達されたトルクを後輪23,25へ等しく伝達するか、コーナリング走行など走行状態に応じて所定比率配分で伝達することができる。
【0208】
また、前記トルク伝達カップリング1Pでは、モータ295の駆動によって減速歯車組299を介し押圧プレート109を移動させ、摩擦クラッチ71を締結制御することができる。従って、トルク伝達カップリング1Pを介し、エンジン49からトランスミッション51を介し出力軸287に伝達されるトルクは、トルク伝達カップリング1Pの摩擦クラッチ71の締結制御によって、一方ではプロペラシャフト275側へ伝達し、他方ではスプロケット289、チェーン305、スプロケット303、プロペラシャフト307、伝動軸309、傘歯車33、リングギヤ47を介して、フロントデファレンシャル43に入力することができる。
【0209】
従って、トルク伝達カップリング1Pの摩擦クラッチ71を走行状態に応じて締結制御することにより、前輪57,59、後輪23,25側へのトルク配分を走行状態に応じて制御し、二輪駆動及び的確な四輪駆動を行うことができる。
【0210】
前記トルク伝達カップリング1Pを省略して、フロントデファレンシャル43側へはトランスミッション51からスプロケット289を介して直接的にトルクを伝達し、後輪23,25側はトルク伝達カップリング1M,1Nの制御によって、二輪駆動あるいは走行状態に応じたトルク配分による四輪駆動を的確に行わせることもできる。
【0211】
なお、前記トルク伝達カップリング1M,1N及び方向変換歯車組277のトルク伝達構造は、図1の横置きフロントエンジン、フロントドライブベース(FFベース)の四輪駆動車のリヤデファレンシャル3の部分に変えて、同様に適用することもできる。図1のプロペラシャフト上のトルク伝達カップリング1A、又はフロントデファレンシャル43と左右前輪57,59との間、すなわちフロントデファレンシャル43と左右のアクスルシャフト53,55との間に設けるトルク伝達カップリング1C,1Dは、図11の縦置きフロントエンジン、リヤドライブベース(FRベース)の四輪駆動車においても同様に適用することができる。
【0212】
第1の外側回転部材は、ジョイント結合筒に限らず、他の部材を結合するものとして構成することもできる。例えば、第1の外側回転部材に単なる軸をスプライン結合、ボルト結合等することもできる。
【0213】
クラッチ手段は、多板の摩擦クラッチ、粘性流体クラッチの他、2つの円錐面の一方を軸方向に固定し他方を軸方向に移動させて摩擦係合させるコーンクラッチ、軸方向に噛み合い歯を有する2つの噛み合い歯の一方を軸方向に固定し、他方を軸方向に移動させて噛み合い係合させるドグクラッチ、オイルポンプの吐出抵抗をトリガーにして摩擦クラッチを押圧するクラッチなどを用いることもできる。
【0214】
クラッチ手段は、例えばシャフト69と共に一体に回転する内プレートとしてのブレードを前記第2の周回状空間103内に設けると共に粘性流体を封入し、これら粘性流体及びブレード側に対しピストンを挟んでクラッチ外筒67とシャフト69との間に摩擦多板クラッチを設ける構成にすることもできる。この場合も内側回転部材であるシャフト69と共に一体に回転する内プレートであるブレード及び前記第2の周回状空間に封入された粘性流体を含む構成となる。この構成では、粘性流体の剪断抵抗による流体圧をトリガーとしてピストンの移動を介し摩擦多板クラッチを押圧締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトルク伝達カップリングの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
【図2】第1実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第7実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第8実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の第9実施形態に係り、トルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第10実施形態に係り、トルク伝達カップリングの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
【図12】従来例に係るトルク伝達カップリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1L,1M,1N,1P トルク伝達カップリング
3 リヤデファレンシャル
5 リヤプロペラシャフト(プロペラシャフト)
7 等速ジョイント(回転連結部材)
9 ドライブピニオンシャフト(回転軸部材)
11 ドライブピニオンギヤ(動力伝達ギヤ)
13 デフキャリア(固定側支持体)
15 ベアリング
19,21 アクすルシャフト
23,25 後輪
29 トランスファ
27 フロントプロペラシャフト(プロペラシャフト)
43 フロントデファレンシャル
57,59 前輪
65 ジョイント結合筒(第1の外側回転部材)
67 クラッチ外筒(第2の外側回転部材)
69 シャフト(内側回転部材)
71 摩擦クラッチ(クラッチ手段)
73 第1の周回状空間
79 区画壁
85 受け面
95 中空部
102 シール
103 第2の周回状空間
105 外クラッチプレート(摩擦部材)
107 内クラッチプレート(摩擦部材)
111 端壁
115 ボス部
139 電磁石(アクチュエータ、締結力操作手段)
149 圧入面(シール)
151 スリーブ
153 圧入穴(シール)
159 ゴムリング(シール)
161 閉止プレート(シール)
183 シール
185 シール
187 粘性流体クラッチ(クラッチ手段)
189 外プレート
191 内プレート
199 端部
217 シール
219 連結ボス部
221 シール
227 シャフト(内回転部材)
231 端壁(区画壁)
277 方向変換歯車組

Claims (25)

  1. 相手側回転部材を回転連結部材により回転連動結合可能な中空筒状の第1の外側回転部材と、
    回転可能に配置された中空筒状の第2の外側回転部材と、
    前記第2の外側回転部材の内側に回転可能に配置された内側回転部材と、
    前記第2の外側回転部材と内側回転部材との間のトルク伝達を断続可能にするクラッチ手段とを備え、
    前記第1の外側回転部材と前記第2の外側回転部材又は前記内側回転部材とを予め一体に形成し又は一体的に組み付けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  2. 請求項1記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1,第2の外側回転部材間に、前記第1の外側回転部材の内周側に形成される第1の周回状空間と第2の外側回転部材及び内側回転部材間に形成される第2の周回状空間との間を区画する周回状の区画壁を設け、
    前記第2の周回状空間に、前記クラッチ手段を配置したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  3. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記区画壁を、前記第1の外側回転部材と一体の壁部で構成し又は一体の壁部を含むことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  4. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記区画壁は、前記第1,第2の外側回転部材と別体の壁部を少なくとも前記第1の外側回転部材に固着して構成したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  5. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記区画壁と前記内側回転部材又は第2の外側回転部材との間を、シールで閉止したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  6. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記クラッチ手段は、回転軸芯に沿った方向の押圧力で締結される摩擦クラッチであり、
    前記区画壁は、前記摩擦クラッチの締結力を受ける受け面を備えたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  7. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第2の周回状空間に、前記区画壁に対向する周回状の端壁を設けて該第2の周回状空間を密閉状としたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  8. 請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記クラッチ手段は、前記内側回転部材と共に一体に回転する内プレート及び前記第2の周回状空間に封入された粘性流体を含むことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  9. 請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記クラッチ手段は、前記第2の外側回転部材と前記内側回転部材と共に各別に一体に回転する外内摩擦部材からなる摩擦クラッチであり、
    前記摩擦クラッチの締結力を操作する締結力付与手段を設けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  10. 請求項9記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記締結力操作手段は、前記第2の周回状空間の回転軸芯に沿った方向で前記端壁の外側に配置されたアクチュエータを備えていることを特徴とするトルク伝達カップリング。
  11. 請求項10記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記アクチュエータは、通電制御による磁力線でアーマチュアを移動させ前記締結力を操作する周回状の電磁石であることを特徴とするトルク伝達カップリング。
  12. 請求項1記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記内側回転部材に、中空部が形成され、
    前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合可能としたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  13. 請求項12記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、
    前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、
    前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、
    前記第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  14. 請求項7記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記内側回転部材に、中空部を形成し、
    前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合し、
    前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、
    前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、
    前記端壁に、ボス部を設け、
    前記ボス部と前記固定側支持体及び内側回転部材との間に、第2の周回状空間及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  15. 請求項12記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、
    前記中空部に、前記回転軸部材を回転連動結合し、
    前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、
    前記固定側支持体に、少なくとも前記第2の外側回転部材の外周を覆うスリーブを設けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  16. 請求項15記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1,第2の外側回転部材の少なくとも一方を、前記スリーブの内面にベアリングを介して回転自在に支持したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  17. 請求項15記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記スリーブの先端と前記第1の外側回転部材との間に、スリーブ外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  18. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1,第2の外側回転部材は、内外周が同径の筒状に形成されたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  19. 請求項4記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1,第2の外側回転部材の内周面に、回転軸芯に沿った方向に渡って同一諸元の係合溝を連続形成したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  20. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1の外側回転部材の内径を前記第2の外側回転部材の内径よりも小径に形成して両者間に回転軸芯に沿った方向に向いた突当面を設け、
    前記区画壁を、前記第1,第2の外側回転部材に対して別体の壁部材で形成し、
    前記区画壁を、第2の周回状空間側から前記突当面に突き当てて位置決めたことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  21. 請求項2記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記区画壁を、前記第2の外側回転部材に一体形成し、
    前記第1の外側回転部材の端部を、前記区画壁の回転半径に沿った方向の中間部に一体に結合したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  22. 請求項3記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記第1の外側回転部材の内周側に、前記内側回転部材の内周へ延設された連結ボス部を設け、
    前記内側回転部材に、前記連結ボス部を回転軸芯に沿った方向の係合溝により周回方向に係合させて予め一体的に組み付け、
    前記第2の外側回転部材に、中空部を設け、
    前記中空部に、回転軸部材を回転連動結合したことを特徴とするトルク伝達カップリング。
  23. 請求項1〜22の何れかに記載のトルク伝達カップリングであって、
    前記回転連結部材は、等速ジョイントであることを特徴とするトルク伝達カップリング。
  24. 請求項1〜23の何れかに記載のトルク伝達カップリングを、横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車におけるリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたことを特徴とする四輪駆動車。
  25. 請求項1〜23の何れかに記載のトルク伝達カップリングを、縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車における左右後輪のアクスルシャフト側に夫々設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して前記各トルク伝達カップリングに伝達することを特徴とする四輪駆動車。
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