JP2004232836A - 電磁クラッチ - Google Patents

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JP2004232836A
JP2004232836A JP2003025449A JP2003025449A JP2004232836A JP 2004232836 A JP2004232836 A JP 2004232836A JP 2003025449 A JP2003025449 A JP 2003025449A JP 2003025449 A JP2003025449 A JP 2003025449A JP 2004232836 A JP2004232836 A JP 2004232836A
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Masao Teraoka
正夫 寺岡
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GKN Driveline Japan Ltd
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

【課題】磁気効率の低下を抑制すると共に、締結特性が安定し、且つ構造が簡単であると共にガタツキを抑制することを可能とする。
【解決手段】デフキャリア13に支持された電磁石59と、電磁石59に対しエアギャップ83を介して対向するアーマチュア63を一体に備えたクラッチハウジング85と、クラッチハウジング85の内周側に同軸に配置されたドライブピニオンシャフト9と、クラッチハウジング85及びドライブピニオンシャフト9に設けられクラッチハウジング85の電磁石59の磁力に応じた移動によりクラッチハウジング85及びドライブピニオンシャフト9間で締結される摩擦クラッチ64とを備え、クラッチハウジング85を、リヤプロペラシャフトにボール型等速ジョイント7により回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能に回転連動結合したことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電磁クラッチ、該電磁クラッチを組み込んだ四輪駆動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電磁クラッチとしては、例えば図5に示すようなものがある。図5は、従来の電磁クラッチの取り付け状態を示す断面図である。図5のように、電磁クラッチ401は、クラッチハウジング403と、中空のシャフト405とが同軸上に配置され、クラッチハウジング403とシャフト405との間に多板のメインクラッチ407が設けられている。
【0003】
前記メインクラッチ407は、押圧プレート409の押圧によって、クラッチハウジング403に対して締結される。押圧プレート409に対向して、カムプレート411が設けられている。押圧プレート409とカムプレート411との間には、それぞれのカム面間にボール413が介設されている。
【0004】
前記カムプレート411と前記クラッチハウジング403との間には、多板のパイロットクラッチ415が設けられている。パイロットクラッチ415に対向して、アーマチュア417が設けられている。前記パイロットクラッチ415に対応して、ケーシング417側に電磁石419が支持されている。
【0005】
前記クラッチハウジング403には、植え込みボルト421が設けられている。この植え込みボルト421にフランジ423がナット425によって締結固定されている。フランジ423は、プロペラシャフトに接続される。前記シャフト405には、ドライブピニオンシャフト427が結合される。
【0006】
従って、電磁石419の給電制御による磁力によって、アーマチュア417が移動し、パイロットクラッチ415が締結される。プロペラシャフトからフランジ423に伝達されたトルクは、植え込みボルト421を介してクラッチハウジング403側に伝達される。このときクラッチハウジング403と共に回転しようとするカムプレート411が押圧プレート409に対し周方向にずれる。このずれによるカム面とボール413との作用によって押圧プレート409がメインクラッチ407側へ移動し、該メインクラッチ407が締結される。
【0007】
前記締結によって、クラッチハウジング403に入力されたトルクが、メインクラッチ407を介してシャフト405へ伝達される。シャフト405からは、ドライブピニオンシャフト427側へトルク伝達が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−153116号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電磁クラッチ401では、電磁石19からアーマチュア417まで磁力線が透過する部材が多数に渡り、磁気効率が低下すると共に、締結特性が安定しないという問題があった。
【0010】
また、メインクラッチ407の他にパイロットクラッチ415、カムプレート411、押圧プレート409、ボール413を必要とする構成となっているため、大きなスペースを必要とし、メインクラッチ407のプレート枚数が制限され、容量増大に限界を招いていた。
【0011】
さらに、パイロットクラッチ415、カムプレート411等の存在によって構造が複雑であると共にガタツキが大きいという問題がある。
【0012】
本発明は、磁気効率の低下を抑制すると共に、結合特性が安定し、且つクラッチ容量増が容易で、構造が簡単であると共に、ガタツキを抑制することのできる電磁クラッチ及びこれを備えた四輪駆動車の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、固定側支持体に支持された電磁石と、前記電磁石に対しエアギャップを介して対向するアーマチュアを一体に又は一体的に備え前記固定側支持体に対し前記電磁石の磁力に応じて回転軸芯に沿った方向へ移動可能なクラッチハウジングと、前記クラッチハウジングに同軸に配置された内側回転部材と、前記クラッチハウジング及び内側回転部材間に設けられ前記クラッチハウジングの磁力に応じた移動によりクラッチハウジング及び内側回転部材側間で結合されるクラッチとを備え、前記クラッチハウジングを、相手側回転部材に回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能に回転連動結合したことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の電磁クラッチであって、前記電磁石及びアーマチュアを、周回状に形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の電磁クラッチであって、前記内側回転部材は、回転軸部材であり、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記クラッチハウジング内部及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3記載の電磁クラッチであって、前記固定側支持体に、スリーブを設け、前記スリーブの内周側に、前記電磁石を支持したことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4記載の電磁クラッチであって、前記スリーブの先端と前記クラッチハウジングとの間に、前記固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする
請求項6の発明は、請求項5記載の電磁クラッチであって、前記シールを、前記クラッチハウジングのアーマチュア側外周との間にもうけたことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の電磁クラッチであって、前記内側回転部材に、前記クラッチハウジング内に配置され回転軸芯に沿った方向に位置決めた受圧体を設け、前記クラッチの結合を、前記受圧体との間で行うことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れかに記載の電磁クラッチであって、前記クラッチハウジングは、前記アーマチュアを一方の端壁として一体に備えると共に、該アーマチュアに前記クラッチを挟んで対向する他方の端壁を備え、前記アーマチュアの内周に、ボス部を設け、前記クラッチハウジングを、前記ボス部の内周と前記他方の端壁の内周とにより前記内側回転部材に対して相対回転可能且つ前記磁力に応じた移動を可能とするように嵌合支持したことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項8記載の電磁クラッチであって、前記ボス部と前記内側回転部材との間及び前記他方の端壁内周とにシールを設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかに記載の電磁クラッチであって、前記クラッチハウジングに、ジョイント結合部を設け、前記ジョイント結合部に、ボール型等速ジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したことを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、請求項1〜9の何れかに記載の電磁クラッチであって、前記クラッチハウジングに、ジョイント結合軸部を設け、前記ジョイント結合軸部に、ボールスプラインにより結合したユニバーサルジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したことを特徴とする。
【0023】
請求項12の発明は、請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車のリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車の左右後輪のアクスルシャフト側に夫々設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して前記各電磁クラッチに伝達することを特徴とする。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明では、電磁石を通電制御すると、電磁石の磁力により電磁石に対しエアギャップを介して対向するアーマチュアが移動し、該アーマチュアと一体又は一体的なクラッチハウジングが固定側支持体に対し前記電磁石の磁力に応じて回転軸芯に沿った方向へ移動することができる。このクラッチハウジングの移動によりクラッチを結合させることができる。このクラッチの結合によりクラッチハウジングと内側回転部材との間でクラッチを介しトルク伝達を行うことができる。前記クラッチハウジングが移動するときは、相手側回転部材に対して回転軸芯に沿った方向へ相対移動することができ、相手側回転部材とクラッチハウジングとの間での回転連動も可能である。
【0026】
従って、電磁石の磁力によりクラッチハウジングを移動させる場合に、エアギャップを介するのみで他部材が介在せず、磁気効率の低下を抑制すると共に、クラッチの結合特性を安定させることができる。
【0027】
また、パイロットクラッチ、カムプレート、ボール等を必要とせず、その分スペースが空き、クラッチの容量を容易に増大することができる。さらに、構造が簡単であると共に、ガタツキを抑制してクラッチの確実な結合を行わせることができる。
【0028】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記電磁石及びアーマチュアを、周回状に形成したため、電磁石によってアーマチュアを確実に移動させることができると共に、アーマチュアの外側に形成される空間を利用して、周回状の電磁石を容易に配置することができる。
【0029】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、前記内側回転部材は、回転軸部材であり、前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、前記クラッチハウジング内部及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたため、クラッチハウジング内部側と動力伝達ギヤ側の空間とでそれぞれの機能特性に合わせた流体の使用が可能となり、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0030】
請求項4の発明では、請求項3の発明の効果に加え、前記固定側支持体に、スリーブを設け、前記スリーブの内周側に、前記電磁石を支持したため、外部からの飛散物や地上の突起物等から電磁石を保護することができ、耐久性、信頼性を向上することができる。
【0031】
請求項5の発明では、請求項4の発明の効果に加え、前記スリーブの先端と前記クラッチハウジングとの間に、固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたため、スリーブの先端においてシールの組付けを容易に行うことができる。
【0032】
請求項6の発明は、請求項5の発明の効果に加え、前記シールを、前記クラッチハウジングのアーマチュア側外周との間にもうけたため、クラッチハウジングを固定側支持体外部に露出させることができ、冷却性を向上することができる。
【0033】
請求項7の発明では、請求項1〜6の何れかの発明の効果に加え、前記内側回転部材に、前記クラッチハウジング内に配置され回転軸芯に沿った方向に位置決めた受圧体を設け、前記クラッチの結合を、前記受圧体との間で行うため、クラッチハウジングの移動によりクラッチの結合を確実に行わせることができる。
【0034】
請求項8の発明では、請求項1〜7の何れかの発明の効果に加え、前記クラッチハウジングは、前記アーマチュアを一方の端壁として一体に備えると共に、該アーマチュアに前記クラッチを挟んで対向する他方の端壁を備え、前記アーマチュアの内周に、ボス部を設け、前記クラッチハウジングを、前記ボス部の内周と前記他方の端壁の内周とにより前記内側回転部材に対して相対回転可能且つ前記磁力に応じた移動を可能とするように嵌合支持したため、クラッチハウジングの回転軸芯に沿った方向への移動可能な支持を確実に行い、クラッチを確実に結合させることができる。
【0035】
請求項9の発明は、請求項8の発明の効果に加え、前記ボス部と前記内側回転部材との間及び前記他方の端壁内周とにシールを設けたため、クラッチハウジング内部を確実に密閉することができ、前記クラッチの機能特性に合わせた流体の使用が確実に可能となり、信頼性、耐久性をより向上することができる。
【0036】
請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかの発明の効果に加え、前記クラッチハウジングに、ジョイント結合部を設け、前記ジョイント結合部に、ボール型等速ジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したため、ボール型ジョイントの部分で前記クラッチハウジングを相手側回転部材に対し、回転軸芯に沿った方向へ確実に相対移動させるこができる。
【0037】
請求項11の発明は、請求項1〜9の何れかに記載の電磁クラッチであって、前記クラッチハウジングに、ジョイント結合軸部を設け、前記ジョイント結合軸部に、ボールスプラインにより結合したユニバーサルジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したため、ボールスプラインの部分で前記クラッチハウジングを相手側回転部材に対し、回転軸芯に沿った方向へ確実に相対移動させるこができる。
【0038】
請求項12の発明は、請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車のリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたため、電磁クラッチのクラッチハウジングと内側回転部材とを用いて、四輪駆動車の車体側に容易に組み付けることができる。また、四輪駆動車のトルク伝達系のクラッチ結合特性を安定させることができる。さらに四輪駆動車の構造を簡単にすると共に、クラッチ容量を容易に増大することができ、且つガタツキを抑制してクラッチの確実な結合を行わせることができる。
【0039】
請求項13の発明は、請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車の左右後輪のアクスルシャフト側に夫々設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して前記各電磁クラッチに伝達するため、電磁クラッチのクラッチハウジングと内側回転部材とを用いて、四輪駆動車の車体側に容易に組み付けることができる。また、四輪駆動車のトルク伝達系のクラッチ結合特性を安定させることができる。さらに四輪駆動車の構造を簡単にすると共に、クラッチ容量を容易に増大することができ、且つガタツキを抑制してクラッチの確実な結合を行わせることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1,図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は、本発明の第1実施形態の電磁クラッチの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図、図2は、本発明の第1実施形態に係る電磁クラッチの組付け状態を示す拡大断面図である。
【0041】
図1のように、第1実施形態の電磁クラッチ1は、横置きフロントエンジン、フロントドライブベース(FFベース)の四輪駆動車のリヤデファレンシャル3と、プロペラシャフトを構成するリヤプロペラシャフト5との間に設けられている。
【0042】
前記電磁クラッチ1には、前記リヤプロペラシャフト5が回転連結部材としての等速ジョイント7を介して結合されている。電磁クラッチ1の出力側には、回転軸部材としてのドライブピニオンシャフト9が接続されている。ドライブピニオンシャフト9は、動力伝達ギヤとしてのドライブピニオンギヤ11を備えている。ドライブピニオンシャフト9は、固定側支持体であるデフキャリア13にベアリング15を介して回転自在に支持されている。
【0043】
前記リヤデファレンシャル3は、前記デフキャリア13に回転自在に支持されている。リヤデファレンシャル3のリングギヤ17は、前記ドライブピニオンギヤ11に噛み合っている。リヤデファレンシャル3は、左右のアクスルシャフト19,21を介して、左右の後輪23,25に連動連結されている。
【0044】
前記リヤプロペラシャフト5は、同じくプロペラシャフトを構成するフロントプロペラシャフト27側に連結されている。フロントプロペラシャフト27は、トランスファ29の伝動軸31に連動連結されている。伝動軸31は、トランスファ29内において、傘歯車33,35、伝動軸37、平歯車39,41を介してフロントデファレンシャル43のデフケース45側に連動構成されている。
【0045】
前記フロントデファレンシャル43のリングギヤ47には、エンジン49の出力トルクがトランスミッション51を介して入力されるようになっている。前記フロントデファレンシャル43は、左右のアクスルシャフト53,55を介して、左右の前輪57,58に連動連結されている。
【0046】
従って、エンジン49の出力トルクは、トランスミッション51からフロントデファレンシャル43のリングギヤ47に伝達され、フロントデファレンシャル43から左右のアクスルシャフト53,55を介して左右の前輪57,58に伝達される。
【0047】
また、フロントデファレンシャル43のデフケース45から、トランスファ29の平歯車41,39、伝動軸37、傘歯車35,33、伝動軸31を介して、フロントプロペラシャフト27へトルク伝達が行われる。
【0048】
前記フロントプロペラシャフト27からは、リヤプロペラシャフト5側へトルク伝達が行われ、リヤプロペラシャフト5から等速ジョイント7を介して電磁クラッチ1にトルク伝達が行われる。
【0049】
前記電磁クラッチ1が、トルク伝達可能状態となっていれば、ドライブピニオンシャフト9からドライブピニオンギヤ11を介して、リヤデファレンシャル3のリングギヤ17にトルク伝達が行われ、リヤデファレンシャル3から左右のアクスルシャフト19,21を介して左右の後輪23,25にトルク伝達が行われる。
【0050】
従って、電磁クラッチ1によってトルク伝達が行われる場合には、左右の前輪57,58、左右の後輪23,25によって四輪駆動状態で走行することができる。
【0051】
前記電磁クラッチ1がトルク遮断状態となっているときには、左右の後輪23,25へのトルク伝達は行われず、左右の前輪57,58へのトルク伝達によって二輪駆動状態での走行を行うことができる。
【0052】
なお、前記電磁クラッチ1は、リヤデファレンシャル3と、リヤプロペラシャフト5との間に配置するものに限らず、例えば図1において一点鎖線で追記したように、リヤプロペラシャフト5とフロントプロペラシャフト27との間のプロペラシャフト上の電磁クラッチ1A、トランスファ29とプロペラシャフトを構成するフロントプロペラシャフト27との間の電磁クラッチ1B、又はフロントデファレンシャル43と左右前輪57,58との間、すなわちフロントデファレンシャル43と左右のアクスルシャフト53,55との間に設ける電磁クラッチ1C,1Dとしてそれぞれ設けることもできる。前記プロペラシャフト上に設ける電磁クラッチ1Aは、弾性を有するマウント部材61によって車体62側に取り付けられる。
【0053】
なお、本実施形態においては、図1のリヤデファレンシャル3とリヤプロペラシャフト5との間に設ける実線図示の電磁クラッチ1を例に説明するため、それぞれ一点鎖線図示の電磁クラッチ1A,1B,1C,1Dは存在しないものとして説明を行う。
【0054】
前記電磁クラッチ1の詳細は図2のようになっている。前記電磁クラッチ1は、電磁摩擦クラッチとして構成され、電磁石59と、アーマチュア63と、クラッチとしての摩擦クラッチ64とを備えている。
【0055】
前記電磁石59は、ヨーク65とコイル67とからなり、周回状に形成されている。ヨーク65の端部外周には、ばね受け69が周回状に設けられている。前記ヨーク65は、固定側支持体としての前記デフキャリア13に回転軸芯に沿った方向に移動可能に支持されている。すなわち前記デフキャリア13には、スリーブ66が設けられている。スリーブ66の内周側には摺動孔71が設けられ、この摺動孔71に前記ヨーク65の外周面65aがスライド可能に嵌合支持されている。従って、スリーブ66の内周側に、前記電磁石59が支持された構成となっている。電磁石59には、デフキャリア13側において給電用の配線が設けられている。
【0056】
前記ばね受け69と前記デフキャリア13の壁面73との間には、付勢手段であるスプリングとしてコイルスプリング75が介設されている。コイルスプリング75は、前記電磁石59を回転軸芯に沿った方向へ付勢移動させ、エアギャップ83を拡げようとするものである。
【0057】
前記デフキャリア13の壁面73には、収容凹部77が設けられている。収容凹部77は、周方向所定間隔で複数設けられ、該収容凹部77内には、回転駒79がピン81によって回転自在に支持されている。
【0058】
前記回転駒79は、前記デフキャリア13と前記電磁石59との間に設けられ、エアギャップ83を拡げようとする移動を許容し、反対の移動を阻止するワンウェイ手段を構成している。すなわち、回転駒79は、エアギャップを拡げようとする方向である図2の右方向に傾斜して配置され、先端部79aが、前記電磁石65の外周面65aに係合している。
【0059】
前記アーマチュア63は、前記電磁石59に対し設定されたエアギャップ83を介して対向している。このアーマチュア63は、前記摩擦クラッチ64のクラッチハウジング85の一部を構成する端壁として一体に構成されている。
【0060】
前記アーマチュア63の内周側には、ボス部87が設けられ、該ボス部87の端部にストッパ部89が設けられている。
【0061】
前記ストッパ部89は、前記コイルスプリング75の付勢による電磁石59のアーマチュア63に対するエアギャップ83を拡げようとする方向への相対移動を位置決めて、エアギャップ83の設定値を維持するためのものである。
【0062】
すなわち、前記コイルスプリング75の付勢によって、電磁石59がストッパ部89に当接することで、エアギャップ83の設定値が自動調整され、該設定値が維持されるようになっている。
【0063】
前記ボス部87は、前記ドライブピニオンシャフト9の外周面に嵌合し、該ボス部87の内周面に収容保持されたオーリングなどのシール91がドライブピニオンシャフト9の外周面に接している。このシール91は、クラッチハウジング85内部に対して前記ドライブピニオンギア11側の空間92を区画する。
【0064】
前記クラッチハウジング85には、前記アーマチュア63に対し、前記摩擦クラッチ64を挟んで対向する他方の端壁105が備えられている。端壁105の内周側には支持孔109が設けられ、前記ドライブピニオンシャフト9の端部に嵌合支持されている。
【0065】
これによって、クラッチハウジング85は、前記ボス部87の内周と前記他方の端壁105の内周とにより前記内側回転部材であるドライブピニオンシャフト9に対して相対回転可能、且つ前記電磁石59の磁力に応じて回転軸芯に沿った方向へ移動を可能とするように嵌合支持されている。
【0066】
前記支持孔109には、シールを構成する閉止部材111が取り付けられている。従って、端壁105内周にシールを設けた構成となっている。
【0067】
前記摩擦クラッチ64は、クラッチハウジング85及びクラッチハウジング85の内周側に同軸に配置されたドライブピニオンシャフト9間に設けられ、クラッチハウジング85の電磁石59の磁力に応じた移動によりクラッチハウジング85及びドライブピニオンシャフト9側間で締結される構成となっている。
【0068】
図2において簡略して図示してあるが、前記摩擦クラッチ64は、内外複数枚の摩擦クラッチ板93,95が回転軸芯に沿った方向に交互に密に配置されたものである。内側の摩擦クラッチ板93は、前記ドライブピニオンシャフト9の雄スプライン97にスプライン嵌合し、外側の摩擦クラッチ板95はクラッチハウジング85の雌スプライン99にスプライン嵌合している。
【0069】
前記ドライブピニオンシャフト9には、前記摩擦クラッチ64の一側に対向配置された受圧体として受圧板101が嵌合配置されている。受圧板101は、クラッチハウジング85内に配置され、前記ドライブピニオンシャフト9に取り付けられたストッパリング103に係合し、回転軸芯に沿った方向に位置決められている。この受圧板101に対応して、前記摩擦クラッチ64を挟んで対向するクラッチハウジング85の前記他方の端壁105に、押圧面107が構成されている。従って、摩擦クラッチ64の締結は、押圧面107と受圧板101との間で行われる。
【0070】
前記クラッチハウジング85には、ジョイント結合部113が筒状に一体に設けられている。ジョイント結合部113の外周径は、クラッチハウジング85の外周径よりも若干小さく設定されている。ジョイント結合部113の内周面には、ボール係合溝115が設けられている。ボール係合溝115は、回転軸芯に沿った方向に設けられ、周方向に複数備えられている。
【0071】
前記クラッチハウジング85と一体のジョイント結合部113を、ボール型等速ジョイント7を介して相手側回転部材であるリヤプロペラシャフト5に回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能に回転連動結合している。
【0072】
前記ボール係合溝115に、ボール型等速ジョイント7のケージ118に支持されたトルク伝達ボール119がそれぞれ係合し、ボール型等速ジョイント7のインナーレース121に、前記リヤプロペラシャフト5が連結される。
【0073】
前記ドライブピニオンシャフト9は、前記ドライブピニオンギア11側において前記ユニットベアリング15を介しデフキャリア13に回転自在に支持されている。ユニットベアリング15は、前記デフキャリア13に図示しないボルトにより締結固定されている。ユニットベアリング15は、ナット127によりドライブピニオンシャフト9側に締結され、プリロードが付与されている。
【0074】
前記クラッチハウジング85とデフキャリア13との間には、デフケース7外部に対して前記ドライブピニオンギア11側の空間92を区画するシール123が介設されている。シール123は、スリーブ66の先端とクラッチハウジング85のアーマチュア63側外周との間に設けられている。
【0075】
そして、リヤプロペラシャフト5からボール型等速ジョイント7を介し、ジョイント結合部113にトルクが伝達され、このトルクによってクラッチハウジング85が回転する。前記電磁石59の通電制御が行われず前記摩擦クラッチ64の締結が行われていないときには、クラッチハウジング85のトルクがドライブピニオンシャフト9側に伝達されることはない。従って、前記のように自動車は前輪57,58での二輪駆動状態で走行する。
【0076】
前記電磁石59が通電制御されていないとき、コイルスプリング75の付勢によって、ストッパ部89、ボス部87を介し、クラッチハウジング85全体がデフキャリア13側へ付勢される。この付勢力によりクラッチハウジング85がデフキャリア13側に対して僅かに移動し、押圧面107と受圧板101との間で摩擦クラッチ64に与圧が与えられる。
【0077】
このとき、クラッチハウジング85は、ジョイント結合筒113のボール係合溝115とボール型等速ジョイント7のトルク伝達ボール119との間で回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能なため、前記付勢力によりクラッチハウジング85等が無理なく移動し、前記のように与圧を付与する。
【0078】
前記与圧はそれほど大きなものではなく、電磁石59が通電制御されていないときには、クラッチハウジング85からドライブピニオンシャフト9側へトルク伝達は行われない。
【0079】
前記電磁石59が通電制御されると、電磁石59の磁力によってアーマチュア63がエアギャップ83を詰める方向へ移動する。この移動によって、前記同様クラッチハウジング85等が全体的に同方向へ移動し、押圧面107と受圧板101との間で摩擦クラッチ64が締結される。このとき、前記与圧によって摩擦クラッチ板93,95間の隙間は詰められているため、摩擦クラッチ64が直ちに締結され、トルクの迅速かつ円滑な立ち上がり特性を得ることができる。
【0080】
前記クラッチハウジング85に伝達されたトルクは、摩擦クラッチ64を介してドライブピニオンシャフト9に伝達され、ドライブピニオンシャフト9から前記のようにして左右後輪23,25側へトルク伝達が行われる。従って、自動車は前輪57,58、後輪23,25での四輪駆動状態で走行することができる。
【0081】
前記摩擦クラッチ64の締結及び締結解除によって、摩擦クラッチ64が摩耗してきたときには、摩耗に応じて摩擦クラッチ64締結時のクラッチハウジング85の移動量が大きくなる。これによって電磁石59の通電が解除されたときでもエアギャップ83が小さくなる傾向となる。エアギャップ83が小さくなるとアーマチュア62と一体的なボス部87も移動し、ストッパ部89が電磁石59のヨーク65から離れようとする。
【0082】
同時に、電磁石59がコイルスプリング75の付勢力によって摺動孔71を摺動し、ストッパ部89へ当接するように移動する。この場合、回転駒79は電磁石59の移動方向へ傾斜しているため、回転駒79が電磁石59の前記のようなエアギャップ83を拡げようとする移動を阻止することはなく、これを許容し、反対の移動、すなわち電磁石59のエアギャップ83側への移動を阻止する。
【0083】
従って、摩擦クラッチ64の摩耗によって、クラッチハウジング85の移動量が大きくなり、エアギャップ83の設定値が変化しようとしても、これに応じて電磁石59が常にストッパ部89に当接するように移動するため、アーマチュア63と電磁石59との間のエアギャップ83の設定値は常に自動調整されることになる。
【0084】
こうして、エアギャップ83の設定値を維持することができ、規定のトルク−電流特性を長期間に亘って維持することができる。
【0085】
そして、本実施形態では、電磁石59の磁力によりクラッチハウジング85を移動させる場合に、エアギャップ83を介するのみで他部材が介在せず、磁気効率の低下を抑制すると共に、摩擦クラッチ64の締結特性を安定させることができる。
【0086】
また、パイロットクラッチ、カムプレート、ボール等を必要とせず、その分空くスペースを利用して摩擦クラッチ64のプレート枚数を増やすことができ、クラッチ容量を容易に増大することができる。さらに、パイロットクラッチ、カムプレート等が無いため、構造が簡単であると共に、ガタツキを抑制してクラッチの確実な結合を行わせることができる。
【0087】
前記電磁石59及びアーマチュア63を、周回状に形成したため、電磁石59によってアーマチュア63を確実に移動させることができると共に、アーマチュア63の外側に形成される空間を利用して、周回状の電磁石59を容易に配置することができる。
【0088】
前記クラッチハウジング85内部及びデフキャリア13外部に対して前記ドライブピニオンギア11側の空間92を区画するシール91,123を設けたため、クラッチハウジング85内部側とドライブピニオンギア11側の空間92とでそれぞれの機能特性に合わせたオイルの使用が可能となり、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0089】
前記デフケース7に、スリーブ66を設け、前記スリーブ66の内周側に、前記電磁石59を支持したため、外部からの飛散物や地上の突起物等から電磁石を保護することができ、耐久性、信頼性を向上することができる。
【0090】
前記スリーブ66の先端と前記クラッチハウジング85との間に、デフケース7外部に対して前記ドライブピニオンギア11側の空間92を区画するシール123を設けたため、スリーブ66の先端においてシール123の組付けを容易に行うことができる。
【0091】
前記シール123を、前記クラッチハウジング85のアーマチュア63側外周との間に設けたため、クラッチハウジング85をデフキャリア13外部に露出させることができ、冷却性を向上することができる。
【0092】
前記ドライブピニオンシャフト9に、前記クラッチハウジング85内に配置され回転軸芯に沿った方向に位置決めた受圧板101を設け、前記摩擦クラッチ64の結合を、前記受圧板101との間で行うため、クラッチハウジング85の移動により摩擦クラッチ64の結合を確実に行わせることができる。
【0093】
前記クラッチハウジング85は、前記アーマチュア63を一方の端壁として一体に備えると共に、該アーマチュア63に前記摩擦クラッチ64を挟んで対向する他方の端壁105を備え、前記アーマチュア63の内周に、ボス部87を設け、前記クラッチハウジング85を、前記ボス部87の内周と前記他方の端壁105の内周とにより前記ドライブピニオンシャフト9に対して相対回転可能且つ前記磁力に応じた移動を可能とするように嵌合支持したため、クラッチハウジング85の回転軸芯に沿った方向への移動可能な支持を確実に行い、摩擦クラッチ64を確実に締結結合させることができる。
【0094】
前記ボス部87と前記ドライブピニオンシャフト9との間にシール91を設け、前記他方の端壁105内周に閉止部材111を設けたため、クラッチハウジング85内部を確実に密閉することができる。このため、前記摩擦クラッチ64の機能特性に合わせたオイルの使用が確実に可能となり、信頼性、耐久性をより向上することができる。
【0095】
前記クラッチハウジング85に、ジョイント結合部113を設け、前記ジョイント結合部113に、ボール型等速ジョイント7を介して前記リヤプロペラシャフト5を結合したため、ボール型等速ジョイント7の部分で前記クラッチハウジング85をリヤプロペラシャフト5に対し、回転軸芯に沿った方向へ確実に相対移動させるこができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、コイルスプリング75によって電磁石59を回転軸芯に沿った方向へ直接的に移動させるため、摩擦クラッチ64の摩耗時におけるエアギャップ83の自動調整に際し、電磁石59を確実かつ円滑に移動させることができる。
【0097】
前記回転駒79は、電磁石59が前記のようにして移動する際には殆ど抵抗になることがなく、電磁石59の移動を無理なく行わせることができながら、電磁石59の反対方向への移動を、回転駒79が電磁石59の外周面65aに係合することで確実に阻止することができる。従って、エアギャップ83の自動調整を確実かつ円滑に行うことができる。
【0098】
尚、前記クラッチハウジング85とリヤプロペラシャフト5等の相手側回転部材との結合は、回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能に回転連動結合するものであればよく、例えば図3のように構成することもできる。
図3は、変形例の実施形態に係り、ジョイント結合部とユニバーサルジョイントとの結合を示す要部拡大断面図である。図3のように、クラッチハウジング85に、前記ジョイント結合筒113に変えてジョイント結合軸部131を設けている。ジョイント結合軸部131の外周面には、ボールスプライン133の雄スプライン135が設けられている。
【0099】
前記ジョイント結合軸部131には、スプライン外筒137が嵌合配置されている。スプライン外筒137の内周面には、ボールスプライン133の雌スプライン139が設けられている。雌雄スプライン139,135間にはボールスプライン133のボール141が配置されている。
【0100】
前記ジョイント結合軸部131の端部には、止め輪143,スナップリング145が配置され、ボールスプライン133の抜け止めが行われている。
【0101】
前記スプライン外筒137のフランジ147には、ユニバーサルジョイントの一方のアーム149のフランジ151が、ボルト153、ナット155により締結結合されている。このアーム149に、ユニバーサルジョイントの他方のアームが結合される。
【0102】
前記ユニバーサルジョイントのアーム149からスプライン外筒137へトルクが伝達されると、ボールスプライン133を介してジョイント結合軸部131へトルク伝達が行われる。ジョイント結合軸部131からはクラッチハウジング85へトルクが伝達され、上記実施形態と同様に摩擦クラッチ64の締結によるドライブピニオンシャフト9側へのトルク伝達を行うことができる。
【0103】
前記電磁石59の磁力によりクラッチハウジング85が移動するときは、該クラッチハウジング85の移動が、ユニバーサルジョイントを介して結合されるリヤプロペラシャフト5側に対し、ボールスプライン133の部分で許容される。こうして、上記ボール型等速ジョイント7と同様に、摩擦クラッチ64をクラッチハウジング85の押圧面107とドライブピニオンシャフト9側の受圧板101との間で確実に締結結合させることができる。
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係り、電磁クラッチの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。この図4は、縦置きフロントエンジン、リヤドライブベース(FRベース)の四輪駆動車のスケルトン平面図である。尚、図1と対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0104】
本実施形態では、電磁クラッチ1M,1Nが左右後輪23,25のアクスルシャフト19,21側にそれぞれ設けられている。そして、プロペラシャフト275からの伝達トルクを方向変換歯車組277を介して、前記各電磁クラッチ1M,1Nに伝達するようにしている。
【0105】
前記方向変換歯車組227は、ドライブピニオンシャフト9に設けられたドライブピニオンギヤ11と、伝動軸279に取り付けられたリングギヤ281とによって構成されている。電磁クラッチ1M,1Nが第1実施形態の電磁クラッチ1の構造であるとすると、各等速ジョイント7にアクスルシャフト19,21がそれぞれ結合されている。
【0106】
アクチュエータである電磁石59は、それぞれキャリア283側に支持されている。伝動軸279は、前記ドライブピニオンシャフト9に代えて、電磁クラッチ1M,1Nのクラッチハウジング85の内周側に相対回転自在に配置されている。キャリア283と電磁クラッチ1M,1Nとの間には、シール123が設けられている。
【0107】
また、本実施形態においては、動力分配装置286にも電動クラッチ1Pが設けられている。この電動クラッチ1Pは、図2の構造において、ジョイント結合筒113がクラッチハウジング85とは別体に形成されて相対回転自在に支持され、ジョイント結合筒113とドライブピニオンシャフト9とがスプライン嵌合し、クラッチハウジング85側はドライブピニオンシャフト9に対し相対回転自在に構成される。そして、ドライブピニオンシャフト9に代え、図4のようにトランスミッション51の出力軸287が内側回転部材として、ジョイント結合筒113に結合される。ジョイント結合筒113には相手側回転部材としてプロペラシャフト275が等速ジョイント7を介して結合される。クラッチハウジング85側には、スプロケット289が一体的に設けられる。
【0108】
摩擦クラッチ64の締結力を操作する締結力操作手段であるアクチュエータとしては、伝動のモータ295が用いられている。モータ295は動力分配装置286のハウジング297に支持されている。モータ295は減速ギヤ組299を介してクラッチハウジング85を移動させ、摩擦クラッチ64を締結する構成となっている。
【0109】
前記スプロケット289には伝動軸301に設けられたスプロケット303との間にチェーン305が掛け回されている。伝動軸301は、プロペラシャフト307を介して伝動軸309側に接続されている。
【0110】
従って、前記電磁クラッチ1M,1Nでは、電磁石59の通電制御によって前記同様摩擦クラッチ64を締結制御し、リングギヤ281から伝動軸279に伝達されたトルクを左右のアクスルシャフト19,21へ伝達することができる。これによりプロペラシャフト275からドライブピニオンシャフト9、ドライブピニオンギヤ11、リングギヤ281へ伝達されたトルクを後輪23,25へ等しく伝達するか、コーナリング走行など走行状態に応じて所定比率配分で伝達することができる。
【0111】
また、前記電動クラッチ1Pでは、モータ295の駆動によって減速歯車組299を介しクラッチハウジング85を移動させ、摩擦クラッチ64を締結制御することができる。従って、電動クラッチ1Pを介し、エンジン49からトランスミッション51を介し出力軸287に伝達されるトルクは、電動クラッチ1Pの摩擦クラッチ64の締結制御によって、一方ではプロペラシャフト275側へ伝達し、他方ではスプロケット289、チェーン305、スプロケット303、プロペラシャフト307、伝動軸309、傘歯車33、リングギヤ47を介して、フロントデファレンシャル43に入力することができる。
【0112】
従って、電動クラッチ1Pの摩擦クラッチ64を走行状態に応じて締結制御することにより、前輪57,58、後輪23,25側へのトルク配分を走行状態に応じて制御し、二輪駆動及び的確な四輪駆動を行うことができる。
【0113】
前記電動クラッチ1Pを省略して、フロントデファレンシャル43側へはトランスミッション51からスプロケット289を介して直接的にトルクを伝達し、後輪23,25側は電磁クラッチ1M,1Nの制御によって、二輪駆動あるいは走行状態に応じたトルク配分による四輪駆動を的確に行わせる構成とすることもできる。
【0114】
なお、前記トルク伝達カップリング1M,1N及び方向変換歯車組277のトルク伝達構造は、図1の横置きフロントエンジン、フロントドライブベース(FFベース)の四輪駆動車のリヤデファレンシャル3の部分に変えて、同様に適用することもできる。図1のプロペラシャフト上のトルク伝達カップリング1A、又はフロントデファレンシャル43と左右前輪57,58との間、すなわちフロントデファレンシャル43と左右のアクスルシャフト53,55との間に設けるトルク伝達カップリング1C,1Dは、図4の縦置きフロントエンジン、リヤドライブベース(FRベース)の四輪駆動車においても同様に適用することができる。
【0115】
前記電磁石59は、デフキャリア13側など固定側支持体に固定する構造にすることもできる。
【0116】
クラッチは、多板の摩擦クラッチの他、2つの円錐面の一方を軸方向に固定し他方を軸方向に移動させて摩擦係合させるコーンクラッチなどを用いることもできる。
【0117】
前記アーマチュア63は、クラッチハウジング85に対し別体に形成し、該クラッチハウジング85に溶着、接着等により固着し、一体的に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の電磁クラッチの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係り、電磁クラッチの組付け状態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の変形例の実施形態に係り、クラッチハウジングとユニバーサルジョイントとの結合構造を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係り、電磁クラッチの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
【図5】従来の電磁クラッチの組付け状態を示す半断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1M,1N,1P 電磁クラッチ
3 リヤデファレンシャル
5 リヤプロペラシャフト(相手側回転部材)
7 ボール型等速ジョイント
9 ドライブピニオンシャフト(内側回転部材)
11 ドライブピニオンギヤ(動力伝達ギヤ)
13 デフキャリア(固定側支持体)
19,21,53,55 アクスルシャフト
23,25 後輪
27 フロントプロペラシャフト
29 トランスファ
43 フロントデファレンシャル
57,58 前輪
59 電磁石
63 アーマチュア
64 摩擦クラッチ(クラッチ)
83 エアギャップ
85 クラッチハウジング
91,123 シール
101 受圧板(受圧体)
105 端壁
111 閉止部材(シール)
113 ジョイント結合筒
131 ジョイント結合軸部
133 ボールスプライン
275 プロペラシャフト(相手側回転部材)
277 方向変換歯車組
287 出力軸(内側回転部材)

Claims (13)

  1. 固定側支持体に支持された電磁石と、
    前記電磁石に対しエアギャップを介して対向するアーマチュアを一体に又は一体的に備え前記固定側支持体に対し前記電磁石の磁力に応じて回転軸芯に沿った方向へ移動可能なクラッチハウジングと、
    前記クラッチハウジングに同軸に配置された内側回転部材と、
    前記クラッチハウジング及び内側回転部材間に設けられ前記クラッチハウジングの磁力に応じた移動によりクラッチハウジング及び内側回転部材側間で結合されるクラッチとを備え、
    前記クラッチハウジングを、相手側回転部材に回転軸芯に沿った方向へ相対移動可能に回転連動結合したことを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 請求項1記載の電磁クラッチであって、
    前記電磁石及びアーマチュアを、周回状に形成したことを特徴とする電磁クラッチ。
  3. 請求項1又は2記載の電磁クラッチであって、
    前記内側回転部材は、回転軸部材であり、
    前記回転軸部材に、動力伝達ギヤを設け、
    前記回転軸部材を、ベアリングを介して固定側支持体に回転自在に支持し、
    前記クラッチハウジング内部及び固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする電磁クラッチ。
  4. 請求項3記載の電磁クラッチであって、
    前記固定側支持体に、スリーブを設け、
    前記スリーブの内周側に、前記電磁石を支持したことを特徴とする電磁クラッチ。
  5. 請求項4記載の電磁クラッチであって、
    前記スリーブの先端と前記クラッチハウジングとの間に、固定側支持体外部に対して前記動力伝達ギヤ側の空間を区画するシールを設けたことを特徴とする電磁クラッチ。
  6. 請求項5記載の電磁クラッチであって、
    前記シールを、前記クラッチハウジングのアーマチュア側外周との間にもうけたことを特徴とする電磁クラッチ。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の電磁クラッチであって、
    前記内側回転部材に、前記クラッチハウジング内に配置され回転軸芯に沿った方向に位置決めた受圧体を設け、
    前記クラッチの結合を、前記受圧体との間で行うことを特徴とする電磁クラッチ。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の電磁クラッチであって、
    前記クラッチハウジングは、前記アーマチュアを一方の端壁として一体に備えると共に、該アーマチュアに前記クラッチを挟んで対向する他方の端壁を備え、
    前記アーマチュアの内周に、ボス部を設け、
    前記クラッチハウジングを、前記ボス部の内周と前記他方の端壁の内周とにより前記内側回転部材に対して相対回転可能且つ前記磁力に応じた移動を可能とするように嵌合支持したことを特徴とする電磁クラッチ。
  9. 請求項8記載の電磁クラッチであって、
    前記ボス部と前記内側回転部材との間及び前記他方の端壁内周とにシールを設けたことを特徴とする電磁クラッチ。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の電磁クラッチであって、
    前記クラッチハウジングに、ジョイント結合部を設け、
    前記ジョイント結合部に、ボール型等速ジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したことを特徴とする電磁クラッチ。
  11. 請求項1〜9の何れかに記載の電磁クラッチであって、
    前記クラッチハウジングに、ジョイント結合軸部を設け、
    前記ジョイント結合軸部に、ボールスプラインにより結合したユニバーサルジョイントを介して前記相手側回転部材を結合したことを特徴とする電磁クラッチ。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車又は縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車のリヤデファレンシャルとプロペラシャフトとの間、又はリヤデファレンシャルと左右後輪との間、又はプロペラシャフト上、又はトランスファとプロペラシャフトとの間、又はフロントデファレンシャルと左右前輪との間に設けたことを特徴とする四輪駆動車。
  13. 請求項1〜11の何れかに記載の電磁クラッチを、縦置きフロントエンジン,リヤドライブベースの四輪駆動車又は横置きフロントエンジン,フロントドライブベースの四輪駆動車の左右後輪のアクスルシャフト側に夫々設け、プロペラシャフトからの伝達トルクを方向変換歯車組を介して前記各電磁クラッチに伝達することを特徴とする四輪駆動車。
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