JP2004232477A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御する触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が発生した場合に、トルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保できるようにする。
【解決手段】触媒再生要求が発生している期間は、触媒再生制御を実行して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御すると共に、リッチ/リーンに応じて点火時期を遅角/進角補正してトルク変動を抑制する。この触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御して火時期を遅角補正するときに、トルクダウン要求が発生した場合には、空燃比をストイキに制御してトルクダウン制御を実行する。これにより、リッチ制御に伴う点火時期の遅角補正が実施されていない状態でトルクダウン制御を実行して、点火時期を適正範囲内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保する。
【選択図】 図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御する触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときの制御方法を改善した内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費向上を目的として、空燃比をストイキよりもリーン側に制御してリーン燃焼させる筒内噴射式エンジンやリーンバーンエンジンが実用化されている。これらのリーン燃焼を行うエンジンは、一般的なエンジンよりも窒素酸化物(以下「NOx」と表記する)の生成量が多くなるため、特許文献1(特許第2586738号公報)に示すように、排気管にNOx吸蔵還元型のNOx触媒を設置することが多い。このNOx触媒は、排出ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸蔵し、空燃比がストイキ付近又はリッチになったときに吸蔵NOxを還元浄化して放出する特性を持っている。
【0003】
一般に、内燃機関の燃料や潤滑油には硫黄(以下「S」と表記する)成分が含まれているため、排出ガスにはS成分が含まれており、そのS成分がNOx触媒に吸着する“S被毒”によってNOx触媒のNOx吸蔵能力が低下する。
【0004】
そこで、特許文献2(特開2000−34943号公報)に示すように、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下したときに、空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御してNOx触媒の温度を上昇させる触媒再生制御を行ってNOx触媒をS被毒から回復させるようにしたものがある。
【0005】
更に、この触媒再生制御によって空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御するときのトルク変動を抑制するために、特許文献3(特開2001−227399号公報)に示すトルク変動抑制制御を利用して、触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御したときに点火時期を遅角補正し、空燃比をリーンに制御したときに点火時期を進角補正するようにしたものがある。
【0006】
一方、特許文献4(特開2000−38953号公報)に示すように、自動変速装置の変速時等に発生するトルクショックを抑制するために、自動変速装置の変速時等のトルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生したときに、点火時期を一時的に遅角補正するトルクダウン制御を行うようにしたものがある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2586738号公報(第4頁〜第5頁等)
【特許文献2】
特開2000−34943号公報(第2頁等)
【特許文献3】
特開2001−227399号公報(第2頁等)
【特許文献4】
特開2000−38953号公報(第2頁等)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図15に示すように、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下して触媒再生要求が発生したときに、触媒再生制御を実行して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御すると共に、リッチ/リーンに応じて点火時期を遅角/進角補正してトルク変動を抑制するシステムでは、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御しているとき(つまり点火時期を遅角補正しているとき)に、トルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生した場合に、次のような問題が生じる。
【0009】
リッチ制御中にトルクダウン要求が発生したときに、そのままトルクダウン制御を実行して点火時期を遅角補正すると、既にリッチ制御に伴って遅角限界値付近まで遅角された点火時期を更に遅角することになるため、点火時期が遅角限界値を越えて燃焼状態が悪化してしまい、排気エミッションが悪化してしまう。このような問題を回避するために、従来のシステムでは、トルクダウン要求に対する点火時期の遅角補正量を、遅角限界値を越えないように非常に小さい値に制限するようにしているため、トルクダウン要求に見合った遅角補正量(トルクダウン量)を確保する余裕がなく、トルクショックを十分に抑制することができないという問題があった。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御する触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が発生した場合に、点火時期を適正範囲内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することができ、排気エミッションとドライバビリティ(トルクショック抑制)とを両立させることができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の制御装置は、所定の触媒再生要求が生じたときに触媒再生制御手段により空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御してNOx触媒を再生させる触媒再生制御を実行すると共に、少なくとも触媒再生制御の実行中にトルク変動抑制手段により空燃比の変化に応じて点火時期を補正してトルク変動を抑制し、更に、所定のトルクダウン要求が生じたときにトルクダウン制御手段により点火時期を遅角補正するトルクダウン制御を実行するシステムにおいて、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、空燃比をストイキ(理論空燃比)又はその付近に制御してトルクダウン制御を実行するようにしたものである。
【0012】
触媒再生制御の実行中に空燃比をストイキ又はその付近に制御して空燃比のリッチ/リーン制御を停止すれば、トルク変動抑制手段による空燃比のリッチ/リーンに応じた点火時期の遅角補正/進角補正も停止される。従って、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御するとき(つまり点火時期が遅角補正されるとき)にトルクダウン要求が発生した場合は、本発明のように、空燃比をストイキ又はその付近に制御すれば、空燃比のリッチ制御に伴う点火時期の遅角補正が実施されていない状態(つまりトルクダウン要求に応じて点火時期を遅角補正する余裕を十分に確保した状態)でトルクダウン制御を実行することができる。これにより、触媒再生制御の実行中にトルクダウン制御を実行する場合でも、点火時期を遅角限界内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することが可能となり、排気エミッションとドライバビリティ(トルクショック抑制)とを両立させることができる。
【0013】
この場合、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、空燃比のリッチ/リーンに拘らず、常に空燃比をストイキ又はその付近に制御するようにしても良いが、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するときには、点火時期が進角補正されるため、空燃比をストイキ又はその付近に制御しなくても、トルクダウン要求に応じた点火時期の遅角補正の余裕が十分にある。
【0014】
この点を考慮して、請求項2のように、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御している期間は、トルクダウン要求が生じても空燃比をリーンに制御する状態を維持してトルクダウン制御を実行し、空燃比をリッチに制御している期間にトルクダウン要求が生じた場合のみ、空燃比をストイキ又はその付近に制御してトルクダウン制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御している期間は、トルクダウン要求が発生しても、リーン制御をそのまま続けてNOx触媒を再生しながら、トルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することができ、NOx触媒の再生とトルクショック抑制とを並行して行うことができる。
【0015】
ところで、触媒再生制御では、空燃比を交互にリッチ/リーンに制御して、排気管内にCO,HCの濃度が高いリッチガスとO濃度が高いリーンガスを交互にバランス良く排出することで、リッチガスとリーンガスを排気管内やNOx触媒内部で混合させて酸化反応を発生させ、その反応熱で触媒温度を上昇させてNOx触媒を再生するようにしているため、触媒再生制御によって空燃比をリッチ制御(又はリーン制御)している期間の途中で、ストイキ制御に切り換えると、触媒再生制御によって排気管内に交互に排出されるリッチガス量とリーンガス量のバランスが崩れて、触媒再生制御の実行時間に見合った分の触媒再生効果が得られなくなってしまったり、排気エミッションが増加する懸念がある。
【0016】
そこで、請求項3のように、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなった時点で、空燃比をストイキ又は又はその付近に制御して、トルクダウン制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、触媒再生制御によって空燃比をリッチ制御(又はリーン制御)している期間の途中で、トルクダウン要求が生じた場合でも、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなるまで待ってから、空燃比をストイキ又はその付近に制御して、トルクダウン制御を実行することができる。これにより、触媒再生制御によって排気管内に交互に排出されるリッチガス量とリーンガス量のバランスを崩すことなく、ストイキ制御に切り換えてトルクダウン制御を実行することができ、触媒再生制御の実行時間に見合った分の触媒再生効果を確実に得ることができると共に、トルクダウン制御による排気エミッションの増加も回避することができる。
【0017】
また、請求項4のように、触媒再生制御の実行中にトルクダウン制御を実行したときに、該トルクダウン制御の終了後に触媒再生制御を再開して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御するようにすれば良い。このようにすれば、トルクダウン制御の終了後に、速やかに空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御して、触媒再生制御を最後まで実行することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図12に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。筒内噴射式内燃機関である筒内噴射式エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、DCモータ等のモータ15によって駆動されるスロットルバルブ16が設けられ、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ17によって検出される。
【0019】
また、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20に、筒内の気流強度(スワール流強度やタンブル流強度)を制御する気流制御弁31が設けられている。
【0020】
エンジン11の各気筒の上部には、それぞれ燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。また、エンジン11の吸気バルブ37と排気バルブ38には、それぞれバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング機構39,40が設けられている。
【0021】
エンジン11のシリンダブロックには、ノッキングを検出するノックセンサ32と、冷却水温を検出する冷却水温センサ23とが取り付けられている。また、クランク軸(図示せず)の外周側には、所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ24が取り付けられている。このクランク角センサ24の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
【0022】
一方、エンジン11の排気管25には、排出ガスを浄化する上流側触媒26と下流側触媒27が設けられ、上流側触媒26の上流側に、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ28(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。本実施形態では、上流側触媒26としてストイキ付近で排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒が設けられ、下流側触媒27としてNOx吸蔵還元型触媒(以下「NOx触媒」という)が設けられている。このNOx触媒27は、排出ガスの空燃比がリーンのときに排出ガス中のNOxを吸蔵し、空燃比がストイキ付近又はリッチになったときに吸蔵NOxを還元浄化して放出する特性を持っている。
【0023】
また、排気管25のうちの上流側触媒26の下流側と吸気管12のうちのスロットルバルブ16の下流側のサージタンク18との間に、排出ガスの一部を吸気側に還流させるためのEGR配管33が接続され、このEGR配管33の途中に排出ガス還流量(EGR量)を制御するEGR弁34が設けられている。また、アクセルペダル35の踏込量(アクセル開度)がアクセルセンサ36によって検出される。
【0024】
前述した各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種の制御ルーチンを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や燃料噴射時期、点火プラグ22の点火時期等を制御する。
【0025】
このECU30は、後述する図6に示す燃焼モード決定ルーチンを実行することで、エンジン運転状態(要求トルクやエンジン回転速度等)に応じて成層燃焼モードと均質燃焼モードとを切り換える。成層燃焼モードでは、少量の燃料を圧縮行程で筒内に直接噴射して点火プラグ22の近傍に成層混合気を形成して成層燃焼(リーン燃焼)させることで、燃費を向上させる。一方、均質燃焼モードでは、燃料噴射量を増量して吸気行程で筒内に直接噴射して均質混合気を形成して均質燃焼させることで、エンジン出力を高める。
【0026】
更に、ECU30は、後述する図7乃至図10に示す触媒再生制御用の各ルーチンを実行することで、図11のタイムチャートに示すように、排出ガス中のS成分がNOx触媒27に吸着する“S被毒”によってNOx触媒27のNOx吸蔵能力が低下して触媒再生要求が発生したときに、空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御してNOx触媒27の温度を上昇させる触媒再生制御を実行して、NOx触媒27をS被毒から回復させてNOx吸蔵能力を再生させる。
【0027】
また、ECU30は、図2に示すように、触媒再生制御時の目標空燃比、各種補正量(例えば、暖機時、高負荷時の補正量)等に基づいて最終的な目標空燃比を算出し、この目標空燃比に基づいて空燃比効率及び点火時期効率を用いて点火時期の補正量を算出することで、空燃比の変化に応じて点火時期を補正してトルク変動を抑制する。この機能が特許請求の範囲でいうトルク変動抑制手段としての役割を果たす。
【0028】
ここで、空燃比効率は、空燃比がトルクに及ぼす影響を評価するための無次元パラメータであり、図3に示すように、空燃比に応じてマップにより設定される。空燃比効率は、空燃比がストイキのときのトルクの大きさを「1」とし、これを基準にして、空燃比に対応するトルクの大きさを相対的に表すものである。
【0029】
また、点火時期効率は、点火時期がトルクに及ぼす影響を評価するための無次元パラメータであり、図4に示すように、点火時期に応じてマップにより設定される。点火時期効率は、点火時期がMTB時(最もトルクが高くなる時期)のときのトルクの大きさを「1」とし、これを基準にして、点火時期に対応するトルクの大きさを相対的に表すものである。これらの空燃比効率のマップと点火時期効率のマップは、予め実験又はシミュレーション等によって設定され、ECU30のROMに記憶されている。
【0030】
例えば、目標空燃比をストイキからリッチに制御する場合には、そのときの空燃比効率の増加分[ΔA](図3参照)を、点火時期効率の減少分[−ΔA](図4参照)で打ち消すように点火時期の補正量を求めて、トルク変動を抑制する。一方、目標空燃比をストイキからリーンに制御する場合には、空燃比効率の減少分[−ΔB](図3参照)を、点火時期効率の増加分[ΔB](図4参照)で打ち消すように点火時期の補正量を求めて、トルク変動を抑制する。
【0031】
そして、ECU30は、図2に示すように、目標空燃比に基づいて算出した点火時期の補正量、ベース点火時期、各種補正量(例えば、トルクダウン要求時の遅角補正量)等に基づいて最終的な点火時期を算出する。更に、目標空燃比、吸入空気量、各種補正量(例えば、暖機時、高負荷時の補正量)等に基づいて燃料噴射量を算出する。
【0032】
また、ECU30は、図5に示すように、アクセル開度、エンジン回転速度Ne、車速等に基づいて要求軸トルクを算出し、この要求軸トルクに内部損失トルク、外部負荷トルク、アイドルスピードコントロール(ISC)による補正トルク等を加算して要求図示トルクを求める。
【0033】
ここで、要求軸トルクに加算する内部損失トルクは、機械摩擦損失とポンピング損失であり、機械摩擦損失は、エンジン回転速度Neと冷却水温とに基づいてマップ等により算出され、ポンピング損失は、エンジン回転速度Neと吸気管圧力とに基づいてマップ等により算出される。また、要求軸トルクに加算する外部負荷トルクは、エンジン11の動力で駆動される補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、パワーステアリングのポンプ等)の負荷トルクであり、エアコン信号、オルタネータの負荷電流等に応じて設定される。また、要求軸トルクに加算するISCによる補正トルクは、目標アイドル回転速度と現在のエンジン回転速度Neとに基づいてマップ等により算出される。
【0034】
ECU30は、例えば、自動変速機の変速時、燃料カット復帰時、加速時等のトルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生したときに、トルクショックを抑制するのに必要なトルクダウン量を算出し、このトルクダウン量を要求図示トルクから減算して要求図示トルクを一時的に補正する。そして、補正後の要求図示トルクを補正前の要求図示トルクで除算してトルクダウン率を求め、このトルクダウン率を実現するように点火時期効率のマップを用いて点火時期の遅角補正量を算出することで、トルクダウン要求に応じて点火時期を遅角補正してトルクを低下させるトルクダウン制御を実行する。この機能が特許請求の範囲でいうトルクダウン制御手段としての役割を果たす。
【0035】
本実施形態(1)のシステムでは、図11のタイムチャートに示すように、NOx触媒27のNOx吸蔵能力が低下して触媒再生要求が発生したときに、触媒再生制御を実行して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御すると共に、リッチ/リーンに応じて点火時期を遅角補正/進角補正してトルク変動を抑制する。
【0036】
しかし、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御するとき(つまり点火時期を遅角補正するとき)に、トルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生した場合に、既にリッチ制御に伴って点火時期が遅角限界値付近まで遅角補正されていると、トルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保する余裕がない。
【0037】
そこで、ECU30は、後述する図9及び図10に示す触媒再生制御ルーチンを実行することで、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御するときにトルクダウン要求が生じたときには、空燃比をストイキ(理論空燃比)に制御して触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を一時的に停止する。これにより、空燃比のリッチ制御に伴う点火時期の遅角補正が実施されていない状態(つまりトルクダウン要求に応じて点火時期を遅角補正する余裕を十分に確保した状態)でトルクダウン制御を実行して、点火時期を適正範囲内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保する。
【0038】
以下、ECU30が実行する図6乃至図10に示す各ルーチンの処理内容を説明する。
【0039】
[燃焼モード決定ルーチン]
図6に示す燃焼モード決定ルーチンは、例えばイグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、要求燃焼モード判定のマップを検索して現在のエンジン運転状態(例えばエンジン回転速度Neと要求図示トルク)に応じて成層燃焼モードと均質燃焼モードのいずれか一方を要求燃焼モードとして選択する。この要求燃焼モード判定マップは、低回転、低トルク領域では、燃費節減を優先して成層燃焼モードが選択され、一方、高回転、高トルク領域では、エンジン出力を優先して均質燃焼モードが選択されるように設定されている。
【0040】
この後、ステップ102に進み、現在のエンジン運転状態に応じて選択した要求燃焼モードが均質燃焼モードであるか否かを判定し、要求燃焼モードが均質燃焼モードであれば、ステップ103に進み、燃焼モードを均質燃焼モードに切り換える(又は維持する)。
【0041】
一方、上記ステップ102で、要求燃焼モードが均質燃焼モードでない(成層燃焼モードである)と判定された場合には、ステップ104に進み、燃焼モードを成層燃焼モードに切り換える(又は維持する)。
【0042】
[目標空燃比算出ルーチン]
図7に示す目標空燃比算出ルーチンは、例えばイグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、ベース目標空燃比AFbaseのマップを検索して現在のエンジン運転状態(例えばエンジン回転速度Neと要求図示トルク)に応じてベース目標空燃比AFbaseを算出する。
【0043】
この後、ステップ202に進み、ストイキ要求が有るか否かをストイキ要求フラグXStoichがONされているか否かによって判定する。その結果、ストイキ要求有り(XStoich=ON)と判定された場合には、ステップ207に進み、現在のエンジン運転状態に応じて算出したベース目標空燃比AFbaseをそのまま最終的な目標空燃比AFとして設定する。
AF=AFbase
【0044】
これに対して、上記ステップ202で、ストイキ要求無し(XStoich=OFF)と判定された場合には、ステップ203に進み、リッチ要求が有るか否かをリッチ要求フラグXRichがONされているか否かによって判定する。その結果、リッチ要求有り(XRich=ON)と判定された場合には、ステップ205に進み、現在のエンジン運転状態に応じて算出したベース目標空燃比AFbaseを所定値αだけリッチ方向に補正した値を最終的な目標空燃比AFとして設定する。
AF=AFbase−α
【0045】
上記ステップ203で、リッチ要求無し(XRich=OFF)と判定された場合には、ステップ204に進み、リーン要求が有るか否かをリーン要求フラグXLeanがONされているか否かによって判定する。その結果、リーン要求有り(XLean=ON)と判定された場合には、ステップ206に進み、現在のエンジン運転状態に応じて算出したベース目標空燃比AFbaseを所定値βだけリーン方向に補正した値を最終的な目標空燃比AFとして設定する。
AF=AFbase+β
【0046】
[触媒再生要求ルーチン]
図8に示す触媒再生要求ルーチンは、例えばイグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、触媒再生制御の実行中であるか否かを判定する。その結果、触媒再生制御の実行中でない判定された場合には、ステップ302に進み、NOx触媒27に吸蔵可能なNOx量(NOx吸蔵可能量)を算出する。ここで、NOx触媒27のNOx吸蔵可能量は、NOxセンサ等のセンサ出力(NOx触媒27から流出する排出ガス中のNOx濃度)に基づいて算出するようにしても良いが、NOx触媒27に吸蔵したNOxを還元浄化して放出するためのリッチパージ制御時のリッチ成分供給量とNOx供給量とに基づいてNOx吸蔵可能量を推定するようにしても良い。
【0047】
NOx吸蔵可能量の算出後、ステップ303に進み、NOx触媒27のNOx吸蔵可能量が判定値K1よりも少ないか否かを判定する。その結果、NOx触媒27のNOx吸蔵可能量が判定値K1よりも少ないと判定された場合には、NOx触媒27のNOx吸蔵能力が低下していると判断して、ステップ304に進み、触媒再生要求有りと判定する。
【0048】
これに対して、上記テップ303で、NOx触媒27のNOx吸蔵可能量が判定値K1以上であると判定された場合には、NOx触媒27のNOx吸蔵能力が維持されていると判断して、ステップ306に進み、触媒再生要求無しと判定する。
【0049】
一方、上記ステップ301で、触媒再生制御の実行中であると判定された場合には、ステップ305に進み、触媒再生制御が終了したか否かを判定し、触媒再生制御が終了したと判定された時点で、ステップ306に進み、触媒再生要求無しと判定する。
【0050】
[触媒再生制御ルーチン]
図9及び図10に示す触媒再生制御ルーチンは、例えばイグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう触媒再生制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、触媒再生要求が有るか否かを判定し、次のステップ402で、触媒再生制御実行条件が成立しているか否かを判定する。ここで、触媒再生制御実行条件は、例えば、中・高負荷領域で、且つ、エンジン回転速度、トルク等が定常状態であることである。これにより、排出ガス温度の昇温があまり望めない低負荷領域や、空燃比のリッチ/リーンを安定して制御できない過渡状態では、触媒再生制御実行条件が不成立となる。
【0051】
上記ステップ401で触媒再生要求無しと判定された場合、又は、ステップ402で触媒再生制御実行条件が不成立と判定された場合には、ステップ403以降の触媒再生制御に関する処理を実行することなく、本ルーチンを終了する。
【0052】
一方、ステップ401で触媒再生要求有りと判定され、且つ、ステップ402で、触媒再生制御実行条件が成立していると判定された場合には、次のようにして触媒再生制御に関する処理を実行する。まず、ステップ403に進み、現在の燃焼モードが均質燃焼モードであるか否かを判定し、均質燃焼モードでない(成層燃焼モードである)と判定されれば、ステップ404に進み、燃焼モードを均質燃焼モードに切り換える。
【0053】
その後、ステップ403で現在の燃焼モードが均質燃焼モードであると判定されたときに、ステップ405に進み、トルクダウン要求が有るか否かを判定する。その結果、トルクダウン要求が無いと判定された場合には、ステップ408に進み、ストイキ要求無しと判定して、ストイキ要求フラグXStoichをOFFにセットする。
【0054】
この後、図10のステップ409に進み、触媒再生制御の実行時間をカウントする触媒再生時間カウンタのカウント値が判定値K2を越えたか否かを判定し、判定値K2を越えていなければ、ステップ411に進み、触媒再生時間カウンタをカウントアップする。
【0055】
この後、ステップ412に進み、リッチ要求が有るか否かをリッチ要求フラグXRichがONされているか否かによって判定する。その結果、リッチ要求無し(XRich=OFF)と判定された場合には、ステップ416に進み、リーン要求が有るか否かを、リーン要求フラグXLeanがONされているか否かによって判定する。リッチ要求とリーン要求が両方とも無いと判定された場合、つまり、触媒再生制御の初回は、ステップ419に進み、リッチ要求フラグXRichをONし、リーン要求フラグXLeanをOFFすると共に、リッチ制御の実行時間をカウントするリッチカウンタCRich(ダウンカウンタ)を所定値KRにセットし、リーン制御の実行時間をカウントするリーンカウンタCLean(ダウンカウンタ)を0にリセットする。
【0056】
リッチ要求フラグXRichがONされている期間には、図7の目標空燃比算出ルーチンにより目標空燃比AFがベース目標空燃比AFbaseに対してリッチ側に設定される(AF=AFbase−α)。そして、上記ステップ412で「Yes」と判定されて、ステップ413に進み、リッチカウンタCRichのカウント値が0よりも大きいか否かを判定し、0よりも大きければ、ステップ414に進み、リッチカウンタCRichをカウントダウンする。
【0057】
その後、ステップ413で、リッチカウンタCRichのカウント値が0以下になったと判定されたときに、ステップ415に進み、リッチ要求フラグXRichをOFFし、リーン要求フラグXLeanをONすると共に、リッチカウンタCRichを0にリセットし、リーンカウンタCLeanを所定値KL(但しKL=KR)にセットする。
【0058】
リーン要求フラグXLeanがONされている期間には、図7の目標空燃比算出ルーチンにより目標空燃比AFがベース目標空燃比AFbaseに対してリーン側に設定される(AF=AFbase+β)。そして、上記ステップ412で「No」、上記ステップ416で「Yes」と判定されて、ステップ417に進み、リーンカウンタCLeanのカウント値が0よりも大きいか否かを判定し、0よりも大きければ、ステップ418に進み、リーンカウンタCLeanをカウントダウンする。
【0059】
その後、ステップ417で、リーンカウンタCLeanのカウント値が0以下になったと判定されたときに、ステップ419に進み、リッチ要求フラグXRichをONし、リーン要求フラグXLeanをOFFすると共に、リッチカウンタCRichを所定値KRにセットし、リーンカウンタCLeanを0にリセットする。
【0060】
以上説明したステップ412〜419の処理により空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御して、排気管25内にCO,HCの濃度が高いリッチガスとO濃度が高いリーンガスを交互にバランス良く排出することで、リッチガスとリーンガスを排気管25内やNOx触媒27内で混合させて酸化反応を発生させ、その反応熱で触媒温度を上昇させてNOx触媒27を再生する。
【0061】
その後、上記ステップ409で、触媒再生時間カウンタのカウント値が判定値K2を越えたと判定されたときに、ステップ410に進み、触媒再生制御終了フラグをONにして触媒再生制御を終了し、触媒再生時間カウンタを0にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0062】
一方、触媒再生制御の実行中に、例えば、自動変速機の変速時、燃料カット復帰時、加速時等のトルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生すると、図9のステップ405で、トルクダウン要求有りと判定され、ステップ406に進み、リッチ要求有り(XRich=ON)か否かを判定する。
【0063】
その結果、リッチ要求有り(XRich=ON)と判定された場合、つまり、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御する(つまり点火時期を遅角補正するとき)ときに、トルクダウン要求が発生した場合には、ステップ407に進み、ストイキ要求有りと判定して、ストイキ要求フラグXStoichをONにセットして、本ルーチンを終了する。
【0064】
ストイキ要求フラグXStoichがONにセットされている期間には、図7の目標空燃比算出ルーチンにより目標空燃比AFがベース目標空燃比AFbaseに設定される(AF=AFbase)。これにより、触媒再生制御の実行中に空燃比をストイキに制御して空燃比のリッチ/リーン制御を一時的に停止するため、空燃比のリッチ制御に伴う点火時期の遅角補正が実施されていない状態(つまりトルクダウン要求に応じて点火時期を遅角補正する余裕を十分に確保した状態)でトルクダウン制御が実行される。
【0065】
その後、上記ステップ405で、トルクダウン要求無しと判定されてトルクダウン制御が終了したときに、ステップ408に進み、ストイキ要求無し(XStoich=OFF)にセットして空燃比をストイキに制御する処理を終了し、触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を再開する。
【0066】
尚、上記ステップ406で、リッチ要求無し(XRich=OFF)と判定された場合、つまり、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御する(つまり点火時期を進角補正するとき)ときに、トルクダウン要求が発生した場合には、ステップ408に戻り、ストイキ要求無し(XStoich=OFF)に維持して、触媒再生制御による空燃比のリーン制御を実行しながらトルクダウン制御を実行する。この場合、空燃比がリーンに制御されて点火時期が進角補正された状態でトルクダウン制御が実行される。
【0067】
以上説明した本実施形態(1)の制御例を図11及び図12に示すタイムチャートを用いて説明する。NOx触媒27のNOx吸蔵能力が低下して触媒再生要求有りとされている期間は、触媒再生制御を実行して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御すると共に、リッチ/リーンに応じて点火時期を遅角/進角補正してトルク変動を抑制する。
【0068】
そして、触媒再生制御の実行中に空燃比をリッチに制御するとき(つまり点火時期を遅角補正するとき)に、トルクショックが発生する運転状態になってトルクダウン要求が発生した場合には、図12に示すように、空燃比をストイキに制御して触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を一時的に停止する。これにより、空燃比のリッチ制御に伴う点火時期の遅角補正が実施されていない状態(つまりトルクダウン要求に応じて点火時期を遅角補正する余裕を十分に確保した状態)でトルクダウン制御を実行することができる。これにより、触媒再生制御の実行中にトルクダウン制御を実行する場合でも、点火時期を遅角限界内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することが可能となり、排気エミッションとドライバビリティ(トルクショック抑制)とを両立させることができる。
【0069】
一方、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するとき(つまり点火時期を進角補正するとき)に、トルクダウン要求が発生した場合には、そのまま触媒再生制御による空燃比のリーン制御を実行しながらトルクダウン制御を実行する。触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するときには、点火時期が進角補正されるため、空燃比をストイキに制御せずにリーンに制御した状態(つまり点火時期が進角補正された状態)で、トルクダウン制御を実行して点火時期を遅角補正しても、点火時期が遅角限界値を越える心配はなく、点火時期を適正範囲内に収めながらトルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することができる。これにより、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御する期間は、トルクダウン要求が発生しても、リーン制御をそのまま続けてNOx触媒を再生しながら、トルクダウン要求に見合った点火時期の遅角補正量を確保することができ、NOx触媒27の再生とトルクショック抑制とを並行して行うことができる。
【0070】
また、本実施形態(1)では、触媒再生制御の途中で空燃比をストイキに制御してトルクダウン制御を実行した場合、トルクダウン要求が無くなってトルクダウン制御が終了したときに、空燃比をストイキに制御する処理を終了して、触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を再開するようにしたので、トルクダウン制御の終了後に、速やかに触媒再生制御を再開してNOx触媒27を再生することができる。
【0071】
尚、本実施形態(1)では、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するときに、トルクダウン要求が発生した場合には、そのままリーン制御を継続しながらトルクダウン制御を実行するようにしたが、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するときに、トルクダウン要求が発生した場合に、空燃比をストイキに制御してトルクダウン制御を実行するようにしても良い。この方法は、リーン制御時に点火時期を遅角補正すると燃焼状態が悪化するエンジンに有効である。
【0072】
《実施形態(2)》
次に、図13及び図14を用いて本発明の実施形態(2)を説明する。
触媒再生制御では、空燃比を交互にリッチ/リーンに制御して、排気管25内にCO,HCの濃度が高いリッチガスとO濃度が高いリーンガスを交互にバランス良く排出することで、リッチガスとリーンガスを排気管25内やNOx触媒27内で混合させて酸化反応を発生させ、その反応熱で触媒温度を上昇させてNOx触媒27を再生するようにしているため、触媒再生制御によって空燃比をリッチ制御(又はリーン制御)している期間の途中で、ストイキ制御に切り換えると、触媒再生制御によって排気管25内に交互に排出されるリッチガス量とリーンガス量のバランスが崩れて、触媒再生制御の実行時間に見合った分の触媒再生効果が得られなくなってしまったり、排気エミッションが増加する懸念がある

【0073】
そこで、本実施形態(2)では、図13及び図14に示す触媒再生制御ルーチンを実行することで、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなった時点で、空燃比をストイキに制御して、トルクダウン制御を実行するようにしている。
【0074】
[触媒再生制御ルーチン]
図13及び図14に示す触媒再生制御ルーチンが起動されると、ステップ501で、触媒再生要求が有るか否かを判定し、ステップ502で、触媒再生制御実行条件が成立しているか否かを判定する。ステップ501で触媒再生要求無しと判定された場合、又は、ステップ502で触媒再生制御実行条件が不成立と判定された場合には、ステップ505に進み、リッチ制御の実行回数をカウントするリッチ回数カウンタと、リーン制御の実行回数をカウントするリーン回数カウンタを、両方とも0にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0075】
一方、ステップ501で触媒再生要求有りと判定され、且つ、ステップ502で、触媒再生制御実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ503に進み、現在の燃焼モードが均質燃焼モードであるか否かを判定し、均質燃焼モードでない(成層燃焼モードである)と判定されれば、ステップ504に進み、燃焼モードを均質燃焼モードに切り換える。
【0076】
その後、ステップ503で現在の燃焼モードが均質燃焼モードであると判定されたときに、ステップ506に進み、トルクダウン要求が有るか否かを判定する。トルクダウン要求が無いと判定された場合には、ステップ511に進み、ストイキ要求無しと判定して、ストイキ要求フラグXStoichをOFFにセットする。
【0077】
この後、図14のステップ512に進み、触媒再生時間カウンタのカウント値が判定値K2を越えていなければ、ステップ514に進み、触媒再生時間カウンタをカウントアップする。
【0078】
この後、触媒再生制御の初回は、ステップ515→ステップ519→ステップ522と進み、リッチ回数カウンタとリーン回数カウンタを両方とも0にリセットした後、ステップ524に進み、リッチ要求フラグXRichをONし、リーン要求フラグXLeanをOFFすると共に、リッチカウンタCRich(ダウンカウンタ)を所定値KRにセットし、リーンカウンタCLean(ダウンカウンタ)を0にリセットする。
【0079】
リッチ要求フラグXRichがONされている期間は、リッチカウンタCRichのカウント値が0以下になるまで、リッチカウンタCRichをカウントダウンする処理を繰り返し(ステップ516、517)、リッチカウンタCRichのカウント値が0以下になったときに、ステップ518に進み、リッチ要求フラグXRichをOFFし、リーン要求フラグXLeanをONすると共に、リッチカウンタCRichを0にリセットし、リーンカウンタCLeanを所定値KL(但しKL=KR)にセットし、更に、リッチ回数カウンタをカウントアップする。
【0080】
リーン要求フラグXLeanがONされている期間は、リーンカウンタCLeanのカウント値が0以下になるまで、リーンカウンタCLeanを所定値だけカウントダウンする処理を繰り返し(ステップ520、521)、リーンカウンタCLeanのカウント値が0以下になった時点で、ステップ523に進み、リーン回数カウンタのカウント値をカウントアップした後、ステップ524に進み、リッチ要求フラグXRichをONし、リーン要求フラグXLeanをOFFすると共に、リッチカウンタCRichを所定値KRにセットし、リーンカウンタCLeanを0にリセットする。
【0081】
これらのステップ515〜524の処理によりリッチ回数とリーン回数をカウントしながら空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御して、排気管25内にリッチガスとリーンガスを交互にバランス良く排出することで、リッチガスとリーンガスを排気管25内やNOx触媒27内で混合させて酸化反応を発生させ、その反応熱で触媒温度を上昇させてNOx触媒27を再生する。
【0082】
その後、上記ステップ512で、触媒再生時間カウンタのカウント値が判定値K2を越えたと判定されたときに、ステップ513に進み、触媒再生制御終了フラグをONにして触媒再生制御を終了し、触媒再生時間カウンタを0にリセットすると共に、リッチ回数カウンタとリーン回数カウンタを両方とも0にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0083】
一方、触媒再生制御の実行中に、図13のステップ506で、トルクダウン要求有りと判定された場合には、触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しいか否かを、次の▲1▼〜▲3▼の条件を全て満たしているか否かによって判定する。
【0084】
▲1▼リッチ回数とリーン回数が同じであること(ステップ507)
▲2▼リッチカウンタCRichがリッチ制御開始時の値[KR]であること(ステップ508)
▲3▼リーンカウンタCLeanがリーン制御終了時の値[0]であること(ステップ509)
これら3つの条件▲1▼〜▲3▼を全て満たせば、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しいと判定するが、3つの条件▲1▼〜▲3▼のうち1つでも満たさない条件があれば、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくないと判定する。
【0085】
空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくないと判定された場合には、ステップ511に進み、ストイキ要求無し(XStoich=OFF)に維持して、触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を継続する。
【0086】
その後、上記ステップ507〜509で、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しいと判定されたときに、ステップ510に進み、ストイキ要求有り(XStoich=ON)にして、本ルーチンを終了する。これにより、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなってから、空燃比がストイキに制御されて、トルクダウン制御が実行される。
【0087】
その後、上記ステップ506で、トルクダウン要求無しと判定されてトルクダウン制御が終了したときに、ステップ511に進み、ストイキ要求無し(XStoich=OFF)にセットして空燃比をストイキに制御する処理を終了し、触媒再生制御による空燃比のリッチ/リーン制御を再開する。
【0088】
以上説明した本実施形態(2)では、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなった時点で、空燃比をストイキに制御して、トルクダウン制御を実行するようにしたので、触媒再生制御によって空燃比をリッチ制御(又はリーン制御)している期間の途中で、トルクダウン要求が生じた場合でも、空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなるまで待ってから、空燃比をストイキに制御して、トルクダウン制御を実行することができる。これにより、触媒再生制御によって排気管25内に交互に排出されるリッチガス量とリーンガス量のバランスを崩すことなく、ストイキ制御に切り換えてトルクダウン制御を実行することができ、触媒再生制御の実行時間に見合った触媒再生効果を得ることができると共に、トルクダウン制御による排気エミッションの増加も回避することができる。
【0089】
尚、本実施形態(2)においても、前記実施形態(1)と同じように、触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御するときに、トルクダウン要求が発生した場合には、そのままリーン制御を継続しながらトルクダウン制御を実行するようにしても良い。
【0090】
また、上記実施形態(1),(2)では、触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が生じたときに、空燃比をストイキに制御してトルクダウン制御を実行するようにしたが、空燃比をストイキ付近(弱リッチ又は弱リーン)に制御してトルクダウン制御を実行するようにしても良い。
【0091】
その他、本発明は、筒内噴射式エンジンに限定されず、吸気ポート噴射エンジンであっても、リーンバーンエンジンのように、NOx触媒を再生させる触媒再生制御を実行して空燃比をリーン及びリーンに交互に制御する機能を備えたエンジンに適用して実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)におけるエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】点火時期及び燃料噴射量の算出方法を説明するための機能ブロック図
【図3】空燃比効率のマップを概念的に示す図
【図4】点火時期効率のマップを概念的に示す図
【図5】トルクダウン要求時の点火時期の遅角補正量の算出方法を説明するための機能ブロック図
【図6】燃焼モード決定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図7】目標空燃比算出ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図8】触媒再生要求ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施形態(1)の触媒再生制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図10】実施形態(1)の触媒再生制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図11】実施形態(1)の触媒再生制御(トルクダウン要求なし時)の実行例を示すタイムチャート
【図12】実施形態(1)の触媒再生制御(トルクダウン要求あり時)の実行例を示すタイムチャート
【図13】実施形態(2)の触媒再生制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図14】実施形態(2)の触媒再生制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図15】従来の触媒再生制御の実行中にトルクダウン要求が発生したときの制御例を示すタイムチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、25…排気管、26…上流側触媒(三元触媒)、27…NOx触媒、30…ECU(触媒再生制御手段,トルク変動抑制手段,トルクダウン制御手段)。

Claims (4)

  1. 内燃機関の排出ガス中の窒素酸化物(以下「NOx」と表記する)を浄化するためのNOx触媒と、
    所定の触媒再生要求が生じたときに空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御して前記NOx触媒を再生させる触媒再生制御を実行する触媒再生制御手段と、
    少なくとも前記触媒再生制御の実行中に空燃比の変化に応じて点火時期を補正してトルク変動を抑制するトルク変動抑制手段と、
    所定のトルクダウン要求が生じたときに点火時期を遅角補正するトルクダウン制御を実行するトルクダウン制御手段とを備えたシステムにおいて、
    前記トルクダウン制御手段は、前記触媒再生制御の実行中に前記トルクダウン要求が生じたときに空燃比をストイキ又はその付近に制御して前記トルクダウン制御を実行することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記トルクダウン制御手段は、前記触媒再生制御の実行中に空燃比をリーンに制御している期間には、前記トルクダウン要求が生じても空燃比をリーンに制御する状態を維持して前記トルクダウン制御を実行し、空燃比をリッチに制御している期間に前記トルクダウン要求が生じた場合のみ、空燃比をストイキ又はその付近に制御して前記トルクダウン制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記トルクダウン制御手段は、前記触媒再生制御の実行中に前記トルクダウン要求が生じたときに、該触媒再生制御によって空燃比をリッチに制御した合計時間とリーンに制御した合計時間とが等しくなった時点で、空燃比をストイキ又はその付近に制御して前記トルクダウン制御を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記触媒再生制御手段は、前記触媒再生制御の実行中に前記トルクダウン制御を実行したときに、該トルクダウン制御の終了後に前記触媒再生制御を再開して空燃比をリッチ及びリーンに交互に制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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