JP2004232347A - 縦張直張用の留め付け金具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外壁板を建物の構造躯体に直接留め付けるための縦張直張用の留め付け金具1。留め付け金具1は,基板部11と,基板部11から立設された立設部12と,立設部12の先端121から左右へそれぞれ屈曲した第1係止部13及び第2係止部14と,基板部11よりも前方にその前面151が配されたスペーサ部15とを有する。スペーサ部15の前面151は,基板部11の後面111よりも10〜20mm前方に形成されている。留め付け金具1は外壁板の左右接合部に配設され,一方の外壁板の側端部を立設部12に当接させると共に第1係止部13に係止させ,他方の外壁板の側端部を第2係止部14に係止させ,スペーサ部15を外壁板の裏側面に当接させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,長手方向が上下方向となるように,外壁板を建物の構造躯体に直接留め付けるための縦張直張用の留め付け金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より,長手方向が上下方向となるように,外壁板を建物の構造躯体に留め付けるための縦張用の留め付け金具がある(特許文献1参照)。
図14,図15に示すごとく,該留め付け金具9は,構造躯体60に固定される基板部91と,該基板部91から略垂直に上下方向に立設された立設部92とを有する。該立設部92の先端921からは,左方へ屈曲した第1係止部93と,右方へ屈曲した第2係止部94とが形成されている。上記基板部91の上下には,該基板部91よりも前方であり上記立設部92の先端921よりも後方にその前面951が配されたスペーサ部95が形成されている。
【0003】
上記留め付け金具9は,図15に示すごとく,左右に隣り合う外壁板2の左右接合部に配設され,左側の外壁板2の右端部23を上記第1係止部93に係止させ,右側の外壁板2の左端部24を上記第2係止部94に係止させ,かつ上記スペーサ部95を上記外壁板2の裏側面26に当接させることにより,上記外壁板2を構造躯体60に防水紙62を介して留め付ける。
このとき,上記外壁板2と構造躯体60との間には,通気層99が形成される。これにより,上記通気層99に外気を導入して通気性を確保し,構造躯体60や外壁板2の腐食,劣化を抑制している。
【0004】
【特許文献1】
特許第2941271号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,図15に示すごとく,上記留め付け金具9を用いて上記構造躯体60に外壁板9を直接留め付ける場合,上記通気層99として確保される厚みは上記スペーサ部95の前後幅,すなわちスペーサ部95の前面951と基板部91の後面911との間の距離に相当する厚みとなる。ところが,上記留め付け金具9のスペーサ部95の前後幅が充分に大きく形成されていないと,充分な厚みの通気層99を確保することができない。特に,施工不良により,上記構造躯体60の前面に貼付した防水紙62が撓むと,通気層99の厚みが小さくなり,充分な通気を確保できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,構造躯体と外壁板との間に,充分な厚みの通気層を確保することができる縦張直張用の留め付け金具を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は,長手方向が上下方向となるように,外壁板を建物の構造躯体に直接留め付けるための縦張直張用の留め付け金具であって,
該留め付け金具は,上記構造躯体に固定される基板部と,該基板部から略垂直に上下方向に立設された立設部と,該立設部の先端から左方へ屈曲した第1係止部と,上記立設部の先端から右方へ屈曲した第2係止部と,上記基板部の上下において該基板部よりも前方であり上記立設部の先端よりも後方にその前面が配されたスペーサ部とを有し,
該スペーサ部の前面は,上記基板部の後面よりも,10〜20mm前方に形成されており,
上記留め付け金具は,左右に隣り合う外壁板の左右接合部に配設され,一方の外壁板の側端部を上記立設部に当接させると共に上記第1係止部に係止させ,他方の外壁板の側端部を上記第2係止部に係止させ,かつ上記スペーサ部を上記外壁板の裏側面に当接させることができるよう構成されていることを特徴とする留め付け金具にある(請求項1)。
【0008】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記留め付け金具は上記スペーサ部を有するため,該留め付け金具を用いることにより,上記構造躯体と外壁板との間に,外気を通すための空間である通気層を形成することができる。そして,上記スペーサ部の前面は,上記基板部の後面よりも,10〜20mm前方に形成されているため,充分な厚みの通気層を形成することができる。
それ故,上記構造躯体と外壁板との間の通気性を充分に確保し,構造躯体や外壁板の腐食,劣化を防止することができる。
【0009】
また,上記留め付け金具を用いることにより,胴縁等の下地材を配設することなく,外壁板を構造躯体に直接留め付けることができるため,容易かつ安価に縦張直張外壁施工構造を構築することができる。
【0010】
以上のごとく,本発明によれば,構造躯体と外壁板との間に,充分な厚みの通気層を確保することができる縦張直張用の留め付け金具を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明(請求項1)において,上記外壁板としては,例えば,窯業系外壁板を用いることができる。
また,「構造躯体に直接留め付ける」とは,構造躯体に対して,胴縁等の下地材を介在させることなく直接に外壁板を留め付けることをいい,いわゆる直張り施工することをいう。
【0012】
また,本明細書において,建物の外側方向を「前」,内側方向を「後」として表現する。また,上記縦張直張外壁施工構造における各部材についても,基本的には,施工された状態において,前,後,上,下となる方向を,それぞれ「前」,「後」,「上」,「下」と表現する。
【0013】
また,上記スペーサ部の前面と上記基板部の後面との間の距離が10mm未満の場合には,上記構造躯体と外壁板との間に充分な厚みの通気層を形成することが困難となり,通気性が不充分となるおそれがある。そのため,胴縁等,通気層を確保するための下地材を使用する必要性が生ずる。一方,上記距離が20mmを超える場合には,上記立設部を前方へ大きく突出させる必要がある。そのため,該立設部の強度を充分に確保することが困難となるおそれがある。
なお,上記スペーサ部の前面は,上記基板部の後面よりも15〜20mm前方に形成されていることが,通気性の観点から,より一層好ましい。
【0014】
また,上記基板部と上記立設部と上記スペーサ部の立上板部には,これらを部分的に変形させてなる補強用のリブが形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記留め付け金具の強度を確保することができる。それ故,留め付け金具の外形寸法を,例えば縦55〜65mm,横45〜55mmと小さくしても,外壁板を構造躯体に充分な強度で固定することができる。即ち,上記リブを設けることにより,上記留め付け金具をコンパクトにすることができる。
【0015】
また,上記留め付け金具は,上述のごとくスペーサ部の前後幅を確保する関係上,上記立設部の突出長さを,例えば15〜25mmと大きくする必要がある。そのため,上記のごとくリブを設けることにより,上記立設部の強度を確保しつつ突出長さを大きくすることができる。
【0016】
また,上記基板部は,該基板部を上記構造躯体に固定するためのビスを挿通するビス孔を設けてなり,該ビス孔の周囲には,左側が前方へ突出するように傾斜した傾斜隆起部が形成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には,上記留め付け金具を左方へ押し付けつつ,上記ビスを構造躯体にねじ込むことができる。これにより,容易に,外壁板の側端部に上記留め付け金具の立設部を押し付けて,留め付け金具を構造躯体に固定することができる。
上記傾斜隆起部は,例えば,上記基板部に対して15〜25°傾斜していることが好ましい。
【0017】
また,上記留め付け金具は,1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものであることが好ましい(請求項4)。
この場合には,安価な留め付け金具を容易に得ることができる。
また,上記金属板としては,例えば,ステンレス鋼板,合金メッキ鋼板等を用いることができる。また,上記金属板の厚みは,例えば,0.8〜1.2mmとすることができる。
【0018】
【実施例】
本発明の実施例にかかる留め付け金具につき,図1〜図13を用いて説明する。
上記留め付け金具1は,図6〜図8に示すごとく,長手方向が上下方向となるように,外壁板2を建物の構造躯体60に直接留め付けるための縦張直張用の留め付け金具である。
【0019】
図1〜図5に示すごとく,該留め付け金具1は,上記構造躯体60(図7,図8)に固定される基板部11と,該基板部11から略垂直に上下方向に立設された立設部12とを有する。該立設部12の先端121からは,左方へ屈曲した第1係止部13,13と,右方へ屈曲した第2係止部14とが形成されている。また,上記基板部11の上下には,該基板部11よりも前方であり上記立設部12の先端121よりも後方にその前面151が配されたスペーサ部15が形成されている。
【0020】
該スペーサ部15の前面151は,上記基板部11の後面111よりも,約15mm前方に形成されている。即ち,図3,図4に示す幅aが,約15mmである。
また,上記基板部11は縦が約50mm,横が約30mmのコンパクトな形状を有する。
【0021】
図6〜図9に示すごとく,上記留め付け金具1は,左右に隣り合う外壁板2の左右接合部に配設される。そして,左側の外壁板2の右端部23を上記立設部12に当接させると共に上記第1係止部13に係止させ,右側の外壁板2の左端部24を上記第2係止部14に係止させ,かつ上記スペーサ部15を上記外壁板2の裏側面26に当接させる。
【0022】
図1〜図5に示すごとく,上記基板部11と立設部12とスペーサ部15の立上板部152には,これらを部分的に変形させてなる補強用のリブ19が形成されている。立設部12に形成されたリブ19には,第1係止部13,13と第2係止部14に近い位置に上下方向に形成されたものと,前後方向に伸び,基板部11に連続するように形成されたものとがある。また,基板部11からスペーサ部15の立上板部152に連続するリブ19も形成されている。これらのリブ19は,約4mmの幅を有し,約0.6mm隆起している。
【0023】
また,上記基板部11は,該基板部11を上記構造躯体60に固定するためのビス692を挿通するビス孔112を設けてなる。該ビス孔112の周囲には,左側が前方へ突出するように傾斜した傾斜隆起部113が形成されている。
上記傾斜隆起部113は,上記基板部11に対して約18°傾斜している。
また,上記基板部11には,左右に長い長孔114が形成されており,例えば,鉄骨下地を用いる場合に該長孔114にビスを挿通しねじ込むことができるよう構成されている。
【0024】
また,上記留め付け金具1は,板金加工により1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものである。
上記金属板としては,厚み1.0mmの合金メッキ鋼板を用いている。
また,上記留め付け金具1の上下長さb(図2),即ち上側のスペーサ部15の上端から下側のスペーサ部15の下端までの長さは,約60mmである。また,上記スペーサ部15の左右長さc(図2)は約45mmであり,スペーサ部15の上下幅e(図2)は約4.5mmである。また,上記立設部12の長さd(図3)は約19mmであり,該立設部12は,基板部11の右端から約30mmの位置から前方へ折り曲げられてなる。
【0025】
図1,図3に示すごとく,上記立設部12の中央部には,開口部122が形成されており,該開口部122の後方の基板部11に上記傾斜隆起部113及びビス孔112が形成されている。即ち,上記開口部122を設けることにより,上記立設部12の中央部の根元位置に形成されたビス孔112においてビス692をねじ込む際に,その作業を容易となす。
【0026】
また,図1〜図3に示すごとく,上記第1係止部13は,上記第2係止部14を挟んで上下に一対形成されており,各第1係止部13の先端角部には,外壁板2に食い込ませることができるよう屈曲された爪部131が形成されている(図9)。
【0027】
次に,上記留め付け金具1を用いた縦張直張外壁施工構造6につき,図6〜図9を用いて説明する。
即ち,該縦張直張外壁施工構造6は,隣り合う外壁板2の左右接合部に配設した上記留め付け金具1によって,外壁板2を,胴縁を使用することなく構造躯体60に直接に留め付けてなる。該構造躯体60の前面には防水紙62が配設されている。
【0028】
上記留め付け金具1は,スペーサ部15を上記外壁板2の裏側面26に当接させ,第1係止部13によって左側の外壁板2の右端部23を係止し,第2係止部14によって右側の外壁板2の左端部24を係止した状態で,基板部11を構造躯体60にビス固定している。
これにより,上記外壁板2は,図7〜図13に示すごとく,上記構造躯体60との間に,約15mmの充分な厚みの通気層61を設けた状態で,留め付け金具1によって構造躯体60に直接に留め付けられる。
【0029】
図9に示すごとく,上記基板部11は,ビス692を斜め左方に向って上記構造躯体60における縦柱65にねじ込むことにより,しっかりと固定されている。すなわち,構造躯体60である縦柱65(木製)に対してビス692をねじ込む際に,左側の外壁板2を左方へ押圧しながらビス692がねじ込まれる。それ故,上記外壁板2が構造躯体60にしっかりと留め付けられる。これは,上記ビス692の頭部695が上記基板部11の傾斜隆起部113に当接された状態で縦柱65にねじ込まれるからである。また,ビス692の固定位置は,第2係止部14の直下位置となっており,ビス固定力は一層確実なものとなっている。
【0030】
また,図7〜図9に示すごとく,上記外壁板2は,左右合決り構造の窯業系外壁板であり,右端部23に横下実230,左端部24に横上実240を有する。また,上記横下実230の前面には,コーキング材231が打設されている。
【0031】
また,図6,図10,図11に示すごとく,2階建ての建物における上下に隣り合う階層(1階と2階)の間の中間部602には,スタータ金具3と中間水切5とが配設されている。上記スタータ金具3は,上方の外壁板2の下端部21を支承する。また,上記中間水切5は,上方の外壁板2の表面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する。
【0032】
図10,図11に示すごとく,該中間水切5は,上記構造躯体60に固定された背板部51と,該背板部51の下端から前方へ屈曲した水平板部52と,該水平板部52の前端から上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された堰板部53と,該堰板部53の下端から前方へ突出した水切板部54と,該水切板部54の前端から下方へ屈曲した前板部55とを有する。そして,上記水平板部52には,1階部と2階部との間の通気を確保するために,通気孔521が形成してある。
【0033】
上記スタータ金具3は,図10,図11に示すごとく,上記構造躯体60に固定された基板部31と,該基板部31の下端から前方へ屈曲した前方屈曲部32と,該前方屈曲部32の前端から上記基板部31と略平行となるように下方へ屈曲した当接板部33と,該当接板部33の下端から前方へ略直角に屈曲した支承板部34と,上記基板部31の下端からそのまま下方へ延設された脚部35とを有する。
【0034】
上記スタータ金具3は,上記中間水切5の背板部51に上記基板部31を重ね合わせると共に,上記中間水切5の水平板部52に上記脚部35を当接させた状態で上記構造躯体60に固定されている。上記支承板部52によって外壁板2の下端部21を支承し,上記当接板部33を外壁板2の裏側面26に当接させている。
図10,図11に示すごとく,上記中間水切5の前板部55は,下方の外壁板2の上端部22を表側面25から覆っている。
【0035】
また,図6,図12,図13に示すごとく,上記建物の土台部601には,スタータ金具3と土台水切4とが配設されている。上記スタータ金具3は,外壁板2の下端部21を支承し,上記土台水切4は,上記外壁板2の表側面25を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する。
【0036】
該土台水切4は,構造躯体60に固定された背板部41と,該背板部41の下端から前方へ屈曲した水平段部42と,該水平段部42の下方において前方下方へ傾斜した水切板部43とを有する。
【0037】
土台部601(図12,図13)に使用する上記スタータ金具3は,上述した中間部602(図10,図11)に使用するものと同様のものである。
図12,図13に示すごとく,上記スタータ金具3は,上記土台水切4の背板部41に上記基板部31を重ね合わせると共に,上記土台水切4の水平段部42に上記脚部35を当接させた状態で構造躯体60に固定されている。そして,上記支承板部34によって外壁板2の下端部21を支承し,上記当接板部33を外壁板2の裏側面26に当接させている。
【0038】
また,図10〜図13に示すごとく,上記スタータ金具3の脚部35は,その下端351から前方へ屈曲した底板部352を有する。そして,該底板部352が,上記中間水切5の水平板部52又は上記土台水切4の水平段部42に載置される。
【0039】
また,上記通気層61には,図13に示すごとく,土台部601における外壁板2の下端部21と土台水切4の水平段部42との間から外気Kが導入される。そして,図11に示すごとく,通気層61を通って中間部602に達した外気Kは,中間水切5の水平板部52に設けた通気孔521を抜けて,更に上方の通気層61へ流れて行く。このとき,上記スタータ金具3が配設されている部分においても,該スタータ金具3に形成された開口部39を外気Kが通り抜けることができる。
また,図13に示すごとく,土台水切4の下側から入った外気Kは,土台柱63と基礎66との間の土台パッキン67を抜けて,構造躯体60の内部に導入される。これにより,上記構造躯体60の内部の通気性をも確保している。
【0040】
上記土台水切4及び上記中間水切5は,図10〜図13に示すごとく,それぞれ,釘691によって上記構造躯体60に固定されている。即ち,図12,図13に示すごとく,上記土台水切4は,背板部41において釘691を打つことにより,上記構造躯体60における土台柱13に固定されている。また,図10,図11に示すごとく,上記中間水切5は,背板部51において釘691を打つことにより,上記構造躯体60における胴差64に固定されている。
【0041】
また,図10〜図13に示すごとく,上記スタータ金具3は,基板部31に形成されたビス穴311にビス692を挿通すると共に,該ビス692を上記土台水切4の背板部41或いは上記中間水切5の背板部51を介して上記構造躯体60にねじ込むことにより固定されている。
【0042】
図6に示すごとく,上記土台水切4及び中間水切5は,長尺もの(3m程度)であり,それぞれ,土台部601,中間部602において,左右に連続して形成されている。そして,上記スタータ金具3は,外壁板2の左右接合部における下端部に配設されている。
また,上記スタータ金具3は,厚み約1.2mmの1枚のステンレス鋼板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものである。
また,上記土台水切4及び中間水切5は,厚み約0.35mmの1枚のメッキ鋼板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものである。
【0043】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記留め付け金具1は上記スペーサ部15を有するため,上記構造躯体60と外壁板2との間に,外気を充分に通すための通気層61を形成することができる(図7,図8)。即ち,上記スペーサ部15の前面151は,上記基板部11の後面111よりも,約15mm前方に形成されているため,充分な厚みの通気層61を形成することができる。
それ故,上記構造躯体60と外壁板2との間の通気性を充分に確保し,構造躯体60や外壁板2の腐食,劣化を防止することができる。
【0044】
また,上記留め付け金具1を用いることにより,胴縁等の下地材を配設することなく,外壁板2を構造躯体60に直接留め付けることができるため,容易かつ安価に縦張直張外壁施工構造6を構築することができる。
【0045】
また,上記立設部12には補強用のリブ19が形成されているため,全体としてコンパクトでありながら,上記立設部12の強度を充分に確保することができる。即ち,上記リブ19を設けることにより,上記留め付け金具1をコンパクトにすることが可能となる。
【0046】
また,上記留め付け金具1は,上述のごとくスペーサ部15の前後幅を確保する関係上,上記立設部12の突出長さを約19mmと大きくしているが,上記のごとくリブ19を設けることにより,上記立設部12の強度を確保しつつ突出長さを大きくすることができる。
【0047】
また,上記基板部11は,上記ビス孔112を設けてなり,該ビス孔112の周囲には,左側が前方へ突出するように傾斜した傾斜隆起部113が形成されている。そのため,図9に示すごとく,上記留め付け金具1を左方へ押し付けつつ,ビス692を構造躯体60にねじ込むことができる。これにより,外壁板2の側端部(右端部23)に上記留め付け金具1の立設部12を押し付けながら,留め付け金具1を構造躯体60にしっかりと固定することができる。
【0048】
また,上記留め付け金具1は,1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより,コンパクトに製作したものであるため,安価な留め付け金具1を得ることができる。
【0049】
以上のごとく,本例によれば,構造躯体と外壁板との間に,充分な厚みの通気層を確保することができる縦張直張用の留め付け金具を提供することができる。
【0050】
上記実施例においては,2階建ての建物の縦張直張外壁施工構造6について説明したが,本発明の留め付け金具は,1階建ての建物,或いは3階建て以上の建物にも適用することはできる。
【0051】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,構造躯体と外壁板との間に,充分な厚みの通気層を確保することができる縦張直張用の留め付け金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,留め付け金具の斜視図。
【図2】実施例における,留め付け金具の正面図。
【図3】実施例における,留め付け金具の左側面図。
【図4】実施例における,留め付け金具の上面図。
【図5】図2のA−A線矢視断面図。
【図6】実施例における,縦張直張外壁施工構造の正面図。
【図7】実施例における,外壁板の左右接合部の水平断面図。
【図8】実施例における,外壁板の左右接合部の斜視図。
【図9】実施例における,外壁板の左右接合部の拡大水平断面図。
【図10】実施例における,中間部における縦張直張外壁施工構造の斜視図。
【図11】実施例における,中間部における縦張直張外壁施工構造の垂直断面図。
【図12】実施例における,土台部における縦張直張外壁施工構造の斜視図。
【図13】実施例における,土台部における縦張直張外壁施工構造の垂直断面図。
【図14】従来例における,留め付け金具の斜視図。
【図15】従来例における,留め付け金具を用いた縦張直張外壁施工構造の水平断面図。
【符号の説明】
1...留め付け金具,
11...基板部,
111...後面
112...ビス孔,
113...傾斜隆起部,
12...立設部,
13...第1係止部,
14...第2係止部,
15...スペーサ部,
151...前面,
19...リブ,
2...外壁板,
3...スタータ金具,
4...土台水切,
5...中間水切,
6...縦張直張外壁施工構造,
60...構造躯体,
Claims (4)
- 長手方向が上下方向となるように,外壁板を建物の構造躯体に直接留め付けるための縦張直張用の留め付け金具であって,
該留め付け金具は,上記構造躯体に固定される基板部と,該基板部から略垂直に上下方向に立設された立設部と,該立設部の先端から左方へ屈曲した第1係止部と,上記立設部の先端から右方へ屈曲した第2係止部と,上記基板部の上下において該基板部よりも前方であり上記立設部の先端よりも後方にその前面が配されたスペーサ部とを有し,
該スペーサ部の前面は,上記基板部の後面よりも,10〜20mm前方に形成されており,
上記留め付け金具は,左右に隣り合う外壁板の左右接合部に配設され,一方の外壁板の側端部を上記立設部に当接させると共に上記第1係止部に係止させ,他方の外壁板の側端部を上記第2係止部に係止させ,かつ上記スペーサ部を上記外壁板の裏側面に当接させることができるよう構成されていることを特徴とする留め付け金具。 - 請求項1において,上記基板部と上記立設部と上記スペーサ部の立上板部には,これらを部分的に変形させてなる補強用のリブが形成されていることを特徴とする留め付け金具。
- 請求項1または2において,上記基板部は,該基板部を上記構造躯体に固定するためのビスを挿通するビス孔を設けてなり,該ビス孔の周囲には,左側が前方へ突出するように傾斜した傾斜隆起部が形成されていることを特徴とする留め付け金具。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記留め付け金具は,1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものであることを特徴とする留め付け金具。
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