JP4133485B2 - 縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,外壁板を,その長手方向を上下方向にして,建物の構造躯体に胴縁を使用することなく直接に留め付けてなる縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より,外壁板を,その長手方向を上下方向にして,建物の構造躯体に留め付ける縦張外壁施工構造がある(特許文献1参照)。
該縦張外壁施工構造の土台部においては,例えば,図19に示すごとく,外壁板2は,構造躯体90に対して横胴縁99を介して留め付け金具96によって留め付けられている。これにより,上記外壁板2と構造躯体90との間に,充分な空間を有する通気層91を確保している。
【0003】
また,図19に示すごとく,上記外壁板2の下端部21を支承するスタータ金具93が土台柱903に配設されている。該スタータ金具93は,例えば150mm程度の短尺の金具であると共に断面略L字状の金具であって,上記構造躯体90に固定する基板部931と上記外壁板2を支承する支承板部934とからなる。上記基板部931と連接する支承板部934の基端部933には,金属板を局部的に変形させることにより形成した補強リブ938が部分的に形成されている。
【0004】
上記スタータ金具93は,上記外壁板2の表側面25を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する土台水切94の上に重ね合わせて,土台部の土台柱903に,ビス992によって固定されている。
そして,上記外壁板2の左右側端部は,上記横胴縁99に固定された留め付け金具96によって係止されている。また,上記構造躯体90の前面には,防水紙98を貼付してある。
【0005】
【特許文献1】
特許第2941271号公報
【特許文献2】
特開2001−32517号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の縦張外壁施工構造9は,上述のごとく,横胴縁99を配設するため構成要素が多くなる。その結果,施工工数が多く,材料コストが高くなるという問題がある。
また,上記外壁板2の重量は,上記断面L字状のスタータ金具93によって支えることとなるが,上記重量は,力学的な支点となるスタータ金具93の支承板部934の基端部933から大きく前方に離れた位置にかかる。そのため,上記支承板部934にかかる荷重のモーメントが大きくなり,上記外壁板2の重量が大きい場合には,上記スタータ金具93による固定強度が不充分となるおそれがある。
【0007】
また,上記外壁板2の前後位置は,左右側端部に部分的に配される留め付け金具96によって順次位置決めされるものの,上記外壁板2の下端部21には,位置決め用の部材が用いられていない。そのため,最初に位置決めすべき上記外壁板2の下端部21の前後位置を正確に位置決めすることが困難となるおそれがある。
【0008】
また,特許文献2の図3に示すような断面形状のスタータ金具を用いることも考えられるが,該スタータ金具の形状は複雑である。そのため,アルミ材の押出成形等を用いて上記スタータ金具を製作する必要があるなど,製造コストが高くなるという問題がある。
【0009】
また,上記土台部においては,図19に示すごとく,最下段の外壁板2の下端部21と土台水切94との間の隙間97から雨水Mが吹き込む場合がある。該隙間97から吹き込んだ雨水Mは,構造躯体90と外壁板2との間に浸入するおそれがある。
そして,浸入した雨水Mは,外壁板2の裏側面26や構造躯体90に付着し,これらの腐食,劣化を引き起こす原因となるおそれがある。
【0010】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は,外壁板を,その長手方向を上下方向にして,建物の構造躯体に直接留め付けてなる縦張直張外壁施工構造であって,
上記建物の土台部には,上記外壁板の下端部を支承するスタータ金具と,上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する土台水切とが配設されており,
該土台水切は,上記構造躯体に固定される背板部と,該背板部の下端から前方へ屈曲した水平板部と,該水平板部の前端から上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された堰板部と,該堰板部の下端から前方へ突出した水切板部と,該水切板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有すると共に,上記水平板部には通気孔を形成し,上記堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記スタータ金具は,上記構造躯体に固定された基板部と,該基板部の下端から前方へ屈曲した前方屈曲部と,該前方屈曲部の前端から上記基板部と略平行となるように下方へ屈曲した当接板部と,該当接板部の下端から前方へ略直角に屈曲した支承板部と,上記基板部の下端からそのまま下方へ延設された脚部とを有し,
上記スタータ金具は,上記土台水切の上記背板部に上記基板部を重ね合わせると共に,上記土台水切の上記水平板部に上記脚部を載置させ,更に上記土台水切の上記弾性パッキン材に上記当接板部の裏側面を密着させた状態で上記構造躯体に固定されており,上記支承板部によって上記外壁板の下端部を支承し,上記当接板部を上記外壁板の裏側面に当接させており,
上記構造躯体と上記外壁板との間には,通気層が形成されていることを特徴とする縦張直張外壁施工構造にある(請求項1)。
【0012】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記縦張直張外壁施工構造は,外壁板を構造躯体に直接留め付けてなるため,胴縁等の下地材を構造躯体と外壁板との間に配設する必要がない。それ故,上記縦張直張外壁施工構造は,施工容易かつ安価である。
【0013】
また,上記スタータ金具は,上述したような基板部と前方屈曲部と当接板部と支承板部と脚部とを有する。これにより,上記支承板部にかかる外壁板の荷重に対する強度を高くすることができる(実施例2参照)。その結果,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れた縦張直張外壁施工構造を得ることができる。
【0014】
また,上記スタータ金具の脚部は,上記中間水切の水平板部に載置させている。これにより,上記スタータ金具と土台水切とを,両者の上下位置関係を正確に維持しつつ,容易に施工することができる。そのため,土台水切と外壁板との上下位置関係を正確に保つことができる。
【0015】
また,上記スタータ金具は,上記当接板部を有し,該当接板部が上記外壁板の裏側面に当接している。そのため,上記外壁板の前後位置の位置決めを,その下端部において容易に行うことができ,通気層を確実に形成することができる。
【0016】
また,上記縦張直張外壁施工構造は,上記構造躯体と外壁板との間に通気層を形成してなる。そのため,上記外壁板や構造躯体等の腐食,劣化を防止することができる。
また,上記土台水切は,上記水平板部に通気孔を形成してなるため,該通気孔から,上記外壁板と構造躯体との間の通気層に外気を導入することができる。それ故,縦張直張外壁施工構造の通気性を確保することができる。
【0017】
また,上記土台水切は上記堰板部を有する。そのため,上記外壁板の下端部の下側から雨水が吹き込む場合にも,上記堰板部によって雨水を堰き止め,構造躯体と外壁板との間への雨水の浸入を防ぐことができる。
【0018】
更に,上記堰板部の前面に弾性パッキン材が配設してあるため,雨水が上記堰板部の前面を伝って上昇してきたとしても,上記弾性パッキン材によって堰き止めることができる。それ故,この雨水が堰板部の上端を乗り越えて構造躯体と外壁板との間に浸入することを防ぐことができる。
【0019】
以上のごとく,本発明によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造を提供することができる。
【0020】
参考として、第2の発明は,外壁板を,その長手方向を上下方向にして建物の構造躯体に直接留め付けて縦張直張施工した建物の土台部に配設され,最下段の上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する土台水切であって,
該土台水切は,上記構造躯体に固定される背板部と,該背板部の下端から前方へ屈曲した水平板部と,該水平板部の前端から上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された堰板部と,該堰板部の下端から前方へ突出した水切板部と,該水切板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有すると共に,上記水平板部には通気孔を形成し,上記堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記上方の外壁板の下端部を支承するためのスタータ金具を,上記背板部及び堰板部に重ね合わせると共に上記水平板部に載置することができるよう構成されていることを特徴とする土台水切にある。
【0021】
上記土台水切は,上記水平板部を有し,該水平板部に上記スタータ金具を載置した状態で,該スタータ金具によって外壁板の下端部を支承することができる。そのため,上記外壁板と土台水切との上下位置関係を正確に維持しつつ容易に施工することができる。
また,上記水平板部には上記通気孔が形成されているため,土台水切の下方から外気を通気層に充分に導入し,縦張直張外壁施工構造の通気性を確保することができる。
【0022】
また,上記土台水切は上記堰板部を有する。そのため,上記外壁板の下端部の下側から雨水が吹き込む場合にも,上記堰板部によって雨水を堰き止め,構造躯体と外壁板との間への雨水の浸入を防ぐことができる。
【0023】
更に,上記堰板部の前面に弾性パッキン材が配設してあるため,雨水が上記堰板部の前面を伝って上昇してきたとしても,上記弾性パッキン材によって堰き止めることができる。それ故,この雨水が堰板部の上端を乗り越えて構造躯体と外壁板との間に浸入することを防ぐことができる。
【0024】
以上のごとく,本発明によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造を構築することができる土台水切を提供することができる。
【0025】
第3の発明は,外壁板を,その長手方向を上下方向にして建物の構造躯体に直接留め付けて縦張直張施工した建物の出隅部における土台部に配設され,最下段の上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する出隅用土台水切であって,
該出隅用土台水切は,互いの後面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記外壁板の下端部を支承するためのスタータ金具を,上記第1背板部及び第1堰板部,又は上記第2背板部及び第2堰板部に重ね合わせると共に上記第1水平板部又は第2水平板部に載置することができるよう構成されていることを特徴とする出隅用土台水切(請求項5)。
【0026】
本土台水切によれば,上記第2の発明と同様の作用効果を,建物の出隅部において発揮することができる。
従って,本発明によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造を構築することができる,出隅部に配設する出隅用土台水切を提供することができる。
【0027】
第4の発明は,外壁板を,その長手方向を上下方向にして建物の構造躯体に直接留め付けて縦張直張施工した建物の入隅部における土台部に配設され,最下段の上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する入隅用土台水切であって,
該入隅用土台水切は,互いの前面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記外壁板の下端部を支承するためのスタータ金具を,上記第1背板部及び第1堰板部,又は上記第2背板部及び第2堰板部に重ね合わせると共に上記第1水平板部又は第2水平板部に載置することができるよう構成されていることを特徴とする入隅用土台水切にある(請求項6)。
【0028】
本土台水切によれば,上記第2の発明と同様の作用効果を,建物の入隅部において発揮することができる。
従って,本発明によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造を構築することができる,入隅部に配設する入隅用土台水切を提供することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明(請求項1)において,上記外壁板としては,例えば,窯業系外壁板を用いることができる。また,上記弾性パッキン材としては,例えば発泡EPDM等を用いることができる。
また,「構造躯体に直接留め付ける」とは,構造躯体に対して,胴縁等の下地材を介在させることなく直接に外壁板を留め付けることをいい,いわゆる直張り施工することをいう。
【0030】
また,本明細書において,建物の外側方向を「前」,内側方向を「後」として表現する。また,上記縦張直張外壁施工構造における各部材についても,施工された状態において,前,後,上,下となる方向を,それぞれ「前」,「後」,「上」,「下」と表現する。
【0031】
また,上記土台水切の堰板部の上端は,上記スタータ金具の支承板部の上面よりも,例えば15〜25mm上方にあることが好ましい。上記堰板部の上端の高さが,上記支承板部の上面から15mm未満の場合には,雨水の浸入を確実に防ぐことが困難となるおそれがある。一方,上記堰板部の上端の高さが,上記支承板部の上面から25mmを超える場合には,土台水切や,該土台水切と共に使用するスタータ金具の強度低下を招くおそれがあると共に,コストも高くなるおそれがある。
【0032】
また,上記スタータ金具の上記脚部は,その下端から前方へ屈曲した底板部を有することが好ましい。
この場合には,上記底板部を,上記土台水切の水平板部に載置することができるため,両者の接触面積を大きくすることができる。それ故,上記スタータ金具を土台水切に,容易に安定した状態で載置することができる。
【0033】
また,上記建物は出隅部を有し,該出隅部における土台部には出隅用土台水切が配設され,該出隅用土台水切は,互いの後面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記第1の発明(請求項1)と同様の作用効果を,建物の出隅部においても得ることができる。
【0034】
また,上記建物は入隅部を有し,該入隅部における土台部には入隅用土台水切が配設され,該入隅用土台水切は,互いの前面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなることが好ましい(請求項3)。
この場合には,上記第1の発明(請求項1)と同様の作用効果を,建物の入隅部においても得ることができる。
【0035】
また,上記通気層は,10〜20mmの厚みを有することが好ましい(請求項4)。
この場合には,外壁板の重量に対する耐荷重性能を確保しつつ,上記構造躯体と外壁板との間の通気性を充分に確保することができる。上記通気層の厚みが10mm未満の場合には,上記構造躯体と外壁板との間の通気性が不充分となるおそれがある。一方,上記厚みが20mmを超える場合には,上記スタータ金具にかかる外壁板の荷重モーメントが大きくなり,上記スタータ金具によって外壁板を確実に支承することが困難となるおそれがある。
【0036】
また,上記スタータ金具は,1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものであることが好ましい。この場合には,安価なスタータ金具を容易に得ることができる。
また,上記金属板としては,例えば,ステンレス鋼板,メッキ鋼板等を用いることができる。また,上記金属板の厚みは,例えば,0.8〜1.5mmとすることができる。
【0037】
また,上記土台水切,出隅用土台水切,及び入隅用土台水切は,それぞれ1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものであることが好ましい。この場合には,安価な中間水切を得ることができる。
また,上記金属板としては,例えば,ステンレス鋼板,メッキ鋼板等を用いることができる。また,上記金属板の厚みは,例えば,0.3〜0.5mmとすることができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切につき,図1〜図16を用いて説明する。
上記縦張直張外壁施工構造1は,図1〜図6に示すごとく,外壁板2を,その長手方向を上下方向にして,複数階建ての建物の構造躯体10に直接留め付けてなる。
【0039】
図1〜図3に示すごとく,上記建物の土台部101には,上記外壁板2の下端部21を支承するスタータ金具3と,上記外壁板2の表側面25を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する土台水切4とが配設されている。
図1,図2,図9,図10に示すごとく,該土台水切4は,長尺体(例えば3m程度)であり,上記構造躯体10に固定される背板部41と,該背板部41の下端から前方へ屈曲した水平板部42と,該水平板部42の前端から上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された堰板部45と,該堰板部45の下端から前方へ突出した水切板部43と,該水切板部43の前端から下方へ屈曲した前板部44とを有する。上記水平板部42には通気孔421が形成され,上記堰板部45の前面には弾性パッキン材46が配設されている。
【0040】
上記スタータ金具3は,短尺体(例えば150mm程度)であり,図1,図2,図7,図8に示すごとく,上記土台水切4の背板部41を介して上記構造躯体10にビス固定される基板部31と,該基板部31の下端から前方斜め下方へ屈曲した前方屈曲部32と,該前方屈曲部32の前端から上記基板部31と略平行となるように下方へ屈曲した当接板部33と,該当接板部33の下端から前方へ略直角に屈曲した支承板部34と,上記基板部31の下端からそのまま下方へ延設された脚部35とを有する。
【0041】
図1,図2に示すごとく,上記スタータ金具3は,上記土台水切4の上記背板部41に上記基板部31を重ね合わせると共に,上記土台水切4の上記水平板部42に上記脚部35の先端部351を載置させ,更に上記土台水切4の上記弾性パッキン材46に上記当接板部33の裏側面を密着させた状態で上記構造躯体10に固定されている。また,上記支承板部34によって上記外壁板2の下端部21を支承し,上記当接板部33を上記外壁板2の裏側面26に当接させている。
【0042】
図2に示すごとく,上記構造躯体10と上記外壁板2との間には,通気層11が形成されている。該通気層11は約15mmの厚みを有する。該通気層11には,土台部101における土台水切4の水平板部42に形成した通気孔421から外気Kが導入される。
また,図2に示すごとく,土台水切4の下側から入った外気Kは,土台柱13と基礎16との間の土台パッキン17を抜けて,構造躯体10の内部に導入される。これにより,上記構造躯体10の土台部の通気性をも確保している。
【0043】
また,図3に示すごとく,上記建物は,出隅部103及び入隅部104を有している。そして,上記出隅部103における土台部101には,出隅用土台水切4aが配設され,上記入隅部104における土台部101には,入隅用土台水切4bが配設されている。これら出隅用土台水切4a及び入隅用土台水切4bは,図3,図13〜図16に示すごとく,それぞれ出隅部103,入隅部104の形状に沿う形に形成されている以外は,平端部(出隅部及び入隅部以外の部分)に配設した上記土台水切4と基本的に同様の構成を有する。以後,特に示さない限り,単に「土台水切4」というときは,出隅用土台水切4a及び入隅用土台水切4bをも意味するものとする。
【0044】
上記出隅用土台水切4aの形状につき,図3,図13,図14を用いて説明する。
該出隅用土台水切4aは,互いの後面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体10に固定される第1背板部411及び第2背板部412を有する。該第1背板部411及び第2背板部412の下端からは,それぞれ前方へ屈曲した第1水平板部421及び第2水平板部422が形成されている。
【0045】
該第1水平板部421及び第2水平板部422の前端からは,それぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部451及び第2堰板部452が形成されている。該第1堰板部451及び第2堰板部452の下端からは,それぞれ前方へ突出した第1水切板部431及び第2水切板部432が形成されている。該第1水切板部431及び第2水切板部432の前端からは,下方へ屈曲した第1前板部441及び第2前板部442が形成されている。
また,上記第1水平板部421及び第2水平板部422には通気孔425を形成してある。また,上記第1堰板部451及び第2堰板部452の前面には弾性パッキン材46が配設されている。
【0046】
そして,一つの上記出隅用土台水切4aに対して,上記スタータ金具3を2個使用する。上記出隅用土台水切4aは,左側に配設するスタータ金具3の基板部31と脚部35とを上記第1背板部411の前面に,当接板部33を第1堰板部451の前面にそれぞれ重ね合わせると共に,上記底板部352を上記第1水平板部421に載置することができるよう構成されている。
また,上記出隅用土台水切4aは,右側に配設するスタータ金具3の基板部31と脚部35とを上記第2背板部412の前面に,当接板部33を第2堰板部452にそれぞれ重ね合わせると共に,底板部352を第2水平板部422に載置することができるよう構成されている。
【0047】
次に,上記入隅用土台水切4bの形状につき,図3,図15,図16を用いて説明する。
該入隅用土台水切4bは,互いの前面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体10に固定される第1背板部413及び第2背板部414を有する。該第1背板部413及び第2背板部414の下端からは,それぞれ前方へ屈曲した第1水平板部423及び第2水平板部424が形成されている。
【0048】
該第1水平板部423及び第2水平板部424の前端からは,それぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部453及び第2堰板部454が形成されている。該第1堰板部453及び第2堰板部454の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部433及び第2水切板部434が形成されている。該第1水切板部433及び第2水切板部434の前端から下方へ屈曲した第1前板部443及び第2前板部444が形成されている。
また,上記第1水平板部423及び第2水平板部424には通気孔425を形成してある。上記第1堰板部453及び第2堰板部454の前面には弾性パッキン材46が配設されている。
【0049】
そして,一つの上記入隅用土台水切4bに対して,上記スタータ金具3を2個使用する。上記入隅用土台水切4bは,左側に配設するスタータ金具3の基板部31と脚部35とを上記第1背板部413の前面に,当接板部33を第1堰板部453の前面にそれぞれ重ね合わせると共に,上記底板部352を上記第1水平板部423に載置することができるよう構成されている。
また,上記入隅用土台水切4bは,右側に配設するスタータ金具3の基板部31と脚部35とを上記第2背板部414の前面に,当接板部33を第2堰板部454にそれぞれ重ね合わせると共に,底板部352を第2水平板部424に載置することができるよう構成されている。
【0050】
図1〜図3,図5,図6に示すごとく,上記構造躯体10の前面には防水紙12が配設されており,図2に示すごとく,上記土台水切4の背板部41は,上記防水紙12の後側に配設され,上記スタータ金具3の基板部31は,上記防水紙12の前側に配設されている。
また,図1,図2に示すごとく,上記スタータ金具3の脚部35は,その下端351から水平方向前方へ屈曲した底板部352を有する。そして,該底板部352が,上記中間水切5の水平板部52又は上記土台水切4の水平板部42に載置される。
【0051】
また,図4に示すごとく,上記建物における1階と2階の間の中間部102には,スタータ金具3と中間水切5とが配設されている。上記スタータ金具3は,上方の外壁板2の下端部21を支承する。また,上記中間水切5は,上方の外壁板2の表側面25を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する。
【0052】
上記土台水切4は,図1,図2に示すごとく,背板部41において釘191を打つことにより,上記構造躯体10における土台柱13に固定されている。
また,図1,図2に示すごとく,上記スタータ金具3は,基板部31に形成されたビス穴311にビス192を挿通すると共に,該ビス192を上記土台水切4の背板部41を介して上記構造躯体10にねじ込むことにより固定されている。
【0053】
図4に示すごとく,建物の平端部に配される上記土台水切4及び中間水切5は,それぞれ,土台部101,中間部102において,左右に連続する長尺もの(約3m程度)として形成されている。そして,上記スタータ金具3は,外壁板2の左右接合部における下端部に配設されている。
また,上記外壁板2は,図4〜図6に示すごとく,左右接合部に配設された留め付け金具6によって,構造躯体10に留め付けられている。
【0054】
上記留め付け金具6は,図5,図6に示すごとく,構造躯体10に固定される基板部61と,該基板部61から略垂直に立設された立設部62と,該立設部62の先端621から左方へ屈曲した左板係止部63と,上記先端621から右方へ屈曲した右板係止部64とを有する。また,上記基板部61の上下には,該基板部61よりも前方であり上記立設部62の先端621よりも後方にその前面が配されたスペーサ部65が形成されている。
【0055】
そして,上記留め付け金具6は,スペーサ部65を上記外壁板2の裏側面26に当接させ,左板係止部63によって左側の外壁板2の右端部23の実部を係止し,右板係止部64によって右側の外壁板2の左端部24の実部を係止した状態で,基板部61を構造躯体10に固定している。これにより,上記外壁板2は,留め付け金具6によって構造躯体10に留め付けられる。
【0056】
上記基板部61は,ビス192を斜め左方に向って上記構造躯体10における縦柱15にねじ込むことにより,固定されている。これにより,左側の外壁板2を左方へ押圧しながら,構造躯体10にしっかりと留め付けている。
また,上記外壁板2は,左右合決り構造の窯業系外壁板であり,右端部23に横下実230,左端部24に横上実240を有する。また,上記横下実230の前面には,コーキング材231が打設されている。
【0057】
また,図7,図8に示すごとく,上記スタータ金具3は,厚み約1.2mmの1枚のステンレス鋼板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものである。
即ち,矩形状に切り出した金属板(ステンレス鋼板)における所定の3箇所に,上記脚部35を形成するための切込みを入れる。また,上記金属板における,上記基板部31となる部分に,5個ビス穴311を開ける。
【0058】
次いで,上記金属板を3本の平行な折り曲げラインに沿って折り曲げ成形する。このとき,上記脚部35となるべき部分は折り曲げず,図8に示すごとく,基板部31と脚部35とが略同一平面上に形成されるようにする。
そして,上記スタータ金具3の脚部35の下端351を略直角に前方へ折り曲げて,底板部352を形成する。
【0059】
また,図7に示すごとく,上記基板部31と前方屈曲部32との間の折り曲げ部分と,上記前方屈曲部32と当接板部33との間の折り曲げ部分には,金属板を部分的に変形させることにより,各6個の補強リブ38を形成している。
また,上記当接板部33の前面は,上記基板部31の後面から,約14mm前方の位置に配されている。
【0060】
また,上記土台水切4は,厚み約0.35mmの1枚のメッキ鋼板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものである。図9に示すごとく,上記土台水切4の堰板部45の上下高さLは約20mmであり,水平板部42よりも約10mm下方まで形成されている。
また,上記土台水切4の堰板部45における上端455付近の前面には,発泡EPDMからなる弾性パッキン材46が帯状に連続して貼着されている。
【0061】
また,図9,図10に示すごとく,上記土台水切4の水平板部42には,前後方向に長い長孔状の通気孔421を等間隔に形成する。該通気孔421としては,例えば,図11に示すような円形状や,図12に示すような左右に長い長孔状とするなど,他の種々の形状のものを適用することもできる。
【0062】
また,図13,図14に示すごとく,上記出隅用土台水切4aは,第1基板部411と第2基板部412との間,第1水平板部421と第2水平板部422との間,第1堰板部451と第2堰板部452との間,第1水切板部431と第2水切板部432との間,第1前板部441と第2前板部442との間のそれぞれに隙間が生じないように,折り曲げ重ね合わされて形成されている。
【0063】
同様に,図15,図16に示すごとく,上記出隅用土台水切4bは,第1基板部413と第2基板部414との間,第1水平板部423と第2水平板部424との間,第1堰板部453と第2堰板部454との間,第1水切板部433と第2水切板部434との間,第1前板部443と第2前板部444との間のそれぞれに隙間が生じないように,折り曲げ重ね合わされて形成されている。
【0064】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記縦張直張外壁施工構造1は,図1〜図3に示すごとく,外壁板2を構造躯体10に直接留め付けてなるため,通気層を確保するための胴縁等の下地材を構造躯体10と外壁板2との間に配設する必要がない。それ故,上記縦張直張外壁施工構造1は,施工容易かつ安価である。
【0065】
また,上記スタータ金具3は,上述したような基板部31と前方屈曲部32と当接板部33と支承板部34と脚部35とを有する。これにより,上記支承板部34にかかる外壁板2の荷重に対する強度を高くすることができる(実施例2参照)。その結果,外壁板2の重量に対する耐荷重性能に優れた縦張直張外壁施工構造1を得ることができる。
【0066】
また,上記スタータ金具3の脚部35の底板部352は,上記土台水切4の水平板部42に載置されている。これにより,上記スタータ金具3と土台水切4とを,両者の上下位置関係を正確に維持しつつ,容易に施工することができる。そのため,土台水切4と外壁板2との上下位置関係を正確に保つことができる。
【0067】
また,図1〜図3に示すごとく,上記スタータ金具3は,上記当接板部33を有し,該当接板部33が上記外壁板2の裏側面26に当接している。そのため,上記外壁板2の前後位置の位置決めを,その下端部21において容易に行うことができ,通気層11を確実に形成することができる。
また,図2に示すごとく,上記縦張直張外壁施工構造1は,上記構造躯体10と外壁板2との間に通気層11を形成してなる。そのため,上記外壁板2や構造躯体10等の腐食,劣化を防止することができる。
【0068】
また,図1,図9,図10に示すごとく,上記土台水切4は,上記水平板部42に複数の通気孔421を形成してなるため,該通気孔421から,上記外壁板2と構造躯体10との間の通気層11に外気を充分に導入することができる。それ故,縦張直張外壁施工構造1の通気性を確保することができる。
【0069】
また,上記土台水切4は上記堰板部45を有する。そのため,上記外壁板2の下端部21の下側から雨水Mが吹き込む場合にも,上記堰板部45によって雨水Mを堰き止め,構造躯体10と外壁板2との間への雨水Mの浸入を防ぐことができる。
【0070】
更に,上記堰板部45の前面に弾性パッキン材46が配設してあるため,雨水Mが上記堰板部45の前面を伝って上昇してきたとしても,上記弾性パッキン材46によって堰き止めることができる。それ故,この雨水Mが堰板部45の上端455を乗り越えて構造躯体10と外壁板2との間に浸入することを防ぐことができる。
【0071】
また,図3に示すごとく,上記縦張直張外壁施工構造1は,出隅部103における土台部101に出隅用土台水切4aを設け,入隅部104における土台部101に入隅用土台水切4bを設けてなる。
これにより,建物の出隅部103及び入隅部104においても,上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
また,上記スタータ金具3の脚部35は,その下端351から前方へ直角に屈曲した底板部352を有する。そのため,上記底板部352を,上記土台水切4の水平板部42に載置することができ,上記スタータ金具3を土台水切4に,容易に安定した状態で載置することができる。
【0073】
また,上記スタータ金具3の当接板部33の前面は,上記基板部31の後面から,約14mm前方の位置に配されている。これにより,上記構造躯体10と外壁板2との間に,約15mmの厚みの通気層11を形成することができる。そして,該通気層11が約15mmの厚みを有することにより,外壁板2の重量に対する耐荷重性能を確保しつつ,上記構造躯体10と外壁板2との間の通気性を充分に確保することができる。
【0074】
また,上記スタータ金具3,土台水切4,及び中間水切5は,1枚の金属板を切断,折り曲げ加工することにより製作したものであるため,安価なスタータ金具3,土台水切4,及び中間水切5を容易に得ることができる。
【0075】
以上のごとく,本例によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切を提供することができる。
【0076】
(実施例2)
本例は,図17,図18に示すごとく,実施例1に示した本発明にかかる縦張直張外壁施工構造1に用いるスタータ金具3につき,外壁板の重量に対する耐荷重強度を測定し,従来例で示したスタータ金具93と比較した例である。
【0077】
実施例1のスタータ金具3としては,高さh=35mm,前後幅d=24mm,左右幅w=150mmのものを用いた(図8,図9参照)。
一方,従来例のスタータ金具93は,高さ40mm,前後幅27mm,左右幅150mmの断面略L字形状を有する。
各スタータ金具は,1.2mmの厚みのステンレス鋼板(SUS304)を折り曲げ成形してなる。
【0078】
試験に際しては,図17に示すごとく,まず,厚み2.3mm,断面寸法50×100mmのC形鋼19に,土台水切4と共に,試料であるスタータ金具3を固定する。土台水切4は,実施例1において示した形状のものであり,厚み0.35mmのメッキ鋼板を折り曲げ形成したものを用いた。
【0079】
また,上記スタータ金具3は,上記C形鋼19に対して,直径4mm,長さ19mmのテクスネジ193により2点で固定した。
この状態において,上記スタータ金具3の支承板部34に,厚み10mmの鉄板29を,上記C形鋼19との間隔Bが15mmとなるように垂直に載置し,該鉄板29の上部から鉛直下方に荷重をかけた(矢印F)。このときの鉄板29の下降速度は,10mm/分とした。
【0080】
そして,上記スタータ金具3へ荷重が掛かり始めてからの鉄板29の移動距離が1mm,2mm,3mmの各時点において,スタータ金具3に掛かっている荷重を測定した。この測定は3個の試験体を用いて行った。
また,図18に示すごとく,従来例のスタータ金具93についても,上記と同様に測定を行った。
測定結果を,表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
表1から分かるように,同じ鉄板29の移動距離において,実施例1のスタータ金具3にかかる荷重は,従来例のスタータ金具93にかかる荷重よりも,はるかに大きい。これは,実施例1のスタータ金具3が,従来例のスタータ金具93よりも,極めて大きな耐荷重強度を有することを意味する。
【0083】
また,上記スタータ金具を455mmピッチで,外壁板の左右接合部の下端に配置して使用する場合,即ち1枚の外壁板を1個のスタータ金具で受ける場合を想定して,上記の結果を考察する。
この場合において,外壁板の許容移動距離を2mmと設定すると,スタータ金具に対する許容荷重は,上記試験における鉄板29の移動距離2mmのときの荷重である。従って,実施例1のスタータ金具3の許容荷重は2616Nであり,従来例のスタータ金具93の許容荷重は1516Nである。
【0084】
そして,上記外壁板として重量23.5kgのものを用いる場合,スタータ金具に掛かる荷重は230Nである。
従って,実施例1のスタータ金具3は,想定する仕様において,特に外力が働かないときに外壁板から受ける荷重の11.37倍の荷重に耐えることができる。一方,従来例のスタータ金具93が耐えることができる荷重は,特に外力が働かないときに外壁板から受ける荷重の6.58倍に停まる。
このように,本例の結果から,本発明にかかる実施例1のスタータ金具は,耐荷重強度に優れていることが分かる。
【0085】
【発明の効果】
以上のごとく,本発明によれば,外壁板の重量に対する耐荷重性能に優れ,外壁板の前後位置の位置決めが容易であり,防水性に優れ,かつ,安価な縦張直張外壁施工構造及びこれに用いる土台水切を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,縦張直張外壁施工構造の斜視図。
【図2】実施例1における,縦張直張外壁施工構造の垂直断面図。
【図3】実施例1における,縦張直張外壁施工構造の水平断面図。
【図4】実施例1における,縦張直張外壁施工構造の正面図。
【図5】実施例1における,外壁板の左右接合部の水平断面図。
【図6】実施例1における,外壁板の左右接合部の斜視図。
【図7】実施例1における,スタータ金具の正面図。
【図8】図7のA−A線矢視断面図。
【図9】実施例1における,土台水切の斜視図。
【図10】実施例1における,土台水切の上面図。
【図11】実施例1における,円形状の通気孔を有する土台水切の上面図。
【図12】実施例1における,左右に長い長孔状の通気孔を有する土台水切の上面図。
【図13】実施例1における,出隅用土台水切の斜視図。
【図14】実施例1における,出隅用土台水切の上面図。
【図15】実施例1における,入隅用土台水切の斜視図。
【図16】実施例1における,入隅用土台水切の上面図。
【図17】実施例2における,本発明品についての試験方法の説明図。
【図18】実施例2における,従来品についての試験方法の説明図。
【図19】従来例における,土台部における縦張外壁施工構造の垂直断面図。
【符号の説明】
1...縦張直張外壁施工構造,
10...構造躯体,
11...通気層,
2...外壁板,
21...下端部,
3...スタータ金具,
31...基板部,
32...前方屈曲部,
33...当接板部,
34...支承板部,
35...脚部,
4...土台水切,
41...背板部,
42...水平板部,
425...通気孔,
43...水切板部,
44...前板部,
45...堰板部,
46...弾性パッキン材,
4a...出隅用土台水切,
4b...入隅用土台水切,
Claims (6)
- 外壁板を,その長手方向を上下方向にして,建物の構造躯体に直接留め付けてなる縦張直張外壁施工構造であって,
上記建物の土台部には,上記外壁板の下端部を支承するスタータ金具と,上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する土台水切とが配設されており,
該土台水切は,上記構造躯体に固定される背板部と,該背板部の下端から前方へ屈曲した水平板部と,該水平板部の前端から上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された堰板部と,該堰板部の下端から前方へ突出した水切板部と,該水切板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有すると共に,上記水平板部には通気孔を形成し,上記堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記スタータ金具は,上記構造躯体に固定された基板部と,該基板部の下端から前方へ屈曲した前方屈曲部と,該前方屈曲部の前端から上記基板部と略平行となるように下方へ屈曲した当接板部と,該当接板部の下端から前方へ略直角に屈曲した支承板部と,上記基板部の下端からそのまま下方へ延設された脚部とを有し,
上記スタータ金具は,上記土台水切の上記背板部に上記基板部を重ね合わせると共に,上記土台水切の上記水平板部に上記脚部を載置させ,更に上記土台水切の上記弾性パッキン材に上記当接板部の裏側面を密着させた状態で上記構造躯体に固定されており,上記支承板部によって上記外壁板の下端部を支承し,上記当接板部を上記外壁板の裏側面に当接させており,
上記構造躯体と上記外壁板との間には,通気層が形成されていることを特徴とする縦張直張外壁施工構造。 - 請求項1において,上記建物は出隅部を有し,該出隅部における土台部には出隅用土台水切が配設され,該出隅用土台水切は,互いの後面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなることを特徴とする縦張直張外壁施工構造。
- 請求項1又は2において,上記建物は入隅部を有し,該入隅部における土台部には入隅用土台水切が配設され,該入隅用土台水切は,互いの前面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなることを特徴とする縦張直張外壁施工構造。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記通気層は,10〜20mmの厚みを有することを特徴とする縦張直張外壁施工構造。
- 外壁板を,その長手方向を上下方向にして建物の構造躯体に直接留め付けて縦張直張施工した建物の出隅部における土台部に配設され,最下段の上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する出隅用土台水切であって,
該出隅用土台水切は,互いの後面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記外壁板の下端部を支承するためのスタータ金具を,上記第1背板部及び第1堰板部,又は上記第2背板部及び第2堰板部に重ね合わせると共に上記第1水平板部又は第2水平板部に載置することができるよう構成されていることを特徴とする出隅用土台水切。 - 外壁板を,その長手方向を上下方向にして建物の構造躯体に直接留め付けて縦張直張施工した建物の入隅部における土台部に配設され,最下段の上記外壁板の表側面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する入隅用土台水切であって,
該入隅用土台水切は,互いの前面が直角を成すように屈曲されると共に上記構造躯体に固定される第1背板部及び第2背板部と,該第1背板部及び第2背板部の下端からそれぞれ前方へ屈曲した第1水平板部及び第2水平板部と,該第1水平板部及び第2水平板部の前端からそれぞれ上方へ屈曲すると共にその上端から下方へ折返された第1堰板部及び第2堰板部と,該第1堰板部及び第2堰板部の下端からそれぞれ前方へ突出した第1水切板部及び第2水切板部と,該第1水切板部及び第2水切板部の前端から下方へ屈曲した第1前板部及び第2前板部とを有すると共に,上記第1水平板部及び第2水平板部には通気孔を形成し,上記第1堰板部及び第2堰板部の前面には弾性パッキン材を配設してなり,
上記外壁板の下端部を支承するためのスタータ金具を,上記第1背板部及び第1堰板部,又は上記第2背板部及び第2堰板部に重ね合わせると共に上記第1水平板部又は第2水平板部に載置することができるよう構成されていることを特徴とする入隅用土台水切。
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