JP2004231861A - トレッドゴムおよび空気入りタイヤ - Google Patents

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徹 野口
Shigeru Fukazawa
茂 深澤
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Abstract

【課題】転がり抵抗の増大を抑制し、タイヤの制動性を良好にし、かつ耐久性および高寿命性に優れたトレッドゴムを提供する。
【解決手段】本発明のトレッドゴムは、平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の燃費およびタイヤの制動性を良好にし、かつ耐久性および高寿命性に優れたトレッドゴムに関する。また、本発明は、前記トレッドゴムを含む空気入りタイヤに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、車両用タイヤのトレッド部分に用いられるトレッドゴムには、高寿命化が求められている。トレッドゴムの高寿命化を図るためには、トレッドゴムの耐摩耗性を向上させることが一般に実施されている。この耐摩耗性の向上を図るための一手法として、カーボンブラックの微粒子をゴムに多量に配合してトレッドゴムを形成する方法が一般に用いられている。しかしながら、カーボンブラックをゴムに配合することで、トレッドゴムの補強性および摩耗性を高めた場合、一般に、トレッドゴムの発熱量が増加する。トレッドゴムの発熱量の増加は、製品の耐久性および寿命の低下を招くことがある。このため、トレッドゴムの耐摩耗性および発熱性を併せて改良することが求められている。
【0003】
また、カーボンブラックをゴムに配合してトレッドゴムを形成する場合、加工性を良くするために、一般に、多量のオイルがゴムに配合される。しかしながら、この場合、30〜100℃でのtanδ(損失係数)が大きくなり、転がり抵抗が増大する。転がり抵抗の増大は一般に、燃費の低下を招く。また、一般に、転がり抵抗が大きければ、タイヤの制動性は良好であるが、燃費は低下する。一方、転がり抵抗が小さければ、タイヤの制動性は低下する。したがって、タイヤの制動性を良好にすることと、燃費の低下を防ぐために転がり抵抗の増大を抑制することとの両立が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、転がり抵抗の増大を抑制し、タイヤの制動性を良好にし、かつ耐久性および高寿命性に優れたトレッドゴムを提供することにある。
【0005】
また、本発明の目的は、前記トレッドゴムを含む空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のトレッドゴムは、
平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなる。
【0007】
上記本発明のトレッドゴムによれば、平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなることにより、30〜100℃におけるtanδ(損失係数)の上昇を抑制することができる。これにより、転がり抵抗の増大を抑制することで、車両の燃費への影響を最小限に留めることができ、かつ、タイヤの制動性を良好にすることができる。また、耐摩耗性および放熱性を併せて改良することができるため、タイヤの高寿命化を図ることができる。さらに、超微細なカーボンナノファイバーとすることで、ゴムの成形加工を容易とすることができる。
【0008】
上記本発明のトレッドゴムにおいて、前記カーボンナノファイバーは、イオン注入処理されていることができる。
【0009】
このような構成とすることで、イオン注入処理されたカーボンナノファイバーは、カーボンナノファイバーの表面が化学的に改質されることにより、ゴムに対するカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性が向上する、その結果、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中においてカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴムを得ることができる。
【0010】
上記本発明のトレッドゴムにおいて、前記カーボンナノファイバーは、スパッタエッチング処理されていることができる。
【0011】
このような構成とすることで、スパッタエッチング処理されたカーボンナノファイバーは、その表面に微細な凹凸が形成されるので、ゴムに対するカーボンナノファイバーの接触面積を増大させることができる。その結果、ゴムに対するカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性が向上することにより、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中においてカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴムを得ることができる。
【0012】
上記本発明のトレッドゴムにおいて、前記カーボンナノファイバーは、プラズマ処理されていることができる。
【0013】
このような構成とすることで、プラズマ処理されたカーボンナノファイバーは、 その表面に微細な凹凸が形成されるので、ゴムに対するカーボンナノファイバーの接触面積を増大させることができる。その結果、ゴムに対するカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性が向上することにより、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中においてカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴムを得ることができる。
【0014】
上記本発明のトレッドゴムにおいて、さらに、前記カーボンナノファイバーの合成過程において得られる炭素および炭素化合物を含むことができる。
【0015】
また、上記本発明のトレッドゴムを用いて、空気入りタイヤを得ることができる。この空気入りタイヤによれば、車両の燃費が良好であり、かつ、高制動性、高耐久性および高寿命化を達成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態のトレッドゴム12が設置された車両用の空気入りタイヤ10を模式的に示す子午断面図である。この空気入りタイヤ10は、正規リムに設置され、正規内圧を充填することにより得られる。
【0017】
空気入りタイヤ10は、トレッドゴム12と、このトレッドゴム12の両端からタイヤ半径方向に延びる一対のサイドウォール部13と、各サイドウォール部13のタイヤ半径方向の内方端に設置されたビード部14とを含む(図1参照)。また、トレッドゴム12には、周方向に延びるトレッドパターン(例えば溝19)が設けられている。
【0018】
なお、図1においては、トレッドゴム12のうち、タイヤ赤道Cから片側のみが示されている。すなわち、図1においては、一対のサイドウォール部13のうち片方のみが示されている。ここで、「タイヤ赤道」とは、トレッドゴム12の厚さ方向(図1のY方向)に平行で、かつトレッドゴム12を対称に切断する線をいう。
【0019】
カーカス16は、1枚以上(図1では1枚)のカーカスプライからなる。このカーカスプライは、トレッドゴム12からサイドウォール部13を経てビード部14のビートコア15の廻りで折り返して係止されている。このカーカスプライにおいては、タイヤ赤道Cに対して75〜90度の角度でカーカスコードが配列している。カーカスコードとしては、芳香族ポリアミド、ナイロン、レーヨン、ポリエステルなどの有機繊維コードの他、スチールコードが使用できる。本実施の形態においては、カーカスコードがポリエステル繊維コードの場合が例示されている。
【0020】
また、ベルト層17は、カーカス16とトレッドゴム2との間に設置されている。このベルト層17は、トレッドゴム2を補強する機能を有する。具体的には、ベルト層17は、2枚以上(図1では2枚)のベルトプライ17a,17bからなる。このベルトプライ17a,17bには、タイヤ赤道Cに対して10〜35度の角度で高強力のベルトコードが配列している。このベルトプライ17a,17b間が相互に交差することによって、トラス構造(truss head structure)を形成し、タガ効果(hoop effect)を発揮することにより、トレッドゴム2を補強している。本実施の形態においては、ベルトコードとしてスチールコードを用いた場合を示している。
【0021】
トレッドゴム12は、平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなる。
【0022】
トレッドゴム12を構成するゴムとしては、天然ゴム(NR)またはジエン系合成ゴムのいずれか、あるいはこれらの混合系を用いることができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えば、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0023】
また、トレッドゴム12を構成するゴムにはさらに、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑化剤、軟化剤、その他前記ゴム用に一般的に配合されている各種配合剤を配合することができる。これら添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0024】
また、カーボンナノファイバーの配合量は、成形時の流動性、得られる成形品の比重および強度、弾性の観点から、トレッドゴム12中に0.01〜50重量%の範囲で含まれていることが好ましい。トレッドゴム12中におけるカーボンナノファイバーの含有量が0.1重量%未満であると、耐摩耗性および放熱性を十分確保できない場合がある。一方、トレッドゴム12中におけるカーボンナノファイバーの含有量が50重量%を超えると、得られるトレッドゴムの硬度が大きくなり過ぎて、転がり抵抗が増大し、車両の燃費が低下する場合がある。
【0025】
なお、トレッドゴム12には、さらに、カーボンナノファイバーの合成過程において得られる炭素および炭素化合物を含むことができる。
【0026】
(カーボンナノファイバー)
ゴムにカーボンナノファイバーを混合してトレッドゴム12を形成する場合、ゴムとカーボンナノファイバーとの混合は、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して混練する方法などを例として挙げることができる。また、ゴムとカーボンナノファイバーの混合順序は、全ての両材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部のカーボンナノファイバーを配合後上記の方法により溶融混練しさらに残りのカーボンナノファイバーを配合し溶融混練する方法、あるいはゴムを単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いてカーボンナノファイバーを混合する方法などの方法を用いることができる。
【0027】
ゴムに混入させる炭素繊維は、石油精製時の残査であるピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、およびポリアクリル繊維を原料とするポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維などを使用することができる。
【0028】
本実施の形態のカーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
【0029】
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
【0030】
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
【0031】
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
【0032】
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
【0033】
本実施の形態のトレッドゴム12を製造するにあたり、カーボンナノファイバーは、ゴムと混練する前に、あらかじめ表面処理例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、トレッドゴム12の主成分であるゴムとの接着性やぬれ性を改善することができる。
【0034】
(イオン注入処理)
イオン注入処理(ion implantation)は、イオン源によってイオン化された元素(例えば酸素など)に加速器によって必要なエネルギーを与え、真空ポンプによって高真空状態に保たれた真空チャンバ内で、カーボンナノファイバーの表面内にイオンを打ちこむものである。
【0035】
本発明の一実施の形態のイオン注入処理について、図2に示す全方位型イオン注入装置の概略構成図を用いて説明する。全方位型イオン注入装置50は、真空ポンプ57に接続された例えばステンレス製の真空チャンバー51内にイオン注入処理を施す試料(例えばカーボンナノファイバー52)を置く回転テーブル53が回転自在に配置されている。回転テーブル53は、パルスバイアス電源54に接続され、真空チャンバー51との間は絶縁体55によって絶縁されている。真空チャンバー51は、プロセスガス供給装置58と、高周波電源59に接続されたコイル60と、アーク式蒸発源61と、真空チャンバー51内温度を測定する赤外線放射温度計62と接続されている。
【0036】
イオン注入処理は、真空ポンプ57によって適当な真空状態とされた真空チャンバー51内に、プロセスガス供給装置58からガスが供給され、高周波電源59によってコイル60の周りにプラズマを発生させる。これによってイオン化されたガスが、パルスバイアス電源54の負極に接続されている試料例えばカーボンナノファイバー52に引き込まれ、注入される。また、真空チャンバー51に接続されたアーク式蒸発源61によって、金属イオンを試料例えばカーボンナノファイバー52に注入させることができる。この場合、アーク式蒸発源61内の金属蒸発源は、図示せぬ直流アーク電源に接続され、アーク放電によって蒸発させられる。このとき、回転テーブル53及び試料例えばカーボンナノファイバー52は、スイッチ63によって切りかえられた負の直流バイアス電源56により印加されているので、金属イオンが試料例えばカーボンナノファイバー52に注入される。
【0037】
また、全方位型イオン注入装置50の回転テーブル53を図3に示すような攪拌羽53a及び容器53bとしてもよい。容器53bは、広口の開口部を上方に有し、容器53b中には試料例えばカーボンナノファイバー52を配置できる。イオン注入処理の間、カーボンナノファイバー52のような粉体の試料は、攪拌羽53aの回転によって攪拌されることで、全体にまんべんなくイオン注入処理を受けることができる。攪拌翼53aの回転速度は、カーボンナノファイバー52の量や、イオン注入処理時間などによって適宜調整することができる。
【0038】
イオン注入処理されたカーボンナノファイバーは、その表面が化学的に改質されることにより、トレッドゴム12の主成分であるゴムとカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性が向上する。その結果、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中においてカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴム12を得ることができる。
【0039】
イオン注入処理に用いられる元素は、トレッドゴム12の主成分であるゴムとの相性によって適宜選択することができる。前記元素としては、例えば、イオン注入処理に用いられる元素は、例えば、酸素(O)、窒素(N)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、炭素(C)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、リン(P)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0040】
(スパッタエッチング処理)
ドライエッチング方式のスパッタエッチング処理は、真空ポンプによって高真空状態に保たれた真空チャンバ内にエッチングガス、極低圧不活性ガス雰囲気例えばアルゴン(Ar)中で、交流を印加してグロー放電を行わせ、かつグロー放電によって生じたプラズマ中に露出される電極と接触したカーボンナノファイバーの表面にイオンを衝突させることで、エッチングするものである。
【0041】
スパッタエッチング処理されたカーボンナノファイバーの表面は、物理的にエッチングされることで、微細(ナノサイズ)な凹凸が形成される。このカーボンナノファイバーの表面の凹凸によって、トレッドゴム12の主成分であるゴムとの接触面積を増大させることができる。その結果、ゴムに対するカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性を改善することができる。このため、ゴムにカーボンナノファイバーを混入させて成形(例えば射出成形)する際に、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中におけるカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴム12を得ることができる。
【0042】
(プラズマ処理)
プラズマ処理は、プラズマをカーボンナノファイバーに照射することによって表面を改質させるものである。プラズマ処理は、一般的なグロー放電処理やコロナ放電処理などを採用することができる。
【0043】
例えばプラズマは、相対向する放電極と対向電極との間に、パルス生成回路によって生成された高電圧・高頻度のパルス電圧を印加し、両電極間にコロナ放電を惹起して空気中にプラズマを発生させるようにしている。そして、被処理物は、両電極間に静止状態又は移動状態で配置され、その表面にプラズマ処理が施される。
【0044】
プラズマの作り方には、2枚の平行平板電極に数百から数千ボルトの電圧をかけて放電する二極放電タイプ、熱陰極から発した大量の電子が陽極に入るまでに気体分子と衝突しプラズマを作る熱電子放電タイプ、磁場を使って高真空で放電するマグネトロン放電タイプ、高周波電磁誘導によりプラズマを発生させる無電極放電タイプ、磁場のある共振室へマイクロ波を送りこみ電子を共振させるECR(Electron Cyclotron Resonance)放電タイプなどがあり、適宜選択することができる。
【0045】
このようにプラズマ処理されたカーボンナノファイバーの表面は、微細な凹凸が形成されるので、ゴムに対するカーボンナノファイバーの接触面積を増大させることができる。その結果、ゴムに対するカーボンナノファイバーとの接着性や濡れ性を改善することができるため、カーボンナノファイバーがゴムに対して含浸しやすくなり、ゴム中におけるカーボンナノファイバーの分散性が向上する。これにより、全体に均質な性能を有するトレッドゴム12を得ることができる。
【0046】
本実施の形態のトレッドゴム12によれば、平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなることにより、以下に示す作用効果を有する。
【0047】
第1に、30〜100℃におけるtanδの上昇を抑制することができる。これにより、転がり抵抗の増大を抑制することができるため、車両の燃費への影響を最小限に留めることができる。さらに、タイヤの制動性を良好にすることができる。
【0048】
第2に、さらに、耐摩耗性および放熱性を向上させることができるため、タイヤの高寿命化を図ることができる。すなわち、カーボンナノファイバは一般に、カーボンブラックと比較して、熱伝導性に優れ、かつ硬度が高い。したがって、本実施の形態のトレッドゴム12によれば、平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバを含むゴムからなることにより、トレッドゴム12を用いて、耐摩耗性および放熱性に優れた空気入りタイヤ10を得ることができる。
【0049】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ10によれば、車両の燃費を良好にし、かつ、高制動性、高耐久性および高寿命化を達成することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るトレッドゴムを含む空気入りタイヤを模式的に示す子午断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に用いられる全方位型イオン注入装置の概略説明図である。
【図3】全方位型イオン注入装置の回転テーブルの他の実施態様を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッドゴム
13 サイドウォール部
14 ビード部
16 カーカス
17 ベルト層
17a,17b ベルトプライ
19 溝
50 全方位型イオン注入装置
53 回転テーブル
53a 攪拌羽
53b 容器

Claims (7)

  1. 平均直径が0.7〜500nm、平均長さが0.01〜1000μmのカーボンナノファイバーを含有するゴムからなる、トレッドゴム。
  2. 請求項1において、
    前記カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%含む、トレッドゴム。
  3. 請求項1または2において、
    前記カーボンナノファイバーは、イオン注入処理されている、トレッドゴム。
  4. 請求項1または2において、
    前記カーボンナノファイバーは、スパッタエッチング処理されている、トレッドゴム。
  5. 請求項1または2において、
    前記カーボンナノファイバーは、プラズマ処理されている、トレッドゴム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    さらに、前記カーボンナノファイバーの合成過程において得られる炭素および炭素化合物を含む、トレッドゴム。
  7. 請求項1ないし6記載のいずれかのトレッドゴムを用いた、空気入りタイヤ。
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