JP2004231524A - スチレン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性プラスチックなどの高分子材料、農薬、医薬品などのファインケミカル原料となるスチレン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
桂皮酸およびその誘導体の多くは植物中に存在しており、香気成分の前駆体として重要な役割を持っている。これまで、桂皮酸誘導体から加熱による脱カルボキシル化については、食品中の加熱処理による香気成分の化学変化について報告(非特許文献1参照)がなされている。この反応では、アルコールを含む酸性水溶液中(pH1−6)において100℃で加熱することにより桂皮酸誘導体の脱カルボキシル化が進行することが示されているが、カフェー酸、イソフェルラ酸、フェルラ酸などの比較的反応の速いもので、10時間以上の時間が必要である。さらに、生成物の詳細については明らかではない。
【0003】
また、4−ヒドロキシ桂皮酸からp−ヒドロキシスチレンの合成と高分子化についても検討(非特許文献2参照)されている。この反応では、4−ヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸から4−ヒドロキシ桂皮酸を得た後、キノリン中で銅触媒を添加し、225℃で加熱する。その後、減圧蒸留を行い、不純物のヒドロキノン、重合物を除去することにより41%の収率でp−ヒドロキシスチレンが得られる。上記の反応においては、高温での反応、その後の蒸留精製課程において、重合物の生成を引き起こし、モノマーの収率は低下することが避けられない。
【0004】
さらに、3−メトキシ−4−ヒドロキシスチレンの生分解性ポリマーの合成についての報告(非特許文献3参照)がある。それによると、3−メトキシ−4−ヒドロキシスチレンが、3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(フェルラ酸)から上記の非特許文献2(Sovish)の手法を用いて、62%の収率で得られている。最近、米糠から得られるフェルラ酸を原料に、植物細胞中で3−メトキシ−4−ヒドロキシスチレンを微生物により製造する手法が報告(非特許文献4参照)されている。しかし、微生物による製造方法の場合、高濃度での合成ではその酵素による生成物阻害などによって高効率合成が困難であると同時に、工業的に製造する場合、高コスト化を招く可能性が高い。
【0005】
近年、化学物質の製造において、原料から製造工程、製品に至るまで環境への負荷を低減する、いわゆる環境に優しい化学(グリーンケミストリー)が求められている。マイクロ波エネルギーによる加熱についてもグリーンケミストリーの騎手の一つとして、化学反応への応用が期待されているところであるが、桂皮酸誘導体についての研究はなされていない。
【0006】
上記のように、これまで桂皮酸誘導体からスチレン誘導体を高収率で製造する手法についての研究はあまりなされて来なかった。しかし、最近、特に、フェルラ酸を米糠から工業的に大量に製造することが可能となり、このフェルラ酸からスチレン誘導体を効率よく製造する技術が得られるならば、例えば、生分解性プラスチックの原料をはじめ、その他のファインケミカル原料として有用となるものと考えられる。
【0007】
【非特許文献1】T. Pyysalo, H. Torkkeli, E. Honkanen, Lebensm.−Wiss. u. −Technol., 10,145(1977).
【非特許文献2】R. C. Sovish, J. Org. Chem., 24, 1345(1957).
【非特許文献3】H. Hatakeyama, E. Hayashi, T. Haraguchi, Polymer, 18, 759(1977).
【非特許文献4】米光ら、第6回高専シンポジウム、講演要旨集、p97(2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、桂皮酸誘導体からスチレン誘導体を高収率、省エネルギー、省溶媒で合成することができるスチレン誘導体の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかるスチレン誘導体の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記す)は、下記の一般式(I)
【0010】
【化2】
(式(I)中、置換基R1、R2およびR3は、水素、ヒドロキシル基およびメトキシ基のいずれかである。)
で示される桂皮酸誘導体を塩基の存在下で加熱する工程を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項2に記載のスチレン誘導体の製造方法(以下、「請求項2の製造方法」と記す)は、請求項1の製造方法において、置換基R1、R2、およびR3のいずれかがヒドロキシル基であることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項3に記載のスチレン誘導体の製造方法(以下、「請求項3の製造方法」と記す)は、請求項1または請求項2の製造方法において、マイクロ波エネルギーにより加熱することを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項4に記載のスチレン誘導体の製造方法(以下、「請求項4の製造方法」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの製造方法において、桂皮酸誘導体を塩基及び溶媒の存在下加熱することを特徴としている。
【0014】
本発明のスチレン誘導体の製造方法では、以下の反応式(1)のように、一般式(I)の桂皮酸誘導体から一般式(II)のスチレン誘導体が反応生成される。
【0015】
【化3】
(式(1)中、R1、R2およびR3は水素、ヒドロキシル基、メトキシ基で表される置換基を示す。)
【0016】
また、上記一般式(I)で示される桂皮酸誘導体は、その二重結合における立体配置としてトランス体とシス体とが存在し、いずれの異性体に限定されるものではないが、その安定性から天然に得られるものを中心にトランス体が主であり、請求項2の製造方法のように、置換基R1、R2およびR3のうち、いずれかがヒドロキシル基であるものが好適に用いられる。
【0017】
具体的には、例えば、2−ヒドロキシ桂皮酸(R1=R2=H、R3=OH)、3−ヒドロキシ桂皮酸(R1=R3=H、R2=OH)、4−ヒドロキシ桂皮酸(R1=OH、R2=R3=H)、3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(フェルラ酸)(R1=OH、R2=OMe、R3=H)、3−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸(イソフェルラ酸)(R1= OMe、R2=OH、R3=H)、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(カフェー酸)(R1=OH、R2=OH、R3=H)などが挙げられ、これらの桂皮酸誘導体からそれぞれ、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、3−メトキシ−4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシ−4−メトキシスチレン、3、4−ジヒドロキシスチレンが得られる。いずれの桂皮酸誘導体においても目的のスチレン誘導体が得られるが、特にフェルラ酸を用いれば、スチレン誘導体を最も高収率で得ることが可能である。
【0018】
塩基は触媒として作用し、特に限定しないが、例えば、直鎖状、分岐状のものが含まれるアルキルアミン(メチル、エチル、炭素数3のアルキル基(n−プロピル、iso−プロピル)、炭素数4のアルキル基(n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)など炭素数20までのアルキルアミン)、ピペリジンおよびピロリジンなどの環状アミン類、アニリンなどの芳香族アミン類、ピリジンなどの含窒素芳香族化合物、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などがその具体例としてあげる事ができる。
【0019】
因みに、通常、安息香酸などのカルボン酸にアニリンなどの一、二級アミン類を等モル以上添加し、高温で加熱すると脱水反応の進行によるアミド化合物の生成が知られている(Org. Syn. Coll. Vol. 1, p82)。桂皮酸類においても下記反応式(2)に示すのと同様の反応が予想される。
【0020】
【化4】
【0021】
しかし、本発明においては、特にフェルラ酸ではそのアミド化合物の生成は認められず、スチレン誘導体が生成する。また、スチレン誘導体の生成が少ないあるいは与えない桂皮酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、桂皮酸などにおいてはアミド化合物の生成量が多い。これらの生成を抑制するにはトリエチルアミン、ピリジンなどのアミドを生成させない塩基を用いることができる。
【0022】
また、上記反応式(1)で示される反応は、用いる塩基の種類によっては溶媒を添加することなく触媒として用いるアミン類などの塩基を溶媒として用いることも可能であるが、請求項4の製造方法のように、溶媒を添加することが好ましい。
【0023】
本発明の反応に用いる溶媒は、特に限定するものではないが、水、アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの多くの一般溶媒並びにこれらの混合溶媒を利用する事ができる。特に、沸点の高いエチレングリコールなどの使用が高収率の生成物を与える。また、触媒として用いるアミン類などの塩基を溶媒として用い、他の溶媒を使用しないで反応を行うことも可能である。塩基を溶媒として用いる場合は、固体の桂皮酸誘導体が加熱により溶解する程度の量が必要である。その使用量は塩基によって異なる。また、溶媒を用いることにより、触媒として使用する塩基量を大幅に減らすことが可能となる。例えば、溶媒に塩基を添加することにより原料の桂皮酸誘導体に対して、1から1/100(モル比)の使用量で反応が進行する。塩基の量は多いと副反応を進行させやすく、少ないと反応の進行が遅くなり、好ましくは桂皮酸誘導体に対して、1/2から1/20(モル比)である。また、塩基の種類によっては反応が全く進行しない場合があり、この場合には少量の溶媒の添加によって反応を進行させることができる。これはアミンなどの塩基はフェルラ酸のカルボキシル基とアンモニウム塩を形成するため、これらが溶媒として用いた塩基類に溶解しないためと考えられる。
【0024】
本発明の反応を進行せしめるには、加熱が必要である。加熱温度は、特に限定されず、概ね50℃から250℃の加熱により反応が進行するが、好ましくは100℃以上の高温である。
【0025】
反応時の加熱方法は、特に限定されず、通常の加熱方法で構わないが、請求項3の製造方法のように、マイクロ波による加熱が好ましい。すなわち、オイルバスなどの通常の加熱では、例えば、100℃で20時間以上、150℃で1時間以上の反応時間が必要となるが、高温での長時間反応は副反応により生成物の収率を低下させる恐れがある。副反応には、生成物の重合反応も含まれる。このため、請求項3の製造方法のように、瞬時に加熱され、短時間で反応が終了し、副生成物の抑制が可能なマイクロ波による加熱が最も効率よく反応を進行させることができる。
【0026】
なお、マイクロ波による加熱では、原料の固体の桂皮酸誘導体を溶媒に溶解させる必要がなく、そのままの状態で少量の塩基を含む溶媒をしめらせる程度で反応が進行する。また、反応溶液を撹拌する必要もない。マイクロ波による加熱に用いる反応容器はバッチ式、あるいは連続流通式によって行うことができる。
反応終了後は、エーテル、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解させ、薄い酸で残存するアミンなどの塩基を除き、水洗、乾燥、溶媒を留去することにより95%以上の純度でスチレン誘導体が得られる。さらに、減圧蒸留により高純度のものが得られる。さらに、反応終了後に塩基を中和したのち、直ちに蒸留により精製することも可能である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の詳細について実施例によって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
フェルラ酸0.5gに表1に示す塩基を添加し、マイクロ波(電子レンジ、出力500W)で4分間加熱した。直ちに冷却した後、酢酸エチルに溶解して酢酸エチル溶液を0.1M塩酸水溶液、水(2回)、飽和食塩水で順次洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去して、スチレン誘導体を得た。生成物はカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたスチレン誘導体のスペクトルデータは次の通りである。
3−Methoxy−4−hydroxystyrene
oil; 1H NMR (CDCl3) (=3.90 (s, 3H, OCH2), 5.11 (dd, 1H, J=0.9, 10.8 Hz, =CH2), 5.73 (dd, 1H, J=0.9, 17.6 Hz, =CH), 5.63 (s, 1H, OH), 6.62 (dd, 1H, J=10.8, 17.6 Hz, =CH2), 6.85−6.93 (m, 3H, ArH); 13C NMR (CDCl3) (=55.8, 108.0, 111.4, 114.3, 120.6, 130.2, 136.58, 136.6, 145.6, 146.5; MS (ESI−TOF) calcd for [C9H11O2]+ 151.076, found 151.058 [M + H]+.
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1から、溶媒を加えない場合でも、フェルラ酸を塩基の存在下、マイクロ波加熱するようにすれば、スチレン誘導体としての3−Methoxy−4−hydroxystyreneを短時間かつ高い収率で得られることがわかる。
【0031】
(実施例2)
フェルラ酸0.5gにアミン類をフェルラ酸の対して1/2〜1/10モルの割合で表2に示す各種溶媒0.5mLに溶解したものを添加し、マイクロ波(電子レンジ、出力500W)で数分間加熱した。以下実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
表2に示すように、溶媒として水、エチレングリコールおよびジメチルホルムアミドをそれぞれ加え塩基を添加しない場合は、いずれもスチレン誘導体の生成は認められなかった。しかし、これらの溶媒にアミンなどの塩基を添加すると表2に示した収率で生成物が得られることがわかる。なお、表2のNo.1〜3の実験では、スチレン誘導体は生成せず原料の桂皮酸誘導体のみが回収された。
【0034】
(実施例3)
フェルラ酸0.5gに1/10モル比の各種アミンを0.5mlのエチレングリコールに溶解したものを添加し、マイクロ波(電子レンジ、出力500W)で数分間加熱した。以下、実施例1と同様に行った。その結果の一部を表3にまとめて示した。
【0035】
【表3】
【0036】
表3から、エチレングリコールを溶媒として用いれば、いずれの塩基を用いてもスチレン誘導体を高収率で得られることがよくわかる。
【0037】
(実施例4)
各種桂皮酸誘導体0.5gにトリエチルアミンを桂皮酸誘導体および比較のための桂皮酸に対して1/10モルをエチレングリコールに溶解したものを添加し、マイクロ波(電子レンジ、出力500W)で数分間加熱した。以下、実施例1と同様に行った。その結果を表4にまとめて示した。
【0038】
なお、得られたスチレン誘導体のスペクトルデータを次に示す。
2−hydroxystyrene
oil; 1H NMR (CDCl3) (=5.06 (s, 1H, OH), 5.35 (dd, 1H, J=1.4, 11.2 Hz, =CH2), 5.76 (dd, 1H, J=1.4, 17.6 Hz, =CH), 6.78 (dd, 1H, J=1.1, 8.1 Hz, ArH), 6.93 (dd, 1H, J=11.2, 17.6 Hz, =CH2), 6.89−6.93 (m, 1H, ArH), 7.11−7.15 (m, 1H, ArH), 7.38 (dd,1H, J=1.7, 7.7 Hz, ArH); 13C NMR (CDCl3) (=115.82, 115.86, 120.9, 124.8, 127.3, 128.9, 131.5, 152.8; MS (ESI−TOF) calcd for [C8H9O]+ 121.065, found 121.054 [M + H]+.
4−hydroxystyrene
solid; Mp=70−74°C; 1H NMR (DMSO−d6) (=5.05 (dd, 1H, J=1.0, 10.9 Hz, =CH2), 5.57 (dd, 1H, J=1.0, 17.7 Hz, =CH), 6.59 (dd, 1H, J=10.9, 17.7 Hz, =CH2), 6.72 (d, 2H, J=8.6 Hz, ArH), 7.27 (d, 2H, J=8.6 Hz, ArH), 9.49 (brs, 1H, OH); 13C NMR (DMSO−d6) (=110.8, 115.5, 127.6, 128.4, 136.6, 157.6: MS (ESI−TOF) calcd for [C8H9O]+ 121.065, found 121.062 [M + H]+.
【0039】
【表4】
【0040】
表4から塩基としてトリエチルアミンを使用した場合、桂皮酸誘導体によっては、スチレン誘導体が生成しないものがあることが判る。
【0041】
(実施例5)
各種桂皮酸誘導体および比較のための桂皮酸0.5gにn−ブチルアミンを溶媒として添加し、マイクロ波(電子レンジ、出力500W)で数分間加熱した。以下、実施例1と同様に行った。その結果を表5にまとめて示した。
【0042】
生成物のスペクトルデータは次の通りである。
3−hydroxystyrene
oil; 1H NMR (CDCl3) (=4.82 (s, 1H, OH), 5.23 (dd, 1H, J=0.7, 11.1 Hz, =CH2), 5.71 (dd, 1H, J=0.9, 17.6 Hz, =CH), 6.64 (dd, 1H, J=10.8, 17.6 Hz, =CH2), 6.71−6.73 (dd, 1H, J=2.1, 7.6 Hz, ArH), 6.87 (t, 1H, J=2.1 Hz, ArH), 6.97 (d, 1H, J=7.5 Hz, ArH), 7.18 (t,1H, J=7.9 Hz, ArH); 13C NMR (CDCl3) (=112.7, 114.3, 114.8, 119.1, 129.7, 136.4, 139.3, 155.7; MS (ESI−TOF) calcd for [C8H8ONa]+ 143.047, found 143.068 [M + Na]+.
Cinnamoyl n−butylamide
solid; Mp=75−78°C; 1H NMR (CDCl3) (=0.92 (t, 3H, J=7.3 Hz, CH3), 1.32−1.42 (m, 2H, CH2), 1.50−1.57 (m, 2H, CH2), 3.35−3.40 (m, 2H, CH2), 5.72 (brs, 1H, NH), 6.37 (d, 1H, J=15.6 Hz, =CH), 7.31−7.36 (m, 3H, ArH), 7.46−7.48 (m, 2H, ArH), 7.60 (d, 1H, J=15.6 Hz, =CH); 13C NMR (CDCl3) (=13.7, 20.1, 31.7, 39.5, 120.8, 127.7, 128.8, 129.6, 134.9, 140.8, 165.8; MS (ESI−TOF) calcd for [C13H18NO]+ 204.139, found 204.118 [M + H]+.
2−Hydroxycinnamoyl n−butylamide
solid; Mp=151−154°C; 1H NMR (DMSO−d6) (=0.88 (t, 3H, J=7.3 Hz, CH3), 1.25−1.34 (m, 2H, CH2), 1.38−1.45 (m, 2H, CH2), 3.12−3.17 (m, 2H, CH2), 6.63 (d, 1H, J=15.7 Hz, =CH), 6.78−6.88 (m, 2H, ArH), 7.13−7.18 (m, 1H, ArH), 7.38−7.58 (m, 1H, ArH), 7.60 (d, 1H, J=15.9 Hz, =CH), 8.01 (t, 1H, NH), 10.00 (brs, 1H, OH); 13C NMR (DMSO−d6) (=13.7, 20.1, 31.7, 39.5, 120.8, 127.7, 128.8, 129.6, 134.9, 140.8, 165.8; MS (ESI−TOF) calcd for [C13H18NO2]+ 220.134, found 220.121 [M + H]+.
3−Hydroxycinnamoyl n−butylamide
solid; Mp=104−106°C; 1H NMR (DMSO−d6) (=0.88 (t, 3H, J=7.3 Hz, CH3), 1.27−1.34 (m, 2H, CH2), 1.39−1.46 (m, 2H, CH2), 3.13−3.18 (m, 2H, CH2), 6.52 (d, 1H, J=15.7 Hz, =CH), 6.74−6.77 (m, 1H, ArH), 6.90−6.96 (m, 2H, ArH), 7.16−7.20 (m, 1H, ArH), 7.29 (d, 1H, J=15.7 Hz, =CH), 8.05 (t, 1H, NH), 9.56 (s, 1H, OH); 13C NMR (DMSO−d6) (=13.9, 19.8, 31.4, 38.5, 113.8,116.7, 118.8, 122.3, 130.1, 136.4, 138.7, 157.9, 165.0; MS (ESI−TOF) calcd for [C13H18NO2]+ 220.134, found 220.123 [M + H]+.
【0043】
【表5】
【0044】
上記表5から1級アミンのn−ブチルアミンを添加することにより脱カルボキシル化が進行しにくい桂皮酸誘導体あるいは桂皮酸は、塩基以外の溶媒を添加しなければ、脱水反応が優先しアミド化合物が生成することがわかる。
【0045】
(実施例6)
フェルラ酸0.5gに1/10モル比のトリエチルアミンをエチレングリコールに溶解したものを添加し、100℃でのオイルバスで20時間加熱した。以下、実施例1と同様に行った。その結果を表6にまとめて示した。
【0046】
【表6】
【0047】
上記表6から、通常加熱によってもフェルラ酸からスチレン誘導体が得られるが、マイクロ波エネルギー利用による加熱と比較すると、長時間加熱による生成物による重合反応が進行するため、収率が低くなることがわかる。
【0048】
【発明の効果】
本発明のスチレン誘導体の製造方法は、以上のように構成されているので、桂皮酸誘導体からスチレン誘導体を高収率、省エネルギー、省溶媒で合成することができる。特に、フェルラ酸については、天然物として米糠から大量に得られる桂皮酸誘導体であり、これを原料として合成されるスチレン誘導体は、生分解性プラスチックをはじめとする高分子材料、農薬、医薬品などのファインケミカル原料となる。
【0049】
また、請求項2の製造方法のようにすれば、より反応性がよく高収率でスチレン誘導体を得ることができる。
【0050】
請求項3の製造方法のように、マイクロ波加熱を利用すれば、より高収率、省エネルギー、省溶媒でスチレン誘導体を製造することができる。このことは、環境への負荷を著しく低減出来る製造方法であるといえる。
【0051】
請求項4の製造方法のようにすれば、高価な塩基の使用を抑え、低コストで高収率にスチレン誘導体を得ることができる。
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