JP2004230616A - 射出成形機 - Google Patents
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Abstract
【課題】給脂箇所毎の油脂供給系の異常をも判別可能にした。
【解決手段】ポンプ12の駆動により油脂タンク11からの油脂は切替弁13を介して並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に供給される。並列分配器14−1,14−2及び進行分配器15は、各給脂箇所へ順次給脂する。ポンプ吐出口の油脂圧力を圧力センサ16で検出し、記憶・演算装置17に記憶する。正常に給脂したときの検出油脂圧力波形を基準データとして記憶し、かつ、給脂箇所に対応する時間領域を測定して設定記憶しておく。又、監視幅をも設定しておく。基準データとその後検出した検出油脂圧力波形を表示・入力装置18に表示する。検出油脂圧力波形が基準データの監視幅から離脱して異常のとき、設定した時間領域に基づいて異常給脂箇所を求める。給脂異常をその異常箇所と共に検出でき、修理、復旧が容易となる。
【選択図】 図1
【解決手段】ポンプ12の駆動により油脂タンク11からの油脂は切替弁13を介して並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に供給される。並列分配器14−1,14−2及び進行分配器15は、各給脂箇所へ順次給脂する。ポンプ吐出口の油脂圧力を圧力センサ16で検出し、記憶・演算装置17に記憶する。正常に給脂したときの検出油脂圧力波形を基準データとして記憶し、かつ、給脂箇所に対応する時間領域を測定して設定記憶しておく。又、監視幅をも設定しておく。基準データとその後検出した検出油脂圧力波形を表示・入力装置18に表示する。検出油脂圧力波形が基準データの監視幅から離脱して異常のとき、設定した時間領域に基づいて異常給脂箇所を求める。給脂異常をその異常箇所と共に検出でき、修理、復旧が容易となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の摺動部、回転部等の相対移動部に油脂を自動的に供給する給脂装置を備えた射出成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機には、摺動部や回転部等の相対移動部が多数存在し、これら相対移動部に給脂する必要がある。これら給脂箇所には、所定時間毎、又は所定射出回数毎に自動的に給脂されるようにされている。
【0003】
この給脂箇所に的確に給脂されることを確認するために、給脂を開始してから所定時間内に、油脂の進行分配器又は並列分配器の最終段出力が所定圧力に達しないとき、これら進行分配器又は並列分配器のいずれかの給脂部において詰まりや、配管に破れ等が生じた異常状態として警報を出すようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127221号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
給脂すべき時期に給脂がされないことは、射出成形機にとって動作、寿命に悪影響を及ぼす。そのため、給脂がされなかったことを知らされることは重要な事項である。射出成形機の各給脂箇所に油脂を給脂する進行分配器又は並列分配器は、多数の給脂部を備えている。そのため、進行分配器又は並列分配器の最終段出力が所定圧力に達しないことによって、進行分配器又は並列分配器が異常状態になっていることが分かっても、この進行分配器又は並列分配器内のいずれの給脂部、給脂箇所が異常であるかは判別できない。それでは、異常箇所の判別、修理にも時間を要し、射出成形機の運転再開への復旧に時間を要する。
そこで、本発明の目的は、給脂箇所毎の油脂供給系の異常をも判別可能にした給脂装置を有する射出成形機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係わる発明は、複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、グラフ表示装置とを備え、前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させて前記グラフ表示装置にグラフ表示することにより、給脂異常を知ることができるようにした。又、請求項2に係わる発明は、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定する手段を設けて、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所を対応させて設定しておき、前記グラフ表示装置は、前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させると共に、給脂箇所とも対応させて前記グラフ表示装置に表示することによって、異常給脂箇所をも簡単に発見できるようにした。
【0007】
本願請求項3に係わる発明は、複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、給脂が正常に行われた場合に前記記憶手段に記憶された給脂開始からの時間に対応した流量又は圧力を基準データとして記憶する基準データ記憶手段と、給脂開始からの時間に対応させて前記センサで検出した流量又は圧力を前記基準データと比較する比較手段とを備え、前記比較手段による比較結果が異常である場合に、異常を通知する手段を備えるようにした。又、請求項4に係わる発明は、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定する設定手段を設け、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定しておき、前記比較手段によって異常と認められた時間と前記設定された対応関係に基づいて異常と認められた給脂箇所をも通知するようにした。又、請求項5に係わる発明は、前記設定手段により、前記基準データに対する監視幅を設定しておき、前記比較手段は前記センサで検出した流量又は圧力が前記基準データに対する前記設定監視幅内にないときには、異常を通知する手段から異常を通知するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の射出成形機における給脂システムを中心とした要部ブロック図である。
射出成形機20は集中給脂装置10を備える。集中給脂装置10は、複数の並列分配器(主配管脱圧作動型集中給脂用)14−1、14−2、進行分配器(圧力進行型集中給脂用)15、油脂タンク11、ポンプ12及び該ポンプ12の駆動によって油脂タンク11から供給される油脂を並列分配器14−1、14−2側もしくは進行分配器15側に切り換える切替弁13を備える。
【0009】
この集中給脂装置10は、ポンプ12の駆動によって、油脂を油脂タンク11から配管L1を通して切替弁13に送り、該切替弁13が並列分配器14−1,14−2側に切り替わっていると、配管L2を通り、並列分配器14−1に油脂を供給する。さらに、配管L3を介して並列分配器14−2にも油脂を供給する。又、切替弁13が進行分配器15側に切り替わると、ポンプ12によって供給される油脂は配管L4を通って進行分配器15に供給される。こうして、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に供給された油脂は、各分配器14−1,14−2、15の給脂部から射出成形機20の各給脂箇所に給脂される。
【0010】
さらに、この実施形態においては、並列分配器14−1,14−2、又は進行分配器15に供給される油脂圧力を検出する圧力センサ16がポンプ12と切替弁13間の配管L1に配置されている。この圧力センサ16で検出した油脂圧力は記憶・演算装置17に入力され、時間の関数として油脂圧力が記憶される。ポンプ12を駆動して給脂を開始してから所定時間毎に圧力センサ16で検出される油脂圧力を検出して記憶し、かつ、この検出油脂圧力に基づいて、後述するように集中給脂装置10の異常を検出するようにしている。又、記憶された時間の関数としての油脂圧力は表示・入力装置18に入力され、例えば横軸を給脂開始からの時間、縦軸を油脂圧力としてグラフ表示することによって、給脂状態をモニタできるようにして、給脂異常を発見できるようにしている。なお、この記憶・演算装置17及び表示・入力装置18は、射出成形機の制御装置とは別に設けてもよく、また、射出成形機の制御装置内に設けてもよい。さらに、ソフトウェアを追加して、射出成形機の制御装置がすでに有するプロセッサや記憶手段、表示手段、入力手段でこの記憶・演算装置17及び表示・入力装置18を構成するようにしてもよい。
【0011】
図2は、並列分配器14−1,14−2、に複数設けられている給脂部である定量計量バルブ40の動作原理説明図である。この定量計量バルブ40は周知慣用のものであるので、その動作を簡単に説明する。
図2(a)は、給脂開始前の状態である。ポンプ12が動作し油脂の圧力が上昇すると、バルブ41が上昇し、該バルブ41とピストン42の間に貯えられた油脂が高圧となり、ピストン42を上昇させる。ピストン42の上昇で外筒内の先端部に計量されていた油脂Qは吐出口より吐出され、射出成形機の給脂箇所に所定量給脂される(図2(b))。ピストン42が上死点まで達し、計量された所定量の油脂Qを吐出した後(図2(c))、ポンプ12で供給される油脂の圧力が低下すると、ピストン42はスプリング43の反発力により下降し、バルブ41を押し下げると共に、高圧油脂が内管を通り、外筒内の先端部に溜められ油脂の計量がなされる(図2(d))。これにより、図2(a)に示す給脂開始前の待機状態となる。
【0012】
こうした定量計量バルブは、並列分配器14−1,14−2に複数並列に配置されている。一方、ポンプ12の作動により油脂タンク11から供給される油脂の圧力は、配管経路の長さに伴って増大する流動抵抗のために、ポンプ12から遠くなるに従って圧力は低下する。また、ポンプ吐出口の圧力はポンプ運転開始から時間が経過するに従って上昇するので、ポンプに近い側の定量計量バルブ40の方が、ポンプより遠い位置に配置された定量計量バルブ40より先に吐出圧力に達する。すなわち、ポンプ12に近い定量計量バルブから順に油脂は吐出され射出成形機の給脂箇所に給脂されることになる。
【0013】
図3は、圧力センサ16で測定した油脂圧力の波形と並列分配器の定量計量バルブからの油脂吐出の関係を、正常な給脂が行われたとき求めた例である。この例は、並列分配器の定量計量バルブ40が2つでバルブ1がポンプ12に近い側に配置されているものである。
【0014】
ポンプ12の運転が開始され、圧力センサ16で検出されるポンプ吐出口の油脂圧力は徐々に増大する。そして、ポンプ12の運転開始してから時間t1に達したとき、定量計量バルブ1から油脂の吐出が開始され、時間t2で定量計量バルブ1による油脂の吐出が完了し定量計量バルブ2から吐出が開始され、時間t3で定量計量バルブ2からの吐出が終了する。又、計量時では、ポンプ12側から圧力が低下することから、定量計量バルブ1が時間t4で計量を開始し、時間t5で計量を完了すると共に、定量計量バルブ2が計量を開始し、時間t6で計量を完了する。以上のように、並列分配器の定量計量バルブは油脂供給源であるポンプ12側から順に吐出及び計量を開始するものである。
【0015】
図3に示した油脂圧力波形は、正常動作時のものであり、並列分配器やその配管経路中に詰まりが生じたり破れた箇所があるような場合、この油脂圧力波形はこの正常動作のものとは異なるものとなる。
【0016】
例えば、定量計量バルブ1以降の配管に破れがあるような場合、定量計量バルブ1は正常に作動しても、定量計量バルブ2はこの破れのために正常には作動せず、図4に示すように、圧力センサ16で検出する油脂圧力は上昇せず、正常動作時の油脂圧力波形とは異なるものとなる。なお、破れが小さく1箇所程度では、時間をかけて油脂圧力は増加することも想定できるが、この場合でも、正常動作時の油脂圧力波形と異なる。
【0017】
また、例えば、定量計量バルブ1以降の配管に詰まりがあった場合、この場合も定量計量バルブ1は正常に作動するが、詰まりのため、定量計量バルブ2は作動せず、図5に示すように油脂圧力は急激に増大する。定量計量バルブ2は作動すれば、緩やかに油脂圧力が増大するものが、詰まりを生じていることから、油脂の流出先がなく急激に増大するものである。
【0018】
そこで、図3に示すように正常時の検出油脂圧力波形を基準データとする。また、油脂温度等によってこの波形は変動することから、この基準データに対して所定量の監視幅を設け、検出油脂圧力がこの監視幅から離脱するような場合には、並列分配器の給脂経路に異常が生じたとして検出することができる。例えば、基準データ(正常時の検出油脂圧力波形)に+ΔP、−ΔP(この+ΔPと−ΔPの絶対値は異なってもよい)を加算したような波形(基準データ(波形)を+ΔP、−ΔP縦軸方向にシフトしたような波形)間の幅を設け、該幅より検出油脂波形が離脱したときには、異常が生じたものとして検出できる。
【0019】
しかも、この監視幅から検出油脂波形が離脱した領域によって、異常箇所も特定できるものとなる。すなわち、図4、図5に示すように、定量計量バルブ1が作動し、油脂を吐出している間は基準データ(波形)とほぼ同じで、監視幅内に入っている。しかし、定量計量バルブ2が動作している区間において、その検出油脂圧力波形が監視幅から離脱しているような場合には、定量計量バルブ1は正常であるが定量計量バルブ2は異常であることが分かる。この定量計量バルブ2の領域で、油脂詰まりや配管の破れ等の異常が生じているものと判別される。
【0020】
図6は、進行分配器(圧力進行型集中給脂用)15の動作原理説明図である。この進行分配器15もすでに周知慣用のものであることから、簡単に説明する。
ポンプ12の駆動によって供給される油脂の圧力は、図6(a)に示すように、まずピストンAの右側に作動し、該ピストンAを左側に移動させる。その結果、該ピストンAの左側に貯まっていた油脂がポート2から吐出され、所定給脂箇所に給脂される。ピストンAが左端エンドまで達すると、図6(b)に示すようにポンプ12によって供給される油脂の圧力がピストンBの右側にかかり、該ピストンBを左側に移動させ、ポート7から油脂が吐出される。ピストンBが左端エンドまで達すると、図6(c)に示すように、油脂の圧力がピストンCの右側にかかり、該ピストンCを左側に移動させ、ポート5から油脂が吐出される。次に、図6(d)に示すように、油脂の圧力がピストンDの右側にかかり、該ピストンDを左側に移動させ、ポート3から油脂が吐出される。次に、図6(e)に示すように、油脂の圧力がピストンAの左側にかかり、該ピストンAを右側に移動させ、ポート1から油脂が吐出される。
【0021】
以下同様にして、油脂はポート8、ポート6,ポート4と順次吐出され、図6(a)の状態に戻る。すなわち、この進行分配器15は、ポート2→7→5→3→1→8→6→4の順に油脂を順次吐出するもので、ポンプ12の作動時間を長くすれば、この吐出サイクルを何度も繰り返すことになる。このことから、ポンプ作動時間は、必要な油脂供給量によって設定されることになる。
【0022】
図7は、この進行分配器15が正常に作動したとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力波形を示す図である。この進行分配器15では、ピストンが順次作動して油脂を各ポートから順次吐出するものであるから、図7に示すように、各ポートからの油脂吐出に対応して圧力波形が波状に生じる。
【0023】
この進行分配器15においても、配管途中で詰まりが生じたとき、又は破れがあったとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力波形は、大きく変化し、図7に示したような波形とはならない。例えば、ポート7の配管において詰まりが生じた場合には、ポート2からの油脂吐出は正常に行われ、図7と同様な油脂圧力波形が得られるが、ポート7において詰まりが生じていることから、図7に示すように、油脂圧力は上昇し、下降することはなく、図8に示すように高圧状態が続くことになる。
【0024】
又、配管経路に破れがあるような場合には、図9に示すように、油脂圧力が上がらないことから、この場合も、油脂圧力が上昇すべき領域(時間)で上昇しないことから、配管の破れ箇所を特定することができる。図9に示す例では、ポート2から油脂を吐出するまでは、正常に作動したものと判断されるが、ポート7から吐出する段階の時間領域で、検出油脂圧力が上昇せず、基準監視幅から離脱していることから、ポート7の配管経路に破れがあることが判別される。
【0025】
すなわち、進行分配器15が正常に作動したときの図7に示すような油脂圧力波形を基準データ(波形)として、並列分配器14−1,14−2において述べたように、基準データ(波形)に監視幅を設け、検出油脂圧力波形が図8や図9に示すように監視幅から離脱した場合、その離脱した時間によって、詰まり箇所(図7の例ではポート7に油脂を吐出する配管経路での詰まり)を判別することができる。
【0026】
そこで、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15が正常に作動しているとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力を、給脂開始、すなわちポンプ12の駆動開始から、所定時間毎に検出し、記憶・演算装置17に記憶し、これを基準データとする。又、この基準データに対して、監視幅+ΔP,−ΔP(この+ΔPと−ΔPの絶対値は異なってもよい)を設定する。さらに、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部による給脂箇所への給脂動作の給脂開始(ポンプ12の動作開始)を基準とした時間領域を予め測定しておき、この各時間領域をも表示・入力装置18から入力して設定する。
【0027】
その後は、圧力センサ16で、ポンプ12の駆動開始から、所定時間毎油脂圧力を検出し、記憶し、この記憶した油脂圧力波形を、横軸を時間、縦軸を油脂圧力として表示・入力装置18の表示画面に表示させる。このとき、表示色等を変えて、基準データ(波形)、及びこの基準データ(波形)を+ΔP,−ΔPだけシフトさせたような監視幅をも表示する。さらに、前述したように、各給脂部による給脂箇所への給脂動作の時間領域をも表示する。
【0028】
よって、この表示された内容を監視し、検出油脂圧力波形が基準データの監視幅内にある場合には、正常に給脂が行われたとして判断することができる。しかし、検出油脂圧力波形が基準データの監視幅から離脱しているとき、給脂異常と判断でき、その離脱した箇所によって給脂異常が生じた給脂箇所(給脂部及びその配管)を特定することができる。
【0029】
又、この異常判別を記憶・演算装置17により自動的に行うようにしてもよい。図10は、記憶・演算装置17のプロセッサが実行する異常判別処理のフローチャートである。
まず、給脂が正常に行われたときにおいて、給脂開始(ポンプ12の駆動開始)から所定時間毎に圧力センサ16で検出した油脂圧力を基準圧力Psとして記憶しておくと共に監視幅の+ΔP,−ΔPをも予め設定しておく。又、前述したように、予め測定しておいた並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部による給脂箇所への給脂動作の各時間領域をも表示・入力装置18から設定する。
【0030】
射出成形機の制御装置等の上位制御装置等から給脂指令が出されたかいなか判断し(ステップ100)、給脂指令が出されポンプ12が駆動されると、まず、今まで記憶していた検出油脂圧力Pの記憶エリアをクリアする(ステップ101)。そして、所定時間毎のサンプリング時を示す指標nを「0」にセットし(ステップ102)、さらにこの指標nを「1」インクリメントする(ステップ103)。次に、圧力センサ16で検出された油脂圧力Pを読み出し、指標nに対応してサンプリングn時の検出油脂圧力P(n)として記憶する(ステップ104)。
【0031】
さらに、指標nに対応する基準データのPs(n)を読み出し(ステップ105)、検出油脂圧力P(n)が、この基準データのPs(n)の監視幅内にあるかを判断する(ステップ106)。すなわち、次の1式の判断を行う。
【0032】
Ps(n)−ΔP≦P(n)≦Ps(n)+ΔP …(1)
検出油脂圧力P(n)が、監視幅内にあれば、すなわち、上記1式を満足すれば、給脂停止指令が上位制御装置から入力されているか判断し、入力されていなければ、ステップ103に戻り、以下、ステップ103〜108の処理を所定時間毎実行する。
【0033】
一方、ステップ106で検出油脂圧力P(n)が、監視幅内にないと判断された場合には、アラームを出力すると共に、現在の指標nの値より、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部の動作領域を判別して、異常発生の給脂部、給脂箇所をも表示する(ステップ107)。
【0034】
又、図示していないが、表示指令を入力されると、記憶する基準データ、検出油脂圧力波形、各給脂箇所への給脂時間領域を表示する。
上述した実施形態では、給脂異常を並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に油脂を送るポンプ吐出口における油脂圧力を検出し、この検出圧力に基づいて、給脂異常、及びその箇所を特定するようにしたが、この油脂圧力に代えて、油脂の流量を測定してもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、自動給脂装置を備える射出成形機において、給脂異常の給脂箇所をも判別することができることから、異常箇所の判別、修理が容易となり、射出成形機の運転再開への復旧時間も短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の要部ブロック図である。
【図2】同実施形態における並列分配器の定量計量バルブの動作原理説明図である。
【図3】同並列分配器が正常に動作しているときの油脂圧力の波形の説明図である。
【図4】同並列分配器において、配管に破れがあるときの油脂圧力波形の説明図である。
【図5】同並列分配器において、配管に詰まりが生じているときの油脂圧力波形の説明図である。
【図6】同実施形態における進行分配器の給脂動作原理説明図である。
【図7】同進行分配器が正常に動作しているときの油脂圧力の波形の説明図である。
【図8】同進行分配器において、配管に詰まりが生じているときの油脂圧力波形の説明図である。
【図9】同進行分配器において、配管に破れがあるときの油脂圧力波形の説明図である。
【図10】同実施形態における給脂異常検出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 自動給脂装置
11 油脂タンク
12 ポンプ
13 切替弁
14−1,14−2 並列分配器
15 進行分配器
17 記憶・演算装置
18 表示・入力装置
20 射出成形機
40 定量計量バルブ
41 バルブ
42 ピストン
43 スプリング
Q 油脂
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の摺動部、回転部等の相対移動部に油脂を自動的に供給する給脂装置を備えた射出成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機には、摺動部や回転部等の相対移動部が多数存在し、これら相対移動部に給脂する必要がある。これら給脂箇所には、所定時間毎、又は所定射出回数毎に自動的に給脂されるようにされている。
【0003】
この給脂箇所に的確に給脂されることを確認するために、給脂を開始してから所定時間内に、油脂の進行分配器又は並列分配器の最終段出力が所定圧力に達しないとき、これら進行分配器又は並列分配器のいずれかの給脂部において詰まりや、配管に破れ等が生じた異常状態として警報を出すようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127221号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
給脂すべき時期に給脂がされないことは、射出成形機にとって動作、寿命に悪影響を及ぼす。そのため、給脂がされなかったことを知らされることは重要な事項である。射出成形機の各給脂箇所に油脂を給脂する進行分配器又は並列分配器は、多数の給脂部を備えている。そのため、進行分配器又は並列分配器の最終段出力が所定圧力に達しないことによって、進行分配器又は並列分配器が異常状態になっていることが分かっても、この進行分配器又は並列分配器内のいずれの給脂部、給脂箇所が異常であるかは判別できない。それでは、異常箇所の判別、修理にも時間を要し、射出成形機の運転再開への復旧に時間を要する。
そこで、本発明の目的は、給脂箇所毎の油脂供給系の異常をも判別可能にした給脂装置を有する射出成形機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係わる発明は、複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、グラフ表示装置とを備え、前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させて前記グラフ表示装置にグラフ表示することにより、給脂異常を知ることができるようにした。又、請求項2に係わる発明は、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定する手段を設けて、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所を対応させて設定しておき、前記グラフ表示装置は、前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させると共に、給脂箇所とも対応させて前記グラフ表示装置に表示することによって、異常給脂箇所をも簡単に発見できるようにした。
【0007】
本願請求項3に係わる発明は、複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、給脂が正常に行われた場合に前記記憶手段に記憶された給脂開始からの時間に対応した流量又は圧力を基準データとして記憶する基準データ記憶手段と、給脂開始からの時間に対応させて前記センサで検出した流量又は圧力を前記基準データと比較する比較手段とを備え、前記比較手段による比較結果が異常である場合に、異常を通知する手段を備えるようにした。又、請求項4に係わる発明は、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定する設定手段を設け、給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定しておき、前記比較手段によって異常と認められた時間と前記設定された対応関係に基づいて異常と認められた給脂箇所をも通知するようにした。又、請求項5に係わる発明は、前記設定手段により、前記基準データに対する監視幅を設定しておき、前記比較手段は前記センサで検出した流量又は圧力が前記基準データに対する前記設定監視幅内にないときには、異常を通知する手段から異常を通知するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の射出成形機における給脂システムを中心とした要部ブロック図である。
射出成形機20は集中給脂装置10を備える。集中給脂装置10は、複数の並列分配器(主配管脱圧作動型集中給脂用)14−1、14−2、進行分配器(圧力進行型集中給脂用)15、油脂タンク11、ポンプ12及び該ポンプ12の駆動によって油脂タンク11から供給される油脂を並列分配器14−1、14−2側もしくは進行分配器15側に切り換える切替弁13を備える。
【0009】
この集中給脂装置10は、ポンプ12の駆動によって、油脂を油脂タンク11から配管L1を通して切替弁13に送り、該切替弁13が並列分配器14−1,14−2側に切り替わっていると、配管L2を通り、並列分配器14−1に油脂を供給する。さらに、配管L3を介して並列分配器14−2にも油脂を供給する。又、切替弁13が進行分配器15側に切り替わると、ポンプ12によって供給される油脂は配管L4を通って進行分配器15に供給される。こうして、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に供給された油脂は、各分配器14−1,14−2、15の給脂部から射出成形機20の各給脂箇所に給脂される。
【0010】
さらに、この実施形態においては、並列分配器14−1,14−2、又は進行分配器15に供給される油脂圧力を検出する圧力センサ16がポンプ12と切替弁13間の配管L1に配置されている。この圧力センサ16で検出した油脂圧力は記憶・演算装置17に入力され、時間の関数として油脂圧力が記憶される。ポンプ12を駆動して給脂を開始してから所定時間毎に圧力センサ16で検出される油脂圧力を検出して記憶し、かつ、この検出油脂圧力に基づいて、後述するように集中給脂装置10の異常を検出するようにしている。又、記憶された時間の関数としての油脂圧力は表示・入力装置18に入力され、例えば横軸を給脂開始からの時間、縦軸を油脂圧力としてグラフ表示することによって、給脂状態をモニタできるようにして、給脂異常を発見できるようにしている。なお、この記憶・演算装置17及び表示・入力装置18は、射出成形機の制御装置とは別に設けてもよく、また、射出成形機の制御装置内に設けてもよい。さらに、ソフトウェアを追加して、射出成形機の制御装置がすでに有するプロセッサや記憶手段、表示手段、入力手段でこの記憶・演算装置17及び表示・入力装置18を構成するようにしてもよい。
【0011】
図2は、並列分配器14−1,14−2、に複数設けられている給脂部である定量計量バルブ40の動作原理説明図である。この定量計量バルブ40は周知慣用のものであるので、その動作を簡単に説明する。
図2(a)は、給脂開始前の状態である。ポンプ12が動作し油脂の圧力が上昇すると、バルブ41が上昇し、該バルブ41とピストン42の間に貯えられた油脂が高圧となり、ピストン42を上昇させる。ピストン42の上昇で外筒内の先端部に計量されていた油脂Qは吐出口より吐出され、射出成形機の給脂箇所に所定量給脂される(図2(b))。ピストン42が上死点まで達し、計量された所定量の油脂Qを吐出した後(図2(c))、ポンプ12で供給される油脂の圧力が低下すると、ピストン42はスプリング43の反発力により下降し、バルブ41を押し下げると共に、高圧油脂が内管を通り、外筒内の先端部に溜められ油脂の計量がなされる(図2(d))。これにより、図2(a)に示す給脂開始前の待機状態となる。
【0012】
こうした定量計量バルブは、並列分配器14−1,14−2に複数並列に配置されている。一方、ポンプ12の作動により油脂タンク11から供給される油脂の圧力は、配管経路の長さに伴って増大する流動抵抗のために、ポンプ12から遠くなるに従って圧力は低下する。また、ポンプ吐出口の圧力はポンプ運転開始から時間が経過するに従って上昇するので、ポンプに近い側の定量計量バルブ40の方が、ポンプより遠い位置に配置された定量計量バルブ40より先に吐出圧力に達する。すなわち、ポンプ12に近い定量計量バルブから順に油脂は吐出され射出成形機の給脂箇所に給脂されることになる。
【0013】
図3は、圧力センサ16で測定した油脂圧力の波形と並列分配器の定量計量バルブからの油脂吐出の関係を、正常な給脂が行われたとき求めた例である。この例は、並列分配器の定量計量バルブ40が2つでバルブ1がポンプ12に近い側に配置されているものである。
【0014】
ポンプ12の運転が開始され、圧力センサ16で検出されるポンプ吐出口の油脂圧力は徐々に増大する。そして、ポンプ12の運転開始してから時間t1に達したとき、定量計量バルブ1から油脂の吐出が開始され、時間t2で定量計量バルブ1による油脂の吐出が完了し定量計量バルブ2から吐出が開始され、時間t3で定量計量バルブ2からの吐出が終了する。又、計量時では、ポンプ12側から圧力が低下することから、定量計量バルブ1が時間t4で計量を開始し、時間t5で計量を完了すると共に、定量計量バルブ2が計量を開始し、時間t6で計量を完了する。以上のように、並列分配器の定量計量バルブは油脂供給源であるポンプ12側から順に吐出及び計量を開始するものである。
【0015】
図3に示した油脂圧力波形は、正常動作時のものであり、並列分配器やその配管経路中に詰まりが生じたり破れた箇所があるような場合、この油脂圧力波形はこの正常動作のものとは異なるものとなる。
【0016】
例えば、定量計量バルブ1以降の配管に破れがあるような場合、定量計量バルブ1は正常に作動しても、定量計量バルブ2はこの破れのために正常には作動せず、図4に示すように、圧力センサ16で検出する油脂圧力は上昇せず、正常動作時の油脂圧力波形とは異なるものとなる。なお、破れが小さく1箇所程度では、時間をかけて油脂圧力は増加することも想定できるが、この場合でも、正常動作時の油脂圧力波形と異なる。
【0017】
また、例えば、定量計量バルブ1以降の配管に詰まりがあった場合、この場合も定量計量バルブ1は正常に作動するが、詰まりのため、定量計量バルブ2は作動せず、図5に示すように油脂圧力は急激に増大する。定量計量バルブ2は作動すれば、緩やかに油脂圧力が増大するものが、詰まりを生じていることから、油脂の流出先がなく急激に増大するものである。
【0018】
そこで、図3に示すように正常時の検出油脂圧力波形を基準データとする。また、油脂温度等によってこの波形は変動することから、この基準データに対して所定量の監視幅を設け、検出油脂圧力がこの監視幅から離脱するような場合には、並列分配器の給脂経路に異常が生じたとして検出することができる。例えば、基準データ(正常時の検出油脂圧力波形)に+ΔP、−ΔP(この+ΔPと−ΔPの絶対値は異なってもよい)を加算したような波形(基準データ(波形)を+ΔP、−ΔP縦軸方向にシフトしたような波形)間の幅を設け、該幅より検出油脂波形が離脱したときには、異常が生じたものとして検出できる。
【0019】
しかも、この監視幅から検出油脂波形が離脱した領域によって、異常箇所も特定できるものとなる。すなわち、図4、図5に示すように、定量計量バルブ1が作動し、油脂を吐出している間は基準データ(波形)とほぼ同じで、監視幅内に入っている。しかし、定量計量バルブ2が動作している区間において、その検出油脂圧力波形が監視幅から離脱しているような場合には、定量計量バルブ1は正常であるが定量計量バルブ2は異常であることが分かる。この定量計量バルブ2の領域で、油脂詰まりや配管の破れ等の異常が生じているものと判別される。
【0020】
図6は、進行分配器(圧力進行型集中給脂用)15の動作原理説明図である。この進行分配器15もすでに周知慣用のものであることから、簡単に説明する。
ポンプ12の駆動によって供給される油脂の圧力は、図6(a)に示すように、まずピストンAの右側に作動し、該ピストンAを左側に移動させる。その結果、該ピストンAの左側に貯まっていた油脂がポート2から吐出され、所定給脂箇所に給脂される。ピストンAが左端エンドまで達すると、図6(b)に示すようにポンプ12によって供給される油脂の圧力がピストンBの右側にかかり、該ピストンBを左側に移動させ、ポート7から油脂が吐出される。ピストンBが左端エンドまで達すると、図6(c)に示すように、油脂の圧力がピストンCの右側にかかり、該ピストンCを左側に移動させ、ポート5から油脂が吐出される。次に、図6(d)に示すように、油脂の圧力がピストンDの右側にかかり、該ピストンDを左側に移動させ、ポート3から油脂が吐出される。次に、図6(e)に示すように、油脂の圧力がピストンAの左側にかかり、該ピストンAを右側に移動させ、ポート1から油脂が吐出される。
【0021】
以下同様にして、油脂はポート8、ポート6,ポート4と順次吐出され、図6(a)の状態に戻る。すなわち、この進行分配器15は、ポート2→7→5→3→1→8→6→4の順に油脂を順次吐出するもので、ポンプ12の作動時間を長くすれば、この吐出サイクルを何度も繰り返すことになる。このことから、ポンプ作動時間は、必要な油脂供給量によって設定されることになる。
【0022】
図7は、この進行分配器15が正常に作動したとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力波形を示す図である。この進行分配器15では、ピストンが順次作動して油脂を各ポートから順次吐出するものであるから、図7に示すように、各ポートからの油脂吐出に対応して圧力波形が波状に生じる。
【0023】
この進行分配器15においても、配管途中で詰まりが生じたとき、又は破れがあったとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力波形は、大きく変化し、図7に示したような波形とはならない。例えば、ポート7の配管において詰まりが生じた場合には、ポート2からの油脂吐出は正常に行われ、図7と同様な油脂圧力波形が得られるが、ポート7において詰まりが生じていることから、図7に示すように、油脂圧力は上昇し、下降することはなく、図8に示すように高圧状態が続くことになる。
【0024】
又、配管経路に破れがあるような場合には、図9に示すように、油脂圧力が上がらないことから、この場合も、油脂圧力が上昇すべき領域(時間)で上昇しないことから、配管の破れ箇所を特定することができる。図9に示す例では、ポート2から油脂を吐出するまでは、正常に作動したものと判断されるが、ポート7から吐出する段階の時間領域で、検出油脂圧力が上昇せず、基準監視幅から離脱していることから、ポート7の配管経路に破れがあることが判別される。
【0025】
すなわち、進行分配器15が正常に作動したときの図7に示すような油脂圧力波形を基準データ(波形)として、並列分配器14−1,14−2において述べたように、基準データ(波形)に監視幅を設け、検出油脂圧力波形が図8や図9に示すように監視幅から離脱した場合、その離脱した時間によって、詰まり箇所(図7の例ではポート7に油脂を吐出する配管経路での詰まり)を判別することができる。
【0026】
そこで、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15が正常に作動しているとき、圧力センサ16で検出される油脂圧力を、給脂開始、すなわちポンプ12の駆動開始から、所定時間毎に検出し、記憶・演算装置17に記憶し、これを基準データとする。又、この基準データに対して、監視幅+ΔP,−ΔP(この+ΔPと−ΔPの絶対値は異なってもよい)を設定する。さらに、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部による給脂箇所への給脂動作の給脂開始(ポンプ12の動作開始)を基準とした時間領域を予め測定しておき、この各時間領域をも表示・入力装置18から入力して設定する。
【0027】
その後は、圧力センサ16で、ポンプ12の駆動開始から、所定時間毎油脂圧力を検出し、記憶し、この記憶した油脂圧力波形を、横軸を時間、縦軸を油脂圧力として表示・入力装置18の表示画面に表示させる。このとき、表示色等を変えて、基準データ(波形)、及びこの基準データ(波形)を+ΔP,−ΔPだけシフトさせたような監視幅をも表示する。さらに、前述したように、各給脂部による給脂箇所への給脂動作の時間領域をも表示する。
【0028】
よって、この表示された内容を監視し、検出油脂圧力波形が基準データの監視幅内にある場合には、正常に給脂が行われたとして判断することができる。しかし、検出油脂圧力波形が基準データの監視幅から離脱しているとき、給脂異常と判断でき、その離脱した箇所によって給脂異常が生じた給脂箇所(給脂部及びその配管)を特定することができる。
【0029】
又、この異常判別を記憶・演算装置17により自動的に行うようにしてもよい。図10は、記憶・演算装置17のプロセッサが実行する異常判別処理のフローチャートである。
まず、給脂が正常に行われたときにおいて、給脂開始(ポンプ12の駆動開始)から所定時間毎に圧力センサ16で検出した油脂圧力を基準圧力Psとして記憶しておくと共に監視幅の+ΔP,−ΔPをも予め設定しておく。又、前述したように、予め測定しておいた並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部による給脂箇所への給脂動作の各時間領域をも表示・入力装置18から設定する。
【0030】
射出成形機の制御装置等の上位制御装置等から給脂指令が出されたかいなか判断し(ステップ100)、給脂指令が出されポンプ12が駆動されると、まず、今まで記憶していた検出油脂圧力Pの記憶エリアをクリアする(ステップ101)。そして、所定時間毎のサンプリング時を示す指標nを「0」にセットし(ステップ102)、さらにこの指標nを「1」インクリメントする(ステップ103)。次に、圧力センサ16で検出された油脂圧力Pを読み出し、指標nに対応してサンプリングn時の検出油脂圧力P(n)として記憶する(ステップ104)。
【0031】
さらに、指標nに対応する基準データのPs(n)を読み出し(ステップ105)、検出油脂圧力P(n)が、この基準データのPs(n)の監視幅内にあるかを判断する(ステップ106)。すなわち、次の1式の判断を行う。
【0032】
Ps(n)−ΔP≦P(n)≦Ps(n)+ΔP …(1)
検出油脂圧力P(n)が、監視幅内にあれば、すなわち、上記1式を満足すれば、給脂停止指令が上位制御装置から入力されているか判断し、入力されていなければ、ステップ103に戻り、以下、ステップ103〜108の処理を所定時間毎実行する。
【0033】
一方、ステップ106で検出油脂圧力P(n)が、監視幅内にないと判断された場合には、アラームを出力すると共に、現在の指標nの値より、並列分配器14−1,14−2、進行分配器15の給脂部の動作領域を判別して、異常発生の給脂部、給脂箇所をも表示する(ステップ107)。
【0034】
又、図示していないが、表示指令を入力されると、記憶する基準データ、検出油脂圧力波形、各給脂箇所への給脂時間領域を表示する。
上述した実施形態では、給脂異常を並列分配器14−1,14−2、進行分配器15に油脂を送るポンプ吐出口における油脂圧力を検出し、この検出圧力に基づいて、給脂異常、及びその箇所を特定するようにしたが、この油脂圧力に代えて、油脂の流量を測定してもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、自動給脂装置を備える射出成形機において、給脂異常の給脂箇所をも判別することができることから、異常箇所の判別、修理が容易となり、射出成形機の運転再開への復旧時間も短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の要部ブロック図である。
【図2】同実施形態における並列分配器の定量計量バルブの動作原理説明図である。
【図3】同並列分配器が正常に動作しているときの油脂圧力の波形の説明図である。
【図4】同並列分配器において、配管に破れがあるときの油脂圧力波形の説明図である。
【図5】同並列分配器において、配管に詰まりが生じているときの油脂圧力波形の説明図である。
【図6】同実施形態における進行分配器の給脂動作原理説明図である。
【図7】同進行分配器が正常に動作しているときの油脂圧力の波形の説明図である。
【図8】同進行分配器において、配管に詰まりが生じているときの油脂圧力波形の説明図である。
【図9】同進行分配器において、配管に破れがあるときの油脂圧力波形の説明図である。
【図10】同実施形態における給脂異常検出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 自動給脂装置
11 油脂タンク
12 ポンプ
13 切替弁
14−1,14−2 並列分配器
15 進行分配器
17 記憶・演算装置
18 表示・入力装置
20 射出成形機
40 定量計量バルブ
41 バルブ
42 ピストン
43 スプリング
Q 油脂
Claims (5)
- 複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、
前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、
所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、
グラフ表示装置とを備え、
前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させて前記グラフ表示装置にグラフ表示したことを特徴とする射出成形機。 - 給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定手段により設定しておき、
前記グラフ表示装置は、前記記憶手段に記憶した流量又は圧力を読み出して給脂開始からの時間と対応させると共に、給脂箇所とも対応させて前記グラフ表示装置に表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機。 - 複数の給脂箇所に油脂を供給する集中給脂装置を備えた射出成形機において、
前記集中給脂装置の配管系統に配置され、油脂の流量又は圧力を検出するセンサと、
所定時間毎に前記センサで検出した流量又は圧力を記憶する記憶手段と、
給脂が正常に行われた場合に前記記憶手段に記憶された給脂開始からの時間に対応した流量又は圧力を基準データとして記憶する基準データ記憶手段と、
給脂開始からの時間に対応させて前記センサで検出した流量又は圧力を前記基準データと比較する比較手段とを備え、
前記比較手段による比較結果が異常である場合に、異常を通知する手段を具備することを特徴とする射出成形機。 - 給脂を開始した後の時間と前記給脂箇所との対応を設定手段により設定しておき、
前記比較手段によって異常と認められた時間と前記設定された対応関係に基づいて異常と認められた給脂箇所をも通知することを特徴とする請求項3記載の射出成形機。 - 前記設定手段により、前記基準データに対する監視幅を設定しておき、前記比較手段は前記センサで検出した流量又は圧力が前記基準データに対する前記設定監視幅内にないときには、異常を通知する手段から異常を通知するようにした請求項3又は請求項4に記載の射出成形機。
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