JP2004230450A - 内面溝付管及びその製造装置並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅または銅合金からなり、管内面に螺旋状の溝が形成された内面溝付管であって、前記内面の溝及び隣り合う溝間に形成されるフィンの形状が溝リード角(θ)30°以上60°以下、フィン高さ(H)0.15mm以上0.30mm以下、フィン山頂角(α)5°以上30°以下、フィン根元半径(R)H/3mm以上2H/3mm以下、フィンピッチ(L)0.2mm以上0.5mm以下、およびフィン根元半径とフィンピッチの比(R/L)0.15以上0.5以下とする。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用及び業務用エアコンディショナ等に使用される空冷式熱交換器に組み込まれる伝熱管として使用される内面溝付管に係り、特に、伝熱性能に優れた高リード角の溝を有する内面溝付管及びその製造装置並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内面溝付管は、家庭用及び業務用エアコンディショナ等に使用される空冷式熱交換器に組み込まれる伝熱管として使用されている。伝熱管内の冷媒としては、従来よりフレオンR22、R21が用いられているが、フロン規制で非共沸混合冷媒などの代替冷媒に置き換わりが進んでいる。代替冷媒の一種であるR407C用の内面溝付管として、内面溝付管内に形成された溝のリード角を25°以上に設定して、伝熱性能の向上を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、内面溝付管のフィン山頂角(α)を10〜30°とし、さらにフィン高さ(H)とフィン根元半径(R)の比(H/R)を2〜4.5に設定して、内面溝付管の伝熱性能及び生産効率の向上を図ったものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、内面溝付管の製造装置として、以下の製造装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。図5に示すように、この従来の内面溝付管の製造装置101においては、縮径部102、転造部103及び整形部104がこの順に一列に設けられている。そして、金属管151を抽伸方向Yに沿って引抜くことにより、金属管151が縮径部102、転造部103及び整形部104をこの順に通過し、内面溝付管153に加工されるようになっている。
【0005】
縮径部102においては、金属管151の外面に接するように縮径ダイス106が設けられている。縮径ダイス106は円環状のストレートダイスであり、その開口部を金属管151が通過するようになっている。また、縮径ダイス106の開口部の内径は、抽伸方向Yに沿って連続的に減少して、縮径ダイス106の内面にテーパを形成している。また、金属管151の内部における縮径ダイス106に相当する位置には、縮径プラグ107が設けられ、金属管151を介して縮径ダイス106に係合している。縮径プラグ107は、縮径ダイスのテーパー角度に近いテーパーを有するストレートプラグであり、その外面は平滑である。この縮径ダイス106及び縮径プラグ107は、金属管151を縮径加工するものである。
【0006】
また、転造部103においては、加工ヘッド139が設けられ、加工ヘッド139はモータ(図示せず)に連結されており、金属管151の周囲を回転するようになっている。加工ヘッド139には複数の転造ボール110が、金属管151の外面に接するように設けられており、加工ヘッド139が回転することにより、転造ボール110は金属管151の外面に転接しながら遊星回転するようになっている。通常、転造ボール110の公転方向と溝付プラグ112の回転方向は、互いに異なる。また、金属管151の内部には溝付プラグ112が設けられている。溝付プラグ112は、縮径プラグ107にプラグ軸113を介して回転可能に連結されており、転造ボール110に相当する位置に配置されている。そして、溝付プラグ112の外面には螺旋状の溝が形成されている。この転造ボール110及び溝付プラグ112は金属管151の内面に溝を形成するものである。
【0007】
更に、整形部104においては、整形ダイス115が設けられ、整形ダイス115の形状は円環状であり、その開口部を金属管151が通過するようになっている。整形ダイス115の内面はテーパ状になっており、開口部の内径は抽伸方向Yに沿って減少するようになっている。この整形ダイス115は、金属管151を所定の外径に縮径する整形加工を施すものである。
【0008】
そして、縮径部102から見て抽伸方向Yの上流側には、バスケットに巻き取られた金属管151を順次送り出す送出装置(図示せず)が設けられており、整形部104から見て抽伸方向Yの下流側には、金属管151を抽伸方向Yに引抜く引抜装置(図示せず)及び製造された内面溝付管153をドラムに巻き取りバスケット入れる巻取装置(図示せず)が設けられている。
【0009】
尚、通常は、縮径部102、転造部103、及び整形部104においては、金属管151の外面に潤滑油(図示せず)を供給する潤滑油供給装置(図示せず)が、縮径ダイス106、加工ヘッド139、整形ダイス115の各々の上流に設けられている。
【0010】
製造装置101に使用される溝付プラグ112の材質として、主成分である炭化タングステンの粒度が0.5μm以下、抗析力が3400N/mm2以上、引張強さが1900/mm2以上を有する超硬合金を用いることにより、溝付プラグ112の強度が高められ、溝付プラグのプラグ欠けが防止され、断管や製品不良が低減して生産性が向上することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
次に、従来の内面溝付管の製造方法について、同様に図5により説明する。図5に示すように、金属管151を内面溝付管の製造装置101に装入し、金属管151の内部に、転造用の潤滑油を注入して、縮径プラグ107、プラグ軸113及び溝付プラグ112が相互に連結されてなる工具を入れる。その後、引抜装置(図示せず)が金属管151を抽伸方向Yに引抜く。これにより、金属管151が送出装置(図示せず)から繰り出され、抽伸方向Yに沿って移動を開始する。そして、金属管151が縮径部102、転造部103及び整形部104を順次通過することにより、内面溝付管153に加工される。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−042881号公報(段落番号〔0005〕、〔0021〕)
【特許文献2】
特開2001−50679号公報(段落番号〔0010〕、〔0019〕)
【特許文献3】
特開2002−102916号公報(段落番号〔0003〕、〔0013〕、〔0020〕、及び図3)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溝リード角が小さい内面溝付管に比べ、溝リード角の大きい高リード形状の従来の内面溝付管は、伝熱性能に優れる反面、以下に示すように加工上の問題点がある。内面溝付管を転造法によって加工する場合、転造ボールは、素管の軸方向と一定の角度をなす螺旋状の軌跡を素管の外表面に描く。前記の角度は抽伸速度および転造ボールの公転速度に依存して決まる。ところで、抽伸速度および転造ボールの公転速度を同一にして、同一溝数の内面溝付管を加工する場合、溝付プラグの1個のランド部(溝付プラグの溝部間の外周部)に当接する素管を転造ボールが加工する軌跡は溝リード角が大きいほど長くなる。これは、溝リード角が大きいほど、転造ボールにより加工される素管の加工量が大きくなること、すなわち素管の加工硬化量が大きくなることを意味する。このため、溝付プラグの溝底面まで素管が流れ難くなり内面溝付管の溝が形状不良となる。
【0014】
同時に、内面溝付管の内面と接する溝付プラグには、加工硬化された前記内面溝付管の押圧荷重が直接かかるため、溝付プラグが破損し易く、内面溝付管の製品生産性を低下させやすい。また、溝リード角が大きくなると、同一の引抜き速度で転造加工を行った場合、溝リード角の小さいときに比べて、単位時間当たりの溝付プラグの回転量すなわち回転速度が増加する。この回転速度の増加によって、溝付プラグと管素材の相互の摩擦力が増加し、溝付プラグの回転の抵抗として働くとともに、溝付プラグに欠けが発生しやすくなる。更に、前記摩擦力によって、管素材の引抜きに要する力が増大し、肉厚の薄い管の場合は、加工中に破断が生じやすくなる。
【0015】
そして、従来の内面溝付管及びその製造装置並びにその製造方法においては、内面溝付管の伝熱性能及び生産性の向上を図るために、内面溝付管のフィン山頂角及びフィン長さとフィン根元半径の比を所定範囲に特定したり、内面溝付管の製造装置に使用する溝付プラグの材質を特定している。しかしながら、前記の特定だけでは、内面溝付管の溝リード角が高くなることに起因した前記問題点を解決することができなかった。
【0016】
本発明は、前記の問題点に鑑み創案されたものであり、内面溝付管の溝形状不良、工具である溝付プラグの破損、及び引抜き荷重増加による内面溝付管の破断を生じることなく、従来よりも溝リード角が大きく、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管及びその製造装置並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内面溝付管は、銅または銅合金からなり、管内面に螺旋状の溝が形成された内面溝付管であって、前記内面の溝及び隣り合う溝間に形成されるフィンの形状が、溝リード角30°以上60°以下、フィン高さ(H)0.15mm以上0.30mm以下、フィン山頂角(α)5°以上30°以下、フィン根元半径(R)H/3mm以上2H/3mm以下、フィンピッチ(L)0.2mm以上0.5mm以下およびフィン根元半径とフィンピッチの比(R/L)0.15以上0.5以下である構成とした。(請求項1)
【0018】
前記の構成によれば、溝形状が所定形状に構成されることにより、内面溝付管は、溝内の冷媒液膜が充分に攪拌されて、冷媒の気液界面での濃度差が小さくなる。又、内面溝付管を製造する際には、フィン根元半径(R)を、H/3mm以上2H/3mm以下とすることにより、素管の引抜き荷重が低減され、又、溝リード角の減少量が抑止される。さらにまた、溝形状の形成の際、塑性変形による加工硬化が小さく、素管材料が流動し易い。
【0019】
また、本発明に係る内面溝付管の製造装置は、素管を縮径プラグと縮径ダイスにより第1の縮径加工を行う縮径部と、縮径された前記素管を、複数個の転造ボールまたは転造ロールで、前記縮径プラグに連結軸を介して相対的に回転可能に連結された溝付プラグに押圧することにより第2の縮径加工及び前記素管の内面に前記溝付プラグの溝形状を転写する転造加工を行う転造部と、縮径及び転造加工された前記素管を、整形ダイスにより第3の縮径加工を行う整形部とを有し、前記素管の管内面において隣合うフィンにより形成された溝の溝リード角30°以上60°以下となるようにする内面溝付管の製造装置であって、前記溝付プラグは、その溝形状が、溝深さ(h)0.15mm以上0.30mm以下、溝山頂角(β)5°以上30°以下、溝根元半径(r)h/3mm以上2h/3mm以下であり、その材質として、炭化タングステンの平均粒度が0.2μm以上0.9μm以下である超硬合金を使用する構成とした。(請求項2)
【0020】
前記の構成によれば、転造部で、素管材料は、転造ボールまたは転造ロールの押圧により溝付プラグの溝に充分に流れ込み、所望の溝形状が素管の内面に転写される。また、溝付プラグの溝形状が、素管内に形成される所望の溝形状と同一形状であるため、素管材料が溝付プラグの溝に充分に流れ込むことで、素管内面には所望の溝形状が形成される。
【0021】
さらに、前記の構成によれば、溝付プラグが、強度に優れ、磨耗量が少ないものであるため、転造加工時に、転造ボールまたは転造ロールにより素管材料からの押圧荷重を受けても、破損せずにその溝付プラグの溝形状を素管内面に転写する。また、溝付プラグは、素管材料よりも硬いため、素管材料が、前記押圧荷重により、前記溝付プラグの溝に容易に流入する。
【0022】
そして、本発明に係る内面溝付管の製造装置に使用される転造ボールまたは転造ロールの転造加工時における公転方向は、前記溝付プラグの自転方向と同一方向とした。(請求項3)
【0023】
前記の構成によれば、転造部における転造ボールまたは転造ロールが素管内における1つの溝を形成する際に、転造ボールまたは転造ロールの公転方向と対応する溝付プラグの自転方向とが一致することで、押圧時間が長くとれるため、その分、素管材料が、溝付プラグの溝へ充分に流れ込み、所望の溝形状が素管の内面に転写される。
【0024】
本発明に係る内面溝付管の製造方法は、前記製造装置を用いて前記内面溝付管を製造する製造方法であって、りん脱酸銅ビレットを熱間押出して作製された押出管を、圧延し、抽伸し及び焼鈍して素管とし、前記素管は平均結晶粒径が0.01〜0.03mm、0.5%耐力が75〜130N/mm2、伸びが45〜52%の範囲にあるものであって、前記素管を、前記縮径部により第1の縮径加工を行う第1の工程と、前記第1の工程で得られた縮径され前記素管の0.5%耐力を2.5〜3.6倍にして、その素管を、前記転造部により第2の縮径加工および転造加工を行う第2の工程と、前記第2の工程で前記溝付プラグの溝形状が転写された素管を、前記整形部により第3の縮径加工を行う第3の工程とを含み、前記第3の工程における前記溝付プラグの溝形状が転写された素管の外径変化率は0.5%から18%とする方法とした。(請求項4)
【0025】
前記の構成によれば、第1の工程である縮径加工における0.5%耐力の増加率限定により、素管材料が、後工程である転造加工時に、溝付プラグの溝に流入しない程の硬さにはならない。また、第2の工程である転造加工により、所望の溝形状が素管の内面に転写される。さらにまた、第3の工程である外形変化率の範囲限定により、素管材料の引抜き荷重が低減され、前記素管内に形成された溝リード角の減少量が抑止され、また、転造加工時に施された内面溝付管の外表面の転造ボールまたは転造ロールの跡が小さくなる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は内面溝付管の形状を示す軸方向に破断した時の一部拡大端面図であり、図2は図1のA−A線における一部拡大断面図である。図3は溝付プラグの溝形状を示す一部拡大断面図である。図4は内面溝付管の製造装置を示す断面図である。
【0027】
先ず、図1に示すように、本発明の内面溝付管について説明する。内面溝付管は、加工性や熱伝達性能に優れることが要求されるため、これらの条件を満足する材料である銅または銅合金から構成されており、ここでは、管の外径Dは伝熱管として主流である外径Dが8mm以下のものが使用され、管内における冷媒の蒸発や凝縮による熱伝導を向上させるために、管内面の形状は螺旋状の連続した溝から構成されたものが使用される。従って、図1に示すように本実施形態の内面溝付管53の内面溝形状は、連続した螺旋状の溝41で構成され、且つ、溝41の管軸に対する傾斜角(以下溝リード角と称す。)θの大きい高リード形状とし、また、図2に示すように、各溝41はフィン山頂曲線部42aとこれに滑らかにつながるフィン斜面直線部42bを有し、各フィン斜面直線部42b同士が任意のフィン根元半径Rで滑らかに連続しており、フィン高さH、フィン山頂角α、フィン根元半径R、フィンピッチL、およびフィン根元半径RとフィンピッチLの比R/Lが以下に記載する範囲とするものである。また、各フィン斜面直線部42b同士が溝底直線部(図示せず。)と任意のフィン根元半径Rで滑らかに連続していてもよい。
【0028】
(内面溝付管の内面溝形状)
溝リード角θが30°以上60°以下、フィン高さHが0.15mm以上0.30mm以下、山頂角αが5°以上30°以下、フィン根元半径RがH/3mm以上2H/3mm以下、フィンピッチLが0.2mm以上0.5mm以下、フィン根元半径Rとフィンピッチ比LのR/Lが0.15以上0.5以下である。また、フィン高さH、フィン山頂角α、フィン根元半径R、フィンピッチL、フィン根元半径とフィンピッチの比R/Lのそれぞれが、前記所定範囲内の値である限り、これらのどの値の組み合わせを用いた場合においても、30°〜60°の範囲にある全ての溝リード角を有する内面溝形状が、素管内面に形成される。このように本発明において、内面溝形状を前記数値範囲に限定することにより、管内伝熱性能と加工性に優れた内面溝付管を提供することができる。
【0029】
以下、本発明に係る内面溝付管の内面溝形状における前記数値限定の根拠について説明する。
【0030】
(溝リード角θ)
図1〜2に示すように、内面溝付管内の伝熱性能を向上させる溝リード角θは、30°以上であることが要求される。最近、使用量が増加している非共沸混合冷媒等の代替冷媒においては、2種類以上の冷媒(それぞれ沸点が相異する)を用いるため、沸点の低い冷媒成分から先に蒸発し、沸点の高い冷媒成分から先に凝縮する。このため、非共沸混合冷媒を構成する冷媒成分がすべて蒸発または凝縮するまでは、気体と液体との混合状態となっている。
【0031】
リード角θが30°未満の場合は、溝41内の冷媒液膜が充分に攪拌されず、冷媒の気液界面での濃度差が大きくなり、そのため拡散抵抗や熱抵抗が増加して管内凝縮熱伝導率が低下する傾向にあるため、伝熱性能が悪くなり好ましくない。また、管内面の溝リード角θは大きくなるほど伝熱性能が向上する傾向にあるが、前記溝リード角θが大きい溝を、素管51内に形成する場合には、転造加工時に1つの溝を形成する際に、転造ボール10または転造ロール(図示せず)による素管51の材料の移動距離が長くなるため、素管51の材料の円周方向への変形量が大きくなる。
【0032】
従って、前記転造ボール10または転造ロール(図示せず)からの押圧荷重により素管51の材料が塑性変形による加工硬化を生じ、素管51の材料のメタルフローが、後記の製造方法で工具として使用される溝付プラグ12の溝底面部まで流れず、溝が形状不良となること、また、加工硬化した素管51の材料の押圧荷重による前記溝付プラグ12の破損により内面溝付管の生産性の低下につながること、さらにまた、前記溝付プラグ12の溝形成が左右対称に作製不可となることから、溝リード角θの上限値は60°であることが要求される。
【0033】
尚、本発明において、より望ましい溝リード角は30°〜45°である。また、本発明の内面溝付管は、冷媒の攪拌作用が大きいため、沸点の相異する複数の冷媒より成る非共沸混合冷媒を用いる熱交換器用として好適である。尚、溝リード角が40°をこえるような内面溝付管を製造するには、溝のリード角が40°をこえる溝付きプラグを使用するが、転造加工による内面溝付加工においては、素管の引抜き速度を低速化し、且つ、転造ボールまたは転造ロールの回転速度をより高速化するとよい。
【0034】
(フィン高さH)
フィン高さHが0.15mm未満の場合は、伝熱性能が低下し、0.30mmを超えた場合は、圧力損失が大きくなり、また溝成形が難しくなるため、伝熱性能が低下する。従って、フィン高さHについては、0.15mm以上で0.30mm以下とすることで、溝形成可能で伝熱性能が良好な内面溝付管を製造することができる。
【0035】
(フィン山頂角α)
フィン山頂角αが5°未満の場合は、フィン42の幅が狭くなり、内面溝付管53のユーザーでの拡管(銅管とアルミフィンを密着させる)時にフィンのゆがみが生じる。一方、30°を超えた場合は、溝41の断面積が小さくなり伝熱性能が低下する。また、フィン42の断面積(素管51の肉厚T)が大きくなり、内面溝付管の重量が重くなる。従って、山頂角αについては5°以上30°以下とすることで、溝形成可能で伝熱性能が良好な内面溝付管を製造することができる。
【0036】
(フィン根元半径R)
フィン根元半径RがH/3mm未満の場合には、フィン根元半径Rが小さく溝41の形状が台形に近似するので、本発明のような溝リード角(θ)が大きい内面溝付管においては、溝成形が悪く目標形状が得られない。また、溝41の形成に使用される溝付プラグが受ける応力は増加し、溝付プラグの破損につながる。一方、フィン根元半径Rが2H/3mmを超える場合には、フィン根元半径Rが大きく、溝41の断面積が減少し伝熱性能が低下し、また、フィン42の断面積(素管51の肉厚T)の増加により内面溝付管の重量が重くなる。尚、本発明の内面溝付管は、フィン根元部において従来のものよりやや肉厚の構造となっている。そのため、耐圧強度が従来のものより向上し、特に通常の冷媒(例えばR22)の1.6倍程度の圧力で運転する必要のあるR410A冷媒用の熱交換器として好適である。
【0037】
(フィンピッチL)
フィンピッチLについては、0.2mm未満の場合は、溝部の伝熱性能が低下し、0.5mmを超えた場合は位相ズレを生じやすい。尚、位相ズレとは、フィンピッチが長くなると、溝プラグの平坦部が長くなるため材料の撓みが大きくなり、一度成形したフィンを潰しながら次のフィンが成形されることから、所定のフィンが成形できなくなったり、フィン斜面に段差または亀裂が生じる現象である。従って、フィンピッチLについては0.2mm以上0.5mm以下とすることで、伝熱性能が良好で、且つ管内に位相ズレが生じない内面溝付管を製造することができる。
【0038】
(フィン根元半径RとフィンピッチLの比R/L)
フィン根元半径R及びフィンピッチLの範囲より、0.15未満または、0.5を超える比R/Lの場合は、内面溝付管の製造が難しくなる。従って、R/Lについては0.15以上0.5以下とすることにより溝形成可能で伝熱性能が良好な内面溝付管を製造することができる。
【0039】
次に、本発明の内面溝付管の製造装置について説明する。図4に示すように、製造装置1は、縮径部2、転造部3、整形部4を有する。縮径部2は、素管51を、素管51内に挿入された縮径プラグ7と縮径ダイス6により素管51の第1の縮径加工を行う箇所である。また、転造部3は、縮径された素管51を、複数個の転造ボール10または転造ロール(図示せず)で、縮径プラグ7に連結軸13を介して相対的に回転可能に連結された溝付プラグ12に押圧することにより、第2の縮径加工及び縮径された前記素管51の内面に前記溝付プラグ12の溝形状を転写する転造加工を行う箇所である。さらに、整形部4は、前記縮径及び転造加工され内面に溝が形成された素管51を、整形ダイス15により第3の縮径加工を行い内面溝付管53に仕上げる箇所である。
【0040】
また、製造装置1においては、転造部3では、材質が炭化タングステンの平均粒度0.2μm以上0.9μm以下である超硬合金の素材から溝付プラグ12を形成している。また、転造ボール10または転造ロール(図示せず。)の転造加工時における公転方向は、溝付プラグ12の自転方向と同一になるようにしている。
【0041】
内面溝付管53は、素管51の状態から、縮径部2、転造部3、整形部4が一列に設けられた製造装置1において、素管51を抽伸方向Xに沿って引抜くことにとり、素管51が縮径部2、転造部3及び整形部4をこの順に通過し、内面溝付管53に加工されるようになっている。
【0042】
縮径部2においては、素管51の外面に潤滑油21を供給する潤滑油供給装置5が設けられており、潤滑油供給装置5よりも抽伸方向X下流側には、素管51の外面に接するように縮径ダイス6が設けられている。縮径ダイス6は円環状のストレートダイスであり、その開口部を素管51が通過するようになっている。また、縮径ダイス6の開口部の内径は抽伸方向Xに沿って連続的に減少している。即ち、縮径ダイス6の内面はテーパ状になっている。また、素管51の内部における縮径ダイス6に相当する位置には、縮径プラグ7が設けられ、素管51を介して縮径ダイス6に係合している。縮径プラグ7は縮径ダイスのテーパー角度に近いテーパーを有するストレートプラグであり、その外面は平滑である。縮径ダイス6及び縮径プラグ7は素管51に縮径加工を施すものである。
【0043】
転造部3においては、素管51の外面に潤滑油22を供給する潤滑油供給装置8が設けられており、潤滑油供給装置8から見て抽伸方向Xの下流側には、加工ヘッド39が設けられている。加工ヘッド39はモータ(図示せず)に連結されており、素管51の周囲を回転するようになっている(例えば、モータ回転数が20000rpm)。加工ヘッド39には複数の転造ボール10または転造ロール(図示せず。)が、素管51の外面に接するように設けられており、加工ヘッド39が回転することにより、転造ボール10または転造ロール(図示せず。)は素管51の外面に転接しながら遊星回転するようになっている。
【0044】
また、素管51の内部には溝付プラグ12が設けられている。溝付プラグ12は縮径プラグ7にプラグ軸13を介して回転可能に連結されており、転造ボール10または転造ロール(図示せず。)に相当する位置に配置されている。そして、溝付プラグ12の外面には螺旋状の溝が形成されている。製造装置1は、転造ボール10または転造ロール(図示せず。)及び溝付プラグ12により素管51の内面に溝を形成するものである。
【0045】
(溝付プラグの溝形状)
次に前記溝付プラグ12の溝形状について説明する。溝付プラグ12の溝形状は、前記溝リード角(θ)30°以上60°以下の内面溝付管53を得るために、溝深さ(h)0.15mm以上0.30mm以下、溝山頂角(α)5°以上30°以下、溝根元半径(r)h/3mm以上2h/3mm以下の範囲において、内面溝付管53に合わせた溝形状とする。
【0046】
溝付プラグ12の形状が、前記所定範囲外であると、内面溝付管53の製造の際、溝付プラグ12の破損、及び素管51内面の溝成形不良や断管等が発生し、伝熱性能が向上する溝リード角30°〜60°を有する内面溝付管53が製造できない。また、溝付プラグの溝高さ(h)、溝山頂角(β)、溝根元半径(r)のそれぞれが、前記所定範囲内の値である限り、これらのどの値の組み合わせを用いた場合においても、30°〜60°の範囲にある全ての溝リード角(θ)を有する管内伝熱性能と加工性に優れた内面溝付管53が製造することができる。
【0047】
また、溝付加工された素管51は、後記する整形部4の第3の縮径加工により管の外径が縮小するとともに、素管51が長手方向に伸長する。また、第3の縮径に伴なう管の伸長により、転造加工により成形された素管51内面の溝リード角(θ)およびフィンピッチ(L)は小さくなる。内面溝の溝リード角(θ)およびフィンピッチ(L)がどの程度小さくなるかは、整形部4の第3の縮径加工における外径変化率に依存することから、溝付プラグに形成する溝のリード角および溝ピッチはこの点を考慮して決定する。
【0048】
(溝付プラグの材質)
溝付プラグ12の材質である炭化タングステンの平均粒度が、0.2μm未満の場合、炭化タングステン粒度が小さすぎて溝付プラグが製造できない。また、平均粒度が0.9μmを超えた場合、炭化タングステン粒度が大きすぎるため、溝付プラグの機械的強度及び靭性が低下して破損が生じ長尺加工が困難となる。従って、溝付プラグの材質として、炭化タングステンの平均粒度が、0.2μm以上0.9μm以下である超硬合金を使用することにより、溝成形性が優れた内面溝付管を安定して製造することができる。尚、溝付プラグの表面に、TiN、TiC、Si3N4などのセラミックス薄膜をCVD、PVDなどの方法により形成させると、溝付プラグ表面の硬さや耐磨耗性が向上し、その寿命が一層長くなる。
【0049】
(転造ボールまたは転造ロールの公転方向と溝付プラグの自転方向)
転造部3における転造ボール10または転造ロール(図示せず。)の公転方向と溝付プラグ12の自転方向が異なる方向で転造加工を行うと、転造加工時において、素管内面に1つの溝を成形する際に、転造ボール10の素管51への押圧時間いわゆる成形時間が短くなる。従って、転造部3における転造ボール10または転造ロール(図示せず。)の公転方向と溝付プラグ12の自転方向を互いに同一方向とすることにより、転造加工時において、素管内面に1つの溝を形成する際に、転造ボール10の素管51への押圧時間いわゆる成形時間が長くとれるため、溝成形が良好で安定した溝を素管51の内面に形成でき、有利となる。
【0050】
また、このとき、溝付プラグ12の溝が左ネジ方向に形成されていれば、抽伸方向を見て時計方向にプラグが回転する。逆に、溝付プラグ12の溝が右ネジ方向に形成されていれば、プラグが反時計方向に回転する。
【0051】
次に整形部4について詳細に説明する。整形部4においては、素管51の外面に潤滑油23を供給する潤滑油供給装置14が設けられており、潤滑油供給装置14から見て抽伸方向Xの下流側には、整形ダイス15が設けられている。整形ダイス15の形状は円環状であり、その開口部を素管51が通過するようになっている。整形ダイス15の内面はテーパ状になっており、開口部の内径は抽伸方向Xに沿って減少するようになっている。整形ダイス15は素管51に縮径加工を施すものである。
【0052】
更にまた、縮径部2から見て抽伸方向Xの上流側には、整列巻取りされたコイルから素管51を順次送り出す送出部(図示せず)が設けられており、整形部4から見て抽伸方向Xの下流側には、素管51を抽伸方向Xに引抜く引抜装置(図示せず)及び製造された内面溝付管53を整列巻取りする巻取装置(図示せず)が設けられている。
【0053】
次に、本発明の内面溝付管の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、前記製造装置を用いて行われ、素管の第1の縮径加工を行う第1の工程と、前記第1の工程で得られた縮径された素管の第2の縮径加工及び転造加工を行う第2の工程と、前記第2の工程で溝形状が転写された素管の第3の縮径加工を行う第3の工程を含むものである。
【0054】
(第1の工程)
先ず、第1の工程で使用される素管は、りん脱酸銅ビレットを熱間押出し、圧延し、抽伸し及び焼鈍したものであって、押出管の熱間押出後300(Cまでの平均冷却速度が5°C/秒以上であり、その素管の平均結晶粒径は0.01〜0.03mm、0.5%耐力は75〜130N/mm2、伸びは45〜52%の範囲である。
【0055】
素管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220、C1201等のりん脱酸銅が使用される。りん脱酸銅は、加工性や熱伝導性に優れており、熱交換器には欠かせない金属材料である。このような金属材料を素材とする素管の内面に溝形状を形成するにあたっては、先ず、素管である銅管の平均結晶粒径、耐力、伸びの各特性を制御することが必要とされる。前記各素管の平均結晶粒径、耐力、伸びに大きな影響を及ぼす因子は、熱間押出後の押出管の冷却速度及び素管の焼鈍方法である。
【0056】
(熱間押出後の押出管の冷却速度)
りん脱酸銅ビレットを熱間押出した後、押出管の温度が300°C程度になるまで、押出の加工エネルギにより回復及び再結晶が進行する。冷却速度が遅い場合には、結晶が粗大に成長し易く、また、押出管外表面と内部との間及び長手方向において、冷却速度が変化し混粒組織となりやすい。押出管において、一旦粗大結晶粒または混粒結晶が形成されると、その後、圧延及び抽伸を経て焼鈍を行っても、素管の機械的性質及び結晶粒径が部位により異なってしまい、このような素管に溝付加工を行うと、目的とする高さや形状を有するフィンを形成できなくなってしまう。
【0057】
このため、熱間押出後の押出管において、300°Cまでの平均冷却速度は5°C/秒以上であることが望ましい。このような冷却速度を達成するには水温を管理した冷却水プールに押出を行う水中押出により行うか、またはシャワー状の冷却水を押出管表面の所定の長さにわたって供給する水冷押出を行えば良い。冷却速度の測定は押出管の温度を放射温度計または接触式温度計等で測定し、押出後の経過時間との関係で冷却速度を計算すれば良い。
【0058】
なお、りん脱酸銅ビレットの場合、750〜850°C程度に加熱され、押出プレスにより押出されるが、加工発熱により更に40〜60°C程度、温度が上昇する。従って、実際には800〜900°Cから300°Cまでの間を5°C/秒以上の速度で冷却する設備が必要である。なお、この冷却速度は7°C/秒以上であることが望ましい。
【0059】
(素管の焼鈍方法)
上記特性の素管を生産良く製造するには、熱管押出後、所定の冷却速度で冷却した押出管を、圧延及び抽伸して作製した素管の急速加熱、短時間加熱及び急速冷却を連続的に行うことができる誘導加熱装置で連続焼鈍するのが良い。その場合、素管の平均結晶粒径及び機械的性質を前記の範囲にするには、加熱速度は1500〜2000°C/sec、最高加熱温度650〜800°C、600°C以上の温度における保持時間を0.1〜10秒程度の範囲とすることが望ましい。
【0060】
なお、加熱温度は、素管の寸法及び材質等により適宜決められ、他の条件及び連続焼鈍装置等は特に制限されないが、連続焼鈍法として、特開昭62−188727号に記載された方法を利用すれば、素管を上記特性にすることが容易である。即ち、長尺銅管を連続的に誘導加熱炉で急速加熱し、その下流に配置した冷却装置で冷却し、冷却後実質無張力下で巻取る設備を使用し、その際、ライン速度の変化に対応して、誘導加熱炉の入力を、ステップで入力を変化させる設定制御などにより調節すれば、ライン立上り時の結晶粒の粗大化を防止でき、結晶粒径及び機械的性質の制御が容易であり、高速での連続焼鈍が可能である。
【0061】
以上の連続焼鈍により、素管は数分の1秒内で所定の温度まで急速加熱され、数秒で冷却され、伸びが50%程度と充分にあり、低い耐力値で、なお且つグレンサイズの小さな調質を得ることができる。しかも、長尺素管を連続的に焼鈍すするため、全長にわたって均質な調質が得られる。また、連続焼鈍後、素管はバスケットに巻き取られ、溝付加工のために再び巻き解かれる。そのため、曲げ及び曲げ解きの塑性加工により若干の耐力の上昇及び伸びが発生するが、その変化量は小さい。本発明においては、連続焼鈍後の曲げ及び曲げ解きを受けた素管の結晶粒径及び機械的性質を、特許請求の範囲に記載された範囲にすることが必要である。
【0062】
前記のように、熱間押出後の押出管において、300°Cまでの平均冷却速度は5°C/秒以上とし、圧延し、抽伸し及び焼鈍することにより、平均結晶粒径が0.01〜0.03mm、0.5%耐力が75〜130N/mm2、伸びが45〜52%の範囲にある銅管を素管として提供することができる。
【0063】
次に素管の平均結晶粒径、耐力、伸びの上記数値限定の根拠について説明する。
【0064】
(素管の平均結晶粒径)
素管の平均結晶粒径が、0.01mm未満である場合は、素管の肉厚の中心付近に肉厚の50%を超える加工組織(繊維状組織)が残存しやすく、後述する第2の工程での縮径後の転造加工における溝形成時に、溝付プラグの溝に素管材料が流入し難く、所定溝形状を得ることが困難である。一方、素管の平均結晶粒径が0.03mmを超える場合は、結晶粒の成長速度が大きくなり、素管の結晶粒が粗大化し易い、このような素管は、その後の焼鈍により混粒組織となり、ヘアピン曲げを行うと肌荒れ及び割れが発生し、内面溝付管として熱交換器に組み込むことができなくなる。従って、本実施形態における素管の平均結晶粒径の範囲を0.01〜0.03mmに限定する。また、好ましくは、0.015〜0.025mmの範囲である。
【0065】
(素管の0.5%耐力)
素管に縮径加工を施すことにより、素管は塑性変形による加工硬化を生じる。そのため素管材の0.5%耐力は上昇するが、素管の0.5%耐力が75N/mm2未満の場合には、後述する第2の工程において、所定形状を有するフィン及び高リードを有する溝形状を転造加工により得るには充分な耐力ではないため、素管は管軸方向の引抜き力により、転造加工時に素管が破断しやすくなる。
【0066】
また、加工をうける素管には張力が作用しているが、素管の0.5%耐力が75N/mm2未満であると、前記張力により素管が抽伸方向に塑性変形し、素管の厚さ方向への変形が抑制されるため、特に、溝深さの大きい内面溝付管が作製しにくくなる。一方、素管の0.5%耐力が130N/mm2を超えた場合は、縮径加工時の加工硬化により上昇した0.5%耐力が大きいため、転造加工時における素管が溝付プラグに流入しにくいため、所定の溝形状が得難い。従って、本実施形態における素管の0.5%耐力が75N/mm2以上130mm2以下に限定することにより、転造加工による素管の破断が生じることなく素管に所定の溝形成を施すことができる。
【0067】
(素管の伸び)
素管の平均結晶粒径及び0.5%耐力が前記範囲であっても、素管の伸びが45%未満であると、素管に後述する第2の工程において、転造加工時を施す際に、素管が溝付プラグの溝に十分に流れないため、所定の高さ及び形状のフィンが得にくい。また、素管の伸びが52%を超えると、抽伸力により転造加工中に素管の伸びが発生し、素管の破断が発生しやすくなる。従って、本実施形態における素管の伸びが45%以上52%以下に限定することにより、転造加工による素管の破断が生じることなく素管に所定の溝形成を施すことができる。
【0068】
従って、第1の工程において提供される素管の素材及び特性は、リン脱酸銅ビレットを熱間押出して作製された押出管を、圧延し、抽伸し及び焼鈍して素管とし、押出管の熱間押出後300°Cまでの平均冷却速度が5°C/秒以上の条件であり、素管の平均結晶粒径が0.01〜0.03mm、0.5%耐力が75〜130N/mm2、伸びが45〜52%の範囲に限定することにより、工具である溝付プラグが破損せず、溝成形が優れた高リードを有する内面溝付管を安定して製造することができる。
【0069】
そして、本発明の工程は、図4に示すように前記の素管51を、前記の製造装置1に記載のとおり、縮径部2において縮径ダイス6と縮径プラグ7において第1の縮径加工を行う工程である。そして、第1の縮径加工により、素管の0.5%耐力を2.5〜3.6倍に増加させることにより、溝成形性が優れた内面溝付管を安定して製造することができる。
【0070】
以下、本実施形態の第1工程に係る素管51の縮径加工による0.5%耐力増加範囲の前記数値限定の根拠について説明する。
【0071】
(素管の0.5%耐力増加範囲)
前記の組織及び機械的性質を有する素管51が縮径ダイス6と縮径プラグ7の間で通過するように引抜かれることにより、素管51に縮径加工が施され、素管51が塑性加工を受け加工硬化する。この加工硬化により、縮径後の素管51の0.5%耐力は縮径前に比べて増加するが、後記する第2の工程では、転造ボール10または転造ロール(図示せず。)により転造加工が施される。この際に、素管51の内面に所定形状を有するフィンが形成できるような素管51を提供できる縮径ダイス6の縮径率、形状、及び縮径プラグ7の寸法・形状を選択することが必要である。
【0072】
縮径による加工硬化率(0.5%耐力の増加率)は、縮径ダイスと縮径プラグとにより、素管51がどの程度塑性加工を受けるかによって定まる。基本的には、この部分での加工硬化率が0(0.5%耐力の増加率が0)の場合でも、転造加工により所定の溝を素管内51に形成することが可能であるが、縮径加工による加工硬化率を0にすることは困難であり、実際には加工硬化が発生する。前記増加率が2.5倍未満であると、縮径ダイス6と縮径プラグ7の掛り代が小さくなり、肉厚が減肉量が大きくなり、材料破断を生じたり、縮径プラグの縮径ダイスによる保持が不安定になりプラグがぬけたりする。
【0073】
また、前記増加率が3.6倍を超えると、素管51の加工硬化が大きくなるため、溝付プラグ12の溝底端部にまで素管51が流入し難くなる。従って、本実施形態における素管の0.5%耐力の増加率を、2.5倍以上3.6倍以下に限定することにより、素管51に所定の溝形成を施すことができる。
【0074】
(第2の工程)
次に、第2の工程は、図4に示すように、第1の工程で縮径された素管51を、前記の製造装置1の記載のとおり、転造部3により第2の縮径加工および転造加工を行う工程である。そして、複数個の転造ボール10または転造ロール(図示せず。)で素管51を溝付プラグ12に押圧することにより素管51に第2の縮径加工を施し、縮径された素管51の内面に溝付プラグ12の溝形状を転写する工程である。
【0075】
(第3の工程)
次に、第3の工程は、図4に示すように、第2の工程で溝形状が転写された素管51を、前記の製造装置1に記載のとおり、整形部4により第3の縮径加工を施し内面溝付管53を提供する箇所である。そして、第3の工程における整形ダイス15の外径変化率は0.5%から18%であることを特徴とする。
【0076】
尚、第3の工程におけるトータル加工率、いわゆる第1、第2、及び第3の全ての工程を経た後の加工率は、例えば20〜40%とする。
【0077】
以下、本実施形態の第3工程に係る素管51の整形ダイス15による縮径率の前記数値限定の根拠を示す。
【0078】
外径変化率が18%以上を超えると、引抜き荷重の増加により内面溝付管53は破断しやすくなる。また、外径変化率が0.5%未満になると、前記第2の工程の転造加工時に形成された外表面の転造ボール10または転造ロール(図示せず。)の跡が消えず外見上好ましくない。従って、外径変化率を0.5%から18%にすることにより、内面溝付管53の引抜き荷重が低減され材料破断防止が図れ、また、内面溝付管53の外表面の転造ボール10または転造ロール(図示せず。)の跡が小さくなるため、外表面にボールまたはロールの後が目立たない内面溝付管53を安定して製造することができる。
【0079】
【実施例】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0080】
(第1の実施例)
内面溝付管の、溝リード角θ、フィン高さH、フィン山頂角α、フィン根元半径R、フィンピッチL、フィン根元半径とフィンピッチの比R/Lの全てが本発明の請求範囲を満足する形状(実施例1〜5)を有する試作管と、前記3つのうち1つまたは2つが本発明の請求範囲を満足しない形状(比較例1〜11)を有する試作管をそれぞれ作製した。そして、各試作管について、製造可否(加工性)、及び管内伝熱性能を評価し、その結果を表1に示す。
【0081】
尚、表1における、製造可否の欄における「○」とは製造が可能であったことを示し、「×」とは製造が不可能であったことを示す。製造可否は、加工途中における素管の破断有無、工具である溝付プラグの寿命等から総合的に判断した。更にまた、伝熱性能測定結果の欄における判断は、比較例7の内面溝付管内の伝熱性能を1とした場合における各内面溝付管の蒸発性能及び凝縮性能の測定値を相対値とし、蒸発性能及び凝縮性能の少なくとも一方が1.1未満である場合を「×」(不良)とし、蒸発性能及び凝縮性能の双方が1.1以上である場合を「○」(良)とし、蒸発性能及び凝縮性能の双方が1.25以上である場合を「◎」(最良)とした。又、「−」とは、内面溝付管の製造不可のため、伝熱性能の測定が不可能であったことを示す。製造可否、伝熱性能共に総合判断し、共に○及び◎を○とし、片方のみ○及び両方×は×と判断した。
【0082】
次に、表2に示す冷媒の蒸発試験及び凝縮試験による管内の伝熱性能測定には、内面溝付管を長さが3.5mの2重管式熱交換器(以下、外管という)の内管として配置し、内面溝付管内に冷媒流量を30kg/時間として、冷媒(R410A)を供給し、内面溝付管との間の環状部に水を供給して熱交換を行い、伝熱性能を測定した。尚、蒸発試験においては、冷媒が完全に蒸発し、所定の過熱度になるように水温を調整した。また、凝縮試験においても、冷媒が完全に凝縮し、所定の過冷却度になるように水温を調整した。また、伝熱性能測定時における冷媒の蒸発試験及び凝縮試験については条件を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1の結果より、本発明の実施例1、2、3、4、及び5のいずれもが、内面溝付管内の製造可否(加工性)及び伝熱性能が共に満足する結果となった。
【0086】
比較例1より、フィン根元半径Rが下限値未満であると内面溝付管の製造は不可であり、比較例2より、フィン根元半径Rが上限値を超えると管内の伝熱性能は満足しないことから、フィン根元半径Rが範囲内から逸れると、内面溝付管の生産性及び管内伝熱性能のいずれも満足しない。また、比較例3より、フィンピッチLが上限値を超えると管内の伝熱性能は満足せず、比較例4よりフィンピッチLが下限値0.2mm未満であると、内面溝付管の製造は不可であることから、フィンピッチLが範囲内から逸れると、内面溝付管の生産性及び管内伝熱性能のいずれも満足しない。さらに、比較例5より、フィン根元半径RとフィンピッチLの比R/Lが下限値未満であると製造は可能であるが、管内の伝熱性能は満足せず、比較例6より、フィン根元半径RとフィンピッチLの比R/Lが上限値を超えると内面溝付管の製造は不可であることから、フィン根元半径RとフィンピッチLの比R/Lが範囲内から逸れると、内面溝付管の生産性及び管内伝熱性能のいずれも満足しない。
【0087】
比較例7より、フィン根元半径R、及び溝リード角θが下限値未満であると、内面溝付管の製造は可能であるが、管内の伝熱性能は満足しない。また、比較例8より、フィン高さHが下限値未満であると、管内の伝熱性能は満足せず、比較例9より、フィン高さHが上限値を超えると、内面溝付管の製造は不可であることから、フィン高さHが範囲内から逸れると、内面溝付管の生産性及び管内伝熱性能のいずれも満足しない。さらに、比較例10より、フィン山頂角αが下限値未満であると、内面溝付管の製造は不可であり、比較例11より、フィン山頂角αが上限値を超えると、管内の伝熱性能は満足しないことから、フィン山頂角αが範囲内から逸れると、内面溝付管の生産性及び管内伝熱性能のいずれも満足しない。
【0088】
フィン根元半径R、フィンピッチL、フィン根元半径とフィンピッチの比R/Lのいずれか1つでも、本発明の請求範囲から逸れた場合は、内面溝付管の加工性あるいは管内伝熱性能のいずれかが満足しない結果であった。
【0089】
(第2の実施例)
次に、素管の製造条件である平均結晶粒径、0.5%耐力、及び伸びと、製造された素管の第1の縮径加工による0.5%耐力の増加率及び第3の縮径加工による外径変化率の全てが、本発明の請求範囲を満足する試作管(実施例6〜8)と、前記4つのうち3つまたは全てが本発明の請求範囲を満足しない試作管(比較例12〜15)をそれぞれ作製した。内面溝加工を行う素管の製造法は、直径300mmのC1220鋳塊(P:0.022%)より複数の押出し用ビレットを切出し、前記ビレットを800〜900°Cで30分程度均質化焼鈍後、800〜900°Cで熱間押出し、シャワー水冷(平均冷却速度10〜15°C/秒)することにより押出素管を作製した。
【0090】
押出素管に、圧延、抽伸加工を行って外径9.52mm、肉厚0.5mmの素管とした後、焼鈍により内面溝付加工用の素管とした。前記の焼鈍には、高周波誘導加熱炉(高速昇温、短時間高温加熱、急速冷却)、またはローラーハース炉(低速昇温、450〜550°C×30分〜1時間加熱、徐冷)を用い平均結晶粒径、0.5%耐力、伸びの異なる内面溝付加工用素管のコイルを作製した。平均結晶粒径は、JISH0501に規定の切断法により管軸平行断面について測定した。
【0091】
また、0.5%耐力及び伸びはJISZ2241に規定の方法により求めた。そして、作製した素管コイルに表3に示す条件を有する溝付プラグを用いて内面溝付加工を行い、長さ500mの内面溝付管を作製した(引抜き速度30m/秒)。尚、内面溝付管の製造に用いた縮径ダイス及び整形ダイスは、実施例6〜8、及び比較例12〜15の全ての試作管に対し、同一の物とし、整形部(整形ダイス)による第3の縮径加工は、管の外径変化率10%で行った。
【0092】
また、作製された内面溝付管は、外径が7.0mm、溝リードθ角が約42°、フィン高さHが0.2mm、溝数が65、フィンピッチが0.3mm、フィン根元半径Rが0.08mm、フィン根元半径とフィンピッチとの比R/Lが0.27である。この内面溝付管の定常加工部(引抜き速度が所定値に安定した部分)の先端部及び後端部より試料を採取して断面を観察して溝の成形状況を観察した。
【0093】
次に、所定の形状の溝が形成されている試料は残りのコイルをローラーハース炉で所定条件のもとで焼鈍後、コイルの両端より試料を採取して管軸平行断面の組織を観察し、再結晶の様子(混粒の発生状況)を調査した。各試作管について、素管の平均結晶粒径、0.5%耐力及び伸び、製造可否(フィンの成形性)、工具である溝付プラグの欠損有無、及び混粒組織の有無を表4に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
表4の結果より、本発明の実施例6、7、及び8のいずれもが、所定形状の溝が形成された内面溝付管を、プラグの欠けを発生させることなく製作することが可能であった。また、焼鈍後も混粒組織となることがなく(平均結晶粒径20μm)、熱交換器組立てのためにUベント曲げを行っても曲げ部のしわ、割れなどの不具合が発生せず、歩留まり良く熱交換器に組み立てることが可能であった。
【0097】
比較例12及び13より、素管の製造条件である平均結晶粒径、0.5%耐力、及び伸びと、製造後の素管の第1縮径加工時における0.5%耐力の増加率が本発明の請求範囲外であると、素管が硬質であるため、管内面の加工性が悪く、所定形状の内面フィンを形成することが不可能であった。また、素管が硬質であるため、溝付プラグに欠損が生じた。尚、これらの試料は所定形状の内面溝付管が作製できなかったので、焼鈍後の混粒組織有無の確認は行わなかった。
【0098】
比較例14より、素管の平均結晶粒径と0.5%耐力、及び第1の縮径加工による0.5%耐力の増加率が、本発明の請求範囲を逸れると、製造後の内面溝付管は、焼鈍後に混粒組織となり、熱交換器組立のためにUベント曲げを行うと、曲げ部にしわ及び割れ等の不具合が発生し、熱交換機の組立には使用できるものの歩留まりが大幅に低下する結果となった。
【0099】
比較例15は、比較例14より軟質であり、素管の製造条件である平均結晶粒径、0.5%耐力,及び伸びと、製造後の素管の第1縮径加工時における0.5%耐力の増加率が、本発明の請求範囲外であるため、素管に作用する引抜き力により転造加工中に管に破断が生じた。尚、比較例15については、内面溝付管の作製が不可であったため、焼鈍後の混粒組織有無の確認は行わなかった。
【0100】
素管の製造条件である平均結晶粒径、0.5%耐力及び伸び、製造された素管の第1の縮径加工による0.5%耐力の増加率のいずれか1つでも、本発明の請求範囲から逸れた場合は、所定形状の溝が形成された内面溝付管を、プラグの欠けを発生させることなく製作することは不可能であった。
【0101】
(第3の実施例)
次に、第1の縮径加工における縮径加工率を変化させて、本発明の請求範囲を満足する試作管(実施例9〜11)と、本発明の請求範囲を満足しない試作管(比較例16〜17)をそれぞれ作製し、所定の溝形状が形成できるかを確認した。
尚、内面溝付管の製造に用いる素管は、実施例9〜11、及び比較例16〜17の全てが、平均結晶粒径が、0.018〜0.023mm、0.5%耐力が83〜90N/mm2、伸びが48〜50%である本発明の請求範囲を満足するものを用いた。また、外径の大きい素管に対しては縮径加工率が大きく取れる縮径ダイス及び縮径プラグを、一方、外径の小さい素管に対しては縮径加工率が小さく取れる縮径ダイス及び縮径プラグのの組み合わせを用いて、縮径加工による0.5%耐力の増加率を変化させた。そして、作製した素管コイルに表3に示す条件を有する溝付プラグを用いて内面溝付加工を行い、長さ500mの内面溝付管を作製した(引抜き速度30m/秒)。尚、内面溝付管の製造に用いた縮径ダイス及び整形ダイスは、実施例9〜11、及び比較例16〜17の全ての試作管に対し、同一の物とし、整形部(整形ダイス)による第3の縮径加工は、内面溝付管の外径変化率10%で行った。
【0102】
作製された内面溝付管の形状は、第2の実施例と同じものであった。この内面溝付管の定常加工部(引抜き速度が所定値に安定した部分)の先端部及び後端部より試料を採取して断面を観察して溝の成形状況を観察し、また、工具である溝付プラグの欠損有無を確認した。各試作管について、製造可否(フィンの成形性)、工具である溝付プラグの欠損有無を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
表5の結果より、本発明の実施例9、10、及び11のいずれもが、第1の縮径加工による0.5%耐力の増加率及び整形ダイスによる外径変化率(10%:全試料共通)が請求範囲内であるため、所定形状の溝が形成された内面溝付管を、プラグの欠けを発生させることなく製作することが可能であった。
【0105】
比較例16より、第1の縮径加工における0.5%耐力の増加率が、本発明の請求範囲の下限値より小さいと、溝付加工される管の0.5%耐力が小さく、素管に作用する引抜き力により転造加工中に破断が生じた。また、比較例17により、第1の縮径加工における0.5%耐力の増加率が、本発明の請求範囲の上限値より大きいと、溝付加工される管の0.5%耐力が大きく、素管材が加工硬化を生じて、溝付プラグの溝に素管材料が充分に流入することができず、所定形状のフィンを形成することが不可能であった。また、素管が硬質となり、工具である溝付プラグに欠損が生じた。
【0106】
第1の縮径加工における0.5%耐力の増加率が、本発明の請求範囲から逸れた場合は、所定形状の溝が形成された内面溝付管を、プラグの欠けを発生させることなく製作することは不可能であった。
【0107】
(第4の実施例)
次に、第3の縮径加工における整形ダイスによる外径変化率が、本発明の請求範囲を満足する試作管(実施例12〜14)と、前記外径変化率が本発明の請求範囲を満足しない試作管(比較例18〜19)をそれぞれ作製し、所定の溝形状が形成できるかを確認した。尚、内面溝付管の製造に用いる素管は、実施例12〜14、及び比較例18〜19の全てが、管外径が9.52mm、管底肉厚が0.5mm、平均結晶粒径が、0.018mm、0.5%耐力が87N/mm2、伸びが49.5%である本発明の請求範囲を満足するものを用いた。また、第1の縮径加工における素管の0.5%耐力の増加率は3.34倍である本発明の請求範囲を満足するものを用いた。
【0108】
そして、作製した素管コイルに表3に示す条件を有する溝付プラグを用いて内面溝付加工を行い、長さ500mの内面溝付管を作製した(引抜き速度30m/秒)。尚、第3の縮径加工における外径変化率が異なるため、作製される内面溝付管の外径、長さ、及び溝リード角は異なるものであった。
【0109】
前記内面溝付管の定常加工部(引抜き速度が所定値に安定した部分)の先端部及び後端部より試料を採取して断面を観察して溝の成形状況を観察し、また、外表面の転造ボールの跡を観察した結果を表6に示す。
【0110】
【表6】
【0111】
表6の結果より、本発明の実施例12、13、及び14のいずれもが所定形状の溝が形成された内面溝付管を作製することが可能であり、且つ、整形ダイスにより外表面が加工を受けているため、転造ボールの跡も残存せず良好な表面状態であった。
【0112】
比較例18より、第3の縮径加工における整形ダイスの外径変化率が、本発明の請求範囲の下限値より小さいと、外表面の加工率が小さいため転造ボールの跡が残存し、内面溝付管外表面の凹凸が大きい。従って、拡管によりその表面にアルミフィンを取り付けて熱交換器を作成しても、アルミフィンと管外表面との隙間が大きいことから、充分な伝熱性能を発揮させることは難しい。また、比較例19より、前記外径変化率が、本発明の請求範囲の上限値より大きいと、引抜き荷重が増加し、加工中に管の破断が生じる。
【0113】
第3の縮径加工における整形ダイスによる外径変化率が、本発明の請求範囲から逸れた場合は、内面溝付管の外表面に、転造ボールまたは転造ロールの跡を残さずに、内面溝付管を作製することは不可能であった。
【0114】
(第5の実施例)
次に、内面溝付管の製造装置に用いる溝付プラグの炭化タングステンの平均粒度が、本発明の請求範囲を満足する溝付プラグ(実施例15)と、前記炭化タングステンの平均粒度が、本発明の請求範囲から逸れる溝付プラグ(比較例20)をそれぞれ用いて内面溝付管を作製し、溝付プラグの寿命を確認した。
【0115】
尚、内面溝付加工を行う素管は、本発明の請求範囲内である第2の実施例における実施例6の素管(管外径が9.52mm、管底肉厚が0.5mm、平均結晶粒径が0,012mm、0.5%耐力が96N/mm2、伸びが48.5%、及び第1の縮径加工における素管の0.5%耐力の増加率が、3.05倍)を用いた。そして、作製した素管コイルに表7に示す条件を有する溝付プラグを用いて内面溝付加工を行い、長さ2500mの内面溝付管を作製した(引抜き速度20m/秒)。
【0116】
尚、内面溝付管の製造に用いた整形ダイスによる外径変化率は10%とした。そして、作製された内面溝付管は、外径7.0mm、溝リード角が約49°、フィン高さが0.18mm、溝数55、フィンピッチ0.35mm、フィン根元半径0.09mm、及びフィン根元半径とフィンピッチの比が0.26であった。この内面溝付管の定常加工部(引抜き速度が所定値に安定した部分)の先端部及び後端部より試料を採取して断面を観察して溝の成形状況、及び加工終了後の溝付プラグの欠損有無について観察した結果を表8に示す。
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
表8の結果より、本発明の請求範囲内である炭化タングステンの平均粒度0.5μmを有する実施例15の溝付プラグを用いた場合は、内面溝付管の溝リード角が約50°と大きい溝形状でも、最後まで欠損せず全長に渡り管内に、所定形状の溝を正しく形成することが可能であった。これに対し、本発明の請求範囲から逸れる炭化タングステンの平均粒度3μmを有する比較例20は、炭化タングステンの平均粒度の粗い従来の超硬製プラグを使用しているため、加工された内面溝付管後端部においては溝が正しく形成されておらず、また、加工後の溝付プラグにも欠損が発生しており、加工途中において溝付プラグの欠損が生じた。
【0120】
(第6の実施例)
次に、溝付プラグの自転方向と転造ボールの公転方向が、互いに同一方向である本発明の実施形態の場合と、前記溝付プラグの自転方向と転造ボールの公転方向が逆方向である本発明の実施形態ではない場合とのそれぞれの条件で、内面溝付管の溝の形成しやすさを比較した。尚、内面溝付加工を行う素管は、本発明の請求範囲内である第2の実施例における実施例7の素管(管外径が9.52mm、管底肉厚が0.5mm、平均結晶粒径が0,018mm、0.5%耐力が87N/mm2、伸びが49.5%、及び第1の縮径加工における素管の0.5%耐力の増加率が、3.34倍)を用いた。
【0121】
このようにして作製した素管コイルに表3の溝付プラグ(引抜き方向の上流側から見て右ねじ方向に溝が形成されている)を用いて、引抜き方向の上流側から見て転造ボールの公転方向を右ねじ方向(同一方向に回転)、及び引抜き方向の上流側から見て転造ボールの公転方向を左ねじ方向(逆方向に回転)とし、それぞれ内面溝付加工を行い、長さ500mmの内面溝付管を作製した。尚、転造ボールの公転の速さは同一方向回転及び逆方向回転とも同じとし、引抜き速度を変化させて、管内にフィンが正しく形成されるかを確認した。また、第3工程の整形ダイスによる外径変化率は10%とした。
【0122】
正しく加工された場合は、内面溝付管内に形成されるフィンの高さは0.2mmとなる。そこで、同一方向回転及び逆方向回転の条件において、管内にフィンが正しく形成される引抜き速度を測定した。その結果、その引抜き速度は、同一方向回転が逆方向回転より約10%程度大きいことがわかった。以上より、溝リード角の大きい内面溝付管を作製する場合は、転造ボールの公転方向と溝プラグの回転方向は、同一方向とすることが、内面溝付管の生産性の面から有利であることが判る。
【0123】
【発明の効果】
本発明にかかる内面溝付管内面は、溝内の冷媒液膜が充分に攪拌されて冷媒の気液界面での温度差が小さくなるため、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管を提供することができた。
【0124】
本発明縮にかかる内面溝付管内面は、所定の溝形状を得られ、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管を製造する製造装置を提供することができた。
【0125】
また、内面溝付管の製造装置に使用される溝付プラグの材質を、炭素タングステンの平均粒度が0.2μm以上0.9μm以下である超硬合金とする溝付プラグを用いることによって、溝付プラグが破損し難いため、所定の溝形状を得られ、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管を製造することができた。
【0126】
本発明にかかる内面溝付管の製造装置は、使用される転造ボールまたは転造ロールの転造加工時における公転方向を、溝付プラグの自転方向と同一することによって、加工部分に対して転造ボールまたは転造ローラーが接する押圧時間が長く所定の溝形状を安定して得られ、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管を製造することができた。
【0127】
本発明にかかる内面溝付管の製造方法によれば、所定特性の素管を第1の縮径加工、第2の縮径加工および転造加工ならびに、第3の縮径加工を行い、第3の縮径加工における素管の外径変化率と、第1の縮径加工における素管の0.5%耐力増加率を所定範囲にすることにより所定の溝形状が選ばれると共に、素管の断管が生じないため、伝熱性能及び加工性に優れた内面溝付管を製造する製造方法を提供することができた。また、溝付プラグの材質を特定することにより溝付プラグの破損を防止することができ、さらに、溝付プラグの自転方向と転造ボールまたは転造ロールの公転方向を同一とすることにより生産性に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る内面溝付管の断面形状を示す軸方向に破断した時の一部端面図である。
【図2】図1のA−A線における一部拡大断面図である。
【図3】本実施形態に係る溝付プラグの溝形状を示す一部拡大断面図である。
【図4】本実施形態に係る内面溝付管の製造装置を示す断面図である。
【図5】従来の内面溝付管の製造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 縮径部
3 転造部
4 整形部
5、8、14 潤滑油供給装置
6 縮径ダイス
7 縮径プラグ
39 加工ヘッド
10 転造ボール
12 溝付プラグ
13 プラグ軸
15 整形ダイス
21、22、23 潤滑油
41 溝底面
42 フィン
42a フィン山頂曲線部
42b フィン斜面直線部
51 素管
53 内面溝付管
θ 溝リード角
H フィン高さ
α フィン山頂角
R フィン根元半径
L フィンピッチ
X 抽伸方向
Claims (4)
- 銅または銅合金からなり、管内面に螺旋状の溝が形成された内面溝付管であって、前記内面の溝及び隣り合う溝間に形成されるフィンの形状が
溝リード角(θ)30°以上60°以下、
フィン高さ(H)0.15mm以上0.30mm以下、
フィン山頂角(α)5°以上30°以下、
フィン根元半径(R)H/3mm以上2H/3mm以下、
フィンピッチ(L)0.2mm以上0.5mm以下、および
フィン根元半径とフィンピッチの比(R/L)0.15以上0.5以下
であることを特徴とする内面溝付管。 - 銅または銅合金からなる素管を縮径プラグと縮径ダイスにより第1の縮径加工を行う縮径部と、
縮径された前記素管を、複数個の転造ボール又は転造ロールで、前記縮径プラグに連結軸を介して相対的に回転可能に連結された溝付プラグに押圧することにより第2の縮径加工及び前記素管の内面に前記溝付プラグの溝形状を転写する転造加工を行う転造部と、
縮径及び転造加工された前記素管を、整形ダイスにより第3の縮径加工を行う整形部とを有し、
前記素管の管内面において隣合うフィンにより形成された溝の溝リード角30°以上60°以下となるようにする内面溝付管の製造装置であって、
前記溝付プラグは、その溝形状が
溝深さ(h)0.15mm以上0.30mm以下、
溝山頂角(β)5°以上30°以下、
溝根元半径(r)h/3mm以上2h/3mm以下、
であり、その材質として、炭化タングステンの平均粒度が0.2μm以上0.9μm以下である超硬合金を使用することを特徴とする内面溝付管の製造装置。 - 前記転造部における転造ボール又は転造ロールの公転方向と前記溝付プラグの自転方向は互いに同一方向であることを特徴とする請求項2に記載の内面溝付管の製造装置。
- 請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載の内面溝付管の製造装置を用いて請求項1に記載の内面溝付管を製造する製造方法であって、
りん脱酸銅ビレットを熱間押出して作製された押出管を、圧延し、抽伸し及び焼鈍して素管とし、前記素管は平均結晶粒径が0.01〜0.03mm、0.5%耐力が75〜130N/mm2、伸びが45〜52%の範囲にあるものであって、
前記素管を、前記縮径部により第1の縮径加工を行う第1の工程と、
前記第1の工程で得られた縮径され前記素管の0.5%耐力を2.5〜3.6倍にして、その素管を、前記転造部により第2の縮径加工および転造加工を行う第2の工程と、
前記第2の工程で前記溝付プラグの溝形状が転写された素管を、前記整形部により第3の縮径加工を行う第3の工程とを含み、
前記第3の工程における前記溝付プラグの溝形状が転写された素管の外径変化率は0.5%から18%とすることを特徴とする内面溝付管の製造方法.
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