JP2002243384A - 内面溝付伝熱管 - Google Patents

内面溝付伝熱管

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JP2002243384A JP2001042992A JP2001042992A JP2002243384A JP 2002243384 A JP2002243384 A JP 2002243384A JP 2001042992 A JP2001042992 A JP 2001042992A JP 2001042992 A JP2001042992 A JP 2001042992A JP 2002243384 A JP2002243384 A JP 2002243384A
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    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジフルオロメタン及びジフルオロメタンを含
む混合冷媒に好適な内面溝付伝熱管において、内面形状
を限定することにより凝縮熱伝達率及び蒸発熱伝達率を
向上させ、且つ軽量なシームレス内面溝付伝熱管を提供
する。 【解決手段】 管の内面に形成される溝3のリード角θ
を25°以上とし、管内面の展開図において、転造ボー
ル又は転造ロールにより管外面が押圧されることにより
管内面に形成される圧痕の軌跡4を、管軸直交方向に対
して溝3と同じ方向に0°を超え10°以下の角度で傾
斜させ、溝ピッチを0.25mm以上とする。また、好
ましくは、フィンの高さを0.10mm以上、溝ピッチ
を0.40mm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジフルオロメタン又
はジフルオロメタンを含む混合物を冷媒として使用する
冷凍機器及び空調機器等の熱交換器に使用される内面溝
付伝熱管に関し、特に、凝縮熱伝達率及び蒸発熱伝達率
の双方が優れたシームレス内面溝付伝熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ルームエアコンをはじめとする空
調機器及び冷凍機器には、クロロジフルオロメタン(R
22)等、その分子構造内に塩素を含む冷媒(HCF
C)が広く使用されてきた。しかしながら、これらの冷
媒(HCFC)はオゾン層を破壊する物質であることか
ら、近時、塩素を含まない冷媒(HFC)への転換が進
んでいる。また、地球温暖化抑制のために、冷凍機器及
び空調機器には消費電力の低減が求められている。これ
は、冷凍機器及び空調機器の消費電力を低減することに
より、火力発電所から排出される炭酸ガス量を削減する
ことができるからである。
【0003】R22の代替として、HFCである1,
1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)が一
部の大型空調機等に採用されたが、R134aはR22
よりも液熱伝導率が低いため機器性能が大幅に低下し、
熱交換器容積及び消費電力の増大を招くため、ルームエ
アコン及びパッケージエアコンには殆ど採用されていな
い。
【0004】ルームエアコン及びパッケージエアコンに
はジフルオロメタン(R32)を含む混合冷媒が採用さ
れ始めている。R32はR22に比べて、潜熱、蒸気熱
伝導率及び液熱伝導率が大きいという利点がある。ま
た、R32が可燃性であることと作動圧力がR22の
1.6倍であることから、R32にR125又はR13
4aを混合した冷媒、即ち、R410A及びR407C
等の非共沸混合冷媒も使用されている。但し、R32の
可燃性は比較的低く不燃性に近いため、R32単体を冷
媒として使用することも考えられる。
【0005】一方、空調機器の空冷式熱交換器の伝熱管
には内面溝付管が広く使用されており、その内面の溝形
状は以下のように最適化が図られている。
【0006】特開平8−105699号公報には、蒸発
及び凝縮熱伝達率を向上させることを目的として、内面
の溝形状を規定する技術が開示されている。具体的に
は、フィン山頂角を10乃至20°、溝深さを0.15
乃至0.23mm、溝底幅を0.1乃至0.3mm及び
管軸に対する溝のリード角(捩れ角)を10乃至30°
とすることにより、伝熱管の蒸発熱伝達率及び凝縮熱伝
達率を改良することができると記載されている。
【0007】また、特開平8−145585号公報に
は、非共沸混合冷媒用に考案された溝形状が開示されて
いる。この技術は、凝縮熱伝達率を向上させることを目
的として、リード角(捩れ角)を45°以上と極端に大
きくしている。
【0008】更に、特許第2997189号公報にも非
共沸混合冷媒用に考案された溝形状が開示されている。
この技術は、凝縮熱伝達率を向上させることを目的とし
て、内面溝のリード角を25°以上とし、溝深さを0.
15乃至0.35mmに規定している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術には以下のような問題点がある。特開平8−105
699号公報に開示されている内面溝付管は、クロロジ
フルオロメタン(R22)及び1,1,1,2−テトラ
フルオロエタン(R134a)等の従来の冷媒に適した
ものであり、ジフルオロメタン(R32)並びにR41
0A及びR407C等のジフルオロメタンを含む混合冷
媒には適さないという問題点がある。
【0010】また、特開平8−145585号公報に開
示されている内面溝付管は、リード角を極端に大きくし
ているため、凝縮熱伝達率は向上するものの蒸発熱伝達
率は大幅に低下する。また、45°以上のリード角をシ
ームレス銅管に設けることは極めて困難である。
【0011】更に、特許第2997189号公報に開示
されている内面溝付管も、特開平8−145585号公
報に開示されている内面溝付管と同様に、リード角を限
定することにより凝縮熱伝達率は向上するが、一方で蒸
発熱伝達率が低下するという問題点がある。
【0012】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ジフルオロメタン及びジフルオロメタンを
含む混合冷媒に好適な内面溝付伝熱管であって、内面形
状を限定することにより凝縮熱伝達率のみならず蒸発熱
伝達率も向上させ、且つ軽量なシームレス内面溝付伝熱
管を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る内面溝付伝
熱管は、ジフルオロメタン又はジフルオロメタンを含む
混合物を冷媒に使用する熱交換器に使用され、管内面に
溝が形成された内面溝付伝熱管において、管内面の溝の
リード角が25°以上、溝ピッチが0.25mm以上で
あると共に、管内面の展開図において、転造ボール又は
転造ロールにより管外面を押圧した結果管内面に現れた
圧痕の軌跡が管軸直交方向に対し前記溝と同じ方向に0
°を超え10°以下の角度で傾斜していることを特徴と
する。
【0014】本発明においては、リード角を25°以上
とすることにより、凝縮時に冷媒液が溝に沿って上昇す
ることを抑制し、凝縮時に管頂部付近を乾いた状態に維
持することができる。これにより、内面溝付伝熱管の内
面において、冷媒液で濡れていない乾いた面で冷媒ガス
を凝縮させ、また、凝縮した冷媒液を速やかに排出させ
ることができるため、凝縮熱伝達率を向上させることが
できる。なお、リード角とは、管の内面に形成された溝
と管軸とのなす角のうち、小さい方の角度を指す。
【0015】一方、転造ボール又は転造ロールにより前
記内面溝付伝熱管の管外面を押圧することにより管内面
に圧痕の軌跡が形成されるが、この圧痕の軌跡は、管内
面の展開図において管軸方向に直交する方向(管軸直交
方向)に対し、前記溝と同じ方向に0°を超え10°以
下の角度で傾斜している。この圧痕により、蒸発時に圧
痕の軌跡に沿う冷媒液の流れを生じさせることができ
る。これにより、蒸発時に管側部まで濡らすことがで
き、蒸発熱伝達率を向上させることができる。なお、凝
縮時においては冷媒液の温度が高いため、冷媒液の表面
張力が蒸発時の約30%、粘度が約60%に低下し、圧
痕に沿う流れは存在し得ない。このため、凝縮時に管内
面における濡れている領域の面積を増大させ凝縮熱伝達
率を低下させることはない。また、本発明において、管
側部とは管の内面における管頂部と管底部の中央部の近
傍をいう。
【0016】また、前記内面溝付伝熱管の溝ピッチを
0.25mm以上とすることにより、凝縮時に溝底に連
続した液膜が形成されることを抑制できるため、凝縮時
に冷媒液が溝に沿って上昇することを抑制し、凝縮時に
管頂部付近を乾いた状態に維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)乃
至(d)は、リード角と冷媒液の挙動との関係を示す模
式図である。図1(a)及び(b)はリード角が大きい
内面溝付伝熱管を示し、図1(a)は管内面の模式的展
開図であり、(b)は管軸方向に垂直な断面図である。
一方、図1(c)及び(d)はリード角が小さい内面溝
付伝熱管を示し、図1(c)は管内面の模式的展開図で
あり、(d)は管軸方向に垂直な断面図である。また、
図2(a)乃至(c)はこの圧痕の軌跡に沿う流れを示
す展開図であり、(a)は管の内面における圧痕の軌跡
の位置を示し、(b)は圧痕の軌跡4が線10に対して
溝3と逆の方向に傾いている場合を示し、(c)は圧痕
の軌跡4が線10に対して溝3と同じ方向に傾いている
場合を示す。
【0018】本発明に係る内面溝付伝熱管は、冷媒とし
てジフルオロメタン(R32)又はジフルオロメタンを
含む混合冷媒、例えば、R410A及びR407C等の
非共沸混合冷媒等を使用する熱交換器に使用されるもの
である。ジフルオロメタン(R32)は、従来の冷媒で
あるクロロジフルオロメタン(R22)と比較して蒸気
密度が大きく、R22と同じ質量流量を管内に流して
も、体積流量が小さいために圧力損失が小さくなるとい
う特徴がある。また、R32の表面張力はR22に比べ
て、7乃至30%小さい。
【0019】本実施例の内面溝付伝熱管は、素材として
溝が形成されていないシームレス銅管を用意し、この管
の内側に溝付プラグを挿入し、この管の外面に転造ボー
ルを押圧し、溝付プラグ及び転造ボールを回転させて管
を転造することにより製造される。これにより、溝付プ
ラグによって管の内面に螺旋状の溝が形成されると共
に、管外面を転造ボールにより押圧することにより、管
内面に転造ボールの圧痕の軌跡が現われる。通常、転造
ボールの回転方向は溝付プラグの回転方向に対して逆方
向であるため、圧痕の軌跡は管軸直交方向に対して溝と
反対の方向に形成されるが、本実施例においては、転造
ボールの回転方向を溝付プラグの回転方向と同じ方向、
即ち順方向とすることにより、転造ボールの圧痕の軌跡
は管軸直交方向に対して溝と同じ方向に形成される。こ
の後、この管に縮径をかけ、内面溝付伝熱管1cが製造
される。図2(a)に示すように、内面溝付伝熱管1c
の管内面には、螺旋状の溝3及び転造ボールの圧痕の軌
跡4が形成されている。螺旋状の溝3と管内面における
管軸方向に平行な線5とのなす角は25°以上であり、
転造ボールの圧痕の軌跡4は管軸直交方向に対して溝3
と同じ方向に0°を超え10°以下の角度で傾斜してい
る。
【0020】以下、本発明の各構成要件の数値限定理由
について説明する。
【0021】リード角:25°以上 熱交換器に使用される内面溝付伝熱管においては、凝縮
時には冷媒液で濡れていない乾いた面で冷媒ガスを凝縮
させ、凝縮した冷媒液は速やかに排出されることが好ま
しい。図1(a)及び(b)に示すように、内面溝付伝
熱管1aの内面に形成された溝3と管内面における管軸
方向に平行な線5とのなす角、即ち、リード角θが大き
い場合は、冷媒液2が溝3に沿って上昇し難いため、管
頂部8付近は乾いている。また、管頂部8付近で凝縮し
た冷媒液2は速やかに管頂部8から排出される。なお、
内面溝付伝熱管1a及び1b内における冷媒液2により
占められていない空間には冷媒ガス9が存在している。
【0022】図1(c)及び(d)に示すように、リー
ド角θが小さい内面溝付伝熱管1bにおいては、冷媒液
2は溝3に沿って流れ、管頂部8付近へ大量に冷媒液2
が供給されるため、冷媒液膜の熱抵抗によりガス冷媒の
凝縮が阻害される。
【0023】このように、単一冷媒及び混合冷媒のいず
れの冷媒においても、高リード化、即ちリード角θを大
きくすることにより凝縮熱伝達率が向上する。前述の如
く、ジフルオロメタン(R32)は従来の冷媒であるク
ロロジフルオロメタン(R22)と比較して圧力損失が
小さいため、ジフルオロメタン(R32)を使用する内
面溝付伝熱管は、クロロジフルオロメタン(R22)を
使用する内面溝付伝熱管と比較して、リード角を大きく
して凝縮時の熱伝達率の向上させることができる。リー
ド角が25°以上であれば前記効果が顕著に認められる
ため、本発明においてはリード角を25°以上とする。
一方、高リード化による凝縮熱伝達率の向上は、管の単
重増加を殆ど伴わないという利点もある。
【0024】図3は内面溝付伝熱管の表面温度分布を測
定するための試験装置の構成を示す断面図である。図3
に示す試験装置は、試験部11と試験部11の両側に設
けられた配管部12とから構成されている。試験部11
の長さは500mmであり、試験装置全体の長さは83
0mmである。試験部11は試験対象となる内面溝付伝
熱管を使用して冷媒と水との間で熱交換を行うためのも
のであり、試験対象とする内面溝付伝熱管を供試管13
とし、供試管13を他の管14の内部に挿入して2重管
構造とし、更に、管14の周囲を断熱材15で覆ってい
る。供試管13の試験部11に含まれる部分が供試部1
3aである。試験部11においては、供試部13aと管
14との間の環状部に水を流し、供試管13内に冷媒を
流して熱交換させる。供試部13aの長手方向中間位置
には、直径0.2mmのシース熱電対16が供試管13
の周方向に沿って8箇所均等に貼り付けられており、供
試部13aの周方向の温度分布を測定することができ
る。配管部12は試験部11に冷媒及び水を供給するた
めのものであり、試験部11の両側に設けられている。
各配管部12には、夫々水を出入させる水出入口17及
び冷媒を出入させる冷媒出入口18が設けられている。
また、冷媒は試験装置の外部に設けられたポンプ19に
より循環される。
【0025】また、図4は試験対象となる内面溝付伝熱
管1dの形状、即ち、最小内径(Di)、底肉厚(t
w)、フィンの高さ(Hf)、フィンの根元の円弧半径
(R)、先端の円弧半径(R0)、フィンの山頂角
(α)及び溝底幅(Wg)を示す模式的断面図である。
図4において、山頂角αは、内面溝付伝熱管1dにおけ
るフィン6cの両側の側壁がなす角度を指す。
【0026】図5(a)乃至(d)は、夫々リード角θ
が10°、20°、25°及び30°の内面溝付伝熱管
における凝縮時の管周方向の表面温度分布を示すグラフ
図である。この表面温度分布は図3に示した試験装置に
より測定される。試験条件は、供試部13aの入口にお
ける冷媒の乾き度が0.6、出口の乾き度は0.4、凝
縮温度は供試部長手方向中間位置で約45℃になるよう
に制御する。冷媒の乾き度とは、液体の冷媒と蒸気の冷
媒との合計量に対する蒸気の冷媒量の質量比である。試
験対象となる内面溝付伝熱管は、外径(D0)が7.9
4mm、溝数(N)は70、底肉厚(tw)は0.26
mmであり、これらの内面溝付伝熱管の内面形状は、圧
痕の軌跡と管軸直交方向とのなす角(η)が+3°、溝
ピッチ(Pg)は0.333mm、フィンの高さ(H
f)は0.15mm、フィンの根元の円弧半径(R)は
0.05mm、フィンの先端の円弧半径(R0)は0.
04mm、フィンの山頂角(α)は20°である。図5
(a)乃至(d)において、各図の縦軸に沿って記載さ
れた数字は温度を示し、各図の外側に記載された1乃至
8の数字は測定位置を示し、1は管頂部、3及び7は管
側部、5は管底部を示す。なお、この記載方法は下記図
6乃至9においても同様である。また、太い実線で描か
れた八角形は各供試管の測定結果を示し、太い破線で描
かれた八角形は温度が45℃の線、即ち、気液境界を示
す。温度が45℃よりも高い箇所はその箇所の冷媒の状
態が蒸気であることを、温度が45℃以下の箇所は液で
あることを示している。
【0027】図5(a)及び(b)に示すように、リー
ド角(θ)が10°及び20°の内面溝付伝熱管におい
ては管頂部まで液冷媒が到達している。一方、図5
(c)及び(d)に示すように、リード角(θ)が25
°及び30°の内面溝付伝熱管においては管頂部には液
冷媒が存在せず乾いており、凝縮性能が優れていること
を示している。
【0028】管内面の展開図において転造ボール又は転
造ロールにより前記内面溝付伝熱管の内面に形成される
圧痕の軌跡の方向:管軸直交方向に対して溝と同じ方向
に0°を超え10°以下の角度で傾斜している 前述の如く、内面溝付伝熱管の高リード化に伴い、冷媒
液が溝に沿って管内を上昇することが抑制されるため、
管の凝縮熱伝達率は向上するが、濡れ面積が減少するた
め蒸発熱伝達率は低下する。このため、本発明において
は、転造ボール又は転造ロールの圧痕の軌跡と管軸との
なす角を規定することによりこの問題を解決する。内面
溝付伝熱管は、その製造過程において、転造ボール又は
転造ロールにより管の外面に圧痕の軌跡がつき、この軌
跡が管の内面にも現われる。本発明において規定する圧
痕の軌跡とはこの管の内面に現われた圧痕の軌跡を指
す。
【0029】管壁表面には僅かではあるが、前述の圧痕
の軌跡に沿う流れが生じる。これは圧痕表面の凹凸を表
面張力によって冷媒液が濡れ広がるために生じるもので
ある。図2(a)に示すように、圧痕の軌跡4と管の内
面における管軸方向と直交する線10とのなす角を角度
ηとする。また、溝3と管内面における管軸方向に平行
な線5とのなす角のうち小さい角度がリード角θであ
る。圧痕の軌跡4は線10に対して溝3と同じ方向に傾
斜している。
【0030】図2(b)に示すように、圧痕の軌跡4が
線10に対して溝3と逆の方向に傾いている場合又は圧
痕の軌跡4が線10と平行である場合、即ち、角度ηが
0°以下の場合は、圧痕の軌跡4に沿って管頂部へ上昇
しようとする冷媒液の流れは冷媒ガスの流れに対して順
方向ではないため存在できない。また、冷媒の流れの方
向が図2(b)に示す冷媒の流れの方向に対して逆の方
向である場合においても、溝3に沿う冷媒の流れの方向
と圧痕の軌跡4に沿う冷媒の流れの方向とのなす角度が
鈍角になるため、圧痕の軌跡4に沿う冷媒の流れは生じ
ない。
【0031】これに対し、図2(c)に示すように、圧
痕の軌跡4が線10に対して溝3と同じ方向に傾いてい
る場合、即ち、角度ηが0°を超える場合は、圧痕の軌
跡4に沿う冷媒液の流れは冷媒ガスの流れに対して順方
向の流れとなり、且つ、溝3に沿う冷媒の流れの方向と
圧痕の軌跡4に沿う冷媒の流れの方向とのなす角度が鋭
角になるため、圧痕の軌跡4に沿う冷媒の管頂部へ向か
う流れが存在でき、冷媒液が管側部まで濡れ広がること
ができ、蒸発熱伝達率を向上させることができる。ま
た、冷媒の流れの方向が図2(c)に示す冷媒の流れの
方向に対して逆の方向である場合においては、圧痕の軌
跡4に沿う冷媒の流れは一旦管底部に向かい、管底部を
通過した後に管頂部へ向かう流れとなる。
【0032】一方、製造上の限界から、ηは10°以下
である必要がある。なお、凝縮時においては冷媒液の温
度が高いため、冷媒液の表面張力は蒸発時の約30%、
粘度は約60%に低下し、圧痕の軌跡に沿う流れは発生
しない。従って、この流れが凝縮熱伝達率を低下させる
ことはない。
【0033】図6(a)乃至(d)は、夫々角度ηが−
8°、−3°、+3°及び+8°の平滑管において、蒸
発時の周方向表面温度分布を示すグラフ図である。平滑
管とは、内面溝付伝熱管を製造する工程において、内面
に溝付プラグを挿入しないで製作した管である。即ち、
これらの平滑管の内外表面には転造ボールによる圧痕の
みが形成されており、溝は形成されていない。このよう
な平滑管について図3に示した試験装置を使用して周方
向の表面温度分布を測定する。試験条件は、供試部13
aの入口における冷媒の乾き度は0.4、出口の乾き度
は0.6、蒸発温度は供試部長手方向中央位置で5℃に
なるように制御する。試験対象となる内面溝付伝熱管
は、外径(D0)が7.94mm、底肉厚(tw)は
0.26mmである。図6(a)乃至(d)において、
太い実線で描かれた八角形は各供試管の測定結果を示
し、太い破線で描かれた八角形は温度が5℃の線、即
ち、気液境界を示す。温度が5℃よりも高い箇所は、そ
の箇所の冷媒の状態が蒸気であることを、温度が5℃以
下の箇所は液であることを示す。
【0034】図6(a)及び(b)に示すように、ηが
−8°及び−3°の供試管においては、冷媒液は管底部
にあり側面及び管頂部には行き渡っていない。一方、図
6(c)及び(d)に示すように、ηが+3°及び+8
°の供試管においては、管側面まで液冷媒が行き渡って
いて、蒸発性能が優れている。
【0035】溝ピッチ:0.25mm以上 前述の如く、凝縮時の冷媒液の表面張力及び粘度は蒸発
時よりも小さいため、リード角が25°以上であれば、
凝縮時に冷媒が管頂部まで濡れ広がることはない。しか
しながら、溝ピッチを狭くし過ぎると、溝底に連続した
液膜を形成し、冷媒液が管頂部付近まで到達し凝縮熱伝
達率を低下させる。溝ピッチが0.25mm以上であれ
ば前記問題が発生しないため、溝ピッチの下限を0.2
5mmとする。
【0036】図7(a)乃至(d)は、夫々溝ピッチ
(Pg)が0.333mm、0.274mm、0.24
5mm及び0.222mmである内面溝付伝熱管におい
て、凝縮時の管周方向の表面温度分布を示すグラフ図で
ある。この温度分布は図3に示した試験装置を使用して
測定される。試験条件は、供試部13aの入口における
冷媒の乾き度が0.6、出口の乾き度が0.4、凝縮温
度は供試部長手方向中間位置で45℃になるように制御
される。試験対象となる内面溝付伝熱管は、外径(D
0)が7.94mm、底肉厚(tw)は0.26mmで
あり、これらの内面溝付伝熱管の内面形状は、リード角
(θ)が30°、圧痕の軌跡と管軸直交方向とのなす角
(η)が+3°、フィンの高さ(Hf)は0.15m
m、フィンの根元の円弧半径(R)は0.05mm、フ
ィンの先端の円弧半径(R0)は0.04mm、フィン
の山頂角(α)は20°である。図7(a)乃至(d)
において、太い実線で描かれた八角形は各供試管の測定
結果を示し、太い破線で描かれた八角形は温度が45℃
の線、即ち、気液境界を示す。温度が45℃よりも高い
箇所は、その箇所の冷媒の状態が蒸気であることを、温
度が45℃以下の箇所は液であることを表している。
【0037】図7(a)及び(b)に示すように、溝ピ
ッチ(Pg)が0.333mm及び0.274mmの内
面溝付伝熱管においては、管頂部が乾いている。一方、
図7(c)及び(d)に示すように、溝ピッチ(Pg)
が0.245mm及び0.222mmの内面溝付伝熱管
においては、管頂部に液冷媒が達しているため凝縮性能
が劣る。
【0038】フィンの高さ:0.10mm以上 本発明の内面溝付伝熱管においては、凝縮熱伝達率は高
リード化によって向上されるため、従来の内面溝付伝熱
管よりもフィンの高さを低くすることができ、単重軽減
が可能となる。しかし、蒸発時において、フィンの高さ
が0.10mm未満ではフィンが液膜に完全に埋もれて
しまうため、冷媒液膜を濡れ広がせる効果が低下する。
一方、フィンの高さを0.10mm以上にすれば、フィ
ンが液膜に埋もれることを防止できるため、冷媒液膜を
濡れ広がせることができ、蒸発熱伝達率がより向上す
る。従って、フィンの高さは0.10mm以上であるこ
とが好ましい。
【0039】図8(a)乃至(d)は、夫々フィンの高
さが0.05mm、0.08mm、0.10mm及び
0.15mmの内面溝付伝熱管において、蒸発時の管周
方向表面温度分布を示すグラフ図である。図3に示した
試験装置を使用して周方向の表面温度分布を測定する。
試験条件は、供試部13aの入口における冷媒の乾き度
は0.4、出口の乾き度は0.6、蒸発温度は供試部長
手方向中間位置で5℃になるように制御する。試験対象
となる内面溝付伝熱管は、外径(D0)が7.94m
m、溝数(N)は70、底肉厚(tw)は0.26mm
であり、これらの内面溝付伝熱管の内面形状は、リード
角(θ)が30°、圧痕の軌跡と管軸直交方向とのなす
角(η)が+3°、溝ピッチ(Pg)は0.333m
m、フィンの根元の円弧半径(R)は0.05mm、フ
ィンの先端の円弧半径(R0)は0.04mm、フィン
の山頂角(α)は20°である。図8(a)乃至(d)
において、太い実線で描かれた八角形は各供試管の測定
結果を示し、太い破線で描かれた八角形は温度が5℃の
線、即ち、気液境界を示す。温度が5℃よりも高い箇所
は、その箇所の冷媒の状態が蒸気であることを、温度が
5℃以下の箇所は液であることを示している。
【0040】図8(a)及び(b)に示すように、フィ
ンの高さ(Hf)が0.05mm及び0.08mmの内
面溝付伝熱管においては、冷媒液の位置は管側部に留ま
っており、圧痕の軌跡による効果以上の効果は得られて
いない。一方、図8(c)及び(d)に示すように、フ
ィンの高さが0.10mm及び0.15mmの内面溝付
伝熱管においては、冷媒液が管頂部まで行き渡ってお
り、蒸発性能がより向上していることがわかる。
【0041】溝ピッチ:0.40mm以下 ジフルオロメタン(R32)は従来の冷媒であるクロロ
ジフルオロメタン(R22)と比較して表面張力が小さ
いため、溝部の液膜が広がり難く、蒸発熱伝達率を低下
させる原因となる。このため、溝ピッチを狭めて溝底に
連続した液膜を形成させることにより、冷媒液を濡れ広
がらせることが好ましい。溝ピッチを0.40mm以下
にすると蒸発熱伝達率を向上させる効果が顕著に認めら
れるため、溝ピッチは0.40mm以下とすることが好
ましい。
【0042】図9(a)乃至(d)は、夫々溝ピッチ
(Pg)が0.466mm、0.424mm、0.38
9mm及び0.333mmである内面溝付伝熱管におい
て、蒸発時の管周方向表面温度分布を示すグラフ図であ
る。図3に示した試験装置を使用して周方向の表面温度
分布を測定する。試験条件は、供試部の入口における冷
媒の乾き度は0.4、出口の乾き度は0.6、蒸発温度
は供試部長手方向中間位置で5℃になるように制御す
る。試験対象となる内面溝付伝熱管は、外径(D0)が
7.94mm、底肉厚(tw)は0.26mmであり、
これらの内面溝付伝熱管の内面形状は、リード角(θ)
が30°、圧痕の軌跡と管軸直交方向とのなす角(η)
が+3°、フィンの高さ(Hf)は0.15mm、フィ
ンの根元の円弧半径(R)は0.05mm、フィンの先
端の円弧半径(R0)は0.04mm、フィンの山頂角
(α)は20°である。図9(a)乃至(d)におい
て、太い実線で描かれた八角形は各供試管の測定結果を
示し、太い破線で描かれた八角形は温度が5℃の線、即
ち、気液境界を示す。温度が5℃よりも高い箇所は、そ
の箇所の冷媒の状態が蒸気であることを、温度が5℃以
下の箇所は液であることを示している。
【0043】図9(a)及び(b)に示すように、溝ピ
ッチ(Pg)が0.466mm及び0.424mmの管
においては、冷媒液が管頂部まで行き渡っていない。一
方、図9(c)及び(d)に示すように、溝ピッチ(P
g)が0.389mm及び0.333mmの管において
は、冷媒液が濡れ広がっているため、蒸発性能が優れて
いる。
【0044】フィン根元の円弧半径とフィン高さの比:
0.15乃至0.45 フィンの根元を曲面状に加工することにより、フィンの
根元部分における液膜を薄くすることができる。その結
果、液膜の熱抵抗が減少し、蒸発熱伝達率を向上させる
ことができる。図10(a)及び(b)はフィンの根元
の形状と液膜の厚さとの関係を示す模式的断面図であ
る。図10(a)に示すように、フィン6aの根元7a
が曲面状に加工されていない場合は、根元7aの近傍で
は冷媒液2の液膜が厚くなる。一方、図10(b)に示
すように、フィン6bの根元7bに適当な円弧半径を持
つ曲面が設けられている場合は、曲面が設けられていな
い場合と比較して冷媒液2の液膜が薄くなる。フィンの
根元の円弧半径をRとし、フィンの高さをHfとすると
き、R/Hfの値が0.15乃至0.45であれば、フ
ィンの根元における液膜が薄くなり、蒸発熱伝達率が向
上する。
【0045】図11は、内面溝付伝熱管の蒸発熱伝達率
及び凝縮熱伝達率を測定する試験装置の構成を示す模式
図である。図11に示すように、この試験装置は試験部
20及びバイパス部21が設けられている。試験部20
は内面溝付伝熱管の蒸発熱伝達率及び凝縮熱伝達率を測
定するものであり、バイパス部21は試験部20に供給
する冷媒を所定の条件に調節するものである。試験部2
0とバイパス部21とは並列に連結されている。試験部
20は2重管構造となっており内管22と外管23とが
設けられている。内管22には供試管となる内面溝付伝
熱管を使用し、外管23には平滑銅管を使用する。試験
部20の両側にはヒーター24が設けられ、片方のヒー
ター24と試験部20との間には膨張弁25が連結され
ている。更に、試験部20には試験部20に水を供給す
るための水槽26が連結されている。一方、バイパス部
21には、バイパス凝縮器27、膨張弁28、バイパス
蒸発器29及びコンプレッサー30がこの順に環状に連
結され、独立した冷凍サイクルを構成している。
【0046】図11に示す試験装置においては、コンプ
レッサー30が駆動することにより、バイパス凝縮器2
7、膨張弁28、バイパス蒸発器29及びコンプレッサ
ー30からなる冷凍サイクルに冷媒を流し、冷媒を所定
の条件に調節する。そして、この条件が調節された冷媒
を試験部20の内管22内に流す。一方、水槽26より
内管22と外管23との間の環状部に水を供給し、この
水と前記冷媒との間で熱交換させて、水の出入口温度差
から伝熱量を測定する。また、内管22の冷媒出入口の
差圧も計測する。このとき、冷媒の圧力及び冷媒流量等
の条件が表1に示す値になるように、バイパス凝縮器2
7及びバイパス蒸発器29に流す水流量、膨張弁25及
び28の開度並びにヒーター24の出力を調節する。
【0047】管内熱伝達率は、管内熱伝達率をαi、総
括熱伝達率をKo、管外熱伝達率をαo、管壁熱抵抗を
R、供試管の内径をDi、供試管の外径をDoとすると
き、下記数式1により表される。
【0048】
【数1】αi=1/(1/Ko−1/αo−R)/(D
i/Do)
【0049】なお、管外熱伝達率αoはMonrad−
Pelton式により求めることができる。また、総括
熱伝達率Koは、伝熱量をQ、管外表面積をAo、冷媒
と水との間の対数平均温度差をΔTmとするとき、下記
数式2により表される。
【0050】
【数2】Ko=Q/(Ao×ΔTm)
【0051】図12は、フィンの高さが0.15mm、
0.20mm及び0.25mmの内面溝付伝熱管におけ
るフィンの根元の円弧半径Rを変化させた場合の蒸発熱
伝達率比を示す。測定は図11に示す試験装置により行
った。表1はこのときの測定条件を示す。フィンの根元
にRが設けられていない内面溝付伝熱管、即ち、R=0
の内面溝付伝熱管と比較して、R/Hfが0.15乃至
0.45の範囲にある内面溝付伝熱管は、蒸発熱伝達率
が5乃至8%高い値を示す。
【0052】
【表1】
【0053】なお、前記内面溝付伝熱管に関して、更に
熱伝熱性能の向上及び軽量化を図るために、フィンの山
頂角(α)は25°以下、フィン先端の円弧半径(R
0)は0.05mm以下であることが望ましい。
【0054】また、ジフルオロメタンは作動時の圧力が
従来の冷媒に比べて高いため、内面溝付伝熱管の底肉厚
は、底肉厚をtw、管の外径をD0とするとき、下記数
式3の関係を満たすものが望ましい。
【0055】
【数3】D0/tw≦31.7
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る内面溝付伝熱管
について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して具
体的に説明する。表2は本発明の実施例及び比較例にお
ける内面溝付伝熱管の内面形状を示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2に示す内面溝付伝熱管は、いずれもJ
ISH3300に記載されている合金番号C1220の
銅合金からなっている。表2において、溝数とは管の管
軸方向と直角をなす断面を横切る溝の数を指す。底肉厚
とは、図4に示すように、溝の底部における管の厚さを
指す。角度ηとは、管内面の展開図において転造ボール
又は転造ロールにより前記内面溝付伝熱管の内面に形成
される圧痕の軌跡と、管軸直交方向とのなす角をいい、
前記溝と同じ方向である場合を正とする。また、溝ピッ
チとは管の円周方向における溝の間隔を指し、溝ピッチ
をPg、管の最小内径をDi、円周率をπ、溝数をNと
すると下記数式4により求められる。
【0059】
【数4】Pg=Di×π/N
【0060】表2におけるNo.1乃至3は本発明の実
施例である。実施例No.1乃至3は、いずれもリード
角及び角度ηが本発明の範囲内にある。また、フィンの
高さ、溝ピッチ及びフィン根元の円弧半径Rとフィン高
さHfとの比も本発明の好適範囲内にある。一方、N
o.4乃至6は比較例である。比較例No.4乃至6
は、リード角及び角度ηが本発明の範囲から外れてい
る。
【0061】表2に示す内面溝付伝熱管について、図1
1に示す試験装置を使用して蒸発熱伝達率及び凝縮熱伝
達率を評価した。評価方法は、管径が同じ実施例及び比
較例について冷媒質量速度を変化させて蒸発時及び凝縮
時における管内熱伝達率を測定し、その結果を比較し
た。冷媒質量速度以外の試験条件は表1に示す条件とし
た。試験結果を図13(a)及び(b)、図14(a)
及び(b)並びに図15(a)及び(b)に示す。
【0062】図13(a)及び(b)は、外径が7.0
0mmの管を使用している実施例No.1及び比較例N
o.4の試験結果を示し、(a)は蒸発時の管内熱伝達
率、(b)は凝縮時の管内熱伝達率を示す。図13
(a)及び(b)に示すように、蒸発時及び凝縮時のい
ずれの場合においても、実施例No.1の管内熱伝達率
は比較例No.4の管内熱伝達率よりも大きかった。
【0063】図14(a)及び(b)は、外径が7.9
4mmの管を使用している実施例No.2及び比較例N
o.5の試験結果を示し、(a)は蒸発時、(b)は凝
縮時の管内熱伝達率を示す。図14(a)及び(b)に
示すように、蒸発時及び凝縮時のいずれの場合において
も、実施例No.2の管内熱伝達率は比較例No.5の
管内熱伝達率よりも大きかった。
【0064】図15(a)及び(b)は実施例No.3
及び比較例No.6の試験結果を示す。これらの管の外
径は共に9.52mmである。図15(a)は蒸発時の
管内熱伝達率、図15(b)は凝縮時の管内熱伝達率を
夫々示す。蒸発時及び凝縮時のいずれの場合において
も、実施例No.3の管内熱伝達率は比較例No.6の
管内熱伝達率よりも大きかった。
【0065】このように、実施例No.1乃至3の内面
溝付伝熱管は、夫々比較例No.4乃至6の内面溝付伝
熱管よりも凝縮熱伝達率及び蒸発熱伝達率が優れていた
が、表2に示すように単位長さ当たりの質量は同等であ
る。凝縮熱伝達率及び蒸発熱伝達率が同等になるように
溝形状を設計すれば、実施例No.1乃至3の内面溝付
伝熱管はフィンの高さを夫々比較例No.4乃至6の内
面溝付伝熱管よりも低くすることができ、より軽量化す
ることができる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ジフルオロメタン又はジフルオロメタンを含む混合冷媒
に好適な内面溝付伝熱管であって、凝縮熱伝達率と蒸発
熱伝達率が共に優れ、且つ軽量な内面溝付伝熱管を得る
ことができる。また、この内面溝付伝熱管を使用して熱
交換器を構成することにより、塩素を含まない冷媒を使
用する消費電力が少ない冷凍機器及び空調機器を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(d)はリード角と冷媒液の挙動と
の関係を示す図であり、(a)はリード角が大きい内面
溝付伝熱管の模式的展開図、(b)はこの内面溝付伝熱
管の断面図、(c)はリード角が小さい内面溝付伝熱管
の模式的展開図、(d)はこの内面溝付伝熱管の断面図
を示す。
【図2】(a)乃至(c)は圧痕の軌跡に沿う流れを示
す展開図であり、(a)は管の内面における圧痕の軌跡
の位置を示し、(b)は圧痕の軌跡4が線10に対して
溝3と逆の方向に傾いている場合を示し、(c)は圧痕
の軌跡4が線10に対して溝3と同じ方向に傾いている
場合を示す。
【図3】内面溝付伝熱管の性能評価を行うための試験装
置の構成を示す断面図である。
【図4】内面溝付伝熱管の形状を示す模式的断面図であ
る。
【図5】(a)乃至(d)は、リード角が異なる内面溝
付伝熱管における凝縮時の管周方向の表面温度分布を示
すグラフ図である。
【図6】(a)乃至(d)は、異なるηの値を持つ平滑
管における蒸発時の周方向表面温度分布を示すグラフ図
である。
【図7】(a)乃至(d)は、異なる溝ピッチを持つ内
面溝付伝熱管における凝縮時の管周方向の表面温度分布
を示すグラフ図である。
【図8】(a)乃至(d)は、異なるフィンの高さを持
つ内面溝付伝熱管の蒸発時における管周方向表面温度分
布を示すグラフ図である。
【図9】(a)乃至(d)は、異なる溝ピッチを持つ内
面溝付伝熱管における蒸発時の管周方向表面温度分布を
示すグラフ図である。
【図10】(a)及び(b)はフィンの根元の形状と液
膜の厚さとの関係を示す模式図であり、(a)はフィン
の根元が曲面状に加工されていない場合、(b)はフィ
ンの根元が曲面上に加工されている場合を示す。
【図11】内面溝付伝熱管の蒸発熱伝達率及び凝縮熱伝
達率を測定する試験装置の構成を示す模式図である。
【図12】フィンの根元の円弧半径とフィン高さとの比
と蒸発熱伝達率比との関係を示すグラフ図である。
【図13】(a)及び(b)は、本発明の実施例No.
1及び比較例No.4の試験結果を示すグラフ図であ
り、(a)は蒸発時の管内熱伝達率、(b)は凝縮時の
管内熱伝達率を示す。
【図14】(a)及び(b)は、本発明の実施例No.
2及び比較例No.5の試験結果を示すグラフ図であ
り、(a)は蒸発時の管内熱伝達率、(b)は凝縮時の
管内熱伝達率を示す。
【図15】(a)及び(b)は、本発明の実施例No.
3及び比較例No.6の試験結果を示すグラフ図であ
り、(a)は蒸発時の管内熱伝達率、(b)は凝縮時の
管内熱伝達率を示す。
【符号の説明】
1a乃至1d;内面溝付伝熱管 2;冷媒液 3;溝 4;圧痕の軌跡 5;管内面における管軸方向に平行な線 6a乃至6c;フィン 7a、7b;フィンの根元 8;管頂部 9;冷媒ガス 10;管内面における管軸方向と直交する線 11;試験部 12;配管部 13;供試管 13a;供試管13の供試部 14;管 15;断熱材 16;熱電対 17;水出入口 18;冷媒出入口 19;ポンプ 20;試験部 21;バイパス部 22;内管 23;外管 24;ヒーター 25;膨張弁 26;水槽 27;バイパス凝縮器 28;膨張弁 29;バイパス蒸発器 30;コンプレッサー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジフルオロメタン又はジフルオロメタン
    を含む混合物を冷媒に使用する熱交換器に使用され、管
    内面に溝が形成された内面溝付伝熱管において、管内面
    の溝のリード角が25°以上、溝ピッチが0.25mm
    以上であると共に、管内面の展開図において、転造ボー
    ル又は転造ロールにより管外面を押圧した結果管内面に
    現れた圧痕の軌跡が管軸直交方向に対し前記溝と同じ方
    向に0°を超え10°以下の角度で傾斜していることを
    特徴とする内面溝付伝熱管。
  2. 【請求項2】 管内面に形成されているフィンの高さが
    0.10mm以上であることを特徴とする請求項1に記
    載の内面溝付伝熱管。
  3. 【請求項3】 前記溝ピッチが0.40mm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内面溝付伝熱
    管。
  4. 【請求項4】 前記フィンの根元が円弧状の形状を有
    し、その円弧の半径をRとし、前記フィンの高さをHf
    とするとき、R/Hfの値が0.15乃至0.45であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記
    載の内面溝付伝熱管。
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