JP2004230213A - 有機溶剤の回収方法及びリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色樹脂粒子を破壊せずその内部にある有機溶剤をより充分に回収する方法及び環境負荷がより小さいリサイクル方法を提供する。
【解決手段】膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水とを向流接触させ、粒子中の有機溶剤を浸出させ分離する工程A、次いで水不溶性で前記有機溶剤と相溶しそれとの沸点差が大きな有機溶剤とを向流接触させて、前記各有機溶剤の混合物と水を液液分離する工程B、蒸留により前記各有機溶剤を個別回収する工程Cとをこの順で含む、着色樹脂粒子分散液からの有機溶剤の回収方法、及び、前記工程Aの前工程としての膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程Xと、前記回収方法とを含む有機溶剤のリサイクル方法であって、前記工程Cで得られた有機溶剤を前記工程Xで使用すると共に、他方の有機溶剤を工程Bの向流接触に用いる様にした有機溶剤のリサイクル方法。
【選択図】なし
【解決手段】膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水とを向流接触させ、粒子中の有機溶剤を浸出させ分離する工程A、次いで水不溶性で前記有機溶剤と相溶しそれとの沸点差が大きな有機溶剤とを向流接触させて、前記各有機溶剤の混合物と水を液液分離する工程B、蒸留により前記各有機溶剤を個別回収する工程Cとをこの順で含む、着色樹脂粒子分散液からの有機溶剤の回収方法、及び、前記工程Aの前工程としての膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程Xと、前記回収方法とを含む有機溶剤のリサイクル方法であって、前記工程Cで得られた有機溶剤を前記工程Xで使用すると共に、他方の有機溶剤を工程Bの向流接触に用いる様にした有機溶剤のリサイクル方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は 有機溶剤で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液からの 有機溶剤の回収方法及びリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性粉体スラリー塗料は、一般的には従来の乾燥した粉体塗料を界面活性剤や増粘剤と共に水性媒体に分散させることで得られる。この原料たる乾燥粉体塗料は、固形塗料を粉砕等するなりして製造されているが、例えば、転相乳化法等により得た自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子の 有機溶剤−水混合媒体分散液を製造して、この分散液から脱溶媒を行った後に濾過乾燥することによっても得ることができる。
【0003】
従って、この様な転相乳化法等によれば、この着色樹脂粒子の 有機溶剤−水混合媒体分散液から脱溶媒を行うだけで水性粉体スラリー塗料を製造することが出来、製造工程も短縮できる点で大変好都合である(特許文献1及び2参照)。この水性粉体スラリー塗料の製造方法においては、着色樹脂粒子が融着しない様に、低温、減圧で蒸留を行って、環境に影響を及ぼす 有機溶剤を回収する必要がある。
【0004】
減圧蒸留としては、一般的に、分散液を充填した容器を減圧して 有機溶剤を除去回収する方法や、必要な低圧が保たれる様に設定された容器に狭いオリフィスを通じて分散液を噴霧して 有機溶剤を除去回収する方法がある。
【0005】
しかしながら、これらの方法は一般的な溶媒除去の対象は液体のみから構成される液媒体には適しているが、本件では脱溶媒の対象が液媒体だけではなく、膨潤した着色樹脂粒子をも含んでいるため、前記いずれの方法を採用するにせよ、この粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤を、粒子形状を保ちながら(粒子の融着、合一を防止しながら)充分に除去することが難しいという、粒子を含んだ系に固有の根本的な問題は解消されない。
【0006】
これらは、いずれの方法も工業的な溶媒回収方法としては適切ではない。即ち、前者方法では脱気に伴って発生する泡の泡切れが悪く効率的な脱気が出来ないという問題があり、この問題を解決するためには、生成する溶媒の泡が自然に破泡できるための拡張容積以上の大きな容器が必要である。一方、後者方法でもオリフィス近傍部分での剪断力による膨潤した粒子の会合等によりオリフィスの目詰まりが起こるという問題があり、メインテナンスを頻繁に行うことが必要になる。さらに、高いシェアで膨潤した粒子が破壊されたり、合一化で使用目的に耐えない粒子形状となってしまうという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−221137号公報
【特許文献1】
特表2002−524648号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着色樹脂粒子を合一、破壊する恐れがなく、同粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤をより充分に除去することが出来る、工業的に有利な 有機溶剤の回収方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、一気に 有機溶剤のみを系外に取り出す従来の方法ではなく、向流抽出法を上手く用いることで、着色樹脂粒子に異常をきたすことなくより確実に溶媒を回収することが出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
また、これにより回収された 有機溶剤や水を廃棄するのではなく再利用できる様に工夫することで、大気に放出される 有機溶剤の環境への負荷を無くし、新たな 有機溶剤の使用を大幅に抑制しつつ着色樹脂粒子分散液を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)の20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流接触させ、粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させる工程A、次いで前記混合物と水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶しそれとの沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤(D)とを向流接触させて、前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物を液液分離する工程B、蒸留により前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物から 有機溶剤(B)と(D)を個別回収する工程Cとをこの順で含む、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液からの 有機溶剤の回収方法を提供する。
【0012】
また本発明は、前記工程Aの前工程としての、顔料が分散し自己水分散性樹脂が溶解した20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)の分散液と、水とを混合し転相乳化して膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程Xと、前記回収方法とを含む 有機溶剤のリサイクル方法であって、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製に用いると共に、同 有機溶剤(D)を工程Bの向流接触に用いる様にした 有機溶剤のリサイクル方法を提供する。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明における 有機溶剤の回収方法は、分離工程Aと、液液分離工程Bと個別回収工程Cとをこの順含む方法である。以下、各工程について順に説明する(図1参照)。
【0014】
分離工程Aは、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)の20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流接触させ、粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させる工程である。
【0015】
ここで膨潤した着色樹脂粒子の水分散液は、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)が20℃における水への溶解度10〜30%の 有機溶剤(B)を含有した、着色樹脂粒子(A)を構成する樹脂が未だに膨潤した状態にある水分散液である。勿論、この水分散液には、顔料を含まない樹脂だけの膨潤粒子を含んでいても良い。
【0016】
本発明において自己水分散性樹脂とは、界面活性剤や分散助剤等を併用することなく、それ自体で経時安定性高く水に対して分散できる樹脂を言う。水分散性というからには、この樹脂は水に対して100%溶解する様なものであってはならない。この様な自己水分散性樹脂は特開平3−221137号公報、特開平8−311369号公報等にてよく知られている。この様なものとしては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を官能基として含有するスチレン系樹脂、同(メタ)アクリル系樹脂、同ポリエステル系樹脂、同ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。なかでも耐久性に優れ製造も容易であることから、好ましくは、例えば、カルボシル基を含有するα,β−不飽和二重結合含有単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを必須成分として重合せしめた(メタ)アクリル系樹脂を、水酸化アルカリ、アンモニア或いは有機アミン等の塩基により中和した樹脂が挙げられる。
【0017】
この自己水分散性樹脂を用いた場合、界面活性剤や分散助剤を樹脂に含ませなくても安定な水分散状態を確保できるため、それらが含まれる場合に引き起こされる各種応用用途における欠点を解消できる。具体的には、例えば塗料用途においては、これら界面活性剤や分散助剤が着色被膜に含まれることにより、被膜の耐水性が低下するが、自己水分散性樹脂を用いる限り、この様な欠点は生じない。
【0018】
本発明における顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料がいずれも使用できる。異なる顔料を併用することが出来るし、勿論、無機顔料と有機顔料とを併用することも出来る。この顔料としては、一次粒子の平均粒子径が、10〜100nmのものが好ましい。Y(黄色)、M(紅色)及びC(青色)必要に応じてK(黒色)を混合して、異なる色の顔料として用いることも出来る。
【0019】
本発明における着色樹脂粒子(A)は、この様な自己水分散性樹脂に顔料が内包されているか又は分散している構造を有する粒子(マイクロカプセル粒子という。)である。この粒子は、体積平均粒子径0.1〜30μmであることが好ましく、その粒子径が小さいほど平版印刷の様なプロセス印刷の着色樹脂被膜におけるものに近い高品位で緻密な表現が可能となるが、後述する塗料用途への適用を考慮すると、1〜30μm、中でも被膜とした際の平滑性、異なる色の着色樹脂粒子同士を混合した場合の混合調色性(被膜とした際に混合された色が均一に発色すること)、水性粉体スラリー塗料とした場合に求められる難沈降性を考慮すると、3〜15μmであることが好ましい。
【0020】
膨潤した着色樹脂粒子(A)の水分散液は、例えば、転相乳化法に従って調製することが出来る。典型的な転相乳化法は、特開平3−221137号公報にて初めて提示された。この方法は、自己水分散性樹脂の 有機溶剤溶液に顔料を分散させた混合物(ミルベースという場合がある)と、水とを混合する方法であって、界面活性剤や保護コロイド等を併用せず、しかも着色樹脂粒子(A)を球形でより小さい粒子径範囲で更に粒子径分布をシャープにできることに大きな特徴がある。この方法は、より具体的に説明すれば、顔料が分散し自己水分散性樹脂が溶解した20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)の分散液と、水とを混合し転相乳化して、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程を含む(この工程を工程Xという。)。後記するリサイクル方法を実施する場合には、自己水分散性樹脂に用いる樹脂合成工程、及び顔料の様な色材を 有機溶剤に分散させる色材分散工程を、この工程Xに含めることが好ましい。
【0021】
ここではマイクロカプセル粒子が分散している液媒体は、 有機溶剤と水との混合媒体である。ここで用いられる 有機溶剤は、自己水分散性樹脂を溶解するものであれば水との相溶性如何は問わないが、水と全く相溶しない 有機溶剤を用いると転相が起こり難くなりマイクロカプセル粒子の粒子径分布は広がる傾向にあり、一方で水と充分に相溶する 有機溶剤を用いると緩慢な転相となり、マイクロカプセル粒子が充分に形成されない傾向にある。
【0022】
そこで、転相乳化法により膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を調製する場合においては、前記樹脂を溶解しかつ水との適度な親和性を有する 有機溶剤として、20℃における水への溶解度が質量換算で5〜30%の 有機溶剤(B)が良く用いられる。
【0023】
自己水分散性樹脂が前記したカルボシキル基含有(メタ)アクリル系樹脂を塩基で中和した樹脂である場合の 有機溶剤(B)としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、2,6−ジメチルピリジン、t−ブチルメチルエーテル、アセチルアセトン等が挙げられる。
【0024】
前記 有機溶剤(B)の含有量は、自己水分散性樹脂と顔料に代表される不揮発分の合計の質量換算で0.5〜2.0倍相当量となる様に調整することが好ましい。
【0025】
この着色樹脂粒子の水分散液に含まれる液媒体中の前記 有機溶剤(B)の含有率が高まるほど、或いは、 有機溶剤(B)の樹脂への溶解度が高いものほど(水への溶解は小さくなる)、その分散液に含まれるマイクロカプセル粒子を構成する樹脂の膨潤度合は高いものとなる。マイクロカプセル粒子は小さい程、物質移動の効率が高くなるので抽出の手法により粒子内部に含まれる 有機溶剤をより速やかに抽出することが出来る。よって粒子径が30μm以下という様なマクロカプセル粒子は、物質移動効率が極めて高く抽出の手法により粒子内部に含まれる 有機溶剤を極めて速やかに抽出することが出来る。マイクロカプセル粒子から 有機溶剤が浸出された後は、それを構成する樹脂を膨潤していない状態とすることが好ましい。
【0026】
ちなみに、この際の水(C)に変えて自己水分散性樹脂を溶解しない 有機溶剤を使用することも抽出の原理からは考えられるが、 有機溶剤(B)の物質移動に伴い、自己水分散性樹脂を溶解しない 有機溶剤の樹脂溶解度が増し、粒子の会合や合一化等が引き起こされ、粒子形状が破壊されることもあり、この様な問題の極めて少ない水(C)の使用が好ましいわけである。
【0027】
また後述する粉体塗料や粉体スラリー塗料にマイクロカプセル粒子を適用する場合には、自己水分散性樹脂を架橋効果させるための硬化剤を、当該粒子内外に含ませることも出来る。
【0028】
こうして貯槽3またはクッション槽3′に膨潤した着色樹脂粒子の水分散液が蓄えられる。
【0029】
粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させるために、前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と水(C)とを向流接触させること(工程A、第一の向流接触)が好ましい。
【0030】
向流接触による抽出の原理はよく知られている。本発明では、これを膨潤した着色樹脂粒子内部の 有機溶剤を着色樹脂粒子外部の水に抽出するという液液抽出に適用する。尚、抽出される液体は液体はそれに固有の分配係数を有しており、液液抽出によって二つの物質を分離する際に、分配比が1に近い場合には、少量の抽出用液体による分配操作では分離が困難となる場合が多い。この様な場合には、ある流体と他の流体との間の物質移動を連続的に行わせるために、両流体を接触させつつ逆方向に流す(向流という)ことが効果的である。本発明においては、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流させることで、膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)が徐徐に水(C)に抽出され、粒子内部に 有機溶剤(B)を含まず樹脂も膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子となる。
【0031】
向流接触を、一つの段ではなく複数の段を通じて行う様にした、向流多段抽出では、より少ない水(C)の量で膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)がより効率的に抽出でき、粒子内部に 有機溶剤(B)を含まず樹脂も膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子を効率的に得ることが出来る。
【0032】
向流多段抽出装置には、横長型と縦長型の両方があるが、縦長型の装置を用いることが設置スペースを小さく出来る点で好ましい。比重の点で 有機溶剤(B)は装置上部に滞留しやすいと考えられるが、この 有機溶剤(B)は水へ一部溶解する性質を有しているので、縦長型の向流多段抽出装置1を用いて前記工程Aを実施する場合には、この装置上部入口から下方向に向けて前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を導入し、一方、この装置下部入口から上方向に向けて水(C)を導入する様にすることが好ましい。
【0033】
この向流多段抽出装置1には、複数枚の目皿11と着色樹脂粒子の落下を妨げない様に選択された充填剤13が充填されており、抽出をより効率的に行える様に、内部の流体を攪拌できる様に攪拌羽根12が設けられている。水(C)は、貯槽4または直接水道管4′から向流多段抽出装置1に導入することが出来る。図1では、水道管4′の水が直接向流多段抽出装置1に導入される様に記載してある。
【0034】
向流多段抽出装置の有効体積は有限であるから、最も有効な抽出が達成できる様に、この際の膨潤した着色樹脂粒子の水分散液の流速と、水(C)の流速とを調節することが好ましい。前記装置内の前記水分散液と水(C)の混合物中の膨潤した着色樹脂粒子の含有率(不揮発分)が、質量換算で10%以下となる様に、前記水分散液に比べればより多くの水(C)を装置内に導入することが好ましい。
【0035】
向流接触させる膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と水(C)の各液温は、着色樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)未満であることが好ましい。自己水分散性樹脂に硬化剤を併用する場合には、硬化剤の硬化開始温度より低くなる様に液温を調製する様にする。
【0036】
こうすることで、前記水分散液が装置下部に向かうほど、そこに含まれる膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)はより良く水(C)に抽出され、着色樹脂粒子を構成する樹脂の膨潤度もより低下する。こうして粒子中に 有機溶剤(B)を含まない膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子14だけが装置底部に蓄積されるから、そこからマイクロカプセル粒子14を取り出すことが出来る。このマイクロカプセル14は、通常、水を含んだ懸濁液の状態で取り出される。後記する様に、この懸濁液はそのまま使用に供するか、必要に応じて更に、濾過、乾燥、分級等を行って使用に供することが出来る。一方で、前記抽出操作が終わった 有機溶剤(B)と水(C)との混合物は、装置上部に入口とは別にその入口よりも上部に設けられた出口から放出され、貯槽5に移される。
【0037】
次いで、工程Aで系外に放出された 有機溶剤(B)と水(C)との混合物は、貯槽5から、水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶しそれとの沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤(D)と向流接触させて、前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物と水(C)とを液液分離する(工程B、第二の向流接触)。
【0038】
有機溶剤(D)は、貯槽6または溶剤回収槽6′から、上記した第一の向流多段抽出装置1と同様の第二の向流多段抽出装置2へ導入する様にする。図1では溶剤回収槽6′から 有機溶剤(D)が供給される場合を示している。 有機溶剤(D)は数字9で表される。
【0039】
有機溶剤(B)と水(C)との混合物から 有機溶剤(B)を抽出する場合には、水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶する 有機溶剤を用いる。この様な 有機溶剤を用いれば、それ自体が水(C)に溶解することなく、選択的にその 有機溶剤と 有機溶剤(B)とが相溶する。中でも水不溶性で前記 有機溶剤(B)と無制限に相溶する 有機溶剤を用いることが確実に抽出が行える点で好ましい。尚、後の工程Cにおいて 有機溶剤混合物の蒸留による個別回収を行うことから、 有機溶剤両者で沸点差が大きい程、各々を容易に分離回収できる。この観点から、工程Bにおいて用いる 有機溶剤(D)は、水不溶性で前記 有機溶剤(B)との沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤である必要がある。
【0040】
この際に用いることの出来る 有機溶剤(D)は、前記 有機溶剤(B)に対応して選択する必要があるが、 有機溶剤(B)に対して40℃以上、中でも40〜70℃高沸点のものが各 有機溶剤を容易に分離でき、蒸留のための消費エネルギーをより低く出来る点で好ましい。 有機溶剤(B)として前記したメチルエチルケトンを用いる場合においては、 有機溶剤(D)としてトルエン、キシレン等が好適に用いられる。
【0041】
この第二の向流接触も、複数の段を通じて行う様にした、向流多段抽出では、より少ない 有機溶剤(D)の量で 有機溶剤(B)と水(C)との混合物から 有機溶剤(B)がより効率的に抽出出来る。
【0042】
ここでも向流多段抽出装置としては、前記と同様の理由で縦長型の装置が好ましい。 有機溶剤(D)として水に比べて比重の小さいものを用いる様にして、縦長型の向流多段抽出装置2を用いて前記工程Bを実施する場合には、この装置上部入口から下方向に向けて前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物を導入し、一方、この装置下部入口から上方向に向けて 有機溶剤(D)を導入する様にすることが好ましい。
【0043】
第二の向流接触でも第一の向流接触と同様に、向流多段抽出装置は、最も有効な抽出が達成できる様に、 有機溶剤(B)と水(C)との混合物の流速と、 有機溶剤(D)の流速とを調節することが好ましい。また前記混合物と 有機溶剤(D)の各液温は、いずれも有効体積内温度が、凝固点から水の沸点以下となる様にすることが好ましい。
【0044】
こうすることで、前記混合物が装置下部に向かうに従い、 有機溶剤(C)はそれと相溶性のある 有機溶剤(D)に選択的に抽出され、前記混合物に含まれる水はより強く 有機溶剤(D)から排除される。その結果、装置底部から下部には、有機溶剤(B)も(D)も含まない水だけが蓄積されるから、そこから水を液体として取り出すことが出来る。一方で、抽出操作が終わった 有機溶剤(B)と(D)との混合物は、装置上部に入口とは別に設けられた出口から放出される。
【0045】
これら工程A及び工程Bにおける向流多段抽出に必要な装置の理論段数や各組成は、水(C)、 有機溶剤(B)及び(D)の平衡関係と装置の操作条件に基づいて、例えば、三角図やヤネッケ線図から求めることが出来る。
【0046】
次いで、工程Bで系外に放出された 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)との混合物は、蒸留することにより、 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)とを個別回収する(工程C)。 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)とは沸点差が40℃以上あるので、単蒸留にて容易に高純度で回収出来る。蒸留温度を順に上げて蒸留装置から両 有機溶剤を留去していずれも個別回収する様にしても良いし、低い方の沸点の 有機溶剤だけを留去して回収し、高い方の沸点の 有機溶剤の沸点まで蒸留温度を上げずに冷却してそれを回収する様にしても良い。
【0047】
工程Cにおける蒸留では、 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)との混合物には、もはやマイクロカプセル粒子は含まれていないから、常圧でも減圧でも任意の蒸留方法が採用できる。前記した様に、 有機溶剤(D)として前記した好適な 有機溶剤を用いた場合には、 有機溶剤(B)だけを単蒸留で回収すれば、残分が 有機溶剤(D)となるから、いずれも個別回収できる。ここでは公知慣用の蒸留装置が使用できる。
【0048】
図1では、より蒸留効率の優れた薄膜蒸留装置7を用いて、より沸点が高い 有機溶剤(D)を溶剤回収槽6′に捕捉し、より沸点が低い 有機溶剤(B)がコンデンサー8により凝縮させて別の溶剤回収槽に有機溶剤10として捕捉する場合を示している。
【0049】
こうして回収した水(C)、 有機溶剤(B)及び(D)は各種任意の方法で廃棄することが出来る。しかしながら、 有機溶剤(B)及び(D)については、環境への負荷を最小限に止めるために、可能な限りリサイクルすることが好ましい。このリサイクルに際しては、大気への放出が極力小さくなる様に、 有機溶剤(B)は工程Aより前の任意の工程で、 有機溶剤(D)は工程Bで再利用することが好ましい。
【0050】
膨潤した着色樹脂粒子の水分散液の製造工程に当たる前記工程Xと、前記工程A〜Cを連続して一連の操作でこの順に行う場合には、 有機溶剤(B)及び(D)を特に有効に使用してリサイクルすることが出来る。
【0051】
このリサイクル方法では、図1にある様に、 有機溶剤(B)及び(D)を工程外に放出しない様に、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製(前記した工程X中の色材分散工程に対応する)等に用いると共に、同工程Cで得られた 有機溶剤(D)を工程Bにおける向流接触に用いることが、環境への負荷を大きく低減でき、経済性高くマイクロカプセル粒子を生産出来る点からも好ましい。特に、自己水分散性樹脂を調製するための樹脂を溶液反応により調製した上で、それから自己水分散性樹脂を調製して次いで転相乳化法を行う一連の工程を経る場合には、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を、工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製(前記した工程X中の色材分散工程に対応する)に用いる様にすることが最適である。勿論、転相乳化前の分散液の調製で使用する以上の 有機溶剤(B)が回収されれば、前記溶液反応の溶媒として使用することも出来る〔これは前記した工程X中の樹脂合成工程で 有機溶剤(B)を使用することに対応する。〕。
【0052】
さらには、工程Bで得られる水は、工程Aの向流接触に利用したり、工程Xにおける転相乳化の際に用いる水として利用することで、廃棄処分とされる水を最低限に抑制出来、より高いリサイクル化を達成出来る。この一連のリサイクル方法の一例は、図1に示される通りである。
【0053】
尚、工程Aにて取り出されたマイクロカプセル粒子は、例えば、水への再分散、濾過、遠心分離、乾燥、分級等を更に適宜行うことが出来る。マイクロカプセル粒子の形態も、例えば、ウエットケーキ、スラリー、パウダー等の各種の形態にて各種用途に使用出来る。こうしたマイクロカプセル粒子は、公知慣用の各種の用途、例えば、粉体塗料、水性粉体スラリー塗料、静電荷像現像用粉体トナー等の各種の用途に使用することが出来る。
【0054】
工程Aにて取り出されたマイクロカプセル粒子は、必要に応じて各種添加剤を任意の工程において含ませ、濾過して乾燥することで粉体塗料として用いることが出来るし、各種添加剤を任意の工程において含ませ、水性媒体に再分散させて水性粉体スラリー塗料として用いることが出来る。
【0055】
転相乳化法によるマイクロカプセル粒子は、例えば30μm以下という様な微小粒子を任意の水準で得ることが出来、従来の製造方法では不可避的に発生する意図した粒子径より大きな粗大粒子の混入が事実上見られない。これは塗料用途への応用において、着色被膜が極めて平滑性となる、ブツやポンホール等の発生がないという大きな長所となって現れる。また着色樹脂粒子の粒子径が小さい程、従来の様に大きい場合では充分でなかった調色混合の機能も顕著に発現する。
【0056】
粉体塗料にせよ水性粉体スラリー塗料にせよ、Y、M及びC必要に応じてKのプロセスカラー四色の塗料を調製して、それらを混合して、任意の色を発色させることも出来るし、予め前記四色の顔料を混合して特別色の顔料としてから前記した様に塗料を調製することも出来る。
【0057】
塗料を調製する際の添加剤としては、例えば、前記した自己水分散性樹脂の硬化剤、硬化触媒、充填剤、防腐剤、防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動調整剤、増粘安定剤、消泡剤、界面活性剤、ハジキ防止剤等が挙げられる。
【0058】
着色樹脂粒子(A)を構成する自己水分散性樹脂としてカルボキシル基を含有するものを選択した場合には、前記硬化剤としてエポキシ基や、シクロカーボネート基を有する化合物の他、メラミン系化合物が、同様に自己水分散性樹脂として水酸基を含有するものを選択した場合には、硬化剤として3官能以上のポリイソシアネート化合物やそれらの自己乳化物やブロックドイソシアネートおよびメラミン系化合物が挙げられる。
【0059】
転相乳化法により膨潤した着色樹脂粒子(A)の水分散液を調製し、それを本発明に適用する場合には、ここで界面活性剤や保護コロイド等を併用すると、折角前工程でそれらを不使用とした場合の効果が応用用途で減殺されるので、応用用途においても、界面活性剤や保護コロイドは、必要最小限に使用量に止めることが望まれる。
【0060】
水性粉体スラリー塗料の場合は、従来の水性塗料と異なり、スラリー中のマイクロカプセル粒子の安定性が保てること、そして、従来の水性塗料と同様にそれが塗布された基材を水平から傾けても基材上のウエット被膜が流れ落ちないこと(タレが防止され、ウエット状態で厚膜が保てること)が要求される。
【0061】
この際には、増粘安定剤として、例えばセルロース誘導体、ポリアクリル酸やその誘導体、ノニオン系ポリエーテル高分子化合物、ベントナイト鉱物粉等を併用することが出来る。
【0062】
こうして粒子の沈降を防止し適切な流動性とし、水を適宜追加して不揮発分等を調製することで、水性粉体スラリー塗料は、例えば300〜3500mPa、好ましくは500〜2500mPaとなる様に調製する。
【0063】
こうして調製された粉体スラリー塗料は、公知慣用の塗装方法、例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ディッピング塗装、刷毛塗り塗装等で、基材に塗布され、乾燥される。硬化剤を併用している場合には、硬化も行われる。
【0064】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明する。以下、%、部はいずれも質量基準である。
【0065】
参考例1
(カルボキシル基含有自己水分散性スチレン系樹脂の調製例)
メチルエチルケトンの100部を反応器に入れ、加熱して80℃と為し、次いで、次に示されるような割合の混合物を、約3時間に亘って滴下した。その間の反応は、窒素雰囲気下において行った。
メタクリル酸 15部、スチレン 67部、アクリル酸−2−エチルヘキシル 3部、 メタクリル酸ヒドロキシエチル 15部 「パーブチル O」[日本油脂(株)製の過酸化物の商品名] 2部
【0066】
此の滴下終了の1時間後に、「パーブチル O」の0.25部を、反応系中に加えてから、その2時間後にして、「パーブチル O」の0.25部を加え、次いで、12時間のあいだ、80℃に保持して、反応を続行せしめた。
【0067】
反応終了後、不揮発分が50%で、カルボキシル基含有量が174mmol/樹脂固形分100gで、かつ、水酸基含有量が115mmol/樹脂固形分100gなる、スチレン系樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0068】
実施例1
参考例1とは別の容器を設け、参考例1で得られたカルボキシル基含有スチレン系樹脂溶液に、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン。硬化剤。)と、2−メチルイミダゾールを添加し、タイペークCR−90(石原産業(株)製酸化チタン。充填剤。)を加えて、「アイガーモーターミル M−250」(英国アイガー社製分散機)によって、顔料分散したのち、撹拌下で、前記スチレン系樹脂中のカルボキシル基を中和するためのトリエチルアミンを投入して中和処理を行い、白色無機顔料と自己水分散性樹脂と硬化剤との混合物を得た。
【0069】
次いで、撹拌下で、水を滴下し転相乳化することで、白色無機顔料が内包され硬化剤を含有する膨潤状態にある自己水分散性スチレン系樹脂の粒子を含む水分散液(膨潤した着色樹脂粒子の水分散液)を得た(工程X)。
【0070】
図2の様に、工程Aで用いる向流多段抽出塔として、内部に目皿11、攪拌翼12を設け、着色樹脂粒子の落下が阻害されない様に選択された充填剤13が充填された第一の向流多段抽出塔(縦型)1を、また膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を入れる貯槽3と、水を入れる貯槽4と、第一の向流多段抽出塔の上澄み液として回収される混合物を入れる貯槽5とを準備した。尚、充填剤13については、図示していない。
【0071】
貯槽3出口と第一の向流多段抽出塔1の上部入口とを、また、貯槽4出口と第一の向流多段抽出塔1の下部入口とを、さらに第一の向流多段抽出塔1の上部出口と貯槽5入口とを、それぞれ配管により連結した。
【0072】
貯槽3に前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を仕込み、この第一の向流多段抽出塔1上部入口から下方向に向けて前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を流量60ml/分にて、下部入口から上方向に向けて水を流量300ml/分にて、目皿11間に充填剤13が充填され、攪拌翼12が回転する第一の向流多段抽出塔1に導入した。しばらくすると、この抽出塔1の内部容積が全て満たされ、着色樹脂粒子が懸濁された状態が観察され、オーバーフローした上澄み液は上部出口から貯槽5に貯まった(図2左部分の工程A参照。)。
【0073】
この上澄み液Aは、実質的に無色透明であった。この上澄み液Aは、ガスクロマトグラフィー分析から、実質的に水とメチルエチルケトンのみからなる均一混合物であった。攪拌を停止すると、懸濁していた着色樹脂粒子は、抽出塔の底部下部に、膨潤していない着色樹脂粒子として蓄積された。この着色樹脂粒子は光学顕微鏡及び電子顕微鏡による観察から、膨潤しておらず球形であり、液媒体中で凝集は起こっていなかった(以上、工程A)。
【0074】
工程Bで用いる向流多段抽出塔として、内部に攪拌翼が設けられた第二の向流多段抽出塔(縦型)2を、また前記上澄み液Aの入った貯槽5と、水不溶性で分散液中の 有機溶剤より40℃以上高い沸点を有する 有機溶剤9を入れる貯槽6を準備した。貯槽6にはトルエンを仕込んだ。目皿11、攪拌翼12は抽出塔1で用いたものと同様のものを同様にして使用した。尚、充填剤13についても、図示していない。尚、向流多段抽出塔2の上澄み液Bとして回収される混合物は、薄膜蒸留装置7に導入される様に配管したが図示していない。
【0075】
貯槽5出口と第二の向流多段抽出塔2の上部入口とを、また、貯槽6出口と第二の向流多段抽出塔2の下部入口とを、さらに第二の向流多段抽出塔2の上部出口と薄膜蒸留装置7入口とを、それぞれ配管により連結した。
【0076】
貯槽5からこの第二の向流多段抽出塔2の上部入口から下方向に向けて前記上澄み液Aを流量300ml/分にて、一方、同下部入口から上方向に向けて貯槽6のトルエンを流量60ml/分にて、攪拌翼12が回転する第二の向流多段抽出塔2に導入した。しばらくすると、この抽出塔2の内部容積が全て満たされ、オバーフローした上澄み液Bは上部出口から薄膜蒸留装置7に導入された(図2右部分の工程B参照。薄膜蒸留装置7は図示していない。)。
【0077】
この上澄み液Bは、実質的に無色透明であった。この上澄み液Bは、ガスクロマトグラフィー分析から、実質的にはメチルエチルケトンとトルエンのみからなる均一混合物であった。攪拌を停止すると、目視でも抽出塔の底部下部に液界面が観察された。ガスクロマトグラフィー分析の結果、その界面より下層の部分は、水であることが確認された(以上、工程B)。
【0078】
この上澄み液Bは、薄膜蒸留装置7に導入して、単蒸留することでメチルエチルケトンとトルエンとに容易に分離できた(以上、工程C)。
【0079】
取り出した膨潤していない着色樹脂粒子は、一旦濾過したのち、水に再分散させ、塩酸水溶液で酸析し、酸析された球形着色粒子を濾過し、水洗した。ここに得られた球形着色樹脂粒子は、体積平均粒子径15μmであった。
【0080】
容器に、イオン交換水、前記球形着色樹脂粒子、増粘安定剤、消泡剤、防腐剤の必要量を添加し、充分に攪拌して分散溶解させた後に、不揮発分調整のイオン交換水を更に加えて、更に緩やかな攪拌を行って、前記粒子径かつ粘度1500mPaの水性粉体スラリー塗料を得た。
【0081】
上記実施例1で得られた、それぞれの水性粉体スラリー塗料を、塗装機によって、燐酸亜鉛処理鋼板上に、ウエット膜厚が50μmとなるように塗布し、180℃において、20分間という条件で以て、焼き付けを行ったところ優れた光沢の焼き付け着色被膜が得られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明の 有機溶剤の回収方法によれば、着色樹脂粒子を破壊する恐れがなく、同粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤を工業的により充分に除去することが出来るという格別顕著な効果を奏する。
また本発明のリサイクル方法によれば、回収された 有機溶剤を系外への放出を最小限に止めることが出来、クローズドな生産システムとすることが出来るので、大量生産においても環境負荷を低減させることが出来るという格別顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリサイクル方法を実施する一連の工程の一例を示す図である。
【図2】本発明の 有機溶剤の回収方法を実施した実施例1で用いた装置図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は 有機溶剤で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液からの 有機溶剤の回収方法及びリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性粉体スラリー塗料は、一般的には従来の乾燥した粉体塗料を界面活性剤や増粘剤と共に水性媒体に分散させることで得られる。この原料たる乾燥粉体塗料は、固形塗料を粉砕等するなりして製造されているが、例えば、転相乳化法等により得た自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子の 有機溶剤−水混合媒体分散液を製造して、この分散液から脱溶媒を行った後に濾過乾燥することによっても得ることができる。
【0003】
従って、この様な転相乳化法等によれば、この着色樹脂粒子の 有機溶剤−水混合媒体分散液から脱溶媒を行うだけで水性粉体スラリー塗料を製造することが出来、製造工程も短縮できる点で大変好都合である(特許文献1及び2参照)。この水性粉体スラリー塗料の製造方法においては、着色樹脂粒子が融着しない様に、低温、減圧で蒸留を行って、環境に影響を及ぼす 有機溶剤を回収する必要がある。
【0004】
減圧蒸留としては、一般的に、分散液を充填した容器を減圧して 有機溶剤を除去回収する方法や、必要な低圧が保たれる様に設定された容器に狭いオリフィスを通じて分散液を噴霧して 有機溶剤を除去回収する方法がある。
【0005】
しかしながら、これらの方法は一般的な溶媒除去の対象は液体のみから構成される液媒体には適しているが、本件では脱溶媒の対象が液媒体だけではなく、膨潤した着色樹脂粒子をも含んでいるため、前記いずれの方法を採用するにせよ、この粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤を、粒子形状を保ちながら(粒子の融着、合一を防止しながら)充分に除去することが難しいという、粒子を含んだ系に固有の根本的な問題は解消されない。
【0006】
これらは、いずれの方法も工業的な溶媒回収方法としては適切ではない。即ち、前者方法では脱気に伴って発生する泡の泡切れが悪く効率的な脱気が出来ないという問題があり、この問題を解決するためには、生成する溶媒の泡が自然に破泡できるための拡張容積以上の大きな容器が必要である。一方、後者方法でもオリフィス近傍部分での剪断力による膨潤した粒子の会合等によりオリフィスの目詰まりが起こるという問題があり、メインテナンスを頻繁に行うことが必要になる。さらに、高いシェアで膨潤した粒子が破壊されたり、合一化で使用目的に耐えない粒子形状となってしまうという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−221137号公報
【特許文献1】
特表2002−524648号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着色樹脂粒子を合一、破壊する恐れがなく、同粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤をより充分に除去することが出来る、工業的に有利な 有機溶剤の回収方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、一気に 有機溶剤のみを系外に取り出す従来の方法ではなく、向流抽出法を上手く用いることで、着色樹脂粒子に異常をきたすことなくより確実に溶媒を回収することが出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
また、これにより回収された 有機溶剤や水を廃棄するのではなく再利用できる様に工夫することで、大気に放出される 有機溶剤の環境への負荷を無くし、新たな 有機溶剤の使用を大幅に抑制しつつ着色樹脂粒子分散液を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)の20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流接触させ、粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させる工程A、次いで前記混合物と水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶しそれとの沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤(D)とを向流接触させて、前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物を液液分離する工程B、蒸留により前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物から 有機溶剤(B)と(D)を個別回収する工程Cとをこの順で含む、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液からの 有機溶剤の回収方法を提供する。
【0012】
また本発明は、前記工程Aの前工程としての、顔料が分散し自己水分散性樹脂が溶解した20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)の分散液と、水とを混合し転相乳化して膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程Xと、前記回収方法とを含む 有機溶剤のリサイクル方法であって、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製に用いると共に、同 有機溶剤(D)を工程Bの向流接触に用いる様にした 有機溶剤のリサイクル方法を提供する。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明における 有機溶剤の回収方法は、分離工程Aと、液液分離工程Bと個別回収工程Cとをこの順含む方法である。以下、各工程について順に説明する(図1参照)。
【0014】
分離工程Aは、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)の20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流接触させ、粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させる工程である。
【0015】
ここで膨潤した着色樹脂粒子の水分散液は、自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)が20℃における水への溶解度10〜30%の 有機溶剤(B)を含有した、着色樹脂粒子(A)を構成する樹脂が未だに膨潤した状態にある水分散液である。勿論、この水分散液には、顔料を含まない樹脂だけの膨潤粒子を含んでいても良い。
【0016】
本発明において自己水分散性樹脂とは、界面活性剤や分散助剤等を併用することなく、それ自体で経時安定性高く水に対して分散できる樹脂を言う。水分散性というからには、この樹脂は水に対して100%溶解する様なものであってはならない。この様な自己水分散性樹脂は特開平3−221137号公報、特開平8−311369号公報等にてよく知られている。この様なものとしては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を官能基として含有するスチレン系樹脂、同(メタ)アクリル系樹脂、同ポリエステル系樹脂、同ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。なかでも耐久性に優れ製造も容易であることから、好ましくは、例えば、カルボシル基を含有するα,β−不飽和二重結合含有単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを必須成分として重合せしめた(メタ)アクリル系樹脂を、水酸化アルカリ、アンモニア或いは有機アミン等の塩基により中和した樹脂が挙げられる。
【0017】
この自己水分散性樹脂を用いた場合、界面活性剤や分散助剤を樹脂に含ませなくても安定な水分散状態を確保できるため、それらが含まれる場合に引き起こされる各種応用用途における欠点を解消できる。具体的には、例えば塗料用途においては、これら界面活性剤や分散助剤が着色被膜に含まれることにより、被膜の耐水性が低下するが、自己水分散性樹脂を用いる限り、この様な欠点は生じない。
【0018】
本発明における顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料がいずれも使用できる。異なる顔料を併用することが出来るし、勿論、無機顔料と有機顔料とを併用することも出来る。この顔料としては、一次粒子の平均粒子径が、10〜100nmのものが好ましい。Y(黄色)、M(紅色)及びC(青色)必要に応じてK(黒色)を混合して、異なる色の顔料として用いることも出来る。
【0019】
本発明における着色樹脂粒子(A)は、この様な自己水分散性樹脂に顔料が内包されているか又は分散している構造を有する粒子(マイクロカプセル粒子という。)である。この粒子は、体積平均粒子径0.1〜30μmであることが好ましく、その粒子径が小さいほど平版印刷の様なプロセス印刷の着色樹脂被膜におけるものに近い高品位で緻密な表現が可能となるが、後述する塗料用途への適用を考慮すると、1〜30μm、中でも被膜とした際の平滑性、異なる色の着色樹脂粒子同士を混合した場合の混合調色性(被膜とした際に混合された色が均一に発色すること)、水性粉体スラリー塗料とした場合に求められる難沈降性を考慮すると、3〜15μmであることが好ましい。
【0020】
膨潤した着色樹脂粒子(A)の水分散液は、例えば、転相乳化法に従って調製することが出来る。典型的な転相乳化法は、特開平3−221137号公報にて初めて提示された。この方法は、自己水分散性樹脂の 有機溶剤溶液に顔料を分散させた混合物(ミルベースという場合がある)と、水とを混合する方法であって、界面活性剤や保護コロイド等を併用せず、しかも着色樹脂粒子(A)を球形でより小さい粒子径範囲で更に粒子径分布をシャープにできることに大きな特徴がある。この方法は、より具体的に説明すれば、顔料が分散し自己水分散性樹脂が溶解した20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)の分散液と、水とを混合し転相乳化して、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を製造する工程を含む(この工程を工程Xという。)。後記するリサイクル方法を実施する場合には、自己水分散性樹脂に用いる樹脂合成工程、及び顔料の様な色材を 有機溶剤に分散させる色材分散工程を、この工程Xに含めることが好ましい。
【0021】
ここではマイクロカプセル粒子が分散している液媒体は、 有機溶剤と水との混合媒体である。ここで用いられる 有機溶剤は、自己水分散性樹脂を溶解するものであれば水との相溶性如何は問わないが、水と全く相溶しない 有機溶剤を用いると転相が起こり難くなりマイクロカプセル粒子の粒子径分布は広がる傾向にあり、一方で水と充分に相溶する 有機溶剤を用いると緩慢な転相となり、マイクロカプセル粒子が充分に形成されない傾向にある。
【0022】
そこで、転相乳化法により膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を調製する場合においては、前記樹脂を溶解しかつ水との適度な親和性を有する 有機溶剤として、20℃における水への溶解度が質量換算で5〜30%の 有機溶剤(B)が良く用いられる。
【0023】
自己水分散性樹脂が前記したカルボシキル基含有(メタ)アクリル系樹脂を塩基で中和した樹脂である場合の 有機溶剤(B)としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、2,6−ジメチルピリジン、t−ブチルメチルエーテル、アセチルアセトン等が挙げられる。
【0024】
前記 有機溶剤(B)の含有量は、自己水分散性樹脂と顔料に代表される不揮発分の合計の質量換算で0.5〜2.0倍相当量となる様に調整することが好ましい。
【0025】
この着色樹脂粒子の水分散液に含まれる液媒体中の前記 有機溶剤(B)の含有率が高まるほど、或いは、 有機溶剤(B)の樹脂への溶解度が高いものほど(水への溶解は小さくなる)、その分散液に含まれるマイクロカプセル粒子を構成する樹脂の膨潤度合は高いものとなる。マイクロカプセル粒子は小さい程、物質移動の効率が高くなるので抽出の手法により粒子内部に含まれる 有機溶剤をより速やかに抽出することが出来る。よって粒子径が30μm以下という様なマクロカプセル粒子は、物質移動効率が極めて高く抽出の手法により粒子内部に含まれる 有機溶剤を極めて速やかに抽出することが出来る。マイクロカプセル粒子から 有機溶剤が浸出された後は、それを構成する樹脂を膨潤していない状態とすることが好ましい。
【0026】
ちなみに、この際の水(C)に変えて自己水分散性樹脂を溶解しない 有機溶剤を使用することも抽出の原理からは考えられるが、 有機溶剤(B)の物質移動に伴い、自己水分散性樹脂を溶解しない 有機溶剤の樹脂溶解度が増し、粒子の会合や合一化等が引き起こされ、粒子形状が破壊されることもあり、この様な問題の極めて少ない水(C)の使用が好ましいわけである。
【0027】
また後述する粉体塗料や粉体スラリー塗料にマイクロカプセル粒子を適用する場合には、自己水分散性樹脂を架橋効果させるための硬化剤を、当該粒子内外に含ませることも出来る。
【0028】
こうして貯槽3またはクッション槽3′に膨潤した着色樹脂粒子の水分散液が蓄えられる。
【0029】
粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させるために、前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と水(C)とを向流接触させること(工程A、第一の向流接触)が好ましい。
【0030】
向流接触による抽出の原理はよく知られている。本発明では、これを膨潤した着色樹脂粒子内部の 有機溶剤を着色樹脂粒子外部の水に抽出するという液液抽出に適用する。尚、抽出される液体は液体はそれに固有の分配係数を有しており、液液抽出によって二つの物質を分離する際に、分配比が1に近い場合には、少量の抽出用液体による分配操作では分離が困難となる場合が多い。この様な場合には、ある流体と他の流体との間の物質移動を連続的に行わせるために、両流体を接触させつつ逆方向に流す(向流という)ことが効果的である。本発明においては、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流させることで、膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)が徐徐に水(C)に抽出され、粒子内部に 有機溶剤(B)を含まず樹脂も膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子となる。
【0031】
向流接触を、一つの段ではなく複数の段を通じて行う様にした、向流多段抽出では、より少ない水(C)の量で膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)がより効率的に抽出でき、粒子内部に 有機溶剤(B)を含まず樹脂も膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子を効率的に得ることが出来る。
【0032】
向流多段抽出装置には、横長型と縦長型の両方があるが、縦長型の装置を用いることが設置スペースを小さく出来る点で好ましい。比重の点で 有機溶剤(B)は装置上部に滞留しやすいと考えられるが、この 有機溶剤(B)は水へ一部溶解する性質を有しているので、縦長型の向流多段抽出装置1を用いて前記工程Aを実施する場合には、この装置上部入口から下方向に向けて前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を導入し、一方、この装置下部入口から上方向に向けて水(C)を導入する様にすることが好ましい。
【0033】
この向流多段抽出装置1には、複数枚の目皿11と着色樹脂粒子の落下を妨げない様に選択された充填剤13が充填されており、抽出をより効率的に行える様に、内部の流体を攪拌できる様に攪拌羽根12が設けられている。水(C)は、貯槽4または直接水道管4′から向流多段抽出装置1に導入することが出来る。図1では、水道管4′の水が直接向流多段抽出装置1に導入される様に記載してある。
【0034】
向流多段抽出装置の有効体積は有限であるから、最も有効な抽出が達成できる様に、この際の膨潤した着色樹脂粒子の水分散液の流速と、水(C)の流速とを調節することが好ましい。前記装置内の前記水分散液と水(C)の混合物中の膨潤した着色樹脂粒子の含有率(不揮発分)が、質量換算で10%以下となる様に、前記水分散液に比べればより多くの水(C)を装置内に導入することが好ましい。
【0035】
向流接触させる膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と水(C)の各液温は、着色樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)未満であることが好ましい。自己水分散性樹脂に硬化剤を併用する場合には、硬化剤の硬化開始温度より低くなる様に液温を調製する様にする。
【0036】
こうすることで、前記水分散液が装置下部に向かうほど、そこに含まれる膨潤した着色樹脂粒子中の 有機溶剤(B)はより良く水(C)に抽出され、着色樹脂粒子を構成する樹脂の膨潤度もより低下する。こうして粒子中に 有機溶剤(B)を含まない膨潤していない状態のマイクロカプセル粒子14だけが装置底部に蓄積されるから、そこからマイクロカプセル粒子14を取り出すことが出来る。このマイクロカプセル14は、通常、水を含んだ懸濁液の状態で取り出される。後記する様に、この懸濁液はそのまま使用に供するか、必要に応じて更に、濾過、乾燥、分級等を行って使用に供することが出来る。一方で、前記抽出操作が終わった 有機溶剤(B)と水(C)との混合物は、装置上部に入口とは別にその入口よりも上部に設けられた出口から放出され、貯槽5に移される。
【0037】
次いで、工程Aで系外に放出された 有機溶剤(B)と水(C)との混合物は、貯槽5から、水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶しそれとの沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤(D)と向流接触させて、前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物と水(C)とを液液分離する(工程B、第二の向流接触)。
【0038】
有機溶剤(D)は、貯槽6または溶剤回収槽6′から、上記した第一の向流多段抽出装置1と同様の第二の向流多段抽出装置2へ導入する様にする。図1では溶剤回収槽6′から 有機溶剤(D)が供給される場合を示している。 有機溶剤(D)は数字9で表される。
【0039】
有機溶剤(B)と水(C)との混合物から 有機溶剤(B)を抽出する場合には、水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶する 有機溶剤を用いる。この様な 有機溶剤を用いれば、それ自体が水(C)に溶解することなく、選択的にその 有機溶剤と 有機溶剤(B)とが相溶する。中でも水不溶性で前記 有機溶剤(B)と無制限に相溶する 有機溶剤を用いることが確実に抽出が行える点で好ましい。尚、後の工程Cにおいて 有機溶剤混合物の蒸留による個別回収を行うことから、 有機溶剤両者で沸点差が大きい程、各々を容易に分離回収できる。この観点から、工程Bにおいて用いる 有機溶剤(D)は、水不溶性で前記 有機溶剤(B)との沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤である必要がある。
【0040】
この際に用いることの出来る 有機溶剤(D)は、前記 有機溶剤(B)に対応して選択する必要があるが、 有機溶剤(B)に対して40℃以上、中でも40〜70℃高沸点のものが各 有機溶剤を容易に分離でき、蒸留のための消費エネルギーをより低く出来る点で好ましい。 有機溶剤(B)として前記したメチルエチルケトンを用いる場合においては、 有機溶剤(D)としてトルエン、キシレン等が好適に用いられる。
【0041】
この第二の向流接触も、複数の段を通じて行う様にした、向流多段抽出では、より少ない 有機溶剤(D)の量で 有機溶剤(B)と水(C)との混合物から 有機溶剤(B)がより効率的に抽出出来る。
【0042】
ここでも向流多段抽出装置としては、前記と同様の理由で縦長型の装置が好ましい。 有機溶剤(D)として水に比べて比重の小さいものを用いる様にして、縦長型の向流多段抽出装置2を用いて前記工程Bを実施する場合には、この装置上部入口から下方向に向けて前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物を導入し、一方、この装置下部入口から上方向に向けて 有機溶剤(D)を導入する様にすることが好ましい。
【0043】
第二の向流接触でも第一の向流接触と同様に、向流多段抽出装置は、最も有効な抽出が達成できる様に、 有機溶剤(B)と水(C)との混合物の流速と、 有機溶剤(D)の流速とを調節することが好ましい。また前記混合物と 有機溶剤(D)の各液温は、いずれも有効体積内温度が、凝固点から水の沸点以下となる様にすることが好ましい。
【0044】
こうすることで、前記混合物が装置下部に向かうに従い、 有機溶剤(C)はそれと相溶性のある 有機溶剤(D)に選択的に抽出され、前記混合物に含まれる水はより強く 有機溶剤(D)から排除される。その結果、装置底部から下部には、有機溶剤(B)も(D)も含まない水だけが蓄積されるから、そこから水を液体として取り出すことが出来る。一方で、抽出操作が終わった 有機溶剤(B)と(D)との混合物は、装置上部に入口とは別に設けられた出口から放出される。
【0045】
これら工程A及び工程Bにおける向流多段抽出に必要な装置の理論段数や各組成は、水(C)、 有機溶剤(B)及び(D)の平衡関係と装置の操作条件に基づいて、例えば、三角図やヤネッケ線図から求めることが出来る。
【0046】
次いで、工程Bで系外に放出された 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)との混合物は、蒸留することにより、 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)とを個別回収する(工程C)。 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)とは沸点差が40℃以上あるので、単蒸留にて容易に高純度で回収出来る。蒸留温度を順に上げて蒸留装置から両 有機溶剤を留去していずれも個別回収する様にしても良いし、低い方の沸点の 有機溶剤だけを留去して回収し、高い方の沸点の 有機溶剤の沸点まで蒸留温度を上げずに冷却してそれを回収する様にしても良い。
【0047】
工程Cにおける蒸留では、 有機溶剤(B)と 有機溶剤(D)との混合物には、もはやマイクロカプセル粒子は含まれていないから、常圧でも減圧でも任意の蒸留方法が採用できる。前記した様に、 有機溶剤(D)として前記した好適な 有機溶剤を用いた場合には、 有機溶剤(B)だけを単蒸留で回収すれば、残分が 有機溶剤(D)となるから、いずれも個別回収できる。ここでは公知慣用の蒸留装置が使用できる。
【0048】
図1では、より蒸留効率の優れた薄膜蒸留装置7を用いて、より沸点が高い 有機溶剤(D)を溶剤回収槽6′に捕捉し、より沸点が低い 有機溶剤(B)がコンデンサー8により凝縮させて別の溶剤回収槽に有機溶剤10として捕捉する場合を示している。
【0049】
こうして回収した水(C)、 有機溶剤(B)及び(D)は各種任意の方法で廃棄することが出来る。しかしながら、 有機溶剤(B)及び(D)については、環境への負荷を最小限に止めるために、可能な限りリサイクルすることが好ましい。このリサイクルに際しては、大気への放出が極力小さくなる様に、 有機溶剤(B)は工程Aより前の任意の工程で、 有機溶剤(D)は工程Bで再利用することが好ましい。
【0050】
膨潤した着色樹脂粒子の水分散液の製造工程に当たる前記工程Xと、前記工程A〜Cを連続して一連の操作でこの順に行う場合には、 有機溶剤(B)及び(D)を特に有効に使用してリサイクルすることが出来る。
【0051】
このリサイクル方法では、図1にある様に、 有機溶剤(B)及び(D)を工程外に放出しない様に、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製(前記した工程X中の色材分散工程に対応する)等に用いると共に、同工程Cで得られた 有機溶剤(D)を工程Bにおける向流接触に用いることが、環境への負荷を大きく低減でき、経済性高くマイクロカプセル粒子を生産出来る点からも好ましい。特に、自己水分散性樹脂を調製するための樹脂を溶液反応により調製した上で、それから自己水分散性樹脂を調製して次いで転相乳化法を行う一連の工程を経る場合には、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を、工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製(前記した工程X中の色材分散工程に対応する)に用いる様にすることが最適である。勿論、転相乳化前の分散液の調製で使用する以上の 有機溶剤(B)が回収されれば、前記溶液反応の溶媒として使用することも出来る〔これは前記した工程X中の樹脂合成工程で 有機溶剤(B)を使用することに対応する。〕。
【0052】
さらには、工程Bで得られる水は、工程Aの向流接触に利用したり、工程Xにおける転相乳化の際に用いる水として利用することで、廃棄処分とされる水を最低限に抑制出来、より高いリサイクル化を達成出来る。この一連のリサイクル方法の一例は、図1に示される通りである。
【0053】
尚、工程Aにて取り出されたマイクロカプセル粒子は、例えば、水への再分散、濾過、遠心分離、乾燥、分級等を更に適宜行うことが出来る。マイクロカプセル粒子の形態も、例えば、ウエットケーキ、スラリー、パウダー等の各種の形態にて各種用途に使用出来る。こうしたマイクロカプセル粒子は、公知慣用の各種の用途、例えば、粉体塗料、水性粉体スラリー塗料、静電荷像現像用粉体トナー等の各種の用途に使用することが出来る。
【0054】
工程Aにて取り出されたマイクロカプセル粒子は、必要に応じて各種添加剤を任意の工程において含ませ、濾過して乾燥することで粉体塗料として用いることが出来るし、各種添加剤を任意の工程において含ませ、水性媒体に再分散させて水性粉体スラリー塗料として用いることが出来る。
【0055】
転相乳化法によるマイクロカプセル粒子は、例えば30μm以下という様な微小粒子を任意の水準で得ることが出来、従来の製造方法では不可避的に発生する意図した粒子径より大きな粗大粒子の混入が事実上見られない。これは塗料用途への応用において、着色被膜が極めて平滑性となる、ブツやポンホール等の発生がないという大きな長所となって現れる。また着色樹脂粒子の粒子径が小さい程、従来の様に大きい場合では充分でなかった調色混合の機能も顕著に発現する。
【0056】
粉体塗料にせよ水性粉体スラリー塗料にせよ、Y、M及びC必要に応じてKのプロセスカラー四色の塗料を調製して、それらを混合して、任意の色を発色させることも出来るし、予め前記四色の顔料を混合して特別色の顔料としてから前記した様に塗料を調製することも出来る。
【0057】
塗料を調製する際の添加剤としては、例えば、前記した自己水分散性樹脂の硬化剤、硬化触媒、充填剤、防腐剤、防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動調整剤、増粘安定剤、消泡剤、界面活性剤、ハジキ防止剤等が挙げられる。
【0058】
着色樹脂粒子(A)を構成する自己水分散性樹脂としてカルボキシル基を含有するものを選択した場合には、前記硬化剤としてエポキシ基や、シクロカーボネート基を有する化合物の他、メラミン系化合物が、同様に自己水分散性樹脂として水酸基を含有するものを選択した場合には、硬化剤として3官能以上のポリイソシアネート化合物やそれらの自己乳化物やブロックドイソシアネートおよびメラミン系化合物が挙げられる。
【0059】
転相乳化法により膨潤した着色樹脂粒子(A)の水分散液を調製し、それを本発明に適用する場合には、ここで界面活性剤や保護コロイド等を併用すると、折角前工程でそれらを不使用とした場合の効果が応用用途で減殺されるので、応用用途においても、界面活性剤や保護コロイドは、必要最小限に使用量に止めることが望まれる。
【0060】
水性粉体スラリー塗料の場合は、従来の水性塗料と異なり、スラリー中のマイクロカプセル粒子の安定性が保てること、そして、従来の水性塗料と同様にそれが塗布された基材を水平から傾けても基材上のウエット被膜が流れ落ちないこと(タレが防止され、ウエット状態で厚膜が保てること)が要求される。
【0061】
この際には、増粘安定剤として、例えばセルロース誘導体、ポリアクリル酸やその誘導体、ノニオン系ポリエーテル高分子化合物、ベントナイト鉱物粉等を併用することが出来る。
【0062】
こうして粒子の沈降を防止し適切な流動性とし、水を適宜追加して不揮発分等を調製することで、水性粉体スラリー塗料は、例えば300〜3500mPa、好ましくは500〜2500mPaとなる様に調製する。
【0063】
こうして調製された粉体スラリー塗料は、公知慣用の塗装方法、例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ディッピング塗装、刷毛塗り塗装等で、基材に塗布され、乾燥される。硬化剤を併用している場合には、硬化も行われる。
【0064】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明する。以下、%、部はいずれも質量基準である。
【0065】
参考例1
(カルボキシル基含有自己水分散性スチレン系樹脂の調製例)
メチルエチルケトンの100部を反応器に入れ、加熱して80℃と為し、次いで、次に示されるような割合の混合物を、約3時間に亘って滴下した。その間の反応は、窒素雰囲気下において行った。
メタクリル酸 15部、スチレン 67部、アクリル酸−2−エチルヘキシル 3部、 メタクリル酸ヒドロキシエチル 15部 「パーブチル O」[日本油脂(株)製の過酸化物の商品名] 2部
【0066】
此の滴下終了の1時間後に、「パーブチル O」の0.25部を、反応系中に加えてから、その2時間後にして、「パーブチル O」の0.25部を加え、次いで、12時間のあいだ、80℃に保持して、反応を続行せしめた。
【0067】
反応終了後、不揮発分が50%で、カルボキシル基含有量が174mmol/樹脂固形分100gで、かつ、水酸基含有量が115mmol/樹脂固形分100gなる、スチレン系樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0068】
実施例1
参考例1とは別の容器を設け、参考例1で得られたカルボキシル基含有スチレン系樹脂溶液に、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン。硬化剤。)と、2−メチルイミダゾールを添加し、タイペークCR−90(石原産業(株)製酸化チタン。充填剤。)を加えて、「アイガーモーターミル M−250」(英国アイガー社製分散機)によって、顔料分散したのち、撹拌下で、前記スチレン系樹脂中のカルボキシル基を中和するためのトリエチルアミンを投入して中和処理を行い、白色無機顔料と自己水分散性樹脂と硬化剤との混合物を得た。
【0069】
次いで、撹拌下で、水を滴下し転相乳化することで、白色無機顔料が内包され硬化剤を含有する膨潤状態にある自己水分散性スチレン系樹脂の粒子を含む水分散液(膨潤した着色樹脂粒子の水分散液)を得た(工程X)。
【0070】
図2の様に、工程Aで用いる向流多段抽出塔として、内部に目皿11、攪拌翼12を設け、着色樹脂粒子の落下が阻害されない様に選択された充填剤13が充填された第一の向流多段抽出塔(縦型)1を、また膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を入れる貯槽3と、水を入れる貯槽4と、第一の向流多段抽出塔の上澄み液として回収される混合物を入れる貯槽5とを準備した。尚、充填剤13については、図示していない。
【0071】
貯槽3出口と第一の向流多段抽出塔1の上部入口とを、また、貯槽4出口と第一の向流多段抽出塔1の下部入口とを、さらに第一の向流多段抽出塔1の上部出口と貯槽5入口とを、それぞれ配管により連結した。
【0072】
貯槽3に前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を仕込み、この第一の向流多段抽出塔1上部入口から下方向に向けて前記膨潤した着色樹脂粒子の水分散液を流量60ml/分にて、下部入口から上方向に向けて水を流量300ml/分にて、目皿11間に充填剤13が充填され、攪拌翼12が回転する第一の向流多段抽出塔1に導入した。しばらくすると、この抽出塔1の内部容積が全て満たされ、着色樹脂粒子が懸濁された状態が観察され、オーバーフローした上澄み液は上部出口から貯槽5に貯まった(図2左部分の工程A参照。)。
【0073】
この上澄み液Aは、実質的に無色透明であった。この上澄み液Aは、ガスクロマトグラフィー分析から、実質的に水とメチルエチルケトンのみからなる均一混合物であった。攪拌を停止すると、懸濁していた着色樹脂粒子は、抽出塔の底部下部に、膨潤していない着色樹脂粒子として蓄積された。この着色樹脂粒子は光学顕微鏡及び電子顕微鏡による観察から、膨潤しておらず球形であり、液媒体中で凝集は起こっていなかった(以上、工程A)。
【0074】
工程Bで用いる向流多段抽出塔として、内部に攪拌翼が設けられた第二の向流多段抽出塔(縦型)2を、また前記上澄み液Aの入った貯槽5と、水不溶性で分散液中の 有機溶剤より40℃以上高い沸点を有する 有機溶剤9を入れる貯槽6を準備した。貯槽6にはトルエンを仕込んだ。目皿11、攪拌翼12は抽出塔1で用いたものと同様のものを同様にして使用した。尚、充填剤13についても、図示していない。尚、向流多段抽出塔2の上澄み液Bとして回収される混合物は、薄膜蒸留装置7に導入される様に配管したが図示していない。
【0075】
貯槽5出口と第二の向流多段抽出塔2の上部入口とを、また、貯槽6出口と第二の向流多段抽出塔2の下部入口とを、さらに第二の向流多段抽出塔2の上部出口と薄膜蒸留装置7入口とを、それぞれ配管により連結した。
【0076】
貯槽5からこの第二の向流多段抽出塔2の上部入口から下方向に向けて前記上澄み液Aを流量300ml/分にて、一方、同下部入口から上方向に向けて貯槽6のトルエンを流量60ml/分にて、攪拌翼12が回転する第二の向流多段抽出塔2に導入した。しばらくすると、この抽出塔2の内部容積が全て満たされ、オバーフローした上澄み液Bは上部出口から薄膜蒸留装置7に導入された(図2右部分の工程B参照。薄膜蒸留装置7は図示していない。)。
【0077】
この上澄み液Bは、実質的に無色透明であった。この上澄み液Bは、ガスクロマトグラフィー分析から、実質的にはメチルエチルケトンとトルエンのみからなる均一混合物であった。攪拌を停止すると、目視でも抽出塔の底部下部に液界面が観察された。ガスクロマトグラフィー分析の結果、その界面より下層の部分は、水であることが確認された(以上、工程B)。
【0078】
この上澄み液Bは、薄膜蒸留装置7に導入して、単蒸留することでメチルエチルケトンとトルエンとに容易に分離できた(以上、工程C)。
【0079】
取り出した膨潤していない着色樹脂粒子は、一旦濾過したのち、水に再分散させ、塩酸水溶液で酸析し、酸析された球形着色粒子を濾過し、水洗した。ここに得られた球形着色樹脂粒子は、体積平均粒子径15μmであった。
【0080】
容器に、イオン交換水、前記球形着色樹脂粒子、増粘安定剤、消泡剤、防腐剤の必要量を添加し、充分に攪拌して分散溶解させた後に、不揮発分調整のイオン交換水を更に加えて、更に緩やかな攪拌を行って、前記粒子径かつ粘度1500mPaの水性粉体スラリー塗料を得た。
【0081】
上記実施例1で得られた、それぞれの水性粉体スラリー塗料を、塗装機によって、燐酸亜鉛処理鋼板上に、ウエット膜厚が50μmとなるように塗布し、180℃において、20分間という条件で以て、焼き付けを行ったところ優れた光沢の焼き付け着色被膜が得られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明の 有機溶剤の回収方法によれば、着色樹脂粒子を破壊する恐れがなく、同粒子内部に含まれる粒子の膨潤に関与する 有機溶剤を工業的により充分に除去することが出来るという格別顕著な効果を奏する。
また本発明のリサイクル方法によれば、回収された 有機溶剤を系外への放出を最小限に止めることが出来、クローズドな生産システムとすることが出来るので、大量生産においても環境負荷を低減させることが出来るという格別顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリサイクル方法を実施する一連の工程の一例を示す図である。
【図2】本発明の 有機溶剤の回収方法を実施した実施例1で用いた装置図である。
Claims (2)
- 自己水分散性樹脂と顔料とを含む着色樹脂粒子(A)の20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)で膨潤した着色樹脂粒子の水分散液と、水(C)とを向流接触させ、粒子中の 有機溶剤(B)を浸出させると共に前記分散液を前記 有機溶剤(B)と水(C)との混合物と膨潤していない着色樹脂粒子(A)とに分離させる工程A、次いで前記混合物と水不溶性で前記 有機溶剤(B)と相溶しそれとの沸点差が40℃以上のその他の 有機溶剤(D)とを向流接触させて、前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物と水(C)を液液分離する工程B、蒸留により前記 有機溶剤(B)と(D)との混合物から 有機溶剤(B)と(D)を個別回収する工程Cとをこの順で含む、膨潤した着色樹脂粒子の水分散液からの 有機溶剤の回収方法。
- 請求項1における工程Aの前工程としての、顔料が分散し自己水分散性樹脂が溶解した20℃における水への溶解度5〜30%の 有機溶剤(B)の分散液と、水とを混合し転相乳化して膨潤着色樹脂粒子分散液を製造する工程Xと、請求項1の回収方法とを含む 有機溶剤のリサイクル方法であって、工程Cで得られた 有機溶剤(B)を工程Xにおける転相乳化前の分散液の調製に用いると共に、同 有機溶剤(D)を工程Bの向流接触に用いる様にした 有機溶剤のリサイクル方法。
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JP2010070612A (ja) * | 2008-09-17 | 2010-04-02 | Fuji Xerox Co Ltd | 水分散体製造装置およびポリエステル樹脂水分散体の製造方法 |
CN109295302A (zh) * | 2018-11-13 | 2019-02-01 | 中国北方稀土(集团)高科技股份有限公司 | 稀土萃取生产过程中乳化物处理装置及处理方法 |
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2003
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