JP2004225219A - 紙塗工用共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)脂肪族共役ジエン系単量体23〜70重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜7重量部、ならびに(c)上記単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体23〜76.9重量部からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、GPCの測定から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より早く検出される成分(GPC測定ゲル)の含量が35%以上、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の重量平均分子量が40,000〜400,000であり、かつトルエン不溶分が35重量%以上である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙塗工用ラテックスおよび紙塗工用組成物に関し、詳しくはカーテン塗工あるいはスプレー塗工で塗工紙を製造する場合に、良好な塗工紙の表面強度、耐水強度、印刷光沢を与える紙塗工用組成物およびそれに使用する共重合体ラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に紙の外観や印刷適性を改良するために、カオリンや炭酸カルシウム等の白色顔料と水性バインダーを主成分とする組成物を塗工した塗工紙が製造されている。近年、雑誌のビジュアル化や新聞の折り込み広告、チラシ等の増加により、塗工紙の生産量は大きく増加してきた。これらの塗工紙は、今日主にブレードコーター、ゲートロールコーター、メータリングサイズプレスで塗工され製造されている。
これら塗工紙を製造するに当たっては、特にコスト面から少ない塗工量でいかに原紙を良好に被覆するかが大きな課題となる。被覆性を良好にするためには、原紙へのカラーの押し込みが少なく、塗工層を嵩高にすることが肝要である。しかし、上記のコーターを使用した場合は、その機構上、塗工液はかなり原紙に押し込まれ、塗工層は嵩高くなりにくい。
一方、カーテン塗工やスプレー塗工のような、いわゆる非接触型の塗工方式で塗工すると、塗工液は原紙に押し込まれることなく、塗工層は嵩高になることが知られている。しかし、カーテン塗工やスプレー塗工は、一般的には塗工紙の製造に用いられていない。その大きな理由の一つは次のようなものである。非接触型塗工の場合、確かに、塗工層は嵩高になるが、例えばブレード塗工の場合に比べると塗工層の強度が弱くなるため、バインダーを多く使用しなければならなくなる。すなわち、バインダー所用量が多くなりコスト高となることである。
バインダーをあまり多く使用せずに塗工層の強度を良好にするためには、接着強度の良好な共重合体ラテックスを選択、あるいは開発しなければならない。共重合体ラテックスの接着強度を改良するためには、例えば共重合体ラテックス中のゲル含量を調整する方法や、共重合体のガラス転移点を調整するなどの改良方法が提案されている。しかしながら、これらのみでは満足すべき水準の接着強度には達しない。また、官能基を有する単量体を多量に用いて共重合体ラテックスを製造することにより、共重合体ラテックスの接着強度を改良する方法もあるが、この方法では、塗工液の粘度が高くなるため、カーテン塗工やスプレイ塗工に用いるには適さないことが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カーテン塗工やスプレイ塗工のような非接触形式の塗工において、充分な接着強度が得られ、ウエット強度、印刷光沢などの他の塗工紙物性も良好で、操業性にも優れた共重合体ラテックスおよびそれを使用した紙塗工用組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のカーテン塗工用またはスプレー塗工用共重合体ラテックスは、
(a)脂肪族共役ジエン系単量体23〜70重量部、
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜7重量部、ならびに
(c)上記単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体23〜76.9重量部からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より早く検出される成分(GPC測定ゲル)の含量が35%以上、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の重量平均分子量が40,000〜400,000であり、かつトルエン不溶分が35重量%以上である。
本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、GPC測定から得られる分子量分布において、GPC測定ゲルの含量が35%以上であることにより、高分子量の共重合体またはそれらの架橋ゲル成分が多く含まれ、ポリマー強度が大きくなる。そして、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の重量平均分子量が40,000〜400,000であることから、接着強度が強く、しかも低分子量成分が少ないため、粘着性が低く、機械的安定性が良好になる。そのため、操業性が良好になる。ここで言う操業性は、カーテン塗工においては、塗料の吐出口であるリップを閉塞してはならず、スプレー塗工ではノズルを詰まらせてはならないという基本的な要求性能を中心とするものである。
上記に加え、トルエン不溶分が35重量%以上にすると、さらに粘着性が低く、機械的安定性も良好となり、上記塗工法における操業性に不安がなくなる。そして耐溶剤性も良好になり、印刷光沢が良好になる。
本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、ラジカル触媒および還元剤の存在下で乳化重合することにより得られ、優れた接着強度とその他の塗工紙物性を、そして、良好な操業性を発現する。
また、本発明の紙塗工用組成物は、本発明の共重合体ラテックスと顔料とを主成分とするカーテン塗工用およびスプレー塗工用の組成物であり、これを用いることにより、接着強度に優れ、かつ耐水強度、印刷光沢も良好な塗工紙が得られる。特にオフセット印刷用紙に適するが、グラビア印刷用紙等、各種の印刷用紙にも用いることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の紙塗工用共重合体ラテックス、ならびに本発明の紙塗工用共重合体ラテックスを用いた紙塗工用組成物について詳細に説明する。
(共重合体ラテックスの組成と性状)
<単量体の組成>
本発明の共重合体ラテックスの製造に使用する(a)共役ジエン系単量体は、得られる重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するための成分である。
(a)共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ブタジエンが特に好ましい。
(a)共役ジエン系単量体の使用量は、全単量体の使用量を100重量部として、23〜70重量部、好ましくは、30〜60重量部の範囲から選択される。この使用量が23重量部未満では十分な接着強度を得ることができず、一方70重量を越えると、接着強度が低下する。
【0006】
本発明の共重合体ラテックスの製造に用いることができる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体、あるいは水性媒体を用いて乳化重合する場合に(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体に変化するものの具体例として下記のものを挙げることができる。いずれも単独あるいは組み合わせて本発明に使用することができる。
(イ)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類
(ロ)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類
(ハ)マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、β−メタアクリルオキシエチルアシッドヘキサハイドロフタレートなどのハーフエステル類
(ニ)上記(イ)、(ロ)の不飽和カルボン酸類の無水物。例えば、アクリル酸無水物、マレイン酸無水物などは、水性媒体中で乳化重合する際にカルボン酸に変化するので、乳化重合の際の単量体として用いることができる。
(ホ)(イ)〜(ニ)のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩
なかでも、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体として、より好ましくは、上記(イ)モノカルボン酸類、(ロ)ジカルボン酸類、(ハ)ハーフエステル類、および(ニ)ジカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、全単量体の使用量を100重量部として、0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範囲から選ばれる。この場合、単量体(b)の使用量が0.1重量部未満であると接着強度のほか、紙塗工用共重合体ラテックスの機械的、化学的安定性が低下する。一方、単量体(b)の使用量が7重量部を超えると、得られるラテックスの粘度が高くなりすぎ、その取扱いが難しくなるため、作業性が低下し、実用性が低下したものとなる。
【0007】
本発明の共重合体ラテックスの製造に用いることができる(c)上記(a)共役ジエン系単量体および(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体(以下、「(c)他の単量体」ともいう)としては、分子中に重合性不飽和結合を1個あるいは2個以上有する化合物を使用することができる。
(c)他の単量体としては、例えば、(イ)芳香族ビニル化合物、(ロ)アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(ハ)不飽和二塩基酸アルキルエステル、(ホ)シアン化ビニル化合物、(ヘ)アクリルアミドおよびメタクリルアミド、(ト)ビニルエステル、(チ)ビニルエーテル、(リ)ハロゲン化ビニル、(ヌ)アミノ基を有する塩基性単量体、(ル)ビニルピリジン、(ヲ)オレフィン、(ワ)ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、(カ)アリル化合物等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0008】
(イ)芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が挙げられ、特に、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0009】
(ロ)アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0010】
(ハ)不飽和二塩基酸アルキルエステルとしては、例えば、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル等が挙げられる。
(ホ)シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
(ヘ)アクリルアミドおよびメタクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(ト)ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等が挙げられる。
(チ)ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
(リ)ハロゲン化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
(ヌ)アミノ基を有する塩基性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ヲ)オレフィンとしては、例えば、エチレン等が挙げられる。
(ワ)ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(カ)アリル化合物としては、例えば、アリルエステル、ジアリルフタレート等が挙げられる。
【0011】
これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(c)他の単量体は、得られる共重合体に適度の硬さ、弾性および耐水性を付与するために用いられる。(c)他の単量体の使用量は、全単量体の使用量を100重量部として23〜76.9重量部、好ましくは30〜60重量部である。(c)他の単量体の使用量が23重量部未満では耐水性が劣り、一方、(c)他の単量体の使用量が76.9重量部を超えると共重合体が硬くなりすぎ、接着強度が低下する。
【0012】
<ラテックスポリマーの性状>
本発明の共重合体ラテックスは、GPC測定ゲルの含量が35%以上であり、かつ、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の平均分子量が40、000〜400,000でなければならない。
GPC測定ゲルの含量を次のように定義する。GPCの測定から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より早く検出される成分とは、図1に示すように、縦軸に検出量、横軸に溶出時間をとった溶出曲線1において、溶出曲線1と横軸で囲まれた部分を全面積S(S=S1+S2)とした場合、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間T1より早く検出される成分(S1)をいう。また、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間T1より遅く検出される成分とは、図1において、分子量100万の重合体が検出される時間T1より遅く検出される成分(S2)をいう。以上のようにして得られたGPC測定ゲルの含量(%)は、以下に示す式により求められる。
GPC測定ゲルの含量(%) = S1/(S1+S2) × 100
本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、上記で定義したGPC測定ゲルの含量が35%以上である。GPC測定ゲルの含量が35%以上であることにより、高分子量の共重合体またはそれらの架橋ゲル成分が多く含まれる。このため、ポリマー強度が大きくなり、接着強度の向上に寄与する。GPC測定ゲルの含量は35〜90%であることがより好ましく、更に好ましくは41〜90%、特に好ましくは51〜90%である。GPC測定ゲルの含量が35%未満であると、良好な接着強度が得られない。
【0013】
次に、本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、共重合体のGPCの測定から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分は、その重量平均分子量が40,000〜400,000である。そのために、優れた接着強度と良好な操業性を有する。
前記ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の重量平均分子量は50,000〜200,000であることがより好ましく、40,000未満であると、良好な接着強度が得られず、一方、かかる成分の重量平均分子量が400,000より大きい場合は、良好な接着強度が得られるもののも、得られるラテックスの粘度が高くなりすぎ、その取扱いが難しくなるため作業性が低下し、実用性が低下してしまう。
そして、一方、低分子量成分が少ないため、機械的安定性が良く、粘着性が低いことから操業性が向上する。すなわち、カーテン塗工においては、塗料の吐出口であるリップを閉塞してはならず、スプレイ塗工ではノズルを詰まらせてはならないという基本的な要求性能に対する心配がきわめて低くなる。
【0014】
また、本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、トルエン不溶分が35重量%以上である。ドライ強度や機械的安定性が良好なこと、粘着性が低いことに寄与しており、さらに、耐溶剤性も良く、そのため印刷光沢が良好である。前記トルエン不溶分は35〜95重量%であることが好ましく、60〜95重量%であることが更に好ましい。トルエン不溶分が35%未満では、ドライ強度が低下し、機械的安定性が低下し、粘着性が増加してしまう。
GPC測定ゲルの含量、上述した成分の重量平均分子量、およびトルエン不溶分は、重合温度、分子量調節剤、開始剤の量や種類等の重合処方により制御することができる。
【0015】
<GPCの測定>
本発明において、GPCは以下の条件で測定される。
1,試料の調整
固形分を48重量%に調整した共重合体ラテックス0.3gに水1gと、常法に従い洗浄、水洗したカチオン交換樹脂約1gとを加え、陽イオンを除去する。次に、テトラヒドロフラン50mlを加えて2時間放置し溶解させる。続いて、ポリテトラフルオロエチレン製メンブレインフィルター(ポアサイズ3μm、アドバンテック(ADVANTEC)社製)で濾過し、濾液を測定試料とする。
2,装置、測定条件
測定装置:HLC−8020(東ソー(株)製)
充填剤の種類、粒子径:ポリスチレンゲル 30μm
GMH HR−H(30) (東ソー(株)製)
カラムサイズ:7.8mm2D×300mm
溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.3重量%
注入量:30μl
流速:1ml/分
温度:40℃
検出器:示差屈折率計
なお、測定に際しては、分子量既知のポリスチレン標準物質を用いて、予め検量線を作成し、ポリスチレン換算の分子量として表した。
<トルエン不溶分の測定>
上記共重合体ラテックスのトルエン不溶分は、以下のようにして測定される。共重合体ラテックスをpH8.0に調整し、イソプロパノールで凝固させた後、得られた固形分をメタノールで洗浄、乾燥させる。この固形分約0.3g(全固形分量A)をトルエン100mlに室温で20時間浸漬させた後、No.2定性ろ紙を用いてろ過した。ろ液の一部(Cml)を正確に採取して、蒸発凝固させ、得られた残存固形分(トルエン可溶分量B)を秤量し、下記式によってトルエン不溶分を決定する。
トルエン不溶分(重量%)={(A−B×(100/C))/A}×100(%)
【0016】
(共重合体ラテックスの製造方法)
本発明の共重合体ラテックスは、前述した単量体(a)〜(c)を乳化重合することにより製造される。
また、本発明の共重合体ラテックスは、重合開始剤として、ラジカル触媒および還元剤を用いて乳化重合することにより製造されるのが好ましい。ラジカル触媒に還元剤を並存させて乳化重合を行うことにより、共重合体ラテックスの機械的、化学的安定性が向上する。
【0017】
<重合開始剤>
ラジカル触媒は、熱または還元性物質の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を行わしめるもので、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩に代表される無機系触媒、ならびにクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等の有機系触媒を使用することができる。
また、還元剤としては、例えば、エルソルビン酸、エルソルビン酸ナトリウム、エルソルビン酸カリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、糖類、ロンガリットソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜硫酸水素ナトリウム・亜硫酸水素カリウム・亜硫酸ナトリウム・亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩、ピロ亜硫酸水素ナトリウム・ピロ亜硫酸水素カリウム・ピロ亜硫酸ナトリウム・ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、亜燐酸、亜燐酸ナトリウム・亜燐酸カリウム・亜燐酸水素ナトリウム・亜燐酸水素カリウム等の亜燐酸塩、ピロ亜燐酸、ピロ亜燐酸ナトリウム・ピロ亜燐酸カリウム・ピロ亜燐酸水素ナトリウム・ピロ亜燐酸水素カリウム等のピロ亜燐酸塩、メルカプタンが挙げられる。これらの還元剤は、好ましくは、単量体100重量部に対して0.01〜10重量部が使用される。
また、ラジカル触媒および還元剤のより具体的な添加方法として、例えば、両者を別々の供給配管から同時に連続的に重合反応器に添加する方法、ラジカル触媒が還元剤よりも過剰に存在する重合系内に還元剤を連続的に添加する方法、還元剤がラジカル触媒よりも過剰に存在する重合系内に開始剤を連続的に添加する方法が挙げられる。なお、ラジカル触媒と還元剤との等量比は、100/1から1/100の間とするのが好ましい。
さらに、ラジカル触媒および還元剤に加えて、酸化還元触媒を重合系内に添加して乳化重合を行うことができる。酸化還元触媒としては、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオンなどが挙げられる。前述した還元剤と同様に、酸化還元触媒も、重合系にそれぞれ回分的、連続的あるいはこの両者を組み合わせて添加することができる。ラジカル触媒、還元剤、および酸化還元触媒の好ましい組み合わせとして、ラジカル触媒として過硫酸カリウム、還元剤として亜硫酸水素ナトリウム、および酸化還元触媒として硫酸第一鉄を用いたものが挙げられる。
【0018】
<重合温度>
重合温度の範囲は、好ましくは5℃から80℃の間であり、より好ましくは20℃から70℃の間であり、さらに好ましくは20℃から60℃の間である。この範囲の温度で得られた共重合体ラテックスは、紙塗工用バインダとしてのドライピック強度およびベタツキ防止性のバランスが良好である。
【0019】
<乳化剤>
ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩を含むものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
これら乳化剤のうち、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく使用され、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがさらに好ましく使用される。
乳化剤の使用量は、全単量体100重量部当り通常0.05〜2重量部であるのが好ましく、0.05〜1重量部であるのがより好ましい。乳化剤の使用量が2重量部を越えると、耐水性が低下し、紙塗工用組成物の泡立ちが著しくなって塗工時に問題となる。
また、これらの乳化剤は、重合系にそれぞれ回分的、連続的あるいはこの両者を組み合わせて添加されるのが好ましい。
【0020】
<分子量調節剤>
本発明の共重合体ラテックスの製造工程において、乳化重合に使用する分子量調節剤には特に制限はなく、具体的には、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムスルフィド類、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類、およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルネピン、γ−テルネピン、ジペンテン、1,1−ジフェニルエチレンなどを挙げることができる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどがより好適に使用される。
分子量調節剤の使用量は、好ましくは全単量体100重量部当り0〜20重量部、より好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。この分子量調節剤の使用量が全単量体100重量部当り20重量部を越えると、接着強度が低下するため好ましくない。
また、分子量調節剤の重合系内への添加方法は、一括添加、回分的添加、連続的添加、あるいはこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0021】
本発明においては、必要により種々の重合調節剤を添加してもよい。例えば、pH調節剤、各種キレート剤などを使用することができる。
pH調節剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。各種キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記の単量体を重合する方法としては、好ましくは単量体成分の一部を予め重合し、次いで残りの単量体を添加して重合する方法が挙げられる。このときの単量体の添加方法としては、重合系内への単量体の一括添加、回分的添加、または連続的添加のいずれの方法を用いてもよく、あるいはこれらを組み合わせてもよい。ここで、回分的添加とは、複数回に分けて添加するという意味であり、連続的とは、所定時間内において所定量を継続して添加するという意味である。
本態様において、前述したように、ラジカル触媒および還元剤の存在下で乳化重合を行うことができる。これにより、前述した効果についてより一層優れた効果を奏することができる。さらに、より好ましくは、ラジカル触媒および還元剤を用いて乳化重合する際に、単量体の反応工程中に、還元剤の少なくとも一部を回分的、連続的、あるいはこの両者を組み合わせて添加する方法を用いることができる。
【0022】
(紙塗工用組成物の調製)
本発明の共重合ラテックスは、紙塗工用組成物に好適に用いることができる。
本発明における共重合体ラテックスが用いられた紙塗工用組成物は、無機顔料あるいは有機顔料に、上記共重合体ラテックス、さらに必要に応じて他のバインダ、水溶性高分子や各種添加剤など種々の助剤が配合されて用いられる。上記共重合体ラテックスの配合量は、好ましくは顔料100重量部に対して共重合体ラテックス0.5〜100重量部(固形分として)、より好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは1〜30重量部である。共重合体ラテックスが0.5重量部未満であると、接着強度が低下し、一方100重量部を越えるとインク乾燥性が低下する。
また、前記無機顔料としては、例えば、カオリンクレー、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などを使用することができる。また、有機顔料としては、例えば、ポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹脂などを使用することができる。これらは目的に応じて、単独でもあるいは2種以上組み合わせて使用することもできる。
他のバインダとしては、例えば、澱粉、酸化澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然バインダ、あるいはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリル系ラテックスなどの合成ラテックスを使用することができる。
さらに、一般に使用されている種々の助剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコンオイルなど)、レベリング剤(ロート油、ジシアンアミド、尿素など)、防腐剤、耐水化剤(ホルマリン、ヘキサミン、メラミン樹脂、尿素樹脂、グリオキサルなど)、離型剤(ステアリン酸カルシウム、パラフィンエマルジョンなど)、蛍光染料、カラー保持性向上剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)を必要に応じて、本発明の紙塗工用組成物に配合することができる。
【0023】
本発明の共重合体ラテックスを用いた紙塗工用組成物、特にオフセット印刷紙用の紙塗工用組成物には、顔料接着剤として、上記共重合体ラテックスに加えて、カゼイン、カゼイン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性物質を必要に応じて組み合わせて使用することができる。
本発明の共重合体ラテックスを用いた紙塗工用組成物においては、一般に使用されている種々の配合剤、例えば、耐水強度改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料、およびpH調節剤を任意に配合することができる。
また、本発明の共重合体ラテックスは、オフセット印刷用またはグラビア印刷用のバインダとして好適に使用されるが、オフセット印刷用またはグラビア印刷用以外の用途、例えば凸版印刷などの各種印刷用紙、および紙のコーティング剤に使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の「%」および「部」は、特に記載がない限りそれぞれ重量%および重量部を意味するものである。
(実施例1、2)
(共重合体ラテックスの製造方法)
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表1に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換した後、続いて重合系内の温度を40℃に昇温し2時間重合を行い、次に、表1に示される2段目成分、および還元剤水溶液の1/2量を5時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、重合を完結させるために、残り1/2量の還元剤水溶液をさらに5時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、さらに加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックスを得た。
得られた各共重合体ラテックスについて、GPC測定によって、ポリスチレン換算の分子量100万に対応する溶出時間より早く検出される成分(GPC測定ゲル)の含量(%)、およびポリスチレン換算の分子量100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分(以下、「成分(X)」とする)の重量平均分子量を求めた。前記含量および重量平均分子量は、既述の方法によって求めた。
また、得られた共重合体ラテックスのトルエン不溶分は、先に記載の方法により求めた。
さらに、各共重合体ラテックスについて、大塚電子社製の粒子径測定装置(LPA−3100)を用いて粒子径を測定した。その結果を表3に示す。
【0025】
(実施例3〜6)
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表1に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換し、続いて重合系内の温度を50℃に昇温した後、表1に示される2段目成分および還元剤水溶液の1/3量を3時間かけて重合系内に連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目成分および還元性水溶液の1/3量を3時間かけて重合系内に連続的に添加した。その後、重合を完結させるために、残り1/3量の還元剤水溶液をさらに5時間かけて連続的に添加し重合を継続させた。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同じ方法でpH調整、濃縮を実施した。
得られた各共重合体ラテックスについて、平均粒子径、トルエン不溶分ならびに実施例1、2において既述したGPC測定ゲルの含量(%)および成分(X)の重量平均分子量を、実施例1、2と同じ方法で求めた。これらの含量および重量平均分子量は、既述の方法によって求めた。さらに、各共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同様の方法にて粒子径を測定した。その結果を表3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
(比較例1)
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表2に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換し、続いて重合系内の温度を40℃に昇温した後1時間重合を行った。次に、表2に示される2段目成分、および開始剤水溶液の1/2量を7時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、重合を完結させるために、重合温度を85℃に昇温し、さらに、残り1/2量の開始剤水溶液を4時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同じ方法でpH調整、濃縮を実施した。
得られた各共重合体ラテックスについて、平均粒子径、トルエン不溶分ならびにGPC測定ゲルの含量(%)および成分(X)の重量平均分子量を、実施例1、2と同じ方法で求めた。これらの含量および重量平均分子量は、既述の方法によって求めた。さらに、各共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同様の方法にて粒子径を測定した。
【0028】
(比較例2〜4)
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表3に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換し、続いて重合系内の温度を50℃に昇温した後、表1に示される2段目成分および開始剤水溶液の1/3量を5時間かけて重合系内に連続的に添加した。さらに、表3に示す3段目成分および開始剤水溶液の1/3量を5時間かけて重合系内に連続的に添加した。その後、重合を完結させるために、残り1/3量の開始剤水溶液をさらに5時間かけて連続的に添加し重合を継続させた。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同じ方法でpH調整、濃縮を実施した。
得られた各共重合体ラテックスについて、平均粒子径、トルエン不溶分ならびにGPC測定ゲルの含量(%)および成分(X)の重量平均分子量を、実施例1、2と同じ方法で求めた。これらの含量および重量平均分子量は、既述の方法によって求めた。さらに、各共重合体ラテックスについて、実施例1、2と同様の方法にて粒子径を測定した。その結果を表3に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
カーテンコーターでの評価
(紙塗工用組成物の調製)
実施例1〜5および比較例1〜4で製造した共重合体ラテックスを用いて、下記の処方によりカーテン塗工用でオフセット印刷用紙向けの紙塗工用組成物を調製した。
配合;
カオリンクレー 70.0部
炭酸カルシウム 30.0部
分散剤 0.2部
水酸化ナトリウム 0.1部
澱粉 4.0部
ラテックス(固形分として) 13.0部
水 全固形分が45%となるように適当量添加
(塗工紙の作成と評価)
この紙塗工用組成物を塗被原紙上に、塗工量が片面10.0±0.5g/m2となるように、ラボカーテンコーターで塗工し、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿の部屋に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダーに4回通紙した。得られた塗工紙の性能評価は以下の方法により行った。
1)ドライピック強度
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
2)ウェットピック強度
RI印刷機を用いて、塗工紙表面を給水ロールで湿してから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
3)印刷光沢
RI印刷機を用いてオフセット用インキをベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60゜−60゜の入射反射角度で測定した。
4)操業性
塗工液をラボカーテンコーターのヘッドを通して1時間循環させた。循環中スリットを閉塞させたものは×、閉塞させなくても、スリットからの流れ、すなわち、塗工液のカーテンがを乱れたものは△に、全く異常のないものを○とした。
【0031】
スプレー塗工での評価
上記カーテンコーター用に調製した塗工用組成物を粘度が100mPa.sになるように希釈した。この紙塗工用組成物をスプレーで塗被原紙上に、塗工量が片面10.0±0.5g/m2となるように塗工した。その後はカーテンコーターの場合と同様に、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿の部屋に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダーに4回通紙した。
得られた塗工紙の性能評価はカーテン塗工の場合と同様におこなった。ただし、操業性の関しては、スプレー時に詰まりが生じないか、正常にスプレーできるかを観察した。
【0032】
【表3】
【0033】
上記の評価方法で評価した結果を表3に示した。これらから明らかな通り、実施例の共重合体ラテックスは、本発明の目的を達成している。すなわち、強度、ウエット強度が強く、印刷光沢発現性が良好で、ラテックスの粘着性が低く、操業性が良好である。
一方、比較例の共重合体ラテックスは、強度、ウエット強度、印刷光沢、操業性のいずれか、あるいは複数の項目が悪い結果となっている。
【0034】
【発明の効果】
本紙塗工用組成物を用いることにより、カーテン塗工やスプレー塗工の欠点である強度を大幅に改良し、かつ、耐水強度、印刷光沢が良好で、塗工時の操業性にも優れる塗工紙を与える
【0035】
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のチャート模式図
T1:ポリスチレン換算分子量100万の重合体が検出される時間
S1:ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間T1より早く検出される成分
S2:ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間T1より遅く検出される成分
Claims (2)
- (a)脂肪族共役ジエン系単量体23〜70重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜7重量部、ならびに(c)上記単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体23〜76.9重量部(但し、(a)+(b)+(c)=100重量部)からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より早く検出される成分(GPC測定ゲル)の含量が35%以上、ポリスチレン換算の分子量で100万に対応する溶出時間より遅く検出される成分の重量平均分子量が40,000〜400,000であり、かつトルエン不溶分が35重量%以上であることを特徴とするカーテン塗工用あるいはスプレー塗工用共重合体ラテックス。
- 請求項1記載の共重合体ラテックスを含有するカーテン塗工用またはスプレー塗工用組成物
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