JP2004225118A - 熱電材料インゴット、その製造方法及び熱電モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電材料インゴット、その製造方法及び熱電モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い性能指数と高い歩留まりとを両立させることができる熱電材料インゴット、その製造方法及び熱電モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】超急冷法により調製した熱電素材を塑性変形することにより配向性を付与した平板状の複数個の熱電材料の成形体2を、板厚方向に重ねて相互に接合し一体化することにより、結晶粒のc軸が配向している板厚方向の辺の長さBと、結晶粒のa軸が配向して抵抗が低い方向のうち最短の辺の長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である直方体状の熱電材料インゴット1とする。インゴット1を、板厚方向と平行で抵抗が低い短辺と直交する面でスライシングすることにより作製されるウエハは大型化される。このため、メッキ処理後に廃棄処分されるウエハ外縁部分が相対的に少なくなり、歩留まりが向上する。また、スライシング回数が減少するので生産性も向上する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電発電及び熱電冷却等に応用される熱電素子を形成する熱電材料インゴット及びその製造方法に関し、特に、高い性能指数と高い歩留まりとを両立させることができる熱電材料インゴット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電材料の特性は、そのゼーベック係数をα(μ・V/K)、比抵抗をρ(Ω・m)、熱伝導率をκ(W/m・K)としたとき、下記数式1に示す性能指数Zによって評価することができる。
【0003】
【数1】
Figure 2004225118
【0004】
上記数式1に示すように、性能指数Zを大きくするためには、比抵抗ρ及び熱伝導率κを小さくすることが効果的である。一般的に、結晶粒の粒径が小さくなるほど熱伝導率κが小さくなることは公知である。また、熱流及び電流が通過する方向において、通過する結晶数を減少させると比抵抗は小さくなる。即ち、結晶が成長する方向に電流又は熱流方向を規定すると、その熱電材料の性能指数Zは大きくなる。
【0005】
上述のように、熱電材料の多くはその結晶構造に起因した熱電性能の異方性を持つため、従来技術においては、高い性能指数が得られる単結晶又は一方向凝固熱電材料を使用し、下記のように熱電素子を製造するのが一般的である(例えば、非特許文献1参照)。図5(a)乃至(e)は、この従来技術による熱電素子の製造方法を工程順に示す模式図である。従来技術においては、図5(a)に示すように、低抵抗である結晶方位に配向性がそろった熱電材料のインゴット50を用意する。ここで、このインゴット50において結晶配向性がそろい抵抗が低い方向は、図5(a)に矢印で示した方向である。この熱電材料のインゴット50を、図5(b)に示すように、前記低抵抗方向に直交する方向にスライシングすることによって、熱電材料のウエハ51を作製する。そして、図5(c)に示すように、この熱電材料のウエハ51をメッキ浴52に浸漬し、公知のメッキ法によって、ウエハ51の表面にNiメッキ等のメッキ被膜(図示せず)を形成する。次に、このメッキ被膜が表面に形成されたウエハ51を、図5(d)に示すように、前記低抵抗方向と平行で相互に直交する方向にダイシングすることによって、直方体状の熱電素子53を作製する。このように作製した熱電素子53においては、図5(e)に示すように、前記スライシングにより形成された表面であった面53a及び53bには、メッキ被膜が成膜されており、この1対の平行なメッキ被膜に直交する方向が、この熱電素子53の原料であった熱電材料のインゴット50での低抵抗方向である。よって、このように製造した熱電素子53においては、このメッキ被膜を介して通電することによって、熱電素子の性能指数が高くなる。
【0006】
しかしながら、このような単結晶又は溶製材のような一方向凝固された熱電材料においては、その結晶が持つ異方性のためにへき開し易く、脆弱であるという欠点がある。このため、小型化が要求される熱電モジュールに組み込む微小な熱電素子を作製する熱電材料として使用するのに適していない。
【0007】
一方、固相反応法による多結晶性熱電材料においては、材料強度は高いものの充分ではない。また、高い熱電性能を付与するために、熱電材料中の結晶粒内における配向性を揃える加工が必須である。
【0008】
上述のような熱電素子を作製するための熱電材料としては、BiTe系熱電材料の使用が知られている(例えば、非特許文献1参照)。例えば、焼結材からなるBiTe系熱電材料は、凝固した材料を粉砕し、ホットプレス及び据込鍛造等により固化成形することにより製造するが、この固化成形の際に、図6に示すように、ホットプレス等による圧力印加方向と直交する方向に低抵抗の結晶方位であるa軸が成長し、この方向で高い性能指数が得られる。従って、このa軸方向に電流を流すことができるように、上述のような方法により表面にメッキ被膜を備えた熱電素子を作製し、このメッキ被膜を介して電極付けした複数の熱電素子からなる熱電モジュールを組み立てる。このため、熱電材料の製造工程においては、各結晶のa軸を揃わせること、即ち高い配向性を付与することが重要である。
【0009】
このようなBiTe系等の熱電素材においては、据込鍛造等による塑性変形加工において、この熱電素材の変形量を大きくし、配向性をより向上させることが、より高い性能指数の熱電材料を与えることが知られている。この従来技術においては、熱電材料の加圧焼結体を加熱しながら塑性変形させる熱間据込鍛造を繰返すことにより、インゴットの加圧方向の厚さをもとのインゴットの厚さの16分の1まで減少させて性能指数を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
図7(a)及び(b)は、熱間据込鍛造時における熱電素材の圧力印加方向での変化量を示す模式的断面図である。この熱間据込鍛造においては、図7(a)に示すように、ベース62及びダイ63により内部に空間が設けられた据込鍛造用の金型内に、熱電素材の加圧焼結体65を、その周囲に空隙を設けて配置する。そして、図7(b)に示すように、パンチ64を使用して圧力を印加することにより、圧力印加方向と直交する方向がa軸となり、この方向に熱電特性の優れた方位が配向した熱電材料のインゴット66を得ることができる。
【0011】
しかしながら、このように加工時の塑性変形量を大きくすると、得られる熱電材料のインゴット66は扁平状となる。
【0012】
図8及び図9は、このような扁平状のインゴット66による問題点を説明するための斜視図である。この扁平状の熱電素材のインゴット66においては、その低抵抗方向を通電方向とするような熱電素子を作製するために、扁平状のインゴット66を、図8に破線で示すように、塑性変形加工における圧力印加方向と平行で低抵抗方向であるa軸と垂直な平面でスライシングし、多数の小さな熱電材料のウエハ70を作製しなければならない。このような熱電材料のウエハ70においては、このウエハ70表面へのメッキ被膜形成後に、電気伝導率が熱電材料よりも良好で、熱電素子形成後に熱電素子への通電を妨げることになるウエハ70の周側面に付着したメッキ被膜は、ウエハ70周側面部分の熱電材料と共に切断され除去される。このように熱電素子の製造工程においては、ウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の熱電材料は、この部分に形成されたメッキ被膜と共に切断され除去されるので、廃棄処分されるウエハ外縁部分(図8に2点鎖線で図示)のウエハ表面積に対する割合が相対的に小さくなる大型のウエハを作製することが望ましい。多数の小さなウエハ70が作製されるような場合においては、廃棄処分されるウエハ外縁部分が増大し、ウエハのスライシング面上で、実際にメッキ被膜が形成され、熱電素子形成に使用することができる面積71が減少するので、歩留まりが低下する。また、ウエハ外縁部分が相対的に増大する小さなウエハ70では、ウエハ70の周辺部分からの欠け及び割れ等による破損が多いことも、歩留まりを低下させる要因となっている。また、小さなウエハ70においては、実際にメッキ被膜を形成し使用できるスライシング面71の面積が小さく、多数の小さなウエハにメッキ処理を施す必要があるため、メッキ処理回数が増えるので、生産効率が低下する。また、多数の小さなウエハ70を作製する場合、スライシングの回数が増加して生産性が低下する。更にまた、メッキ被膜が形成されたウエハ70をダイシングし、直方体状の熱電素子73を作製する工程においては、図9に示すように、このウエハ70をステージ72に接着しなければならないが、この接着工程の生産性が、多数の小さなウエハ70を接着しなければならない場合には、極めて低くなる。
【0013】
このような問題を解決するための技術として、例えば、高い配向性を付与するために押出し成形された複数個の棒状の多結晶性熱電材料を並列に配列し、これを軸線方向と直交する方向から加圧しながら加熱して焼結することによって、一体化した大型の熱電材料のインゴットを製造する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
しかしながら、この従来技術においては、棒状の多結晶性熱電材料を使用しているため、並列に配列された加圧前の熱電材料の集合体には、この棒状の熱電材料の間に複数の空隙が存在する。このため、このように配列された棒状の熱電材料を加圧しながら加熱すると、この熱電材料は、周囲の空隙を満たすように方向を定めずに延伸して塑性変形する。従って、押出し成形加工により付与された結晶配向性が乱れてしまい、性能指数が低下してしまうという問題点がある。
【0015】
一方、複数の小型の熱電材料を一体化して大型の熱電材料のインゴットを製造する他の技術として、配向性を付与された複数の小型の直方体状の熱電材料のインゴットを積層し、これを加熱しながら加圧することにより塑性変形させて一体化する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0016】
【非特許文献1】
木村靖忠,「まてりあ」,1999年10月,第38巻,第10号,p.750−751
【特許文献1】
特開平11−261119号公報(第23−24頁、表8)
【特許文献2】
特開2000−252530号公報(第1−4頁、第4図)
【特許文献3】
特開2001−160634号公報(第2頁、第1図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術においては、小型の熱電材料のインゴットを一体化する接合工程において、塑性変形による更なる配向性の付与をも試みているため、作製される熱電材料のインゴットが再び扁平状になる。このため、このようにして大型化された熱電材料のインゴットをスライシングすることにより得られる熱電材料のウエハにおいては、メッキ被膜が形成すされる面の面積は増大しない。よって、メッキ処理工程における生産性は向上しない。
【0018】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、高い性能指数と高い歩留まりとを両立させることができる熱電材料インゴット、その製造方法及び熱電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係る熱電材料インゴットは、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の粉末及び/又は箔片又はインゴットを出発材料として得られた平板状の成形体を板厚方向に重ねて相互に接合したものであり、前記板厚方向の長さBとこれに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であることを特徴とする。
【0020】
前記出発材料は、超急冷法により作製された粉末及び/又は箔片か、又はインゴットの粉砕粉であることが好ましい。
【0021】
本願第2発明に係る熱電材料インゴットの製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の粉末及び/又は箔片を超急冷法により作製する工程と、前記粉末及び/又は前記箔片を仮成形する工程と、この仮成形体を塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする。
【0022】
本願第3発明に係る熱電材料インゴットの製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材のインゴットを作製する工程と、このインゴットの粉砕粉を作製する工程と、前記粉砕粉を仮成形する工程と、この仮成形体を塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする。
【0023】
本願第4発明に係る熱電材料インゴットの製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材のインゴットを作製する工程と、このインゴットを塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする。
【0024】
前記塑性加工工程は、ホットフォージ、押出、又は圧延のいずれか又はその組み合わせにより行うことができる。
【0025】
また、前記接合工程は、通電加熱、ホットプレス、ホットフォージ又は圧延のいずれか又はその組み合わせにより行うことができる。
【0026】
本願第5発明係る熱電モジュールの製造方法は、前記熱電材料インゴットの製造方法により作製したp型熱電材料インゴット及びn型熱電材料インゴットをその低抵抗方向に垂直な方向にスライスすることにより熱電材料ウエハを作製する工程と、前記熱電材料ウエハをダイシングすることにより熱電素子にする工程と、前記熱電素子を電極が形成された基板上にp型熱電素子とn型熱電素子が直列に接続されるように前記電極に接合する工程と、を有することを特徴とする
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る熱電材料インゴット及びその製造方法について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態における熱電材料インゴットの製造方法を示す模式的斜視図である。本発明の第1実施形態においては、先ず、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の粉末及び/又は箔片を超急冷法により作製する。
【0028】
本実施形態においては、超急冷法として液体急冷法を使用し、熱電素材の箔片を作製する。先ず、原料であるBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを所望の組成となるように秤量した原料粉を、石英管のアンプルに挿入する。なお、この封入に際しては原料粉をアンプル内に入れた後、アンプル内を真空引きし、その内部が真空となったままか、又は不活性ガスを導入した状態として、アンプルの口を封じ切る。その後、このアンプルを600乃至700℃の管状炉内に入れて原料粉を溶解し、管状炉をスタンドに回転可能な状態で支持させてゆりかごのように揺動して原料融液を撹拌する。次いで、融液を冷却して凝固させて熱電素材のインゴットを調製する。この熱電素材のインゴットを、液体急冷法により熱電素材の急冷箔片とする。このような液体急冷法による急冷箔片の作製過程においては、急冷箔片内における結晶粒内において、この箔片の厚さ方向に平行にa軸が配向している。このため、この厚さ方向に平行に加圧する等して塑性変形することによって、この加圧方向に平行に結晶粒内のa軸を配向させて比抵抗を容易に低減させることができる。
【0029】
次に、上述のようにして作製される熱電素材の急冷箔片を押出し法により塑性変形させ、平板状の複数個の熱電材料の成形体2を作製する。図2は、本実施形態において熱電素材を塑性変形させるために使用する押出方法を示す模式的斜視図である。この押出方法においては、長方形状の押圧面の短辺が長辺の約半分の長さ、例えば長辺が30mm、短辺が17.5mmであって、この短辺の長さが維持されると共に、長辺が押圧方向と直交する方向に徐々に絞り込まれて押出し先端面(押圧面の先頭部)における長辺の長さが押圧面における長辺の長さの約1/4、例えば7.5mmに縮径されるような成形用金型4を使用する。この成形用金型4内に、上述のような超急冷法により箔片化した熱電素材5を、図2に示すように、一定量挿入する。そして、これを、例えば450℃程度に昇温した後に、鉛直上方向より押圧することによって、この超急冷箔片からなる熱電素材5を絞り込み方向に塑性変形させながら、鉛直下方向の押出し先端面から熱電材料の成形体2を押し出すことによって、塑性変形した熱電材料の成形体2を調整する。このようにして調整される熱電材料の成形体2は、成形用金型4における押出し先端面の長辺の長さが短辺の長さの約2倍であるため、この押出し先端面の長方形状を反映し、押出し先端面と平行な面を構成する長辺の長さが短辺の長さの約2倍である平板状となる。また、この押出方法による平板状の熱電材料の成形体2においては、超急冷箔片からなる熱電素材5が絞り込み方向に塑性変形すると共に押圧方向に展延し、この絞込み方向と直交し押圧方向と平行な方向に結晶粒内のa軸が配向している。このため、この絞込み方向と直交し押圧方向と平行な面が低抵抗な押圧方向を含む面で、且つ、絞込み方向が板厚方向となる平板状の熱電材料の成形体2を得ることができる。
【0030】
このようにして作製される複数個の平板状の熱電材料の成形体2を、図1(a)に示すように、板厚方向に重ねて相互に接合することによって、図1(b)に示すように、板厚方向の長さBと、これに直交し押圧面の短辺方向であった方向の短辺の長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴット1を製造する。本実施形態においては、これらの平板状の熱電材料の成形体2を相互に接合する方法としては、通電加熱法を使用する。前記通電加熱法にはパルス通電焼結法及び放電プラズマ焼結法等があり、本実施形態においては、どの方法を使用しても良い。前記通電加熱法においては、例えば、複数個の平板状の熱電材料の成形体2を通電用の金型内に板厚方向に重ねて配置し、前記金型を真空雰囲気中で240℃程度に加熱しながら加圧力39.2MPaを印加して5分間程度保持した後、昇温速度が100℃/分になるように通電することにより、これらの熱電材料の成形体2を相互に接合する。
【0031】
前記通電加熱法においては、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体2を、塑性変形させることなく、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値を保持したまま、充分な接合強度で接合し一体化することができる。このため、このようにして製造される直方体状の熱電材料インゴット1においては、図3に示すように、板厚方向の長さBと短辺の長さAとのアスペクト比B/Aを1以上にすることができる。また、この熱電材料インゴット1内においては、接合前の熱電材料の成形体2と同様に、結晶粒のa軸が板厚方向と直交し押圧方向と平行な方向に配向しており、板厚方向には結晶粒のc軸が配向している。また、この熱電材料インゴット1内においては、これを形成する熱電材料の成形体2の接合界面であった部分での組成等の材質及び熱電性能等の物性値も、各熱電材料の成形体2の中央部であった部分と同一であり、且つ、この熱電材料インゴット1内部は充分に均質化されて接合されているため、熱電材料の成形体2の接合界面であった部分においても、材質及び物性値が異なるようなことはない。
【0032】
次に、上述のように製造される熱電材料インゴット1を、図1(b)に破線で示すように、板厚方向とこの短辺との双方に平行な面でスライシングして熱電材料のウエハ10を作製する。本実施形態においては、複数個の熱電材料の成形体2を接合することにより一体化し、アスペクト比B/Aが1以上の大面積のスライシング面を備え、組成等の材質及び熱電性能等の物性値が均質化された大型の熱電材料インゴット1をスライシングすることによって、熱電材料のウエハ10を切り出す。このため、大型で少ない枚数の均質な熱電材料のウエハ10を作製することができる。即ち、熱電材料インゴット1を、図1(b)に破線で示す線でスライシングすることにより得られる熱電材料のウエハ10は、熱電材料の成形体2を接合せずに、図1(a)に破線で示す線でスライシングして得られる小型のウエハ9よりも大型化すると共に、得られるウエハの枚数は少なくなる。図1(a)及び(b)に2点鎖線で示すように、夫々のウエハ9及び10の外縁部分は、スライシングによる欠け及び割れ等が発生し易く、廃棄処分されることが多いが、大型のウエハ10においては、小型のウエハ9と比較して、ウエハの全体積に占める外縁部分の割合が相対的に少なくなるため、スライシングの際に、欠け及び割れ等により廃棄処分される部分が相対的に少なくなる。よって、歩留まりが向上する。また、この熱電材料インゴット1を、図1(b)に破線で示す線でスライシングする回数は、熱電材料の成形体2を接合せずに、図1(a)に破線で示す線でスライシングする回数よりも少ない。よって、スライシング工程における生産性が向上する。
【0033】
次に、上述のようにスライシングすることにより熱電材料インゴット1から切り出された熱電材料のウエハ10表面に、公知のメッキ法等によりメッキ被膜を形成する。この熱電材料のウエハ10は、メッキ処理工程後にダイシングされ、このウエハの厚さ方向を通電方向とする熱電素子となるが、ウエハ10の周側面に導電性のメッキ被膜が残留すると、ウエハ10の厚さ方向に沿って導電性のメッキ被膜が存在することになり、この熱電素子に通電する際に、半導体である熱電材料よりも電気伝導率が良好なメッキ被膜に電流が主に流れてしまい、熱電素子として機能しなくなるという不具合が発生する。メッキ被膜は、一般的に、ウエハ10の周側面を含む表面全体に形成されるが、ウエハ周側面に形成されるメッキ被膜は、上述のような不具合を防ぐために除去されねばならない。また、ウエハ端部においては、メッキ被膜の厚さが異なる等のメッキ不良も発生し易い。
【0034】
よって、図1(a)及び(b)に2点鎖線で示すように、熱電材料の成形体2又は複数個の熱電材料の成形体2を接合した熱電材料インゴット1から切り出された小型のウエハ9及び大型のウエハ10のウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分は、ウエハの大小に係わらず、これらのウエハの周側面に付着したメッキ被膜と共に、メッキ処理後に、切断され除去されて廃棄処分される。このように切断され除去されるウエハ周側面から一定幅の外縁部分は、熱電素子の高さであるウエハの厚さは維持されることから、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大するほど、このウエハ体積に対する割合が相対的に減少する。そのため、スライシング面の面積に対するウエハ周側面から一定幅の面積が占める割合が、ウエハが大型化するほど相対的に減少することになる。即ち、本実施形態の熱電材料のウエハ10においては、切断され廃棄処分されるウエハ周側面から一定幅の外縁部分が減少し、スライシング面におけるウエハ周側面から一定幅の面積を除くメッキ被膜形成面積が増大する。従って、メッキ処理後に切断され除去されるウエハ外縁部分が減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大するため、歩留まりが向上する。また、本実施形態においては、スライシングにより作製されるウエハ10の枚数が、複数個の熱電材料の成形体2を接合せずに小型のウエハ9を作製する場合と比較して少ないので、メッキ処理をする回数が少なくて済むため、生産効率も向上する。
【0035】
上述のようにメッキ被膜を形成されたウエハ10を、ウエハ周側面から一定幅の外縁部分を切断して除去し、メッキ被膜形成面3に直交し相互に直交する複数の面でダイシングすることによって、1対の対向平行面にメッキ被膜が形成され、この1対のメッキ被膜形成面の対向方向を通電方向とする直方体状の複数個の熱電素子を作製する。本実施形態のウエハ10においては、熱電材料の成形体2の接合界面であった部分においても熱電性能等の物性値が均質化されているため、熱電材料の成形体2を接合せずに切り出される小型のウエハ9では廃棄処分される部分(図1(a)に2点鎖線で示した部分)からも、均質な熱電性能を備えた熱電素子を製造することができるので、歩留まりが著しく向上する。
【0036】
また、本実施形態による熱電材料インゴット1からは、熱電材料の成形体2を接合せずにウエハを作製する場合と比較して、少ない枚数の大型のウエハ10が作製される。このような大型のウエハ10においては、欠け等により廃棄されるウエハ外縁部分が相対的に減少するため、ダイシング工程においても歩留まりが向上する。また、大型で少ない枚数のウエハ10においては、ダイシングのためにステージ上に接着するウエハ枚数が少なくなるので、ダイシング工程における生産性が向上する。このように、厚さ方向が低抵抗方向となる大型で均質なウエハ10において、この厚さ方向に垂直な平行表面3にメッキ被膜を形成し、このウエハ10の厚さ方向を通電方向とするように熱電素子を形成することによって、高い性能指数を備え品質が維持された熱電素子を、高い歩留まりで製造することができる。
【0037】
前記方法により作製された熱電素子を、電極が形成された絶縁性の基板上にp型熱電素子とn型熱電素子とが直列に接続されるように配置し、はんだ等により前記電極と接合して、熱電モジュールを組み立てる。
【0038】
本実施形態において使用する超急冷法としては、単ロール法、双ロール法及び回転ディスク法等の液体急冷法若しくはガスアトマイズ法が望ましい。このような超急冷法による急冷箔片の作製過程においては、急冷箔片内における結晶粒内において、この箔片の厚さ方向に平行にa軸が配向している。このため、この厚さ方向に平行に加圧する等して塑性変形することによって、この加圧方向に平行に結晶粒内のa軸を配向させて比抵抗を低減させることが容易にできる。よって、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる所望の組成に調整した熱電素材の原料の溶融金属を、超急冷法により箔片化した熱電素材を原料として使用しることによって、高い配向性を備え、より性能指数が高い熱電材料を製造することができる。従って、このような超急冷法により箔片化した熱電素材を熱電材料の原料として適用することによって、本発明の効果を高め、より性能指数が高い熱電材料インゴットを得ることができる。
【0039】
なお、原料として使用する熱電素材5は、超急冷法による熱電素材の箔片が好適であるが、他の超急冷法により粉末化された熱電素材、超急冷法による熱電素材の箔片及び粉末を固化成形させたもの並びに熱電素材のインゴットを使用しても良い。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、超急冷法によりBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の箔片を作製する。次に、このように超急冷法により調整した熱電素材の箔片を、圧延法により塑性変形させる。この圧延法においては、例えば300℃程度に加熱しながら98MPa程度の圧力を60分間程度印加することにより調整した仮成形体7を、この厚みが約6割程度に圧縮されるように、図4に示すように、回転する2本の圧延ロール6間を通過させて塑性変形させる。例えば、塑性変形前の厚さが20mmの仮成形体7に圧延法を適用することによって、この厚さを12mmとする。このような圧延法を適用することによって、熱電素材の仮成形体7は圧延方向に塑性変形し、この圧延ロール6による圧力印加方向が板厚方向である平板状の熱電材料の成形体2となる。また、このような圧延法による熱電材料の成形体2においては、圧力印加方向と直交し展延する方向に結晶粒内のa軸が配向しており、この展延方向が低抵抗方向となる。
【0041】
このようにして作製される複数個の平板状の熱電材料の成形体2を、図1(a)に示すように、板厚方向に重ねて相互に接合することによって、上述の実施形態1と同様に、板厚方向の長さBと、これに直交し展延方向であった方向の辺の長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴット1を製造する。
【0042】
本実施形態においては、熱電素材の塑性変形に圧延法を使用したが、これにより前記第1の実施形態において熱電素材の塑性変形に使用した押出し法と同様に、結晶粒内のa軸を圧力印加方向と垂直な展延方向に配向させることができる。このため、塑性変形に使用する方法以外は、第1の実施形態と同じ方法を使用し、上述のようにして製造される本実施形態の熱電材料インゴットからは、第1の実施形態で製造される熱電材料インゴットと同様に、従来技術と比較して、大型で少ない枚数の均質なウエハが作製される。従って、第1の実施形態と同様に、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大するので、このウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅の部分の体積が相対的に減少することになる。このため、このウエハ周側面から一定幅の切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。よって、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分が、スライシング面に対して占める面積が相対的に減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大する。従って、歩留まりが向上する。また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体周縁部分も、大型ウエハ内部のメッキ被膜及び熱電素子形成可能部分として使用できるため、更に歩留まりが向上する。また、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分が相対的に減少するため、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け等により廃棄され易い外縁部分が減少しているので、これらの工程において、欠け等により廃棄される部分が減少するため、歩留まりが向上する。また、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少ないので、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程における生産性が向上する。
【0043】
なお、このような圧延処理を熱電素材に施す場合においては、熱電素材の仮成形体7をアルミニウム等からなるシース材内に封入しておき、このシース材内に封入された状態で圧延処理することが望ましい。また、原料として使用する熱電素材5は、超急冷法による熱電素材の箔片が好適であるが、他の超急冷法により粉末化された熱電素材、超急冷法による熱電素材の箔片及び粉末を固化成形させたもの並びに熱電素材のインゴットを使用しても良い。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、超急冷法によりBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の箔片を作製する。次に、このように超急冷法により調整した熱電素材の箔片を、鍛造法により塑性変形させる。この鍛造法においては、上述のような超急冷法により調整した熱電素材の箔片を、例えば300℃程度に加熱しながら98MPa程度の圧力を60分間程度印加することにより調整した熱電素材の仮成形体65を、図7に示すような鍛造用金型において、ベース62とダイス63により形成される空間内に周囲に空隙を設けて配置する。このベース62及びダイス63からなる鍛造用金型内に配置された熱電素材の仮成形体65を、例えば450℃程度に加熱しながら、この鉛直上方向からパンチ64により圧力を印加することにより、熱電素材の仮成形体65の厚みが半分以下になるまで塑性変形させ、平板状の熱電材料の成形体66を作製する。このような鍛造法を適用することによって、超急冷箔片等の熱電素材の仮成形体65は塑性変形し、圧力印加方向と直交する方向に展延する。このため、展延方向に結晶粒内のa軸が配向し、この展延方向が低抵抗方向となる。このようにして圧力印加方向が板厚方向であり、展延方向が低抵抗方向である平板状の熱電材料の成形体2を作製する。
【0045】
このようにして作製される複数個の平板状の熱電材料の成形体2を、図1(a)に示すように、板厚方向に重ねて相互に接合することによって、上述の実施形態1と同様に、板厚方向の長さBと、これに直交し展延方向であった方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴット1を製造する。
【0046】
本実施形態においては、熱電素材の塑性変形に鍛造法を使用するが、これにより第1の実施形態において熱電素材の塑性変形に使用した押出し法と同様に、結晶粒内のa軸を圧力印加方向と垂直な面に配向させることができる。よって、塑性変形に使用する方法以外は、第1の実施形態と同じ方法を使用し、上述のようにして製造される本実施形態の熱電材料インゴットからは、第1の実施形態で製造される熱電材料インゴットと同様に、大型で少ない枚数の均質なウエハが切り出される。従って、第1の実施形態と同様に、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大するので、このウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の体積が相対的に減少することになる。即ち、このウエハ周側面から一定幅で切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。よって、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分が、スライシング面に対して占める面積が相対的に減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大する。従って、歩留まりが向上する。また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体の周縁部分も、大型ウエハ内部のメッキ被膜形成可能部分として熱電素子形成に使用できるため、更に歩留まりが向上する。また、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分が相対的に減少するため、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け等により廃棄され易い外縁部分が減少しているので、これらの工程において、欠け等により廃棄される部分が減少するため、歩留まりが向上する。また、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少なくて済むので、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程における生産性が向上する。
【0047】
なお、このような鍛造法を熱電素材の塑性変形に適用する場合においては、熱電素材の仮成形体65の圧力印加方向と平行し相互に平行な1対の表面がダイス2の内壁に接するように、熱電素材の仮成形体65を配置することによって、この1対の平行表面を拘束しても良い。このような場合、熱電素材の仮成形体65は、前記圧力印加方向と前記拘束面の双方に直交する方向である一軸方向に展延して塑性変形し、この展延方向に結晶粒内のa軸が配向するので、この展延方向が低抵抗な通電方向となる。よって、このような場合においては、圧力印加方向が板厚方向となり、この板厚方向の長さと圧力印加方向及び展延方向の双方に垂直な方向の長さとの比が、アスペクト比B/Aになる。
【0048】
本実施形態においては、熱電素材の仮成形体65の原料として使用する熱電素材は、超急冷法による熱電素材の箔片が好適であるが、他の超急冷法により粉末化された熱電素材、超急冷法による熱電素材の箔片及び粉末を固化成形させたもの並びに熱電素材のインゴットを使用しても良い。また、熱電素材の仮成形体65の形状は、直方体状等の多角形体状、円柱状又は球状等のどのような形状であっても良い。
【0049】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、超急冷法によりBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の箔片を作製する。次に、このように超急冷法により調整した熱電素材の箔片を、例えば、上述の押出方法により塑性変形させ、平板状の複数個の熱電材料の成形体2を作製する。そして、これらの平板状の複数個の熱電材料の成形体2を、ホットプレス法により相互に接合する。このホットプレス法においては、複数個の平板状の熱電材料の成形体をホットプレス用の金型内に板厚方向に重ねて配置し、この金型を530℃程度に加熱しながら加圧力98Mpaを印加したまま1時間程度保持することによって、これらの熱電材料の成形体2を相互に接合する。このようにして、上述の実施形態1と同様に、板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴット1を製造する。
【0050】
本実施形態においては、熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法としてホットプレス法を使用し、塑性変形量を抑制して熱電材料の成形体2を相互に接合している。このため、第1の実施形態で熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法として使用した放電プラズマ焼結法と同様に、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体2を、ほとんど塑性変形させずに、且つ、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値をほぼ維持したまま接合することができる。よって、熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法以外は、第1の実施形態と同じ方法を使用し、上述のようにして製造される本実施形態のアスペクト比B/Aが1以上の大型の熱電材料インゴットからは、第1の実施形態で製造される熱電材料インゴットと同様に、大型でほぼ均質な少ない枚数のウエハが作製される。即ち、第1の実施形態と同様に、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大する。このため、このウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の体積が相対的に減少するので、切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。よって、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分が、スライシング面に対して占める面積が相対的に減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大する。従って、歩留まりが向上する。また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体の周縁部分も、大型ウエハ内部となり、メッキ被膜形成して熱電素子形成に使用できるため、更に歩留まりが向上する。また、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分、即ち、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け等により廃棄され易い部分が減少するので、これらの工程において、欠け等により廃棄される部分が減少する。このため、歩留まりが向上する。また、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少なくて済むので、これらの工程における生産性が向上する。
【0051】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、超急冷法によりBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の箔片を作製する。次に、このように超急冷法により調整した熱電素材の箔片を、例えば、上述の押出方法により塑性変形させ、平板状の複数個の熱電材料の成形体2を作製する。そして、これらの平板状の複数個の熱電材料の成形体2を、ホットフォージ法により相互に接合する。このホットフォージ法においては、複数個の平板状の熱電材料の成形体2をホットフォージ用の金型内に板厚方向に重ねて配置し、この金型を450℃程度に加熱しながら加圧し、これらの重ねられた熱電材料の成形体2を、この総厚みが約80%程度になるまで塑性変形させると共に、この加圧方向と直交する方向に熱電材料の成形体2を展延させることによって、これらの熱電材料の成形体2を相互に接合する。なお、このように塑性変形させる場合においては、これらの熱電材料の成形体2の加圧方向と平行で相互に平行な1対の表面を拘束し、この加圧方向と拘束面の対向方向の双方に直交する一軸方向に展延させることによって、これらの熱電材料の成形体2を相互に接合しても良い。また、これらの熱電材料の成形体2が加圧方向と直交する方向に展延し、この総厚みが80%に到る前に、熱電材料の成形体2の周側面を拘束し、加工途中から一軸加圧に変更して接合しても良い。このようにして、上述の実施形態1と同様に、加圧方向である板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴット1を製造する。
【0052】
本実施形態においては、熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法としてホットフォージ法を使用し、塑性変形量を限定して熱電材料の成形体2を相互に接合している。このため、第4の実施形態で熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法として使用したホットプレス法と同様に、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体2の塑性変形量を抑制しながら、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値を保持したまま接合することができる。このため、第4の実施形態で熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法として使用したホットプレス法と同様に、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体2を、ほとんど塑性変形させずに、且つ、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値をほぼ維持したまま接合することができる。よって、熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法以外は、第4の実施形態と同じ方法を使用し、上述のようにして製造される本実施形態のアスペクト比B/Aが1以上の大型の熱電材料インゴットからは、第4の実施形態で製造される熱電材料インゴットと同様に、大型でほぼ均質な少ない枚数のウエハが作製される。即ち、第4の実施形態と同様に、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大する。このため、このウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の体積が相対的に減少するので、切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。よって、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分がスライシング面に対して占める面積が、相対的に減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大する。従って、歩留まりが向上する。
【0053】
また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体の周縁部分も、大型ウエハ内部でメッキ被膜を形成し熱電素子形成に使用することができるので、歩留まりが更に向上する。更に、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分が相対的に減少するため、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け等により廃棄され易い外縁部分が減少している。よって、これらの工程において、欠け等により廃棄される部分が減少するため、歩留まりが向上する。更にまた、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少なくて済むので、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程における生産性が向上する。
【0054】
次に本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態においては、先ず、原料であるBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを所望の組成となるように秤量した原料粉を、石英管のアンプルに挿入する。なお、この封入に際しては原料粉をアンプル内に入れた後、アンプル内を真空引きし、その内部が真空となったままか、又は不活性ガスを導入した状態として、アンプルの口を封じ切る。その後、このアンプルを600乃至700℃の管状炉内に入れて原料粉を溶解し、管状炉をスタンドに回転可能な状態で支持させてゆりかごのように揺動して原料融液を撹拌する。次いで、融液を冷却して凝固させて固溶体インゴットを調製する。次に、前記インゴットを粉砕したものを、例えば、300℃に加熱しながら98MPaの圧力で60分間加圧して仮成形体を作製する。前記仮成形体を500℃に加熱しながら、変位速度0.1mm/分でホットフォージ処理して複数個の平板状の熱電材料の成形体を作製する。そして、これらの平板状の熱電材料の成形体を、圧延法により相互に接合する。この圧延法においては、直径300mm、幅330mmのロールを使用し、330℃で30分予備加熱した複数個の平板状の熱電材料の成形体を積層し、ロール温度330℃、ロール周速1m/分で、圧化率が10%になるように圧延した。このようにして、上述の実施形態1と同様に、加圧方向である板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上である熱電材料インゴットを製造する。
【0055】
本実施形態においては、熱電材料の固溶体インゴットを粉砕したものを原料として使用してホットフォージ法により平板状の熱電材料の成形体を作製し、前記平板状の熱電材料の成形体を板厚方向に相互に接合する方法として圧延法を使用し、塑性変形量を限定して熱電材料の成形体2を相互に接合している。このため、第5の実施形態で熱電材料の成形体を板厚方向に相互に接合する方法として使用したホットフォージ法と同様に、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体2の塑性変形量を抑制しながら、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値を保持したまま接合することができる。このため、第5の実施形態で熱電材料の成形体2を板厚方向に相互に接合する方法として使用したホットフォージ法と同様に、板厚方向に重ねた熱電材料の成形体を、ほとんど塑性変形させずに、且つ、その内部の組成等の材質及び熱電性能等の物性値をほぼ維持したまま接合することができる。よって、上述のようにして製造される本実施形態のアスペクト比B/Aが1以上の大型の熱電材料インゴットからは、第5の実施形態で製造される熱電材料インゴットと同様に、大型でほぼ均質な少ない枚数のウエハが作製される。即ち、第5の実施形態と同様に、ウエハが大型化され、ウエハ体積が増大する。このため、このウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の体積が相対的に減少するので、切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。よって、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分がスライシング面に対して占める面積が、相対的に減少し、メッキ被膜形成面として使用できる面積が増大する。従って、歩留まりが向上する。
【0056】
また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体の周縁部分も、大型ウエハ内部でメッキ被膜を形成し熱電素子形成に使用することができるので、歩留まりが更に向上する。更に、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分が相対的に減少するため、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け等により廃棄され易い外縁部分が減少している。よって、これらの工程において、欠け等により廃棄される部分が減少するため、歩留まりが向上する。更にまた、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少なくて済むので、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程における生産性が向上する。
【0057】
前記第1乃至第6の実施形態においては、原料として超急冷法により得られた薄片状の熱電材料又は固溶体インゴットを粉砕したものを塑性加工することにより平板状の熱電材料の成形体を作製したが、所定の組成を有する固溶体インゴットをブロック状に切り出し、図2に示す押出法を使用して、例えば、押出温度450℃で、塑性加工することにより平板状の熱電材料の成形体とすることもできる。
【0058】
また、超急冷法により得られた薄片状の熱電材料を積層し、300℃に加熱しながら、98MPaの圧力を印加してブロック状に仮成形した後、ホットフォージ法により平板状の熱電材料の成形体とすることもできる。前記ホットフォージ法としては、例えば、ホットフォージ用の金型に仮成形したブロック状の熱電材料を配置し、この金型を500℃程度に加熱しながら0.1mm/分の変位速度で加圧し、圧化率75%で塑性加工する。又は、前記仮成形したブロック状の熱電材料を圧延法により平板状の熱電材料の成形体とすることもできる。前記圧延の条件としては、例えば、前記仮成形したブロック状の熱電材料を450℃で30分程度加熱した後、直径300mm、幅33cmのロールを使用し、ロール周速1.2mm/分、ロール温度450℃、圧下率40%である。更に、前記薄片状の熱電材料を積層し、例えば、加熱温度450℃、押出速度0.5mm/分のせん断付与押出法により平板状の熱電材料の成形体とすることもできる。
【0059】
本実施形態においては、上述のような通電加熱法、ホットプレス法、ホットフォージ法及び圧延法を、板厚方向に重ねて配置した複数個の熱電材料の成形体に適用することによって、これらの複数個の熱電材料の成形体を相互に接合して一体化し、板厚方向の長さBと低抵抗方向の最短辺の長さAとのアスペクト比B/Aを1以上にし、且つ、これらの熱電材料の成形体の接合面部分にあたる熱電材料の材質を、これらの熱電材料の成形体の中央部分の材質と均一化することにより、熱電材料としての物性値が均質化された大型の熱電材料インゴットを製造することができる。
【0060】
なお、複数個の平板状の熱電材料の成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する方法は、上述の通電加熱法、ホットプレス法、ホットフォージ法及び圧延法を単独で適用するばかりではなく、これらの方法のうちの複数の方法を組み合わせて適用しても良い。例えば、複数個の平板状の熱電材料の成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する方法を2工程とし、前工程を上述のホットプレス法、後工程をホットプレス法において圧力を印加しない、即ち、塑性変形を伴なわない焼結処理としても良い。また、ホットプレス法における圧力を減少させて塑性変形量を少なくした処理を後工程としても良い。このように緩やかな塑性変形を伴なう処理を施すような場合においても、本実施形態においては、平板状の熱電材料の成形体の結晶粒内の配向性が極めて優れているため、この熱電材料の成形体内における配向性を若干損なうような穏やかな塑性変形が伴なうような処理を施しても、この熱電材料の性能指数を著しく損なうようなことはない。
【0061】
次に、塑性変形により配向性を付与され、抵抗が低い方向が定まった複数個の平板状の熱電材料の成形体を相互に接合する場合において、メッキ被膜形成工程における歩留まり及び作業効率を試算する。例えば、上述のような塑性変形によって、長辺が30mm、短辺が5mmの長方形状であるメッキ被膜形成面が設けられた扁平な直方体状の熱電材料の成形体を作製する。このメッキ被膜形成面においては、このウエハ周側面から1mmのウエハ外縁部分は切断され、除去されて廃棄処分されるものと仮定する。このような熱電材料の成形体を、相互に接合し一体化することにより製造される熱電材料インゴットのアスペクト比が1以上になるように7個積層し、上述のような放電プラズマ焼結法、パルス通電法、ホットプレス法又はホットフォージ法若しくはこれらの接合方法を組み合わせた処理方法を適用することによって、これらの7個の熱電材料の成形体を相互に接合し一体化する。このような熱電材料の成形体を一体化処理することなくメッキ被膜を形成するような場合においては、実際に熱電素子製造に使用することができるメッキ被膜形成面積は、下記数式2のように計算することができる。
【0062】
【数2】
5×7×30−3×7×30=420mm
【0063】
一方、このような熱電材料の成形体を接合し一体化して大型の熱電材料インゴットを製造し、メッキ被膜形成面の面積が、接合工程により全く変化しないと仮定すると、この大型の熱電材料インゴットにおいて、実際に熱電素子の製造に使用することができるメッキ被膜形成面積は、下記数式3のように計算することができる。
【0064】
【数3】
(5×7−2)×30=990mm
【0065】
このように、本実施形態における熱電材料インゴットにおいては、100×(990−420)/420=136%もの歩留まりの向上を期待することができる。また、このような大型の熱電材料のインゴットにおいては、熱電素子の製造工程において、スライシング及びメッキ被膜形成処理の回数が1/7に減少するため、作業効率が7倍に向上する。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る熱電材料インゴット及びその製造方法においては、複数個の平板状の熱電材料の成形体を板厚方向に重ねて相互に接合し、各熱電材料の成形体の界面であった部分と中央部であった部分との材質及び物性値が均一に維持される条件により一体化することによって、アスペクト比B/Aが1以上である大型の熱電材料インゴットを製造する。このような熱電材料インゴットからは、大型で少ない枚数の均質なウエハが作製される。
【0067】
この大型のウエハにおいては、ウエハ体積に対するウエハ周側面から一定幅のウエハ外縁部分の体積が相対的に減少するので、メッキ被膜形成後に切断され廃棄処分されるウエハ外縁部分の体積が相対的に減少する。このため、ウエハ外縁部分の切断され廃棄される部分が、スライシング面に対して占める面積が相対的に減少し、メッキ被膜形成面として熱電素子製造に使用できる面積が増大する。よって、歩留まりが向上する。
【0068】
また、接合前の熱電材料の成形体においては廃棄部分であった成形体の周縁部分も、大型ウエハ内部の熱電素子形成可能部分として使用できるので、歩留まりが更に向上する。更に、ウエハ中央部分に対しウエハ外縁部分が相対的に減少するため、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程において、欠け及び割れ等により廃棄され易い外縁部分が減少する。よって、これらの工程において、欠け及び割れ等により廃棄される部分が減少するため、歩留まりが向上する。また、大型で少ない枚数のウエハにおいては、スライシング回数、メッキ処理回数及びダイシングの際のウエハ貼り付け回数が少ない。従って、スライシング、メッキ処理及びダイシング工程における生産性も向上する。
【0069】
更にまた、本発明においては、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる所望の組成に調整した熱電素材の原料の溶融金属を、超急冷法により箔片化又は粉末化した熱電素材を原料として使用しることによって、より性能指数が高い熱電材料を製造することができる。この超急冷法により箔片化又は粉末化した熱電素材においては、加圧等の塑性変形加工により配向性を揃え比抵抗を低減することが容易にできるため、極めて高い性能指数を有する熱電材料を得ることができる。このような超急冷法により箔片化又は粉末化した熱電素材を熱電材料の原料として使用することにより、本発明の効果を高め、より性能指数が高いアスペクト比B/Aが1以上の大型の熱電材料インゴットを製造することができる。従って、本発明によれば、高い性能指数と高い歩留まりとを両立することができる熱電材料インゴット及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の第1実施形態に係る熱電材料インゴットの製造方法を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に使用する押出方法を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る熱電材料インゴットを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に使用する圧延法を示す模式図である。
【図5】(a)乃至(e)は従来技術による熱電素子の製造方法を工程順に示す模式図である。
【図6】押圧方向と結晶配向方向との関係を示す模式図である。
【図7】熱間据込鍛造法を示す模式図である。
【図8】従来技術による熱電材料インゴットをスライシングする工程を示す模式図である。
【図9】従来技術による熱電材料ウエハをダイシングする工程を示す模式図である。
【符号の説明】
1,50,66;熱電材料のインゴット 2,60;熱電材料の固化成形体 3,53a,53b,71;メッキ被膜形成面 4;押出し成形用金型 5;超冷却法による熱電素材の箔片 6;圧延ロール 7;熱電素材の仮固化成形体 10,51,70;熱電材料のウエハ 52;メッキ浴 53,73;熱電素子61;熱電材料の結晶粒 62;ベース 63;ダイ 64;パンチ 65;熱電素材の加圧焼結体 72;ステージ

Claims (8)

  1. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の粉末及び/又は箔片又はインゴットを出発材料として得られた平板状の成形体を板厚方向に重ねて相互に接合したものであり、前記板厚方向の長さBとこれに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であることを特徴とする熱電材料インゴット。
  2. 前記出発材料は、超急冷法により作製された粉末及び/又は箔片か、又はインゴットの粉砕粉であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料インゴット。
  3. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材の粉末及び/又は箔片を超急冷法により作製する工程と、前記粉末及び/又は前記箔片を仮成形する工程と、この仮成形体を塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする熱電材料インゴットの製造方法。
  4. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材のインゴットを作製する工程と、このインゴットの粉砕粉を作製する工程と、前記粉砕粉を仮成形する工程と、この仮成形体を塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする熱電材料インゴットの製造方法。
  5. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とTe及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む組成を有する熱電素材のインゴットを作製する工程と、このインゴットを塑性変形させて平板状の複数個の熱電材料の成形体を作製する工程と、前記成形体を板厚方向に重ねて相互に接合する工程と、を有し、前記板厚方向の長さBと、これに直交する方向の長さのうち最も短い長さAとの比であるアスペクト比B/Aが1以上であるインゴットを製造することを特徴とする熱電材料インゴットの製造方法。
  6. 前記塑性加工工程は、ホットフォージ、押出、又は圧延のいずれか又はその組み合わせによることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の熱電材料インゴットの製造方法。
  7. 前記接合工程は、通電加熱、ホットプレス、ホットフォージ又は圧延のいずれか又はその組み合わせによることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の熱電材料インゴットの製造方法。
  8. 請求項3乃至7のいずれか1項に記載の熱電材料インゴットの製造方法により作製したp型熱電材料インゴット及びn型熱電材料インゴットをその低抵抗方向に垂直な方向にスライスすることにより熱電材料ウエハを作製する工程と、前記熱電材料ウエハをダイシングすることにより熱電素子にする工程と、前記熱電素子を電極が形成された基板上にp型熱電素子とn型熱電素子が直列に接続されるように前記電極に接合する工程と、を有することを特徴とする熱電モジュールの製造方法。
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