JP2004224909A - 感光材料用支持体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、最外層を有する透明支持体、これに画像形成層を設けた画像形成要素、たとえば、画像形成層がハロゲン化銀感光材料層である画像形成要素、特に、モノシート型インスタント写真に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明支持体に画像形成層を設けた画像形成要素は種々のものが知られているが、その中の1つである、いわゆるモノシート型のインスタント写真である画像形成要素は、支持体上に少なくとも一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する感光シート、別の支持体上に少なくとも中和のための酸ポリマー層を有するカバーシートそしてこれらの両シート間にアルカリ性現像液を含む圧力で破裂可能な容器とを組み合わせたフィルムユニット形態で使用されるのが一般的である。この感光シートの感光性ハロゲン化銀乳剤層を有さない側とカバーシートの酸ポリマー層を有さない側は、すなわち、フィルムユニット形態の最外層側には、カメラからの排出性や紫外線による画像劣化を考慮して、滑剤や紫外線吸収剤などを含む塗工層を設けることがよく行われている。この塗工層は、当初、写真用のゼラチン塗工層を設けた支持体上に形成していたため、バインダーとしては、アセチルセルロースを選択していた。しかし、ゼラチン層の上に、滑剤や紫外線吸収剤などを含むアセチルセルロース塗工層を形成した場合、簡単に塗工層が支持体から剥がれてしまうという層間接着の問題があった。
【0003】
この層間接着の問題を克服するため、ゼラチン層の上に設ける紫外線吸収剤含有塗工層のバインダー樹脂として、無水マレイン酸コポリマーとイソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含有するアセチルセルロースを用いることが提案され(例えば、特許文献1参照)、また、マレイン酸のモノエステル共重合体とイソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含有するアセチルセルロースを用いることが提案された(特許文献2参照)。
【0004】
層間接着の問題は、前記の特定のバインダーを用いることにより解決することが可能となるが、特許文献1及び2に記載の塗工層を設けた支持体の場合、この塗工層は、前記紫外線吸収剤やバインダーを溶媒に溶解させた塗布液を用いているため、環境に対する負荷の観点からは改善の余地があり、また、塗工層に含まれている紫外線吸収剤が経時的に表面にブリードアウトし、支持体の透明性が大幅に低下するため、バック面から見る画像濃度が著しく低下する他、ブリードアウトした紫外線吸収剤が、製造過程においてハロゲン化銀乳剤面へ転写し、カメラ排出後、アルカリ現像液と接触すると黄色化するという画像性能上の問題が発生した。
【0005】
このフィルムユニット形態の最外層側における紫外線吸収剤のブリードアウトを防止するものとして、本出願人が先に出願したもの(特許文献3参照)には、紫外線吸収剤として分子中にカルボキシル基またはスルホ基を有しかつ特定の化学構造を有する紫外線吸収剤を用い、かつ、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含むアセチルセルロース層を塗工層として形成することにより、紫外線吸収剤のブリードアウトを防止して、ブリードアウトに基づく画像濃度の低下を予防したモノシート型のインスタント写真が開示されている。しかし、このモノシート型のインスタント写真においても、前記ブリードアウト予防は完全とはいえず、また、塗工層の形成は、塗工層成分を有機溶媒溶液として塗布することにより行なわれるので、環境問題の点においても問題を残すものである。
【0006】
また、本発明者らは、溶剤塗布による環境への負荷に対応するために、水系の塗布液に紫外線吸収剤を含ませ、この塗布液を用いて塗工層を形成することを検討したが、紫外線吸収剤含有水系塗布液を用いることによっては、充分な紫外線吸収性を発揮させるための添加量を薄層である塗工層に含ませることは不可能であった上、ブリードアウトの改善には至らなかった。
【0007】
そこで、本発明者らは、紫外線吸収剤をポリエステル支持体に練りこむことで、経時のブリードアウトを改善するとともに、最外層を水系化することに成功した(特許文献4参照)。
しかしながら、この発明では、最外層が、写真性能として重要な濃度(Dmax)の低下を引き起こすという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−297382号公報
【特許文献2】
特開平10−83049号公報
【特許文献3】
特開2001−092082号公報
【特許文献4】
特開2002−244247号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、最外層を水系にて塗布し、環境面に対応するとともに、濃度(Dmax)を向上させ、かつ、カメラ排出性、耐傷性を高めた、支持体、画像形成要素及び感光材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
斯かる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、該最外層を、特定のアクリル樹脂と界面活性剤を含有する層とすれば、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
<1> ポリエステル支持体の片面に、下記構造単位(1)を含む水分散性アクリル樹脂と、CmH2m+1OSO3X(mは12〜18の数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。)で表される硫酸エステル系界面活性剤とを含有する最外層を設けたことを特徴とする支持体。
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、nは0.1〜30の数を示す。)
<2> ポリエステル支持体が、下記一般式(2)で表される紫外線吸収剤の1種又は2種以上を含有するものである<1>記載の支持体。
【0013】
【化5】
【0014】
一般式(2)中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を示す。
【0015】
【化6】
【0016】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を示す。または、隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
【0017】
<3> <1>又は<2>記載の支持体に、更に、画像形成層を設けたことを特徴とする画像形成要素。
<4> 画像形成層がハロゲン化銀感光材料層である<3>記載の画像形成要素。
<5> ハロゲン化銀感光材料層が拡散転写写真感光材料層である<4>記載の画像形成要素。
<6> <4>又は<5>記載の画像形成要素を有する感光材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は最外層にあり、最外層には、下記構造単位(1)を有する水分散性アクリル樹脂を含む。
【0019】
【化7】
【0020】
式中、nは0.1〜30の数を示すが、特に1〜10が好ましい。
この構造単位(1)は、側鎖にあってもよいが、幹鎖にあることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば次のものが挙げられる。
【0021】
【化8】
【0022】
このような樹脂は、市販のものを使用することもできる。市販のものとしては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のEM−20D,EM−18D等が挙げられる。
本発明において、最外層中の構造単位(1)を有する水分散性アクリル樹脂の含有量は、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。
【0023】
また、最外層には、CmH2m+1OSO3X(mは12〜18の数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。)で表される硫酸エステル系界面活性剤を含有せしめる。
ここで、mとしては、14〜16が好ましい。また、Xで示されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子が挙げられるがナトリウム原子が好ましい。
【0024】
本発明において、該硫酸エステル系界面活性剤の、最外層中の含有量としては、
1〜10重量%が好ましく、特に4〜7重量%が好ましい。この含有量が 1重量%未満であると、界面活性剤としての機能が失われ、塗布面状が損なわれることがあり、10重量%を超えると高温高湿下で表面への析出による白濁化が発生することがある。
【0025】
最外層をポリエステル支持体上に形成するには、上記水分散性アクリル樹脂を該硫酸エステル系界面活性剤により水中に分散した液をポリエステル支持体上に塗布すればよい。
この層には、更に,他の界面活性剤やマット剤、硬膜剤、硬膜助剤、防腐剤、pH調整剤等を本発明の効果を損なわない限り添加することができる。
【0026】
本発明に用いられるポリエステル支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体または混合物等が挙げられ。この内ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、ポリエステル支持体には、紫外線吸収剤を含有せしめることが好ましい。ここで用いる紫外線吸収剤としては、窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤、あるいは紫外線吸収剤が、該紫外線吸収剤を0.4質量%含み、含水率が50ppm以下のポリエステル樹脂を300℃で1分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値と、前記ポリエステル樹脂を8分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値との差が3.0以下であるような(以下において、このような性質を単に「耐熱性」ということがある)紫外線吸収剤、さらには、前記揮散性および耐熱性に関する性能を併せもつ紫外線吸収剤が好ましいものとして挙げられる。
【0027】
窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤を用いると、透明ポリエステル樹脂に該紫外線吸収剤を添加して溶融混練した後、ダイ部から排出された直後のフィルムから紫外線吸収剤が揮散することが少ないため、紫外線吸収能の低下が防がれ、あるいは多量の紫外線吸収剤の使用を不要とする。また、紫外線吸収剤が多量に揮散すると、製造ラインにおいて揮散(昇華)した紫外線吸収剤がラインを汚し、これがまた、ライン中を進む支持体フィルムに付着するなどを起こすことにもなるが、このようなことも回避することができる。前記の質量減量は好ましくは5%以下、さらには1%以下にすることがより好ましい。一般的に紫外線吸収剤の分子量を400以上とすることにより、質量減量を5%以下に抑制することができる。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、下記の化(3)および化(4)で示されるベンゾフェノン系、下記の化(6)、化(7)、化(9)、化(10)で示されるベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ベンゾオキサジン系、トリアジン−クマリン共重合体系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0028】
また、前記のごとき耐熱性を示す紫外線吸収剤は、ポリエステル樹脂と溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300℃)においても安定であり熱分解しないため、ポリエステル樹脂支持体に用いた場合、紫外線吸収剤の分解に基づく支持体フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、紫外線吸収剤の分解に起因して生ずるポリエステル樹脂の分解(ポリエステル樹脂の低分子量化)を防ぐこともできる。前記b値の差が好ましくは2.0以下、さらには1.0以下にすることが好ましい。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0029】
また、前記2つの特性を併せ持つ紫外線吸収剤を用いることにより、前記の効果を併せ発揮することが可能となる。このような特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0030】
さらに、本発明においては、前記のごとき揮散性および/または耐熱性を有する紫外線吸収剤を、ポリエステル支持体を成膜する際に、同時に混練せしめて、紫外線吸収能を有する支持体を容易に作製することができ、従来行なっていた、紫外線吸収剤をバインダーとともに有機溶媒に溶解させた塗布液を支持体上に塗布するという工程を省くことができる。また、有機溶媒を用いないため、環境に与える悪影響も小さい。
【0031】
かように、本発明において、ポリエステル支持体中には、下記一般式(2)で示される紫外線吸収剤を用いることが好ましい。下記一般式(2)で示される紫外線吸収剤は、高温において安定でありかつ揮散性が少ないので、ポリエステル樹脂に前記紫外線吸収剤を添加して溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300℃)においても安定であり熱分解せず、また、ダイ部から出た直後において揮散することもない。したがって、フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、前記の工程簡素化等の効果を有することも勿論である。
【0032】
【化9】
【0033】
一般式(2)中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を示す。
【0034】
【化10】
【0035】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を示す。または、隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
【0036】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキル基は、炭素数1〜20が好ましく、置換基〔例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、フェノキシエトキシ)、アリーロキシ基(例えばフェノキシ)、エステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、カルボニルオキシ基(例えば、エチルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、4−メトキシフェニル)、カルボンアミド基(例えば、メチルカルボニルアミド、フェニルカルボニルアミド)、カルバモイル基(例えば、エチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、スルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、メチルオクチルアミノスルホニル)、カルボキシル基およびその塩、スルホ基およびその塩〕を有していてもよい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル、フェネチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2,2,2]オクチル等の基及び上述の置換基を有する基を挙げることができる。
【0037】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリール基は、炭素数6〜10が好ましく、置換基〔例えばアルキル基(メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル)及び前記のアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基〕を有していてもよい。アリール基として具体的には、フェニル、ナフチルを挙げることができる。
【0038】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルコキシ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソブトキシ、n−オクトキシ、イソオクトキシ、ドデシルオキシ、ベンジルオキシ、オクタデシルオキシ等を挙げることができ、これらは前記したアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0039】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールオキシ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えばフェノキシ、ナフトキシを挙げることができ、これらは前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0040】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキルチオ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば、メチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ等を挙げることができる。
【0041】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールチオ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオを挙げることができる。これらのアルキルチオ基及びアリールチオ基は前記したアルキル基又はアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0042】
前記一般式(2)におけるX1、Y1およびZ1のヘテロ環基は、フラン、チオフェン、インドール、ピロール、ピラブール、イミダゾール、ピリジン等を挙げることができ、前記したアリ−ル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0043】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアルケニル基は、炭素数3〜20が好ましく、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、オレイルを挙げることができ、これらは前記アルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0044】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシルオキシ基は、炭素数2〜20が好ましく、アセチルオキシ、ヘキサノイルオキシ、デカノイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0045】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアミノ基は、炭素数0〜40の置換もしくは無置換のアミノ基が好ましく、例えば無置換のアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジステアリルアミノ、ジイソブチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、ホルムアミド、アセチルアミノ、ヘキサノイルアミノ、デカノイルアミノ、ステアロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ノナンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ、シクロヘキシルカルバモイルアミノ、ジエチルカルバモイルアミノ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0046】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシル基は、炭素数1〜20が好ましく、アセチル、ブタノイル、ピバロイル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、ベンゾイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0047】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のオキシカルボニル基は、炭素数2〜20が好ましく、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0048】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のカルバモイル基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、オクチルカルバモイル、ドデシルカルバモイル、ヘキサデシルカルバモイル、オクタデシルカルバモイル、フェニルカルバモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0049】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のスルファモイル基は、炭素数0〜20が好ましく、無置換のスルファモイル、エチルスルファモイル、ブチルスルファモイル、ヘプチルスルファモイル、テトラデシルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、オクタデシルスルファモイル、フェニルスルファモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0050】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素等を挙げることができる。
【0051】
また、前記一般式(2)で示される紫外線吸収剤の分子量は400以上であることが好ましい。分子量が400以上の紫外線吸収剤は、特に揮散性が低いので製造ラインを汚すことなく、低添加量で必要な紫外線吸収能を与えることができる。
【0052】
以下の表1に、下記化(1)ないし化(13)で示される各種紫外線吸収剤の分子量と揮散(昇華)性を示す。揮散性は窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量を示す。また、図1に、横軸に分子量を、縦軸に昇華性をプロットしたグラフを示す。この表1および図1から分かるように、紫外線吸収剤の揮散性はその分子量に大きく依存し、また、分子量が400以上であると、揮散性を10質量%以下に抑制することができる。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【表1】
【0056】
また、以下に、化(4)、化(9)、化(12)および化(13)で示される紫外線吸収剤についての耐熱性を示す(なお、ここでの耐熱性は、前記b値だけでなく、下記のIV値が含まれている)。耐熱性は、全ポリエステル樹脂に対し、前記紫外線吸収剤を正味0.4質量%、TiO2粒子を正味0.2質量%(拡散転写写真材料としてのヘイズ調整のため)添加した材料を、真空オーブン内で180℃・8時間乾燥させた後、射出成型機(NEOMAT 150/75 住友重機(株)製)において、ヒーター温度:300℃、滞留時間を0、2、8分と変えた条件下で、それぞれ、厚さ約1.5mmの成型板を形成した。その成型板のb値およびIV値を測定した。なお、b値とはCIELAB着色系に基づいたb*を指し、IVとはIntrinsic Viscosityの略で極限粘度を指す。また、紫外線吸収剤およびTiO2粒子は、あらかじめこれらをポリエステル樹脂に練り込んだチップの形態で添加した。b値は、日本電色工業(株)製 SZ−Σ90型色差計により測定した。結果を図2および図3に示す。図より、紫外線吸収剤としてトリアジン系のものが特に優れた耐熱性を有することが分かる。
【0057】
本発明で用いるポリエステル支持体には、紫外線吸収剤の他に白色顔料、たとえば酸化チタン顔料を添加することが好ましい。白色顔料は透明ポリエステル支持体のヘイズを上げるためであり、これを加えることにより、製造過程において、支持体端面より入射した光により感材層がかぶることを防止できる。酸化チタンの添加量は0.005〜0.05質量%程度が好ましい。また、透明ポリエステル支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体または混合物等が用いられる。
【0058】
また、本発明の画像形成要素は、上記支持体に画像形成層を設けたものであり、この画像形成層はハロゲン化銀感光材料層であってもよい。また、前記ハロゲン化銀感光材料層は拡散転写写真感光材料層であってもよい。拡散転写写真感光材料は、特願平11−269565号出願の段落0050から段落0079に記載の技術事項をすべて利用することができる。
【0059】
本発明の感光材料は、該画像形成要素を有するものであり、これは、例えば図4に示すものが挙げられる。なお、図4において、画像観察は、最外層の面側から行なう。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
紫外線吸収剤およびTiO2粒子を予めポリエステル樹脂に練り込んだチップの形態とした。即ち、通常のポリエステル樹脂のチップとブレンドする形で、全ポリエステル樹脂に対し、化(12)を正味0.24重量%、化(13)を正味0.24重量%、酸化防止剤として化(14)を正味0.01重量%、TiO2粒子を正味0.18重量%添加した材料を、ヘンシェルミキサーおよびパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280℃〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
溶融させたポリエステル樹脂をダイ部より静電印加されたチラーロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。この非結晶ベースをベース流れ方向に延伸比3.3倍に延伸後、ベース幅方向に延伸比3.9倍に延伸し、厚さ97μ±2μのフィルムを得た。
【0061】
【化13】
【0062】
上記厚さ97μのフィルムを搬送速度105m/分で搬送し、727J/m2条件でコロナ放電処理を行い、下記組成からなる塗布液を、バーコート法により、塗布した。塗布量は、約5.5cc/m2とし、乾燥は、180℃1分乾燥とし、フィルムシート1を作成した。
ポリアクリル樹脂(1−1)(固形分15%:Tg=約100℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−20D) 5.75重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 91.69重量%
【0063】
実施例2
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート2を作成した。
ポリアクリル樹脂(1−2)(固形分15%:Tg=約15℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−18D) 5.75重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 91.69重量%
【0064】
実施例3
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート3を作成した。
下記ポリアクリル樹脂(P)(固形分27.5%)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−48D) 1.57重量%
ポリアクリル樹脂(1−1)(固形分15%:Tg=約100℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−20D) 2.87重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 93.00重量%
【0065】
【化14】
【0066】
比較例1
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート4を作成した。
ポリアクリル樹脂(P)(固形分27.5%) 3.14重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 94.30重量%
【0067】
比較例2
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート5を作成した。
【0068】
比較例3
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート6を作成した。
【0069】
上記の如くして得られたフィルムシート1〜6を下記の如く評価した。結果を表2に示す。
【0070】
Dmax
上記のフィルムシート1〜6の塗布面とは反対面に、油性黒マジックインキを目視で透明性が失われる程度に塗りつけ、充分乾燥後、塗布面側から、濃度計X−Rite310TRの反射濃度計にて、B、G、R各々の濃度を測定する。
【0071】
動摩擦係数
上記フィルムシート1〜6を25℃65%RHの雰囲気で3日間保存した後、動摩擦係数測定機(東洋ボールドウィン(株)製)を用いて動摩擦係数を測定した。即ち、20gの加重を加えた直径5mmの鋼球を試料フィルム表面に接触させ、20cm/分の速度で滑走させた時の抵抗を歪みゲージで検出して求めた。
【0072】
カメラ排出性
上記フィルムシー卜1〜6を使用し、拡散転写法写真フィルムユニットを形成した。このフィルムユニットをカメラ(チェキ)で撮影後、排出させ、排出時の異音の発生の有無、スリキズの発生の具合を確認した。
【0073】
引掻強度
上記フィルムシート1〜6を25℃65%RHの雰囲気で3日間保存した後、引掻強度試験機(HEIDON−18、新東科学(株)製)を用いて、押圧する0.025Rダイヤモンド針の荷重を0〜200gまで連続的に増加させる条件にて測定した。キズの入り始める荷重をグラム単位で表した。
数値は、値が大きいほど耐傷性に優れるといえる。
【0074】
【表2】
【0075】
上記結果から、本発明のフィルムシート1〜3は、濃度(Dmax)が高く、他の評価も問題ないレベルであることが分かる。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、最外層を水系にて塗布し、環境面に対応するとともに、濃度(Dmax)を向上させ、かつ、カメラ排出性、耐傷性を高めた、支持体、画像形成要素及び感光材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外線吸収剤の分子量と昇華性の関係を表すグラフである。
【図2】紫外線吸収剤をポリエステル樹脂に練り込んだ場合のメルト滞留時間とb値の関係を示すグラフである。
【図3】紫外線吸収剤をポリエステル樹脂に練り込んだ場合のメルト滞留時間とIV値の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の感光材料の一例を示す断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、最外層を有する透明支持体、これに画像形成層を設けた画像形成要素、たとえば、画像形成層がハロゲン化銀感光材料層である画像形成要素、特に、モノシート型インスタント写真に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明支持体に画像形成層を設けた画像形成要素は種々のものが知られているが、その中の1つである、いわゆるモノシート型のインスタント写真である画像形成要素は、支持体上に少なくとも一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する感光シート、別の支持体上に少なくとも中和のための酸ポリマー層を有するカバーシートそしてこれらの両シート間にアルカリ性現像液を含む圧力で破裂可能な容器とを組み合わせたフィルムユニット形態で使用されるのが一般的である。この感光シートの感光性ハロゲン化銀乳剤層を有さない側とカバーシートの酸ポリマー層を有さない側は、すなわち、フィルムユニット形態の最外層側には、カメラからの排出性や紫外線による画像劣化を考慮して、滑剤や紫外線吸収剤などを含む塗工層を設けることがよく行われている。この塗工層は、当初、写真用のゼラチン塗工層を設けた支持体上に形成していたため、バインダーとしては、アセチルセルロースを選択していた。しかし、ゼラチン層の上に、滑剤や紫外線吸収剤などを含むアセチルセルロース塗工層を形成した場合、簡単に塗工層が支持体から剥がれてしまうという層間接着の問題があった。
【0003】
この層間接着の問題を克服するため、ゼラチン層の上に設ける紫外線吸収剤含有塗工層のバインダー樹脂として、無水マレイン酸コポリマーとイソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含有するアセチルセルロースを用いることが提案され(例えば、特許文献1参照)、また、マレイン酸のモノエステル共重合体とイソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含有するアセチルセルロースを用いることが提案された(特許文献2参照)。
【0004】
層間接着の問題は、前記の特定のバインダーを用いることにより解決することが可能となるが、特許文献1及び2に記載の塗工層を設けた支持体の場合、この塗工層は、前記紫外線吸収剤やバインダーを溶媒に溶解させた塗布液を用いているため、環境に対する負荷の観点からは改善の余地があり、また、塗工層に含まれている紫外線吸収剤が経時的に表面にブリードアウトし、支持体の透明性が大幅に低下するため、バック面から見る画像濃度が著しく低下する他、ブリードアウトした紫外線吸収剤が、製造過程においてハロゲン化銀乳剤面へ転写し、カメラ排出後、アルカリ現像液と接触すると黄色化するという画像性能上の問題が発生した。
【0005】
このフィルムユニット形態の最外層側における紫外線吸収剤のブリードアウトを防止するものとして、本出願人が先に出願したもの(特許文献3参照)には、紫外線吸収剤として分子中にカルボキシル基またはスルホ基を有しかつ特定の化学構造を有する紫外線吸収剤を用い、かつ、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を含むアセチルセルロース層を塗工層として形成することにより、紫外線吸収剤のブリードアウトを防止して、ブリードアウトに基づく画像濃度の低下を予防したモノシート型のインスタント写真が開示されている。しかし、このモノシート型のインスタント写真においても、前記ブリードアウト予防は完全とはいえず、また、塗工層の形成は、塗工層成分を有機溶媒溶液として塗布することにより行なわれるので、環境問題の点においても問題を残すものである。
【0006】
また、本発明者らは、溶剤塗布による環境への負荷に対応するために、水系の塗布液に紫外線吸収剤を含ませ、この塗布液を用いて塗工層を形成することを検討したが、紫外線吸収剤含有水系塗布液を用いることによっては、充分な紫外線吸収性を発揮させるための添加量を薄層である塗工層に含ませることは不可能であった上、ブリードアウトの改善には至らなかった。
【0007】
そこで、本発明者らは、紫外線吸収剤をポリエステル支持体に練りこむことで、経時のブリードアウトを改善するとともに、最外層を水系化することに成功した(特許文献4参照)。
しかしながら、この発明では、最外層が、写真性能として重要な濃度(Dmax)の低下を引き起こすという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−297382号公報
【特許文献2】
特開平10−83049号公報
【特許文献3】
特開2001−092082号公報
【特許文献4】
特開2002−244247号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、最外層を水系にて塗布し、環境面に対応するとともに、濃度(Dmax)を向上させ、かつ、カメラ排出性、耐傷性を高めた、支持体、画像形成要素及び感光材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
斯かる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、該最外層を、特定のアクリル樹脂と界面活性剤を含有する層とすれば、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
<1> ポリエステル支持体の片面に、下記構造単位(1)を含む水分散性アクリル樹脂と、CmH2m+1OSO3X(mは12〜18の数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。)で表される硫酸エステル系界面活性剤とを含有する最外層を設けたことを特徴とする支持体。
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、nは0.1〜30の数を示す。)
<2> ポリエステル支持体が、下記一般式(2)で表される紫外線吸収剤の1種又は2種以上を含有するものである<1>記載の支持体。
【0013】
【化5】
【0014】
一般式(2)中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を示す。
【0015】
【化6】
【0016】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を示す。または、隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
【0017】
<3> <1>又は<2>記載の支持体に、更に、画像形成層を設けたことを特徴とする画像形成要素。
<4> 画像形成層がハロゲン化銀感光材料層である<3>記載の画像形成要素。
<5> ハロゲン化銀感光材料層が拡散転写写真感光材料層である<4>記載の画像形成要素。
<6> <4>又は<5>記載の画像形成要素を有する感光材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は最外層にあり、最外層には、下記構造単位(1)を有する水分散性アクリル樹脂を含む。
【0019】
【化7】
【0020】
式中、nは0.1〜30の数を示すが、特に1〜10が好ましい。
この構造単位(1)は、側鎖にあってもよいが、幹鎖にあることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば次のものが挙げられる。
【0021】
【化8】
【0022】
このような樹脂は、市販のものを使用することもできる。市販のものとしては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のEM−20D,EM−18D等が挙げられる。
本発明において、最外層中の構造単位(1)を有する水分散性アクリル樹脂の含有量は、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。
【0023】
また、最外層には、CmH2m+1OSO3X(mは12〜18の数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。)で表される硫酸エステル系界面活性剤を含有せしめる。
ここで、mとしては、14〜16が好ましい。また、Xで示されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子が挙げられるがナトリウム原子が好ましい。
【0024】
本発明において、該硫酸エステル系界面活性剤の、最外層中の含有量としては、
1〜10重量%が好ましく、特に4〜7重量%が好ましい。この含有量が 1重量%未満であると、界面活性剤としての機能が失われ、塗布面状が損なわれることがあり、10重量%を超えると高温高湿下で表面への析出による白濁化が発生することがある。
【0025】
最外層をポリエステル支持体上に形成するには、上記水分散性アクリル樹脂を該硫酸エステル系界面活性剤により水中に分散した液をポリエステル支持体上に塗布すればよい。
この層には、更に,他の界面活性剤やマット剤、硬膜剤、硬膜助剤、防腐剤、pH調整剤等を本発明の効果を損なわない限り添加することができる。
【0026】
本発明に用いられるポリエステル支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体または混合物等が挙げられ。この内ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、ポリエステル支持体には、紫外線吸収剤を含有せしめることが好ましい。ここで用いる紫外線吸収剤としては、窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤、あるいは紫外線吸収剤が、該紫外線吸収剤を0.4質量%含み、含水率が50ppm以下のポリエステル樹脂を300℃で1分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値と、前記ポリエステル樹脂を8分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値との差が3.0以下であるような(以下において、このような性質を単に「耐熱性」ということがある)紫外線吸収剤、さらには、前記揮散性および耐熱性に関する性能を併せもつ紫外線吸収剤が好ましいものとして挙げられる。
【0027】
窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤を用いると、透明ポリエステル樹脂に該紫外線吸収剤を添加して溶融混練した後、ダイ部から排出された直後のフィルムから紫外線吸収剤が揮散することが少ないため、紫外線吸収能の低下が防がれ、あるいは多量の紫外線吸収剤の使用を不要とする。また、紫外線吸収剤が多量に揮散すると、製造ラインにおいて揮散(昇華)した紫外線吸収剤がラインを汚し、これがまた、ライン中を進む支持体フィルムに付着するなどを起こすことにもなるが、このようなことも回避することができる。前記の質量減量は好ましくは5%以下、さらには1%以下にすることがより好ましい。一般的に紫外線吸収剤の分子量を400以上とすることにより、質量減量を5%以下に抑制することができる。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、下記の化(3)および化(4)で示されるベンゾフェノン系、下記の化(6)、化(7)、化(9)、化(10)で示されるベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ベンゾオキサジン系、トリアジン−クマリン共重合体系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0028】
また、前記のごとき耐熱性を示す紫外線吸収剤は、ポリエステル樹脂と溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300℃)においても安定であり熱分解しないため、ポリエステル樹脂支持体に用いた場合、紫外線吸収剤の分解に基づく支持体フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、紫外線吸収剤の分解に起因して生ずるポリエステル樹脂の分解(ポリエステル樹脂の低分子量化)を防ぐこともできる。前記b値の差が好ましくは2.0以下、さらには1.0以下にすることが好ましい。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0029】
また、前記2つの特性を併せ持つ紫外線吸収剤を用いることにより、前記の効果を併せ発揮することが可能となる。このような特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(2)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0030】
さらに、本発明においては、前記のごとき揮散性および/または耐熱性を有する紫外線吸収剤を、ポリエステル支持体を成膜する際に、同時に混練せしめて、紫外線吸収能を有する支持体を容易に作製することができ、従来行なっていた、紫外線吸収剤をバインダーとともに有機溶媒に溶解させた塗布液を支持体上に塗布するという工程を省くことができる。また、有機溶媒を用いないため、環境に与える悪影響も小さい。
【0031】
かように、本発明において、ポリエステル支持体中には、下記一般式(2)で示される紫外線吸収剤を用いることが好ましい。下記一般式(2)で示される紫外線吸収剤は、高温において安定でありかつ揮散性が少ないので、ポリエステル樹脂に前記紫外線吸収剤を添加して溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300℃)においても安定であり熱分解せず、また、ダイ部から出た直後において揮散することもない。したがって、フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、前記の工程簡素化等の効果を有することも勿論である。
【0032】
【化9】
【0033】
一般式(2)中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を示す。
【0034】
【化10】
【0035】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を示す。または、隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
【0036】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキル基は、炭素数1〜20が好ましく、置換基〔例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、フェノキシエトキシ)、アリーロキシ基(例えばフェノキシ)、エステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、カルボニルオキシ基(例えば、エチルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、4−メトキシフェニル)、カルボンアミド基(例えば、メチルカルボニルアミド、フェニルカルボニルアミド)、カルバモイル基(例えば、エチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、スルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、メチルオクチルアミノスルホニル)、カルボキシル基およびその塩、スルホ基およびその塩〕を有していてもよい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル、フェネチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2,2,2]オクチル等の基及び上述の置換基を有する基を挙げることができる。
【0037】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリール基は、炭素数6〜10が好ましく、置換基〔例えばアルキル基(メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル)及び前記のアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基〕を有していてもよい。アリール基として具体的には、フェニル、ナフチルを挙げることができる。
【0038】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルコキシ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソブトキシ、n−オクトキシ、イソオクトキシ、ドデシルオキシ、ベンジルオキシ、オクタデシルオキシ等を挙げることができ、これらは前記したアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0039】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールオキシ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えばフェノキシ、ナフトキシを挙げることができ、これらは前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0040】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキルチオ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば、メチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ等を挙げることができる。
【0041】
前記一般式(2)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールチオ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオを挙げることができる。これらのアルキルチオ基及びアリールチオ基は前記したアルキル基又はアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0042】
前記一般式(2)におけるX1、Y1およびZ1のヘテロ環基は、フラン、チオフェン、インドール、ピロール、ピラブール、イミダゾール、ピリジン等を挙げることができ、前記したアリ−ル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0043】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアルケニル基は、炭素数3〜20が好ましく、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、オレイルを挙げることができ、これらは前記アルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0044】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシルオキシ基は、炭素数2〜20が好ましく、アセチルオキシ、ヘキサノイルオキシ、デカノイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0045】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアミノ基は、炭素数0〜40の置換もしくは無置換のアミノ基が好ましく、例えば無置換のアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジステアリルアミノ、ジイソブチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、ホルムアミド、アセチルアミノ、ヘキサノイルアミノ、デカノイルアミノ、ステアロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ノナンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ、シクロヘキシルカルバモイルアミノ、ジエチルカルバモイルアミノ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0046】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシル基は、炭素数1〜20が好ましく、アセチル、ブタノイル、ピバロイル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、ベンゾイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0047】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のオキシカルボニル基は、炭素数2〜20が好ましく、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0048】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のカルバモイル基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、オクチルカルバモイル、ドデシルカルバモイル、ヘキサデシルカルバモイル、オクタデシルカルバモイル、フェニルカルバモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0049】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のスルファモイル基は、炭素数0〜20が好ましく、無置換のスルファモイル、エチルスルファモイル、ブチルスルファモイル、ヘプチルスルファモイル、テトラデシルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、オクタデシルスルファモイル、フェニルスルファモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
【0050】
前記構造式(A)におけるR1およびR2のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素等を挙げることができる。
【0051】
また、前記一般式(2)で示される紫外線吸収剤の分子量は400以上であることが好ましい。分子量が400以上の紫外線吸収剤は、特に揮散性が低いので製造ラインを汚すことなく、低添加量で必要な紫外線吸収能を与えることができる。
【0052】
以下の表1に、下記化(1)ないし化(13)で示される各種紫外線吸収剤の分子量と揮散(昇華)性を示す。揮散性は窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量を示す。また、図1に、横軸に分子量を、縦軸に昇華性をプロットしたグラフを示す。この表1および図1から分かるように、紫外線吸収剤の揮散性はその分子量に大きく依存し、また、分子量が400以上であると、揮散性を10質量%以下に抑制することができる。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【表1】
【0056】
また、以下に、化(4)、化(9)、化(12)および化(13)で示される紫外線吸収剤についての耐熱性を示す(なお、ここでの耐熱性は、前記b値だけでなく、下記のIV値が含まれている)。耐熱性は、全ポリエステル樹脂に対し、前記紫外線吸収剤を正味0.4質量%、TiO2粒子を正味0.2質量%(拡散転写写真材料としてのヘイズ調整のため)添加した材料を、真空オーブン内で180℃・8時間乾燥させた後、射出成型機(NEOMAT 150/75 住友重機(株)製)において、ヒーター温度:300℃、滞留時間を0、2、8分と変えた条件下で、それぞれ、厚さ約1.5mmの成型板を形成した。その成型板のb値およびIV値を測定した。なお、b値とはCIELAB着色系に基づいたb*を指し、IVとはIntrinsic Viscosityの略で極限粘度を指す。また、紫外線吸収剤およびTiO2粒子は、あらかじめこれらをポリエステル樹脂に練り込んだチップの形態で添加した。b値は、日本電色工業(株)製 SZ−Σ90型色差計により測定した。結果を図2および図3に示す。図より、紫外線吸収剤としてトリアジン系のものが特に優れた耐熱性を有することが分かる。
【0057】
本発明で用いるポリエステル支持体には、紫外線吸収剤の他に白色顔料、たとえば酸化チタン顔料を添加することが好ましい。白色顔料は透明ポリエステル支持体のヘイズを上げるためであり、これを加えることにより、製造過程において、支持体端面より入射した光により感材層がかぶることを防止できる。酸化チタンの添加量は0.005〜0.05質量%程度が好ましい。また、透明ポリエステル支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体または混合物等が用いられる。
【0058】
また、本発明の画像形成要素は、上記支持体に画像形成層を設けたものであり、この画像形成層はハロゲン化銀感光材料層であってもよい。また、前記ハロゲン化銀感光材料層は拡散転写写真感光材料層であってもよい。拡散転写写真感光材料は、特願平11−269565号出願の段落0050から段落0079に記載の技術事項をすべて利用することができる。
【0059】
本発明の感光材料は、該画像形成要素を有するものであり、これは、例えば図4に示すものが挙げられる。なお、図4において、画像観察は、最外層の面側から行なう。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
紫外線吸収剤およびTiO2粒子を予めポリエステル樹脂に練り込んだチップの形態とした。即ち、通常のポリエステル樹脂のチップとブレンドする形で、全ポリエステル樹脂に対し、化(12)を正味0.24重量%、化(13)を正味0.24重量%、酸化防止剤として化(14)を正味0.01重量%、TiO2粒子を正味0.18重量%添加した材料を、ヘンシェルミキサーおよびパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280℃〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
溶融させたポリエステル樹脂をダイ部より静電印加されたチラーロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。この非結晶ベースをベース流れ方向に延伸比3.3倍に延伸後、ベース幅方向に延伸比3.9倍に延伸し、厚さ97μ±2μのフィルムを得た。
【0061】
【化13】
【0062】
上記厚さ97μのフィルムを搬送速度105m/分で搬送し、727J/m2条件でコロナ放電処理を行い、下記組成からなる塗布液を、バーコート法により、塗布した。塗布量は、約5.5cc/m2とし、乾燥は、180℃1分乾燥とし、フィルムシート1を作成した。
ポリアクリル樹脂(1−1)(固形分15%:Tg=約100℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−20D) 5.75重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 91.69重量%
【0063】
実施例2
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート2を作成した。
ポリアクリル樹脂(1−2)(固形分15%:Tg=約15℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−18D) 5.75重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 91.69重量%
【0064】
実施例3
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート3を作成した。
下記ポリアクリル樹脂(P)(固形分27.5%)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−48D) 1.57重量%
ポリアクリル樹脂(1−1)(固形分15%:Tg=約100℃)
(ダイセル化学工業(株)製のEM−20D) 2.87重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 93.00重量%
【0065】
【化14】
【0066】
比較例1
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート4を作成した。
ポリアクリル樹脂(P)(固形分27.5%) 3.14重量%
界面活性剤(C16H33OSO3Na)(固形分2%) 2.56重量%
蒸留水 94.30重量%
【0067】
比較例2
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート5を作成した。
【0068】
比較例3
塗布液を下記塗布液とし、実施例1記載のポリエステル支持体に実施例1と同様な条件で塗布を実施し、フイルムシート6を作成した。
【0069】
上記の如くして得られたフィルムシート1〜6を下記の如く評価した。結果を表2に示す。
【0070】
Dmax
上記のフィルムシート1〜6の塗布面とは反対面に、油性黒マジックインキを目視で透明性が失われる程度に塗りつけ、充分乾燥後、塗布面側から、濃度計X−Rite310TRの反射濃度計にて、B、G、R各々の濃度を測定する。
【0071】
動摩擦係数
上記フィルムシート1〜6を25℃65%RHの雰囲気で3日間保存した後、動摩擦係数測定機(東洋ボールドウィン(株)製)を用いて動摩擦係数を測定した。即ち、20gの加重を加えた直径5mmの鋼球を試料フィルム表面に接触させ、20cm/分の速度で滑走させた時の抵抗を歪みゲージで検出して求めた。
【0072】
カメラ排出性
上記フィルムシー卜1〜6を使用し、拡散転写法写真フィルムユニットを形成した。このフィルムユニットをカメラ(チェキ)で撮影後、排出させ、排出時の異音の発生の有無、スリキズの発生の具合を確認した。
【0073】
引掻強度
上記フィルムシート1〜6を25℃65%RHの雰囲気で3日間保存した後、引掻強度試験機(HEIDON−18、新東科学(株)製)を用いて、押圧する0.025Rダイヤモンド針の荷重を0〜200gまで連続的に増加させる条件にて測定した。キズの入り始める荷重をグラム単位で表した。
数値は、値が大きいほど耐傷性に優れるといえる。
【0074】
【表2】
【0075】
上記結果から、本発明のフィルムシート1〜3は、濃度(Dmax)が高く、他の評価も問題ないレベルであることが分かる。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、最外層を水系にて塗布し、環境面に対応するとともに、濃度(Dmax)を向上させ、かつ、カメラ排出性、耐傷性を高めた、支持体、画像形成要素及び感光材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外線吸収剤の分子量と昇華性の関係を表すグラフである。
【図2】紫外線吸収剤をポリエステル樹脂に練り込んだ場合のメルト滞留時間とb値の関係を示すグラフである。
【図3】紫外線吸収剤をポリエステル樹脂に練り込んだ場合のメルト滞留時間とIV値の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の感光材料の一例を示す断面図である。
Claims (6)
- ポリエステル支持体が、下記一般式(2)で表される紫外線吸収剤の1種又は2種以上を含有するものである請求項1記載の支持体。
- 請求項1又は2記載の支持体に、更に、画像形成層を設けたことを特徴とする画像形成要素。
- 画像形成層がハロゲン化銀感光材料層である請求項3記載の画像形成要素。
- ハロゲン化銀感光材料層が拡散転写写真感光材料層である請求項4記載の画像形成要素。
- 請求項4又は5記載の画像形成要素を有する感光材料。
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2003
- 2003-01-23 JP JP2003014322A patent/JP2004224909A/ja active Pending
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