JP2004224836A - オーバープリントカード用インク - Google Patents
オーバープリントカード用インク Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004224836A JP2004224836A JP2003011434A JP2003011434A JP2004224836A JP 2004224836 A JP2004224836 A JP 2004224836A JP 2003011434 A JP2003011434 A JP 2003011434A JP 2003011434 A JP2003011434 A JP 2003011434A JP 2004224836 A JP2004224836 A JP 2004224836A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- card
- ink
- overprint
- overprint card
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができ、エンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価で、磁気カード、ICカード、リライトカードなどとして広く使用できるオーバープリントカードの印刷層形成用インクの提供。
【解決手段】センターコア2A、2B、オーバーシート3A、3B、印刷層4、保護層7を積層した層構成のオーバープリントカード1の前記印刷層4を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むインクを用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】センターコア2A、2B、オーバーシート3A、3B、印刷層4、保護層7を積層した層構成のオーバープリントカード1の前記印刷層4を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むインクを用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカード用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカード類は、その利便性により、身分証明や出納処理など幅広い分野で利用されている。そして、図2に層構成を示したように、これらのオーバープリントカード1Aは一般的に、不透明塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2B(上面に厚さ約1〜2μmの所望の印刷層4が形成されている)とセンターコア2Aとを、センターコア2Aの下面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Aを配置し、上面に印刷層4を形成したセンターコア2Bの上面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Bを配置して全体を積層して定型サイズのオーバープリントカードが構成されている。5はオーバーシート3B面に定着された磁気記録層である。オーバーシート3Bの外表面には磁気記録層5を被覆保護するための図示しない保護層を積層してもよい。
オーバープリントカード1Aは個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されることが多い。しかし、オーバープリントカード1Aはエンボス加工が施されるとエンボス文字などにクラック(ひび割れ)(エンボス割れ)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで複数種類のプラスチックシートを張り合わせ引っ張り強度600kgf/cm2以上でかつ破壊伸び40%以上としたエンボス割れが発生しないオーバープリントカードが提案されているが(特許文献1参照)、張り合わせるために接着剤を用いるなどコスト高になる問題がある。非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物からなるコア層の両面に、非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物100重量部に対し屈折率1.54以上、粒径1000〜2000Åのメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体2〜5重量部を含有する樹脂組成物からなる被覆層を積層1体化したエンボス割れが発生しないオーバープリントカードを作る方法が提案されているが(特許文献2参照)、安価なPVC材料を用いないのでコスト高になる問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−175062号公報
【特許文献2】
特開2001−180162号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価であるオーバープリントカードを作ることができるオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインク提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための本発明の請求項1のオーバープリントカード用インクは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴とする。
【0007】
紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含む本発明のオーバープリントカード用インクは揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、ウレタン構造を有するために紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上でき、製造されたオーバープリントカードはエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつオーバープリントカード用材料としてPVC材料を用いて公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができるので安価であり、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカードとして広く使用できる。
【0008】
本発明の請求項2のオーバープリントカード用インクは、請求項1記載のオーバープリントカード用インクにおいて、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことを特徴とする。
【0009】
紫外線硬化型ウレタンアクリレートをインク全体に対して特定量含むことにより、エンボス特性をより確実に向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のオーバープリントカード用インクを用いて製造されたオーバープリントカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
図1に層構成を示したように、オーバープリントカード1は、不透明塩化ビニル樹脂(PVC)やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2Bとセンターコア2A(いずれも厚さ約50〜100μm)を、透明塩化ビニル樹脂(PVC)などからなるオーバーシート3A、3B(いずれも厚さ約50〜100μm)で挟持し、オーバーシート3B面に磁気テープを貼り付けて磁気記録層5を定着させ、その上にアルミ粉含有銀色インクからなる隠蔽層6を設けたオーバーシート3B面に本発明のオーバープリントカード用インクを用いて所望のデザイン印刷(絵柄印刷)した印刷層4(厚さ約1〜2μm)を形成して全体が積層されており、外表面に印刷層4を被覆保護するための保護層7が積層されて構成されている。
【0011】
オーバープリントカード1は本発明のオーバープリントカード用インクを用いて印刷層4が形成されているので、エンボス特性に優れており、個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されてもエンボス割れが発生しない。
【0012】
本発明のオーバープリントカード用インクは紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴としている。本発明で用いる紫外線硬化型ウレタンアクリレートとしては紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートや紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートを挙げることができる。これらは適宜の割合で混合して使用することもできる。
ウレタン結合を形成する脂肪族および脂環式ジイソシアネート成分として代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)などであるがこれらに限定されるものではない。脂肪族ウレタンアクリレートは、オリゴマーないしモノマー状態の脂肪族ウレタンアクリレートが水中に分散されてなるものである。好適に利用できる市販品の具体例としては、ダイセルUCB社製のUcecoat DW7900やBASF社製のLaromer LR8949などがある。
【0013】
一方、芳香族系ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびキシリレンジイソシアネート(XDI)などが挙げられる。脂肪族ウレタンアクリレートは芳香族ウレタンアクリレートと比較すると、前者の方が後者より、印刷層4のコーティング適性や印刷層4の硬化状態の点で好ましい。また、前者の方が後者よりも透明性に優れている。
【0014】
本発明のオーバープリントカード用インク中の紫外線硬化型ウレタンアクリレートの配合量は特に限定されないが、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことが好ましい。紫外線硬化型ウレタンアクリレートが5質量部未満ではエンボス特性を改善できずエンボス割れが発生する恐れがあり、30質量部を超えると塗布適性が低下する恐れがあり好ましくない。
【0015】
本発明のオーバープリントカード用インクには紫外線硬化型ウレタンアクリレート以外に、アクリル系紫外線硬化成分を配合することができる。アクリル系紫外線硬化成分の例として、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体などを挙げることができる。
【0016】
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル系紫外線硬化成分を用いることができる。
これらのアクリル系紫外線硬化成分は単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
アクリル系紫外線硬化成分としてアクリル系光重合性オリゴマーを用いることができる。アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介して飽和ポリエステルセグメントが連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0018】
本発明のオーバープリントカード用インクには、さらに、所望に応じて慣用されている添加成分、例えば、反応性希釈剤、粘着付与剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、消泡剤、各種安定剤、顔料、染料、着色剤、滑剤、増感剤などを含有させることもできる。
【0019】
本発明のオーバープリントカード用インクは、オフセット印刷機、シルクスクリーン印刷機、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗工手段により所定部に塗工し、必要に応じて乾燥する。
【0020】
本発明で用いる保護層7の形成用インクは特に限定されるものではない。しかし水性エマルジョンは好ましく使用できる。水性エマルジョンの主成分としては前記紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートおよび/または紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートが好ましく使用できる。
【0021】
本発明のオーバープリントカード用インクなど紫外線硬化型インクの紫外線による硬化を行わせるために、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、通常使用されているものがいずれも好ましく使用できる。代表的なものは分子内結合開放型および分子間水素引抜き型ある。分子内結合開放型は分子開裂によりラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾイル・アルキル・エーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。分子間水素引抜き型は分子間の水素引抜きでラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオキサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤と併用するものとして光重合開始助剤または増感剤があり、アミン類、スルホン類、ホスフィン類が使用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
【0023】
(オーバープリントカード用インクを用いて形成した印刷層の鉛筆硬度の測定方法)
オーバープリントカード用インクを用いてインク展色試験機(RIテスタ)を用いて、PVCシート(PVCカードに使用される白色のセンターコア)上に展色を行った。展色条件は、▲1▼ローラ:2分割ローラ、▲2▼インク量:0.25cc、▲3▼紫外線照射条件:160W/cmの高圧水銀ランプを使用しコンベアスピード40m/minで行った。印刷層の表面硬度はJIS−K5401、K5400およびK6894に規定される鉛筆引っかき試験に準拠して測定した。
【0024】
(エンボス加工適性テスト)
得られたオーバープリントカードを用いて、日本データカード社製のカード自動発行システムDC−9000のエンボス文字形成部を使用し、鋼鉄製のエンボス文字形成用型で、カード裏面側から常温にて、1〜5枚/1000秒の速度で打刻することにより、高さ0.45mm程度のエンボス文字を形成した。形成したエンボス文字を注意深く観察し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、下記に示す基準で評価した。
○:0枚(全く問題がない)
△:1枚(実用上問題がない)
×:2枚以上(使用できない)
【0025】
(実施例1)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0026】
得られた本発明のオーバープリントカード用印刷インクを用いて形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定した結果を表1に示す。
本発明のオーバープリントカード用インクを用いて図1に示した層構成のオーバーシート3B上に2g/m2になるようにデザイン印刷し、紫外線照射装置により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ印刷層4を形成した。次にこの印刷層4の表面に紫外線硬化型コーティング剤(商品名:ノプコキュア134、サンノプコ社製)を用いて1.5〜2g/m2の膜厚で塗工し、この塗工面に紫外線照射装置により350mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。さらに、多段プレス(ラミプレス)にて150℃、25分加圧により、硬化した保護層を成型し、シート面に最終的な保護層7を形成し図1に示した層構成のプラスチックシートを作った。
得られたプラスチックシートを所定のサイズに打ち抜いて、テスト用のオーバープリントカード100枚を得た。
【0027】
得られたオーバープリントカードを用いて、上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0028】
(実施例2)
実施例1で使用したウレタンアクリレートを他のウレタンアクリレート(商品名:UV−6300B、日本合成化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして本発明のオーバープリントカード用印刷インクを作り形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0029】
(実施例3)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0030】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0031】
(実施例4)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0032】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0034】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0035】
(実施例6)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0036】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0037】
(比較例1)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、ウレタンアクリレートを含まない比較のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0038】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0039】
(比較例2)
実施例1で使用したウレタンアクリレートをアクリルオリゴマ(商品名:ビームセット259、荒川化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0040】
(比較例3)
実施例1で使用したウレタンアクリレートをエステルアクリレート(商品名:ビームセット710、荒川化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から実施例1〜6の本発明のオーバープリントカード用印刷インクを用いた場合は、エンボス割れがないかあっても実用上支障のない範囲であり、エンボス特性に優れていることが判る。それに対して比較例1〜3のオーバープリントカード用印刷インクを用いた場合は、はエンボス割れが多く、エンボス特性に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の請求項1のオーバープリントカード用インクは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴とするものであり、揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、ウレタン構造を有するために紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上でき、製造されたオーバープリントカードはエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつオーバープリントカード用材料としてPVC材料を用いて公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができるので安価であり、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカードとして広く使用できるという顕著な効果を奏する。
【0044】
本発明の請求項2のオーバープリントカード用インクは、請求項1記載のオーバープリントカード用インクにおいて、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことを特徴とするものであり、紫外線硬化型ウレタンアクリレートをインク全体に対して特定量含むことにより、塗布特性などを損なわずエンボス特性をより確実に向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオーバープリントカードインクを用いて形成した印刷層を備えたオーバープリントカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
【図2】従来のオーバープリントカードの断面を模式的に説明する説明図である。
【符号の説明】
1、1A オーバープリントカード
2A、2B センターコア
3A、3B オーバーシート
4 印刷層
5 磁気記録層
6 隠蔽層
7 保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカード用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカード類は、その利便性により、身分証明や出納処理など幅広い分野で利用されている。そして、図2に層構成を示したように、これらのオーバープリントカード1Aは一般的に、不透明塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2B(上面に厚さ約1〜2μmの所望の印刷層4が形成されている)とセンターコア2Aとを、センターコア2Aの下面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Aを配置し、上面に印刷層4を形成したセンターコア2Bの上面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Bを配置して全体を積層して定型サイズのオーバープリントカードが構成されている。5はオーバーシート3B面に定着された磁気記録層である。オーバーシート3Bの外表面には磁気記録層5を被覆保護するための図示しない保護層を積層してもよい。
オーバープリントカード1Aは個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されることが多い。しかし、オーバープリントカード1Aはエンボス加工が施されるとエンボス文字などにクラック(ひび割れ)(エンボス割れ)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで複数種類のプラスチックシートを張り合わせ引っ張り強度600kgf/cm2以上でかつ破壊伸び40%以上としたエンボス割れが発生しないオーバープリントカードが提案されているが(特許文献1参照)、張り合わせるために接着剤を用いるなどコスト高になる問題がある。非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物からなるコア層の両面に、非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物100重量部に対し屈折率1.54以上、粒径1000〜2000Åのメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体2〜5重量部を含有する樹脂組成物からなる被覆層を積層1体化したエンボス割れが発生しないオーバープリントカードを作る方法が提案されているが(特許文献2参照)、安価なPVC材料を用いないのでコスト高になる問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−175062号公報
【特許文献2】
特開2001−180162号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価であるオーバープリントカードを作ることができるオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインク提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための本発明の請求項1のオーバープリントカード用インクは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴とする。
【0007】
紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含む本発明のオーバープリントカード用インクは揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、ウレタン構造を有するために紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上でき、製造されたオーバープリントカードはエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつオーバープリントカード用材料としてPVC材料を用いて公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができるので安価であり、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカードとして広く使用できる。
【0008】
本発明の請求項2のオーバープリントカード用インクは、請求項1記載のオーバープリントカード用インクにおいて、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことを特徴とする。
【0009】
紫外線硬化型ウレタンアクリレートをインク全体に対して特定量含むことにより、エンボス特性をより確実に向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のオーバープリントカード用インクを用いて製造されたオーバープリントカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
図1に層構成を示したように、オーバープリントカード1は、不透明塩化ビニル樹脂(PVC)やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2Bとセンターコア2A(いずれも厚さ約50〜100μm)を、透明塩化ビニル樹脂(PVC)などからなるオーバーシート3A、3B(いずれも厚さ約50〜100μm)で挟持し、オーバーシート3B面に磁気テープを貼り付けて磁気記録層5を定着させ、その上にアルミ粉含有銀色インクからなる隠蔽層6を設けたオーバーシート3B面に本発明のオーバープリントカード用インクを用いて所望のデザイン印刷(絵柄印刷)した印刷層4(厚さ約1〜2μm)を形成して全体が積層されており、外表面に印刷層4を被覆保護するための保護層7が積層されて構成されている。
【0011】
オーバープリントカード1は本発明のオーバープリントカード用インクを用いて印刷層4が形成されているので、エンボス特性に優れており、個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されてもエンボス割れが発生しない。
【0012】
本発明のオーバープリントカード用インクは紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴としている。本発明で用いる紫外線硬化型ウレタンアクリレートとしては紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートや紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートを挙げることができる。これらは適宜の割合で混合して使用することもできる。
ウレタン結合を形成する脂肪族および脂環式ジイソシアネート成分として代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)などであるがこれらに限定されるものではない。脂肪族ウレタンアクリレートは、オリゴマーないしモノマー状態の脂肪族ウレタンアクリレートが水中に分散されてなるものである。好適に利用できる市販品の具体例としては、ダイセルUCB社製のUcecoat DW7900やBASF社製のLaromer LR8949などがある。
【0013】
一方、芳香族系ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびキシリレンジイソシアネート(XDI)などが挙げられる。脂肪族ウレタンアクリレートは芳香族ウレタンアクリレートと比較すると、前者の方が後者より、印刷層4のコーティング適性や印刷層4の硬化状態の点で好ましい。また、前者の方が後者よりも透明性に優れている。
【0014】
本発明のオーバープリントカード用インク中の紫外線硬化型ウレタンアクリレートの配合量は特に限定されないが、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことが好ましい。紫外線硬化型ウレタンアクリレートが5質量部未満ではエンボス特性を改善できずエンボス割れが発生する恐れがあり、30質量部を超えると塗布適性が低下する恐れがあり好ましくない。
【0015】
本発明のオーバープリントカード用インクには紫外線硬化型ウレタンアクリレート以外に、アクリル系紫外線硬化成分を配合することができる。アクリル系紫外線硬化成分の例として、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体などを挙げることができる。
【0016】
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル系紫外線硬化成分を用いることができる。
これらのアクリル系紫外線硬化成分は単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
アクリル系紫外線硬化成分としてアクリル系光重合性オリゴマーを用いることができる。アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介して飽和ポリエステルセグメントが連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0018】
本発明のオーバープリントカード用インクには、さらに、所望に応じて慣用されている添加成分、例えば、反応性希釈剤、粘着付与剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、消泡剤、各種安定剤、顔料、染料、着色剤、滑剤、増感剤などを含有させることもできる。
【0019】
本発明のオーバープリントカード用インクは、オフセット印刷機、シルクスクリーン印刷機、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗工手段により所定部に塗工し、必要に応じて乾燥する。
【0020】
本発明で用いる保護層7の形成用インクは特に限定されるものではない。しかし水性エマルジョンは好ましく使用できる。水性エマルジョンの主成分としては前記紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートおよび/または紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートが好ましく使用できる。
【0021】
本発明のオーバープリントカード用インクなど紫外線硬化型インクの紫外線による硬化を行わせるために、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、通常使用されているものがいずれも好ましく使用できる。代表的なものは分子内結合開放型および分子間水素引抜き型ある。分子内結合開放型は分子開裂によりラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾイル・アルキル・エーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。分子間水素引抜き型は分子間の水素引抜きでラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオキサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤と併用するものとして光重合開始助剤または増感剤があり、アミン類、スルホン類、ホスフィン類が使用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
【0023】
(オーバープリントカード用インクを用いて形成した印刷層の鉛筆硬度の測定方法)
オーバープリントカード用インクを用いてインク展色試験機(RIテスタ)を用いて、PVCシート(PVCカードに使用される白色のセンターコア)上に展色を行った。展色条件は、▲1▼ローラ:2分割ローラ、▲2▼インク量:0.25cc、▲3▼紫外線照射条件:160W/cmの高圧水銀ランプを使用しコンベアスピード40m/minで行った。印刷層の表面硬度はJIS−K5401、K5400およびK6894に規定される鉛筆引っかき試験に準拠して測定した。
【0024】
(エンボス加工適性テスト)
得られたオーバープリントカードを用いて、日本データカード社製のカード自動発行システムDC−9000のエンボス文字形成部を使用し、鋼鉄製のエンボス文字形成用型で、カード裏面側から常温にて、1〜5枚/1000秒の速度で打刻することにより、高さ0.45mm程度のエンボス文字を形成した。形成したエンボス文字を注意深く観察し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、下記に示す基準で評価した。
○:0枚(全く問題がない)
△:1枚(実用上問題がない)
×:2枚以上(使用できない)
【0025】
(実施例1)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0026】
得られた本発明のオーバープリントカード用印刷インクを用いて形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定した結果を表1に示す。
本発明のオーバープリントカード用インクを用いて図1に示した層構成のオーバーシート3B上に2g/m2になるようにデザイン印刷し、紫外線照射装置により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ印刷層4を形成した。次にこの印刷層4の表面に紫外線硬化型コーティング剤(商品名:ノプコキュア134、サンノプコ社製)を用いて1.5〜2g/m2の膜厚で塗工し、この塗工面に紫外線照射装置により350mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。さらに、多段プレス(ラミプレス)にて150℃、25分加圧により、硬化した保護層を成型し、シート面に最終的な保護層7を形成し図1に示した層構成のプラスチックシートを作った。
得られたプラスチックシートを所定のサイズに打ち抜いて、テスト用のオーバープリントカード100枚を得た。
【0027】
得られたオーバープリントカードを用いて、上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0028】
(実施例2)
実施例1で使用したウレタンアクリレートを他のウレタンアクリレート(商品名:UV−6300B、日本合成化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして本発明のオーバープリントカード用印刷インクを作り形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0029】
(実施例3)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0030】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0031】
(実施例4)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0032】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0034】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0035】
(実施例6)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、本発明のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0036】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0037】
(比較例1)
下記に示す組成(質量部)の混合物を三本ロールミルにて練肉し、ウレタンアクリレートを含まない比較のオーバープリントカード用印刷インクを得た。
【0038】
この紫外線硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0039】
(比較例2)
実施例1で使用したウレタンアクリレートをアクリルオリゴマ(商品名:ビームセット259、荒川化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0040】
(比較例3)
実施例1で使用したウレタンアクリレートをエステルアクリレート(商品名:ビームセット710、荒川化学工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして形成した印刷層の鉛筆硬度を上記測定方法により測定して結果を表1に示すとともに、テスト用のオーバープリントカードを得て、実施例1と同様にして上記エンボス加工適性テストを行い、結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から実施例1〜6の本発明のオーバープリントカード用印刷インクを用いた場合は、エンボス割れがないかあっても実用上支障のない範囲であり、エンボス特性に優れていることが判る。それに対して比較例1〜3のオーバープリントカード用印刷インクを用いた場合は、はエンボス割れが多く、エンボス特性に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の請求項1のオーバープリントカード用インクは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴とするものであり、揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、ウレタン構造を有するために紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上でき、製造されたオーバープリントカードはエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつオーバープリントカード用材料としてPVC材料を用いて公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができるので安価であり、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのオーバープリントカードとして広く使用できるという顕著な効果を奏する。
【0044】
本発明の請求項2のオーバープリントカード用インクは、請求項1記載のオーバープリントカード用インクにおいて、インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことを特徴とするものであり、紫外線硬化型ウレタンアクリレートをインク全体に対して特定量含むことにより、塗布特性などを損なわずエンボス特性をより確実に向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオーバープリントカードインクを用いて形成した印刷層を備えたオーバープリントカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
【図2】従来のオーバープリントカードの断面を模式的に説明する説明図である。
【符号の説明】
1、1A オーバープリントカード
2A、2B センターコア
3A、3B オーバーシート
4 印刷層
5 磁気記録層
6 隠蔽層
7 保護層
Claims (2)
- センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のオーバープリントカードの前記印刷層を形成するためのインクであって、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含むことを特徴とするオーバープリントカード用インク。
- インク全体100質量部中に紫外線硬化型ウレタンアクリレートを5〜30質量部含むことを特徴とする請求項1記載のオーバープリントカード用インク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011434A JP2004224836A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | オーバープリントカード用インク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011434A JP2004224836A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | オーバープリントカード用インク |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004224836A true JP2004224836A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32900339
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003011434A Pending JP2004224836A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | オーバープリントカード用インク |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004224836A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109532178A (zh) * | 2018-11-21 | 2019-03-29 | 浙江锦盛装饰材料有限公司 | 3d套印套压装饰膜生产工艺,应用及中间产品 |
-
2003
- 2003-01-20 JP JP2003011434A patent/JP2004224836A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109532178A (zh) * | 2018-11-21 | 2019-03-29 | 浙江锦盛装饰材料有限公司 | 3d套印套压装饰膜生产工艺,应用及中间产品 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5145645B2 (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
WO2010071992A1 (en) | Method for making tactile marks on a substrate | |
JP4848934B2 (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP2008036892A (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP4138509B2 (ja) | プラスチックカード | |
JP2004224836A (ja) | オーバープリントカード用インク | |
JP2004276323A (ja) | インクジェットインク受容層を有するカード | |
JP2008018579A (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP5256601B2 (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP2004224837A (ja) | オーバープリントカード用インク | |
JP4078226B2 (ja) | 液体トナー受容性を有するオーバープリント剤およびそれを用いたシート | |
JP2007196405A (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP2005104010A (ja) | インクジェットインク受容層形成用インクおよびそれを用いたシート | |
CN112739550B (zh) | 印刷特性优异的装饰材料及其制造方法 | |
JP3963441B2 (ja) | 熱定着部材を有するカード | |
JP2005002277A (ja) | 紫外線硬化型塗料およびそれを用いたシート | |
JP4688153B2 (ja) | 隠蔽性スクラッチ印刷物およびその製造方法 | |
JP4968439B2 (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP2002323846A (ja) | ホログラムシートの製造方法 | |
JP2003171587A (ja) | 放射線硬化型剥離層形成用インクおよびそれを用いたシート | |
JP4598965B2 (ja) | 捺印層形成用インクおよびそれを用いたシート | |
JP2008080518A (ja) | 化粧シートおよびそれを用いた化粧板 | |
JP2004115655A (ja) | 光重合開始剤マイクロカプセル含有紫外線硬化型インクおよびこれを用いたシート | |
JP2003171586A (ja) | 放射線硬化型剥離層形成用インクおよびそれを用いたシート | |
JP2002161245A (ja) | 捺印層形成用インクおよびそれを用いたシート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051219 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090212 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090217 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090811 |